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2018年の観光予算 ― 数値目標達成より難しい課題にも

2017年9月1日
編集部

 観光庁は2018年度予算の概算要求の概要を発表した。東北の復興(復興枠)を含めて、17年度予算比で16%増の298億円を要求する。次号で詳しく紹介するが、事業は主に3本の柱で構成されている。

 (1)訪日プロモーションの抜本改革と観光産業の基幹産業化(2)「楽しい国 日本」の実現に向けた観光資源の開拓・魅力向上(3)世界最高水準の快適な旅行環境の実現――で、簡単に言えば、「誘客」「魅力向上」「快適な環境整備」事業に分類される。

 03年に小泉純一郎首相が「観光立国懇談会」を主宰し、訪日旅行を促進するビジット・ジャパン事業がスタート。06年12月に観光立国推進基本法が成立し、08年10月に観光庁が設置された。日本の観光政策が大きく動き出した時期だ。その当時と比べ、現在の観光振興政策は大きく前進した。自治体の首長の多くも、観光政策の重要性に言及するようになった。

 観光立国の大きな柱である訪日外国人客数も03年には521万人だったが、16年には2404万人へと飛躍的に増加している。今後も2020年に4千万人という目標に向け、誘客プロモーションと、観光資源の開発・魅力向上、快適な旅行環境の整備に取り組んでいくことになる。

 しかし、数値目標達成に向けた努力が成果を上げる一方で、さまざまな新しい課題も表面化してきている。

 とくに、人気観光地においては、世界各地で収容力を超える観光客が押し寄せてくることによって、地元住民らの生活に支障をきたし、「もうこれ以上観光客に来てほしくない」と願う現象も生じている。日本でも一部の人気観光地ではそのような現象がみられる。

 例えば、首都圏や関西圏などの宿泊施設の不足を理由に、住宅宿泊事業法という新たな法律を制定。「民泊」という宿泊スタイルを推進していく流れも本格化する。大きなニーズがあるから、それに対応した施設が生まれ、産業として成長していくのは自然な流れであるが、経済効果が見込まれるからといって、門戸を開けすぎて、それが地域住民のストレスになるようでは、観光立国のあるべき姿からは遠ざかってしまう。

 18年度概算要求の事業内容を改めて見ると、それぞれの事業は、(1)とくに外国人観光客がどうしたら日本に関心を持ってもらえるか。(2)日本にはすぐれた観光魅力があるので、もっと発見して磨きあげよう。そして、③せっかく訪れていただいた観光客が、言葉が通じなかったり、案内不足のためにストレスを感じたり、不便に思うことがないように整備しようというのが大きな柱となっている。

 とりわけ3つ目のような心配りは、日本人の美徳である。観光立国を目指し始めて日が浅い日本は、まだまだ至らない部分が多い。せっかく遠くから来ていただいた外国人観光客にストレスを感じるようでは申し訳ないと、急ピッチで改善していくのはいいが、“やり過ぎてしまう”傾向もある。

 東京五輪開催まで3年を切った。16年の訪日外客数2400万人の1・6倍以上の4千万人が数年後に訪れるようになると、さらに多くの混乱や軋みが生まれることが予想される。数値目標達成よりも難しい、規制や需要の平準化などの課題にも真剣に対応していく時期にきている。

(編集長・増田 剛)

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