夏期一時金が増加「時短方針」に尽力

7月25日に会開した小川一副会長(右)
7月25日に会開した小川一副会長(右)

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(大木哲也会長)は7月20日に第12回定期大会を開き、「2012年春季生活闘争」の報告や、年間総実労働時間1800時間以内を目指す「時短方針」に力を入れることを確認した。

 11年度春季生活闘争では、ホテル・レジャー業で、賃金改善は定期昇給分のみにとどまり、6月21日現在で、集計できた合意16組合の単純平均は昨年の4012円より193円低い3819円となった。一時金は、年間で妥結した19組合の単純平均で2・22カ月と、昨年の1・61カ月を上回った。また、年間の要求に対し夏期一時金のみの回答となった組合も多く、夏期一時金は37組合の単純平均で昨年の0・88カ月を上回る1・07カ月となった。

 観光・航空貨物業での賃金改善要求は、6月21日現在で集計できた合意36組合の加重平均は5669円、単純平均は5914円という水準になった。企業業績の回復もあり、9組合が純粋な賃金ベースアップを要求し、1組合で前進があった。夏期一時金は、49組合の単純平均で昨年の1・14カ月を上回る1・72カ月となった。

 また、2007年に「年間総実労働時間1800時間に向けた取り組み」方針を確認し取り組んできたが、今年度はさらに「時短方針」を強化する。年間総実労働時間1800時間達成を目指し、(1)第1目標は年間所定内労働時間2千時間以内(2)第2目標は年間総実労働時間2千時間以内(3)第3目標は年間総実労働時間1900時間以内(4)第4目標は年間総実労働時間1800時間以内――と段階的に4つの目標を設定し、取り組んでいく。

 また、渦古副会長の退任にともない、後任にはJTBグループ労働組合連合会の小川一氏が選ばれた。

初の訪日旅行商談会、海外旅行会社65社を招く

 日本旅行業協会(JATA)は9月20―23日の4日間、東京ビッグサイトで「JATA国際観光フォーラム・旅博2012」を開く。そのなかで、20、21日の業界日に行う「国際商談会」は、従来のアウトバンド商談会、メディア・ミーティングに加え、初のインバウンド商談会を実施。海外旅行会社65社を招聘するなど、ツーウェイ・ツーリズムの総合商談会として、国内外の旅行関係者から今まで以上の注目を集める。

昨年の国際商談会のようす
昨年の国際商談会のようす

 今年度の「JATA国際観光フォーラム・旅博2012」は「新たな旅文化の創造!」をテーマに、「国際観光フォーラム」「国際商談会」「旅博(展示会)」の3つの主要イベントで構成。今回から、海外旅行だけではなく、国内旅行も含めた総合的な旅イベントに大きくギアチェンジし、アジア最大規模の旅のイベントとして、さらなる広がりを見せる。7月末日時点の見通しでは国際観光フォーラムの参加者は国内外から約800人、旅博の出展ブースは約1千ブースと過去最大規模の開催となる模様。

 また、国際商談会のうち、初開催のインバウンド商談会は、買い手側の訪日旅行を取り扱う海外旅行会社の質を重視。観光庁が訪日旅行の重点市場に指定している15カ国・地域を中心に、各トップ旅行会社3―5社を選考し、計150社に招待状を発送した結果、65社65人がバイヤーとして参加することが決定した。国内のセラー(サプライヤー)としては、旅行会社やホテル・旅館、地方自治体、観光協会などの関係者約200人が参加する。

 一方、アウトバンド商談会は世界145カ国・地域の関係者とJATA会員など国内の旅行会社が商談を行う場として、セラーは500社800人、バイヤーは100社300人が参加。好調に推移する日本人海外旅行市場などを背景に、旅博の出展もサプライヤーのコマ数が史上最高となったことから、例年以上の盛り上がりが期待されるという。

 このほか、国内・海外出展者が日本のメディアにアピールする「メディア・ミーティング」には60社120人の参加を見込んでいる。

 なお、商談会の参加受付は7月31日に終了。今回から商談会登録を全面的に再構築し、完全にオンライン化にしたことなどが奏功し、事前登録ベースでアウトバンド商談会3千件、インバウンド商談会1千件の設営を予定している。

日台観光促進年継続へ、相互交流300万人に向け

日台の観光関係者が集結
日台の観光関係者が集結

 日本観光振興協会は日本旅行業協会(JATA)と台湾観光協会と協同で、7月6日、台湾・花蓮県で「2012日台観光サミット」を開いた。日本、台湾の観光関係者のトップ175人が参加し、相互交流人口300万人の目標に向け、2013年まで「日台観光促進年」を継続することなどを話し合った。

 サミットでは、JATAの菊間潤吾会長と台湾観光協会の張家祝会長がそれぞれ基調報告を行ったほか、日台のインバウンド、アウトバンドの状況を双方が発表した。また、出席者からはオープンスカイ時代に対応した日台双方の誘致策や、日台間の相互交流拡大のための新しい旅行商品の造成についてさまざまな発言があった。

 最後は、日本観光振興協会の西田厚聰会長が今サミットで話し合われた内容をまとめて発表した。オープンスカイで実現した新規就航路線を積極的に活用し、双方の強みを活かした情報発信と教育旅行などの相互交流を強化するため、イベントの積極的活用とソーシャルネットワークサービス(SNS)などを活用したキャンペーンを展開することなどを、全会一致で承認した。

 なお、来年の日台観光サミットは三重県内で開催する予定。日程は未定。

No.318 グリーンユーティリティー - “成功報酬”で初期費用ゼロ

グリーンユーティリティー
“成功報酬”で初期費用ゼロ

 福島原子力発電所の事故以来、電力に限らず各資源に対する“エコ”への取り組みが加速している。宿泊施設も例外ではなく、地球環境への配慮は当然のこと、コストが削減できるというメリットも大きい。一方で、初期投資などへの不安から踏み切れずにいる施設も少なくないだろう。産学協同で環境ソリューション事業を展開する会社「グリーンユーティリティー」は初期費用がゼロの"成功報酬"というビジネスモデルを提案する。森幸一社長に事業内容を聞いた。

 

【聞き手=旅行新聞新社社長・石井 貞徳、構成=飯塚 小牧】

 

≪投資なしの省エネで経費削減≫

 ――会社の経緯を教えて下さい。

 私自身は1970年代のオイルショックがきっかけで、省エネルギーを考え始めました。国もオイルショックを機に、限りあるエネルギーの有効利用を目的に省エネルギー法を施行しましたが、電気にも大きな損失があることから改善が必要となりました。これを基本に電気や水、そしてボイラーなどの燃料にも大きな無駄があることが分かり、これを改善することで経費の削減、メンテナンスの軽減になりお客様に喜んでいただけて、ビジネスにもなることから会社(東洋テクニカ)を立ち上げました。それから長年、省エネの研究を続けてきました…。

 

※ 詳細は本紙1471号または8月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

「旅」が専門の旅行会社 ― 潜在願望を掘り起こせ(8/11・21付)

 JR各社の広告は上手い。JR東海の「そうだ京都、行こう。」シリーズは毎度旅情をそそられる。JR東日本の「大人の休日倶楽部」は、吉永小百合さんを起用した長野県「戸隠」編など魅力的なシーンをたくさん演出している。JR九州の九州新幹線全線開通のコマーシャルも感動的ですごく良かった。

 テレビや雑誌などを見ていて、ふと、「旅行に行きたい」と思う瞬間にときどき出会う。何気ない情景ほどいい。海沿いを走る列車から人のいない青い海を眺め続ける。そして停車した駅で、弁当売りのおばちゃんが駅弁の箱を持って現れるというような映像を見たなら、きっと旅に出たいと思うだろう。風情ある旅館の2階で蝉の声だけを聞いている光景も旅情をかきたてる一場面だ……。日常とは異なる空間に身を置きたいという欲求と、それ以上に「いつもとは異なる時間を過ごしたい」という潜在意識が、おそらく誰にも潜んでいるのだと思う。

 さて、私は何が言いたいのか。旅行会社がテレビコマーシャルを打つのは大賛成なのだ。けれど、それが果たして根本的な部分で旅行需要の掘り起こしにつながっているのかという疑念が最近フツフツと湧いてくるのだ。自社の広告宣伝費に他人がとやかく言うべきものではない。だが、旅行の専門会社であり、「旅」を唯一の商品とする旅行会社の広告には、名の売れたタレントを起用して「安売り」をアピールするだけではなく、「旅行会社にしかできない」練り上げられた力技を見せつけてほしいと願ってしまうのである。その点、先に挙げたJR各社は、テレビコマーシャルをはじめ、雑誌広告、ポスター広告も本気度が伝わってくる。

 スマートフォンばかりに夢中になる若者や、携帯電話で雁字搦めになったビジネスマンを旅に行かせるにはどうすればいいか。パソコンに囲まれたオフィスでスマホを床に叩きつけ、そのまま旅に出るシーンを演出すればいい。多くの現代人は閉塞的な社会に飽き飽きし、わずか数日間でもいい、スマホの電波の届かない「全き自由」な場所に逃れたいという潜在願望を抱いているのではないだろうか。

 旅行会社には、現代社会へのアンチテーゼとして少々過激であったとしても、そのくらいの意気込みで、「旅に出ること」の意義を見せつけてもらいたいものだ。

(編集長・増田 剛) 

オフ期の宿泊促進、冬の魅力を積極的に発信

荒井正吾知事
荒井正吾知事

 奈良県ビジターズビューローは7月5日、東京都内のホテルで首都圏の旅行会社や報道関係者を対象に、「冬」の奈良の魅力を紹介する「奈良観光プロモーション会議・交流会」を開いた。同県は2010年に行った平城遷都1300年祭で認知度が向上した一方、オフ期の冬は宿泊が落ち込んでいるのが現状だという。そこで今回は冬の送客促進を狙い、新コンテンツなどを積極的に発信した。

 会議では、県や市町村、施設などさまざまな観点から各地域の素材をプレゼンテーション。そのなかで、奈良県ビジターズビューローは、冬の時季に行われる社寺仏閣の伝統行事を紹介した。

 とくに、冬の静寂とした夜を炎や灯りで彩る祭典は幻想的な世界が広がる。代表的な「若草山焼き」は、奈良市・若草山で毎年1月の第4土曜日に行われるもので、約33ヘクタールの山全体が焼かれる。来年は1月26日の予定。このほか、奈良市の奈良公園と春日大社、東大寺、興福寺を夜間に明かりでつなぐ「しあわせ回廊~なら瑠璃絵」は、イルミネーションが楽しめるイベント。開催期間は2月8―14日まで。

 また、体験メニューでは奈良独自の体験メニューとして注目度が高い「にぎり墨体験」を紹介。奈良市「錦光園」で体験できるにぎり墨は、生の墨を手で握り、手の型と指紋を付けてオリジナルの1品を作るもの。約30―40分で完成し、1回150人まで受け入れが可能。一丁1050円。さらに、市内のホテル・旅館に25人以上で宿泊し、施設側がスペースを提供できる場合は出張にも対応する。

 会議後は、荒井正吾奈良県知事も加わり、交流会を開いた。荒井知事は「有名地の押しつける観光ではなく、1度来ていただいた方に『あの景色がまた見たい』『あのおそばが食べたい』と思ってもらえるような観光地になりたい。あるものの魅力を磨いて展示する作業は難しいが、皆さんのご指導をお願いしたい」とあいさつした。

美作建国から1300年、瀬戸内芸術祭へは岡山から

石井正弘知事
石井正弘知事

 岡山県は7月3日、東京都内のホテルで「晴れの国おかやま観光プレゼンテーション」を開いた。石井正弘知事自ら登壇し、「瀬戸内国際芸術祭2013」や「美作国(みまさかのくに)建国1300年」などをトップセールスした。

 瀬戸内国際芸術祭は、瀬戸内海に浮かぶ島々が舞台の現代アートの祭典。2010年に開いた第1回は、約3カ月の期間中に93万人(事前予想30万人)の来訪者を集めるほど好評を博し、3年ごとの開催が決定している。一方で、島に行くための唯一の交通手段である船に、来訪者が集中する課題も残した。そこで13年の開催では、期間を春、夏、秋の3回に分散する。春は3月20日からの33日間、夏は7月20日から44日間、秋は10月5日から31日間。芸術祭に参加する島々のうち岡山県に属するのは犬島のみだが、アクセスは岡山から宝伝港と宇野港を利用するのが便利だ。

 平安時代に編さんされた続日本紀によると713年、備前国から北部6郡が分かれて美作国が建国されたと記されている。13年はその建国から数えて1300年にあたり、美作エリアの10市町村で記念事業を展開する。同エリアは、全国露天風呂番付で「西の横綱」として有名な湯原温泉(真庭市)をはじめ、奥津温泉(鏡野町)、湯郷温泉(美作市)などを有し、温泉地としても魅力がある。今後のスケジュールは専用HPを立ち上げ随時発信。PR天使に就任したご当地アイドル「saku Love」も盛り上げる。

 交流会では「ひるぜん焼きそば」「津山ホルモンうどん」「日生カキオコ」などB級グルメがふるまわれた。昨年11月にB―1グランプリでこれら岡山県勢が上位を独占。県として「ご当地グルメうまい県!おかやま」を宣言している。今年11月17、18日はJR赤穂選伊部駅周辺で「おかやまご当地グルメフェスタin備前」、13年は津山市で「近畿・中国・四国B―1グランプリin津山」が開かれる。

サンバで熱気と歓声、ほろ酔いウォークと共催

温泉街に元気を届けた
温泉街に元気を届けた

 福島県飯坂温泉で7月13、14の両日、夏の恒例行事「第26回ほろ酔いウォーク2012」が開かれた。昨年に引き続き、14日にはサンバパレード「飯坂deサンバ」も行われ、温泉街は熱気と歓声であふれた。

 サンバパレードは、震災後の自粛ムード払しょくや被災者の応援を目的に企画。昨年は浅草サンバカーニバルの常連チーム「アレグリア」がボランティア協力した。今年は飯坂温泉観光協会が同メンバー約50人を温泉街に招いた。

 飯坂温泉駅前で大勢の観客が見守るなか、楽器隊の演奏を皮切りに、温泉街約1㌔のパレードがスタートした。陽気なリズムに誘われ、大勢の観客が沿道を埋め尽くし、1年ぶりに温泉街を練り歩くアレグリアに、大きな拍手が送られた。一緒に踊る観客もいるなど、約1時間のパレードは盛り上がりを見せた。

 夕刻からは恒例の「ほろ酔いウォーク」が開かれた。税込3500円(当日券は同4千円)で、45軒の協賛店から6軒を選んでまわるという飯坂温泉の人気イベント。宿泊(1泊朝食付)と前売り券がセットになったほろ酔いパック(同1万円)も人気だ。参加者は受付後、早速目当ての店に向かっていった。

15万人の参加目指す、10月から別府で芸術フェス

実行委員会のメンバー
実行委員会のメンバー

 大分県別府市で10月6日―12月2日までの58日間、市民主導の国際芸術祭「混浴温泉世界2012」が開かれる。民間企業や行政、NPO法人、教育機関などさまざまな団体が協力する芸術祭で、今回で2回目。2009年の前回は延べ9万2千人を動員したが、今回は15万人を目標にする。総予算は約1億1500万円。

 別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」実行委員会は7月17日、東京都内で会見を開き、山出淳也総合プロデューサーは「前回からさらに地域性を追求したアートプログラムを開催する」と概要を説明した。

 今回は、別府の特徴である8つの温泉郷「別府八湯」から、8つのアートプロジェクトを展開。「8つの想像力の源泉が市内各所に現れる」とし、8カ所で芸術ジャンルを混ぜて各アーティストが作品を発表する。舞台は古い空き屋や商店街などを活用し、まちの活性化をはかる。山出総合プロデューサーによると、各会場は周遊しやすく、1泊2日ですべて鑑賞できるという。

 まちとアートを楽しめるクーポン型金券も発行し、1枚100円相当の券を11枚綴り1千円で売り出す。混浴温泉世界のパスポートのほか、市内の飲食店や温泉で利用できる。混浴温泉世界のパスポートは前売りが大人1700円、当日2千円。中学生以下は無料。

 同時期には別府市内各所で発表される市民文化祭「ベップ・アート・マンス2012」も開催。このほか、混浴温泉世界のパスポート提示で九州各地のアートイベントで特典が受けられるように連携もはかる。とくに、11月3―25日開催の「国東半島アートプロジェクト2012」(大分県国東市、豊後高田市)へは無料で参加できるバスツアーも企画予定だ。

指摘業者28者行政処分も、観光庁が立入検査

 観光庁はこのほど、高速ツアーバスを企画実施している旅行業者に対して行っている立入検査の実施状況を公開した。立入検査を実施した旅行業者59者中、指摘を受けた旅行業者は28者にのぼった。

 井手長官は7月20日の会見で「違反の重いものについては行政処分になるだろう」と語り、処分にまでいかないケースについても「安全対策の強化策の実施状況や順守状況をしっかりと見ていかなくては」と語った。