9月23日から大百済典 理解深める史跡や城巡る (百済文化祭財団)

2023年5月15日(月) 配信

過去のオープニングイベント

 韓国の百済文化祭財団(申光燮代表理事)は4月19(水)~22日(土)、公州市と扶余郡を巡るプレスツアーを実施した。9月23日(土)~10月9日(月)に、13年ぶり2度目となるイベント「大百済典」を開催する。同地域内には日本との友好関係を持ち、660年に滅ぼされたという国「百済」の歴史遺産のほか、特産品の栗を生かした商品を販売している。

 ツアーでは、より大百済展への理解を深め、楽しむことができるという史跡や城、寺などを巡った。開催に向けて準備を進めている同財団によるセミナーで詳しい大百済典の内容についても聞いた。

 公州市と扶余郡は隣接する地域。ソウルや仁川空港からは、バスで約2時間、釜山からは約4時間30分の場所に位置する。

 公共交通機関を利用する場合、ソウルから公州市へは韓国高速鉄道KTXを利用し、約1時間。扶余郡にはKTXとバスに乗り、約2時間30分でアクセスできる。両地域内を周遊で利用するバスは、路線網が複雑で本数も少ないため、貸切バスでの周遊がおススメだという。

 韓国への入国にはコロナ禍以降、発熱状態などを専用ウェブサイトで入力することで取得できるQコード、または機内や現地の空港などで配布される健康状態質問書の提出が求められている。なお昨年10月には、到着後に義務付けられていたPCR検査を撤廃した。マスクについては、医療機関と薬局で着用を義務付けられている。

700年の歴史百済 公州と扶余に首都

 百済は紀元前18年から660年にあった国。475~538年に現在の公州市である熊津に、538~660年に現扶余郡の泗沘にそれぞれ首都が置かれていた。また、日本をはじめ、現在の中国や東南アジア、インドへ技術や文化の発信を行っていた。当時奈良時代だった日本との交流については、日本書紀に記されているという。

 このため、さまざまな歴史遺跡が残されており、百済歴史遺跡として8カ所が世界遺産に指定されている。

 大百済典は1955年から毎年続く百済文化祭を世界的な歴史文化祭とするため、2010年からスタートした。10年に1度開催していく予定だったが、コロナ禍を受けて延長。4月20日(木)に開催した観光セミナーで、申代表理事は「日本と韓国で多くの水際措置が撤廃され、百済の王『武寧王』の逝去から1500年を迎えたことから開催を決めた」と説明した。

申光燮代表理事

 テーマは「大百済、世界と通じる」。目標とする来場者数は150万人で、海外からは2万人としている。

 日本人の誘客に向けては、見どころなどを紹介する日本語ウェブサイトを開設した。現地では日本語のパンフレットを配る予定だ。また、5月からは東京都などで旅行会社向けに説明会を開催していく。

 同イベントはドローンやレーザー、花火を用いるオープニングイベント「大百済典成功祈願」からスタート。その後、公州市と扶余市の文化財と百済の人物などをコンテンツにした水上ショーをはじめ、当時のようすを再現した熊津城パレードを行う。百済人の遊びを体験できるブースなども設ける。

 今年の大百済典について金聖哲総監督は「プロジェクションマッピングやドローンなど最新技術を用いて百済歴史を楽しめることが特徴」とアピールした。

世界遺産8カ所 公州市の城など

 8カ所の世界遺産のうち、公州に位置する公山城は、475~538年に首都だった熊津の防衛施設として機能していた城。武寧王などの王が居住。敵からの攻撃を防ぐため、傾きの大きい山の上に位置し、全長約2660㍍の城壁で囲われている。

公山城

 電気が普及していなかった当時、食料を長期間保管するため、土の下に作られた冷蔵庫や、貯水施設なども残っている。守門兵の交代式も実施する。

 麻谷寺には中心の殿「大宝光殿」と門を結ぶ極楽橋を渡ると死後、極楽浄土に行ける言い伝えがある。また、寺内の霊山殿にはそれぞれ顔が異なる約1千体の仏像が祀られている。韓国国内ではお祈り後目を開け、最初に目が合った像の顔が運命の人と似ているといわれ、若者に人気のスポットとなっている。

霊山殿

寺など位置の扶余 百済象徴の香炉も

 国立扶餘博物館には百済を工芸技術の高さ象徴する国宝「百済金銅大香炉」が展示されている。

 同香炉は悪運を断つために仏殿で香を焚く際に使われた器。仙人が住む理想の世界を表現した山には、トラやイノシシ、シカ、ワニ、ゾウ、翼を持つ魚など複数の動物を細かく表現し、台座は天に昇ろうとする龍が支えていることは、当時の技術力の高さを表す。また、百済には生息していないゾウが表現されており、現在のインドの当たりを指す南蛮との交流があったことを示しているという。

 世界遺産に指定されている扶余郡の定林寺は600年ごろに建てられた。百済滅亡後の高麗時代の1000年ごろに創られた8・33㍍の石仏坐像が残る。

 宮南池は王宮用の池の庭園。外のようすを把握するための高さ約10㍍のブランコが再現され、遊ぶこともできる。7月には池に1万本ほどの蓮の花を浮かべるソドント蓮祭りが開催される。

朝鮮時代再現の宿 団体個人周遊促す

 今回のプレスツアーでは、「公州韓屋村」に宿泊。市内に簡易的な宿泊施設しかなく、観光客の滞在時間が短かったことからさらなる周遊を促そうと、2010年に開業した。

公州韓屋村

 韓国の伝統的な宿泊を体験してもらおうと、韓国の多くで電気を用いている床暖房「オンドル」は、体の芯から温まるという薪で温める。さらに、着物の着付けや矢を投げて壺に入れる遊び、餅つきなどを体験できる。

 団体旅行を受け入れるため、最大9人が泊まれる客室を備えるほか、2人定員の個人旅行用の部屋も用意している。総客室数は56室。

 ツアーでは扶余ロッテリゾートにも宿泊した。ゴルフ場や流れるプールなどを併設。さらに、アディダスやラコステが入居するアウトレットが隣接している。

公州の特産品の栗 パンやマッコリに

 公州の栗は大きく、甘いことが特徴。韓国国内ではほとんどの人が知っているという。公州市内ではお土産として、焼き栗や饅頭として販売。カフェでは栗のパンやラテを提供している。

 栗のマッコリは口当たりまろやかで、栗の風味に仕上げた。飛行機に持ち込むと気圧の影響を受けて味が変わってしまうため、現地での飲酒がおススメだという。

世界の旅行者78%が今夏の旅行を計画 観光需要の本格回復へ(トリップアドバイザー調べ)

2023年5月15日(月) 配信

トリップアドバイザーはこのほど、2023年夏の旅行動向を調べた

 トリップアドバイザー(マット・ゴールドバーグCEO、米国・マサチューセッツ州)はこのほど、2023年夏の旅行動向を調べた。同社が日本を含む世界5カ国の旅行者への意識調査と、同サイトの利用状況データを基に調査を行ったところ、78%の旅行者が今夏(6月1日~8月31日)の旅行を計画していると回答した。

 日本人旅行者では65%が今夏の旅行を計画していると答えた。前年同期が24%、23年春が49%だったことから、観光需要の本格的な回復が見える結果となった。

 同社サイトの利用状況データでは、23年のゴールデンウイークの国内旅行検索ボリュームは、19年比66%減だったが、今夏の旅行については19年比37%減となり、順調に回復していることが分かった。

 移動距離については、国内旅行を計画している人が80%、海外旅行が5%、国内・海外旅行の両方を検討している人が15%だった。

 23年夏の人気観光地は、国内が1位中央区(北海道)、2位恩納村(沖縄県)、3位宮古島市(沖縄県)、4位中区(神奈川県)、5位那覇市(沖縄県)。

 海外は、1位ホノルル(米国)、2位ソウル(韓国)、3位パリ(フランス)、4位バンコク(タイ)、5位シンガポール──の順。

 また、世界の旅行者による訪日旅行についての検索ボリュームから見る訪日旅行への意欲については、19年同期比は35%減、前年同期比は1212%だった。

 旅行の出費は、22年夏と比較して、今夏の旅行では出費が「22年よりとても多い」という回答が11%、「少し多い」が46%、「22年と同じ」が41%、「22年より少ない」が2%だった。

日本観光施設協会が10周年の節目 23年度は「組織強化の年」に

2023年5月15日(月) 配信

幾世英夫代表理事

 日本観光施設協会(幾世英夫代表理事、119会員)は5月12日(金)、東京都内で2023年度定時総会を開いた。今年は13年に一般社団法人に移行して10年の節目の年に当たる。新たな10年に向けた「組織強化の年」と定め、会員拡大に加え、国などへの陳情や意見の発信に努めていく方針を決めた。

 そのうえで、理事や若手を中心に、希望する会員で構成する「これからの10年を考える委員会(仮称)」を立ち上げる予定だ。

 幾世会長は「新型コロナの感染症法上の分類が2類相当から5類になり新しい時代を迎える。観光施設の業界では唯一の団体組織として、一人ひとりのお力を借りて、この大事な組織を存続させて新しい時代に向かっていきたい」とあいさつした。

 今年度は正会員の会費を前年度から3000円アップして1万8000円とし、組織強化に取り組む。

阪急交通社社長の酒井淳氏

 総会後には、阪急交通社社長の酒井淳氏が10周年記念講演「私と旅行業」を行った。

柿沼宏明観光産業課長

 懇親会には観光庁の柿沼宏明観光産業課長が出席し、「人が来れば来るほど地域の良さが守られていくことが大切。観光の力で持続可能な地域になるよう、観光施設の皆さんが中心プレイヤーとして役割を担ってほしい」と語った。

杉乃井が「宙館」宿泊者に期間限定夜活企画 LAVAコラボヨガなど

2023年5月15日(月) 配信

「宙館」ロビーテラスでヨガを開催する

 別府温泉杉乃井ホテル(鞍馬達也総支配人、大分県別府市)は、5月20日(土)~ 26日(金)まで「宙館」の宿泊者を対象に、ヨガなどを行う期間限定の夜活プログラム「SORAKAN Night ~星空の下で贅沢な“夜活”しませんか?~」を開く。夜ヨガプログラム「星空 夢ごごちヨガ」は全国でホットヨガスタジオを運営するLAVA(鷲見貴彦社長、東京都港区)とコラボレーションする。

 夜風が心地良い季節に同ホテルの最も高台に位置する「宙館」から、別府の夜景と満天の星を満喫して欲しいと企画した。夜ヨガは期間中の毎日、1日2回実施する。5月20日のみ、天体観測も実施する。

 ヨガは各回20人限定、天体観測は定員は設けない。参加は無料。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(148) 細部にこだわることで意識が変わる 強い意思で輝く行動

2023年5月14日(日) 配信

 

 細部に「魂」は宿ると言われます。先日利用した飛行機の中で、CAの行動に大変感動しました。飛行機がボーディング・ブリッジを離れる前に、CAが客席を確認して回るときのことです。私の座席に来たとき「シートベルトの確認をさせていただけますか」と声を掛けられました。シートベルトは着用していましたが、膝にコートがあったのでCAから確認ができなかったようです。

 最近のシートベルト確認は、音声やモニターで着用を促すだけで、CAの確認行動も減ってしまい残念に思っていました。以前は今回のように声掛けと、目視で確認されていました。音声案内のように、機械化が進みCAの人数も減り、出発前の業務がタイトになったことは分かります。ただ、効率化された業務については、「本当にそれで良いのか」と違和感を持っています。

 「何をする」かではなく、「何のために」という強い「根っこ」を持って経営すれば、現場力は高まります。シートベルトの着用は、アナウンスをすれば良いというだけではなく、お客様の安全な空の旅を守ることです。

 毎日の繰り返しではありますが、この瞬間の気持ちが薄れると大きなミスやトラブルにつながります。CAの仕事は、お客様の安全なフライトを守り、確実な再利用者を創造するために、高い満足度を生み出すサービス提供にあります。

 こうした、細部へのこだわりが、何のために仕事をするかという意識を高め、安全とリピートにつながる感動サービスを生み出すのです。私もその一声がフライトへの安心感と、その後の満足度を高める大きなきっかけとなったのです。

 あるクライアント企業のホテルに宿泊して、朝食を食べているときのことです。テーブルには感染予防のプラスチックボードがセットされていました。食事を終えたあと、テーブルを片づけるスタッフの行動に、このホテルのお客様を想う「根っこ」の強さを見ました。それは、食器を片付けた後にテーブルだけでなく、感染予防のボードを丁寧に拭いていたのです。その姿に大きな安心感が生まれました。

 その行動を取り続けることで、自らの仕事が安全を守ることと、お客様に気持ちよくお過ごしいただき、「またここで食事をしよう」と思っていただくお客様を創り続けることになる、というやりがいと誇りを生み出すのだと考えます。

 その行動そのものが感動サービスであったかということ以上に、その細部にこだわる想いと意識こそが、お客様の心を掴むより大きな感動行動を創り出すのです。一見無駄だと感じる行動にも、強い意思を持って取り組めばその行動は輝くのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

「観光革命」地球規模の構造的変化(258) TDLと北海道開拓の村

2023年5月13日(土) 配信

 オリエンタルランド(OLC)が運営する東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)は4月15日に開園40周年を迎えた。TDLは1983年の開園以来、2001年の東京ディズニーシー(TDS)開園など巨額の再投資を繰り返し、新しい魅力を付加し続けながら今日に至っている。

 コロナ禍で大きな打撃を受けたものの、開園以来、8億人以上がTDLとTDSを合わせた東京ディズニーリゾートを訪れている。ミッキーマウスなどのキャラクター、各種のアトラクション、キャストと呼ばれる従業員のおもてなしなどが入園者を魅了し続けた。とくにコロナ禍以前の18年度にはリゾート全体で過去最高の3255万人が入園した。

 コロナ禍による入園者数の減少を契機に、客数増加よりも入園者の満足度向上と1人当たりの売上高拡大に重きを置く戦略への転換をはかっている。入園者減少でアトラクション待ち時間が短縮され、浮いた時間で食事や買い物を楽しむ人が増え、入園者の支出額も満足度も大きく向上している。入園料金を平日と土・日・祝日で差をつける変動制に変え、混雑緩和をはかり、売上高の向上を巧みにはかっている。日本を代表する魅力的なテーマパークのさらなる発展に期待したい。

 野外博物館「北海道開拓の村」はTDLと同様に1983年4月に道立野幌森林公園に開設。明治から昭和初期に建築された北海道各地の建造物を約54㌶の敷地に移築復元・再現した野外博物館だ。農村、漁村、山村、市街地の4群に分け、旧開拓使工業局庁舎や旧青山家漁家住宅など52棟の建物、生活用品、産業機械などが保存展示されている。90年代の入場者は年間30万人前後だったが、以降は減り続けている。

 40年の歳月を経て、入場者減や建物の老朽化、ボランティア減少など多くの課題を抱えている。開拓の村の歴史的建造物群は北海道にとって貴重な「未来への文化遺産」であり、観光拠点化を積極的にはかると共にクラウドファンディングやふるさと納税活用なども必要になる。明治期の北海道が舞台の漫画「ゴールデンカムイ」で村内の複数施設が描かれて話題になり、入場者が増加した。今後とも情報発信の強化をはかり、観光業界との連携強化による入場者増加に期待したい。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

ホテルメトロポリタン羽田 10月17日開業へ 宿泊予約の受付を開始

2023年5月12日(木)配信

スタンダードツインタイプ (イメージ)

 日本ホテルは5月11日(木)、「ホテルメトロポリタン ⽻⽥」の予約受付を開始した。

 「ホテルメトロポリタン ⽻⽥」は、東京モノレール⽻⽥空港線、京浜急⾏電鉄空港線の天空橋駅から徒歩1分の場所で開発が進むHANEDA INNOVATION CITY(HICity)ZONE A の5〜10階に10月17日(火)に開業する。

 客室数は13タイプ、237室、⽻⽥空港を⼀望できるエアポートサイドの客室や、開放的な景⾊が楽しめるリバーサイドの客室などを用意。⽻⽥空港を⾒渡せる屋上展望デッキや、朝⾷などさまざまな⽤途で利⽤できるレストラン、ジムなどの付帯施設も取りそろえている。

 同社では開業を記念し、朝食が無料で付く宿泊プランも展開する。12⽉17⽇(⽇)までの期間で宿泊できるプランで、料金は1室1人1万5300円〜、1室2 人1万7840円〜。利用者は、抽選でメトロポリタンスイートの無料宿泊券が当たる抽選にも参加できる。

台湾観光局など、台湾観光PJを始動 水際撤廃でコロナ前の700万人への回復目指す

2023年5月12日(金) 配信

スカイランタン演出のようす

 台湾観光局(張錫聡局長)と台湾観光協会東京事務所(鄭憶萍所長)はこのほど、「2023台湾観光プロジェクト」を始動した。昨年10月13日(木)、台湾で隔離措置が撤廃され、日本でも4月から水際対策を終了したことから、旅行会社にインセンティブを用意し、コロナ禍前の2019年の相互交流延べ700万人を早期に回復させる。

 同日に開催した説明会で交通部観光局の張錫聰局長は、日台の観光業界の関係者にコロナ禍でもオンラインなどを通じて、交流を維持できたことに感謝を述べ、「今後は1番大きな市場である日本に期待している。700万人への回復は25年を目標にしたが、インセンティブの活用で、1年前倒しできるだろう」と語った。

張錫聰局長

 また、台北のほかに中部と南部にも魅力的な旅行先があるとして、ツアーに組み込むことを要望。そのうえで、「台湾全土では、コロナ前と同様に安心でフレンドリー溢れる旅行を楽しむことができる」とアピールした。

 台湾観光協会の葉菊蘭会長は訪台日本人の回復が訪日台湾人よりも遅れていることに触れ、「『不均衡を解消しなければならい』と考え、インセンティブ制度を創設した」と説明した。

葉菊蘭会長

 来賓の自由民主党で衆議院議員を務める古屋圭司日華議員懇談会会長は、14年に東京で台湾の故宮博物院の美術品を展示した際、立法措置を講じたことを振り返り、「約70万人が来場した。モナリザでは約90万人が訪れた」と話し、日本における台湾人気の高さについて述べた。そのうえで、「議員懇談会を通じて、色々なセクターに働き掛け、台湾訪問を奨励したい」と語った。

古屋圭司会長

 同PJでは旅行会社向けに3つの支援制度と個人に対し、海外個人台湾旅行応援キャンペーンを用意した。

 このうち、旅行会社向けの「いくたびふたたび台湾キャンペーン」は天燈スカイランタンや台中以南の鉄道の旅に対し、奨励金額を補助する。2泊3日以上で4~7人の団体に5千台湾㌦(日本円で約2万円)、同じ人数で6泊7日以上は1万台湾㌦(約4万円)を支払う。

 また台湾獅子舞や古典音楽生演奏など文化アトラクションを鑑賞する30~99人の団体には2万台湾㌦(約8万円)の助成金を用意。100~200人の場合は3万台湾㌦(約12万円)となる。

 海外個人台湾旅行応援キャンペーンは、抽選で5千台湾㌦(約2万円)が当たる。当選者数は23年が25万人、24年は15万人、25年が10万人。台湾パスポート所持者でなく、3~90日まで滞在する人が対象。台湾到着後専用HPからエントリー後、空港のCPカウンターで抽選にチャレンジでき、当選者にはその場で商品がプレゼントされる。

 10月21日(土)にはJATAとのコラボイベントとして新北市で合同天燈上げ実施。JATAの会員が今後、イベントに向けた商品を造成していく。

 説明会では台湾のオードリー・タンデジタル担当大臣が「観光業界におけるデジタルの最新動向」をテーマに、登壇した。

 オードリー大臣はデジタル技術を活用する際は、「誰も取り残してはいけない」とし、観光地の魅力を日本語や英語などの多言語で解説するアプリを開発したことを説明。さらに、観光地の混雑状況をウェブサイトで発信していることも紹介。「高齢者など足が弱い人も長蛇の列に並ぶことなく、観光を楽しめるようになった」と語った。

 その後、スカイランタン演出のほか、懇親会と商談会を実施し、台湾へのさらなる送客に向けて機運を醸成した。

23年春の叙勲伝達式、全旅協副会長の近藤氏が勲章など授与

2023年5月12日(金)配信

全国旅行業協会副会長の近藤幸二氏が勲章と勲記を授与された

 政府が4月29日(土・祝日)付で、2023年度春の叙勲受章者を発表した。国土交通省の大綬章と重光章の受章者は5月9日(火)に皇居で親授式と伝達式が行われ、中綬章以下は12日(金)に伝達式を同省で行った。本紙関連では、旭日双光章に受章した全国旅行業協会副会長・全観トラベルネットワーク社長の近藤幸二氏が勲章と勲記を授与された。

叙勲伝達式のようす

 伝達式の開催は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、19年秋の伝達式以来3年ぶり。12日の伝達式では、斉藤鉄夫国土交通大臣が公務により、藤井直樹国土交通事務次官が代読するカタチであいさつが行われた。受章者に対しこれまでの活躍への感謝と今後の活躍を期待すると述べ、同省もコロナ禍からの回復など重要な課題に向けてさまざまな施策を進めていくとあいさつした。

観光庁とJATA「今こそ海外!宣言」 各国観光局などと連携し、パスポート取得半額サポートCPなど展開

2023年5月12日(金) 配信

会見には各国の観光局・大使館・観光協会関係者が出席した

 観光庁と日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は5月10日(水)、「今こそ海外!宣言」を共同で発出した。また、3月に発表した「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」における重点的な取り組みを実施すべき国・地域について、「当面の重点デスティネーション」として、24の国・地域を選定した。2者は、「#今こそ海外」を共通のキーワードとし、官民一体で海外旅行の機運醸成をはかっていく。

 観光庁とJATAは、5月8日(月)に新型コロナの2類から5類相当への引き下げを受け、国内外や官民の関係者と協力に連携し、海外旅行の本格的な回復を目指すため、「今こそ海外!宣言」を共同で発出した。

 2022年10月に水際措置が緩和され、訪日外客数はコロナ前の7割程度まで回復した。一方で、日本人の海外旅行は4割弱に留まっており、本格的な回復には至っていない。

 両者は、「日本人の海外旅行は、日本人の国際感覚の向上や国際間の相互理解の増進につながる」という認識のもと、安定的な国際関係の構築や、観光・教育・文化などの分野で相互交流をはかる。これにより、国際線の増便や、インバウンドの拡大を目指す。

 観光庁の和田浩一長官は、「2類から5類へ引き下げられたこのタイミングで、官民一体となってメッセージを発信することで、機運醸成をはかり、国民の皆様に海外旅行へ行っていただきたい」と話した。

 観光庁が選定した当面の重点デスティネーション24カ国・地域は次の通り。

【東アジア】中国、香港、韓国、台湾

【東南アジア】インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インド

【北米・中南米】カナダ、米国、ハワイ、グアム、メキシコ

【欧州・中東】スペイン、フィンランド、フランス、英国、ドイツ、イタリア、トルコ

【オセアニア】オーストラリア

和田浩一観光庁長官

海外旅行促進PJ開始 パスポート取得補助など

 

 JATAはアウトバウンド促進協議会(JOTC、酒井淳会長)の活動の一環として、海外旅行のさらなる需要喚起を目的とした「JATA海外旅行促進プロジェクト」を4月1日(土)から行っている。

 同PJの第2弾として、5月15日(月)からは、「パスポート取得費用サポートキャンペーン」と「夏旅Wキャンペーン」を始め、夏休みの海外旅行者の増加をはかる。

 パスポート取得費用サポートCPでは、抽選で3210人に10年パスポート取得費用の半額となる8000円分の電子ギフトを付与する。また、応募者全員に対し、海外レンタルWi-Fiを割引で提供する。

 JATAの髙橋会長は、インバウンドに比べ回復が遅れているアウトバウンドに対して危機感を示し、「この著しくバランスを欠いた状況を、早急に是正する必要がある」と述べた。

 また、目標として、24年の早い段階にコロナ前の水準で2000万人レベルまで近付ける考え。「コロナ禍によって海外旅行の需要そのものが消滅したわけではない。このPJがきっかけとなれば」と期待を語った。

JATAの髙橋会長