星野リゾートで研修、「和」を感じるもてなし検討(ANAエアポート)

両社でおもてなしに関して意見交換
両社でおもてなしに関して意見交換

 星野リゾートが運営する温泉旅館「星野リゾート 界 川治」(栃木県・川治温泉)で3月6日、ANAエアポートサービスのおもてなし研修が行われた。同研修は2020年のオリンピックイヤーを見据え、国内外の顧客に「和」を感じてもらうおもてなしを検討する場として、ANAエアポートサービスからの要望により実施された。

 当日はANAエアポートサービスのコンシェルジュ3人と界 川治のスタッフ3人の双方の自己紹介からはじまり、界 川治の森本剛総支配人から施設のコンセプト「栃木の里山体験」がどのようにしてできたかという、これまでの取り組みを発表。続いて、ANAエアポートサービスから企業説明が行われ、ANAエアポートスタッフによる空港内のプレミアムラウンジを想定した接客ロールプレイングを実施。ゲスト役を体験した界 川治のスタッフからは「情報伝達、連携の良さに感動」「お客様との自然な距離感が心地よい」という感想が聞かれた。

 双方の接客の特色がわかったところで「羽田空港に『界 羽田』というラウンジが誕生し、運営を任されたらどのような場にするか」という課題を検討した。最後に両社から発表が行われ、ANAエアポートスタッフからは「スイートホーム」というコンセプトで「日常と非日常が入り交る、自宅で寛ぐような空間を提供するラウンジ」と提案。一方、界 川治は「行ってらっしゃい」というコンセプトで「あえて電波などを遮断し、人と人が日本文化の体験を通じて交流を育める体験型ラウンジ」というユニークな案があがった。

 最初は緊張していた両スタッフも研修を受けるうちに次第に打ち解け、研修後半には活発に意見交換が行われた。館内見学時にはANAエアポートサービスのスタッフらが里山工房で石臼引き体験などを行い「西洋型のサービスと日本旅館のおもてなしとの違いがよくわかった」という意見も出た。「双方の接客や工夫を参考にしたい」という声もあり、「今後のサービスを考える有意義な場となった」(星野リゾート)とコメントしている。

館内の里山工房で石臼引き体験
館内の里山工房で石臼引き体験

【「四万せんか」ファムツアー】タニタが協力、プチ湯治とヘルスケア、滞在型ヘルスツーリズム

タニタ監修のセミナー受講
タニタ監修のセミナー受講

 群馬県・中之条町の四万温泉は、経済産業省「2015年健康寿命延伸産業創出推進事業」委託事業(群馬県次世代ヘルスケア産業協議会)として、体重計など計測機器大手メーカーのタニタの協力を得て、健康への気づきをサポートする滞在型ヘルスツーリズム「プチ湯治とヘルスケア『四万せんか』」を開始した。昨年11月中旬に一般参加者を対象としたモニターツアーを実施し、1月13、14日には旅行会社やマスコミを対象にしたファムツアーを実施した。今回は同ツアーの主なポイントを紹介する。
【古沢 克昌】

四万たむら「湯治懐石」(タニタ監修)
四万たむら「湯治懐石」(タニタ監修)

 ファムツアー1日目は東京都千代田区の「丸の内タニタ食堂」に集合。受付時に活動量計が配られ、食堂内に設置されている体組成計で参加者一人ひとりの身体データを計測した。事業概要説明の後、1回目の食事(タニタ食堂の日替わりランチ)をとった。

 四万温泉へ向かうバス車中では、各自のスマートフォンにアプリ「からだカルテ」「ヘルスプラネットフード」をインストールし、使用方法が説明された。四万温泉到着後は「四万ゆずりは荘」でセミナーを受講。タニタヘルスケアリンクの管理栄養士・健康運動指導士の龍口知子さんによる「ヘルスケア料理について」、四万温泉協会の森博昭事務局長による「温泉入浴法について」の講義を受けた。

 ツアー中の食事に関しては、タニタ食堂からのアドバイスをもとに「四万温泉および群馬県特産食材の活用」「温泉旅館の楽しみの食事でもあるため、季節感を盛り込む」「各旅館の食事の特徴を踏まえたうえで、ヘルスケアの要としてタニタの社員食堂の食事コンセプトを取り入れた内容とする」など、栄養量の基準を設けた。1食当たり500キロカロリー―800キロカロリー前後に抑え、塩分は4・0グラム未満、野菜量は180グラム以上とする。品数の多い旅館などに考慮し、事前の栄養が多い場合は20%以上削減する、など細かな目標数値を設定して、タニタ監修の懐石料理の開発に着手した。

 宿泊は四万温泉の温泉三昧の宿「四万たむら」で、チェックイン後に温泉入浴とタニタ監修のヘルスケア料理(夕食)を実食。タニタも感心した湯治懐石は、見た目は普通の懐石料理とまったく遜色なく、味も薄味ではなく、だしの旨みや酸味、香りなどを活かした満足感のある献立に仕上がっていた。食事の総エネルギー量は812キロカロリーで通常の懐石料理の約半分。食塩相当量3・8グラム、野菜量311グラムとこちらも基準値をクリアしていた。

 翌日はタニタ監修のヘルスケア料理(朝食)実食後に、希望者のみ旅館周辺を約20分間、朝ウォーキング。チェックアウトして再び「四万ゆずりは荘」を訪れ、脂肪燃焼効果を上げる運動の順番や運動不足を解消するウォーキングおすすめの理由など、運動プログラム実践の講義を受けた。

時わすれの宿佳元「上州牛すき焼き風プラン」(タニタ監修)
時わすれの宿佳元「上州牛すき焼き風プラン」(タニタ監修)

 昼食は「時わすれの宿 佳元」で、タニタ監修の新たに開発した名物料理「上州牛すき焼き風」プランを試食したが、こちらもカロリーは基準値の半分以下。生玉子なしのすき焼き風だが、上州牛、下仁田葱、地物白菜、椎茸、春菊、白滝、焼豆腐を使用しており、満腹感は十分。味も通常のすき焼きに負けず劣らずの美味しさだった。黙って出されたらヘルスケア料理とは気がつかないほど完成度は高かった。

 午後からは中之条町内に移動。県指定重要無形文化財「鳥追祭り」と真田氏ゆかりの「林昌寺」を見学して2日間のファムツアーは終了した。

 なお、当初は今春からヘルスツーリズムのレギュラーメニュー化を目指していたが、連泊した場合などクリアしなければならない問題がまだ解決していないため、「今夏ごろまでには具体的な旅行商品のかたちに持っていければ」(中之条町観光協会・原沢香司主任)とコメントしている。

 問い合わせ=中之条町観光協会 電話:0279(75)8814。

鳥追祭り
鳥追祭り

地方宿泊の訪日支援、Wi―Fi整備などに補助金(観光庁)

 観光庁は、宿泊施設がインバウンドに対応するための経費の一部を補助する「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金」の公募を3月31日まで受け付ける。Wi―Fi整備や自社サイトの多言語化などにかかる事業経費を2分の1(上限100万円)支援する。

 補助金を得るには、地域の宿泊事業者(5者以上)らによる協議会が「訪日外国人宿泊者受入体制拡充計画」を策定し、国土交通省の認定を受ける必要がある。

 補助対象になるのはWi―Fi整備やトイレの洋式化、自社サイトや館内表示の多言語化、テレビの国際放送設備整備、和洋室化、翻訳システムの導入、クレジットカード決済端末整備、ムスリム受入対応マニュアル作成、その他宿泊施設の稼働率や訪日外国人の宿泊者数を向上するために必要だと認められる事業。運営費や人件費は対象外となる。

 全国各地で3月8―15日にかけて公募説明会も開催される。補助金概要や公募説明会の参加などの詳細は観光庁のホームページを参照。

No.425 若手を中心に変わる塩釜、地域の魅力を取り戻せ!

若手を中心に変わる塩釜
地域の魅力を取り戻せ!

 東日本大震災から5年――、復興は次のステップに移る。かつての被災地は復旧だけでなく、地域本来の魅力を取り戻そうと地場産業の立て直しを進めている。本紙主催の「第36回プロが選ぶ土産物施設100選」で初入選を果たした、水産加工業を営む「直江商店」(宮城県塩釜市)の直江僚大社長に、復旧までの道のりと、生産者としての地場産業復興への想いを聞いた。

【丁田 徹也】

 
 
 
 ――塩釜市のかまぼこ製造業と貴社について。

 昭和50年代にかまぼこ製造会社は80社ほどあり、日本一の生産量を誇る地域でした。産業が衰退して24社にまで減りましたが、生産量日本一は揺らぎませんでした。震災によって販売の機会を失う業者が相次ぎ、その座を譲ることになりましたが、塩釜市の基幹産業には変わりありません。当社も長年にわたり販売を続け、白身魚と大豆を材料に「おとうふかまぼこ」も開発しました。地域に愛されるお店を目指しています。

 ――被災当時のようすを教えてください。

 会社は塩釜湾の目の前に位置しており、船を停泊させるために設置された20㍍ほどの巨木が津波の勢いで何本も社屋に突き刺さり、全壊しました。津波自体も1階の天井の高さまで迫りましたが、周辺で全壊したのは当社を含め2軒だけでした。もう1軒も海辺のかまぼこ屋さんでした。

 社員は全員近くの山に避難していたので無事でした。この地域は1960年のチリ地震時にも大津波の被害を受けているので「大地震が起きると津波がやってくる」という防災意識が根付いていたことが幸いしました。

 震災直後は、社員の家の状況が落ち着くまで休みとしましたが、全壊の社屋を前に会社再開の目途がつかず、結局休業することになりました。社員からは「このまま雇用状態が続いても会社に負担がかかるだけだ」とご配慮いただき、やむを得ず、仕事が再開できるまで退職していただくことになりました。

 周辺地域の工場は全壊がほぼ無かったので、水道が復旧した3月末ごろからガレキを撤去し、営業再開に向けて準備を進めていました。当社は従業員が少なくなり、ガレキの片づけすら進みませんでしたが、ちょうど被災状況の取材に来たテレビクルーにボランティア団体の存在を教えてもらい、4月はじめにはボランティアの方の協力によってガレキを撤去できました。しかし使い物になるものはなく途方に暮れる日々でした。

 さらに、専務は当時の社長の弟でしたが、体調を崩し6月に引退してしまいました。社長自身も60歳を超えていたので「清算した方が(店をたたんだ方が)いいかもしれない」と皆で考えたこともあります。

 ――再開することになったきっかけは。

 お客様です。例年6月ごろにお中元の申し込みが多くなります。会社宛ての電話は私の携帯電話に転送していたのですが、1日数十件の電話があり、現況を伝えるたびに営業再開を望む皆様のお声をいただいたのです。この声が原動力となり、当社は再び立ち上がることを決意しました。当時の社長からは「立ち上げるなら代替わりだ。ゼロからお前が指揮を取れ」と言われ、常務だった私が社長に就任することになりました。…

 

※ 詳細は本紙1621号または3月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

旅人が求めるもの… ― 模倣ではない、普遍性の追求を

 イーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」は架空のホテルだが、砂漠のハイウェイを走りながら見つけた小奇麗なホテルに滞在するも、快楽主義的な滞在客に嫌気がさしてくる。荷物を持ち、ドアに向かいホテルを去ろうとしたとき、夜警に「あなたはいつでも好きなときにチェックアウトできるが、ここを離れることはできない……」と言われる暗示めいた歌詞で終わり、哀愁漂うメロディーが続いていく。

 乾いた風が吹く米国西海岸の気候や風土、そして退廃的なムードがホテル・カリフォルニアを聴く度に感じられ、私はこのような、どこか洗練された気だるいリゾート地を意識的に、この日本のなかに探していた。東京近辺では広大な太平洋を臨む湘南エリアが近いのかもしれない。哀愁が漂うという観点では、夕暮れ近い房総半島の九十九里浜も独特の魅力を感じる。いずれにせよ、退廃は洗練の滅びの美学であり、洗練は模倣ではなく、自ら深みへ突き進む探求の過程で発火する一瞬の炎の照り返しのようなものである。

 滞在という旅について、しばしば思案を巡らす。

 日本は「お伊勢参り」や「参勤交代」など、古くから街道文化が発達してきた。歩き疲れた体を休めるために街道沿いの宿に1泊し、夜は酒で仮初めの宴を楽しみ、翌朝には次なる目的地へと足を運んだ。

 一方、山の奥には湯治という文化も古くからあり、長期間湯治宿に滞在して温泉に浸かり、疲れた体を癒してきた文化も残っていた。だが、高度経済成長期や、バブル期の観光ブームによって全国の多くの温泉地は歓楽化し、その後、旅行の個人化などにより、湯治文化も、そして歓楽街も廃れていった歴史がある。時代の大きな波に乗り、その後社会が移り変わると新たしい時代に取り残され、廃墟と化した温泉地を目にする度に、荒廃した風景に悲しさを覚える。退廃は色気を残すが、荒廃は虚しさを残す。世事や人心は無常であり、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」である。そのような世の中で、滞在客が魅きつけられる場所とは、どのような場所なのか。

 おそらく、特定の国や、文化、風習に縛られるものではない。旅人すべての心の奥に潜む、「隠遁」願望や「ペルソナを脱ぎ捨てたい」という欲求を満たしてくれる空間だろう。

 ただ、それら欲望を叶えるには、太陽や海、風、大地とつながった原始的なエネルギーが不可欠であり、高度に洗練された文化と思想がそこに融合されていなければならない。

 東京に来て、人気のホテルやレストランを視察し、それらを地方で模倣するケースも見られる。安楽世界が有する普遍性を追求するなら意味があるが、表面的なデザインやコンセプトを横取りして取り入れるだけなら、やがて形骸化するだろう。

 日本にいながら、東京ばかりをみると、どうしてもドメスティックな視点に縛られる。現在ならインバウンドブームなどに踊らされ、結局、旅人が求める安らぎの深遠部分まで思想は届かず、いずれ廃れていってしまう。もし、日本の地方にあなたの宿が立地しているのなら、東京ではなく、アフリカやインド、フィンランドに行くべきである。そこで感じた旅の安楽は、地球の反対側の日本でも同じであり、それこそが“普遍性”である。

(編集長・増田 剛)

住環境や安全に懸念、施設管理の視点から語る

民泊サービス検討会6回目

 観光庁と厚生労働省は2月29日、6回目の民泊サービスのあり方に関する検討会を開いた。ヒアリングには、民泊を禁止した東京都江東区のマンション「ブリリアマーレ有明TOWER&GARDEN」管理組合法人理事長の星川太輔氏を招請。マンション管理者の視点から住環境や安全面の問題を語った。

 星川氏は、マンションを民泊に利用することの問題点や、同組合の規約に反する民泊提供者へのこれまでの対応について語った。マンション管理側からみた都市型民泊の問題、(1)穏やかな住環境を破壊する(2)セキュリティの懸念がクリアできていない(3)住居者が支払う管理費にフリーライドしている(4)マンションの構造が不特定多数を受入可能な構造になっていない――の4点を挙げた。

 検討会では「早急に取り組むべき」民泊サービスの課題への対応として、簡易宿所営業の客室の延べ床面積基準「33平方メートル以上」を、収容定員10人未満の場合に「1人当たり3・3平方メートル以上」に改定する方針を決めた。「旅館業における衛生等管理要領」(通知)の簡易宿所の玄関帳場などに関する基準も10人未満の場合は、安全の確保を条件にフロントの設置を要しないとする。4月1日施行予定。

 自宅やマンションの場合でも、宿泊料を得て民泊活用する際は旅館業法の許可が必要であることの周知も早急に取り組む事項とした。さらに観光庁は、民泊が旅館業に該当するようになった場合に「民泊サービスの仲介行為は旅行業に該当する」とし、民泊仲介業者も旅行業登録が必要になるとの見解を示している。

 「中期的」課題については、ホームステイ型(家主在住で自宅の一部を貸し出すタイプ)民泊の検討を進める。旅館業法の新たな類型にするか、旅館業法とは別の規制を設けるかを判断する。宿泊制限規定や旅館業法違反罰金規則の見直しなどについても検討の必要性があるとした。 

 賃貸業界からの検討委員は、ビジネスホテルでのドライヤー盗難に旅行業界でも対応できていない現状を挙げ、「民泊にこの問題が移ったときにだれが責任を取るのか。プラットフォーマーが責任を取れるのだろうか」と疑問を呈した。

 また、民泊が簡易宿所として稼働し始めた場合、1時間数千円で使える「レンタルルーム」となることを危惧した。同委員によると、レンタルルームはラブホテル代わりに利用されることが多いという。

 次回は3月15日、東京都の全国町村会館で中間論点整理を行う予定。

「16年は“忍者元年”だ」、2月22日(忍者の日)に宣言

忍者元年の幕開け
忍者元年の幕開け

 日本忍者協議会(会長=鈴木英敬・三重県知事)は2月22日の“忍者の日”に東京都内で忍者の日特別イベント「『忍者元年宣言』忍者の2030年を考える」を開いた。同協議会は昨年10月に設立。2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを見据え、忍者を活かした観光振興や文化振興、地域経済の活性化をはかっていく。

 冒頭、忍者衣装を身にまとい登場した同協議会の溝畑宏副会長は、「日本の文化・歴史の象徴である忍者で、世界に日本の魅力を発信していきたい」と決意を述べた。続いて、溝畑副会長によって、〝忍者元年宣言〟が行われ、30年に向けた取り組みへの幕が上がった。今年行われる主な活動として、6月12日に東京・お台場で忍者を基にしたランイベント「忍NINパーティー(忍パ!)」を行う。また、7月2日―10月10日まで東京都港区の日本科学未来館で企画展「The NINJA―忍者ってナンジャ!?―」を開催するほか、12月には新プロジェクトの発表を予定している。

 忍者元年宣言後には、「忍者の2030年を考える」ディスカッションが行われ、溝畑副会長をはじめ、三重大学人文学部教授で、忍者に関する学術研究の先駆者である山田雄司氏、クールジャパン官民連携プラットフォーム委員で、カルチャージャパンプロデューサーのダニー・チュー氏、数々の忍者映画に出演している女優の肘井美佳氏が登壇し、忍者の魅力などについて語り合った。MCから「現代の忍者は誰か」という質問が投げかけられ、山田氏は「職人さん」と回答。「職人さんのコツコツと仕事に打ち込む姿が、忍者の忍び耐えながら任務を遂行するところにつながっている」とまとめた。

高野龍神ウルトラマラソン

 絶景が楽しめる観光道路は全国に数多くあるが、和歌山県の「高野龍神スカイライン」もその1つ。霊峰・高野山と美人の湯で知られる龍神温泉を結ぶもので、オートバイのツーリングコースとしても有名だ。私も数年前に車で走ったことがあるが、その絶景と開放的な雰囲気にうっとりした。

 そのスカイラインを全面通行止めにして9月11日に「高野龍神スカイラインウルトラマラソン」が初開催される。100キロと50キロの2コースあり、高低差812メートルの難コースになるという。

 地元実行委員会から運営を受託したJTB西日本は、大会前後の宿泊プランを設定している。過酷なレースゆえ、前後宿泊者が多いのもウルトラマラソンの特徴で、地域振興の手段として有効なのだろう。

【土橋 孝秀】

ウェブサイトを一新、宿検索などの機能拡充(ピンクリボンのお宿ネットワーク)

全100軒の加盟施設情報などを 紹介する
全100軒の加盟施設情報などを
紹介する

 乳がん経験者に優しい宿づくりを進める「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(会長=畠ひで子「匠のこころ吉川屋」女将、事務局=旅行新聞新社)はこのほど、専用ウェブサイトをリニューアルオープンした。

 サイト内では、ピンクリボンのお宿ネットワークに加盟する全100軒の宿泊施設の温泉などの浴場情報を中心に、宿泊プランや取り組みを紹介。検索機能も充実し、専用画面から「貸切風呂がある」「食事相談対応ができる」などの項目や希望エリアを絞り、条件に合った宿を探し出せるようになった。趣旨に賛同する観光協会などの加盟団体や企業会員の情報、温泉や旅行にまつわるコラムなども掲載する。

 URLは(http://www.ribbon-yadonet.jp/)。「貸切風呂の利用割引券」など、宿泊の際に使うことができる、お得なクーポンページも用意する。

 問い合わせ=ピンクリボンのお宿ネットワーク事務局 電話:03(3834)2718。
 
 
 
 
 
 

宿泊施設確保が課題、地域ブロックの検討事項(国交省)

本部会議に集う国交省幹部
本部会議に集う国交省幹部

 国土交通省は2月29日、石井啓一国土交通大臣を本部長とする観光立国推進本部を開き、地方別ブロック連絡会の取り組み状況の確認と今後の進め方を確認した。各地方ブロックで検討していく訪日課題には、宿泊施設の確保や観光拠点の整備に関するものが多かった。

 石井大臣は「インバウンドの趨勢は我われの想像以上で、政府全体としては3月末を目途に新たな観光ビジョンを打ち出す動きがある。国交省としても継続的な検討課題だけでなく、新たに生じる可能性がある課題についても地方別ブロック連絡会を活用して積極的に取り組んでいく」と意気込んだ。

 観光産業分野で検討していく課題は、北海道ブロックは(1)イレギュラー運航発生時の宿泊施設確保(2)外国人旅行者へのマナー周知(3)ニセコ地区の深夜などの案内、関東ブロックは都心部へ集中している宿泊需要の地方への分散、北陸信越ブロックは宿泊施設の確保、中部ブロックは(1)通訳案内士不足(2)宿泊施設などの受入環境整備、近畿ブロックは宿泊施設の確保、中国ブロックは(1)通訳ガイド不足(2)ムスリム旅行社の受入環境の促進、九州は宿泊施設の確保――をそれぞれ挙げた。

 観光地域づくり分野では、北海道ブロックは(1)大型荷物の宅配輸送サービスを活用した手ぶら観光推進(2)Wi―Fi環境の整備(3)新千歳空港観光案内所の整備(4)観光案内所の充実(5)拠点における多言語対応(6)災害時対応および傷病など緊急時対応、東北ブロックは(1)土産物品の検疫と免税店の拡大(2)広域観光周遊ルートの形成に合わせた受入環境整備(3)無料公衆無線LANの環境整備(4)多言語対応の強化、関東ブロックは(1)ターミナル駅における多言語案内表示(2)多言語による医療機関での受診、北陸信越ブロックは文化施設などにおける多言語化、近畿ブロックは観光拠点(観光交流センター・外国人観光客向けサービス提供施設)の整備、中国ブロックは無料公衆無線LAN環境の環境整備、四国ブロックは(1)無料公衆無線LAN環境の環境整備(2)多言語表記(公共交通機関、観光情報サイト、観光地、観光施設など)(3)免税店の拡大、九州ブロックは観光地や観光施設における多言語対応の強化、沖縄ブロックはスーツケースやおみやげ品などの手荷物の配送及び預かり機能強化――などを進める。

 次回は6月にブロック別に中間とりまとめを行い、年内に各ブロックから最低3つの成果を報告する。翌年1月には観光庁が取りまとめを行う予定。