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「津田令子のにっぽん風土記(65)」絆を受け継ぎ居心地のよい店に~ 東京都・椎名町編 ~

2020年9月12日(土) 配信 

広々とした店内
「すし屋の戸塚」2代目店主  戸塚 滋一さん

 今年で創業31年を迎える「すし屋の戸塚」は、椎名町駅(東京都豊島区)から歩いて数分の長崎小学校前通り商店街明和会の中にある。

 
 この町は、著名な画家や詩人などが若いころを過ごした街として知られ、「池袋モンパルナス」と称されていた。

 
 モンパルナスとは、パリ14区、セーヌ川を挟んで反対側のモンマルトルとともに芸術家が集う地として有名な場所だ。ここ椎名町に「トキワ荘」があった。若き手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら著名な漫画家が住んでいたのだ。

 
 今年7月7日に「トキワ荘マンガミュージアム」として、かつてのトキワ荘が復元され多くのファンで大いに盛り上がりを見せている。新旧織り交ぜた活気ある街だ。

 
 3年前に先代から受け継ぎ、店を切り盛りするのは生まれも育ちも椎名町という2代目・戸塚滋一さん。子供のころからご近所さんや、町会の方々との触れ合いや神社のお祭りのお手伝いなどを通して、「人とのつながりや絆を大切にする環境の下で育った」と振り返る。幼少時からの和を重んじた人との関わりを大事にしながら、「若い人でも気軽に入れる、あまり敷居の高くない店を」と心掛けているという。

 
 店を継ぐまでに銀座や六本木など4つの店舗で修業し、その丁寧な仕事ぶりは評判を呼び著名人の常連さんも多い。

 
 修業時代に最も影響を受けた東村山の商店街の一角にある「政寿し」の大将の教えである「どんな時でもお客様の聞き役になることに徹しなさい」という言葉を胸に刻み、日々の仕事に役立てている。かつて六本木にあった寿司屋の親方から教わったことも忘れたことはないと滋一さん。

 
 コロナ禍で「営業時間が午後6~10時に制限されたものの、毎朝5時前には起きて仕入れから戻り仕込みを終えると、あっという間に開店時間になってしまう」と話す。

 
 すべて1人で賄う八面六臂のすさまじい働きぶりだが、裏方を母親に手伝ってもらうこともあるという。

 
 そんな滋一さんは、休みの日にゴルフに行くことで「ON」と「OFF」を切り替える。「身体が資本なのでゴルフに行けば知らず知らずのうちに鍛えられますからね」と、満面の笑顔で応える。

 
 聞けば、明日の定休日に茨城まで仲間とゴルフに出掛けるとおっしゃる。それまでの仕事モード全開の厳しい表情が一気に緩んだ瞬間だ。

 

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

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