【楽天トラベル バス事業グループ 佐藤 修氏に聞く】「ドライバーに魅力的なキャリアパスを」

  • 2016-11-11

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佐藤 修氏
楽天トラベル 国内トランスポート・アクティビティ事業部 バス事業グループ
バス会社勤務を経て、2007年に楽天株式会社に入社
バス会社在籍時に「旅客自動車運行管理者」と「旅行業務取扱管理者」の資格を取得
現在は、インターネット・トラベル・コンサルタント(ITC)・バスビジネスを担当

 日本バス協会(上杉雅彦会長)を中心に、バス業界では安全安心に向けた取り組みに全力を注いでいる。今回、安全安心を支えるドライバーの育成や技術革新について、楽天トラベル(山本考伸トラベル事業長)でバスビジネスを担当する佐藤修氏から話を聞いた。バスに関する知識が豊富で、現在はコンサルティング業務に勤しむ佐藤氏。前職のバス会社では運行管理者としての経験も積んでおり、経営と現場双方向の視点を持っている。
【謝 谷楓】

 ――ドライバーの人材不足や育成が大きな問題となっています。解決に向けて大切なことは。

 ドライバーの人材不足は、全国のバス会社が直面している問題です。採用に関しても各社苦戦しているのが事実です。あくまで個人の意見なのですが、新卒採用に力を入れることが、今後は大切となるのではないでしょうか。

 各社即戦力を求め、運転経験を重視する傾向が強いのですが、まったく経験の無い方を、一から育てていくことも必要だと思います。第二種運転免許の取得や運転技術だけでなく、会社の安全や経営に対する理念をしっかり教育していくことで、離職率の低下をはかることも可能となるはずです。

 ――採用後に必要な対応とは。

 とくに新卒で採用された方に対しては、将来のキャリアパスをしっかりと示してあげることが大切だと思います。ドライバーのなかには、運転に専念したいという方だけでなく、総合職を目指したいと考える方もいます。そのため、入社して数年はドライバーを、その後は総合職の経験を積ませ、幹部候補生として育てていくというキャリアパスの制度が、各社にあれば良いと思います。

 また、運転に専念したい方に対しては、例えば「チーフドライバー」というような責任ある立場を用意すれば良いのではないでしょうか。

 大切なことは、ドライバーという職業に魅力を与えることです。新卒で採用し、免許取得などコストをかけたにもかかわらず離職されてしまうことは、会社にとって大きなリスクです。魅力あるキャリアパスを示すことで、リスクを回避することができるはずです。

 ――バス業界での技術革新について。

 「安全」に対する取り組みについて、コスト面での負担があるにもかかわらず、各社の意識はとても高いことを日々の業務のなかで感じています。人的ミスを減らすためにも、各社は積極的に技術革新を取り入れていくべきだと思います。

 自動運転では、自動車メーカーやIT企業が実用化に向け取り組んでいます。具体的には人工知能(AI)による運転支援となるのですが、運転が単調となることの多い高速バスでの、段階的な導入が望まれます。高速バスは楽天トラベルでも取り扱いが多いため、期待をしています。また、自動運転が進むことで、運転時間の削減というように、ドライバーの負担軽減も期待できます。

 ――楽天トラベルのバス事業について。

 楽天トラベルは旅行予約サービスで、国内や海外のホテルや旅館などとともに、バス会社の高速バスやバスツアーの商品をオンラインで販売しています。

 私の具体的な仕事内容は、楽天トラベルが有するデータを活用した販売促進の提案から、新規の取扱バス会社やツアーを開拓する営業活動まで多岐にわたります。

 販売促進では、「このシーズンのこのピークであれば利用者は伸びる可能性が高く、増発すべき」といった需要予測に基づいた提案をすることで、バス会社の収益増加をサポートしています。 

 高速バスでは、各社が運輸局に運賃を届け出しているため、価格変動に制約はありますが、「この時期は需要が高いため、価格をもう少し高く上げられる」といった、収益の最大化をはかる提案も行っています。

 ――提案時のデータ活用について。

 楽天トラベルのWebサイトの利用データを活用し、提案に生かしています。たとえば、AとB の2地点間を移動する高速バスでも、A地点から乗車するユーザーが多いといったことがわかるため、提案を通じてバス会社は効率的な販促活動を行うことができます。

 楽天トラベルでは、こうしたデータや人工知能(AI)を活用し、ユーザーのニーズとバス会社や宿泊施設の販促活動・訴求点をうまくマッチングさせる「ベストマッチングサイト」への転換を目指しています。

 ――バスの安全安心に関する、楽天トラベルでの取り組みは。

 先ほど述べたように、バス会社ではしっかりとした安全対策を行っています。楽天トラベルでは、そのような取り組みをユーザーであるお客様に対しアピールしていくお手伝いができればと考えています。

 例えば、楽天トラベルのWebサイトでは「高速バスの安心・安全 輸送の安全性等を判断する上で参考となる情報」ページを設置し、バス会社の取り組みを紹介するよう努めています。

 「運輸安全マネジメント制度」(国土交通省)や「貸切バス事業者安全性評価認定制度」(日本バス協会)といった、安全安心に向けた取り組みを、ユーザーである一般のお客様に分かりやすく伝えることが、楽天トラベルの役割だと考えています。各社の安全に対する基本方針へのリンクもまとめているため、ユーザーは任意保険の加入状況や交代運転者の有無を知ることもできます。

 もちろん、各バス会社と事前に相談をしたうえで、リンクを貼っています。

 ――佐藤さんの考えるバスの魅力とは。

 高速バスには、単なる「鉄道の代わり」や「安価な移動手段」というイメージもあるかもしれません。しかし、バスはフレキシブルに2地点間を移動でき、利用者が時間をより有効活用できる「利便性の高い交通手段」なのです。

 街中を通ることも多く、車窓からは、地域の風景を間近で眺められます。新幹線や飛行機と比べ、移動過程を楽しめることも、大きな魅力です。

 今後も、バスの旅の良さや楽しさをユーザーの方々に伝えていきたいです。

 ――ありがとうございました。

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