研修義務化や試験見直し、「通訳案内士制度のあり方」中間とりまとめ

 観光庁は9月29日、東京都内で第18回「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を開いた。これまでの検討会を踏まえ中間とりまとめ(案)が提出された。名称を「(国家)認定通訳案内士(仮称)」へ、また研修受講の義務化や試験制度見直しなどが示された。

 今回の中間とりまとめで、「日本の歴史文化に正確な知識を有し、外客に満足度の高い案内を行う者」と、観光交流の重要な存在で憧れの職業になるように、新たな位置づけが明確化された。

 このため、具体的な見直しの方向性が多く提示された。

 試験制度は現場で求められる知識を問う試験に見直すため、法改正をまたず有識者らの検討会を立ち上げる。来年度の試験から検討結果を反映させていく。

 研修制度は登録を受けた案内士に対し3―5年ごとで、国の登録を受けた機関で定期的な研修を義務づける。研修受講がない者は登録抹消など措置を講じ、質の維持を担保していく。非有資格者も同様の研修を受講するなどをし、質の向上をはかるべきだとされた。

 また、美術館や博物館などの関係機関に対し、国、自治体から入場料の減免などの優遇的な対応を進めていく。案内士団体からは、日本の文化歴史などの質の高い紹介を実現する観点から必要と声が上がっていた。

 ツアー関わる手配などを行うランドオペレーターに対しては、適正な指導、監督ができる制度を導入する。合わせて、登録された案内士を可能な限り手配するように、ガイドラインなどで指導していく。

 地域ガイド制度は、現行の制度が業務独占を前提としていたため、これを見直す。法令で整備された特例制度を整理していく。なお、現行の地域ガイドは、改正後も地位を確保するように経過措置をとっていく。

 同制度は1948(昭和23)年に通訳案内士法として創設。およそ60年ぶりの大きな制度改正で、緩和後は原則だれでも有償で通訳案内が可能になる。これにともない、外客に対する安全の確保や、旅行の質の維持、向上が必要となってくる。

 観光庁は多くの制度を見直し提示したが、一方で制度改正後は、状況をよく把握し必要に応じて適正に対応を講じていく構え。観光地域振興部の加藤庸之部長は「なにか問題が出れば、その都度解決していく」と強調。 

 また、今回の検討会を踏まえ「法律の骨格をしっかりと作り、その後、政令や省令、ガイドラインも作成していく」と述べた。制度の細部にあたる建てつけの部分は、引き続き各委員らと相談し詰めていくと話した。

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人によるサービス ― 接し方の多様性こそがおもてなし

 日常生活において、仕事上の必要性や、家族との会話を除くと、知らない人とはほとんど会話をしていないことに気づく。東京近隣に住み、都心に向かう通勤電車や、ターミナル駅などで数千人とすれ違う毎日でありながら、誰とも会話を交わすことなく、視線すら合わせない。

 だから、都会の片隅で、たまたま知り合いに出会いでもしたなら、奇跡的な再会のように驚きの声を上げ、感激したりもする。それほどまでに、人は多くの人とすれ違いながら、誰とも知り合うことがない、孤独な存在なのである。そして、奇妙な話だが、見知らぬ人に囲まれて、とくに会話もせずに生きることに、どこか心地よさも感じているのだと思う。

 旅先での「人との交流」が、一つの旅のスタイルとして、なんとなく、もてはやされている。しかし、多くの旅人はそれほど旅先での交流を求めているわけではないのかもしれない。

 日々の生活で自らの孤独の存在に、若干の寂しさと、心地よさを感じている多くの現代人が、旅先だからという理由で、訪れた土地の見知らぬ人と積極的に交流を求めるかといえば、そう簡単なものではないように思える。

 実際1人で旅をするときに、私はほとんど旅の途中で会話を交わすことがない。余程困ったとき以外は、積極的に誰かと関わり合いたいとは思わないのである。

 例えば、今は体験型の旅行が人気である。この場合、体験することが旅の目的であるために、現地の人との交流がメインであるし、お互いのニーズが合致しているので幸せな出会いになる可能性は極めて高い。

 しかし、とくに目的もなく、旅先の温泉地をぶらぶらしたりする旅の場合、交わす会話は、何か小さなお土産か、酒のつまみのような買い物をする際に、せいぜい「これください」「はい、ありがとうございます」くらいなものだ。だけど、旅は、それでいいと思う。

 宿の客室係から「どこから来たのか」「どこを観光したか」など必要以上に話しかけられ、疲れてしまうことも多々ある。とくに旅館では、「少しでも多くお客様と会話をしなければ」という強迫観念や、宿の方針として決められているケースもあるのだろうが、もし旅人が少し話したそうであれば、話しかけてあげ、そうでなければ、そっとしておいてあげる方がいいのではないかと感じる。

 今は外国人観光客が日本旅館に宿泊するケースも増え、言葉によるコミュニケーションが取れないことも多い。その場合、外国人客が何を伝えようとしているのかを必死になって考えようとする。それが伝わったときには、お互いに感動するし、仮に伝わらなくても、旅人はそこまでガッカリもしないものだと思う。日本人客に対しては、言葉が通じる分、観察力も十分に発揮されず、対応も画一的なものになりがちである。

 人工知能(AI)が今後、さまざまな分野で活躍する時代が来るだろう。だが、お客に話しかけるか、それとも放っておいた方がいいか、の判断は人間には敵わないはずだ。人によるサービスの価値が見直されている一方で、融通のきかない、お仕着せの対応がストレスになる。それなら干渉されないホテルの方がいい。接し方の多様性こそが、おもてなしの真髄であると思う。

(編集長・増田 剛)

No.444 せとうちDMO、“稼ぐ力”地域とともに培う

せとうちDMO
“稼ぐ力”地域とともに培う

 訪日外国人観光客の増加や、着地型商品の普及に向けて、デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション(DMO)への期待は一層高まっている。先のツーリズムEXPOジャパン2016で示された“サステナビリティ”実現にも、地域力は必要不可欠。今回は、“せとうちDMO”で実務に携わるリチャード・トービン氏から、地域との関係構築や、事業の内実などを聞いた。同DMOが、どのようにして地域とともに歩んでいるのか。早くも、海外の旅行会社によるツアー造成を実現するなど、参考となる具体的な取り組みも多い。

【謝 谷楓】

リチャード・トービン氏
楽天 トラベル事業 地域振興事業部 地域振興企画グループ 兼 せとうちDMO チーフ
セント・ジョンズ大学アジア学科卒業。在学中、上智大学に2度留学。
1991年 米国・ワシントンDC生まれ。
2013年 楽天入社。トラベル事業配属。ITCとして活躍。
2016年 “せとうちDMO”へ出向。主に広報や海外向けプロモーションを担当。

 ――“せとうちDMO”の理念について教えてください。

 “せとうちDMO”の取り組みは、すべて地域振興につながっています。地域が潤い、住民の方々が輝きに満ちた未来を志向できる環境づくりが、“せとうちDMO”の理念だと思います。

 住んでいる方々にとって誇れる瀬戸内をつくらなければなりません。

 ほかの国や地域の方々から評価されることが、誇りにつながると考えています。そのため、観光客にとって、何度でも訪れたいデスティネーションとなれる環境づくりを、地域の事業者と協力して活動していくことが大切だと考えています。

 ――地域の方々と一緒に歩む姿勢はまさにDMOのあるべき姿だと思います。どのようにして実現していく心積もりでしょうか。

 現在、「メンバーシップ制度」の創設を検討しています。

 ――HPから閲覧できる会社案内パンフレットにも記載されています。詳しく教えてください。

 “せとうちDMO”の役割は、あくまで黒衣に徹することだと、我われは考えています。

 財源を地域の観光関連事業者が出し合うことがDMOの本来の形ですが、すぐに実行するのは難しいのが現実です。そのため、まずは活動やビジョンを知ってもらったうえで、我われの存在意義と価値を理解してほしいと考えています。

 「メンバーシップ制度」を設け、地域の事業者に会員になってもらう。そして、観光分野ごとの「部会」を設けることで、交流を深めながら、一緒に事業展開を行っていきたいと考えているのです。

 我われがプロモーションを行うことで、地域への観光客は増加し、生じる利益はすべて地域の事業者に行き届くことになります。会費の支払いもお願いしたいと考えています。

 ――「部会」とは何でしょうか。

 「部会」とは、テーマを絞り、アイデアの実現に向けて力を合わせていくための「場」だと考えています。

 例えば、宿泊施設をテーマとした「部会」は、「宿のプロモーションをいかに行うのか」や、「あるべき瀬戸内の宿とはどういうものか」といった、分野に特化した議題をめぐって対話をするための「場」となるのです。…

 

※ 詳細は本紙1647号または10月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

着地型観光 喫緊の課題、ランドオペ、初の実態調査(観光庁)

検討会のようす
検討会のようす

 観光庁は10月6日、東京都内で第1回「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」を開いた。旅行業法のなかで着地型観光とランドオペレーターが喫緊の課題とされた。合わせて前例がないランドオペレーター実態調査の報告書が発表された。

 報告書によると、把握された事業者は864社。従業員数と資本金ともに小規模事業者が多く、大都市部(東京・大阪・愛知・福岡)に集中している。問題となっている土産屋などへの案内は、7割の業者が行っていることが分かった。

 また、過去にあった主なトラブルについて、旅行業の約81%は「特になし」と答えた。一部の悪質なランドオペレーターの露出機会が多く、健全な業者が大層を占めていることがわかる。

 さらに、ランドオペレーターの約42%が「旅行業法や関連法令で登録制などの業務適正化」を、今後の対応としてすべきと回答した。

 ただ、今回の調査で回答があったのは全体の約34%。残りの約66%は無回答だった。委員からは「大変貴重な資料だ」との意見もあったが、一方で「実態把握は無回答側が重要では」、「より一層の実態把握を行ってほしい」などの要望もあった。

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 観光庁の田村明比古長官は、無回答の部分も並行して「精度を上げて調査する」とし、結果が分かり次第報告すると述べた。

 また、旅行業の現状について説明がなされた。

 現行の旅行業の登録制度は、第1種以外は業務範囲が制限され、第3種は国内の募集型企画旅行に制限がかかっている。

 加えて、第1―3種の旅行業者と地域限定も、一律に旅行業務取扱管理者の選任が必要。

 旅行業務取扱管理者の試験は「総合」と「国内」の2つがあるが、2015年度で合格率はそれぞれ20―30%ほどと、難しい試験となっている。

 観光庁は、これらの制度が地域の事業者が参入する際の障壁になっていると報告。見直しの方向性について、16年6月2日に閣議決定した規制改革実施計画の抜粋を提示した。

 これによると、第3種旅行業者の範囲拡大と、地域限定旅行業などの登録の容易化、旅行業務取扱試験の見直しが挙げられている。とくに着地型旅行は、着地型を取り扱う営業所に選任する管理者試験を、現行より簡易な試験の新設を含め検討するとされている。

 今後は、ランドオペレーター団体や旅行業界、自治体など関係各団体にヒアリングを実施。11月2日の第1回ワーキンググループを行い、課題、論点の整理をする。11月17日の第2回のワーキンググループで、中間とりまとめ案の整理を行う。11月下旬に第2回の検討会で中間とりまとめが発表の予定。その後、第3回検討会以降でさらなる検討を行い、最終とりまとめを行う。

大阪城でライブショー

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は今冬、大阪城・西の丸庭園でライブショーを開く。同社がパークを飛び出し、場外で展開する初めてのイベントだ。

 「戦国・ザ・リアルat大坂城」と題し、天守閣などをスクリーンに見立て大迫力のプロジェクション・マッピングを展開。音楽や数百発の演出用花火とともに、戦国武者の壮絶な合戦を表現するスペクタクルライブショー。戦国時代の雰囲気を再現する夜店も軒を連ねるという。

 期間は12月26日から来年3月12日まで週末を中心に実施する。ショーは約30分で、料金は最も安い席で大人2480円、子供1480円。強気の価格設定に感じるが、それだけ自信があるのだろう。同社は「世界最高のエンターテイメントを創出する」とPRしている。

【土橋 孝秀】

“攻撃に終わり無し”、業界全体での対策向上を(情報共有会議)

第3回情報共有会議
第3回情報共有会議

 観光庁は9月30日、第3回「情報共有会議」を開き、「旅行業界情報流失事案検討会 中間とりまとめ」で示された対策の進歩状況や、中長期のサイバーセキュリティ対策についての報告を行った。観光庁の蝦名邦晴次長は、クラウドシステムを利用した情報セキュリティの管理について「今回の事案では、旅行会社とクラウドサービスを提供している事業者との責任分担の曖昧さが、対応の遅れに影響した。個人情報の漏えいは、直接経営に直結する」と注意喚起し、終わりのないサイバー攻撃に対し、業界全体で取り組む必要性があると言及した。

 中間とりまとめで示された対策の進歩状況について、同庁は本年度中に旅行業者のシステムに対応したガイドラインの策定や、インシデント情報を共有するためのメーリングリストの整備、ポータルサイトの立ち上げを行うため、2017年度予算において要求を行っていることを明らかにした。また、業界全体でのサイバーセキュリティ向上のための取り組みとして、9月7日に日本旅行業協会と全国旅行業協会が共同で「ITセキュリティ特別委員会」を設立。同委員会は、今後の旅行業界のサイバーセキュリティ対策の中核を担うとして、同会議に出席した旅行会社に向けて、積極的な参加を促した。

 中長期のサイバーセキュリティ対策の重要点として、(1)体制の整備(2)情報収集(3)インシデント発生時の社内緊急対策手順の標準化(4)抑止策の実施(5)復旧策の準備(6)教育(7)PDCAサイクルの構築――の7点を明示。とくに抑止策の実施に関して、各旅行会社が保有するシステムは複雑な構造になっているものが多く存在するため、システムのどの部分に個人情報や、重要情報があるのかなどを総点検し、適宜リスク評価を行ってほしいと出席者に働きかけた。

ガストロノミーに焦点、食文化を通じた地域振興を

(左から)小川氏、久保氏、フェルドモ氏、篠田氏、浅田氏、飯盛氏
(左から)小川氏、久保氏、フェルドモ氏、篠田氏、浅田氏、飯盛氏

 ツーリズムEXPOジャパン2016の国内観光シンポジウムでは、「ガストロノミーツーリズムで地域を元気に」をテーマに、モデレーターを小川正人ANA総合研究所代表取締役副社長が務め、パネルディスカッションなどが行われた。参加者はヨランダ・フェルドモ国連世界観光機関(UNWTO)アフィリエイトプログラム部門長と久保征一郎ぐるなび社長、篠田昭新潟市市長、浅田久太浅田屋社長、飯盛直喜富久千代酒造社長。なお、ディスカッション前には、フェルドモ部門長から、基調講演が行われた。

 9月22日に開かれたツーリズムEXPOフォーラムで田川博己会長は、「観光大国となるためには、DMOの取り組みが重要となってくる。現段階では、従来の観光連盟の名前が変わっただけのものが多い。お祭など、地域の文化を発信していくためには、マーケティングとマネジメントに力を入れていかなくてはならない」と語り、地方創生の重要性を改めて指摘し、デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション(DMO)の推進加速の重要性を指摘した。DMOは資金の有効利用をはかり、地域の稼ぐ力を培うための組織。本来、地域に根付く各企業によって費用が捻出され、運営される民間主体での取り組みだが、日本版では、政府や自治体主導のものが多い。実際、従事者から「地域の事業者に対し、すぐに出資を求めることは難しく、まずは取り組みの意義を理解してもらう必要がある」という声も多く、DMOの意義が、地域に未だ深く浸透していないという意見もある。

 伝統や文化と同様、食もまた地域に根ざしたものである以上、地域が主体となった発信が必須となる。「ガストロノミーツーリズム」に参画すれば、地域は主体的に食と観光を結びつけた誘客活動を展開することが可能だ。そのため、日本版DMOと併せて、あるいはその一部として同ツーリズムを取り入れれば、地域はより短期間に、稼ぐ力の獲得を期待できる。

 フェルドモ部門長は基調講演で、「観光のこれからの方向性を考えたとき、旅行者が“体験志向型”で“質を重視”していることを念頭に置かなくてはならない。そして、この2つを満たすものとして、“ガストロノミーツーリズム”はあるのだということを強調したい」と語った。また、ガストロノミーが持つ、観光業を促進させる資源として(1)差別化(2)新たな旅行者の受け入れ可能性(3)秘境の地への需要供給(4)情報発信(5)信頼性――の5つを挙げた。とくに、差別化では各地域のユニークな部分を売り出す必要があり、「インフラの整備だけでは不十分で、受け継がれた有形無形の文化のなかで人間の心に訴えるものでなくてはならない」と述べ、ガストロノミーこそがそれを果たすものだという認識を示した。また、秘境の地への需要供給では、旅行者はあまり人が訪れないデスティネーションを好む傾向があり、主要都市ではない秘境の地を戦略的にアピールするためにも、ガストロノミーは有効なのだという。

 フェルドモ部門長は、食文化の持つ歴史性にも注目しており、食文化固有のストーリーを旅行者に提供できれば、情報発信という部分でも、同ツーリズムを用いることで、地域は大きなアドバンテージを得ることができると話した。

 続くディスカッションでは、久保ぐるなび社長が、「これからは、地域固有のオリジナリティが、旅行者の目的となっていくはず。食は必ずそのなかにあるため、大切なことは、関連するコンテンツを発掘し、市場を開拓すること。そして、地域から継続して情報発信していくことだ」と語り、ぐるなびが、同ツーリズム推進を全力でバックアップする姿勢を表した。

 数多くのVIPをもてなしてきた浅田屋の浅田社長は、自らが携わる料理人の研修を通じた海外との交流に触れ、「民間の取り組みに、国や自治体がより積極的にのっかってくれれば、もっともっとうまくいくはず」だと語り、官民一体となった取り組みに期待を示した。

 これを受け、篠田新潟市市長は、「浅田社長の取り組みは、本当に素晴らしい。県だけでなく、地域の各自治体も努力をしなくてはならない」と述べた。

 飯盛社長は、「私の地元にも、まだ知られていない場所が沢山ある。国内外国の方に対し、もっと興味を持ってもらえるパンフレットを作成し、住民の意識も高めていきたい」と語り、今後に向けた展望を語った。

【謝 谷楓】

“サステナビリティ”、観光の恩恵を皆で共有

(左から)リファイ氏、マンティ氏、スコースィル氏、 プーヌーサミー氏、田川氏、本保氏
(左から)リファイ氏、マンティ氏、スコースィル氏、
プーヌーサミー氏、田川氏、本保氏

 9月22日、東京・日本橋行われたツーリズムEXPOジャパン2016グローバル観光フォーラムで、国連世界観光機関(UNWTO)のタレブ・リファイ事務局長をはじめ各リーダーらは、“サステナビリティ”すなわち、持続可能なツーリズムを全事業者が一丸となって推進する必要があるとの見解を示した。日本は今後、旅を安全安心なものとしつつ、観光がもたらす恩恵を、全事業者間で共有していくことが求められそうだ。

 リファイ事務局長は、“サステナビリティ”を実現するためには、旅行者のあらゆる需要に応えなくてはならないとしてうえで、(1)誰もが観光にアクセスできる環境づくり(2)すべての障がいに対する理解(3)最新技術の活用(4)全行程にアクセシビリティを導入すること――の4つのテーマを掲げた。

 同フォーラムでモデレーターを務めた本保芳明東京工業大学特任教授は、「双方向での交流と、世界に対して必要な貢献をして初めて観光大国の地位に立つことができる。世界の観光の現実を知って、その潮流に乗る必要がある。現在の潮流は間違いなく“持続可能性”であり、デスティネーションが果たす役割は大きい」と述べ、“サステナビリティ”が、目指す観光大国に至る標語だと強調した。

 旅行会社からデスティネーションまで、旅行者にサービスを提供する、観光事業者は多岐にわたる。余暇の充実だけでなく、安全面への配慮も担うため、各事業者は飽くなき努力を続けなくてはならない。そのためには、各事業者の利益を確保できる体制づくりが求められる。継続的な発展を目指す標語、“サステナビリティ”は、旅行者に安心と安全を提供するとともに、旅行業界に携わる全事業者の繁栄を目指すために実現しなくてはならない。

 田川博己日本旅行業協会(JATA)会長は、「観光が国家戦略になったことは喜ばしい。一方、民間が活力をもって政府の掲げた目標をサポートしていかなくてはならない」とし、「今後は、地域の人々をどのようにして巻き込んでいけるのか。地域と国が同じレベルで話ができるようにすることで、今ある問題も解決できるはずだ」と語り、DMOの可能性をはじめとしたデスティネーションの力に、期待を寄せた。

 なお、同フォーラム参加者はリファイ事務局長と本保教授、田川会長のほか、ディビッド・スコースィル世界ツーリズム協議会(WTTC)理事長、ヴィジャイ・プーヌーサミーエティハド航空副社長、クリスティアン・マンティフランス観光開発機構ジェネラル・マネージャーの6人が参加した。うち、リファイ事務局長とスコースィル理事長は、基調講演でも登壇した。

【謝 谷楓】

「100選」の中間集計 2回目

 「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」。42回目の投票が今年も10月1日から始まった。締め切りは10月末日。全国の旅行会社からの投票に基づき、「ホテル・旅館100選」と「観光・食事、土産物施設100選」および「優良観光バス30選」をそれぞれ選出する。「ホテル・旅館100選」の中間集計の2回目を紹介する。

(順不同)

 【北海道】
 あかん遊久の里鶴雅・あかん湖鶴雅ウイングス▽登別石水亭▽知床第一ホテル▽知床グランドホテル北こぶし▽十勝川温泉第一ホテル▽第一滝本館▽観月苑▽ニュー阿寒ホテル▽知床プリンスホテル風なみ季▽ホテル鹿の湯花もみじ▽ザレイクビュー TOYA 乃の風リゾート▽洞爺サンパレスリゾート&スパ▽HAKODATE海峡の風▽しこつ湖鶴雅リゾートスパ水の謌▽定山渓鶴雅リゾートスパ森の謌▽望楼NOGUCHI登別▽海の別邸ふる川▽定山渓ビューホテル▽旅亭花ゆら▽緑の風リゾートきたゆざわ

 【青森県】
 ホテルグランメール山海荘▽星野リゾート青森屋▽南部屋・海扇閣▽南田温泉ホテルアップルランド▽浅虫さくら観光ホテル▽稲垣温泉ホテル花月亭▽花禅の庄▽酸ヶ湯温泉旅館▽下風呂観光ホテル三浦屋▽ホテル十和田荘▽八甲田ホテル▽不老ふ死温泉▽星野リゾート奥入瀬渓流ホテル▽蔦温泉旅館

 【岩手県】
 結びの宿愛隣館▽ホテル森の風鶯宿▽ホテル紫苑▽浄土ヶ浜パークホテル▽ホテル志戸平▽瀬美温泉▽悠の湯風の季▽グリーンピア三陸みやこ▽ホテル対滝閣▽愛真館▽南部湯守の宿大観▽長栄館▽滝の湯いつくし園▽大沢温泉山水閣▽佳松園▽ホテル千秋閣▽矢びつ温泉瑞泉閣▽八幡平リゾートホテル▽四季亭▽ホテル羅賀荘▽ホテル龍泉洞愛山▽松川荘▽八幡平ロイヤルホテル▽優香苑

 【宮城県】
 ホテル松島大観荘▽伝承千年の宿佐勘▽鷹泉閣岩松旅館▽松島一の坊▽篝火の宿緑水亭▽鳴子観光ホテル▽ホテルニュー水戸屋▽ホテルきよ水▽名湯の宿鳴子ホテル▽岩沼屋▽南三陸ホテル観洋▽ゆづくしsalon一の坊▽遠刈田ホテルさんさ亭▽小松館好風亭▽ホテル華乃湯

 【秋田県】
 結いの宿別邸つばき▽ホテル鹿角▽秋田温泉さとみ▽妙乃湯▽鶴の湯▽駒ヶ岳グランドホテル▽男鹿観光ホテル▽湯瀬ホテル▽栗駒山荘▽プラザホテル山麓荘▽花心亭しらはま▽都わすれ▽男鹿桜島リゾートHOTELきららか

 【山形県】
 日本の宿古窯▽萬国屋▽蔵王国際ホテル▽天神の御湯あづま屋▽たちばなや▽八乙女▽月岡ホテル▽ほほえみの宿滝の湯▽河鹿荘▽仙峡の宿銀山荘▽游水亭いさごや▽蔵王四季のホテル▽深山荘高見屋▽おおみや旅館▽亀や▽高見屋別邸久遠▽展望露天の湯有馬館▽葉山館▽いきかえりの宿瀧波▽ホテル王将▽海辺のお宿一久▽桜桃の花湯坊いちらく▽愉海亭みやじま▽上杉の御湯御殿守

 【福島県】
 ホテル華の湯▽匠のこころ吉川屋▽八幡屋▽丸峰観光ホテル▽大川荘▽庄助の宿瀧の湯▽風望天流太子の湯山水荘▽スパリゾートハワイアンズ▽四季彩一力▽旅館玉子湯▽陽日の郷あづま館▽櫟平ホテル▽星野リゾート裏磐梯温泉ホテル▽五峰荘▽原瀧今昔亭▽くつろぎ宿新滝・千代滝▽藤龍館▽こぼうしの湯洗心亭▽旅館こいと

 【茨城県】
 五浦観光ホテル別館大観荘▽袋田温泉思い出浪漫館▽筑波山江戸屋▽大洗ホテル▽里海邸 金波楼本邸▽ホテル山水

 【栃木県】
 あさや▽花の宿松や▽鬼怒川グランドホテル夢の季▽鬼怒川温泉ホテル▽日光千姫物語▽ホテルエピナール那須▽ホテルサンバレー那須▽ホテルニュー塩原▽湯けむりの里柏屋▽小槌の宿鶴亀大吉▽湯ったりの宿松楓楼松屋▽彩り湯かしき花と華▽鬼怒川温泉山楽▽若竹の庄▽鬼怒川金谷ホテル▽ONSEN RYOKAN 山喜

 【群馬県】
 草津白根観光ホテル櫻井▽四万やまぐち館▽源泉湯の宿松乃井▽舌切雀のお宿磯部ガーデン▽福一▽ホテル木暮▽旅館たにがわ▽万座温泉日進舘▽猿ヶ京ホテル▽別邸仙寿庵▽望雲▽草津ナウリゾートホテル▽奈良屋▽香雲館▽ホテル一井▽喜びの宿高松▽法師温泉長寿館▽温泉三昧の宿四万たむら▽ホテル天坊▽辰巳館▽草津ホテル▽柏屋旅館▽古久家▽かやぶきの郷薬師温泉旅籠▽かやぶきの源泉湯宿悠湯里庵▽湯宿季の庭▽岸権旅館▽宝川温泉汪泉閣▽梨木館はせを亭▽山屋蒼月

 【千葉県】
 満ちてくる心の宿吉夢▽鴨川館▽鴨川ホテル三日月▽勝浦ホテル三日月▽鴨川グランドホテル▽鴨川ヒルズリゾートホテル▽蓬莱屋▽ANAクラウンプラザホテル成田▽海の湯宿花しぶき

 【東京都】
 水月ホテル鴎外荘

 【神奈川県】
 海石榴▽箱根吟遊▽強羅花壇▽ホテル河鹿荘▽強羅花扇▽箱根高原ホテル▽箱根ホテル小涌園▽鶴井の宿紫雲荘▽箱根水明荘▽富士屋ホテル▽天成園▽円かの杜

 【山梨県】
 銘石の宿かげつ▽ホテル鐘山苑▽ホテルふじ▽若草の宿丸栄▽全館源泉かけ流しの宿慶雲館▽湖山亭うぶや▽秀峰閣湖月▽下部ホテル▽華やぎの章慶山▽富士野屋夕亭▽石和名湯館糸柳▽風のテラスKUKUNA▽富士レークホテル▽坐忘庵

 【長野県】
 ホテル翔峰▽明神館▽旅館花屋▽上林ホテル仙壽閣▽藤井荘▽あぶらや燈千▽ホテル白樺荘▽立山プリンスホテル▽緑翠亭景水▽ホテルやまぶき▽ぬのはん▽白樺リゾート池の平ホテル▽RAKO華乃井ホテル▽白船グランドホテル▽昼神グランドホテル天心▽ユルイの宿恵山▽昼神の棲玄竹▽かしわや本店▽七草の湯▽上高地ルミエスタホテル▽山野草の宿二人静▽野沢グランドホテル▽ホテル阿智川▽石苔亭いしだ▽たてしな藍▽ホテル椿野▽ホテル紅や▽ホテル木曽路▽鷺の湯▽菊之湯▽歴史の宿金具屋▽一茶のこみち美湯の宿▽浪漫の館月下美人▽湯元上山田ホテル▽旅の宿滝の湯▽ホテル清風園▽スカイランドきよみず

 【新潟県】
 白玉の湯泉慶・華鳳▽ホテル清風苑▽水が織りなす越後の宿双葉▽夕映えの宿汐美荘▽風雅の宿長生館▽四季を彩る湯沢グランドホテル▽ゆもとや▽四季の宿みのや▽ホテル小柳▽ホテル摩周▽赤倉ホテル▽岬ひとひら▽大観荘せなみの湯▽ホテル國富アネックス▽よもぎひら温泉和泉屋▽国際佐渡観光ホテル八幡館▽ロイヤルホテル小林▽汐彩の湯みかく▽ひなの宿ちとせ▽湯沢ニューオータニ▽越路荘▽寺泊岬温泉ホテル飛鳥▽越後のお宿わか竹▽高志の宿高島屋▽鷹の巣館▽ホテル大佐渡▽ほてる大橋館の湯▽ホテルみかわ▽嵐渓荘▽ホテル瀬波観光▽湖畔の宿吉田屋▽伝統と風格の宿ホテル万長▽龍言▽著莪の里ゆめや▽赤倉観光ホテル

 【静岡県】
 稲取銀水荘▽堂ヶ島ニュー銀水▽いなとり荘▽季一遊▽ホテル九重▽ABBA RESORTS坐漁荘▽ホテルカターラRESORT&SPA▽柳生の庄▽観音温泉▽稲取東海ホテル湯苑▽桂川▽ホテル伊豆急▽ホテルサンハトヤ▽堂ヶ島温泉ホテル▽ホテルアンビア松風閣▽ホテルウェルシーズン浜名湖▽里山の別邸下田セントラルホテル▽ラビスタ伊豆山▽嵯峨沢館▽西伊豆クリスタルビューホテル▽熱川プリンスホテル▽瑞の里○久旅館▽星野リゾート 界  遠州▽赤沢温泉ホテル▽楽山やすだ▽舘山寺サゴーロイヤルホテル▽焼津グランドホテル▽杜の湯きらの里▽ホテルミクラス▽海辺のかくれ湯清流▽花のおもてなし南楽▽熱海後楽園ホテル▽山水館欣龍▽あさば▽ホテル暖香園▽古屋旅館▽熱海大観荘▽新かどや▽三養荘▽川奈ホテル▽食べるお宿浜の湯▽やまだ荘▽ホテルニューさがみや

 【愛知県】
 旬景浪漫銀波荘▽ホテル東海園▽ホテル竹島▽源氏香▽伊良湖シーパーク&スパ▽風の谷の庵▽はづ別館▽平野屋▽粛 海風

 【三重県】
 戸田家▽風待ちの湯福寿荘▽ホテル花水木▽サン浦島悠季の里▽鳥羽シーサイドホテル▽賢島宝生苑▽浜の雅亭一井▽ばさら邸▽日の出旅館▽海幸の宿なかよし▽鳥羽グランドホテル

 【岐阜県】
 水明館▽本陣平野屋花兆庵▽岐阜グランドホテル▽穂高荘山月▽ひだホテルプラザ▽ホテルくさかべアルメリア▽十八楼▽宝生閣▽高山グリーンホテル天領閣▽吉泉館竹翠亭▽奥飛騨ガーデンホテル焼岳▽八ツ三館▽ホテルパーク

 【富山県】
 延楽▽金太郎温泉▽宇奈月国際ホテル▽ホテル立山▽延対寺荘▽宇奈月グランドホテル▽つるぎ恋月▽ゆめつづり▽砺波ロイヤルホテル▽磯はなび

 【石川県】
 加賀屋▽瑠璃光▽ゆのくに天祥▽日本の宿のと楽▽法師▽海游能登の庄▽辻のや花乃庄▽花紫▽お花見久兵衛▽ホテル高州園▽茶寮の宿あえの風▽花つばき▽たちばな四季亭▽みどりの宿萬松閣▽ゆ湯の宿白山菖蒲亭▽佳水郷▽まつさき▽宿守屋寿苑▽ゆけむりの宿美湾荘▽厨八十八▽雄山閣▽日本の宿山留花▽旅亭懐石のとや▽翠明▽天空の宿 大観荘▽多田屋

 【福井県】
 まつや千千▽清風荘▽グランディア芳泉▽美松▽つるや▽ホテルせくみや

 【滋賀県】
 びわ湖花街道▽里湯昔話雄山荘▽湯元舘▽琵琶湖グランドホテル京近江▽びわこ緑水亭▽暖灯館きくのや

 【京都府】
 松園荘保津川亭▽おもてなしの宿渓山閣▽ドーミーインPREMIUM京都駅前

 【兵庫県】
 ホテルニューアワジ▽ホテル金波楼▽佳泉郷井づつや▽淡路インターナショナルホテルザ・サンプラザ▽西村屋ホテル招月庭▽有馬グランドホテル▽朝野家▽月光園游月山荘▽西村屋本館▽神戸メリケンパークオリエンタルホテル

 【奈良県】
 さこや

 【和歌山県】
 かつうら御苑▽ホテル中の島▽ホテル浦島▽白良荘グランドホテル▽紀州・白浜温泉むさし▽花いろどりの宿花游▽浜千鳥の湯海舟▽休暇村南紀勝浦

 【鳥取県】
 皆生つるや▽華水亭▽依山楼岩崎▽皆生グランドホテル天水▽三朝薬師の湯万翆楼▽花屋別館▽湯喜望白扇

 【島根県】
 玉造グランドホテル長生閣▽曲水の庭ホテル玉泉▽佳翠苑皆美▽白石家▽湯之助の宿長楽園▽旅館樋口▽星野リゾート 界 出雲

 【岡山県】
 湯郷グランドホテル▽鷲羽ハイランドホテル▽八景▽清次郎の湯ゆのごう館▽ゆのごう美春閣

 【広島県】
 ホテル鴎風亭▽景勝館漣亭▽みやじまの宿岩惣▽オリエンタルホテル広島

 【山口県】
 大谷山荘▽萩観光ホテル▽西の雅常盤▽錦帯橋温泉ホテルかんこう▽松田屋ホテル▽ホテル西長門リゾート

 【香川県】
 湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭▽琴平グランドホテル桜の抄▽ことひら温泉琴参閣▽喜代美山荘花樹海

 【徳島県】
 和の宿ホテル祖谷温泉▽ホテルかずら橋

 【愛媛県】
 大和屋本店▽道後プリンスホテル▽宝荘ホテル▽ホテル椿館▽ふなや▽ホテル椿舘

 【高知県】
 土佐御苑▽城西館▽三翠園

 【福岡県】
 六峰舘

 【佐賀県】
 和多屋別荘▽萬象閣敷島▽大正浪漫の宿京都屋▽大正屋▽和楽園▽ホテル龍登園▽椎葉山荘

 【長崎県】
 東園▽ゆやど雲仙新湯▽雲仙宮崎旅館▽雲仙福田屋▽ホテル東洋館▽九州ホテル▽ホテルマルゲリータ▽弓張の丘ホテル

 【熊本県】
 清流山水花あゆの里▽杖立観光ホテルひぜんや▽湯峡の響き優彩▽阿蘇の司ビラパークホテル&スパリゾート▽阿蘇プラザホテル▽山鹿温泉清流荘▽黒川荘

 【大分県】
 九重悠々亭▽杉乃井ホテル▽ホテル白菊▽由布院玉の湯▽花菱ホテル▽ことぶき花の庄

 【宮崎県】
 酒泉の杜綾陽亭

 【鹿児島県】
 いぶすき秀水園▽指宿白水館▽指宿海上ホテル▽霧島国際ホテル▽指宿フェニックスホテル▽霧島いわさきホテル▽城山観光ホテル▽霧島ホテル▽指宿シーサイドホテル▽摘み草の宿こまつ 

 【沖縄県】
 カヌチャベイ&リゾート▽ホテル日航アリビラ▽沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ▽ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート▽ルネッサンスリゾートオキナワ▽リザンシーパークホテル谷茶ベイ▽ザ・ブセナテラス▽ラグナガーデンホテル▽ANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー▽はいむるぶし▽宮古島東急リゾート

蔵書数約6万冊、旅の図書館がリニューアル(東京・南青山)

志賀典人会長
志賀典人会長

 日本交通公社(志賀典人会長)は10月3日に、東京・南青山の日本交通公社ビル内に「旅の図書館」(久保田美穂子館長)をリニューアルオープンした。旅の図書館は、同財団の長期経営計画「22ビジョン」に基づいて進められてきたもので、今後は同財団の調査研究部門とともに、専門性を高めた新たな機能の発揮に取り組んでいく。なお蔵書規模は、調査研究部門が活動のなかで収集してきた統計や、公開可能な調査研究報告書などを含め、約6万冊。

 「22ビジョン」とは、同財団が実践的な学術研究機関として、観光に貢献していくことを目的に定められたもの。9月15日に行われた、同図書館の内覧会で志賀会長は「今年5月に我われ財団は、文部科学省から学術研究機関の指定を受けることができた。この施設を実践的な学術研究の場として利活用していきたい」と語った。

 同図書館は1978(昭和53)年に「テーマのある旅を応援する図書館」として東京・八重洲にオープンし、昨年10月から移転のために一時的に閉館していた。今回のリニューアルにあたり新たに設定したコンセプトは〝観光の研究や実務に役立つ図書館”。観光分野の専門図書館としてより専門性を高め、観光を研究している人や学んでいる人、観光政策の立案、観光産業や観光地の経営実務に携わる人たちなどに、広く観光関連の情報が収集できる場として活用してもらいたいという想いが込められている。

館内のようす
館内のようす

 また、同図書館の特徴として(1)独自の図書分類の構築と専門性・希少性の高い蔵書の公開(2)知見やネットワークを共有する観光の研究・情報プラットフォーム――の2点が挙げられる。なかでも独自の図書分類では、収蔵資料の特徴や観光分野の専門性に対応するため、観光研究資料(T分類)、財団コレクション資料(F分類)、基礎文献(NDC分類)の3つの分類法を導入した。

 さらに、同施設ビル内に100人規模のシンポジウムが可能な、「ライブラリーホール」を設立。図書のある空間の魅力を活かした取り組みとして、研究会やシンポジウム、2014年から〝図書空間でつなぐ&楽しむ研究交流〟を合言葉に、ゲストスピーカーと参加者が気軽に語り合える場として行われている「たびとしょCafe」など、さまざまなイベントを通して、人々の交流を創出していく。

 同図書館の開館時間は月―金曜日の午前10時30分―午後5時。休館日は、土・日・祝日のほかに、毎月第4水曜日と年末年始となっている。

階段横にも多くの資料を配置
階段横にも多くの資料を配置