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災禍に負けない観光経営を! 日商と日観振がセミナー配信

2020年11月5日
編集部:飯塚 小牧

2020年11月5日(木) 配信

セミナー配信のようす(左が高松氏、右が大越氏)

 日本商工会議所と日本観光振興協会は今年6月、「観光危機管理・事業継続力強化研究会」を設立した。近年の大規模災害や感染症の流行で危機管理が重要性を増しているなか、さまざまなリスクを想定し、観光関連事業者の対応力強化に向けた検討と支援を行う。同研究会はこのほど、「コロナ・災害 危機への備え方」をテーマに、オンラインセミナー「災禍に負けない観光経営を!」を配信した。安心感の訴求で需要を創出することなど具体的なヒントを示した。

 日本観光振興協会の久保田穣理事長は冒頭、「観光は不要不急と言われかねないが、人間活動のなかで不可欠なもの。自粛期間は多くの人が移動できず、地域経済に大きな痛手を与えた。ある意味で観光の力を実感したのではないか。継続的な観光需要を生み出していく必要がある」とあいさつした。

「安心感」を売る

 同研究会のスーパーバイザーで観光レジリエンス研究所代表の高松正人氏は、コロナ禍の今、最も求められるのは「安心感」と強調。潜在需要を顕在化するため、積極的に安心感を売っていくことをポイントにあげた。

 観光復興に向け、リピーターや近隣県など「今来られる人、来てくれやすい人」にターゲットを絞ることを勧めた。また、客数が減少していても、「安売りしてはいけない。価格を戻すのは容易ではない。10年かかることもある」と注意を促した。

「加湿・適温」意識を

 観光関連事業者のための新型コロナウイルス感染症対策について、医療法人社団航仁会渡航医学センター西新橋クリニック理事長で日本渡航医学会理事の大越裕文氏は、アメリカ疫病予防センターの研究から、処理された飲料水やプール、温泉施設からの感染の可能性は低いと紹介。「源泉かけ流しの温泉でも、万が一ウイルスが付着したとしてもお湯は常に流れているため、感染は考えにくい」とした。

 一方、国立感染研究所がダイヤモンドプリンセス号の環境検査で示した接触感染の危険箇所として、トイレの床や枕などを挙げ、トイレの蓋を閉める「トイレエチケット」を推奨した。また、換気は重要だが、気温が下がりすぎてもウイルスが活発化してしまうため、これからの季節は「加湿・適温」も気に掛けるようアドバイスした。

 今後は旅行や移動による感染の数字を調べ、可能な限りデータを公開することの重要性を主張した。科学的データに基づき、安全性を示していくことが必要で「現状は悲観的ではないが、しっかり考えていかないと先が見えてこない」と述べた。

数字を語れる経営者に

 危機管理に備えた資金運営として、日本ベストサポート社長の森谷義博氏は、コロナ禍で短期の融資はハードルが低かったが、今後は厳しくなるとの見方を示した。地方の金融機関は赤字体質が多く、資金繰りが厳しい小売業や宿泊業、飲食サービス業などへの長期融資は共倒れの危険から慎重になるとみる。

 こうしたなか、必要なのはしっかりとした事業計画だ。当座の資金繰り見込みを立てつつ継続的な生産性向上を続け、新たな非常事態も視野に入れた改善を行う。「練り上げた計画には金融機関も応えてくれる。関係を良好にするため、紙を媒介にした“ペーパーコミュニケーション”が重要だ。目指すべきは会社の数字を自分の言葉でビシッと語れる経営者になること」と語気を強めた。

 宿泊施設の事業継続の取り組み事例を、ホテルニューアカオ社長の赤尾宣長氏が紹介した。同社は静岡県・熱海で一大リゾートを運営するが、4~5月の閉館でこれまで気にしていなかった固定費に目を向けられるようになったという。「お客様がゼロでも発生するものと、1人でも宿泊されると掛かる費用が想像以上にたくさんあった」と本音を語った。

 営業は6月から再開した。ライフセーバーの資格を社員に取ってもらうなど、外注していたものを内製に切り替え、生産性の向上に努めている。

 現在はGo Toトラベルキャンペーンもあり、上向き始めたが「回復傾向のうちにしっかり将来の計画を立てたい」と気を引き締めた。

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