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JTBが「新」交流創造ビジョンを策定 「ツーリズム」「エリア」「ビジネス」の3本柱に

2021年1月19日
編集部:入江千恵子

2021年1月19日(火) 配信

オンライン形式で山北社長が説明した(スクリーンショット)

 JTB(山北栄二郎社長)は1月14日(木)、事業パートナーを対象に「JTB ニューイヤー パートナーシップ ミーティング2021」をオンライン形式で開催した。山北社長が中期経営計画と事業戦略について説明を行い、全国の観光事業者ら約700人が視聴した。

 同社グループでは、コロナ後のツーリズムや交流スタイルの変化、加速するデジタル化に対応するため、中期経営計画「『新』交流創造ビジョン」を策定。交流創造事業の展開にあたり、①ツーリズム②エリアソリューション③ビジネスソリューション――の3領域を定めた。

 山北社長は冒頭、新型コロナウイルスの甚大な影響を受けた2020年度の同社取扱高は「前年比の4割以下に留まるだろう」との厳しい見方を示した。そのうえで、人々がウィズコロナの新しい生活様式を受け入れることで「国内旅行から順に少しずつ需要が回復する」とみる。

 今後は「デジタル基盤の上に、人の温かみを載せたサービスにより、価値と実感していただける顧客体験の実現を追求していく。人の笑顔と夢をつなぐ、新しい交流時代を切り拓く企業グループを目指す」と方向性を定めた。

中期経営計画の展望 「実感価値」実現へ

 中期経営計画のビジョンには「地球を舞台に『新』交流時代を切り拓く」を掲げる。最優先事項は「お客様の『実感価値』を実現すること」と強調。実感価値は、同社が提供する商品やサービス、ソリューションに対し、受け手である「お客様が感じ、評価するもの」と位置付けた。今後は、すべての起点を「お客様の実感価値」と定義し、追求していく。

「ツーリズム」「エリア」「ビジネス」の3本柱

 3つの交流創造事業領域のうち、1つ目の「ツーリズム」事業について、山北社長は「今後も我われの基盤はツーリズムである。デジタル化によって進化させ、お客様の購買体験と旅行体験を相互的にサポートすることで、満足感の高い価値を実感できるようにする」と説明した。

 今後は、スマートデバイスからのオンラインサービスを充実させ、継ぎ目ないサービスを推進。個々の要望に応えながら、日常から旅マエ、旅ナカ、旅アトまで、一連の体験を提案していく。

 2つ目の「エリアソリューション」は、事業パートナーとともに、エリア・地域の魅力向上と、人流創出に貢献していく。さらに、デジタルを活用したソリューション提供により、事業者の課題解決にも取り組む。

 3つ目の「ビジネスソリューション」は、法人顧客との関係性を深め、さらなる成長を目指す。また、企業が抱える多様な課題解決に寄り添うことで、顧客の持続的発展に貢献していく。

ツーリズム&エリア 新システム運用へ

 「旅マエ」「旅ナカ」の旅行体験向上に向け、移動や食事、体験などの情報・予約・決済・問い合わせなどがワンストップで可能なシステム「ツーリズムプラットフォーム」の運用を今年10月から開始する。旅に関わる多様なコンテンツが、世界中のお客に届けることが可能になる。

 同システムは、お客とツーリズム関連事業者をつなぐマッチングシステムのようなもの。日本の観光資源やコンテンツを集約し、国内外の多様なチャネルにつなぐ。また、同社の保有するお客の購買データを掛け合わせることで、個々のニーズに合った情報を発信する。さらに、同社の販売チャネルのほか、提携販売店、国内外のOTA(オンライン旅行会社)でも使用可能にする。

グッドフェローズ・ボークンと連携へ

 システム運用にあたり、1社、1事業部門と連携する。1社目は、チケット発券システムを手掛ける「Good Fellows(グッドフェローズ)」。昨年3月にJTBと共に立ち上げた「Good Fellows JTB」が、テーマパークや水族館、スキー場など観光入場施設分野で、ソリューションの高度化と提供に向けた統括を担う。

  また今回、トリップアドバイザー社の一事業部門である「Bokun(ボークン)」との協業が初めて明かされた。かつて、着地における体験ツアーなどを提供するIT企業だった「Bokun」は、JTBとトリップアドバイザー社との業務提携契約締結により、Bokunシステムの日本国内における独占的営業権を取得。「JTB+BOKUN」として、アクティビティ商品の在庫・予約を一元管理できるシステムを構築する。詳細は後日発表される。

  ツーリズムプラットフォームの中では、着地型ツアーや、アクティビティコンテンツ分野において、施設に寄り添ったソリューションの高度化と提供に向け統括する。

エリアソリューション MaaSへの取り組み

 エリアソリューション事業は、地域の持続的な発展のため、各地域が抱える課題と向き合う。地域行政では、観光ICT、地域共創基盤、MaaSを提供する。ツーリズムプラットフォームとも連携をはかる。また、観光地開発にも着手する。地域とエコシステムを構築し、持続的な交流を創出する。

 47都道府県に配置のDMCカ所を中心に、パートナーとともに魅力的なコンテンツの開発、マーケティング、プロモーションにより誘客を促すことで地域経済や文化の発展に貢献する。

 MaaSにおいては、観光関係事業者、旅行者双方のニーズに応じた観光型MaaSの実証可能とする独自のソフトウェア「JTB MaaS APIゲートウェイ」を開発。ソフトウェアには、①商品登録販売機能②決済機能③複数モビリティ経路検索機能④利用ニーズに合わせた配車・AI運行策定機能――を搭載し、地域における周遊を促進し、滞在時間の拡大や消費支出の向上につながることが期待できる。

ビジネスソリューション EVPとM&Eを推進

 ビジネスソリューション事業は、「EVP(Employee Value Proposition)」(従業員の価値向上)と「M&E(ミーテング&イベント)」を推進する。

 EVPは、経営課題の解決と人材育成サポートサービス「flappi(フラッピ)」を展開している。

 M&Eは、オンラインとリアルを融合したハイブリッド型ビジネスイベントを推進していく。既にハイブリッド型バーチャル株主総会の開催を支援するなど、イベント全体のデザインやマネジメントを担っていく。

視聴者アンケート ツーリズムへの期待高く

 動画配信中、視聴者にオンラインアンケートを2回実施した。「新たに整理した事業領域のうち、最も興味を持った事業は」の設問に対し、ツーリズム事業49%、エリアソリューション事業35%、ビジネスソリューション事業16%となった。

 また、「これからのJTBには、ここを期待したい」に対しては、発着連動による魅力的な商品づくり27%、ツーリズムプラットフォーム25%、持続的な交流創造の仕組みづくり24%、データマーケティング(お客様理解)12%、One JTBによるシームレスなお客様対応12%の順となり、ツーリズム事業に対する期待の高さがうかがえた。

 これらの結果を受け、山北社長は「ツーリズム事業の進化なくして、JTBの未来はないと考えている。お客様の実感価値を高めていく取り組みを全社一丸となって進めていく」と力を込めた。

 視聴者からの「新型コロナの影響で、リアルな旅行が減るのでは」の問いには、「リアルな旅行は絶対に無くならない。最終的に旅というものは五感で感じるもの。旅先での感動は忘れないものと思っている。一方で、今後はデジタルが必ず加わってくる。時間と場所に制限されないような世界の中でリアルが広がっていくと信じている」と答えた。

 山北社長は、最後に「ツーリズムや人々の交流は必ず回復する。人々が文化・地域とのつながりや、心の豊かさを感じられること、交流を通じて地域が持続的に発展していくこと、を事業パートナーの皆様とともに実現し、新しい交流時代を切り拓いていきたい」と締め括った。

 今回のイベントの前身は、昨年までリアル開催していた「新春経営講演会」で、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止と同社のデジタル化推進の観点から、オンラインでの開催となった。次年度以降は、リアル開催も含めて検討するという。

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