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食のダイバーシティを 喫緊はベジ、ビーガン対応 東商がセミナー

2018年3月24日
編集部

2018年3月24日(土) 配信

守護彰浩氏

 東京商工会議所(三村明夫会頭)は3月6日、東京都港区のリビエラ青山で、「ムスリム観光客対応セミナー」を開いた。講演を行ったフードダイバーシティ社長の守護彰浩氏は、ハラールだけではなく、あらゆる食の禁忌に対応する「食のダイバーシティ」の推進が重要だと主張。ラグビーワールドカップや東京五輪を控え、対応が遅れている日本では、「ベジタリアンやビーガン対応が喫緊の課題だ」と指摘した。
【飯塚 小牧】

 食のコンサルタント事業などを手掛ける守護氏はさまざまな食の禁忌を紹介。ベジタリアンをベースに、そこにハラール肉と魚介類を足し、アルコール成分の調味料を抜くとハラールになる。ベジタリアンから五葷(ネギ・ニンニク・ニラ・らっきょう・あさつき)の野菜を抜くと一部の仏教徒、乳製品や動物由来成分が含まれるものを抜くと、ビーガン(絶対菜食主義者)対応になるという。グルテンやうまみ調味料の主成分MSG(グルタミン酸ナトリウム)もアレルギーなどがあり、配慮が必要だ。

ハラール対応のコース

 ムスリムは生卵を食べないが、これは宗教ではなく文化の違い。「台湾人に多いのが五葷を食べられないオリエンタルビーガン。中国人にはムスリムも多い。あらゆる食の禁忌を持つ人が日本に訪れている」とし、「さまざまな理由があるので一括りにはできない」と述べた。

 同社の調査によると、世界のムスリム、ベジタリアン、ビーガンの人口は計25億人と世界人口の35・7%を占めるが、日本を訪れる外国人の同比率は8・7%と大きなかい離がある。「日本が食の禁忌に遅れている証拠。外国では、『日本は食が不安』といわれる」と課題を示した。

 一方、対応が大きなメリットとなる例として、トリップアドバイザーが発表している「外国人に人気の日本のレストランランキング」で16、17年とも1位に輝いたのはベジタリアン対応ができる店舗だと紹介。「食の対応は旅行者に感動を与えられる。19―20年にかけて日本はすべてがショールームになる。ここでどれだけ感動を生めるかで、今後のインバウンドの伸びが左右される」と言及した。

 ハラール対応に関しては、各国は政府や政府に準ずる機関が発行する公的な認証があるが、日本では非許認可制で民間が発行しているため、100以上の認証が存在する。「日本国内の認証は法的な拘束力はない。どの認証が正しいか間違っているかということはない」と解説。「認証取得は一手段なので、対応するにあたり絶対必要なものではない」と話した。

 宿泊施設ができる対応で難易度が低いものは、誤飲防止のために自販機にアルコール表示を英語で掲げることや、周辺のハラールレストランを把握することを挙げた。

 また、食事の対応は料理長と相談して無理のないポリシーを定め、ポリシーとメニューは必ず英語表記を用意することをアドバイスした。ポリシーの一例としては「当店は第三者機関によるハラール認証は受けていません」「厨房は一般調理も行うため、ムスリム専用ではありません」など。「ポリシーは自ら決めるもの。無理はせず、ただし観光庁の基準は守ること」とし、「重要なのは最後の人。実際に接客する人が自社のポリシーを答えられるよう社員教育が大切だ」と訴えた。

 セミナーでは、会場となったリビエラ青山の総料理長・岡野信司氏がこの日のために考案した、ハラールミートや調味料を使った和洋折衷のコースの試食を実施。調味料を製造しているメーカーも参加し、参加者に自社製品を売り込んだ。

ハラール調味料なども紹介

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