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旅行業の倒産、過去最多 「あきらめ廃業」で年間200件超え(帝国データバンク調べ)

2021年9月15日(水) 配信

旅行会社の休廃業・解散件数の推移(帝国データバンク調べ)

 帝国データバンク(後藤信夫社長)はこのほど、旅行会社の倒産・廃業件数を調査した。新型コロナ禍初年の2020年通年が129件だったのに対し、今年の8月までに136件に達しており、8カ月で過去最多を更新したことが分かった。同社は、「需要回復の期待感が薄れたことで事業に対する『あきらめ』ムードが広がっている。このペースが続くと、年間200件超えは避けられない」と危機感を示している。

 昨年の旅行業界では、「Go Toトラベル」で需要が一時的に持ち直したほか、金融機関による資金繰り支援策や持続化給付金などの支援を受けたことにより、20年中の倒産や廃業は比較的抑制されてきた。

 しかし、同事業の停止や引き続きの渡航制限、国内の移動自粛の継続、東京オリンピック・パラリンピックの開催で見込んでいた海外からの観客の受け入れもできないことなどが重なり、大手の旅行会社でも大幅な赤字決算や、人員整理によるコストカットを余儀なくされた。

 海外旅行を取り扱う第1種の一般旅行会社はコロナ前の平均から倒産・廃業が倍増した。

 倒産・廃業の件数が多いのは旅行代理店の74件で、旅行会社の倒産・廃業全体(136件)のうち半数を占めた。コロナ前の3年間平均(17年~20年1―8月の平均)と比較すると76%増となり、20年同期からも61%増と急増した。

 背景として、コロナの感染拡大により国内外の旅行手配中止や顧客からのキャンセルが相次いだほか、ツアーパックの販売自粛が重なったことが挙げられる。これに加え、出張や研修などのビジネス利用も激減したことで、薄利ながら安定した販売が可能だった格安航空券などチケット販売も振るわず、売上が減少した。

 一方で、代理店の多くは店舗による集客を行っていたため、売上の急減に家賃や人件費などの固定費負担が追い付かず、倒産を選択したケースが多く見られた。

 同社がまとめた景気動向(景気DI)では、旅行業は緊急事態宣言下の20年4月に、過去最低の0・0を記録した。

 景気DIの基準値は50で、これより数値が大きければ景況感が良く、小さければ景況感が悪い。

 4月以降はGo Toトラベル事業により景況感が回復傾向にあったものの、事業の一時停止を境に再び悪化し、21年6月時点で8・0に留まり、大きく落ち込む状態が続いている。

 この数値は、リーマン・ショックの影響が広がった09年8月(17・7)や、東日本大震災後の11年4月(14・1)を下回っている。

 同社は、「この低水準が1年以上も続き、回復の糸口も未だつかめていない状況。既に1年以上の忍耐を強いられていることもあり、中小の旅行各社の廃業や倒産の発生ペースはさらに速まる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。

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