北陸で初の女将サミット

 北陸新幹線が開業し、何かとメディアに取り上げられる機会が増えてきた北陸――。と前回担当時と同じ冒頭で恐縮だが、今回は関連して少し宣伝を。

 全国旅館おかみの集い、通称「女将サミット」が7月14日、石川県金沢市で開かれる。今年で26回目を迎えるが北陸での開催は今回が初めて。分科会では、国際儀礼や次世代の育成など、共通の課題について活発な意見交換が行われる予定だ。

 ひと言に“宿の女将”といっても、宿の規模や立地などが違えば、年代もさまざま。でもだからこそ、それぞれが考える女将という存在や、宿のおもてなしに触れることは、互いに刺激になるはず。

 現在、参加を受付中。北陸にはこれまであまり縁がなかった、という方もぜひ。

【塩野 俊誉】

【名鉄観光バス・加藤 信貴社長インタビュー】日本一の安全と「最高の接客」追求

加藤 信貴社長
加藤 信貴社長

 名古屋鉄道グループの名鉄観光バス(加藤信貴社長、愛知県名古屋市)が、発足6年目の2014年度決算で、営業収益が4期ぶりに70億円を超えた。新運賃制度や燃料価格の下落など外的要因もあるが、11年の東日本大震災の大きな落ち込みのなかで、あえて投資をして安全性、快適性を追求する新型車両の導入と、乗務員教育を徹底してきた取り組みが、大きな成果に結びついてきた。日本一の安全と、最高の接客を目指す同社の加藤社長に今後にかける意気込みを聞いた。
【聞き手=関西支社長・有島 誠】

「バスの中は旅の一部だ」

 ――まず、2014年度の営業実績を伺いたい。

 14年度は良い成績を残せました。旅行部門は苦戦しましたが、全体では営業収益が前年度比6%増で4期ぶりに70億円を超えました。当社は08年に名鉄グループのバス3社が合併して設立しましたが、リーマンショックの後遺症や鳥インフルエンザの影響、さらに11年東日本大震災が発生するなど、厳しい経営環境が続きました。私が社長に就任したのがまさに震災の年。大変苦戦しましたが、14年度で大きく回復でき、営業利益も過去最高となりました。

 ――大幅回復の要因は。

 震災後に落ち込みを挽回するため、毎年20両程度を最新の安全装置とさまざまな快適性に配慮したバスにグレードアップしてきました。私は「バスの中は旅の一部だ」と思っており、リラックスできて、楽しくなければいけません。
 「おもてなし車両」と銘打って、安全面ではドライバーモニターや車線逸脱警報、衝突被害軽減ブレーキ、車両安定制御システムなど装備し、最大限に配慮しました。一方で、シートを包み込むようなバケット式にして、長距離移動時の快適性を向上させたほか、すべてのシートにコンセントを設置したり、プラズマクラスターで空気を清浄するなどして、車内環境の改善もはかりました。
 DVDなどを流す液晶モニターは、前列から後列まで3カ所に設置し、それぞれの座席から近距離で映像を楽しめます。元々、“動く会議室”的な用途も兼ねて設置しましたが、結果的にシニア層に喜ばれ、ガイドの案内を字幕表示できることから、耳の不自由な方にも大変喜ばれています。車内の床をフラットにして歩きやすくしたこの車両は、当初25両導入し、今年度さらに10両増車します。
 そうした新車両導入で運賃単価が上がり、営業収入がアップしました。さらに新運賃制度や燃料価格もプラスに作用したことが、大きな要因であったと感じています。

「おもてなし車両」は長距離でも快適性に配慮
「おもてなし車両」は長距離でも快適性に配慮
液晶モニターは車内3カ所に設置
液晶モニターは車内3カ所に設置

 ――ソフト面での取り組みは。

 運転士やガイドの「おもてなし」をさらに強化しています。とくに運転士の接客向上として、車内あいさつを朝だけでなく、帰路も行うようにしました。これは乗務員からの提案です。心をこめて旅を楽しんでもらう。その思いを伝えていく。お陰でお客様からの評価も上がりました。
 自動ブレーキを装着し、安全性を向上させた車両は今年度末には大型車250両のうち91両の規模になりますが、これは他に類を見ない規模ではないかと自負しています。日本一の安全と最高の接客を目指します。
 乗務員の健康管理も強化し、選任保健師と担当医師が現場を回って、健康状態をチェックしています。また、福利厚生ハンドブックを作り、生活習慣病予防健診の補助を拡大したり、予防接種は家族も補助する制度を導入しています。

 ――ガイドについてはいかがですか。

 お客様が高齢化するなかで、いかに満足度を上げていけるかが課題です。ガイド全員に救急救命士の講習を受けさせて、緊急時の対応も可能にしているほか、旅程管理主任者の資格を取得させて、旅の安全を基本とする「おもてなし」を大切にしています。
 新人ガイドは、今年は40人が入社しました。今後も毎年40―50人規模で考えていきます。今年は男性ガイドも1人入社しており、話題性もありますが、男性目線のガイドも今後必要になるでしょう。

 ――15年度の目標と将来展望は。

 4期連続の黒字化を目指します。そのためにハード、ソフト面での充実をより重視していきます。加えて、お客様に選んでいただける商品を作ることです。
 最上級バス「ゼウス」2両を使った高額ツアーは、これまで催行中止がありません。リーズナブルから高額まで「2極対応」が必要だと思っています。
 27年開業予定のリニア中央新幹線も、今後視野に入ってくることから、インバウンド市場も含めて周辺環境は大きく変化することが予想されます。訪日旅客が大幅に増加するなか、受け入れ側としてさまざまな課題をクリアするための検討も進めたいと考えています。

広域観光周遊ルート事業、太田大臣が7件認定(国交省・観光庁)

1590_05

 観光庁は複数の都道府県をまたがって、テーマ性やストーリー性を持った一連の魅力ある観光地をネットワーク化し、外国人旅行者の滞在日数に見合った「広域観光周遊ルート」の形成に取り組んでいるが、6月12日に太田昭宏国土交通大臣が7件の広域観光周遊ルート形成計画を認定した。

 7ルートの名称、申請者、主な広域観光拠点地区などは次の通り。

 【アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし北・海・道】「プライムロードひがし北・海・道」推進協議会〈富良野地区、十勝川温泉地区、知床地区、釧路地区など〉
 【日本の奥の院・東北探訪ルート】東北観光推進機構〈八甲田・十和田・奥入瀬地区、角館・田沢湖地区、仙台・松島地区、蔵王・山寺地区、会津・喜多方・磐梯・大内宿地区など〉
 【昇龍道】中部(東海・北陸・信州)広域観光推進協議会〈白川郷・五箇山地区、金沢地区、飛騨高山地区、伊勢・鳥羽・志摩地区、富士山南麓地区など〉
 【美の伝説】関西広域連合〈古都奈良の文化財地区、熊野地区、天橋立地区、古都京都の文化財地区、大阪城エリア地区など〉
 【せとうち・海の道】瀬戸内ブランド推進連合〈徳島・鳴門・淡路島地区、高松・直島・琴平・小豆島地区、しまなみ海道地区、広島・宮島・岩国地区など〉
 【スピリチュアルな島~四国遍路~】四国ツーリズム創造機構〈にし阿波地区、高松・東讃地区、今治・西条・新居浜地区、四万十・足摺地区など〉
 【温泉アイランド九州広域観光周遊ルート】九州観光推進機構〈福岡地区、長崎地区、阿蘇・黒川地区、宮崎地区、鹿児島地区など〉

機構設立から10周年、インバウンド大幅増に(九州観光推進機構)

1590_06

 九州観光推進機構(石原進会長)の2015年度通常総会が6月8日、福岡市内で開かれ2014年度の事業報告、収支決算、役員選任について了承。15年度の事業計画、収支予算を決定した。今年は機構設立から10年で、観光功労者表彰や記念講演会が行われた。

 石原会長は「05年に創立して、九州7県と200の企業が参加し、観光を推進している。昨年に一般社団法人化して社会的信用も増した」と述べ、「観光が今ほど注目され、伸びている時代はない。観光は九州の基幹産業だ」と強調した。

 九州の14年宿泊客は05年に比べ約1千万人増の4170万人泊。インバウンドが100万人増えて167万人となった。

 石原会長は「インバウンドは4月も前年同月比140数%。クルーズ船も2倍の入港予定で、今年は機構目標の170万人を上回る200万人以上になるのでは」と予想。「2023年目標440万人も達成可能」と期待を膨らませた。

 また「国の地方創生の目玉が観光で、その裾野は広い」と述べ、20年東京オリンピックまでの国際イベントを挙げながら、「従来以上に九州にお客様をお迎えする」と決意を述べた。

 15年度の事業計画は、国内では九州八十八湯めぐりや九州の世界遺産にかかる事業を新設。海外に向けた情報発信では、九州観光ブログコンテスト、九州人気温泉コンテスト、九州観光サポーター会議など盛り込み、総合特区を活用したガイドの育成も強化する。

 誘客促進では、ゴールデンルート訪日客への成田、羽田、関西の空港での働き掛けやASEAN市場の開拓、直行便活用した欧州市場開拓など行う。ニューツーリズム創出では、着地型旅行を販路拡大する。

 総会終了後にはハウステンボスの澤田秀雄社長が記念講演。アクセス、宿泊、ブランド力、イベント力不足など課題にあげ「九州オンリーワンを作り、リピーターを増やすことが大事」と指摘した。

DeNAトラベル誕生、エアーリンクから社名変更

(左から)中野社長、松田さん、眞鍋さん、で~なさん
(左から)中野社長、松田さん、眞鍋さん、で~なさん

 ディー・エヌ・エーグループのエアーリンク(中野正治社長)は6月1日、これまで同社が使用していたブランド名「DeNAトラベル」に社名を変更した。4月30日に同社初の海外サイト(オーストラリア版)を開設したことを機に社名とブランドを統一し、知名度向上を目指す。
 同日に開いた「DeNAトラベル大感謝祭」で中野社長は「我われはこれまでに使いやすく、安く、品ぞろえが豊富なサイトを目指してきた。これからも成長させ、数年後には世界中で評価されるサービスにしたい」と意気込みを語った。今後はアメリカやカナダ、香港への海外展開を予定する。
 旅行好きタレントで知られる眞鍋かをりさんと世界遺産アーティストの松田光一さんがゲストで登場し、旅行をテーマにトークを繰り広げた。松田氏はDeNAトラベルの新キャラクター「で~なさん」を手掛けた。
 眞鍋さんは旅の魅力について「初体験の旅が好きで、行ったことのないところや乗ったことのない電車を体験するのが好き。ドラクエで新大陸に入ったときのテンションの上がり方に似ていて、とりあえず街に着いたら全員に会話するような感覚。旅はその100倍の楽しさで、リアルなロールプレイングゲーム」と熱く語った。

1590_07_02

≪キーパーソンに聞く 中野 正治氏≫

 ――インターネット事業について。

 我われの出自であるエアーリンクやスカイゲートは海外航空券や海外ホテル分野を得意としていたので、オンライン化において当社はまず海外を強化した。
 ゼロ・コミッション化(航空会社が旅行会社に払う発券手数料の廃止)やPEX航空券(正規割引航空券)の下限運賃の撤廃など大きく環境が変化するなか、利用者にPEX航空券を買いやすくする仕組み作りに取り組んできた経緯があり、航空券を買いやすく、探しやすく、価格も安い、という体制は他社サイトよりも早く整った。この特色は今後も注力していく部分で、現在もLCCが一覧で表示できるなど一歩進んたシステムを導入している。

 ――LCC対応について教えてください。

 LCCの航空券販売は、自社サイトでのウェブ販売が前提なので、OTA(インターネット取引旅行会社)で販売しやすい。さらに当社はGSA(航空会社から委託された総代理店)を通さずに直接システムに接続するので、リアルタイムでLCC各社サイトと同じ在庫・価格が確認できる。

 ――航空券や宿泊の直販が増えてきた現在、旅行会社が生き残るために求められることは。

 たしかにインターネット直販は増えているが、これからの旅行者全員がインターネット予約に変わるとはまったく考えていない。インターネット予約は、利用者が「自分で」探し、比較し、決め、決済するというように、能動的に動かなければならない。その部分を旅行のプロがアドバイスするのだが、インターネットでは100%のカバーができない。
 また、「一番良いものがわからない」「自分で決めるのは面倒」という旅行者の声もあり、窓口でプロに相談するという旅行会社の価値は必ず残る。さらに、世界一周、欧州10日など、より複雑なニーズが増えると旅行会社からのアドバイスは必須で、ここにも旅行会社のプロフェッショナリティーが求められる。
 当社も電話対応など利用者とのコミュニケーションがあり、常にプロとしての知識を追求していかなければならない。

新年度会員を募集、ピンクリボンのお宿ネットワーク

1590_08

 乳がん経験者に優しい宿づくりを進める「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(事務局・旅行新聞新社)は現在、7月1日から始まる新年度会員を募集している。

 ピンクリボンのお宿ネットワークは、乳がんの手術を受けて回復の道を歩みながらも、術後の痕を気にして旅をあきらめてしまうという方に、もう一度旅に出て、心ゆくまで旅館・ホテルの入浴を楽しんでもらおうと、2012年7月に設立した。

 現在、約100の宿泊施設が加盟し、「貸し切り風呂がある」「入浴着の貸し出しを行う」「ピンクリボンデーを設ける」など、各宿が今できるところから取り組みを行っている。また、観光協会や女将会などの団体、企業等も会員募集し、ともに活動を推進している。

 7月29日には、浜松町東京會舘(東京都港区)で新年度総会を開き、総会後は宿泊施設の事例報告会や交流会も予定する。また10月には加盟施設情報をまとめた「ピンクリボンのお宿」冊子を発行予定で、全国約800カ所以上の病院などで無料配布を行う。

 問い合わせ=ピンクリボンのお宿ネットワーク事務局(旅行新聞新社内) 電話:03(3834)2718。

ポイント付与開始、ランクごとの特別サービスも(エクスペディア)

6月2日に記者会見を開いた
6月2日に記者会見を開いた

 エクスペディア・ジャパンはこのほど、独自のポイント付与と、ステータスごとに特別なサービスやホテルでのVIP待遇を受けられるロイヤルプログラム「Expedia+(エクスペディア プラス)」の提供を開始した。

 エクスペディアのサイトやアプリなどから旅行予約をすると、次回の旅行予約時に使えるポイントをもらえる。

 ポイントの対象は、ホテル予約、航空券予約、ホテルと航空券を合わせたツアー予約。ホテルとツアーは75円で1ポイント、航空券は750円で1ポイントになる。3500ポイントで2500円割引のクーポンを発行される。

 また、ステータスプログラムとして会員ランクを「+ブルー」「+シルバー」「+ゴールド」の3つに分け、それぞれのランクに合わせた特典が受けられる。

 「+ブルー」からスタートし、予約日数が7泊以上か利用金額60万円以上で「+シルバー」に、15泊以上か120万円以上で「+ゴールド」になる。朝食やワイン、スパが無料になったり、客室がグレードアップされたりなど提携ホテルの特典や、会員限定のお得プロモーション、優先カスタマーサービス、予約時のボーナスポイント獲得などのサービスが受けられる。

 「Expedia+」提供開始の6月2日には東京都内のホテルで会見を開き、木村奈津子マーケティングディレクターがサービスについて説明した。

旅館の夜のロビー ― 「文化では飯は食えない」は本当か

 旅館の居心地の良さは、どこで感じるだろうか。多くの人は、プライベート空間である客室と答えるかもしれない。

 だが、私は居心地の良さを感じるのは、夜遅い時間帯のロビーなのである。

 夜の9時、10時にもなると、ロビーは人気が少なくなり、灯りのトーンも落としているので、ゆったりとしたソファに座ると、何となく落ち着く。

 小さな図書館がある宿もあるが、大体の宿にはロビー周辺に本棚や、雑誌ラックなどがあり、そこにさまざまな出版物が置かれている。旅館は旅人と、地域を結び付ける「場」であり、ロビーは、まさにその中心地である。

 少し夜更けに、人影の少なくなったロビーで何気なく手に取るのは、このような小さな雑誌であり、小さな本である。

 まったく従業員の姿が見えず、一人ぼっちで照明のほとんどないソファに座ることもある。別に放ったらかしが嫌なわけではない。誰かの視線を感じるよりも、気が楽でくつろげることも多い。

 趣味のよいランプや間接照明で、疲れのない空間を演出している宿もある。ロビーに、どこか文化的な薫りが漂う宿ならば、どのような方がこの宿のオーナーなのだろうと感じてしまう。私は、ロビーの大切さに気づいている宿が好きである。

 宿泊客にはさまざまな人がいる。旅に疲れ、お酒を飲むと客室で早々と眠ってしまう旅人もいれば、親しい友だちと夜遅くまでおしゃべりが楽しい夜もあるだろう。また、一人で宿を訪れ、客室に戻ってテレビを付けるのも味気なく、なんとなくロビーに出てきて、ソファに身を凭せ掛ける旅人もいるはずだ。

 先日、「旅の眼」という雑誌が送られてきた。「旅の眼」は、本紙でも連載コラムを持つ旅行作家の野口冬人氏が発行人、竹村節子氏が編集人として発行されている。今号で121号となる。色々な雑誌があるが、私はこの雑誌が届くのを楽しみにしている。

 今号は、冒頭に、こちらも本紙で連載コラムを持つ松坂健氏の「わたしの日本旅館原論」が掲載されている。

 小さな本なので、すぐ読み終えた。そして、何気なく読んだ「編集後記」の竹村氏の文字に目が止まった。

 〈かつて120軒あった賛助会員数も、現在約60軒。会員の減少は資金の減少につながり、以前のように出版活動ができなくなった。第28回「年に一度の大集会」で配布した『わたしの温泉観光論』で資金が底をつき、途方に暮れていたところ、水明館の滝晴子大女将が50冊、買い上げてくださって、121号発刊の目処がついた。ありがたかった〉

 私は、何度もこの文を読み返した。

 「旅の眼」の賛助会員の約60軒の館名が本の最後にずらりと並ぶ。規模の大小はあるが、いずれも文化の薫り高き、名旅館ばかりだ。そこからは「宿文化とはなにか」を常に考え続けるオーナーたちの顔がいくつも浮かんでくる。「文化では飯が食えない」という言葉をよく聞く。本当かどうかわからない。だけど、寂しい言葉である。

 ロビーはにぎやかな昼間ではなく、夜更けの静かな時刻に、文化の匂いを夜の植物のように発散させ、何かを語りかけてくる。そのような宿に敬服してしまう。

(編集長・増田 剛)

半年で2倍に拡大、消費税免税店1万8779店舗に(国税庁調べ)

1589_01

 国税庁がこのほど発表した、15年4月1日集計の全国の消費税免税店舗数は1万8779店舗となった。昨年10月1日集計の9361店舗から半年で約2倍に急拡大した。

 都道府県別に店舗数をみると、最も多いのは東京都で5469店舗、次いで大阪府が2316店舗、北海道が1132店舗、福岡県が1011店舗、神奈川県が994店舗、千葉県が801店舗、京都府が772店舗、兵庫県が701店舗、愛知県が672店舗、埼玉県が500店舗と続く。

 一方、店舗数が少ない都道府県は福井県、島根県、徳島県、秋田県など。

 全国の店舗数に対する東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の三大都市圏の割合をみると、14年10月1日は69・9%を占めていたが、今回集計では地方部で3736店増加し、三大都市圏の割合は65・1%となった。

 消費税免税店は12年4月に4173店舗、13年4月に4622店舗、14年4月に5777店舗と推移していたが、14年10月の外国人旅行者向けの消費税免税制度改正を受け、14年10月1日には9361店舗と大幅に拡大していた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

No.404 日本旅館協会総会特集、針谷了会長インタビュー

日本旅館協会総会特集
針谷了会長インタビュー

 日本旅館協会(針谷了会長)は針谷体制となり1年が過ぎた。(1)協会の正常化(2)会員メリットの拡大(3)観光立国への貢献――の3つを柱に、協会の財務体制にもメスを入れ、収支の大幅な黒字化に成功。委員会の一新、保険代理業務の協会直轄による安定的収益の確保、クレジットカード手数料の低減化などを断行し、今年度はさらに、旅館経営の生産性向上も積極的に推進していく。針谷会長にこの1年と今後についてうかがった。
【聞き手=石井 貞德・旅行新聞新社社長、構成=伊集院 悟】

 

 

 ――会長に就任されて1年が経ちます。この1年間の取り組みと成果、事業の進捗状況について教えてください。

 昨年6月、会長に就任させていただき、(1)協会の正常化(2)会員のための事業推進による会員メリットの拡大(3)観光立国への貢献――の3つを柱に取り組んできました。

 協会の正常化としては、まず定款の見直しを行いました。急場での2団体の合併のため、一般社団法人に関する法律と当協会の定款、定款と諸規定との間に齟齬があったので、総務委員会を中心に熱心に取り組んでいただき、諸規定を6本改正、3本新たに制定しました。昨年9月の臨時総会で定款を一部改正を承認いただき、さらにこの6月の総会で抜本的な改正案を提案する予定です。

 また、財務状況は約4300万円の赤字予算で、改革をしないと財政が破綻するようなひどい状況でした。そこでまずは支出の無駄を洗い出しました。事務所を全国旅館会館へ移転し賃貸料を抑え、団体合併にともない2人いた事務局役員を1人にしました。ホームページ「やど日本」は運営費だけで年間約1千万円かかっていましたが、コールセンターなどをなくし、ランニングコストのサーバー費用である年間8万4千円に削減。さまざまな団体・組織に加盟もしていましたが、それらも必要なものだけに精査し、団体会費支出を実質4割カットしました。…

 

※ 詳細は本紙1589号または6月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。