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当事者は知識と力を(第3回県温泉協会連絡会議)

2012年10月11日
編集部
第3回県温泉協会連絡会議のようす
第3回県温泉協会連絡会議のようす

 日本温泉協会(廣川允彦会長)は10月2日、環境省の担当官や各県温泉協会の代表者が意見交換する「第3回県温泉協会連絡会議」を開き、地熱問題や温泉排水規制の課題などについて議論した。

 地熱対策特別委員長の佐藤好億氏は、今年3月に環境省がまとめた「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」には、500メートルを超える深い部分での〝曲がり掘り〟に関する記載がないこと、さらに曲がり掘りによって地元といっても境界を確定できない点を指摘。そのうえで、「今後、国立・国定公園内など国の所有地の中で地熱開発が行われることが増えてくるのではないか。所有権のない我われがどこまで発言できるのか」と危機感を示した。また、開発前の試験井でのモニタリングを開発事業者に任せないことなどを強調した。

 出席した各県温泉協会からは、発電後の熱水を還元井から地層の割れ目などに戻すため、地震が多発している事例などを紹介し、「地熱開発の問題点や危険性などを、一般の温泉利用者、世論にもっと訴えるべき」との意見も出された。

 日本温泉協会副会長の森行成氏は「協会としては、地熱発電の必要性は認めつつ、『無秩序な開発はやめてほしい』というほんのささやかな願い。この声に、国や開発業者が聞く耳を持たない態度ならば、態度を硬化せざるを得ない」とした一方で、「当事者である我われが知識と力を持たない限り戦えない。(国や開発業者から)温泉関係者の分断というやり方で付け込まれてしまう恐れもある」と語った。

 温泉排水規制については、環境省がこれまでの経緯と今後の予定を説明した。旅館業は、温泉を利用する施設に限り、ほう素、ふっ素について暫定排水基準が設定され、2004年、07年、10年と3年ごとの見直し後も、ほう素は1リットル当たり500ミリグラム、ふっ素は同15ミリグラムとする暫定排水基準が設定されているが、今年11月を目途に、排水中のほう素・ふっ素濃度が高い温泉旅館を対象に、排水処理施設の実証実験を実施する予定だ。実証試験を行う施設は民間から公募し、処理能力やコストの評価を行い、温泉旅館における導入の可能性を検証する。

 さらに、11月から来年3月にかけて検討会を設置し、さまざまな情報収集を行いながら新たな暫定排水基準について検討する。来年6月には新基準の制定を予定している。

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