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「提言!これからの日本観光」 〝観光情報〟を生かして

2024年1月28日(日) 配信

 京都・鎌倉など主な観光都市が春や秋など観光シーズンの観光客の混雑が目立ち公共交通機関の利用難が、市民の日常の暮らしにも影響を与え、「観光公害」の到来といわれるほどだ。

 「観光客」は当然のことながら、春と秋の週末、それも昼間に集中。その時期の主な観光都市の観光客数は年間平均の数倍に達することも稀ではない。

 各交通機関は年間の平均客数を念頭に輸送力をつけているから、当然シーズンには混雑が目立ち、逆にオフシーズンには輸送力のムダが目立つ。需要の波動にはいかに効率的に輸送力を配分するかが、交通機関の大きい経営課題とされる所以である。

 京都や奈良などの大国際観光都市では波動の大きさがとくに目立ちシーズンには、公共交通機関の異常な混雑が常態化して、観光効果を減退させている。逆にオフシーズンには利用効率の低い、交通機関となり、経営上の過負荷にさえ、なりつつある。

 観光交通機関の効率化と混雑緩和は、この観光客の季節時間などの波動をいかに平準化できるかにかかっているといっても過言でない。しかも、この波動平準化のための努力は急を要すると思う。京都が以前、試みて好評を得た「冬の京都」「夏の京都」観光キャンペーンは、このような観光客の動きを逆手にとってオフシーズンの観光地の魅力を開発し得て、「ゆとりのある混まない観光」を目指してそれなりの効果を収めた。

 即ち、オフジーズンには「秘仏の公開」など観光客にとって魅力的な観光イベントを集中的に展開することなどであった。さらに、京都特有の竹林の冬季夜間照明が評判になったのも、この努力の効果だった。そして、京都を“通年観光地”をすることすることにつながったと思う。しかし、時間的な波動は依然として残り、観光地の混雑は全体として解消には至っていない。閑散時間帯へ「真夏の昼間」「真冬の夜間」などいわば新しい「観光時間」の開発が求められているのが現状である。

 このためのカギを握るのは「観光情報」の適時適切な発信であると確信する。それも観光地(いわば着地)発の生の観光情報がそれである。

 観光客は東京や大阪など観光客の居住地(発地)目線に立って、取材されたガイドブックなどの情報を基に観光に出掛けるケースが多いが、この情報源を着地にそれも年間を通じての観光魅力の発信に求める必要もある。

 基礎的な情報もさることながら、季節ごとの観光地の混雑状況も念頭に置き人出を極力平準化(通年化)させるような、きめ細かい動的観光情報の発信(それも観光地発の情報)が必要なのではなかろうか。観光効果は混雑のない観光によってこそ、より大きいものが得られると思う。

 

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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