羽田新国際線ターミナル、10月21日にオープン、首都東京の玄関口に

最新の設備などが充実した新国際線ターミナルビル。出発階に当たる3階
最新の設備などが充実した新国際線ターミナルビル。
出発階に当たる3階

 東京国際空港(羽田)新国際線ターミナルが10月21日にオープンし、31日から国際線定期便が就航する。東京都心からは約15キロの立地。羽田との路線を持つ全国各地の国内線の乗り継ぎ、深夜早朝時間帯の路線開設など飛躍的に利便性・機能性は高まる。昼間時間帯(6―23時)は、中国、韓国をはじめとする東南アジア地域、深夜早朝時間帯(リレー時間帯を含め22―翌7時)は欧米や東南アジア諸国との路線が開設される。首都東京の玄関として、年間700万人の利用客を見込む。

 新国際線ターミナルビルは地上5階建てで、延床面積15万9千平方メートル、10固定スポットを有する。3階を出発階、2階を到着階として直進性が高くフラットで階層移動の少ない動線を作り出した。世界初の導入となるステップレス旅客搭乗橋や、日本の国際空港において初めて導入する旅客通過確認システムなど、最新の施設設備が充実する。

江戸の町並みを再現した4階
江戸の町並みを再現した4階

 4・5階は、飲食・物販空間。4階は「江戸小路」と名付け、江戸の町並みを本格的に再現。散策するだけで、日本の伝統や文化を体感できる。5階の「TOKYO POP TOWN」は、現代から未来の東京・日本の文化を発信する。日本のアニメやキャラクターショップのほか、最新型のプラネタリウムを導入したプラネタリウム・カフェなど、特徴のある店が軒を連ねる。

 新国際線ターミナルビルオープンに伴い、京浜急行電鉄は「羽田空港国際線ターミナル駅」を、東京モノレールは「羽田空港国際線ビル駅」をそれぞれ開業する。両駅とも、改札から到着ロビーまでダイレクトに接続する。

 京急電鉄の「羽田空港国際線ターミナル駅」は、大きな荷物を持つ人が快適に利用できるように設計。ホーム幅は14メートル。荷物用カートは改札からホームまで利用可能。大型エレベーターも複数台設置した。また、到着ロビー階の改札付近に、4カ国語対応のコンシェルを常時配置する。エアポート快特利用の場合、品川―羽田空港国際線ターミナル間は約13分。

 東京モノレールの「羽田空港国際線ビル駅」は、浜松町から空港快速利用で最短13分。同じ階で直結している改札と出発ロビーは約1分。開業に伴うダイヤ改正については、夜間・快速を中心に15本増発。始発列車は早朝4時台に、最終列車は深夜0時台に運転時間を拡大する。

 国際線旅客と国内線旅客ターミナル間のアクセスは、無料連絡バスを通常6分間隔で運行。国際線―国内線の乗り継ぎについては、京急電鉄の「羽田空港国際線ターミナル駅」と「羽田空港国内線ターミナル駅」間、東京モノレールの「羽田空港国際線ビル駅」と「羽田空港第1ビル・第2ビル駅」間の利用ができる「無料乗継旅客用乗車券」を手配・配布する。

国内線9000万人割る、昨年度航空輸送不況で需要が低迷(国交省)

 

 国土交通省がまとめた2009年度の航空輸送統計によると、国内線の旅客数は前年度比7・5%減の8387万人となり、1999年度以降維持していた9千万人台を下回った。減少は3年連続となる。景気後退で出張客や観光客の需要が低迷したほか、新型インフルエンザなどの影響も大きかった。一方、国際線の旅客数も3・1%減の1540万人と、2年連続で減少した。しかし、燃油サーチャージの上昇で2ケタ減となった08年度に比べると、落ち込み幅は縮小している。

 国内線の旅客数を幹線・ローカル線別にみると、幹線は6・3%減の3493万人、ローカル線は8・3%減の4895万人。路線別のトップは羽田―新千歳の903万7102人(前年度比4・5%減)。減少率が最も大きかった路線は中部国際―福岡の33・7%減。このほか、落ち込みが目立ったのは羽田―関西の16・9%減、羽田―富山の16・1%減、中部国際―那覇の15・0%、関西国際―那覇の14・8%減など12路線が2ケタ台の減少となった。上位50路線のうち、前年実績を上回ったのは成田―大阪、神戸―那覇、那覇―宮古島の3路線にとどまった。

 国際線は、中国を除き全方面で前年割れ。落ち込み幅の最も大きかったのはオセアニアで10・9%減。旅客数が最も多いのは中国、韓国を除くアジアで464万人(6・0%減)、次いで中国が317万人(7・6%増)、韓国が222万人(7・6%減)、ハワイ、グアムなどの太平洋が204万人(2・4%減)。

7年連続目標達成、能登空港の搭乗率

 能登空港(石川県輪島市)の能登―羽田便の搭乗率(速報値)が、就航7年目(昨年7月7日―今年7月6日)も62・2%となり、年間目標だった62%を上回った。7年連続の目標達成になる。同空港は開港時(03年7月)から、全日本空輸と搭乗率保証制度を設け目標搭乗率を設定している。

 石川県によると、景気低迷による出張や旅行手控えなどの影響から4月末時点では搭乗率が60・4%まで落ち込んだが、地元商工団体などを中心に旅行や研修を企画して積極的に空港利用を呼びかけた結果だとしている。

 利用者総数は前年に比べると1597人減(1・1%)の14万8768人にとどまった。しかし、開港以来減り続けていた地元利用者数は前年を1433人上回る3万2486人となり、初めて増加に転じた。

No.255 休暇改革に提案 - 「年休取得倍増プラン」

休暇改革に提案
「年休取得倍増プラン」

 政府は3月に示した休暇分散化案(全国を5ブロックに分割し、春と秋に順に5連休を設置)に対して、多方面からの提案や意見を求めている。休暇改革を長年研究している観光地域経営フォーラム・研究コーディネーターの丁野朗氏は、年休取得倍増プラン「ハッピー・スマイルウイーク」の創設を提案する。サービス・ツーリズム産業労働組合連合会・副事務局長、政策局長の杉﨑勇一氏は、新たな休暇制度導入には広範な議論を求めている。それぞれの提案・意見を紹介する。

【増田 剛】

 ――今年3月に全国を5ブロックに分割し、春と秋の2回、順々に5連休を設定する休暇分散化の政府案について。

 現在の政府案については、各界のヒアリングや実証実験を急いでいるが、未だ政策アセスメント(事前影響評価)が示されていないこともあり、産業界や労働界、さらには一般国民は少なからぬ不安を抱いている。

 本来なら、ハッピーマンデーを廃止して新たにつくる5連休プランと、既に定着したハッピーマンデーを拡充して休暇分散をはかるプランの、どちらの経済波及効果が大きいか、国民の支持が得られるかといった政策評価のうえで、国民に信を問うべきではないか。

 4つの祝日を月曜日に移動することによる経済波及効果は約2兆9千億円と試算されている。そのハッピーマンデーを継続し、秋口などに新たに5連休をつくるという案なら確実に経済効果も高まるが、「やってみなければわからない」では、観光産業としても不安を感じるのではないか。

 ハッピーマンデーは、お盆、年末年始、ゴールデンウイーク(GW)のほかに、「3連休のかたまりを3―4つ設置して休暇を分散化させる」というのが当初からの目的であった。そこに有給休暇をくっつけると、4連休、5連休、場合によっては1週間程度の長い週末「ロングウイークエンド」が幾つかできる。ハッピーマンデー制度導入時には、観光はもとより、医療や福祉、児童など55もの団体が連携し、4年の歳月をかけた国民運動が展開された。その過去の成果を清算する新制度の導入には、相当に注意深い取り組みが求められる。

※ 詳細は本紙1387号または日経テレコン21でお読みいただけます。

バブル後世代は“嫌消費”、第15回海外旅行動向シンポ(日本交通公社)

「若年層の減少止まれば上昇軌道」

 日本交通公社は7月23日、東京都千代田区の経団連会館で「えっ!海外旅行がカッコ悪い!?~今時の“ガールズ”意識とは~」をテーマに、第15回海外旅行動向シンポジウムを開いた。全体を通して若年層へのアプローチに焦点をあて、今後の海外市場を探った。

 第1部は、観光文化事業部主任研究員の黒須宏志氏が、「トレンドの転換点となるか、2010年!?」として、最新データから次の成長ステージを予測。そのなかで、「近年の海外旅行者数は高経験者層が回数を増やして支えている状態」とし、減少している低経験層の若者層が、増加するか下げ止まることで、「下降軌道」から「横ばい」か「上昇軌道」に軌道修正できるとした。

 また、09年の注目ポイントとして、20代女性の旅行者数が、第1四半期の世界同時不況の最中に反転してプラスになったことを紹介。「20代女性の3割減が市場低迷の要因だった。何をしても動かなかった層が、この時期に動くのかと驚いた」と本音を語った。これは親の世代の50代後半女性にも当てはまるため、「要素は外的要因だけでなく、マインドと結びついている」とした。

 今後5―10年は、若年層の下げ止まりやシニア層の着実な伸び、ローコストキャリア(LCC)を含む航空選択肢の拡大などのプラス要因を列挙。「長い目で見れば上昇軌道」と予想した。また、今年の年間旅行者予想値も上昇修正し、1690万人とした。

 第2部はジェイ・エム・アール生活総合研究所代表取締役の松田久一氏が「世代論から見えてきた“バブル後世代”の特徴」と題して講演。松田氏は、日本人の消費行動を7世代に分けて分析。学童期にバブル崩壊を経験した27―31歳までを「バブル後世代」と名付けている。

 この世代の特徴は“嫌消費”で消費の嫌な3Kに「車・家電・海外旅行」があるという。「バブル崩壊が横たわって消費につながらない。収入の低下以上に支出を抑えている。現在、商品を作っている40、50代とは価値観が真逆」と指摘した。

 そのうえで、攻略法として(バブル後世代の)「市場性を見極める」「対話する」「欲望に対応する」「ビジネスモデルを考え直す」「多世代チームで対応」の5つを挙げた。関心項目は、上の世代の車に対しバブル後世代は自転車、酒・ビールは缶コーヒー・水など日常生活の充実にあることから、旅行商品も「ちょっとしたお出かけの長距離化と捉えたほうがいい」と語った。

 第3部は東京ガールズコレクション(TGC)実行委員会チーフプロデューサーを務める永谷亜矢子氏が「ガールズマーケットの刺激策、教えます」と題して登壇した。

 そのなかで、平均年齢23・6歳の女性に行ったアンケートを紹介。旅に行く場合は、「目的から場所を選ぶのではなく、『行く場所』を決めてからそこで何をしようか考えているので、地域ブランディングが重要。情報は、有名人などのブログや口コミから得るので、女の子が憧れる人を起用するのが有効」とアドバイスした。

 

1日平均378件で緩和前の2.1倍、中国個人ビザ発給件数顕著な伸び

 観光庁の溝畑宏長官は7月28日に開いた専門紙との会見で、中国人個人ビザ発給条件緩和後の発給累計は5836件(7月8―23日まで)だったと発表した。1日平均は378件と、条件緩和前の6月に比べ2.1倍(6月平均は182件)、前年同月比からは6.6倍(平均は57件)と大幅に数字を伸ばした。

 溝畑長官は「すでに発給を行っていた上海と北京、広州は著しく数字が伸びた」とし、今回新たに発給を開始した4カ所については「3カ月は様子見が必要」と語った。また、7月上旬に中国を訪問した際の感触から、「日本への関心は高い。これが発給件数にもつながっている」と所感を述べた。

北京に日本留学の広報拠点、留学生30万人計画に向けて(JTB)

 JTBは9月を目途に、中国・北京市に日本留学の広報拠点となる「中日留学信息中心」を設置する。政府の「留学生30万人計画」を受けて、同社は昨秋からグループの海外拠点網を活用し、日本の大学が共同で利用できる「海外大学共同利用事務所」(JCSIJ)開設に向けた準備を進めてきたが、JCSIJ第1号として北京市のビジネス街に設置する。

 事務所には、参画した日本の大学の執務スペースのほか、現地学生が日本留学に関する情報を収集できるスペース、留学相談コーナーなどを設け、大学に代わって情報提供する。また、各参画大学に対しては、個別の要望に基づいて、現地校の情報調査やアンケートによる市場調査、現地学校への営業セールス代行、留学説明会の開催、留学申請用書類・留学ビザのチェックなど各種サービスを行う。今後はソウルや台北でも各種調査やPRなどのサポート体制を整えていく考え。

 日本学生支援機構によると、日本国内の留学生受け入れ数の第1位は中国で、09年5月現在、全体の59・6%を占める。一方、09年度の中国人留学生の留学先はアメリカ、オーストラリア、イギリスに次ぎ、日本は4位で全体の7・8%にとどまっている。JTBは「中国は海外への留学生数が毎年20%強ずつ伸びており、日本の大学は留学生獲得に期待を寄せている」とし、「中国の学生に対して留学先としての日本を意識づけし、学生獲得のための活動を支援していきたい」としている。

訪問率1位は新宿、中国人は秋葉原がトップ(JNTO訪日外客訪問地調査2009)

 日本政府観光局(JNTO)は7月30日に、「JNTO訪日外客訪問地調査2009」を発行した。1万5355人の訪日外国人旅行者を対象にインタビューを行った報告書で、日本国内の訪問地や旅行形態などを調査。これによると、09年の都市・観光地別の訪問率は、新宿が34・8%でトップ。中国旅行者のみでは、秋葉原が42・4%で最も多かった。観光客が訪日前に期待したことは、「日本の食事」(58・5%)が「ショッピング」(48・5%)を抜いて初めて1位となった。

 「日本の食事」に期待

 同調査によると、回答者のおおよそ3人に2人が関東を訪れ、3人に1人が関西、5人に1人が中部、10人に1人が九州を訪れる傾向にある。

 都道府県別の訪問率上位は、(1)東京(58・8%)(2)大阪(24・4%)(3)京都(20・6%)(4)神奈川(16・7%)(5)千葉(12・7%)(6)愛知(9・6%)(7)福岡(8・6%)(8)北海道(8・0%)(9)兵庫(7・9%)(10)山梨(6・8%)となった。北海道が兵庫県を初めて上回り8位になったほか、中国人に人気の高い山梨県がトップ10位に入った。

 都市・観光地別訪問率では、新宿が(34・8%)で04年の調査開始以来首位を続けている。以下(2)銀座・有楽町(25・4%)(3)浅草(25・0%)(4)大阪市(23・5%)(5)渋谷(20・3%)(6)京都市(20・2%)(6)秋葉原(20・2%)(8)上野(19・3%)(9)原宿・明治神宮(17・3%)(10)六本木(15・4%)の順で、東京都心部エリアが上位を占めた。温泉地では、20位に箱根(7・1%)、22位に札幌・定山渓(6・6%)、23位に神戸・有馬温泉(6・5%)がランクインした。

 観光客が訪日前に期待したこと(複数回答)では、「日本の食事」が「ショッピング」を抜いて初めて1位となった。3位は「温泉」(43・4%)、4位は「自然景観、田園風景」(41・8%)、5位は「伝統的な景観、旧跡」(37・6%)となった。

 さらに、「日本の食事」に満足した回答者を対象に、とくに満足したメニューを聞いたところ(1)寿司(42・1%)(2)ラーメン(20・8%)(3)刺身(19・8%)(4)天ぷら(11・1%)(5)うどん(8・9%)が上位にランクした。

 訪問目的は、観光が48・8%、商用が30・6%とこの2つで約8割を占める。観光客の旅行形態では、個人旅行が63・8%と08年の57・5%から大きく伸びた。

邦人援護件数3.7%増、政情不安のタイがトップ(外務省 09年度)

 外務省はこのほど、2009年の海外邦人援護統計を発表した。それによると海外における事件・事故などにかかわる総援護件数は前年比3・7%増の1万6963件、総援護人数は同4・1%増の1万8843人となった。海外渡航者数は同3・4%減と3年連続で減少しているなか、総援護件数と総援護人数は2年連続で増加した。

 分類別でみると、強盗・窃盗・詐欺(被害犯罪・財産犯)が1・3%増の5160件、遺失(旅券・財布等)が5・0%減の2672件、その他(事故・犯罪加害・他案件)が9・7%増の9131件。内訳は窃盗が4334件(構成比25・5%)、遺失が2672件(同15・8%)、所在調査が1648件(同9・7%)、疾病が949件(同5・6%)など。

 地域別では、アジアが5・2%増の7305件と最も多く、次いで欧州が3・2%増の4056件、北米が4・2%増の3409件、中南米が2・4%減の736件、大洋州が4・4%減の734件、アフリカが6・4%増の432件、中近東が0・7%減の291件。

 在外公館ごとの援護件数をみると、タイが1193件と最も多く、(2)上海1071件(3)フィリピン927件(4)ロサンゼルス742件(5)フランス684件(6)ニューユーク668件(7)イギリス657件(8)韓国641件(9)香港629件(10)中国451件など。

 疾病者はアジアが最も多く681人、次いで欧州が125人、北米が81人と続く。行方不明者はアジアが63人、欧州が21人、北米が16人など。麻薬犯罪者は合計56人中、アジアが34人と6割以上を占めている。