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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(111)感じる力がおもてなし力を高める 創客のカギは「感じる力」

2020年4月3日
編集部:馬場遥

2020月4月3日(金) 配信

 

 先日、講演で訪れた佐賀県武雄市には、有名な市立図書館があります。2013年のリニューアル時に蔦屋書店とスターバックスを併設し、多くの利用者を集めています。そのなかには、自治体視察や観光のお客様も多く含まれていると聞きます。

 講演前の準備を兼ねて、ここに案内していただきました。コーヒーの良い香りがする館内は、テーブルで食事をしている人も多く、まるでホテルのラウンジのようでした。開放的な大きなガラス窓と高い天井、並んでいる本がインテリアのようにすら感じる気持ちの良い空間でした。

 しばらく講演内容をイメージしたあと、食事をとることにしました。館内のスターバックスでサンドウィッチとコーヒーを頼んだとき、「店内でお召し上がりですか」と聞かれ、「はい」と答えました。すると「ではサンドウィッチを温めますね。しばらくお待ちください」とすぐに対応してくれました。

 温められたサンドウィッチを受け取るときに、本当に素敵な笑顔で「これ、おいしいでよ」と言って渡してくれたのです。いつもの「お待たせいたしました」というだけとは違い、その言葉でサンドウィッチは特別においしく感じるものになりました。

 以前にテーマパークでお土産を買うとき、「良いものを選んでいただきましたね。この商品は、私も大好きなんです」とスタッフが声を掛けてくれました。限られた時間の中で迷った末に手に取った商品ですが、その言葉は私に大きな力をくれました。

 「これで良かった」と思いながら、「これは土産店の人も好きだというものなんだよ」と言葉を添えて渡すことで、単なる「もの」が「こと」化して喜んでもらうことができました。

 日々何となく聞き流している言葉に、意識を向けましょう。心から喜んでいただけるような言葉をキャッチする力が、明日あなたの前に立つお客様を笑顔にできる接客を創造するのです。

 キャッチする力とは、「感じる力」です。良いサービスを受ける力のない人に、良いサービスは提供できません。人は等しく良いサービスを受けているのですが、良いサービスと受け取れるか、何も感じずにやり過ごしてしまうかは、「感じる力」の違いです。

 それを養う方法は、接客者から話し掛けられるときには、しっかりと接客者を見ること。そして、一呼吸おいて「ありがとう」と返すことです。ただの「ありがとう」ではいけません。笑顔で言葉に想いを込めて伝えることを意識するのです。その繰り返しのなかで、感じる力のアンテナはどんどんと高くなり、良い言葉に多く出逢えるようになるのです。

 
 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

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