スーパーホテル2年連続1位、モチベーションの高い企業

スーパーホテルの山本梁介会長
スーパーホテルの山本梁介会長

 モチベーションにスポットを当てた企業変革のコンサルタントを行うリンクアンドモチベーションは2月22日、八芳園(東京都港区白金台)で「ベストモチベーションカンパニーアワード2012」を開き、ホテルチェーンを展開するスーパーホテル(山本梁介会長)が2年連続で社員のモチベーションが高い企業の1位に選ばれた。

 スーパーホテルは、チェックイン時のIT化を進め、稼働率は98%を誇る。ターゲット層をしぼり、安全・清潔・ゆっくり休めることをポイントにホテルを運営。山本会長は「リピーターを生むためには、お客様に感動を与えることが大切。お客様に感動を与えるには、従業員が感動していなければいけない」と、「自律型感動人間」の育成を企業の理念に据える。朝礼では経営理念の唱和を行い、当番制で従業員の目標発表を行う。年間目標を立てるチャレンジシートと、その目標に日々どれだけ近づいたかのランクアップノートを従業員全員がつけ、上司と部下が徹底的に話し合うことにも注力している。

社員モチベーションの高い受賞企業
社員モチベーションの高い受賞企業

 山本会長は受賞に際し「2年連続で1位に選ばれ本当にうれしい。我が社は理念浸透主義。社員の価値観や行動を一致させることで、社員のモチベーションが上がる。モチベーションが上がれば、おのずと売上はついてくる」と語り、「社員には、自分の人生と仕事に感謝・感動し、お客様・社員同士・ビジネスパートナーと感動を共有できるようになってほしい」と話した。

 同賞は、リンクアンドモチベーションの社員モチベーション調査「EMS」の実施企業から、モチベーションインデックス値が最も高い企業上位10社を表彰するもので、社員数100人未満を除いた96社が対象。

LCC 49%が「知っている」、観光利用は9割に

国内路線でのLCC利用目的は?

 JTBがこのほど実施したLCC(格安航空会社)に関するWEBアンケートによると、LCCを「よく知っている」が11%、「なんとなく知っている」が38%で合計49%が知っていると回答した。「名前・概要は知っているが、詳しくは知らない」が26%、「ほとんど知らない」が21%で、「興味がない」はわずか4%だった。

 男女比では「よく知っている」と回答した男性は15%、女性は6%と男性の方がLCCに対する認知度が高いことがわかった。有効回答数は7529人。

 国内路線で「LCCに乗ってみたいか」の問いには「乗ってみたい」が9%、「安い航空券が取れれば乗ってみたい」が33%と合わせて42%が意欲を見せる一方、「しばらくようすを見て決める」も25%を占めた。理由として「なんとなく不安だから」が43%と最も多く、「座席が狭い等の不便さがあるから」も18%を占めた。

 利用目的(複数選択)では、「観光」が90%と圧倒的に多数を占めた。次いで「知人訪問」が12%、「ビジネス」が10%、「帰省」が10%と続く。

 また、「どれくらい安ければ乗ってみたいか」では、「既存航空運賃の半額以下」が61%を占めた。「同7割以下」が20%で続く。さらに、LCCで安く浮いたお金の利用方法については、「現地滞在の買い物や食事などで少し贅沢をする」が55%でトップ。次いで「次回の訪問にまわす(訪問回数を増やす)」が27%、「貯蓄するなど、訪問先では使わない」が10%、「LCCでなければ訪問しなかったので、浮いたお金はない」が7%となった。

西村京太郎氏に“迫る”津田令子さんとトークショー

 トラベルキャスターの津田令子さんがインタビュアーとして、トラベルミステリーの巨匠・西村京太郎氏の素顔に迫るトークショーが3月3日、東京都港区のNHK文化センター青山教室で開かれた。

 500冊に及ぶトラベルミステリー小説のトリック作りの秘密を聞くと、「とにかくずっと時刻表を見ている。例えば、電車の到着が日曜日に1分遅れる駅がある。なぜだろうと取材に行って調べると、日曜日だけ別のホームに着くことを知る。その1分間についてあれこれと考えるうちに、一つの小説ができてしまう」と語った。

 今、一番気になっているのは、間もなく1年になる東日本大震災のこと。「作家って腕力もないし、何の役に立つだろうと考えてきた。でも、疲れ切った被災者が私の作品を読んで1人でも心が和んでくれればいい」と話した。 

高円宮殿下記念地域伝統芸能賞、八槻都々古別神社楽人会・御田植保存会が受賞

 地域伝統芸能活用センター(中村徹会長)はこのほど、2012年度の高円宮殿下記念地域伝統芸能賞に、「八槻都々古別神社楽人会・御田植保存会」(福島県東白川郡棚倉町 七座の神楽・太々神楽・御田植神事)を選んだ。福島県文化振興課が推薦したもので、「御田植」は国指定重要無形民俗文化財、「七座の神楽・太々神楽」は県指定無形民俗文化財として指定されている。

 地域伝統芸能大賞では、保存継承賞として「小奴可地区芸能保存会」(広島県庄原市東城町塩原 田楽)が選ばれた。活用賞は「寺崎はねこ踊り保存会」(宮城県石巻市桃生町 寺崎はねこ踊)、支援賞は植田倫吉氏(島根県浜田市 石見神楽・蛇胴の製作)が選ばれた。

 地域振興賞、さらには地域伝統芸能奨励賞は、「対象なし」となった。

 また、今年度に限り、東日本大震災の被災地において、被災したにも関わらず、地域伝統芸能の活動を再開し、被災者に復興への活力を与えている団体・個人を表彰する「地域伝統芸能特別賞」を設けた。

 受賞したのは、「釜石虎舞保存会連合会」(岩手県釜石市 釜石虎舞)と、「行山流水戸辺鹿子躍保存会」(宮城県南三陸町戸倉字水戸辺 行山流水戸辺鹿子躍)、「請戸芸能保存会」(福島県浪江町請戸 請戸の田植踊)の3団体。

 なお、受賞者は10月27―28日に地域伝統芸能活用センターと福島県、郡山市、会津若松市が主催する地域伝統芸能全国大会で、高円宮妃殿下を迎え、表彰式を行う。また、受賞者の公演も予定している。

楽天が「草津vs熱海」で共同企画、抽選で6人に無料ペア宿泊券

 楽天トラベル(岡武公士社長)は、草津温泉旅館協同組合と熱海温泉ホテル旅館協同組合と共同で、両温泉地への相互誘客を目的に「『草津』vs『熱海』究極の温泉地対決!!」を展開している。

 日本三名湯の1つ「草津温泉」と日本三大温泉の1つ「熱海温泉」が、それぞれの特徴である温泉・景観・遊び場の3つのカテゴリーを軸に、ユーザーから投票される「いいね」の数を競う温泉地対決特集。どちらかの温泉地の楽天トラベル登録宿泊施設の特別プランを予約した利用者に、もう一方の温泉地の無料ペア宿泊券か2万円分の宿泊優待券が抽選で合計6人に当たる。対象期間は3月26日まで。 

お花見久兵衛が優秀賞、中小企業IT経営力大賞2012

溝畑宏観光庁長官と意見交換
溝畑宏観光庁長官と意見交換

 石川県加賀市山中温泉の「満開の宿 お花見久兵衛」(吉本加代子女将)は、「中小企業IT経営力大賞2012」の優秀賞の全国商工会連合会会長賞に選ばれ、2月24日に東京都内のイイノホール&カンファレンスセンター(千代田区内幸町)で表彰を受けた。

 お花見久兵衛では、大手旅行会社に依存する団体客ターゲットから、個人客をターゲットにしたWebによる集客型モデルへと転換。自社ホームページでの解析ツールによるアクセス数や予約決定数の分析、データ収集による顧客の動向分析とそれに呼応した企画の提案などを定期的に行い、売上効果を上げるために修正と検証のPDCAを繰り返し、最適化していることが高く評価された。また、ASP・クラウド型のホテルマネジメントシステムを導入し、予約・フロント・会計など部門ごとに縦割りだったシステムと業務を統合し、事務作業の効率化と業界の慣習にとらわれない従業員の多能工化を進め、少数精鋭での運営を実現している。

受賞社が記念撮影
受賞社が記念撮影

 このIT関連全般を担ったご子息の吉本龍平専務は表彰を受け「やってきたことが評価されるのはうれしい。今も常に分析・マイナーチェンジを行い、その変更がどういう結果を生むかを計測し最適化をはかっている」と話す。吉本専務は7年前にサラリーマンをやめ宿に入社。IT化への対応に取り組み始めたのは5年前。当時団体客が減少し、経営が厳しく集客を何とかしなくてはいけないと考えたという。「自分はいわゆる2代目だけど、旅行業界とまったく関係のない会社で働いていたのが逆に功を奏したのかもしれない。ずっと業界内にいて業界のことしか知らなかったら、今までの集客、販路の延長でしか考えられなかったかもしれない」と語った。また、吉本加代子女将もブログ( http://ohanami-kyubei.jp/blog/ )の中で「ITを活用するのはあくまでも人間。努力によってITを上手に活用し、仕事のなかに生かしていった従業員全員の受賞」と喜びを語り、「効率化できた分、おもてなしに集中したい」と力を込めている。

 観光関係ではそのほかに、仙台駅近郊でビジネスホテルを展開する松月産業が優秀賞の情報処理推進機構理事長賞に選ばれている。

 中小企業IT経営力大賞は、2007年に経済産業省が創設。ITを新しいビジネスツールと捉え、業務の効率化だけでなく、下請けからの脱却や多品種・少量・短納期への対応、業務の可視化による戦略的経営の推進など、経営力を高めていく取り組みを積極的に展開している中小企業を表彰している。今年度で4回目を迎える。

温泉で日本を元気に!「旅と温泉展」新宿駅西口3月14―17日

 温泉で日本を元気に!――。日本温泉協会は3月14―17日までの4日間、東京・新宿駅「西口広場イベントコーナー」で第54回「旅と温泉展」を開く。

 温泉の情報コーナーでは、全国の温泉地の紹介や、会員施設、秘湯の宿、国民保養温泉地などを紹介する。温泉の知識コーナーや、源泉体感コーナーも設ける。また、東日本大震災復興支援企画として、東北の温泉地をイベントステージで紹介したり、パンフレットの配布により、東北観光の活性化にもつなげていく予定だ。

 抽選会やご当地クイズ、景品配布なども、日替わりで温泉地がPRする。さらに、アンケート「温泉旅行の実態と志向に関する調査」に答えると、抽選で宿泊券が当たる。時間は午前10時―午後8時で、最終日は午後5時まで。入場無料。

 問い合わせ=電話:03(5941)8610。 

復興庁、観光庁を訪問、いわておかみ会の7人

平野達夫復興大臣を表敬訪問
平野達夫復興大臣を表敬訪問

 いわておかみ会(大澤幸子会長)は3月5日、おかみ会を代表して大澤幸子女将(ホテル対滝閣)、林晶子女将(四季亭)、川口礼子女将(ホテル加賀助)、照井久美子女将(長栄館)、平栗カヨ子女将(松川荘)、菊池悦子女将(瀬美温泉)、小瀬川洋子女将(割烹旅館廣美亭)の7人が、震災復興に対する御礼と復興支援の継続要請のため、平野達夫復興大臣と溝畑宏観光庁長官を表敬訪問した。

溝畑宏観光庁長官と意見交換
溝畑宏観光庁長官と意見交換

 大澤女将は溝畑長官に「世界遺産登録で平泉は調子がいいが、平泉から北がさみしい状況。岩手県の内陸が行き詰っている」と現状を報告。溝畑長官は「皆さんの現場のがんばりがあって観光が成り立っている」と労いの言葉をかけ、「宮城は震災特需で景気がいいみたいだが、それもビジネス客ばかりで観光は少ない。これから本格的な観光回復に向けて一緒にがんばろう」と激励した。

 女将たちが4月から始まる岩手DCと3月15日のスタートアップミーティングについてPRすると、溝畑長官は「ぜひ盛り上げたい。会場に行けなくても、ビデオメッセージなどを送りたい」と協力を申し出た。

値上げ断固反対、3団体連名で東電に反対文

反対文を手渡す今井理事長(左)
反対文を手渡す今井理事長(左)

 東京電力が4月1日から企業向け電気料金を平均17%値上げする方針を示していることに対し、東京都ホテル旅館生活衛生同業組合(今井明男理事長)は3月6日、全国旅館会館に東京電力の担当者を呼び、電気料金値上げの反対文を渡した。

 反対文は、全日本シティホテル連盟関東支部と全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会との連名。料金値上げは、さらに経営を圧迫させるとして、断固反対の意思を示した。

 今井支部長は「震災後、我われの経営は、どんづまりまで来ている。外国人の方は、震災前の4分の1しか帰ってきていない。地震と津波だけではなく、原発事故の影響で客足が遠のいている。この状態での値上げは到底納得できない。今の料金のまま継続いただきたい」と語った。同席したホテル・旅館の経営者からは「値上げの前にまだやることがある」「中小企業はボーナスも払えない状況にある。不満が募っている」などの厳しい意見が飛んだ。

厳しい意見も交わされた
厳しい意見も交わされた

 東京電力の鎌倉賢司執行役員法人営業部長は、「2012年は原発が1基も動かず、7千億円の燃料費がかかり、資金がいつショートするかわからないギリギリの状態にある。今後2、3年で今の電気料金基準に戻し、次の3年で今の料金よりも5%以上下げる経営努力をしていく」と理解を求めた。

 また、中小企業向けの料金値上げ緩和メニューを説明した。デマンドダイエットプランは、今夏(7―9月分)の各月の最大需要電力が契約電力を下回った場合、下回った電力に応じて料金を割り引く。ウィークリープランは、電気の使用量がピークの時間帯に、週単位、月単位で最大需要電力から50㌔㍗以上の電力の削減が可能な場合、削減実績に応じて料金を割り引く。プランをうまく使えば、値上げ幅の3割は圧縮できるという。

No.304 エコへの挑戦 旅館・ホテル編 - 資金面の課題 打開策は

エコへの挑戦 旅館・ホテル編
資金面の課題 打開策は

 環境への負荷を軽減し、経費削減にもつながるエコの取り組み。旅館・ホテルの経営者に聞くと、関心はあるが「投資額や資金計画が心配」という声が返ってくる。いいとは分かっていても、資金面のハードルから一歩踏み出せないケースが多い。打開策はあるのか。「エコ達人村」などの取り組みを通じて、提言を続ける国際観光施設協会の中山庚一郎会長と、日本、ヨーロッパのエコ先進地域の取り組みに詳しい食環境ジャーナリストの金丸弘美氏に聞いた。(8、9面に関連特集)

【沖永 篤郎】

 

 

国際観光施設協会会長
中山 庚一郎氏

<施設改修引当金の措置を>

 毎年、ホテルレストランショーで実施している「エコ達人村」の取り組みは3年目を迎えた。同協会会員である技術会社のトップエンジニアが集まり、旅館・ホテルの水光熱費などさまざまな問題について相談を受けている。私たちは、エコの考え方による「小」エネルギーシステムを提案している。一般的には「省」エネルギーというが、サービス業で「省く」という考え方はおかしい。「エコ・小」システムの施設を実現できれば、お客様に不快感を与えず、気持ちよく使ってもらえる。この取り組みは6つの観光関係団体、日本能率協会と一緒に進めている。いわばエネルギーについての改革運動だ。

 

 

食環境ジャーナリスト
金丸 弘美氏

<トータルマネジメント弱い>

 イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパのEU諸国は、1980年代から環境政策を推進している。都市部、地方部にかかわらず、しっかりした景観条例があり、町並みの美術デザインから行政政策のなかに入っている。環境を守る取り組みに直接支払われる補助金もある。ヨーロッパの観光が成り立つのは、厳しい景観条例があるからだ。それで田園風景や古い町並みが保たれている。

 

※ 詳細は本紙1454号または日経テレコン21でお読みいただけます。