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アリペイや微信、モバイル決済で中国客取り込む ノーショウ対策にも有効

2018年4月27日(金) 配信

表①、②(中国人観光客の宿泊費の推移と、中国におけるモバイル決済の取引額)

受入体制の充実を担う手段として、キャッシュレス環境の普及に対する期待は高い。支払いの簡素化を通じ、外国人旅行者(インバウンド)は利便性向上を、地域は消費額増を見込めるからだ。ターゲットの選定と対応策を検討する。
【謝 谷楓】

ターゲットの選定

 日本を訪れたインバウンド数は2869万人(2017年、日本政府観光局調べ)。韓国と中国、台湾、香港の東アジア4国・エリアが7割を占め、目立って高い。最多は中国の730万人、全体の25%以上を占める。12年には140万人ほどだった中国人観光客は15年に500万人に迫る勢いをみせて以降、2年連続で600万人を上回った。

 1人当たりの旅行支出に着目すると、17年7―9月期は24万円で、そのうち宿泊費は6万円弱で、全体の4分の1。過去3年間で最も高い数値だ。【表(1)参照】直近1年間の中国人観光客の平均宿泊数は9―13泊で推移してきた。欧米には及ばないが、東アジア(韓国・台湾・香港)ではトップに位置する。「爆買い」が収束するなか、中国人観光客と宿泊需要を取り込む意義は、施設にとって大きい。なお、1人当たりの買物代は17年7―9期が10万5千円。15年同期と比べ27%のマイナスで著しく減少した。

モバイル決済で、誘客とノーショウ対策を

 「取りこぼしをなくすためには、市場の変化に合わせた施策が必要となってきます。とくに、中国人観光客を対象としたビジネスでは、スマートフォン端末で気軽に決済できることが求められます。現金やカードではなく、モバイル決済が現地では大変普及しているからです」。説明するのは、環境と防災研究協会の鈴木隆則代表理事。同協会では、宿泊施設のインバウンド対策やリスクマネジメントに取り組む。

環境と防災研究協会の鈴木隆則代表理事

 スムーズな予約を実現し、中国人観光客を取り込む動きが加速中だ。昨年には飲食店検索大手が現地OTA(オンライン旅行会社)との提携を発表。国内レストランへの誘客と直前キャンセル対策に乗り出した。

 「金額が高いだけに、宿泊施設にとって直前キャンセル(ノーショウ)のリスクは、飲食店以上に大きい。宿泊はなくてはならない要素であるため、事前予約に対する需要はなくなりようがない。決済の仕組みを整えることが、リスクヘッジにつながるはずです」。 

 中国現地で予約と決済を済ませたうえで、出国してもらう。OTAではなく自社サイトを利用してもらえれば、高い利益率を期待でき、ユーザーが恩恵を得られる場合もある。予約サイトの翻訳はページを限定することで比較的安価にできるが、決済とノーショウ対策をいかに行うかが、宿にとっては悩ましい。

 課題解決の糸口になるのが、中国本土で普及が進む「アリペイ」や「ウィーチャット・ペイ(微信支付)」といった、スマートフォン端末を利用したモバイル決済だ。

 「アリペイ」と 「微信支付」はそれぞれ、中国ECサイト大手のアリババグループとSNSアプリ「微信」を手がけるテンセントによるモバイル決済サービス。16年の総取扱高は2・9兆㌦(約320兆円)。【表(2)参照】7億人を超える中国ネットユーザーの内、約7割がモバイル決済を利用しており、同2サービスの寡占状態が顕著だ。

対面販売でも、導入可能

 国内では昨年以降、大手ホテルを中心にモバイル決済の導入が進む。国内事業者向けにペイメント業務を行うベンチャー企業の興隆も後をたたない。東京・新宿に本拠を構えるリンクトラスト・ペイ(林挺然社長)では、「アリペイ」と 「微信支付」のほか、「銀聯カード」による予約決済が可能。国内大手の都市銀行とも提携し、立ち上げから約1年で加盟店数を1千店まで伸ばした。リアル店舗での販売や、施設既存のPOSシステムにも対応。鈴木代表理事の環境と防災研究協会とは協力関係にある。

 「宿泊施設の視点に立つと、気になるのはやはりノーショウ。リンクトラスト・ペイ社と協力し、海外からの予約時に宿泊代の50%を事前決済する仕組みを整えました。これで、悪質なキャンセル防止に備えられます。施設のインバウンド対策に取り組む、当協会だけの機能です」。

 施設内の売店に導入すれば、スマートフォン一つで買い物が可能になる。モバイル決済では、QR(二次元)コードを利用し、客自らが手持ちスマートフォン端末に購入金額を入力する。施設側は入力金額を確かめるだけで良く、外国語対応への投資を最小限に抑えるメリットもある。なお、日本円と中国元、2通貨のレート計算は自動で行う。

 「ホテルや飲食店、医療機関など、リンクトラスト・ペイの加盟店はすでに1千店を超えています。国内都市銀行との提携も、安心要素の1つです。参入が相次ぐなか、3つの決済サービスを同時に提供できる唯一の企業でもあり、今後は韓国と台湾で普及するモバイル決済も利用可能となります。協力関係にある当協会では、QRコードとスマートフォンを活用した多言語翻訳、保険事業も推進しています。インバウンド対策で不明点がある際はぜひ、気軽に声を掛けてほしいと思います」。

※本記事は、本紙2018年1月21日付発行号3面に掲載された。データは当時最新のもの。

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