2017年12月1日(金) 配信

ホテル日航関西空港(高橋信行総支配人、※高は「はしごだか」)は12月、食品添加物に関する独自のガイドラインを設けた。国内外の利用客に、食材本来の味を楽しんでもらうのが目的。ホテル内3つのレストランでは、ガイドラインを満たすメニューが8割を占める。
昨年度、直営レストランで提供する野菜を100%国産化するなど、食への安全・安心で差別化をはかってきた同ホテル。調理時に除外する食品添加物をリストアップし、自主的にガイドライン化した。ガイドラインに沿ったメニューがひと目でわかるよう、メニューには「緑のハートフォークマーク」を表示する。カビや細菌などの発育を阻止することから、味噌などの保存料とされるソルビン酸を除外対象に指定するなど、徹底的した取り組みとなっている。
インバウンドが増加するなか、宿泊施設の「食」に対するこだわりは高まっている。各国のニーズは多様で、食材のほか食事に掛ける時間についても国・地域によって異なる。ムスリム対応をはじめとする宗教に基づく配慮はすでに常識となりつつある。農林水産省でも、「飲食事業者のためのインバウンド対応ガイドブック【全体版】」を発行するなど、周知に注力してきた。
メニューを多言語で表示するタブレット用端末アプリなど、ITを駆使した取り組みも活発だ。QRコードを活用した取り組みを進めるタグフィット(後藤玄利代表理事)では、レストランメニューの多言語化を実現する仕組みを開発。飲食店のホスピタリティ向上を支援する。大手飲食店情報サイトのぐるなび(久保征一郎社長)でも、独自のシステムにより、外国語版メニューの作成をサポートしている。
食品添加物に着目した取り組みは、宿泊施設自らが動かなくては実現が難しい。一歩踏み込んだ展開で、おもてなしの質向上をはかる。