【特集No.334】越後湯澤 HATAGO井仙 “ブラックボックス”を作らない
2013年3月11日(月) 配信

高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している旅館がある。なぜ支持されるのか、その理由を探っていく「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第10弾は、新潟県の「越後湯澤 HATAGO井仙」の井口智裕社長が登場。産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏との対談で、旅館経営者として「ブラックボックス」を作らず、「見える化」によって社員と信頼関係を築いた経験や、生産性向上への取り組みなどを語った。
【増田 剛】
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内藤:井口社長は、私と考え方がすごく近く、マルチタスクやアイドルタイムの有効活用など旅館の生産性向上に早くから取り組まれている経営者。どのような経緯でそのような考えに至ったのか、じっくりとお話を聞かせてください。
井口:越後湯沢温泉の歴史はとても古く、鎌倉時代に遡る温泉地ですが、今の越後湯沢温泉のかたちをつくったのは昭和になるころです。湯沢は陸の孤島でしたが、新潟と群馬を結ぶ清水トンネルの工事が行われ上越線が開通するというので駅前に「苗場館井仙」という宿を作りました。
1982(昭和57)年に新幹線が開通してから越後湯沢はバブルになるわけです。スキーブームもあって、「東京都湯沢町」と言われるくらい、さまざまな資本も入り、スキー場開発も行われました。3代目の父がビルのような建物にして「湯沢ビューホテルいせん」という名前でスキー客を中心とした営業スタイルで経営していました。
91―92年をピークにご多分に漏れず右肩下がりになってきました。私が大学を出て戻ってきた95年ごろに家業を継ぐのですが、スキー場特化型の駅前温泉ビジネス旅館でしたので、どんどん売上げが落ちていくなかで「どうしたらいいか」を考え、営業に行ったり、キャラバン隊のようなこともいろいろやりました。しかし、結局お客さんは来ない。10畳の和室が20室あるだけで付帯施設がまったくなく、お土産屋さんとレンタルスキーをやっているコンビニエンスな駅前旅館というだけで、特徴が何もない宿でしたから。
私が最初に手掛けたのは、「同級会プラン」というものでした。ウインドウズ95が出るころで、まだパソコンで案内状を器用に作れる人があまりいない時代でした。もともと湯沢には宿泊の同級会のニーズがありました。新潟では次男坊以下が東京に就職する人が多く、若いころは実家に帰ってくるが、定年近くになると、親もいないので実家に帰りづらく、「どこかに宿泊して同級会を開く」には湯沢がちょうどいい場所にあったのです。そこで同級会プランに特化していこうと、駅前ビジネス温泉旅館から小規模団体旅館にシフトしました。そこでやったことは案内状をすべて無料で代行発送し、宴会場を夜中の12時までフリーにして飲み放題にしました。同級会の翌日の周辺観光バスの案内もオプションにセットして行い、平日は1万5千円、土曜日は1万8千円。さらに同級会の幹事さんにはマニュアルを作りました。
同級会は幹事のリスクが大きいのです。初めて幹事を任されても、旅館の料金も分からないし、人数が集まらなかったら大赤字になる。そのリスクもすべて宿が持ちました。幹事さんから名簿を預かり、私は「同級会プランナー」として10年で延べ800件ほど受け入れました。同級会プランをスタートしてからHATAGO井仙をやるまで売上げはずっと右肩上がりになりました。でも、このプランはいずれどこかの旅館に真似されるだろうと思っていました。
HATAGO井仙を作る一番のきっかけとなったのは、自分が大学を卒業して旅館に帰ったときにものすごく大きなミスマッチを感じたことです。おもてなしといってもベルトコンベアのようにお客様を送り出すだけで、お客様の方はまったくおもてなしを感じていない。そして、旅館の料金体系も納得できませんでした。なぜ子供は30%引きで、夕食無しが20%引きなのか。どういう原価計算が算出根拠となっているのか、はっきりしません。雑誌を見ると1万2千円と書いてあるのに、インターネットで検索すると9800円になっていたり。きっちりと旅館の料金の根拠を言えるところは少ないと思います。このように、ずっと旅館業界の矛盾が心の中にひっかかっていました。
一方で、旅館は世界に類のない宿泊業態で、本来ならもっと海外のお客様に支持されていいのに、外国人の旅行者は残念ながらホテルに宿泊している。旅好きの人の旅のスタイルはビジネスホテルに泊まって、美味しいレストランや居酒屋をネットで調べて、温泉も日帰り入浴ができる施設を利用する。旅館離れが進んでおり、旅好きの人ほど旅館に泊まらない。これでは旅館の後継者が減り、旅館軒数が減少するのは当たり前です。それだったら、旅館の原点となる「旅籠」といわれる時代まで遡って、もう一度「旅籠」が旅館でも、ホテルでもない独自の進化をしたらこういうスタイルではないかと思い描き、かたちにしたのが「HATAGO井仙」です。
HATAGOとローマ字で書いてあるのは世界のスタンダードとなるよう、日本の宿文化を示したかったからです。ホテルしか泊まらない外国人のお客様もHATAGOに泊まることで地方の旅館にもっと目を向けるきっかけとなり、地域が元気になるのではないかという考えもありました。
旅館業という仕事はずっと誇りに思っていました。しかし、現状を変え、メッセージを発信しなければいつか旅館は廃れてしまうという考えがありました。
8―10年間ずっと悩み続けたのは駅前温泉旅館のスタイルで同級会プランが好調だったこともあり、とても楽だったのです。あえてリスクを冒してまで、目の前に需要がある市場を手放すのがもったいないという葛藤がありました。
私が4代目の社長になった32歳のとき、この営業スタイルは5年間は通用しても15年は続かないだろうと思いました。15年後には私は40代半ばになっており、次の手を打つ体力や気力があるという保証はない。自分の中に熱い気持ちがあるうちに多少のリスクを背負っても思い切って新しいスタイルに乗り換えておかなければ、同級会プランがどこかの旅館に真似されたときに、文句ばかりを言う将来の自分が怖かったのです。そして父に、HATAGO井仙と、同級会プランを続ける2つの事業計画書を出し、HATAGO井仙をやる場合には一切口を出さないでくれと約束をしたのです。
「湯沢ビューホテルいせん」は金融機関と20年で2億円の返済計画を立てていましたが、ちょうど返済の節目になっており、同じ返済計画の範囲で2億円投資しました。金融機関にとっては元本の金額は変わりません。HATAGO井仙に過大投資したわけでもなく、基本的にはローコスト経営で、単価は1・3倍―1・4倍まで上がっていますが、湯沢ビューホテルいせんと同じ稼働率設定なのです。2005年のことで、大きなターニングポイントでした。
それからは、すごく苦労しました。私は大学でマーケティングを学んではいましたが、実質“名ばかり専務”で、昔からいる従業員9人ほどの家族経営の域を出ていませんでした。それがHATAGO井仙になると、古い社員がいなくなり新しい20―30代の社員を急に入れたのです。コンセプトが面白かったのか、テレビや雑誌の取材も多く、メディアに多く取り上げられ、お客様も入りました。しかし、裏側では、まったくの未経験のスタッフと「てんてこ舞い」の状態で2年間ぐらいは本当に苦労しました。
そのころの私は本当に甘かったのですが、マネジメントは必要ないと考えていました。「旅館なんてお客様が入って、売上げが立てばあとは何とかなる」と考えていました。そんな考えしか持っていないものですから会社の組織はぐちゃぐちゃ、就業規則も、タイムカードもない。このような状態ではスタッフとのコミュニケーションも取れず、2年以上悩み抜いた結果、経営者の仕事とは「社員のベクトルをそろえること」だという結論に達しました。
Aという社員とBという社員が目的は同じでもベクトルが違うと、コミュニケーションディスオーダーが生じてしまい、諍いが絶えませんでした。「社員のベクトルをできるだけパラレルに近づけることが一番効率の良い経営なのだ」と苦悩の中で思い至りました。
では、パラレルにするためにどうするか。つまり、社長と社員はほとんどが利害が同じなのです。売上げが上がった方がいいし、お客様に喜んでいただいた方がいい。利益も多い方がいい。しかし、唯一利害が反するのは給料を払う側と、もらう側という立場なのです。多くの経営者はこの部分を曖昧にして、夢だ、希望だ、という話をする。それでは本当の意味での信頼関係は築けません。
そこで私はまず、就業規則や評価制度などをきっちりと作り、給与体系も明示して社員と契約しました。時間管理も曖昧な部分をなくしました。当たり前の話なのですが、これらを細かく作るのに1年半ほどかかりました。
しかし、ここまでは手法論で、もっと人間が信頼し合う一番根っこの部分、それが理念やビジョンです。そこで「自分は何のために生きるのか」の根底の部分で皆が共有できる「人に尽くし、己を磨き、共に伸びる」を理念とする「旅籠三輪書(はたごさんりんのしょ)」を決めました。「お客様満足」「社員の生きがい」「地域社会の貢献」という3つの輪が常にトライアングルのバランスを保ちながら発展していくということを、すべての考え方の基準にしました。
HATAGO井仙という存在は、利益を上げるために存在するのではなく、「三方良し」の考え方でないと新しい事業もやらない。経営者にとって儲かる事業であっても、地域の貢献や社員の生きがいにならなければ「NO」です。
総務や人事管理といった今まで苦手だった部分を地道にやっていったら今はそれが強みになって「旅籠三輪書」をプロジェクトにしました。
社員が地域に貢献しているところを見えるように、スタッフがブログを書いたり、地元の意識の高い企業と連携して商品づくりするというのもプロジェクトの一環です。お客様が喜ぶだけでなく、社員も楽しく経営に参加でき、それが地域に貢献できる。取引先や農家の方々も喜び、お客様も笑顔になれば社員も生きがいを感じることができます。このような構造を作ることが経営者である自分の仕事だと思っています。今までバックヤードにあった企業理念を前面に出し、営業方針にしてしまいました。お客様に向かう顔と社員に向かう顔が同じになったことですごく楽になりました。「後ろ」も「裏」もなくなり、顔は一つでいいわけですからすごく楽なのです。すべての問題基準を社員に話します。労務管理や人事管理は経営者のブラックボックスの中に入れて色々とやるから苦労するわけです。ブラックボックスを作らずに「ありのまま」の経営状況と、経営の意思決定のプロセスを社員に見せ、なぜこのような経営判断をして、このように取り組んでいるのかを分かりやすく説明しています。新たな事業も社員が理解せずに進めていくと、やがてコミュニケーションがズレてきて、AとBの社員のベクトルがズレていく。これが問題なので、できるだけプロセスを全社員がわかるように心がけています。
一番わかりやすく数字を「見える化」する手段は、人時売上高です。社員に給料の根拠を示すことができます。お客様20人に対して4人のシフトが厳しいのは、単価が低すぎるのか、生産性が悪すぎるのか、どこか間違ったところがあるのです。これをきちっと議論する共通の言語がなければ生産性の改善にもなりません。その意味で社員と一番コミュニケーションしやすい共通の言語は人時売上高だと思います。旅館よりも、マクドナルドなどファーストフード店の方が人時売上高の社員教育が徹底されていると思います。一方的に経営者がコストカットするのではなく、人時売上高を上げるには単価を上げるのか、オペレーションを効率的にして生産性を上げるのか、「みんなで知恵を出し合って考えなさい」としか言っていません。全社員が経営参加し、意思決定したことで理に適うことであれば応援すると言っています。それまでは経営者の私がシフト管理をしていましたが、今は社員が行っています。社員に任せた方が効率がいいし、工夫もします。生産性も上がっています。
内藤:産業別の平均給与をみると、サービス産業は全体的に低く、地方にある旅館はとりわけ低い。生産性を上げて給料を上げていかなければ、優秀な人が集まらない状態が続きます。生産性を上げる具体的な取り組みは他にもありますか。
井口:社員の所得を上げるということは生きがいを持って働くうえで大事なことだと考えています。一つの鍵となるのは、旅館以外にも販売先を持つということだと思います。旅館業のビジネスモデルは非常に「ハイリスク・ハイリターン」で不安定。現在、旅館以外に4店舗の飲食店と、物販店、製菓業もやっています。旅館の売上げは全体の3割程度で他部門の売上げが多くなっています。
旅館や飲食業だけでは平均給与で年収300万円を超えることは難しいと思います。社員の所得を上げるにはそれ以外にどのように仕事を追加し、拡張するかです。そのために色々な業種を手がけています。旅館業はアイドルタイムが多く、当然オンとオフの差が大きい。オフの時間に地元向けの飲食店や製造業をやることで人の融通ができ、それぞれの生産性を上げていくことができるようになりました。
内藤:IT化も一生懸命取り組んでいますよね。料理の進捗状況をフロントとフロアで共有するというシステムはとても感銘を受けました。これもアイドルタイムを有効活用していくことだと思うのですが。
井口:HATAGO井仙を作ったときから、すべてコンセプトの異なる客室だったので、基本的にはインターネット販売で、客室の在庫と予約管理は完全連動しています。そのほかITで進んでいるのは、売上げをPOSで管理しています。日々の売上げはすべてデータ管理されており、日報単位で売上げの金額が分かっていますので、これに材料原価とシフト数だけを入れると、簡単なFL比率は毎日出せる状況にあります。
厨房の進捗管理システムは大したものではないのですが、エクセルの画面2つでシステム化しています。コース料理を管理しようと思ったときに、できるだけ飲食店の理想的なかたち、つまり注文を受けてからその場で作って提供する「屋台」に近いスピードでコース料理を出せるように、お客様が注文されてから料理を提供するまでの時間を圧縮するために、厨房とホールのスタッフがエクセルを使ってコミュニケーションをとっています。
もう一つは全社員がインカムとネットワークカメラを使い、フロントが司令塔となってレストラン、売店、喫茶のスタッフが忙しいところをヘルプするシステムをとっています。全社員平等に全部門のサービス研修によってトレーニングをしています。マルチタスクをしていかないと、専門職だと旅館業界では給与が上がっていきません。
仕入れの管理は、週に1回FLコストを出すために原価計算をしていますし、雪国食文化研究所という別会社の加工所があるのですが、直接野菜農家が井仙に納品するよりも加工所が一括で納入して、道の駅の飲食店2店舗などに加工して流したほうが安い場合もあります。料理のメニュー開発もオペレーション重視の考えで行っています。
内藤:「オペレーション重視」というと、ファーストフード店をイメージしがちですが、私もオペレーション重視の考え方は好きです。その理由は、でき立てが出てくるからです。オペレーションが効率化すると、「作り置き」から「でき立て」に近づいていくのです。
井口:同感です。オペレーションを重視するということは無駄が少なくなるということで、良いもの、新鮮なものを使えるのです。食材のロスや冷蔵庫に眠っている時間も少なくなる。結果的に、お客様に良いものを出せるのです。お刺身もプライオリティーが高いわけではないので、加工したものを必要な分だけ仕入れています。
内藤:マグロは極端な言い方をすれば、冷凍でも問題ない。一番腐敗が進むのは内臓やエラの部分。中途半端に魚を丸ごと買うよりも、獲れた海に近いところから加工して運んできた方が圧倒的に美味しい。井仙のようにお刺身を加工品として必要な分だけ納入するという、全体のプロセスを工学的に作り込んだ方が味は美味しくなります。私もまったく同感です。
HATAGO井仙は厨房のレイアウトを何度も変えています。
井口:厨房のレイアウトを変えるのは大変です。しかし、お客様が最も多くお金を払うのは料理です。料理はトレンドによって変わります。料理を美味しく提供するにはサービスのオペレーションの仕組みがすごく大切だと思います。7年間に4回もレイアウトを変えました。今はオープンキッチンのスタイルです。私は利益の源泉は厨房だと思っているので、とても重視しています。
内藤:オープンキッチンは「エンターテイメントとしてキッチンが見えますよ」と考える経営者も多いですが、井口社長の場合は逆で、「厨房からお客が見える」という発想ですね。お客の食べるスピードで料理を提供できるようになると、でき立て感を届けることができるし、無駄もなくなっていくというメリットがあり、現場のオペレーションの最適性が高まっていきます。
井口:おっしゃるようにエンターテイメント性というよりも、効率よく料理を出すことを優先して考えています。
内藤:厨房のレイアウトが悪ければ満館の日もお客が少ない日も人数が変わらない。レイアウトを工夫すればお客の人数に応じてシフトを変動することが可能になるほか、利益の出ない日を減らすことができるようになり、利益額を増やすことが可能になります。多くの旅館はオンで稼いだ利益をオフで使い切る。もったいないと思います。オンの日も儲かり、オフの日も儲かるという仕組みが必要です。
井口:製菓業は作りだめができるので、時間の余裕のある平日に、土・日に販売するお菓子を内製化しています。いい人材を集めるには仕事の場を年間保証しなければなりません。
内藤:製菓業の面白いのは、焼き菓子は品質の劣化がゆっくりなので、飲食業、宿泊業と組み合わせるとアイドルタイムを埋められるようになります。さらに、物販から通販にも展開できるようになり、生産性を高めていける構造です。組合せの相性としてはとてもいいと思いますね。サービスを上手く組み合わせています。
それと、日本の旅館の建物は意匠デザイナー主導の「カッコよさ」で設計されているので出っ張りや引っ込みがたくさんあって、清掃もしづらく、生産効率がものすごく低いですよね。
井口:建物を先に作ってメニューをどうするかを考えていますからね。本来なら、お客様がお金を払う料理から考えて、お皿や、それに合うサービスを考え、それを提供する厨房を考えるというのが、たとえばクルマの生産ラインでいえば当たり前の話なのですが、実際は逆になっています。旅館は変動にも対応できる、幅を持った厨房設計が必要だと思います。
内藤:厨房に限らずリネンの倉庫などもお客の変動に応じた生産体制の変動制をどれだけ作れるかがポイントです。サービス業は日々お客が変動するからこちらの柔軟性を高めていかなければならない。在庫可能な製品を生産している製造業にない難しさもありますが、一方で差別化も可能なのでチャレンジをしたほうがいいと思います。
井口:旅館の経営者はタオルなどの単価の1円、2円には細かくこだわりますが、でも、そのタオルが2千本なくなっても全然気づかない。単価を見るが、数を見ていない傾向が強いですね。
内藤:1円、10円をケチるけど、現場を管理できていないので10万円、100万円をドブに捨てている状態がよく見られます。
井口:料理を考えるとき、私はゴミの量を少なくする方が大事ではないかと思いました。お客様が食べない廃棄物をたくさん出すというのはロスですから、できるだけ廃棄物の量が少なくなる料理を出そうと心掛けました。厨房も原価を計算していますが、お客様が欲しいものを欲しい状態で提供できれば、これまで捨てていた分をコストに変えられるのです。
内藤:飲食店で廃棄率を一つの指標としているところはありますね。廃棄率が下がっていくということはお客様が求めているものを出せているということになります。また、あるメーカーは作った量で生産性を計ると高いが、売れた量で生産性を計算すると赤字が増えてくるという。在庫がロスになり、利益が大きく出たときに特別損失で償却しているだけです。お客様が求めているものに合わせていくことが最大の生産性向上で、アイドルタイムやロスがなくなっていく。現場の管理マネジメント力を付けて品質水準を上げていくことが旅館にとって緊急性の高い課題だと思います。



