政策要望決議など可決、安全安心の決意を固める

上杉雅彦会長
上杉雅彦会長

日本バス協会 全国大会開く

 日本バス協会(上杉雅彦会長)は11月16日に、岩手県・花巻温泉「千秋閣」で第61回全国バス事業者大会を開いた。約400の会員らが全国各地から一堂に会した。政策要望決議と、安全輸送決議を満場一致で可決。業界を挙げて「安全安心がすべてに優先する」と、決意を固めた。

 政策要望書は2017年度の予算増額を求めた。バス業界は大都市部と地方部で収支の差が拡大している。15年度の収支の差は、約500億円。

 増額対象は「地域公共交通確保維持改善事業」で、地域の生活バス交通を支援する事業。各地方における生活交通網の維持、改善に資する支援を求めたかたちだ。

 安全輸送決議は(1)基本動作の励行(2)走行中のスマートフォン使用禁止(3)飲酒運転防止対策マニュアル――などの徹底を採択した。

 安全への決議の一因に、相次ぐバス業界の不祥事がある。上杉会長は「信頼回復の時期に言語道断。忸怩たる思いだ」と会員らに再発防止を強く訴えた。

 そのほか、第60回「優良運転者日本バス協会会長表彰」や、2つの講演などが行われた。

 岩手県の開催は1989年以来、27年ぶり。多くの来賓がかけつけ、同県の達増拓也知事も祝辞を述べた。大会が終わったあと、懇親パーティーを開催。岩手県の地酒や郷土料理のほか「さんさ踊り」も披露され、盛会裡のうちに終了した。

安全輸送決議を満場一致で可決
安全輸送決議を満場一致で可決

第42回「100選」決まる、表彰式は1月20日、京王プラザ

11月18日に行われた選考審査委員会
11月18日に行われた選考審査委員会

12月11日、旅行新聞HPで発表

 旅行新聞新社・100選選考審査委員会は11月18日、東京都港区の浜松町東京會舘で、「第42回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の選考審査委員会を開き、総合100選と審査委員会特別賞「日本の小宿」10施設を決定した。

 「第37回プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」「第26回プロが選ぶ優良観光バス30選」などを加えたおもなランキングは本紙12月11・21日合併号紙面および、同12月11日に更新する旬刊旅行新聞のホームページで発表する。

 表彰式は来年1月20日に、東京都新宿区の京王プラザホテルで開かれる。

 「第42回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は、全国1万6614の旅行会社(支店や営業所を含む)を対象に専用ハガキによる投票を募り、集計した投票結果を後援団体の全国旅行業協会(ANTA)と、日本旅行業協会(JATA)の関係者、旅行雑誌編集者で構成される選考審査委員会で審査し、決定した。

 主催は旅行新聞新社で毎年実施し、今年も10月1―31日まで投票を受け付けた。

 旅行会社の皆様からのたくさんのご投票ありがとうございました。

全国で4万店に迫る、地方も半年で1千店増加(免税店数)

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 観光庁はこのほど、10月1日現在の都道府県消費税免税店数をまとめた。これによると、47都道府県すべてで店数が増加した。全国の店数は3万8653店。前回調査(4月1日)から半年で9・8%増の3451店増えた。三大都市圏を除く地方部は同9・8%増の1318店増え、1万4827店だった。

 同庁は18年に、地方の免税店数を2万店規模に成長させる。「明日の日本を支える観光ビジョン」にある従来の目標から、2年前倒した。今回の増加率であれば、18年度中に達成する見込みだ。

 20年までに1500カ所で外国人受入環境を整備。Wi―Fi環境整備や、免税手続きカウンターの設置、多言語案内表示などの取り組みを支援する。地域の稼ぐ力を引き出し、地域経済の活性化をはかっていく。

合格率は26・1%、総合旅行業務管理者試験

 日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は、11月18日に、「2016年度総合旅行業務取扱管理者試験」の結果を発表した。1万516人が受験し、合格者は2749人。合格率は26・1%だった。合格者のうち、52・2%が旅行業関係者で、続いて大学生が14・4%。一般会社員が10・8%、専門学校生が10・0%。合格者数を年齢別に見ると、30歳代が794人と最も多く、28・9%を占めた。

 同試験は旅行業法に基づいており、JATAは観光庁長官の試験事務代行機関を務める。今年は10月9日に実施された。

 問い合わせ=JATA・研修・試験部(担当・門倉) 電話:03(3592)1277。

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最新のバス技術集合、バステクin首都圏

超節水型バス用洗車機ツアー
超節水型バス用洗車機ツアー

 バス情報専門誌「バスラマ」を発行するぽると出版は11月9日、千葉県・幕張メッセでバス事業者を対象に体験型イベント「第2回バステク in 首都圏」を開催した。

 同イベントは、バスラマ誌面で紹介した新型バスや先端技術を一堂に集め、実際に体験・見学してもらうことが目的。会場では、日本バス協会主催の「中央技術委員会全国大会」と連携し、最新バスの車両展示と公道試乗、バス関連の大型機材の展示などを用意した。さらに、エンジン自動消火装置や後付可能な衝撃防止補助装置の実演、超節水型バス用洗車機見学ツアーなど、多彩なプログラムを実施した。

 超節水型バス用洗車機見学ツアーでは、実際に導入している京成バスの新習志野高速営業所で実働状況を見学。洗車機の洗浄力の高さと、節水効果による水道料金のコスト縮減など、具体的な導入メリットとあわせた説明が行われた。

オプションで車両下回りも洗浄可能
オプションで車両下回りも洗浄可能

 洗車機は、ジェイアール東日本コンサルタンツの「BIG WASHERⅢ」。洗車業界初の2流体洗浄テクノロジーを活用し、微細なミストが強力な気流に乗ってムラなく汚れを落とし、ボディの塗装を傷めずに洗浄できる。さらに、大型車両洗車機で国内初のブロー機能は、洗車後の水滴残りによる水垢が発生しにくく、拭き上げ作業を大幅に軽減させた。使用水量は1台あたり100リットルで、排水リサイクル装置は不要。重視する洗浄箇所にあわせて、各種オプションも用意している。

 次回の「バステク」は来年5月、大阪で開催する予定。

60年の思いの結晶、ザ・ロイヤルエクスプレス(東京急行電鉄・伊豆急行)

車両編成イメージ(cドーンデザイン研究所)
車両編成イメージ((c)ドーンデザイン研究所)

 東京急行電鉄(野本弘文社長)と、伊豆急行(小林秀樹社長)は11月17日、東京都内で会見を開き2017年7月に運行開始予定の新しい観光列車の名称、デザインなどを発表した。名称は、「THE ROYAL EXPRESS」。会見で野本社長は、同車を「当社の60年間にわたる伊豆への思い入れの結晶」と表現。観光客に再び「伊豆に来たい」と思わせるきっかけを作りたいと思いを語った。小林社長は「運行開始が、伊豆の新たな幕開けになるよう、また地元に貢献できるよう取り組んでいく」と宣言した。

 「ザ・ロイヤルエクスプレス」は、JR横浜駅―伊豆急下田駅を結ぶ8両編成、定員100人の観光列車。運行日は週2日で、乗車料金は2―3万円を予定している。「煌めく伊豆。美しさ感じる旅。」を実現するために、「伊豆の素晴らしい魅力を、さらに感じていただける、気品と特別感のある観光列車にしたい」という思いが込められている。1―2号車はファミリーカーを予定し、1号車には子供用の木のプールや書庫も用意。多目的スペースの3号車は、ミニコンサートや、結婚式、展示会などが催せる。5―6号車は食堂車として利用。握りたての寿司を提供するカウンターも用意される。

 車両をデザインしたドーンデザイン研究所代表取締役の水戸岡鋭治氏は、「伊豆の経済と文化、人を結び、豊かなコミュニケーションが自然に生まれる移動空間を志した」と語った。

 同列車の運行に合わせ横浜駅では、カフェラウンジを新たに設置。乗車客専用のラウンジも併設する。下田駅周辺では、下田ロープウェイ寝姿山山頂店舗の改修を行う。また下田東急ホテルは、現在改修工事を行っており、3月17日にリニューアルオープンする。

結婚式も催せる3号車イメージ(ドーンデザイン研究所)
結婚式も催せる3号車イメージ((c)ドーンデザイン研究所)

太古の神秘、気軽に体験、隠れ銀山に往時しのぶ、山形県最上地域

光射す幻想の森
光射す幻想の森

 太古の神秘を気軽に体験――。山形県北東部に位置し、8市町村からなる最上地域は、ブナや巨木など豊かな自然が身近に見られるエリアだ。11月9、10日、最上地域観光協議会(会長=山尾順紀新庄市長)が実施した「もがみスタディツアー」に参加した。見どころを紹介する。
【鈴木 克範】

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 「ブナと巨木のもがみ回廊」をキャッチコピーとする最上地域。最大の特徴は、手軽なアクセスで太古の神秘に出会えることだ。戸沢村の幻想の森もその1つ。駐車場(マイクロバス)のすぐ前に、樹齢1千年以上の天然杉が生い茂る。幹の途中から枝分かれした形が特徴で、周囲の植林された杉との違いは一目瞭然だ。「最大は幹回り17㍍」「写真を撮るなら朝日がさす午前中がおすすめ」。ガイド(最上峡案内人協会)の案内も興味深い。大型バスの場合、川の駅・最上峡くさなぎの駐車場で、マイクロバス(1台手配し、2往復輸送)に乗り変える。

180メートルの坑道探検に出発(谷口銀山)
180メートルの坑道探検に出発(谷口銀山)

 江戸初期(1600年ごろ)に採掘されていた谷口銀山(金山町)は、当時の新庄藩が幕府に隠しもっていたことから「隠れ銀山」とも言われる。地元史跡保存会が坑内の水抜きや清掃など、安全対策を行い、案内人同行のもと180メートルの手掘り坑道を公開(5月下旬―10月末)している。内部は大人1人が少し屈んで進める広さ。採掘時の業務連絡とみられる「サイン」なども残り、往時の苦労がしのばれる。料金(ガイド料、長靴と軍手の貸し出し付き)は団体(バス1台)3千円、個人500円。駐車場(大型バス1台分)は付近の公民館を利用する。

 世代を越え栽培されてきた最上伝承野菜など、食の魅力にも注目したい。20施設以上が参加し、創作料理を期間限定で提供する「最上伝承野菜フェア」などの催しも継続的に取り組んでいる。秋の甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも、真室川町)収穫体験は、6月の植え付け前の予約が必要だが、「団体ツアーも増えている」(最上地域観光協議会)という。

「肘折カブ」を使った創作料理(ニューグランドホテル)
「肘折カブ」を使った創作料理(ニューグランドホテル)

 【最上地域の話題】

 最上峡芭蕉ラインは昨年、団体向けの新航路「名勝・本合海(もとあいかい)」コースを新設した。芭蕉と曾良が乗船した地から古口までの舟下りを楽しめる。料金は大人2200円▼鮭川村の与蔵峠(よぞうとうげ)は10月から降雪までの間、日の出とともに幻想的な「雲海」が見られる。出現率は7割ほど。ふもとの羽根沢温泉では雲海ツアーと朝食をセットにした日帰り企画(1人1千円)も▼藩政時代から続く「新庄まつり」(新庄市、毎年8月24―26日開催)が、12月初旬までにユネスコの無形文化遺産に登録される見込み。18府県33件の祭りで構成する「山・鉾・屋台行事」の1つ▼「1人500円で袋に詰め放題」が人気の舟形マッシュルーム(舟形町)に来春、レストラン(約50席)がオープンする。パスタやサラダなどマッシュルームの新しいレシピが見つかるかも。

 問い合わせ=最上地域観光協議会 電話:0233(29)1311。観光プロデューサーを配し相談に乗るほか、旅行会社の現地調査、パンフレット作成経費の助成も行っている。

大型タクシーを格安で、修善寺温泉×伊豆箱根交通

女将もPRに一役買う
女将もPRに一役買う

 静岡県伊豆市の修善寺温泉協同組合(浅羽一秀理事長)と、伊豆箱根交通(宮本正明代表取締役、静岡県三島市)は10月から、ハイグレードタクシーを導入し運行を始めた。同月26日には5台がそろい、旅館の送迎などに利用され、評判も高いという。修善寺はまもなくモミジのシーズンを迎え、同協同組合の女将もPRに一役買った。

 伊豆箱根交通は修善寺エリアに外国人観光客を誘致する「七転び八起き」プロジェクトを発足。第1弾としてハイグレードタクシー5台をそろえ、旅館の送迎などに利用している。料金は75分間貸切で、8470円。本来特大(7人乗り)種別されるため1万1170円かかる利用料金を、中型(6人乗り)にしたことで低料金化を実現。だるま山コースは特別料金5千円で利用可能になる。

No.447 47都道府県観光アンケート、観光予算0.3%減の約1057億円

47都道府県観光アンケート
観光予算0.3%減の約1057億円

 旅行新聞新社は昨年に続き47都道府県へ(1)2016年度観光関連予算(2)16年度一般会計予算総額における観光関連予算の比率(3)16年度の重点政策――に関するアンケートを実施した。補正予算や人件費の扱いなど各都道府県により条件が異なるため一概には比較できないが、1つのデータとして紹介する。なお、この紙面は47都道府県の順位付けをするものではなく、重点観光施策などを紹介するものである。

【編集部】

 
 
 
 2016年度の47都道府県の観光関連予算の合計は1057億1170万円と前年の1060億1249万円から0・28%減少した。47都道府県の観光予算の平均は22億4919万円。一般会計予算における観光関連予算の比率の平均は0・25694%となった。

 観光関連の予算を前年度と比較すると26の自治体で前年より増加。とくに熊本県と大分県では、ふっこう割の交付もあり、60億円以上観光関連予算が増額した。その他の県の予算額は、群馬県が約20億円の増額になっているが、それ以外の県では、3―5億円程度の増額幅の自治体が多い。

 一方で、21の自治体で観光関連予算が前年より減少。昨年の半分程度まで下がった自治体も多くみられた。一般会計予算総額における観光関連予算を前年度と比較すると、25の自治体が前年度より割合を伸ばした。比率が大きかった上位5県は1位が沖縄県で2・201%。前年度と比べ1・002ポイント増加した。2位が大分県1・118%、3位が熊本県0・688%、4位が高知県で0・683%、5位が鳥取県で0・570%と続く。…

 

※ 詳細は本紙1651号または11月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

「民泊はビジネス」主張、国会議員らに要望書提出(日本旅館協会)

議員らに説明する針谷会長(右)
議員らに説明する針谷会長(右)

日本旅館協会(針谷了会長)は11月10日に、民泊関係の要望書を国会議員らに提出した。「家主不在型民泊はビジネスであり、旅館営業許可の取得が当然」などを主張。同日に東京・永田町で政経懇話会パーティ―を開き、駆けつけた多数の政治家らに要望を繰り返し訴えた。

営業日を宿泊の有無に限らず、予約可能日とすることと、連続した日にすること、届出・登録書類へ記載などを要求。実泊日だけ数えることや、記載がない営業日の把握などは現実的ではないとした。

細田氏も駆けつけた
細田氏も駆けつけた

一方、事業者に関して、届出に住民票の添付と、同一の住所で複数の届出・登録を認めないことなどを求めた。親族らが異なる期間で届出・登録をすれば、事実上日数制限はなくなる。そのほか、違反者に対する罰則・罰金の強化も要求した。

旅館業界は、政府が当初、宿泊施設不足の打開策として挙げた「民泊」は必要ないとする。すでに大都市部のホテル稼働率は減少傾向をみせるなか、「インバウンドの対策としての根拠は無くなった」と主張。

欧州諸国は民泊の規制が強まっている。テロの脅威や、犯罪などから国民を守るためだ。現状は「日本だけが逆行している」と強調した。

同日行われた政経懇話会パーティーに、自民党観光産業振興議員連盟会長の細田博之氏をはじめ多数の政治家らが参加。旅行関係者を前に、「やるならば同等の条件」や「安全安心を守るべき」などの声が聞かれた。