23年通年の訪日外国人旅行消費額19年超え 消費額5兆円を早くも達成(観光庁)

2024年1月18日(木) 配信 

観光庁はこのほど2023年通年の訪日外国人旅行消費額を発表した

 観光庁はこのほど、訪日外国人消費動向調査の2023年暦年全国調査結果(速報)を発表した。23年通年の旅行消費額は、コロナ前の19年比9・9%増の5兆2923億円と、統計開始以来初めて5兆円を超え、過去最高を記録した。訪日外国人1人当たりの旅行支出額は、19年比33・8%増の21万2000円。

 観光立国推進基本計画で早期達成目標に定めた旅行消費額と1人当たりの旅行支出額を上回る結果となった。

 国籍・地域別の上位5カ国・地域では、台湾が7786億円、中国が7599億円、韓国が7444億円、米国が6062億円、香港が4795億円となり、全体の63・7%を占めている。

 費目別では、宿泊費が34・6%と最も多く、次いで買い物代が26・4%、飲食費が22・6%──と続いた。19年と比べると、宿泊費の構成比が増加し、買い物代の構成比が減少した。

 訪日外国人1人当たりの旅行支出額は、国籍・地域別ではスペインが34万2000円と最も高く、次いでオーストラリアが34万1000円、イタリアが33万6000円と続いた。

旅行業界で初「えるぼし」プラチナ認定(日本旅行)

2024年1月18日(木) 配信 

日本旅行はこのほど、旅行業界で初となる「えるぼし」プラチナ企業に認定された

 日本旅行(小谷野悦光社長)はこのほど、女性活躍推進法に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する「えるぼし」のプラチナ企業に認定された。旅行業界で唯一となる。

 2016年9月に女性の職業生活における活躍を推進する行動計画が評価され、「えるぼし」認定を取得した。21年には3段階目の評価を受けていた。

 えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況がとくに優良であるとして、最高ランクである「プラチナ企業」の認定を受けた。

 同社は、「社員一人ひとりの働きがいの向上と、ワークライフバランスの実現を加速させる。仕事と家庭の役割責任を果たしながら、双方の充実を目指して『自分』らしく働く社員を強力にサポートしていく」考えだ。

2万5000人分の2次避難所確保 事業者支援や支援パッケージ検討も視野に(髙橋観光庁長官)

2024年1月18日(木) 配信

観光庁の髙橋一郎長官は1月17日(水)、会見を開いた

 観光庁の髙橋一郎長官は1月17日(水)に開いた会見で、元日に発生した令和6年能登半島地震について、2次避難所として2万5000人が受入可能とし、「協力いただいた宿泊業界へ厚く感謝申し上げる」と謝意を述べた。また、23年通年の訪日外国人旅行消費額が初めて5兆円を超え、観光立国推進基本計画の目標を達成した。髙橋長官は、「地方を中心とした訪日誘客、持続可能な観光地域づくり、国内交流拡大へ注力する」と抱負を語った。

 観光庁は地震発生後、地方運輸局や宿泊・旅行関係団体を通じて、宿泊施設や観光施設の被害情報の収集、旅行業協会加盟の旅行会社におけるツアー参加者の安否確認、日本政府観光局(JNTO)によるSNSや「Safety tips」での情報発信、JNTOのコールセンターによる英語・中国語・韓国語による問い合わせ対応を実施した。なお、今でも対応などは継続中。

 1月4日(木)には宿泊関係4団体に対し、被災者への宿泊場所の提供や、入浴、炊き出しなど、可能な限りでの被災者への支援について依頼。1月6日(土)から、現地での情報収集と、石川県側との調整のため、観光庁の職員を現地災害対策本部へ派遣した。

 1月8日(月)には、政府対策本部における首相の指示を受け、被災者受け入れ可能な宿泊施設として、2月末までの間で、北陸4県で約9300人、長野県・岐阜県・滋賀県・三大都市圏で1万5600人分を確保。1月12日(金)に石川県側へ情報提供を行った。

 宿泊事業者について、髙橋長官は、「発災直後から、石川県側の要請に応じて、宿泊施設に泊まりながら通院される透析が必要な患者約100人の受け入れをするなど、非常に立ち上がりが早く、迅速に対応いただいた。石川県における2次避難の推進に、極めて重要な役割を果たすベースとなっている」との認識を示した。「宿泊業界団体やホテルチェーン各社、被災された方々の受け入れを表明してくださった皆様のご協力に、心から感謝申し上げる」と感謝の意を示した。

 「日々極めて厳しい状況にあることは、現地に派遣した職員から観光庁へ伝わっている。宿泊事業者の方々にご協力いただいている施設が、あたたかな受け入れ先として、被災者の支えとなることを期待している」と話した。

 観光庁は、「引き続き、被災された方々の事情や声を踏まえて、まずは2次避難の円滑な実施への支援に最大限力を尽くすとともに、今後観光の復興に向けて全力で取り組む」考えだ。

 2次避難所の宿泊施設では、1月17日(水)現在、56施設で1528人を受け入れている。

 また、JNTOの調べによると、重点22市場の国・地域の旅行会社に聞き取りを行ったところ、東アジアや東南アジアで一部キャンセルがあったが、大規模なキャンセルや旅行控えは起こっていない。

 政府は、災害救助法の適用を受けた被災中小企業に対して、日本政策金融金庫による災害復旧貸し付けの金利を引き下げるなど、資金繰りを支援する。このほか、地震に伴い、事業活動を収縮した全国の事業主を対象に、雇用調整助成金の申請用件を緩和する。これは地震発生の1月1日(月)にさかのぼって適用される。

 今後は、観光業を含めた支援パッケージなどの検討を進めていくとし、「被災者それぞれの事情やニーズを踏まえたうえで、速やかに取りまとめる」考えだ。

 

初の消費額5兆円へ 日本の地方部の可能性

 23年通年の訪日外国人消費動向調査(速報)では、訪日外国人旅行消費額は過去最高額となる19年9・9%増の5兆2923億円、訪日客1人当たりの旅行支出は19年比33・8%の21万2000円となった。

 新たな観光立国推進基本計画で定めていた早期達成目標に到達したことについて髙橋長官は、「円安や物価上昇の影響も考えられるが、宿泊数が増えたことも要因となるのでは。観光需要の回復は地域によって偏在傾向にあるため、地方誘客に注力する」とした。

 こうしたなか、24年の抱負として、髙橋長官は、「日本の地方部は限りない可能性を持っている。地方を中心としたインバウンド誘客と、持続可能な観光地域づくり、国内交流拡大などを戦略的に行っていく」と意気込みを述べた。

札幌シメパフェ×ゴディバ 首都圏・札幌で2月に期間限定メニュー 新三大夜景・札幌を楽しめるディナー企画も

2024年1月18日(木)配信

札幌の4店舗(左)、首都圏のゴディバカフェ8店舗(右)で提供するコラボシメパフェ

 札幌シメパフェの1番人気店「パフェ、珈琲、酒、佐藤」と高級チョコレートブランド・ゴディバが協業し、今年2月から首都圏と札幌市内で期間限定のコラボパフェを発売する。1月18日(木)、札幌市が東京・日本橋のGODIVA café Nihonbashi(ゴディバカフェ日本橋)にメディアを招き、発表した。 

 札幌シメパフェは2014年、昔から夜に甘いものを食べる習慣があったことに着想し、飲んだ後の締めにパフェを食べる「食体験」として生まれた。今も市内人気店では行列が絶えない。コラボパフェの提供は2月1日(木)~同29日(木)まで。札幌市内では「パフェ、珈琲、酒、佐藤」や「パフェ、珈琲、酒、佐々木」などグループ4店舗で提供する。一方、首都圏では、銀座、湘南平塚店を除く、ゴディバカフェ8店舗で登場する。札幌と東京、それぞれ趣向を凝らしたパフェを提供することから、「東京で楽しんだ後は、さっぽろ雪まつり(2月4~11日)も開かれる札幌を訪れて」(札幌市)とPRする。

 「日本新三大夜景都市」札幌ならではの強みも企画に盛り込んだ。札幌夜景の特徴は、標高531メートルの藻岩山をはじめ、大倉山展望台(307メートル)、JRタワー展望室(160メートル)、さっぽろテレビ塔(90メートル)など、さまざまな高さから景色を楽しめること。さらに、さっぽろホワイトイルミネーションやさっぽろ雪まつりなど、冬の魅力が多彩な点だ。1月26日(金)~2月29日(木)までは、藻岩山、大倉山、さっぽろテレビ塔からの夜景が楽しめる3つのレストランで、コースディナーの締めくくりにゴディバとのコラボパフェを提供する。

雪見船2月3日から運航 滋賀・琵琶湖縦走クルーズ

2024年1月18日(木) 配信

比良山系の稜線が幻想的に浮かび上がった

 滋賀県大津市の琵琶湖汽船(川添智史社長)と、おごと温泉の旅館などで構成するびわ湖雪見船協議会(池見喜博会長)は2月3~26日までの月・土・日・祝日に、冬の琵琶湖を南北に縦走する恒例の「雪見船クルーズ」を運航する。

 同クルーズは1983年の運航開始から30年以上続くもので、同市の大津港と長浜市の長浜港を片道2時間30分で結び、天候が良ければ湖上から雪化粧をした比良山系の絶景が楽しめる。

 長浜では、長浜観光協会(岸本一郎会長)が、歴史・規模とも日本一と言われる「長浜盆梅展」を例年1~3月にかけて実施。クルーズと盆梅展を中心にして、閑散期となる冬の琵琶湖観光を盛り上げる狙いだ。

 1月10日(水)に報道関係者を集めた試乗会を行った。この日は曇り模様で比良山系の雪化粧は見えなかったが、山々の稜線が霞んだ幻想的な風景が見えた。長浜港に近づくと晴れ間が出てきて、雪化粧をした伊吹山をはっきりと見ることができた。

池見会長(右から2人目)と岸本会長(右端)ら

 長浜港では長浜観光協会の岸本一郎会長らが出迎え、池見会長らに盆梅を贈呈した。

 池見会長は「冬ならではの琵琶湖の景色が楽しめるクルーズだ。今年の大河ドラマのゆかりの地がある大津や1200年の歴史を誇るおごと温泉、長浜の盆梅展とクルーズを中心に、1日でお得な旅行が楽しめる」とアピールした。

 川添社長は雨不足で琵琶湖の水位が低下している問題に触れ、「今朝の時点で基準値からマイナス76㌢。冬の琵琶湖を大いに楽しんでもらいたいが、我われの生活や仕事は自然環境と無縁でないことを頭の片隅にとどめていただければ」と述べた。

 岸本会長は「今年の盆梅展は、動く切り絵とのコラボや夜の雲海などでグレードアップした。期間限定の夜間のライトアップでは庭の竹灯りで雰囲気が変わる。ぜひ盆梅を楽しんでもらえれば」と話した。

 クルーズ船は、往路は大津港を午前10時発で、長浜港午後0時20分着。復路は長浜港を同2時発で、大津港帰着は同4時50分。予約のある場合のみ、におの浜観光港とおごと温泉港にも着船する。

 片道、往復利用のどちらも可能で、乗船料は片道大人4500円、子供2250円。往復6000円、子供3000円。船内で「雪見船特製弁当」(1700円)も販売する(事前予約制)。

 盆梅展は長浜港およびJR長浜駅からすぐのところにある「慶雲館」で1月10日(水)から3月10日(日)まで開催。1952年に始まり今年で73回目を迎える。約90鉢が純和風の座敷にずらりと並べられ、なかには高さが3㍍に及ぶものや、樹齢400年と伝わる古木もある。観覧料は大人(高校生以上)800円、小・中学生400円。

凛として華やかな盆梅が並ぶ

新型車両見学会開催へ 4月運行開始の特急やくも(JR西日本)

2024年1月18日(木) 配信

特急「やくも」の新型車両

 西日本旅客鉄道(JR西日本、長谷川一明社長、大阪府大阪市)は2月10日(土)、大阪駅構内で、岡山(岡山県岡山市)―出雲市(島根県出雲市)間で4月6日(土)から運転する特急「やくも」の新型車両見学会を開く。

 事前申し込み制で、募集人数は350人。応募多数の場合は抽選となる。専用応募フォーム(https://les.living.jp/app/user/SPUSC010.php?eid=EN000615183wbwXi)で2月1日(木)まで受け付けている。

 同日、大阪駅「OSAKA STATION CITY 2階アトリウム広場」で、新型やくもグッズの先行販売や鳥取・島根の観光PRなどのイベントも開く。このイベントは自由に来場できる。

 特急「やくも」の新型車両投入は約40年ぶり。273系特急形直流電車を44両(4両×11編成)投入する。新たに開発・実用化した国内初となる「車上型の制御付自然振り子方式」により乗り心地を向上させる。座席間隔を拡大し、全席コンセントや車内Wi-Fiを備え快適性を高める。

 車体外装には宍道(しんじ)湖(こ)の夕日やたたら製鉄の炎など沿線を象徴する色として、「やくもブロンズ」と名付けた銅色を採用する。窓枠周りに配置する白色とのコントラストで高級感を演出する。

 車内はグリーン席、普通席のほか、向かい合う座席構成のグループ席を備える。

「ANA Blue Base」や「羽田空港第3ターミナル」見学ツアーと天然温泉を楽しめるプラン販売 (住友不動産ヴィラフォンテーヌ)

2024年1月17日(火) 配信

ANA Blue Baseを見学(イメージ)

  住友不動産ヴィラフォンテーヌ(桝井俊幸代表、東京都新宿区、)はこのほど、「ANA Blue Base」や「羽田空港第3ターミナル」見学ツアーと天然温泉を楽しめる日帰り、宿泊プランの販売を開始した。

 日帰りプランでは、全日本空輸(ANA)の主要職種(グランドスタッフ、客室乗務員、貨物スタッフ、グランドハンドリングスタッフ、整備士、運航乗務員)の訓練施設や実際の訓練のようすが見られる「ANA Blue Base」見学ツアーに参加。

天然温泉 泉天空の湯 羽田空港(イメージ)

 その後、同社が運営するホテル「住友不動産ホテル ヴィラフォンテーヌ プレミア 羽田空港」と「同グランド 羽田空港」併設の温浴施設「天然温泉 泉天空の湯 羽田空港」で航空機や富士山を眺めながら、自家源泉の天然温泉を堪能できる。

 宿泊プランでは、日帰りプランの内容に加え、羽田空港第3ターミナルビルの見学も楽しむことができる。

 ターミナルビル見学では、大田・品川まちめぐりガイドの会のボランティアガイドの案内を聴きながら施設内にある展望デッキや江戸小路、羽田日本橋などを散策する。

 日帰りプランは2月1日(木)に4回行われ、料金は1人5800円(税込)。宿泊プランは1月31日(水)からの1泊2日で、料金は2万円(2人1室利用時の1人料金、税込)。両プランとも、小学生以上が対象となる。

「10年先までの道しるべを考える年に」 はとバス共栄会 賀詞交歓会開く 

2024年1月17日(火) 配信

前田伸会長

 はとバス共栄会(会長=前田伸・東京タワー社長)は1月16日(火)、はとバスグループクルーズ部門「シーライン東京」のクルーズ船「シンフォニー・モデルナ」で賀詞交歓会を開いた。

 前田会長は「今年は再び、人材確保やオリジナルサービス(の構築)が課題となる年。10年先までの道しるべを共栄会として考え、スタートが切れる年にしたい。そのために引き続き会員各社で団結し、はとバス、そして東京都内、国内の観光を盛り上げていきましょう」と参集した会員に呼び掛けた。

武市玲子社長

 はとバスの武市玲子社長は「コロナ禍を経てバス車両は2割減の約100両となり、運転手やガイドも人数を大幅に減少しているなかで売り上げを短期間でコロナ以前までに回復させるのは難しいが、(ツアーの)高付加価値化や生産性の向上などで成長基盤を作り、この先につなげていきたい。観光は人が人らしく生きるために大切なモノを提供できる産業であり、今後も求められるモノ。今年も皆様と共に持続可能で明るい未来を切り開いていきたい」とあいさつした。

山田彩子さん

 このほか会場では、山田彩子さんが旅行新聞新社が主催する「優秀バスガイド」を受賞したことが紹介された。山田さんは「普段の乗務では美しい景色、楽しい場所、おいしいモノをワクワクしながらご紹介しています。これからも新鮮な気持ちで、楽しい旅行を提供していきます」と今後の抱負を語った。

ダイブ、2次避難所の宿に寄付 リゾートバイト就業決定者1人につき1000円

2024年1月17日(水) 配信

今後被災状況を鑑みて、能登地域へのサポートを実施する

 宿泊施設へ人材派遣・紹介事業を行うダイブ(庄子潔社長、東京都新宿区)は4月1日(月)以降、令和6年能登半島地震で2次避難所として機能する宿泊施設へ、2024年1月1日(月)から3月31日(日)におけるリゾートバイトダイブでの就業決定者1人につき1000円を寄付する。

 初めに被災者支援に尽力している旅館・ホテルを支える。今後、被災状況を鑑みて、能登地域の復興に向けたサポートを実施していく。具体的な寄付時期は宿泊施設と協議のうえ、改めて決める。

 同社は「能登地域へ安全に旅ができるようになったときには、リゾートバイトダイブを通じて全力で応援する」としている。

人手不足が最大の課題 トップ集い観光立国推進協議会開く 災害復興には観光が力に

2024年1月17日(水) 配信

約80委員が集った

 観光関係団体のトップらで組織する観光立国推進協議会(100委員、山西健一郎委員長=日本観光振興協会会長)は1月16日(火)、東京プリンスホテルで「第10回観光立国推進協議会」を開いた。代理含め約80人の委員が出席し、今回の議題である「観光の価値向上と持続可能な観光産業に向けて」への課題や考え方について意見を出し合った。どの業種でも人手不足が最大の課題となっており、対策が急がれる。また今回は、令和6年能登半島地震についても活発な意見が挙がり、観光が災害復興に果たす役割が大きいことを再確認した。

観光のトップの顔ぶれが並んだ(中央であいさつする山西委員長)

 冒頭、山西委員長は「観光立国推進協議会は今回で10回目を迎えた。継続的な活動を通じて業界内や政府との連携、協力をはかり観光を取り巻く課題について意見交換を行い、日本の観光のプレゼンスをさらに高めたい」と協議会の意義を語った。また、従来の課題解決とともに「能登半島地震からの復旧・復興に向けてできることから速やかに行っていきたい」と意気込んだ。

 来賓の観光庁の髙橋一郎長官はあいさつの冒頭、能登半島地震で観光業界が2次避難所や交通輸送などに協力していることに謝意を述べた。コロナ禍からは堅調に回復しており、今年は飛躍に向けた取り組みの重要な局面を迎えていることの認識を示した。一方、「課題は山積している」とし、深刻な人手不足や生産性や収益の低さなど、構造的な問題が改めて顕在化していることに言及。観光そのものの価値を高めて付加価値を増すことや、地域の持続可能な観光に向けて地域の利益が還元されることが重要だとした。「観光は時代遅れやほかに取って代われるものではない。観光の底力を信じている。観光産業や地域が次世代に向け発展的なカタチで成長でき、皆様がさらなる希望と誇りを持って取り組めるよう全力で支援する」と力を込めた。

「観光の価値向上と持続可能な観光産業に向けて」各委員が意見交換

 協議会では、議題の「観光の価値向上と持続可能な観光産業に向けて」の議論用資料として、事前に主要委員や地域などから寄せられた意見をもとに課題や考え方をまとめたものを紹介した。挙げられたのは①観光地・観光産業の人手不足への取り組み強化②地域における観光地域づくり体制の整備・強化③旅行需要分散化・平準化への支援強化④観光DXへの取り組み強化⑤観光客の地方誘客への取り組み強化⑥双方向交流拡大への取り組み促進(アウトバウンド・国際相互交流の促進)⑦観光による「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)をはじめとした大規模イベントの支援に向けた官民一体となった取り組み強化⑧地域の安定的な財政運営に必要な財源の確保・充実――。

 これを踏まえ、各委員からそれぞれの業種や団体、企業の現状や課題感、提案などがなされた。このなかで、東京商工会議所の田川博己副会頭は能登半島地震について「復旧のあと、観光が復興にどう関わっていくか。マスコミ含め風評被害にどう対策を練るかこのメンバーで確認したい」と語気を強めた。このほか、観光の確固たる産業化や日本のブランド力の向上、広域観光の強化など取り組むべき事案に触れた。

 宿泊業界を代表して発言した日本旅館協会の大西雅之会長は「能登半島地震で被災した地域には核となる施設が多い。仲間の現状に言葉がない」とし、現地の切実な声として「金融支援」を訴えた。「自分たちの力だけでは再起できない。個別の対応では間に合わない。地域一括でスピード感を持って支援してほしい」とした。一方で、被害が軽微ですでに営業を再開している地域では「風評や旅行控えが大きなダメージになる」とし、段階的な支援など産業全体で改めて危機管理対策を整備すべきだと提言した。

 人材不足については外国人材とのマッチングなどさまざまな施策を講じているが、「最も重要なのは夢のある宿泊業を取り戻すこと。あらゆる人に選んでもらえるような業界になっていかなければならない。その先には、観光業界全体がすべての人に夢を与えられる存在になっていかなければならず、観光産業の地位の向上が求められている。有事にこそ団結を深められるチャンスだ」とより一層の協力を呼び掛けた。

 日本旅行業協会(JATA)の髙橋広行会長は、能登半島地震の対応は2段階のフェーズがあるとし、まず能登半島や避難地域の金沢市周辺以外への比較的被害が軽微な北陸4県地域への早期の回復を挙げた。「風評や予約のキャンセルなどが相次ぎ、地元から懸念の声が挙がっている。正確な情報発信と需要喚起策が不可欠。来る3月16日の北陸新幹線敦賀延伸は観光の回復と拡大をはかる絶好のチャンス。全国旅行支援のスキームが各地域にあるので、北陸応援を具現化すべきだ」と述べた。

 第2フェーズは被災地の観光復興。「ただ元に戻すのではなく、能登半島を中心に北陸地域をカバーする新しい時代にふさわしい創造的な観光復興を目指すべき」とし、「北陸観光スマートゾーン構想」を提案した。北陸地域を面でつなぎ、レジリエンスや観光DX、SDGsなどの要素を取り入れたさまざまな観光コンテンツを整備し、国内外の観光客に提供できるデジタルベースの仕組みを構築して利用者の利便性向上や事業者の生産性の向上につなげたい考え。「モデルケースとなる取り組みで国内や訪日客の地方誘客を促し、地方活性化とオーバーツーリズムの解消にもつなげられるのではないか」と期待を述べた。

 協議会は、今回の意見も含めて精査したものを提言としてまとめ、後日関係省庁に提出する予定という。