「ハーフタイムツアーズアワード」を放送、プレゼントCPも

2021年12月20日(月) 配信

(C)TV TOKYO Direct,Inc

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)は、テレビ東京グループでコマース事業全般を手掛けるテレビ東京ダイレクト(遠藤孝一社長、東京都港区)と旅の情報番組「ハーフタイムツアーズ」を放送している。コロナ禍で困難が続く観光地を応援する意味を込めて、これまで同番組で紹介してきたツアーの中から優れたツアーを表彰する「ハーフタイムツアーズアワード2021」を放送する。

 12月20日(月)~24日(金)の午前8:00からのレギュラー放送では、「グルメ旅部門」「列車旅 宿泊部門」など5つの部門のナンバーワンである「部門賞」を発表。番組ホームページやSNS(交流サイト)の反響、ツアー参加者からのアンケートなどを元に各部門賞を決定し、番組に出演した旅人とツアーを作った担当者を表彰する。さらに、各部門賞の中から視聴者投票により「グランプリ」を決定。12月25日(土)午後1:28から放送の「ハーフタイムツアーズ スペシャル」の中で、見事グランプリに選ばれたツアーを発表する。

 なお、BSテレ東で来年1月8日(土)午後4:00からも「ハーフタイムツアーズスペシャル」グランプリ発表の放送を予定している。

 ハーフタイムツアーズアワード2021の開催を記念し、豪華賞品が当たるキャンペーンを実施する。期間中、番組のメールマガジンの登録者の中から抽選で50人に商品券や旅行券、旅行をさらに楽しめる豪華景品が当たる。

 詳細は、ハーフタイムツアーズアワードのホームページから。

原氏(風の旅行社社長)と酒井氏(阪急交通社社長)が副会長に就任、JATA

2021年12月20日(月) 配信

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は、12 月 17 日(金)に理事会を開き、副会長として新たに、原優二氏(風の旅行社社長)と酒井淳氏(阪急交通社長)の2人を選定した。任期は来年6月中旬開催予定の定時総会まで。
 会長・副会長の体制は会長が髙橋広行氏( JTB 会長)、副会長が小谷野悦光氏(日本旅行社長)と今回新たに選ばれた2人の 4 人体制となる。

                  ◇

 原 優二(はらゆうじ)氏

< 略 歴 >
1991年 風の旅行社設立 代表取締役に就任(現職)
2004年 日本旅行業協会 運営役員
2012年  日本旅行業協会 理事
2021年  日本旅行業協会 副会長(現職)

 酒井 淳(さかいあつし)氏

< 略 歴 >
1981年 阪急交通社 入社
2020年 代表取締役社長(現職)
2021年 6月 日本旅行業協会 理事
2021年12月 日本旅行業協会 副会長(現職)

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(203)」 北の産業革命「炭鉄港」(北海道)

2021年12月19日(日) 配信

鉄道輸送の結節点・旧幌内鉄道手宮鉄道施設(小樽市)

 既に雪の季節を迎えた11月下旬、久々に北海道の小樽と空知地域を訪ねた。2019年5月に日本遺産に認定された「炭鉄港」がテーマである。

 日本遺産「本邦国策を北海道に観よ!~北の産業革命「炭鉄港」~」は、誠に壮大なタイトルである。炭鉄港とは、北海道近代化の骨格となった石炭、鉄道と鉄鋼、港の略である。物語は、幕末薩摩の島津斉彬公(薩摩藩11代藩主1809―58年)から始まる。斉彬は、アヘン戦争以来、欧米列強による植民地化の危機のもと洋式造船、反射炉・溶鉱炉、ガラス、紡績など、海防のための集成館事業を開始。また、北の守りの要でもある北海道開拓構想を示し、家老らに北海道調査を命じる。

 その北海道開拓では、薩摩藩士が大きな役割を担うことになる。ストーリーは、①薩摩藩主導の産業革命と明治維新・北海道との係わりとなる「近世末の産業革命黎明期」②北海道開拓使から炭鉄港の基盤形成期③国内資源の重要供給地としての北海道の「産業基盤形成期」が軸となっている。

 ストーリー上重要なのは、薩摩藩士・黒田清隆が開拓使次官となり、1873(明治6)年、創生川東側に工業局器械所を創設、蒸気器械所・水車器械所、鍛冶場をはじめ麦酒醸造所・紡績所・製陶所などを建設。まさに薩摩の集成館事業がモデルとなった。また北海道開拓にとって重要な役割を果たした屯田兵制度は、半農半士による行政と防衛を担う薩摩の「外城制度」がベースといわれる。

空知石炭遺産のシンボル・住友奔別炭鉱立坑櫓(三笠市)

 空知の石炭は、79(同12)年の幌内炭鉱(三笠市)の開鉱が起点となる。石炭は82年開通の幌内鉄道(三笠―小樽)で拡大、もともと北前船で栄えていた小樽は、石炭積出港として大きな役割を担うことになる。これを機に、空知炭鉱(歌志内)・夕張炭鉱(夕張)などが相次いで開発される。

 また、室蘭も72年の海関所(室蘭港)の開設以来、石炭積出港として重要な役割を担う。のちの1909(同42)年には北海道炭鉱汽船輪西製鉄所(のちの日本製鉄室蘭製鉄所)が開かれ、鉄の町としての基盤が形成される。こうして、北海道は、明治以降の100年間で人口が100倍になるという、まさに高度成長を遂げることになる。

 しかし、戦後のエネルギー革命は、空知の石炭産業に壊滅的な打撃を与え、69年から始まる第4次石炭政策のもとで、石炭産業は終焉を迎えることになった。こうした炭鉄港の終焉は、私たちに何を残したのか。ストーリーの結びは「既に起きた未来」で括られる。

 起承転結の物語では、「結」の部分の意味が重要である。つまり北海道の次の100年に私たちは何を築けるのか。広大な大地は、いま日本の食糧基地や国際的な観光地域として無限の可能性を秘めている。この物語を次代に引き継ぐ新たな構想が求められている。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

「津田令子のにっぽん風土記(80)」「癒しの場所・仙台に思いを馳せる」~ 宮城県仙台市編 ~

2021年12月18日(土) 配信

東北大学青葉山キャンパス
NPO法人ふるさとオンリーワンのまち賛助会員 堀川寿美恵さん

 このほどNPO法人ふるさとオンリーワンのまちの賛助会員になられた東京都在住の堀川寿美恵さんの前職は、京都大学大学院医学研究科東京大学サイト臨床試験コーディネーターという聞き慣れない職業だ。

 
 鬱病の治療方針研究に伴う治験を患者さんに寄り添いつつ、データを積み重ねていくという知識と根気のいる仕事だ。気分転換を兼ね仕事の合間をぬって、かつて暮らした仙台へ足繫く通い、懐かしい風景と再び触れ合うことで心癒されてきたという。

 
 生まれは、北海道札幌市。小学3年から6年生までは金沢に住まい、その後、東京に。さらに22歳から再び札幌に移り就職、そして結婚。40歳のときにご主人の転勤による7年間の仙台での生活を経て東京に戻られた。

 
 これまでたくさんの街と関わってこられた堀川さんが最も印象に残っているのは、「仙台ですね」と即答する。

 
 仙台に移り住んだ当初は友人もいないため、新たな街に馴染めないでいたが「家から車ですぐの青葉区川内元支倉にある宮城県立宮城県美術館と瑞鳳殿、そして東北大学の構内にもなっている青葉山に自分の居場所を見つけたんです」と当時を振り返る。「四季折々の景色があまりに美しく、虜になってしまった。ただその場所にいるだけで心が満たされ、気持ちが解けていくのが分かるのです。仙台には、そんな懐の大きさというか、人の心をわしづかみにしてしまう不思議な魅力があるのだと思います」と堀川さん。

 
 仙台での生活が1年半ほど過ぎたころには、友人もたくさんできて宮城県の素晴らしい場所を教えてもらったという。

 
 「友人たちと、松島、塩竈、石巻、気仙沼、そして、山形にも頻繁に足を運び仕事の合間に美味しいものを求めての小さな旅に出たものです。お寿司が食べたいときは、塩釜。牡蠣が食べたいなら奥松島。お蕎麦が食べたくなると、山形。紅葉を見たいなら山形までの山道ドライブと山寺。そして、仙台市内なら、瑞鳳殿、松島の瑞巌寺という風にね」。自ら運転し、街を満喫していったという。

 
 「先月も、1人でボーっとしたくなって、最も好きな癒しの場所宮城県美術館へ行って来ました」。お気に入りの静寂な館内でいつものように2時間過ごして来られた。「この美術館で過ごす時間は私にとって心落ち着く大好きな秘密の時間」と、充足感に包まれた表情が印象に残る。

 

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

各地の食材とコラボした新ご当地鍋誕生 さとふるがふるさと納税の返礼品で創作

2021年12月17日(金) 配信

丸山さん・本並さん夫妻がコラボ鍋を試食するのを見守る首長たち

 ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」を運営する、さとふる(藤井宏明社長、東京都中央区)はこのほど、「コラボで生まれる新・ご当地鍋プロジェクト」を発足。12月15日(水)から、全国7地域のご当地鍋と、遠く離れた7地域のご当地食材を組み合わせて誕生した7種の新たなご当地鍋レシピを紹介する「コラボで生まれる新・ご当地鍋プロジェクト」特設ページの公開を始めた。

 同プロジェクトは全国 14 自治体が参加し、料理研究家の渥美まゆ美さん監修のもと、「さとふる」で手に入る全国のふるさと納税の返礼品を組み合わせて創作。元の鍋の美味しさを生かしながら、「あわせる食材」「テイスト」「食べ方」などのさまざまなアレンジを加えて、新たな鍋料理を提案する。

 同社はふるさと納税サイトの運営と共に、地域活性化を目指し、ふるさと納税事
業を始めとした自治体のさまざまなサポートを行っている。2020 年からは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、地域へ直接足を運ぶ機会が制限される状況のなか、地域と寄付者が出会う機会を提供。地域のファンを創ることを目的に、会員制のオンラインコミュニティ「ふるさと応援サロン」を立ち上げ、交流を続けて
きた。

 同日開いた会見で、青木大介副社長COOは地域活性化事業を行うなかで、「社員の来年こそは、“地域を越えた出会いの場”をもっと増やしたいという想いが強くなったことから今回、異なる2つの地域の食材が出会う新たなプロジェクトを立ち上げた」と経緯を語った。プロジェクトには、「食材同士の出会いをきっかけに、互いの地域に興味を持っていただく。2022 年こそは、地域を超えた出会いが増えることを願っている」という希望を込めたという。

 会見には、食材を提供している4自治体の首長などが出席。ゲストとして参加した元サッカー選手の丸山桂里奈さん・本並健治さん夫妻がコラボ鍋「伊勢海老の濃厚カマンベールミルク鍋」(三重県鳥羽市×北海道森町)などを試食するようすを見ながら、それぞれの地域の特色や食材をアピールした。

綾川町でイチゴ狩りと地酒、うどん作りを体験 1月8~30日

2021年12月14日(火) 配信

さぬきひめ、讃岐うどん、道の駅「滝宮」(写真はイメージ)

 JTBは2022年1月8日(土)~30日(日)の土日、香川県・綾川町を舞台にしたイベント「綾川PROJECT~綾川の粋を味わう、週末ワンダーランド」を開く。同社と綾川町、穴吹エンタープライズ、綾菊酒造が参画して開催。綾川町の「NO.1」・「ファースト(発祥)」をテーマにした地域の特産品のブランディングと、道の駅「滝宮」を観光拠点とした町内の周遊を促す。

 綾川町は「讃岐うどん発祥の地」であり、香川県を代表するいちごの品種「さぬきひめ」の栽培が盛んな町。また、創業231年の酒蔵「綾菊酒造」は、地元の米と水を使った酒を造り続けており、蔵は香川県の有形文化財に指定されている。期間中、これら魅力を体験できる「夜のいちご園」「うどんと餺飥(はくたく)」「フォトロゲイニング」の体験プランを提供する。

 「夜のいちご園」は、綾川町と綾菊酒造が綾川町産のイチゴ「さぬきひめ」を原料に開発した新作リキュール「綾の雫」を片手にイチゴ狩りを楽しめる。実施時間は午後6:30~7:20(所要時間は約50分)。会場は道の駅滝宮いちご農園。募集人員は20人(先着順)で、対象年齢は20~40歳限定。

 「うどんと餺飥」は、讃岐うどん発祥の地・綾川町で、讃岐うどんの原型となった「餺飥」と現代の讃岐うどんの両方を作る特別な体験。体験キット(テキスト・麵棒・オリジナル手ぬぐい)付き。実施時間は午前10:00~12:30(所要時間は約2時間半)。会場は綾川町立滝宮公民館。募集人数は20人(先着順)で、対象年齢は20~40歳限定。

 町内の周遊促進イベント「フォトロゲイニング」は、道の駅「滝宮」を拠点として綾川町内のチェックポイントを巡り写真撮影、獲得した得点を競う。実施時間は午前10:00~午後2:00(所要時間は約4時間)。会場は綾川町エリア。募集組数は10組(1組2~5人、先着順)で、最少催行組数は5組。

 各体験の代金は無料。専用Webサイトで、各体験アクティビティの予約受付を行っている。

JTB、ビューカードと提携 びゅう商品券の取り扱いへ

2021年12月17日(金) 配信

ビューカードで発行している「びゅう商品券」(画像はイメージ)

 JTB(山北栄二郎社長)は12月15日(水)、JR東日本グループのビューカードと提携し、「びゅう商品券」による支払いの取り扱いを始めた。JRの駅ビル内をはじめ、全国(沖縄県除く)に店舗を持つ旅行会社では唯一の取扱可能会社となる。

 「びゅう商品券」は、JR東日本の「みどりの窓口」のほか、全国の百貨店や家電量販店で利用できる商品券。JTBは同商品券の利用拡大を通じ、利用客の利便性向上をはかるとともに、利用店舗での安心安全な旅の提供を通じて、観光地の活性化に貢献していく。

 利用可能なJTBの店舗は593店(12月15日現在)。JTB旅行券(ナイストリップ)と同条件で利用できるほか、現在各地で実施されている「地域観光事業支援(県民割)」の支払いにも利用できる。

日本秘湯を守る会 星会長「47年間引き継いできた理念を確認したい」

2021年12月16日(木) 配信

 日本秘湯を守る会(星雅彦会長、160会員)は12月15日(水)、静岡県熱海市の大観荘で2021年度(第47回)定時社員総会を開いた。コロナ禍で本格的な開催は2年ぶり。

 星会長は「47年間引き継いできた『共生』の理念を皆でもう一度確認したい」と力強く語った。販売面では、昨年度るるぶトラベルとの5年間の連携契約が期限を迎えたが、新たに3年契約を結んだ。秘湯Webサイトの予約システムと連動した会計ソフトの構築など、IT化も進めている。

 日本秘湯を守る会は1975(昭和50)年に、33軒の山の宿が集まり創立した。

 “旅人の心に添う 秘湯はひとなり”の理念のもと、会員が親戚のような関係性で47年間継承してきた。星会長は「『売れれば、それでいい』という目的の集まりであれば、とうに無くなっている」と語り、「共生」の理念を大切にしながら「常に新しい旅文化の創造を目指していきたい」と述べた。

 20年3月に解散した朝日旅行の協力会だった「日本旅文化を創る会」が、今年3月に姿を消した。「日本秘湯を守る会」に加え、「日本源泉湯宿を守る会」、「日本文化遺産を守る会」を存続させ、法人格を持たせる考えだ。

 また、これら3部会(法人)を傘下に収める「日本温泉文化を守る会」を新たに設立。社員総会後には新ロゴも公表した。今後は、3部会合同での事業も検討していく。

 22年度は、同会会員宿を紹介する書籍「日本の秘湯」ガイドブックの22版目の出版を予定するほか、「宿泊客や会員宿にも、もっと使いやすいように」と、公式Web予約サイトのリニューアルも計画している。

佐藤好億名誉会長

 佐藤好億名誉会長は「日本の原風景を一番持っているのは、我われ秘湯の宿。自分の生まれた故郷を未来につないでいく覚悟を持って、地域の温泉文化を残していってほしい」と語り掛けた。

事実関係の確認急ぐ Go To不正受給疑惑で(観光庁長官会見)

2021年12月16日(木) 配信

観光庁の和田浩一長官は12月15日(水)、会見を開いた

 観光庁の和田浩一長官は12月15日(水)に開いた会見で、「コロナで深刻な影響が出ていた関連事業者に対し支援を行った。顕在化した業界の課題に対し、補正予算と来年度予算を使って事業を進めていく」と、2021年の総括を行った。また、エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社2社がGo Toトラベル事業で不正な給付申請を行った疑いで、同庁は12月9日(木)、Go To事務局に事実関係の調査を指示した。

 ジャパンホリデートラベル(大阪府大阪市)とミキ・ツーリスト(東京都港区)が1万8000泊以上の架空の宿泊料金を給付申請したとし、親会社のHISは12月9日(木)に調査委員会を設置した。

 これを受けて、観光庁は同日、Go To事務局に対し本件の事案も含め、このほかの不正・不適切な事案の調査も徹底するよう指示を行った。

 和田長官は、「事実であれば誠に遺憾。予算は国民の税金であり、不正な申請は決して許されるものではない。HISと事務局の調査により判明した事実関係をもとに、適切に対応していく」と述べた。

 来年1月から再開する予定だったGo Toについて、「Go Toと地域観光事業支援の実施は、国内の感染状況が落ち着いていることが大前提となる」(和田長官)とし、年末年始の感染状況や専門家の意見を踏まえ、1月末の再開を目指し検討を進めていく。

 

地域ブロックへ拡大 14県が隣接県を追加

 観光庁は、「地域観光事業支援」の県内旅行の割引事業に対する支援状況について、15日(水)時点で43都道府県に交付を行ったと発表した。

 また、「県民割」の対象範囲の拡大について、現在は青森、岩手、宮城、富山、石川、山梨、長野、滋賀、島根、福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島県──の14県が少なくとも1県以上、隣接県からの旅行者による県内旅行を支援対象に含めている。

 ワクチン接種証明やPCR検査陰性証明などの活用で、安全・安心の確保がはかられていることや、旅行先・出発地の都道府県の感染状況がレベル3となった場合は停止することなどが要件に盛り込まれている。

 

観光で「稼げる地域」 来年度予算に盛り込む

 観光庁は、観光地の再生・高付加価値化の事業について、経済対策で1000億円の予算を盛り込んだ。

 22年度予算では、今年度予算の550億円から倍近い1000億円を要求。補助費の上限は2000万円を1億円までに引き上げた。これに伴い、補助率は従来の2分の1から、一定の条件を設けて3分の2まで認めるとした。

 和田長官は、「今年は宿・旅館のリニューアルや、廃屋の撤去などで景観を改善するなどの支援を、230の地域に対して行った。また、観光コンテンツの磨き上げでは、全国約1000の地域に対して取り組みを進めてきた」と振り返った。

 「事業規模拡大により、多くの観光地において面的な再生や高付加価値化が計画的・効果的に行われると見ている。国内交流需要の拡大とともに地域産業を強くしていき、『稼げる』地域を作っていく」と話した。

「週末ご褒美旅」構築へ 神奈川県・湯河原町でモニターツアー

2021年12月16日(木) 配信

宿の歴史に触れる

 神奈川県・湯河原町は現在、20~30代の女性の取り込みへ、新ブランド「週末のご褒美旅」の構築を進めている。

 テーマは、「癒し」。湯河原町の高級旅館のおもてなしと、多様な観光コンテンツをコンパクトに楽しめる新しい旅のスタイルを提案する。

 10、11月にはモニターツアーを実施した。今後収集したアンケートを参考に内容を磨き上げ、来年度以降の商品化を目指す。

 10月29~30日に実施したモニターツアーは、ふきや旅館への宿泊から始まった。同館は3つの貸切風呂と、岩造りの露天風呂を備えた男女別の大浴場があり、7つの湯めぐりを楽しめる。料理は毎月内容を変え、提供している。

 モニターツアーのメインは、国の登録有形文化財となっている4旅館巡り。各宿の歴史や特徴などを宿の女将など「湯河原人(まち案内人)」に直接聞くことで、宿泊機会を創出することが狙い。新ブランドの核にもなるコンテンツだ。

富士屋旅館 旧館

 旧館、洛味荘、新館からなる「富士屋旅館」は、閉館から17年の時を経て2019年に生まれ変わった宿。現存する建物のなかで最も歴史があるのが1923年に建てられた旧館で、2020年に国の登録有形文化財に指定された。

源泉 上野屋の足湯

 湯河原で最も長い歴史をもつといわれる「源泉 上野屋」は、江戸時代ごろから湯宿を始めたと伝えられている、湯河原温泉の数ある旅館の中で一番古い宿。1930年に建てられた本館、23年に建てられた別館、36年ごろに建てられた玄関棟が国の登録有形文化財となっている。最上階には足湯と、昭和初期に作られた客室を改築した湯上り処があり、湯河原の大自然を愛でながら癒しのひと時を過ごすことができる。

 1882年創業の「藤田屋」は、東郷平八郎を始め多くの文化人、著名人の足跡が残る宿。宿は本館と新館からなり、本館が有形文化財として登録されている。

 1888年創業の「伊東屋」は、島崎藤村ゆかりの宿で、小説「夜明け前」の原案を練ったといわれる。 館内見学では、明治天皇の侍従長であった徳大寺実則公爵滞在のために大正初めに造られた部屋などを見学し、同館の歴史に触れた。

 今年4月、万葉公園の入り口に「万葉公園玄関テラス」がオープンした。1階にあるテイクアウト専門のカフェではドリンクやスイーツなどを提供。湯河原ゆかりの作家などの本も自由に持ち出せるようになっており、公園内での読書や、カフェタイムを楽しめるようにした。

万葉公園内を巡る

 また川沿いの遊歩道も新調し、新たに7つのテラスを設置。各テラスでもくつろぎの時間を過ごすことができる環境を整えたほか、8月には日帰り入浴施設「惣湯テラス」も開業した。モニターツアーでは万葉公園の歴史を聞きながら、園内を回った。

 同ツアーは、観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業(第一次)」の支援を受け、地域活性プランニング(東京都)が企画プロデュース・運営役を担った。

 また、モニターツアーには跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の学生も参加。20代女性の目線で湯河原を体験し、観光関係者らと意見交換を行った。

ツアーを振り返って

参加者の声

 人々のおもてなしが一番の魅力でした。高級で品のあるというイメージは変わりませんが、今回参加してその魅力にプラスして、親しみやすさが加わりました。

 温泉が湯河原一番の魅力。7つの湯めぐりをふきや旅館でできて、満足でした。

 説明を聞くことで、宿の価値を知ることができました。湯河原に文化財の宿があることが新発見でした。

 読書やカフェタイムを大自然のなかで楽しめる施設は少ないので、新しくなった万葉公園は若い人たちに流行るのでは。

 横浜や東京から箱根に出掛ける際には、小田原での乗り換えが必要だが、湯河原は乗り換えが必要ないので、仕事終わりに来る場所としてのアクセスがいい。

(跡見学園女子大学生の声を含む)

ツアーのねらい 関係者が語る

 高級という湯河原のイメージに対し、若者にも手が届く値段で宿泊してもらい、20~30代女性の認知度を高めることが今回のモニターツアーの狙いです。そのために金曜泊、レイトチェックインとし、夕飯を提供しないことで、宿泊料金を抑えました。旅行業者に商品化していただくことが目標です。
 各旅館さんでも需要があればプランを作っていただけると思うので、今回のモニターツアーをお試しの機会として考えていただければと思います。(湯河原町役場 宮下睦史 観光課長)

 おなじみさんになっていただくためには、旅館から出ていただくことが大事です。町を歩き、地元の人が気が付いていないような魅力的な場所を発見してもらう。独自の湯河原を見つけていただきたいと思います。(湯河原温泉観光協会 久能木孝一 企画課長)

 湯河原には約70件の旅館があり、宿泊料金もさまざまです。消費者のニーズに合わせ、宿ごとにどういったプランを出していくかは、それぞれの判断になります。
 ふきやでは日帰りプランを実施していきますが、こういったプランを通じて高級旅館の敷居を低くしていくのもいいと思います。(湯河原温泉ふきや 山本一郎 代表)

 湯河原は箱根や熱海に比べ、宿泊客は2割以下と日帰り客が多く、若年層の認知度低下が課題であることから、「次世代の来訪」を増やすために今回のモニターツアーを企画しました。

 元々ある「歴史ある温泉旅館」や「ひとのおもてなし」を観光資源として、疲れを癒しに来訪させ、若年層でも手が届く憧れの温泉地として発信してもらう狙いです。参加者の声を検証し、さらにブランドイメージの定着を目指していければと思います。(地域活性プランニング 安黒道晃 ゼネラルマネージャー)

 今回のモニターツアーを通し出された意見を吸収し商品化につなげることで、より湯河原に若い人が来てくれればと思います。(近畿日本ツーリスト横浜支店 上山伸二 営業課長代理)