KNT関西、姫路城の管理運営担う

2018年1月5日(金) 配信

姫路城の来城者数が増加。白い姿は限定的(写真はイメージ)

近畿日本ツーリスト関西 姫路支店は3月1日から2021年2月28 日まで、世界文化遺産・国宝姫路城の管理運営業務を行う。

 「平成の大修理」終了後2 年半以上が経過した姫路城には、現在年間200 万人以上の人々が来城。入城者に対する「おもてなし」のさらなる向上が喫緊の課題となっている。同社は今後、姫路城内に配置するスタッフの雇用、配置、教育や来城者(来城予定者)に対する専用ホームページの制作・運営などを行う。

 今後増加が予想されるインバウンド対策としては、「多言語対応ガイド」を募集、養成し、外国人観光客対象の「姫路城ガイドツアー」を定期的に開く。「多言語対応コンシェルジュ」を姫路城内要所に配し、外国人観光客からの質問や要望などに応える仕組みを構築する。また凸版印刷と協力し、姫路城の魅力をVR コンテンツに編集。VR機器などを使い、観光客に新たな姫路城の楽しみ方を提供する。

常磐ハワイアンセンター復刻 1/15は入場料1000円

2018年1月5日(金) 配信

レトロッポップな看板を背に記念撮影を

 福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズは、「常磐ハワイアンセンター復刻ウィーク」を2018年1月15日(月)から1月21日(日)まで開催する。初日は施設入場料を一律1千円にする。

 「日本にハワイを!」という壮大な夢を掲げて1966 年にオープンしたスパリゾートハワイアンズ。運営する常磐興産は「一山一家」の精神で、それまでの炭鉱から観光へと事業の軸足を移した。東日本大震災による休業など幾多の困難も、多くの応援を得て乗り越えてきた。感謝の気持ちと、次の半世紀へ向け原点回帰し、開業日となる1月15日(月)から「常磐ハワイアンセンター復刻ウィーク」を開催する。

 期間中は、入場口の看板を「Spa Resort Hawaiians」から「ハワイアンセンター」へと掛けかえる。創業当時のキャッチフレーズ「1,000円持ってハワイに行こう!」を再現し、1月15日(月)限定で、施設入場料を一律1千円にする。常磐ハワイアンセンター復刻入場券の限定販売、オープン当時の「ハワイアンセンター」の看板復活など、中高年層には懐かしく、若年層には新鮮でレトロポップに感じられる「常磐ハワイアンセンター」の世界を演出する。

磐ハワイアンセンター復刻ウィーク」開催概要

(1)オープン当時のデザインを再現「ハワイアンセンター」の看板が復活

 中高年層には懐かしいオープン当時の「ハワイアンセンター」という入場口の看板が期間限定で復活。昭和の匂い漂うレトロポップな空間はフォトスポットとして利用できる。記念撮影にぜひ。

期  間:2018年1月15日(月)~1月21日(日)

(2)常磐ハワイアンセンター復刻入場券をプレゼント

 当時の入場券を再現した、復刻入場券を期間・数量限定で一般入場券購入者特典としてプレゼントする。この機会にしか手に入らない、レトロポップな入場券を手元にぜひ。

期  間:2018年1月15日(月)~1月21日(日)

内  容:一般入場券購入特典として常磐ハワイアンセンター復刻入場券をプレゼント

条  件:ご利用当日に、窓口で入場券を購入される方のみ

(3)1,000円持ってハワイに行こう!スパリゾートハワイアンズ創業記念割引プラン

 創業記念日の1月15日(月)限定で、オープン時のキャッチフレーズ「1,000円持ってハワイに行こう!」を再現。施設入場券を一律1千円にて販売する。

・期  間:2018年1月15日(月)限定

・内  容:施設入場券を一律1千円にて販売(大人、小学生、幼児共通)

・利用条件:当日窓口で入場券を購入される場合のみ適用、他の割引券との併用不可

「常磐ハワイアンセンター復刻ウィーク」開催経緯

(1)エイプリルフールで反響

いまだに「ハワイアンセンター」の名称で呼んでいる方も多い中高年層に楽しんでもらおうと、今年のエイプリルフールに企画した「スパリゾートハワイアンズが常磐ハワイアンセンターに名称を戻します!」というニュースが、配信後3日間で6万5千PVを記録した。

(2)インスタグラムで若年層を取り込む

 エイプリルフールでの反響を受け、次は若年層を取り込むべく、インスタグラムで常磐ハワイアンセンターの写真を投稿。中高年層からは「懐かしい」「よく遊びに行った」などの思い出エピソードのほか、若年層からは「おしゃれ」「カラフル」「レトロでかわいい」などの、レトロな雰囲気に新鮮さを感じるコメントが多数あった。

18年に人気が出そうな世界の旅先10都市に札幌市、ブッキング・ドットコム

2018年1月5日(金) 配信 

世界の旅先10都市を予想

ブッキング・ドットコム・ジャパン(アダム・ブラウンステイン代表)はこのほど、2018年に人気が出そうな世界の旅先10都市を発表した。

 調査[1]によると、約半数(47%)のアンケート回答者が「2018年はもっと旅行の回数を増やしたい」と答えた。旅行でどんなことをしたいかの問いには、41%の人が「歴史・文化」と「食事・グルメ」、50%が「ビーチ」を中心に楽しみたいと回答。45%が「もっと冒険心を持って旅行先を決めたい」とし、60%が「旅行先では1つでも多くのアクティビティを体験したい」と答えた。

 ※データは、ブッキング・ドットコムが17年8月に実施したオンラインアンケート調査の結果に基づく。対象者は過去1年間に少なくとも1回旅行に行き、今後1年間で1回以上旅行を計画している人。有効回答サンプルは1万8509人。対象国はイギリス、アメリカ、ブラジル、中国、ドイツ、イタリア、スペイン、フランス、インド、シンガポール、ロシア(各国1千人以上)、オーストラリア、アルゼンチン、ベルギー、カナダ、デンマーク、香港、クロアチア、インドネシア、日本、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、スウェーデン、タイ、台湾、(各国500人以上)

札幌(日本)

 引き続き世界の人気渡航先として人気の高い日本。これまでは、東京のにぎやかなナイトライフや風情あふれる京都の町並みを求めて多くの観光客が日本を訪れていたが、18年はその人気が札幌にシフトすることが予想されている。豊かな自然がつくりだす風景や、効能豊かな温泉、新鮮な海の幸、地元ならではの食材を使った料理、そしてバラエティに富んだレストラン。数多くの魅力あるの札幌は季節問わずこれからも観光客が増える見込み。

ブッキング・ドットコムおすすめの宿泊先:Guest House Yuyu

Guest House Yuyu

 日本の和文化を肌で感じるために、ゲストハウスや旅館が最適。とくに外国人に人気のGuest House Yuyu では自転車のレンタルが可能となっている。同社は「ここに宿泊し札幌の街を自転車でぐるりとめぐってみてはいかがでしょうか」とコメント。

ナッシュビル(アメリカ)

 ナッシュビルは、カントリーミュージックをはじめとするアメリカ音楽の聖地。一方で、家族で楽しめるアウトドア・アクティビティが多く充実している。ジョニー・キャッシュやウィリー・ネルソンなどの人気音楽スターが実際に使っていた衣装や楽器を展示している「カントリー・ミュージック殿堂博物館」は最大の見どころ。音楽ファンなら、ライブミュージックを演奏しているバーに足を運んでみたいスポット。 また、自然が好きなら、自転車に乗ってお散歩がてら市内の公園へ立ち寄ることもおすすめだ。どちらも時間を忘れるぐらい楽しいひとときを過ごせる。

おすすめの宿泊先: SoBro Guest House

SoBro Guest House

 徒歩圏内で音楽イベントを楽しむなら SoBro Guest House。ここからカントリー・ミュージック殿堂博物館まで歩いて約320㍍で、ブリヂストン・アリーナや、有名な音楽堂のライマン公会堂まで徒歩10分以内という好立地にある。

ブカレスト(ルーマニア)

 ブカレストは、市内にミュージアムや公園が存在し、モダンな建築物やトレンディなカフェが立ち並ぶおしゃれな観光地。夏はチシミジウ公園で手こぎボートに乗ってのんびりと景観を楽しみ、冬は街中のカフェで、ホッとコーヒーで温まるのもおすすめ。

おすすめの宿泊先:Diana’s Flat Bucharest

Diana’s Flat Bucharest

 この街には魅力的なアパートメントが多数あり、その1つであるDiana’s Flat Bucharest は、観光に抜群のロケーションにあり、部屋からは美しい川の眺めを堪能できる。徒歩圏内に旧市街や国民の館、チシュミジウ公園がある。

ザコパネ(ポートランド)

 雄大な自然を自分のペースで満喫するならザコパネがおすすめ。ザコパネはスキーリゾート地として有名だが、ここ数年、夏にタトリ国立公園でハイキングをする観光客が増えている。年々増加する「健康」をテーマにした旅の勢いは18年も続き、その数は前年に比べてさらに2倍近く増える見通し。自然とふれあいながら、健康をととのえるアウトドア・カルチャーを体験できる。

おすすめの宿泊先:Villa Nova

Villa Nova

 Villa Nova は、壮大な山々と自然の豊かさを体験することができるラグジュアリーの最高峰。人気のクルプフキ通りまで歩け、宿泊施設のまわりはレストランや店でにぎわっている。

台中(台湾)

 台湾は台北の印象が強いが、都会的な面とローカルな雰囲気の両方を味わうことができる台中は、現在旅行者にもっとも注目されている都市の1つ。地元産のシーフードが味わえる「富岡港」や、良質の温泉水で体の疲れを癒す「知本温泉」、シュノーケリングやハイキングなどのアウトドア・アクティビティを満喫できる「緑島郷」、そして現地の人にまじって楽しめる「台東觀光夜市」は訪れておきたい。

おすすめの宿泊先:HANA Homestay

HANA Homestay

 台中市にはアットホームなホームステイ型の宿泊施設が多い。ガイドブックには載っていない穴場スポットや見どころを宿泊先のオーナーに聞くことができ、現地ならではの体験を紹介してもらる。HANA Homestay では、おいしい朝食やモダンスタイルの部屋を提供し、街に出るために便利な自転車の貸し出しも行っている。

ブリスベン(オーストラリア)

 「オーストラリアといえば、シドニーやメルボルンを思い浮かべる人が多いですが、次にオーストラリアを旅行する機会がある際はぜひブリスベンへ行ってみてください」(同社)。18年は海を求めてビーチ旅行をする割合が半数を占めているように、ブリスベンなら「オーシャン・ビーチ」、「シルバン・ビーチ」、「レッド・ビーチ」、「ストリート・ビーチ」、「セトルメント・コーブ」の5つの有名なビーチで、海ならではのアクティビティがおすすめのポイント。

おすすめの宿泊先:Soda Apartments

Soda Apartments

 Soda Apartments はサウス・バンクにあるラグジュアリーな宿泊施設。ビーチまでは徒歩8分と好立地なうえ、建物の屋上には屋外プールがあり市内を360度見渡すことができる

ボゴタ(コロンビア)

 18年に注目が集まることが予想されているが、まだ多くの人に馴染みのないボゴダ。新しいレストランが立ち並ぶ街で、築300年の趣きあふれる家々に囲まれたブティックホテルや、個性豊かなストリートアート、ミュージアムなどを堪能できる。市内観光を楽しむなら電車を利用するのがベスト。カフェが立ち並ぶ街なかで、すっきりとした味わいのコロンビアコーヒーを味わえる。

おすすめの宿泊先:Serie 1948

Serie 1948

 Serie 1948 は、アットホームでおしゃれなB&B (ベッド・アンド・ブレックファスト)。静かなエリアに位置し、周りにはバーやレストランが充実している。この宿泊施設ではレンタル自転車、サンテラス、ガーデン、ご当地グルメやコーヒーを提供している。

ポートランド(アメリカ)

 「ポートランドには『KEEP PORTLAND WEIRD(ずっとヘンなままのポートランドでいよう)』というスローガンがあるように、思いっきり旅行を満喫したい人はオレゴン州最大のポートランドを訪れてみてください」(同社)。活気あるナイトライフ、フードトラックで提供される屋台グルメ、奥深いカルチャーにアウトドア・アクティビティと、エネルギッシュに楽しめるスポットが多い。また、ポートランドを回るなら自転車が便利。街中には個性豊かな醸造所がいくつも点在して、ビール好きにはたまらない都市だ。自然いっぱいの「フォレストパーク」や「バラの町」もおすすめ。

おすすめの宿泊先:9th Avenue Apartment by Stay Alfred

9th Avenue Apartment by Stay Alfred

 9th Avenue Apartment by Stay Alfred は、モダンでスタイリッシュなアパートメント。部屋からはダウンタウンの素晴らしい景色を見渡せる。アパートメントの近くにはポートランド美術館や、観光客からも有名な公園のトム・マッコール・ウォーターフロント・パークがある。

リマ(ペルー)

 18年に人気が上昇すると予想されているリマ。パラグライディング体験や青い海での波乗り体験など、さまざまなアウトドアスポーツを楽しめる環境がそろっているうえに、美食の都としても有名だ。その他にも、歴史や文化を深く学べるミュージアムがいくつも点在し、リマの新しい一面を発見することができる。

おすすめの宿泊先:The Lot Boutique Hotel

The Lot Boutique Hotel

 ビーチのすぐそばにある The Lot Boutique Hotel は、ホテルというよりも自宅のようなあたたかみのある空間。毎日魅力的な朝食を提供している。1日のはじまりに、ビーチでのんびり日光浴を楽しんだり、サーフィンをするなど思い思いの朝を過ごせる。

ハノーファー(ドイツ)

 「緑の中の都市」と絶賛されるように、ハノーファーにはヘレンハウゼン王宮庭園、マシュ湖、アイレンリーデのような自然あふれる観光スポットが街の中心地にある。

おすすめの宿泊先:Kastens Hotel Luisenhof

Kastens Hotel Luisenhof

 ハノーファーの文化を楽しんだあとは、Kastens Hotel Luisenhof のスパで贅沢にリラックスするプランがおすすめ。この宿泊施設では、高級料理やフィットネス施設が充実し、ハノーファー州立オペラ劇場までは徒歩圏内、シュプレンゲル美術館までは車で数分の好立地に位置している。

[1] 2016年9月~2017年9月の期間、ブッキング・ドットコム上で宿泊予約数が最も増えた旅先

〈旬刊旅行新聞1月1日号コラム〉変化著しい観光業界 2018年は“疾走感”溢れる1年に

2018年1月3日(水) 配信

2018年の観光業界はどのような年になるのか

 2018年は国際的に大きなスポーツイベントが開催される年だ。2―3月は韓国の平昌で冬季オリンピック・パラリンピック、6月にはサッカー・ワールドカップロシア大会が開かれる。7月には米国・サンフランシスコで7人制ラグビーのワールドカップも行われる。

 国内を見ると、明治維新から150年の節目に当たり、佐賀では「肥前佐賀幕末維新博覧会」、鹿児島では「かごしま明治維新博」なども予定されている。NHK大河ドラマは「西郷どん(せごどん)」を放映し、鹿児島をはじめ、明治維新との関わりの深い地域では、大きな盛り上がりを見せそうだ。

 本紙1面でも登場しているが、29回目を迎える「全国旅館おかみの集い」(全国女将サミット)は7月4日に、鹿児島市内の城山観光ホテルで開催が決まった。有村青子女将(指宿シーサイドホテル)と下竹原成美女将(指宿白水館)の2人の運営委員長を中心に、今後、大会テーマやプログラムを決めていく。今年多くの旅館女将が鹿児島を訪れることになるだろう。

 そのほかにも、北海道命名150年、東京タワー開業60周年、東京ディズニーリゾート開業35周年、瀬戸大橋開通30周年なども節目を迎え、全国各地で観光業界に追い風となりそうだ。

 JTBの2018年の旅行動向見通しが発表された。年末が近づくと、毎年このJTBの調査を楽しみにしている。来るべき年の観光に関わるイベントスケジュールがおおよそ網羅されているし、ゴールデンウイークや3連休など休日の日並びや、その影響についても分かりやすく予想している。観光に関するさまざまな調査が行われているが、旅行動向調査はやはり、地に根を張った旅行会社がまとめたものが信頼できる。同調査では、18年の国内旅行人数は前年比1・8%増の3億1120万人、海外旅行人数は同1・7%増の1820万人、訪日外国人旅行者数は同12・3%増の3200万人と予想。国内、海外、訪日旅行のいずれもプラスで推移するとみている。

 18年は観光業界の枠組みが大きく変わる年でもある。6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される。とりわけ旅館やホテルなど宿泊施設にとっては、大きな転換期となる。民泊という新たなカテゴリーが法律によって規定され、運用される。宿泊施設の経営者が長年培ってきた宿泊業のノウハウを生かしながら、これまで掬えなかった層の受け皿になることも可能だ。伝統ある旅館を維持しながら、新しい時代の市場ニーズに適応していくことで、チャンスが生まれるかもしれない。

 民泊もそうだが、ライドシェアなど新たなビジネスモデルがやってきて、観光業界は国際化の大波に揺られている。

 決済サービスも激変するはずだ。銀行口座からアプリにチャージした電子マネーが主流になり、現金はおろか、カードレス化が急速に進むだろう。スマートフォンアプリに表示される2次元コード(QRコード)をレジ端末で読み取るだけになる。これら最先端サービスをいち早く取り入れることも大事だ。宿泊施設の客室に備える無料スマートフォン「handy」も瞬く間に普及し、標準装備へと近づいている。AI(人工知能)との共存社会も近い。

 18年の観光業界は、変化著しく疾走感溢れる1年になりそうだ。

(編集長・増田 剛)

「街のデッサン(201)」都市観光から見えてくる ワルシャワのバス停の少女国の史実 

2018年1月2日(火) 配信

バス停に立つ少女のファッションは

 街角のバス停で、本を読みながらバスを待つ少女がいる。ちょっと変わった服装をしている。質素な白いシャツに茶色のスカート、腕に赤十字の腕章。いまワルシャワでは流行のファッションなのだろうか。

 「レジリエンス」という概念が最近、社会学や心理学でよく使われている。手元にある関連の書籍を見ると、「折れないこころ」とか「復元力」という意味で使われている。ポーランドの諸都市を旅行していて、何度となくこの言葉、概念を反芻していた。

 ポーランドという国は、中欧の大国と言われているが、歴史上2度ほど地図から国名が消えた時代があった。近隣の国からの侵略を許し、国が占領されてしまったからである。悲劇的な運命を背負った国であるが、しかしその度に国民は侵略を跳ね除け、復活を果たした。ポーランドを巡ると、侵略と反撃・復興の刻印が街のいたるところで遺っている。例えば、ワルシャワ観光の目玉となっている旧市街の美しい歴史的街並みは、実は第2次大戦でドイツ軍に完膚なきまでに破壊された。私たちを感動させる建物のファサードは、破壊された街並みを完全に元の姿に市民自らが散乱した煉瓦を積み直し、再生したものである。そういった営為は、侵害され続けたポーランドの人々の復元力の源泉となった。

 第2次大戦は1939年、ナチス・ドイツ軍のポーランド侵略で始まった。1944年、ソ連赤軍の進撃作戦が効を奏し、優勢を保っていたドイツ中央軍は敗走する。赤軍はポーランド東部に進出し、ワルシャワのポーランド国内軍に武装蜂起を呼び掛けた。それに呼応して、国内軍約5万人が蜂起を開始する。これが「ワルシャワ蜂起」である。しかし、ワルシャワに駐屯する1万2千人のドイツ軍に対して国内軍は火器を欠いていた。期待していた赤軍の援軍も得られず(もともと、赤軍にその意思はなかった)、果敢に戦った国内軍は9月末に壊滅した。このとき、ヒットラーは徹底的にワルシャワを破壊したのであった。

 この日、月の10日は市民の祈りの日。ポーランド兵多数が殺害されたカティンの森事件の追悼式に向かった飛行機が墜落し、カチンスキ大統領以下96人が死亡した命日(2010年4月)。

 バス停に立つその少女を見て、ガイドのバシャさんが言った。「彼女は、実はポーランドの幾つもの歴史的悲劇を忘れない、という服装なのです。看護婦スタイルは彼女の復元への意思です。」

 

(エッセイスト 望月 照彦)

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

「トラベルスクエア」変化対応ではなく変化適応

2018年1月1日(月) 配信

変化への適応体質を作る年に

 変化対応と変化適応。 似たような言葉だけれど、中身は相当異なる。

 変化対応は、なにか外界に変化が現れて、我が身を脅かす、あるいは我が身にとって有利な状況になったとき、我が身のありかたはそのまま、その変化に対応するようにさまざまな手段、対策を講じることだ。起きてしまった変化の波をなんとか我が身に引き寄せて、それを克服しようとする。それが変化対応だ。

 考えてみると、我が宿泊業界はこの数年、変化対応で一瞬も心が休まることがなかったのではないだろうか?

 ネットマーケティングの革命的な進捗、インバウンド客の予想以上の到来、そして民泊の登場。どれもこれも、旅館ホテルの日常に直接かかわって来る重大変化だと思う。

 だから、対策のためのコンサルティングを受けたりゼミナールを受講したり、大忙しの毎日ではなかったですか? と問い掛けたいほどだ。

 もちろん、何もしないより、はるかにいい。しかし、「対応」というのは、我が身を変化させる要因が「外」にある、ということだ。言い換えれば、変化の主体は「外」にあって、我が身がそれに振り回される、ということなのだと思う。対応に忙しく、いつか我が身に備わっていた独特な持ち味、社風などを失ってはいないか。そこが変化対応の怖いところだ。

 それに対し、「適応」はどんな変化が来ても、それに対抗できる体質を自らが変化して、作ってしまおうということだ。

 数十億年前、彗星が地球に衝突して恐竜が死滅していったというが、突然訪れた地球環境の変化に、恐竜自体が対応できなかったのが原因といわれる(その巨体ゆえ)。残ったのは寒冷な地球に適応できるように進化したものだけだった。

 これから2020年まで、個人的な予測としては、楽観論で観光にも追い風が吹きまくると思う(ただし、半島有事がなければの話)。オリンピックやラグビーのワールドカップなどの大イベントの前は、大小さまざまなコンベンションも入ってくるので、集客の心配は少ない。それに秋にはロイヤルウェディングがあるし、改元景気も出ると思う。

 表面上の(喜ばしい)変化は次々とある。その変化を利用する対応策は重要だが、それだけに溺れていると、自己を主体的に変化させる「適応」体質づくりが遅れる。

 僕はそれこそが一大心配事だ。「宴」の後にはリアルに氷河期がくる。そのとき、生き残れるのは、そういう状況にも耐え抜ける適応体質を持った旅館ホテルだけだ。

 どんなことをしたら、変化適応体質を作っていけるか、それをこの1年、真剣に問い詰めていきたい。僕なりの新年に当たっての抱負だ。

 

(跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健)

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年から跡見学園女子大学教授、現職。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

年明けはうどんで祝おう 香川県、東京でPR

2018年1月1日(月) 配信 

赤い餡餅と白いうどんで紅白をイメージ

2018年の年明けはうどんを食べて幸せを願おう。香川県は1月4日(木)から、香川・愛媛せとうち旬彩館2階レストラン「かおりひめ」 でPRキャンペーンを開始する。

 年明けうどんとは、白いうどんに赤いトッピングを加え、年の初め(1月1~15日)に食べることて、その年の幸せを願うもの。期間中レストランでは、「さぬきの年明けうどん(紅いあん餅入り)」を提供。 また来店者へのプレゼントを配布するほか、1 階特産品ショップでも半生麺や乾麺などの「年明けうどん」 製品を販売している。

キャンペーン概要

期間:2018年1月4日(木)~1月15日(月)

価格:「さぬきの年明けうどん(紅いあん餅入り)」税込 720 円

プレゼント:

①期間中、「かおりひめ」で食事をした人、各日先着60人に、「年明けうど ん」製品(乾麺・2人前・スープ付)をプレゼント。

② 期間中、「かおりひめ」で「さぬきの年明けうどん(紅いあん餅入り」を注文した人、期間中先着100人に「年明けうどんすごろくラン チョンマット」をプレゼント。 

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(84)本気で人を育てる想いがあれば、おもてなし行動は創造できる 決められたルールの中でも

2017年12月31日(日) 配信

「お荷物、こちらから降ろしておきますね」(画像はイメージ)

 長い出張の疲れが出て、飛行機内ではずっと寝ていました。大阪空港に到着したときに、「今日はこのままタクシーで自宅に帰ろう」と決めました。タクシー乗り場に向かうと、私の行き先の乗り場には、長い行列ができていました。近距離の別のエリアへ向かう乗り場では、タクシーがずっと停まったままです。

 寒い中、長く待ったあとにようやく私の順番が来ました。車に乗り込みしばらく目を閉じて休んだあと、ふと外の風景に目をやったときに気づきました。大手のタクシー会社ではありますが、窓ガラスにはクレジットカード使用不可のステッカーが貼られていました。近距離といっても30分近くは乗ります。出張中に現金をかなり使っていたのでちょっと心配になってしまいました。

 座席に持ち込んでいたキャリーバックを開けて財布を探しながら思ったのです。サービスを提供する企業側のルールで、そこに空車が止まっているのに寒い中で長時間待たなければならない仕組み。大阪空港は市内の北のはずれにあり、市内中心部までは小一時間掛かります。その空港でお客様を待つタクシーが、クレジットカードの使用ができないとは、本当に驚きです。

 ところが、乗ったタクシードライバーには感動させられました。高級ホテルですら体験できないような、おもてなし行動に出逢ったのです。料金を支払い降りる準備をしていると、ドライバーが外に出て後部座席の右のドアが開けたのです。そして「お荷物、こちらから降ろしておきますね」と周り込んで、キャリーバッグをおろしたあとに、誰もいなくなった客席に腰をかがめて忘れ物、落し物がないかを確認しているのです。

 ふつう、ドライバーがお客様に喜んでもらえるような行動を取りたいと強く願っても、業界や企業のルールがその実行を阻み、それに直面した多くのドライバーは、そこであきらめて挫け、いつしかお客様への想いも薄れてしまいがちです。

 しかし、このドライバーは負けていません。決められたルールの中でも、自分にできることでお客様を笑顔にする。その強い意志を感じて感動してしまいました。別れたあと、どうしてもその想いを伝えたくて、その会社にお礼の連絡を入れました。「うちのタクシーでしたか。書かれている車両番号を教えてもらえますか。わざわざありがとうございました」。しかし、ドライバーがどんな行動をして、わざわざ電話でお礼を言って来たのかは聞かれませんでした。残念です。

 企業は何に対してドライバーを褒め、他のドライバーに伝えるのでしょうか。おもてなし行動は、企業の姿勢が変わればたくさん創り出せるのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

「もてなし名脇役 15」amaotoで至福の時間を 雨を感じる音とリズム

2017年12月30日(土) 配信

美しいデザインはインテリアとしても楽しめる

 訪れた人が「迎えられている」と感じる。そんな空間演出につながるモノを、使われる場面も想像しながら紹介します。

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 楽しみにしている旅行を前に、誰もが「晴れたらいいな」と思います。ただ天気は自然が相手。叶わないこともままあります。今回は「雨もまぁいいか」さらに「いいよね」と感じてもらえるような商品を紹介します。

 国際ディスプレイ工業の「amaoto(あまおと)」は、光の力で動く3本の振り子が、雨音にも似たリズムを刻むオブジェです。力を与えたり、与えられたりしながら動く振り子は、止まったと思ったら、また動き出します。心地いい音を聞いていると、風景まで目に浮かびます。

 例えば、雨の朝に「お天気は残念ですね。お急ぎでなければ雨の音を楽しんでみませんか」と、amaotoの貸し出しサービスを始めてみるのはいかがですか。

 普段、雨が降るのを見たり、音を聞いたりすることは意外に少ないもの。「雨をやっかいものに思うようになったのはいくつの頃からだろう」。そんなことを宿でぼんやり考えるなんて至福のひとときだと思います。

 問い合わせ=電話:03(3828)2286。

「登録有形文化財 浪漫の宿めぐり(81)」(長崎県雲仙市)雲仙観光ホテル≪雲仙の近現代を語り継ぐクラシックホテル≫

2017年12月29日(金) 配信

スイスの山小屋風の外観。建築当初、ハンガリーの客に「東西美の融合」と称えられた

 明治の初期以来、雲仙は欧米人をはじめとする外国人に避暑や行楽、温泉を楽しむ保養地として利用されてきた。上海や香港、また中国東北部のハルビンやロシアのウラジオストックなどからも訪れ、彼らは1週間から1カ月も滞在していった。

 そんな雲仙に外国人向けのホテルが計画されるのは昭和の初期。外貨獲得を目的として外国人観光客誘致をはかる国策のもとに、日本各地に建設が計画されたホテルの一つだった。

 白羽の矢が立ったのは長崎県選出の代議士で、大阪に堂島ビルヂングを持つ橋本喜造だった。堂島ビルヂングの上層階はホテルでもあり、ホテル経営のノウハウも持っていたからだ。名称に日本で初めて「観光」の文字を取り入れたホテルは、1935(昭和10)年10月10日にオープンした。

 施工を請け負ったのは堂島ビルヂングの建設にも関わった竹中工務店で、設計は社内でも優秀な建築家の1人とされる設計部の早良(さがら)俊夫だった。早良が考えたのはヨーロッパをも思わせる雲仙の山岳美の中で、しゃれた山小屋風の外観を持つ建物である。木造3階建て地下1階で一部鉄筋コンクリート造り。1階の外壁に雲仙の溶岩石を張り、2階は丸太組み、3階は木の骨組みを壁面に見せるハーフティンバー様式を取り入れた。

 内部は1階がパブリックスペースで2―3階が客室。ロビーを中心にコの字型に延びる1階はクラシックムードにあふれる。創業時の姿を伝えるバーは手焼きしたタイルの床に趣があり、約200畳分の広さがあるダイニングは高い天井と磨かれた板敷の床が往時をほうふつとさせる。ダイニングはダンスホールとしても使われたそうだ。

 ホテルは2004(平成16)年から5年をかけ、「新しくノスタルジア」をコンセプトに館内の改修を行った。その中で昔を再現したのが撞球室、図書室、映写室で、窓にステンドグラスをはめ、天井は小屋組みを見せるデザインや、傘天井風が面白い。ホテルでは1954(昭和29)年に岸恵子と佐田啓二が主演した映画「君の名は」のロケが行われているが、図書室にはそのDVDもあって宿泊客は映写室で見ることができる。建物もホテルライフもノスタルジックにというわけだ。

 客室では真鍮製のドアノブが創業時と変わらないものの一つだ。雲仙温泉は硫黄分が強く金属は黒くなりがちだが、金色に輝くドアノブは毎日の清掃のたまもの。古いものを守る努力がうかがえる。床からの高さが胸近くの135センチほどもあるのは、外国人仕様だったため。ドアの大きさも約2メートルある。

 ホテル正面のアプローチは石畳の歩道と両側に続く約40本のカイヅカイブキの並木。エキゾチックなたたずまいは、外国人に人気のあった雲仙の近代史と、昭和初期の建築様式を2つながら背負っているようだ。

 

(旅のルポライター 土井 正和)

コラムニスト紹介

旅のルポライター 土井 正和氏

旅のルポライター。全国各地を取材し、フリーで旅の雑誌や新聞、旅行図書などに執筆活動をする。温泉、町並み、食べもの、山歩きといった旅全般を紹介するが、とくに現代日本を作る力となった「近代化遺産」や、それらを保全した「登録有形文化財」に関心が強い。著書に「温泉名山1日トレッキング」ほか。