【第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井 ~北陸復興へ 地域の食と工芸品を世界に~】想いを能登に届ける

2024年12月25日(水)配信

会場のようす

 「第35回北前船寄港地フォーラムin加賀・福井」と「第6回地域連携研究所大会」が2024年11月21(木)~23日(土)、石川県加賀市のみやびの宿 加賀百万石と福井県福井市の福井県産業会館で開かれた。また、21日には北前船日本遺産推進協議会記念大会in加賀が同旅館で開催された。3大会のテーマは、「能登半島地震からの北陸復興」と、「北陸新幹線延伸開業を契機とした北前船文化の世界発信」。全国から国や自治体、観光事業社など約600人が出席し、震災復興や地域振興に向けて、連携や交流を深めた。 

【木下 裕斗】

 北前船は、江戸時代から明治20~30年代まで、北海道、東北、北陸、瀬戸内、関西、九州などの地域を結ぶ重要な物流ネットワークとしての機能を果たしていた。このため、当時は立派な経済圏が存在していた。

 こうして栄えてきた各寄港地を点から面に、さらに「回廊」へと発展させようとする「北前船コリドール構想」が北前船寄港地フォーラムの根底にある。

 地域間交流拡大をより強力に推し進め、地域活性化や訪日外国人客の誘客拡大を目指し、第1回は2007年に山形県酒田市で開催。地元実行委員会が主催し、北前船交流拡大機構が協力している。

 20年1月から地域連携を進めるために、同機構の兄弟法人として、地域連携研究所が設立された。22年10月に発足式を開催し、地域連携研究所大会を北前船寄港地フォーラムと併催してきた。

フォーラムin加賀 小泉進次郎氏も出席

 11月22日(金)に開催された北前船寄港地フォーラムin加賀の開会あいさつにおいて、北前船日本遺産推進協議会会長で石川県加賀市長の宮元陸加賀市実行委員会会長は「復興の想いを能登へ届けたい」と決意を述べた。

宮元陸会長

 北前船交流拡大機構の久保成人副会長は「北陸・能登の再建に向けた道筋を付けたい」と意気込んだ。

 来賓の観光庁の秡川 直也長官は「コロナが明け、皆様の力で観光が発展している。さらなるステップアップに貢献してほしい」と語った。

秡川直也長官

 第2部「石川県の復興支援に向けた取り組み」で元観光庁長官の和田浩一氏は、国が観光を成長戦略の柱とし、高付加価値化に取り組んでいることを紹介した。

 講演では、北前船交流拡大機構の上口昌徳顧問が登壇し、自身が92歳を迎えたことを報告。人生経験を踏まえ、北前船の歴史のほか、文化観光への理念と哲学を語った。

上口昌徳顧問

 復興に向けた観光の取り組みを考えるパネルディスカッションでは、観光庁の長﨑敏志観光振興部長が「被災地支援にはお祈りだけでなく、行動が欠かせない」と述べた。パネリストの日本航空の岩見麻里中部支社長と、全日本空輸の石井智二取締役、西日本旅客鉄道マーケティング本部の岡田学鉄道マーケティング部長、日本旅行の吉田圭吾常務が各社の取り組みを発表した。

 第3部の特別講演では、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が「地方創生のために楽天市場を創設した」と話し、地域振興に資するグループの取り組みを語った。

三木谷浩史会長兼社長

 小泉進次郎衆議院議員は地元である神奈川県横須賀市の地域活性化策を紹介し、「土地ならではのモノを磨くべき」と提言した。

小泉進次郎衆議院議員

 総括は日本旅行の小谷野悦光社長が行った。

福井市でも開催 「新幹線延伸生かす」

 23日(土)には北前船寄港地フォーラムin福井が開かれた。主催者あいさつで、福井県知事の杉本達治福井県実行委員会会長は「各地に色濃く残る北前船文化を強力に発信し、北陸新幹線敦賀開業を生かした交流拡大につなげる」と力を込めた。

 日本航空副会長で北前船交流拡大機構の清水新一郎理事長代行は「鉄道の魅力も生かしながら、航空と合わせた商品を展開し、送客増加に貢献する」と考えを示した。

清水新一郎理事長代行

 スペシャルトークセッション「京都へ、そして世界へ~世界の和食を支える昆布、福井の伝統工芸~」では、京都料亭「菊乃井」社長の村田吉弘氏と奥井海生堂社長の奥井隆氏、福井県副知事の中村保博氏が登壇。

パネルディスカッションのようす

 村田氏は「北前船によって福井県・敦賀に運ばれた昆布が京料理をはじめとした和食文化の発展に貢献した」と北前船文化を評した。

 奥井氏は「出汁の味は水で変わる」と語り、水と北前船で運ばれた昆布を組み合わせることで和食文化の魅力が高まり、世界へ発信してきた歴史を説明した。

 中村氏は「福井県には刃物や箸、和紙など和食に必要なものがそろっている」とアピール。これによって、「地域のさまざまな人による地域交流が盛んになり、和食文化は発展している。これを世界に発信していく」とした。

 最後に奥井社長が福井県実行委員会副会長として、閉会の言葉を述べた。

「SB Student Ambassador 全国大会」開催 サステナブルを考える9校を招待(日本旅行)

2024年12月25日(水) 配信

2024年ブロック大会での活動のようす

 日本旅行(小谷野悦光社長)は2025年3月18(火)、19日(水)に行われる「サステナブル・ブランド国際会議2025 東京・丸の内」において、「SB Student Ambassador 全国大会」を共催する。同大会には、秋季に開催したブロック大会出場校から104校のうち、論文選考を通過した9校を招待する。

 サステナブル・ブランド国際会議では、サステナビリティに対して先進的に取り組む企業や自治体、各界の第一線で活躍するイノベーターが集まり、相互交流する。

 高校生参加の目的について、同社は、「次世代を担う未来のリーダーである高校生に、最新のサステナビリティへの取り組みに対して知見を深めてもらうと同時に、高校生が持つ価値観や社会に求めるものを共有し、サステナブルな社会の実現に向け共創していく機会にしたい」とした。

 このほど参加するのは次の9校。

▽北海道ブロック・帯広大谷高等学校(北海道帯広市)
▽東北ブロック・青森県立三本木高等学校(青森県十和田市)
▽東日本ブロック・駒場東邦高等学校(東京都世田谷区)
▽東海ブロック・浜松開誠館高等学校(静岡県浜松市)
▽北陸ブロック・福井県立若狭高等学校(福井県小浜市)
▽西日本ブロック・清風南海高等学校(大阪府高石市)
▽中国ブロック・清心女子高等学校(岡山県倉敷市)
▽四国ブロック・生光学園高等学校(徳島県徳島市)
▽九州ブロック・八女学院高等学校(福岡県八女市)

23年度国内修旅は中学95%実施 新学習指導要領による変化26%が「ある」 日修協調べ

2024年12月25日(水) 配信

 

 日本修学旅行協会(竹内秀一理事長)が12月1日(火)に発行した、2023年度版教育旅行年報「データブック」によると、23年度の中学校における国内への修学旅行の実施率は94.9%、高等学校は94.1%だった。探究的な学習の実施などが盛り込まれた新学習指導要領の施行を踏まえて尋ねた「今後の実施方法に影響や変化はあるか」では、中学校の25.7%、高等学校の31.8%が「ある」と答えた。

 調査は中学校の1038校と高等学校の1123校から回答を得た。

 旅行先は京都(24.2%)がトップ。以降は奈良(18.7%)、東京(8.7%)、大阪(同)、千葉(5.8%)と続いた。

 実施時期では、5月が313件で最多。次いで6月の167件、4月の105件、9月の102件だった。

 高等学校で最も多かった旅行先は沖縄(12.8%)。続いて大阪(12.7%)、京都(10.9%)、東京(9.6%)、千葉(8.5%)。

 実施時期は、10月が265件で最多。以降は11月の261件、12月の247件、1月の83件の順。

 新学習指導要領の施行を踏まえた具体的変化について、中学校は探求型プログラムの実施が94件で最多。以降は平和教育・平和学習を取り入れる(81件)、SDGsをテーマとしたプログラムの実施(61件)キャリア教育の要素を取り入れる(58件)、異文化体験・英語学習を取り入れる(40件)と続いた。

 高校では、「平和教育・平和学習を取り入れる」が115件で最も多かった。次いで、異文化体験・英語学習を取り入れる(111件)、探究型プログラムの実施(103件)、アクティビティ・スポーツ体験を取り入れる(87件)と続いた。

加賀屋、26年度冬に新旅館開業へ 復興に向け再始動

2024年12月25日(水) 配信

和倉温泉に建設する新旅館(イメージ)

 石川県・和倉温泉の加賀屋(渡辺崇嗣社長)はこのほど、新たな旅館の建設などを含めた「加賀屋 真・RYOKAN計画」を発表した。能登半島地震から1年が経過するなか「復旧から復興へ 進化から新加へ」を合言葉に、復興に向けた取り組みが本格化する。

 新たな旅館は、現在の加賀屋から約550㍍離れた海岸沿いの所有地(敷地面積約3万平方㍍)に建設する。5階建ての本館と離れの構成で建物面積は約8610平方㍍。設計は隈研吾建築都市設計事務所が担当する。開業は2026年度冬を予定する。

 客室は約50室。全室オーシャンビューで温泉風呂付(露天または半露天)客室となる。館内には、ロビーや大浴場、テラスのほか、伝統文化体験スペースを設置。伝統工芸品の紹介なども行う。加賀屋流のおもてなしはもちろん、ユネスコ無形文化遺産の「和食」や能登の里山里海の恵みを使った料理などを通じて、能登文化の魅力を発信する。基幹システムの刷新や厨房の省力化、エコ機器導入など、環境負荷低減に向けたSDGsへの取り組みも推進する。

 計画では、グループ全体のリブランディングも行い、各館の特徴の明確化・差別化をはかる。同温泉にある「あえの風」「虹と海」「松乃碧」の3館については、26年度の営業再開を目指す。

 加賀屋では、以前から抱えていた課題や弱みを改善し生産性・効率性を向上させ、働き方の課題をも改善する仕組みを新旅館に取り入れるとしており、時代のニーズにマッチした加賀屋ならではのおもてなしを提供するとともに、能登の文化や食材を発信することで、1次2次3次産業と連携・協力し、幅広い業界に経済波及効果を広げ、宿泊業としての使命である「明日への活力注入業」の務めを果たしたいとしている。

シンガーソングライターYaeさんライブ、来年1月20日島根県・奥出雲で開催

2024年12月25日(水) 配信

 島根県・奥出雲町の奥出雲百姓塾で2025年1月20日(月)、シンガーソングライター・Yae(やえ)さんのライブが行われる。

 Yaeさんは歌手・加藤登紀子さんの次女で、NHKみんなのうたやウォルトディズニー生誕110周年記念作品ディズニー映画「くまのプーさん」の主題歌の歌唱などで知られる。現在は自然豊かな里山暮らしとライブ活動を行う「半農半歌手」として活躍している。

 ライブは午前10時30分開演。ライブ終了後にはYaeさんも交え、奥出雲の仁多米おむすびセットを食べながらの交流会がある。

 料金は前売り大人3500円、大学生以下1500円、小学生以下500円。当日はそれぞれ500円増しとなる。予約・申し込みは奥出雲多根自然博物館のホームページにリンクされたフォームで受け付ける。また、同博物館への電話予約も可能。

 会場となる奥出雲百姓塾は築80年の古民家をリノベーションした施設で、同博物館が運営する。宿泊機能も備えた体験交流施設で、奥出雲の田舎生活や自然、文化の魅力を発信している。

日本クラシックホテルの会が「スイートルームフェア」 1月6日~3月31日まで

2024年12月25日(水) 配信

9ホテルが加盟

 日本クラシックホテルの会は2025年1月6日(月)~3月31日(月)まで、共同企画「スイートルームフェア」を開く。より多くの人にクラシックホテルの魅力を体感してもらうため、各加盟ホテルがスイートルームを特別価格で提供する。宿泊者には1泊につき1部屋1本、オリジナルラベルワインをプレゼントする。

 同会は、明治の文明開化以来、西洋のホテル文化を日本で導入し、歴史と伝統を守っている9ホテルがよりクラシックホテルの魅力を発信しようと2017年に発足した。共同で販促商品の企画やPR活動を展開している。加盟ホテルは日光金谷ホテルと富士屋ホテル、万平ホテル、奈良ホテル、東京ステーションホテル、ホテルニューグランド、蒲郡クラシックホテル、雲仙観光ホテル、川奈ホテル。

 スイートルームフェアのプランは各ホテルにより異なる。予約や詳細は各ホテルのホームページへ。

ミキハウスとのコラボルームを開始 杉乃井ホテル、旗艦棟の「宙館」で

2024年12月25日(水) 配信

宙館ミキハウスルーム イメージ

 別府温泉杉乃井ホテル(鞍馬達也総支配人、大分県別府市)はこのほど、三起商行(ミキハウス、木村皓一社長、大阪府八尾市)とのコラボルームの展開をフラッグシップ棟「宙館」で開始した。同ホテルでは、子供にも楽しんでもらうため、レストランでの子供向けメニューの提供や施設内でのキッズエリアの設置などをしているが、未就学児の子供を持つ家族向けに、より安心安全に過ごしてもらえる施設を目指す。

 コラボルームは、ミキハウスのキャラクター「ブッチー」と「うさこ」が、杉乃井ホテルの大露天風呂を楽しむようすなど、オリジナルデザインが施されている。つまみを回して遊ぶ歯車などが付いたバス型のプレイウォールも備え、客室内で遊ぶことができる。また、宿泊記念にアメニティのミキハウスのオリジナルグッズを持ち帰ることができる。

 客室内にはトイレ補助便座とオムツ用ゴミ箱、洗面所用踏み台を準備するほか、無料の貸出品として、ベッドガードやバンボ、バウンサー、ベビーカー、調乳ポットを用意する。ベビーベッドは有料で貸し出す。

 宿泊プランは「1日2室限定 お子さまとのお祝い旅行に 宙館ミキハウスルーム」で1泊2食付きとなる。5人1室利用時1人2万3500円から。予約は公式Webサイトからのみ受け付けている。

【日本秘湯を守る会】第50回総会開く 「理念」に立ち返り、仲間との結束強める

2024年12月25日(水) 配信

「日本秘湯を守る会」の星雅彦会長

 日本秘湯を守る会(星雅彦会長、139会員)は12月19日(木)、福島県・磐梯熱海温泉のホテル華の湯で、第50回「2024年度定時社員総会」を開いた。創立50周年を経て、次世代へとつなぐ、仲間とともに生きる理念“旅人の心に寄り添う 秘湯はひとなり”を大切にしていくことを再確認した。

 任期満了に伴う役員改選では、星会長ら役員の留任を決めた。

 星会長は冒頭、「皆さんのご協力のおかげで今年3月には、大きな節目となる50周年記念式典を盛大に開くことができた」と謝意を述べた。さらに、「『人はなぜ旅に出るのか』を求め続けて宿をつくっていくことは、これから先何年たっても変わらない。皆で前に向かって歩いて行くときに、理念の共有はとても大事」と語り、会の理念に立ち返り、仲間との結束を強めていく姿勢を示した。

 今年度は、公式Web予約サイトでの販売増を目指し、外国語対応も進めていく。会員宿の紹介冊子「日本の秘湯」23版の出版も検討していく。

 また、同会は東京都第2種旅行業登録をしており、今後旅行業としての事業も拡大していく考えだ。

日本温泉文化を守る会「素のままで対応できる」

 

「日本温泉文化を守る会」の佐藤和志会長

 続いて、日本温泉文化を守る会(佐藤好億名誉会長、佐藤和志会長)の第4回「2024年度定時社員総会」を開いた。任期満了に伴う役員改選では、全役員の留任を決めた。

 同会は、「日本秘湯を守る会」(星雅彦会長)、「日本源泉湯宿を守る会」(桑原清会長)、「日本文化遺産を守る会」(小山田明会長)の3部会の親会。佐藤和志会長は「国はインバウンド6000万人を方針として掲げているが、外国人旅行者が何を求めているかと言えば、『素のままの日本』ではないか。我われは『素のまま』で十分に対応できるグループだと思っている。これからも長く日本の伝統的な温泉文化を残し、守っていこう」と呼び掛けた。

 地熱発電開発問題への対応では、各部会と連携しながら、モニタリングや調査などを実施しデータの蓄積を行っていく。環境省の坂口隆温泉地保護利用推進室長や、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の西川信康特別参与も出席し、会員宿と意見交換を行った。無秩序な地熱開発とならないよう、お互いがコミュニケーションを取り合うことの重要性を認め合った。

 佐藤好億名誉会長は、「私たちは先祖から今日まで、限界集落で温泉を守り未来へとつないでいる」とし、「それぞれの宿が地域で果たす役割に、『誇り』『勇気』『自信』を持って、次の世代にしっかりと温泉文化をつないでいっていただきたい。これが日本温泉文化を守る会が目指すべき中身」と力を込めた。

年末年始の営業日のお知らせ

2024年12月25日(水) 配信

拝啓 師走の候、貴社益々のご盛栄のこととお喜び申し上げます。

本年は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。

早速ではございますが、弊社は2024年12月26日(木)から2025年1月5日(日)まで年末年始休暇とさせていただきます。よろしくご了承のほどをお願いいたします。

お問い合わせ購読のお申込みにつきましては、1月6日以降順次対応させていただきます。

本年中のご愛顧に心より御礼申し上げますとともに、来年も変わらぬお引立てのほど、よろしくお願い申し上げます。

敬具

 

2024年12月25日

株式会社 旅行新聞新社

代表取締役 石井 貞德

マイナビグローバル、特定技能の退職理由「業務・職場の不満」が最多 外国人材定着へ対策も解説

2024年12月24日(火) 配信

杠元樹社長

 マイナビグローバル(東京都千代田区)の杠元樹(ゆずりは・もとき)社長はこのほど、「特定技能外国人の退職理由と傾向」について語った。多くの企業で人手不足が課題となるなか、外国人材の定着率向上のために、日本の受入企業が行うことができる対策を解説した。

 同社で支援する特定技能外国人350人を対象に調査を実施。国籍の内訳はベトナムが64.5%、インドネシアが18.3%、ミャンマーが12.9%、ネパールが1.9%、中国が1.3%だった。

 退職理由(複数回答)は、「業務・職場の不満(31.4%)」が最も多かった。以降は「給与の不満(29.1%)」、「結婚・妊娠・母国の家族都合(21.4%)」、「人間関係の不満(15.1%)」と続いた。

 「業務・職場の不満」を詳細に尋ねた結果、「業務内容が合わなかった・嫌だった」が52.7%でトップだった(複数回答)。次いで、「体力的についていけなかった(20.0%)」、「仕事量が多かった」(13.6%)の順となった。

 杠社長は「企業側の『日本語能力を重視した採用』が大きな理由」と説明し、「業務の経験や親和性に重きを置き、選考してほしい」とした。日本語については、仕事を通じて能力を向上させる人が多いことから「成長を加味して採用してほしい」と受入企業に要望した。

 「人間関係のどのようなことに不満を感じたか」(複数回答)では、「日本人の同僚との関係がよくなかった」が37.7%で最多。2位は「上司との関係がよくなかった」(35.8%)、3位は「同国籍の人がいなくて寂しかった」(11.3%)と続く。

 杠社長は「給与や家族都合による退職は企業側の対応に限界がある。人間関係は対処しやすい」として、日本人との関係構築のため「特定技能人材と最も関わる時間の多い現場社員に、外国人材の必要性について理解を促してほしい」と話した。

 職場における時間の厳守や場の空気を読むことについては、「日本人の特徴。文化的背景の違いを認識することで、(日本人スタッフの)ストレスも減る」とアドバイスした。

 退職者の在籍期間は、10~12カ月が25.4%で最も高かった。この理由として、在留資格の更新期間が最大1年であることが影響しているという。続いて、7~9カ月(18.9%)、4~6カ月(14.9%)、1年1~3カ月(12.6%)、3カ月以内(7.7%)、1年4~6カ月(10.0%)、1年7~9カ月(4.0%)、1年10カ月~2年(同)、2年1カ月以上(2.6%)の順。

 一方、1年目以降の割合は少ないため、「入社1年以内での職場環境や業務特性に合わせた対策が企業に求められる」と呼び掛けた。