【百戦錬磨 上山康博(かみやま・やすひろ)社長インタビュー】特区民泊、全国で実施を

  • 2017-3-1

質問に答える上山社長

“ヤミ民泊”追放へ、一致団結したい

 古民家や空き家を活用する“民泊”への関心は高く、不足する宿泊施設のカバーにも有効だ。インバウンド増加と多様化するニーズを満たす一方、利益を優先する事業者による“ヤミ(違法)民泊”の横行は、ホテル・旅館業界だけでなく、“合法民泊”の理解普及への取り組みにも水を差しかねない。今回、“合法民泊”のパイオニアとして、業界を牽引してきた百戦錬磨の上山康博社長を訪ねた。同社の取り組みやビジョン、民泊をめぐる政府や自治体、ホテル・旅館への期待について、話を聞いた。
【謝 谷楓】

 ――会社の取り組みについて教えてください。

 “ステイジャパン”といった、民泊の予約サイトを運営しています。民泊運営者(ホスト)と旅行者(ゲスト)をつなぐプラットフォーマーとして、Webサイトを提供することが、我われの仕事なのです。マンションや一軒家、古民家、お寺などを公認の民泊施設に活用するといったアマチュアで宿泊に携わる方を、ゲストとマッチングさせています。一般的なOTAとの違いもここにあります。

 ノウハウの仕組みづくりを進めることで、このようなビジネスモデルが実現可能だということを証し、根付かせることに取り組んでいます。

 物件を提供するホストに対し、我われはテクノロジーを駆使して集客をはかるなど、インターネット上のマーケティングで支援を行います。地域への誘客を実現するため、自治体や観光協会、DMOと協力する場合もあります。

 さらに一歩踏み込み、地に足をつけて地域で事業展開する。“空中戦”ではなく、“地上戦”を行う点も、ほかのOTAと大きく異なる特徴です。

 ――取り組みを通じて、目指すことは。

 欧米型のロングステイを、各地域で実現・普及したいと考えています。地域への誘客増加をはかるため、ホテル・旅館に携わる方にも、踏み込んだ取り組みを行ってほしいと考えています。例えば、既存の宿泊施設でチェックインを済ませ、地域の古民家に長期間泊まることが実現すれば、新しい滞在スタイルの提案だけでなく、欧州など遠方からのインバウンドの取り込みも期待できます。

 空き家となった古民家の再活用は、継続したビジネスの展開が難しかったグリーン・ツーリズムの収益化にも有効です。ホストとの触れ合いが中心であったホームステイ型のグリーン・ツーリズムは、継承が困難でした。仕組み化されれば、ノウハウの継承が可能です。地域での、一歩進んだ取り組みにも期待しています。

 ――地域(自治体)の “稼ぐ力”獲得にも目を向けていますね。

 外からの来訪目的となる、地域の核が見つかるまで、枝葉末節を削ぎ落とすことが必要です。各地域には、地名の由来や歴史に着目し、作業を進めてほしいです。

 ――都心型の民泊について

 “ステイジャパン”では、自治体の認可を受けた公認施設のみ掲載しています。国家戦略特区内では、大阪府と大阪市、東京都大田区で物件を取り扱い、各地域で認定第1号物件を運営しています。

 大田区で民泊(特区民泊)を行うためには、6泊7日以上の滞在が必要です。稼働率はおよそ50%となります。大阪市では、1月から2泊3日の民泊利用が可能となりました。回転率の増加が望めます。

 大田区での取り組みを始めてから、1年が経ちました。ゴミ捨てルールの周知や安全対策など、近隣住民とゲスト双方に対し、ホテル・旅館と同水準の安全安心を提供してきました。実際、ゲストと近隣住民のトラブルはほとんどなく、従来からあった懸念点も払拭できました。

 ――特区民泊に取り組む自治体はまだ多くありません。普及が遅れている要因とは。

 ヤミ民泊の存在です。ホテル・旅館業界の一部には、合法か否かを問わず、民泊に反対する方がいます。感情的になっている方もいます。非合法に活動するヤミ民泊業者が、不当に利益を上げていては、民泊に対し、社会全体が良いイメージを抱くことは難しいといわざるをえません。ヤミ民泊が一掃されることで、誤解を解くことができるはずです。

 ――有効な手立てとは。

 大前提は取締強化です。旅館業法のみならず消防法・建築基準法・税法などの関連法も含めた指導の強化を行政に対し、お願いしたいところです。ヤミ民泊を告発する窓口の設置も有効です。

 国家戦略特区や民泊新法の利用促進も、政府や自治体にお願いしたいです。とくに、東京都などヤミ民泊が横行する地域は、取り組みのスピードを上げるべきです。

 特区民泊の実行は、ルール遵守を要求するメッセージとなります。各事業者が取り組む民泊ビジネスが、合法か否かも一目瞭然となります。民泊のうち、合法のもの以外はすべて、旅館業法に抵触する可能性があるのだということを、周知するべきです。グレーゾーンはありません。

 自治体のなかには、特区民泊を認めたら、ホテル・旅館業界が困惑すると考える方がいます。しかし、安全対策など、特区民泊を実現するハードルは高く、事務手続きの面でも旅館業法と遜色ありません。

 ホテル・旅館業界にとっての問題は、ヤミ民泊の横行にあるはずなのです。

 大切なことは、ルールを守った取り組みを行うことです。ヤミ民泊対応でも、ホテル・旅館業界や、不動産業界の方々と連携していきたいと考えています。一致団結して取り組むべき事柄なのです。

 ――ありがとうございました。

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