太古の神秘、気軽に体験、隠れ銀山に往時しのぶ、山形県最上地域

光射す幻想の森
光射す幻想の森

 太古の神秘を気軽に体験――。山形県北東部に位置し、8市町村からなる最上地域は、ブナや巨木など豊かな自然が身近に見られるエリアだ。11月9、10日、最上地域観光協議会(会長=山尾順紀新庄市長)が実施した「もがみスタディツアー」に参加した。見どころを紹介する。
【鈴木 克範】

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 「ブナと巨木のもがみ回廊」をキャッチコピーとする最上地域。最大の特徴は、手軽なアクセスで太古の神秘に出会えることだ。戸沢村の幻想の森もその1つ。駐車場(マイクロバス)のすぐ前に、樹齢1千年以上の天然杉が生い茂る。幹の途中から枝分かれした形が特徴で、周囲の植林された杉との違いは一目瞭然だ。「最大は幹回り17㍍」「写真を撮るなら朝日がさす午前中がおすすめ」。ガイド(最上峡案内人協会)の案内も興味深い。大型バスの場合、川の駅・最上峡くさなぎの駐車場で、マイクロバス(1台手配し、2往復輸送)に乗り変える。

180メートルの坑道探検に出発(谷口銀山)
180メートルの坑道探検に出発(谷口銀山)

 江戸初期(1600年ごろ)に採掘されていた谷口銀山(金山町)は、当時の新庄藩が幕府に隠しもっていたことから「隠れ銀山」とも言われる。地元史跡保存会が坑内の水抜きや清掃など、安全対策を行い、案内人同行のもと180メートルの手掘り坑道を公開(5月下旬―10月末)している。内部は大人1人が少し屈んで進める広さ。採掘時の業務連絡とみられる「サイン」なども残り、往時の苦労がしのばれる。料金(ガイド料、長靴と軍手の貸し出し付き)は団体(バス1台)3千円、個人500円。駐車場(大型バス1台分)は付近の公民館を利用する。

 世代を越え栽培されてきた最上伝承野菜など、食の魅力にも注目したい。20施設以上が参加し、創作料理を期間限定で提供する「最上伝承野菜フェア」などの催しも継続的に取り組んでいる。秋の甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも、真室川町)収穫体験は、6月の植え付け前の予約が必要だが、「団体ツアーも増えている」(最上地域観光協議会)という。

「肘折カブ」を使った創作料理(ニューグランドホテル)
「肘折カブ」を使った創作料理(ニューグランドホテル)

 【最上地域の話題】

 最上峡芭蕉ラインは昨年、団体向けの新航路「名勝・本合海(もとあいかい)」コースを新設した。芭蕉と曾良が乗船した地から古口までの舟下りを楽しめる。料金は大人2200円▼鮭川村の与蔵峠(よぞうとうげ)は10月から降雪までの間、日の出とともに幻想的な「雲海」が見られる。出現率は7割ほど。ふもとの羽根沢温泉では雲海ツアーと朝食をセットにした日帰り企画(1人1千円)も▼藩政時代から続く「新庄まつり」(新庄市、毎年8月24―26日開催)が、12月初旬までにユネスコの無形文化遺産に登録される見込み。18府県33件の祭りで構成する「山・鉾・屋台行事」の1つ▼「1人500円で袋に詰め放題」が人気の舟形マッシュルーム(舟形町)に来春、レストラン(約50席)がオープンする。パスタやサラダなどマッシュルームの新しいレシピが見つかるかも。

 問い合わせ=最上地域観光協議会 電話:0233(29)1311。観光プロデューサーを配し相談に乗るほか、旅行会社の現地調査、パンフレット作成経費の助成も行っている。

大型タクシーを格安で、修善寺温泉×伊豆箱根交通

女将もPRに一役買う
女将もPRに一役買う

 静岡県伊豆市の修善寺温泉協同組合(浅羽一秀理事長)と、伊豆箱根交通(宮本正明代表取締役、静岡県三島市)は10月から、ハイグレードタクシーを導入し運行を始めた。同月26日には5台がそろい、旅館の送迎などに利用され、評判も高いという。修善寺はまもなくモミジのシーズンを迎え、同協同組合の女将もPRに一役買った。

 伊豆箱根交通は修善寺エリアに外国人観光客を誘致する「七転び八起き」プロジェクトを発足。第1弾としてハイグレードタクシー5台をそろえ、旅館の送迎などに利用している。料金は75分間貸切で、8470円。本来特大(7人乗り)種別されるため1万1170円かかる利用料金を、中型(6人乗り)にしたことで低料金化を実現。だるま山コースは特別料金5千円で利用可能になる。

No.447 47都道府県観光アンケート、観光予算0.3%減の約1057億円

47都道府県観光アンケート
観光予算0.3%減の約1057億円

 旅行新聞新社は昨年に続き47都道府県へ(1)2016年度観光関連予算(2)16年度一般会計予算総額における観光関連予算の比率(3)16年度の重点政策――に関するアンケートを実施した。補正予算や人件費の扱いなど各都道府県により条件が異なるため一概には比較できないが、1つのデータとして紹介する。なお、この紙面は47都道府県の順位付けをするものではなく、重点観光施策などを紹介するものである。

【編集部】

 
 
 
 2016年度の47都道府県の観光関連予算の合計は1057億1170万円と前年の1060億1249万円から0・28%減少した。47都道府県の観光予算の平均は22億4919万円。一般会計予算における観光関連予算の比率の平均は0・25694%となった。

 観光関連の予算を前年度と比較すると26の自治体で前年より増加。とくに熊本県と大分県では、ふっこう割の交付もあり、60億円以上観光関連予算が増額した。その他の県の予算額は、群馬県が約20億円の増額になっているが、それ以外の県では、3―5億円程度の増額幅の自治体が多い。

 一方で、21の自治体で観光関連予算が前年より減少。昨年の半分程度まで下がった自治体も多くみられた。一般会計予算総額における観光関連予算を前年度と比較すると、25の自治体が前年度より割合を伸ばした。比率が大きかった上位5県は1位が沖縄県で2・201%。前年度と比べ1・002ポイント増加した。2位が大分県1・118%、3位が熊本県0・688%、4位が高知県で0・683%、5位が鳥取県で0・570%と続く。…

 

※ 詳細は本紙1651号または11月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

「民泊はビジネス」主張、国会議員らに要望書提出(日本旅館協会)

議員らに説明する針谷会長(右)
議員らに説明する針谷会長(右)

日本旅館協会(針谷了会長)は11月10日に、民泊関係の要望書を国会議員らに提出した。「家主不在型民泊はビジネスであり、旅館営業許可の取得が当然」などを主張。同日に東京・永田町で政経懇話会パーティ―を開き、駆けつけた多数の政治家らに要望を繰り返し訴えた。

営業日を宿泊の有無に限らず、予約可能日とすることと、連続した日にすること、届出・登録書類へ記載などを要求。実泊日だけ数えることや、記載がない営業日の把握などは現実的ではないとした。

細田氏も駆けつけた
細田氏も駆けつけた

一方、事業者に関して、届出に住民票の添付と、同一の住所で複数の届出・登録を認めないことなどを求めた。親族らが異なる期間で届出・登録をすれば、事実上日数制限はなくなる。そのほか、違反者に対する罰則・罰金の強化も要求した。

旅館業界は、政府が当初、宿泊施設不足の打開策として挙げた「民泊」は必要ないとする。すでに大都市部のホテル稼働率は減少傾向をみせるなか、「インバウンドの対策としての根拠は無くなった」と主張。

欧州諸国は民泊の規制が強まっている。テロの脅威や、犯罪などから国民を守るためだ。現状は「日本だけが逆行している」と強調した。

同日行われた政経懇話会パーティーに、自民党観光産業振興議員連盟会長の細田博之氏をはじめ多数の政治家らが参加。旅行関係者を前に、「やるならば同等の条件」や「安全安心を守るべき」などの声が聞かれた。

視線 ― 客や旅人は監視の目から離れたい

 洋服屋で服を選んでいると、店員が来て話しかける店がある。大体そういう店は、店内が閑散としている。こちらが探す余裕も与えてもらえず、店に入って10秒もしないうちに、「何をお探しでしょうか?」と近寄ってくる。モゴモゴと口を濁していると、後をついて来て、視線まで追いかけて、「ジャケットですか?」「コートですか?」などと聞いてくる。

 仮に「ジャケット」などと答えると、店が「売りたい」ものを持ってくる。大抵の場合、持ってくる品物がこっちの欲しいものとかけ離れており、居心地の悪さを感じる。

 先日、擦り減ったクルマのタイヤを変えようとカー用品店に行った。「オンボロ車なので安いタイヤで!」と言っているのに、結構高いタイヤを勧めてきた。他の店に行こうとすると、「安いタイヤがあった」と言い出した。結局、客が欲しいモノよりも、自分たちが売りたい商品を買わせようとする。これがちょっとでも伝わってしまうと、客は店に対して不信感を覚えることになる。

 私はオートバイが好きなので、暇な時にはバイク店に行って、ずらっと並ぶオートバイを眺めている。幸い近所に大型バイク店が3店舗あるので、その日に気が向いた店に行く。1軒はいくらオートバイを眺めても、スタッフは誰ひとり声をかけて来ない。でも客が質問すると、懇切丁寧説明してくれる。もう1軒も放置してくれる。店内にベンチまで置いている。ツーリング中のライダーも利用できる清潔なトイレも設置している。私はこの店でオートバイを買った。もう1軒は、「何かお探しでしょうか。おっしゃっていただければ、すぐにバイクをお出ししますよ」と毎回声をかけてくる。「すみません、オートバイが好きなので、ちょっと見させてもらっています」と答えるのだが、毎回同じやりとりを繰り返す。結局、3番目の店には足が向かなくなってしまった。悪い店ではないのだが、なんとなく居づらさを感じてしまうのだ。色々な小さな備品も、放置してくれる店で結果的にたくさん買っている。

 店の方針として、客が入店した瞬間に、声をかけることが決まっているのかもしれない。けれど、洋服やオートバイなどは、「しばらく眺めていたい」という心理がある。客は自分が選ぶ商品と向き合い、「夢に浸る時間」が必要である。その貴重な“陶酔の時間”に、脇から店員が野暮なセールストークを囁かれても、煩わしさしか感じないものだ。

 客から視線を外し、言葉を加えない時間を与えることは、すごく大事なことなのである。

 旅館も客室係が部屋に入り、宿泊客とさまざまな会話を交わす機会がある。しかし、他人と話すのが煩わしいと感じる客もいれば、たまたま人と話すのが苦痛な時だってある。宿の方針で、客との会話から色々な情報を引き出すように言われることもあるかもしれない。旅人も勝手なものだが、どこかで「放っておいてほしい」との願望もある。人からの監視の目から離れたいために、旅に出たところもあるのだ。

 一流と言われるホテルやレストランのスタッフは、客への視線を感じさせない。まったく見ていないかといえば、そうではない。客がスタッフを求めたときに、ちゃんと視線が合うものなのだ。

(編集長・増田 剛)

ジャルパックが1位、顧客満足旅行部門で2年連続

 ジャルパック(藤田克己社長)はこのほど、2016年度日本版顧客満足度指数(JCSI)第4回調査の旅行部門で、2年連続の顧客満足1位に輝いた。知覚価値と顧客期待でも1位となった。

 JCSI調査は、日本最大級の顧客満足度調査で、年に6回実施している。約400の企業とブランドを対象に行われ、各企業の成長と世界における競争力強化を促すのが目的。

 今回の調査では、旅行のほか百貨店と衣料品店、国際航空、国内長距離交通、教育サービスの6業種で順位が発表された。国際航空ではシンガポール航空が、国内長距離交通ではスターフライヤーが顧客満足1位を獲得した。

 なお、旅行部門の2位以下は、(2)ANAセール(3)日本旅行(4)一休.com(5)近畿日本ツーリスト(6)HIS(7)阪急交通社――の順。

熊本城復旧へ支援、熊本市で贈呈式典行う(日観振、JATA)

贈呈式のようす
贈呈式のようす

 日本観光振興協会(山口範雄会長)と日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は11月10日、レゴ(R)ブロック「熊本城」と「熊本地震熊本城災害復旧支援金」を熊本市に贈呈した。式典は、熊本城の桜の馬場城彩苑で行われた。両会長は、9月に行われたツーリズムEXPOジャパン2016来場者の寄付によるレゴ(R)ブロックと支援金を大西一史熊本市市長に贈った。

 支援金は、JATA会員各社と個人、観光関連団体、JATA記者クラブによるもの。

 被災した熊本城の復旧を目的に集められた。支援金の総額は、約460万円。

バス座席の座り心地比べ

 千葉県・幕張メッセで11月9日に開かれた、バス事業者を対象にした体験型バスイベント「第2回バステクin首都圏」に、バスの最新技術を体験するため足を運んだ。

 会場には最新のバス車両をはじめ、ドライブレコーダーや座席シート、バスに関するさまざまな機器・用品が展示されていた。とくに、ずらっと並ばれた多彩のバス車両が迫力満点。思わず、各車両シートの座り心地比べに励み、その違いを体感した。観光バス旅行の場合、大半はバスの中で過ごすことになる。移動となると連続1時間はざらだ。今後は観光とともに、自分好みのシート探しという楽しみが生まれてしまった。

 同イベントの主催は、バス情報専門誌「バスラマ」を発行する「ぽると出版」。次回は、大阪で来年5月に開催する予定だ。

【長谷川 貴人】

東北観光の復活目指す、「JATAの道」ツアー実施

除幕式のようす
除幕式のようす

 日本旅行業協会(JATA)は10月28―29日に、「第3回みちのく潮風トレイルJATAの道」ツアーを岩手県で実施した。戸川和良副会長を団長に、約60人が参加した。同プロジェクトは、東北復興に向け、地域の自然や生活の再生を手助けするための取り組み。環境省が整備するトレイルコースを旅行商品の造成に活かし、地域への誘客増加を狙う。一行は今回、碁石海岸のある大船度市中南部ルートと釜石市ルートを中心に視察。地域との交流も活発で、観光業関係者らとの懇親会も盛況だった。
【謝 谷楓】

 ■「みちのく潮風トレイル」と「JATAの道プロジェクト」
 同トレイルコースは、環境省が整備管理する三陸復興国立公園の一部で、青森県八戸市と福島県相馬市をつなぐ。リアス式海岸特有の景観から、森の散策や観光スポット巡りまで、歩きながら東北の自然や文化に触れることができる。
 現在も整備が行われており、岡本光之環境省自然環境局国立公園課課長は、「地元の方々と一緒になって同コースの選定を行ってきた。環境省は、国立公園が地域の発展に役立つよう、今後もJATAの皆様と協力していきたい」と語る。
 復興支援に尽力するJATAは、2014年から「JATAの道プロジェクト」を開始した。3回目となる今回は、岩手県の大船渡市と釜石市を中心に視察した。同プロジェクトでは、地震と津波によって破壊された東北の自然景観と生活文化の再生をはたし、観光業の復活を目指す。視察を通じ、トレイルコースを活用した商品造成や販売といった成果を期待している。
 地域との交流も積極的に行われ、一行は地元ワイナリーが運営するりんご園や、復興庁主催のビジネスコンテストで大賞を受賞した甘露煮の生産現場を訪れた。
 大船渡市では、キャッセン大船渡(田村滿代代表)の臂(ひじ)徹取締役が、同市での新しいタウンマネジメントについて講演した。

説明する語り部と、震災遺構の旧タピック45(陸前高田市)
説明する語り部と、震災遺構の旧タピック45(陸前高田市)

 ■“あの日”を振り返る
 1日目、陸前高田市にある東日本大震災追悼施設を訪れた一行は、犠牲者の死を悼み、黙祷を捧げた。戸川副会長と黒川惠社会貢献委員会副委員長による献花も行われた。
 旧タピック45(道の駅高田松原)では、語り部の釘子明氏から震災当時のようすについて説明を受けた。3月11日、15㍍を上回る津波に飲みこまれた同施設は現在、被害の甚大さと恐ろしさを後世に伝えるために、震災遺構として当日のようすを今に残す。奇跡の一本松と、復興まちづくり情報館にも近く、周辺には一般観光客の姿も。

 ■碁石海岸を歩く
 トレイルコースを巡る出発式は1日目に、碁石海岸インフォメーションセンターで行われた。団長の戸川副会長は、「これから歩くコースをぜひ、商品造成に活かしてほしい」と薦めた。
 大船度市中南部ルートでは、2チームで碁石海岸周辺を散策。椿の里大船渡ガイドの会所属の菊池英夫氏によるユニークな語り口とともに、一行は、えびす浜や碁石岬からの景色を堪能した。海岸付近では遊歩道が整備され、所要時間は40分ほど。キャンプ場もあり、岬にある碁石埼灯台では、桜や椿など四季の花を楽しめるという。

 ■釜石市に案内板を贈呈
 三陸鉄道・南リアス線を走る「震災学習列車」への乗車から始まった2日目。盛駅から唐丹駅まで、窓外には、美しいリアス海岸と復興に勤しむまちが広がる。車内では、内舘昭二南リアス線運行部担当部長が、震災当日や復旧状況について解説した。同企画は、被災した地域を窓外に、震災時と現在のようすを知ってもらおうと、同社が沿線住民らと協力し実施するもの。
 続く目的地、釜石鉄の歴史館では、「みちのく潮風トレイル 釜石市案内板除幕式」が行われた。案内板は、JATAから釜石市へ贈られ、観光客の利便性を高めるのも目的の1つ。観光客は、わかりやすいルート地図を確認し、おすすめコースを知ることができる。
 式典には、野田武則釜石市市長も出席し、感謝の念を表明した。
 ラグビーワールドカップ会場建設地を視察した後、根岸海岸を望む宿、宝来館へ。岩崎昭子女将は「県外から来る皆様との交流が地域の産業につながる」と語り、同コースを活かした旅行商品の発売に強い期待を示した。

釜石大観音と釜石港を望む
釜石大観音と釜石港を望む
講演する臂徹氏
講演する臂徹氏

 ■今後の街づくり
 1日目の夜、大船渡市で新しい街づくりに取り組むキャッセン大船渡の臂氏が講演を行った。
 来年4月に、市や商工会議所とともに、テナント型商業施設を中心市街地にオープンする。臂氏は、「洋食屋なのにラーメンが美味しいお店があるという声が聞こえてくるような、昼と夜で雰囲気が変化する、多様性に冨んだ街づくりを目指したい」と、さまざまな人が交わる港という、同市の特徴を活かすアイデアを披露した。
 懇親会には、戸田公明大船渡市市長から、りんご園を経営するスリーピークス及川武宏代表や「三陸甘露煮」で有名なバンザイファクトリー高橋和良代表ら、地元の名士が参加。地域食材を活かした料理が並び、りんご園の果実を使った炭酸酒、シードルも食事にマッチすると好評だった。

九州観光復興へ財政支援を、熊本城など早期復旧も、7県と観光・経済界が要望

ガイドの案内で被災した熊本城を見学する観光客も増えている
ガイドの案内で被災した熊本城を見学する観光客も増えている

 九州7県と九州観光推進機構、九州経済連合会などの経済団体は11月8日、「九州ふっこう割」終了後の反動減などの対策に関わる国の支援を求め、内閣官房、観光庁など関係省庁を訪問して「熊本地震を受けた九州観光復興のための要望書」を提出した。

 九州では4月に発生した熊本地震で、当初宿泊キャンセルが70万件を超えるなど、観光産業が大きな打撃を受けた。7月からは国の交付金180億円を活用した割引付旅行プラン助成制度「九州ふっこう割」事業をスタートさせ、宿泊者数は徐々に回復してきている。

 機構がまとめた九州ふっこう割第1期実績(速報値)では、事業目標の150万人泊に対して達成率97・8%の146万8千人泊と目標達成が目前に迫っている。

 ただ、東京、大阪など大都市圏からの観光客の戻りは今一つで、10月8日に発生した阿蘇中岳噴火や熊本地震の余震発生などが復興にブレーキをかけるなど、九州全体の観光産業への影響が懸念されている。

 また、ふっこう割事業が終了する1月以降の宿泊予約も昨年に比べて低く、修学旅行も地震後に方面変更され、九州での実施が見送られていることも、懸念材料の一つとなっている。

 インフラでは阿蘇へ向かう国道57号線や周辺道路、豊肥本線などの鉄道復旧にも時間がかかり、熊本城や阿蘇神社など観光施設再建にも長期間要することが、観光復興へ向け支障となっている。

 要望書では国道、鉄道など公共交通インフラの早期復旧、熊本城、阿蘇神社など文化財の早期復旧、ふっこう割の反動減解消対策などに向けた財政支援を求めている。

 また、地震発生から1カ年に向けた九州観光復興応援感謝旅行キャンペーンや九州各地でのおもてなしイベントの実施。今回のふっこう割対象外だった観光施設やドライブイン、土産店、飲食店、鉄道、貸切バス事業者などへの直接効果事業への財政支援要望も盛り込んでいる。 さらに、海外向けプロモーション連携の強化や、修学旅行の次年度以降の方面変更対策事業に対する財政支援も要望した。