京都水族館、開業以来初のリニューアル 2020年4月下旬に公開

2019年10月3日(木) 配信

新展示エリア(イメージ)

 オリックス不動産(高橋豊典社長、東京都港区)が運営する京都水族館(松本克彦館長、京都市下京区)はこのほど、開業以来初の大規模なリニューアルを行うと発表した。2020年4月下旬の公開を予定している。現在の「くらげ」「さんご礁のいきもの」「えび・かに」エリアを全面改修し、クラゲ展示エリアの面積を現在の約4倍に拡張する。

 リニューアルで、クラゲの展示数は現在の8種約400匹から、西日本最多の約20種5千匹となる。これまで展示してきたアカクラゲやサカサクラゲに加えて、京都水族館では初となる種類の展示も行う。

 新たな展示エリアには、直径6.5㍍のドーム型水槽を新設。360度クラゲが漂う空間に包まれる感覚を楽しめる。また、これまでバックヤードで行っていたクラゲの繁殖や研究などの作業をオープンスペースで行うことで、クラゲの成長過程や飼育スタッフの日常作業を間近で見ることができる。

 一方、同館は約5年にわたり、京都市内の幼稚園16施設へ訪問して、クラゲの生態を飼育スタッフが伝える「移動水族館」を行ってきた。9月15日時点で、延べ1276人の子供たちが参加している。

 同館は「都心に位置する我々だからこそ、海のいきものに近づき、親しみを感じる空間を提供していきたい。海の豊かさや自然への興味を育む水族館を目指していく」とコメントした。

京都水族館概要

営業時間:午前10:00~午後6:00 ※入場受付は閉館1時間前まで

休館日:なし ※水族館のメンテナンスや気象状況による臨時休業あり

料金:大人2050円、大学・高校生1550円、小・中学生1千円、幼児(3歳以上)600円(税込)

観光庁がピッチコンテスト開催 G20大臣会合登壇の3者決定

2019年10月3日(木)配信 

登壇者の記念撮影

 観光庁は2019年10月1日(火)、東京都内で「観光×テック」をテーマとしたピッチコンテスト「G20 Tourism Innovation Pitch」の2次選考会を開き、入賞者3者を決定した。3者は26日(土)に北海道倶知安町で開催するG20観光大臣会合の官民セッションに登壇し、民間企業の代表者とともに持続可能な観光を推進する革新的な取り組みを、各国・国際機関の代表団に発表することになる。

 今回は22カ国・地域から108件の応募があり、書類審査を通過した20者のうち19者(中国の1者が辞退)がコンテストに出場し、会場でプレゼンテーションを行った。当日はマスコミ機関や金融機関、観光関係者など約150人が来場した。

審査の結果、インドから1者、日本から2者が入賞

 プレゼン後、観光庁と専門家などによる審査の結果、ヒマラヤ山脈で太陽エネルギーによる村の電化活動や生活体験などのツアーを提供する「Global Himalayan Expedition」(インド)、無料SIMカードで訪日外国人旅行者のネット通信問題を解決する「WAmazing」(日本)、個人が体験したバリアフリー情報などをユーザー同士で共有する地図アプリを提供する「WheeLog」(同)の3者が入賞した。

ピッチコンテスト(2次選考会)の登壇者

 なお、今回のプレゼンテーションを行った19者は、発表順で次の通り。

 SEKAI HOTEL(日本)、Airporter(同)、atta(同)、NOFATE(同)、ecbo(同)、Global Himalayan Expedition(インド)、ぐるなび(日本)、Luup(同)、日本電気(同)、ビースポーク(同)、WheeLog(同)、オー・エス・エス(同)、PIJIN(同)、プレースホルダ(同)、Stroly(同)、TakeMeTour Private Limited(タイ)、tripla(日本)、WAmazing(同)、Wovn Technologies(同)

アゴダ、「芸術の秋に触れる世界の博物館&ギャラリー5選」発表 おすすめの宿泊施設も

2019年10月3日(木) 配信 

芸術の秋に触れる世界の博物館&ギャラリー5選(画像はイメージ)

 オンライン旅行会社(OTA)のagoda(アゴダ)はこのほど、「芸術の秋に触れる世界の博物館&ギャラリー5選」を発表した。芸術の秋らしく、アーティストの絵が飾られている客室などで滞在を楽しめるよう、おすすめの宿泊施設も紹介している。

Hギャラリー (バンコク)

 2002年にアメリカのアーネストH.リーによって設立された「Hギャラリー」。主にタイやアジアの新鋭アーティストによる現代アート、絵画、写真、テキスタイルを展示している。さまざまな熱帯植物が連なるエントランスから、築100年ほどのアングロ・タイ人による木造建築を抜けると、静寂で緑豊かな空間が広がるという。

カチャホテル

 バンコクで、アジアを中心に活躍するアーティストのクリエイティビティに触れたあとは、人気のカチャ ホテル(Cacha Hotel)への滞在がおすすめ。

 メインロビーには象の絵が展示されている。ニュージーランドとカンボジアのルーツを持つ著名なアーティスト、ピープ・ターが、ニュージーランドとクメール族にインスピレーションを受けて、描いたものだ。

 客室内の絵は、世界中で展覧会を多数開催している、タイのイラストレーター兼ストリートアーティストのP7が、神話上の生き物「シンガ」をモチーフに手掛けている。

テ・ウル・ワイタケレ・コンテンポラリー・ギャラリー (オークランド)

 かつてワイテマタ・シティ・アーツ・アンド・カルチュラル・センターとして知られていた、「テ・ウル・ワイタケレ・コンテンポラリー・ギャラリー」は、歴史的なロップデル・ハウスの建物内に位置する。

 ギャラリーでは、独自の文化を反映した西オークランドの工芸品や陶器のほか、現代アートやデザイン・プログラム、周辺地域の壮大な景色も楽しめる。

 2015年にはオークランド・アーキテクチャー・アワード(パブリック・アーキテクチャー部門)を受賞し、同年にワールド・アーキテクチャー・フェスティバルの最終候補として選ばれている。

ホテル デブレット

 ニュージーランド最大の都市の中心部にあるホテル デブレット(Hotel DeBrett)は、建築的な美しさの中に、ネオクラシック、アールデコ、モダニズムの要素を織り交ぜたブティック・ホテル。

 部屋にはニュージーランドらしい装飾品や芸術作品が飾られ、コンテンポラリー・アート、50年代のスタイリング、アールデコの要素が取り入れられている。

ツァイツ・アフリカ現代美術館 (ケープタウン)

 「ツァイツ・アフリカ現代美術館」はアフリカ最大の現代美術館だ。現地の部族に伝わる芸術から植民地時代における建造物の脱構築に至るまで、アフリカの芸術家による作品を展示する。

 1921年に建てられた産業用の巨大な穀物倉庫をリノベーションした美術館は、大聖堂のような荘厳な雰囲気があるという。館内には書店やレストラン、読書室、屋上彫刻庭園を併設している。

ザ サイロ ホテル

 美術館の上層階である6階にあるザ サイロ ホテル(The Silo Hotel)では、ロビーの壁がモハウ・モディサケンの「ディタオラ」シリーズで飾られている。

28室の各スイートルームには、英国の建築家トーマス・ヘザウィックが設計した泡のような形の窓があり、南大西洋、テーブル・マウンテン、街の絶景を見渡すことができる。

ナショナル・ブリティッシュ・ミュージアム・オブ・モダン・アート (ロンドン)

 「ナショナル・ブリティッシュ・ミュージアム・オブ・モダン・アート」は、ロンドンのサウスバンクにあった発電所を再利用した美術館で、テート・モダンの名で知られている。

 世界有数のモダン・アートやコンテンポラリー・アートのコレクションがあり、アンディ・ウォーホル、パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリなど、20世紀を代表する芸術家の作品が展示されている。

サウス プレイス ホテル

 近くのモーゲートにある、コンランによるデザインのサウス プレイス ホテル(South Place Hotel)は、「彫刻、絵画、写真、ビデオ・インスタレーションが好きな人にとっては訪れる価値のあるホテル」(同社)だという。

 レストランの壁には、リヒテンシュタインに感化され描かれた、ジョン・ヴィンセント・アランダのコミック風の絵が掲げられている。各部屋のベッドの上には、地元ホクストン・アート・ギャラリーのアーティスト達による版画が飾られている。

マトハフ・アラブ近代美術館 (アル ライヤーン)

 マトハフ・アラブ近代美術館は、フランスの建築家ジャン=フランソワ・ボーダンによって設計され、1840年代の近代イスラム美術や工芸品を展示している。

 絵画と彫刻は、カタール出身アーティストであり、アラブのモダンアート界のコレクターでもあるシーク・ハッサン・ビン・モハメッド・ビン・アリ・アール・サーニーが数十年にわたって集めた、膨大な常設コレクションが大半を占めているという。

 美術館では教育プログラムも実施しており、現代および近代アラブ芸術に関する研究を支援している。

Wドーハ

 美術館から車で近い市内中心部に向かうとWドーハ(W Doha)がある。ホテルのインテリアは、芸術的で遊び心のあるデザインとなっており、ホテル29階にあるアート29は「地元や中東地域、そして国際的に活躍する新進気鋭のアーティストによる作品を展示するための包括的な場となっている」(同)という。

台風被害の千葉県を支援 『ゆこゆこ』が次回使える2千円クーポン発行

2019年10月3日(木)配信

鋸山(イメージ)

 温泉宿泊予約サービスや温泉メディア事業を行うゆこゆこホールディングス(東京都中央区、吉田周平社長)は2019年10月1日(火)、台風第15号の被災地支援の一環として、次回使える2千円の割引クーポンをプレゼントする「千葉県応援キャンペーン」を始めた。

 経済産業省の発表では、今回の台風で千葉県内全域で最大93万戸が停電する被害を受けた。停電や建物破損で、営業が出来ない宿泊施設もあったが、電力が復旧し、宿泊客の安全が確保できる見通しの立った地域では、順次営業を再開している。

 ゆこゆこホールディングスではこれまでも、2019年6月の大雨で被災した鹿児島や2019年8月の大雨で被災した福岡・長崎・佐賀の九州3県など、災害を受けた温泉地のイメージ回復や観光客の誘致につながる支援を行ってきた。

 「宿泊施設を訪れていただくこと」が被災地への経済的支援につながると考え、今回のキャンペーンでは今回の台風で大きな被害の出た千葉県の宿泊施設で使用できる特別クーポンを発行する。キャンペーンで予約できる宿泊施設は、同社が安全性を確認している施設だ。

千葉県応援キャンペーン概要

開始日時:2019年10月1日(火)-10月31日(木)
内  容:
 10月中に千葉県の宿泊施設に宿泊すると、次回予約時に使える2千円割引クーポンをプレゼントする。クーポンは2020年3月31日(火)まで利用可能。予約は「ゆこゆこネット」から受け付ける。※一部施設で使用不可
条  件:
 ゆこゆこネット会員かつメールマガジン(無料)を購読している人が対象。クーポンコードはチェックイン翌日、登録しているメールアドレスに送付される。

宿泊予約サービス『ゆこゆこ』

 Webサイト、アプリ、情報誌の3つの方法で利用することができる。予約方法はネット予約、コンタクトセンターでの電話予約の2種類あり、利用者が使いやすい方法で予約できる。掲載されている温泉地、宿泊地の情報は同社の社員が実体験をもとに全国の宿を厳選し、情報を発信している。

 宿泊プランは、同社の社員が宿泊施設を訪問し、企画・交渉を行ったうえで提供している。「どうすればお客様に満足いただけるか」を宿泊施設と伴走しながら考えることを大切にし、顧客目線で宿泊、温泉や食事などのサービスを体験して宿泊プランを企画検討している。

温泉メディア『YUKOTABI(ゆこたび)』

 本メディアは年間50泊する同社社員や全国の温泉ライターからの情報など、独自の温泉地情報を集め記事化している。温泉旅ストーリーに関する記事に強く、温泉旅の新しいガイドブックとして、温泉や地域の知られざる魅力を伝えるサイトを目指している。

「観光革命」地球規模の構造的変化(215) インバウンド観光立国に黄信号

2019年10月3日(木) 配信 

※画像はイメージ

 政府は東京夏季五輪・パラリンピックを契機にして「2020年訪日外国人旅行者数4千万人達成」という数値目標を掲げ、観光立国に尽力している。さらに「30年インバウンド6千万人」という大きな数値目標も立てられている。

 日本へのインバウンドは13年に1036万人、15年に2022万人、17年に2869万人と増加。18年には3119万人を記録した。まさに驚異的な増加であり、「20年4千万人達成」が不可能ではない順調な増加である。しかも今年1―8月のインバウンドの累計は、前年同期比3・9%増の2214万人で過去最高を更新していた。

 ところが日韓の政治的・経済的関係の泥沼化が深刻な状態になっており、それに伴って韓国人による日本向け旅行のキャンセルが相次いでいる。昨年10月の韓国最高裁判所による元徴用工訴訟での日本企業への賠償を命じる確定判決に端を発し、今年7月に日本は貿易管理で半導体材料の韓国向け輸出規制の強化を通達すると共に、8月には韓国を優遇対象国から除外。一方、韓国政府は8月に日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を日本側に通告。その直後に北朝鮮は日米韓の連携の乱れに乗じて短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射。日韓関係の泥沼化は北東アジアにおける安全保障体制の不安定化を生み出し、韓国では日本製品不買運動や日本への旅行キャンセルが繰り返されている。

 昨年のインバウンド3119万人の内、1位は中国からの838万人、2位が韓国からの753万人(全体の約4分の1)であった。ところが8月の韓国からの旅行者数は前年同月比48%減の31万人弱。その影響で全体の訪日旅行者数も11カ月ぶりに前年実績を下回った。韓国人旅行者を最も多く引き寄せていた九州地域は大きな影響が生じている。

 北海道の場合も韓国と結ぶ航空便数は8月1日時点で週に116便であったが、10月1日時点で6割減の週47便に落込むと予測されている。

 日本の各自治体は韓国での商談会開催や観光関連企業への緊急融資などの対策を講じると共に、東南アジアや欧米からの誘客を検討するなど新しい動きが生じている。危機を契機にした日本観光の多様化に期待したい。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

〈観光最前線〉船から観る景色が運ぶ非日常

2019年10月3日(木) 配信

船から見るみなとみらいの夜景

 ここ数カ月、月に1―2回のペースで船に乗れる、嬉しい日々が続いている。

 シーライン東京が実施した「大人のためのジャズナイト」では、夜景を眺めながら、ジャズに酔いしれる大人な体験を。はたまた東海汽船が実施している「東京湾納涼船」では、強風の中ということもあり、大自然の厳しさを改めて実感した。変わり種では、怪談話を船上で聞く機会にも2度恵まれた。

 都内の河川では、五輪に向け橋がお色直し中という、珍しい場面に遭遇できた。

 さてさて、10月は海上自衛隊の行う観艦式に併せて行われるクルーズが控えている。横須賀に停泊している護衛艦は日常の景色の一部だったが、洋上、艦隊行動をとる護衛艦は、どんな非日常の景色を届けてくれるのか。いまから楽しみだ。

【後藤 文昭】

東北復興支援へ「JATAの道プロジェクト」実施 旅行会社がみちのく潮風トレイルで実地研修

2019年10月2日(水) 配信

気仙沼市の大島(イメージ)

 日本旅行業協会(JATA)は2019年10月3日(木)~4日(金)、東北復興に向けた支援活動「JATAの道プロジェクト」を行う。環境省が復興のシンボルとして整備する太平洋沿岸地域の自然歩道「みちのく潮風トレイル」の三陸海岸と宮城県気仙沼市エリアで、旅行会社の造成担当者など約70人が実地研修をする。

 2014年から実施している同PJは、観光による交流を活発にし、地域経済の振興をはかることを目的としている。6回目を迎える今年度は、三陸海岸と気仙沼市、今年4月に気仙沼大橋が完成して本土とつながった大島を含む3カ所のトレイルウォーキングを行う。

 1日目の体験トレイルウォーキングは、唐桑半島・巨釜から半造と御崎区間で実施する。その後、環境省と地元自治体、観光団体からのプレゼンテーションや地元関係者と研修参加者との交流会が開かれる。

 2日目は、三作浜周辺から龍舞崎で体験トレイルウォーキングを行う。体験プログラムは、塩づくり体験や今年3月に開館した東日本大震災遺稿・伝承館の視察がある。

 今回、旅行会社の造成担当や営業担当など、大半が現場に関わるスタッフが参加する。3本のトレイルはいずれも大型バスが待機できるところを選定しており、実際のツアーを行うイメージをしやすいようにした。

 JATA副会長で東武トップツアーズの坂巻伸昭社長を団長とし、JTBや近畿日本ツーリストの役員をはじめ、旅行会社23社、2行政、1団体が参加する。地元からは関係者約30人が加わる。

 みちのく潮風トレイルは今年6月25日に全線開通した。太平洋沿岸の青森県八戸市から岩手県、宮城県、福島県相馬市までの全長1025㌔をつないでいる。

開館日「ほぼフル稼働」 凸版施設、各所から熱視線

2019年10月2日(水) 配信 

高精細LEDウォール

 凸版印刷が企画・設計・施工したVR(拡張現実)など同社の最新技術を見学・体験できる「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」(東京・丸の内)が人気だ。2018年6月に開館。1日7組(約90人)を1組1時間ほどで案内するが、開館日(平日)は「ほぼフル稼働」と館長の真梶重徳氏は嬉しい悲鳴を上げる。BtoB向け施設で、足を運ぶのは取引のある民間企業が半数以上を占めるが、地方自治体や各省庁、観光団体の関係者らも詰めかける。見学は予約待ちが続くなど各所から熱視線が集まる。【平綿 裕一】

 「これはすごい」――。高精細のLEDウォール(幅10㍍、高さ2・7㍍)に映し出された屋久島(鹿児島県)の8K映像が、来場者を出迎える。高精細1・5㍉ピッチのLEDパネル3個で1ユニットを、壁一面に170ユニット以上使い、臨場感ある映像を実現している。小波(さざなみ)が立つ、一つひとつの動きが目を凝らさずともわかる。見学時間が同じだった企業担当者も思わずため息をついた。

オリエンテーションラウンジ(提供:凸版印刷)

 施設は国内外の観光客向け観光情報センターをイメージしている。大きな機能は3つある。

 1つは、日本の自然美や文化・観光のコンテンツを最先端技術で体験し、日本の魅力を再発見してもらうこと。2つ目は産官学で連携して、文化遺産や観光情報などをアーカイブしたデータベースを構築し、多様な表現方法で発信すること。

 真梶館長は「ただアーカイブ化するだけでなく、データをいかに活用していくかが重要。最先端技術を使った投影方法や空間演出など、コンテンツに合わせシステムを最適なカタチで統合して、提案できる。これらを一元的にできることが強みだ」と語る。

施設内のツーリズムギャラリー。右手が「観光万華鏡」(提供:凸版印刷)

 「観光万華鏡」と呼ばれる人気の機器は、複数のタッチパネル式デジタルサイネージに画像が流れている。画像に触れると観光スポットの詳細や地図案内が表示され、公式HPなどの情報を携帯端末に受け取ることができる。多言語にも対応。

 「サイネージ上を流れる画像を見て、直観的にビジュアルから観光スポットを選べる。『ここにも行ってみたい』と地域の回遊性を高めことができる」(同)という。

 施設内のツーリズムギャラリーでは観光万華鏡のほか、デジタル屏風やプロジェクションマッピングを駆使したジオラマなどもある。

デジタル屏風(提供:凸版印刷)

 VRシアターでは、人の視野角とほぼ同じ120度に広がる4K3面カーブスクリーンにVR映像が投影される。ヘッドセットなどをつけずにVR体験が可能。スクリーンを見ているだけで、まるで自分自身が浮遊し、対象を見下ろしているかのような没入感を味わうことができる。

 一方、アナログの文化財の複製品も展示している。同社独自の印刷技法を応用し、東京国立博物館所蔵の国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」を実寸大で再現した。一般的にデジタル一眼レフで3千万画素となれば高画素といわれるが、22億1千万画素のデータから作り上げている。

 保護の観点から一般公開が難しい文化財も、より本物に近いものを展示可能となる。

 複製化に使った同じデータを用い、VRコンテンツ化もしている。複製品で実物のサイズ感や雰囲気など感じ取り、VRではより細かな対象に絞った鑑賞ができる。

 屏風に描かれる人々は数センチほどだが、170㌢ほどのスクリーンいっぱいに拡大可能。着物の柄や人の表情、手に持つキセルなど子細な表現まで楽しめる。

 施設機能の最後の一つは、新たな観光のカタチを提案することだ。フューチャーギャラリーでは未来の観光の企画展示を行っている。5Gを活用した実証実験として、分身ロボットが本人の代わりに旅先に行く取り組みが紹介されている。

 ここでは完成していない技術も公開する。真梶館長は「プロトタイプも公開することで、他企業の技術を組み合わせるなど、新たなプロジェクトにつながる可能性がある」と話す。施設は「共創」の場でもあるのだ。

 施設名称に付くTABIDOU=旅道は、同社の造語。マーケティングやプロモーションなど、同社が行う観光ソリューションの総合的なブランドとして展開している。

 「茶道や華道、柔道などのように、旅にも“道”があるだろうとの思いで造った」。

 観光に関する技術革新は目を見張るスピードで進んでいく。旅を極める道半ば、これまでとは違う観光の「見せ方」はさらに重要度を増していく。

 ただ、旅行者の多様化するニーズを満足させるためには“最先端技術”だけでは足りない。地域の魅力を掘り起こし、常に磨き上げていかなければ、コンテンツ自体が旅行者の琴線に触れることはない。常に発展するテクノロジーと同様に、新たなニーズを追い続ける努力も大事になってきそうだ。

 問い合わせ=同社広報部 ☎03(3835)5636。

読売旅行、旅のプロが発信する旅情報サイト「たびよみ」創刊

2019年10月2日(水)配信 

旅行情報サイト「たびよみ」のトップページ(イメージ)

 読売旅行(坂元隆社長)は2019年10月1日(火)、新たな旅行情報サイト「たびよみ」を公開した。サイトコンセプトは「知るほど旅は楽しくなる」。旅への知的好奇心を満たし、こだわりの旅の道しるべとなるコンテンツを、老舗月刊誌「旅行読売」を出版する旅行読売出版社の編集部員や寄稿者が発信する。

 同サイトはガイドブックや観光案内とは異なり、歴史を紐解く旅や土地の文化を実感する旅など、好奇心に訴えかける旅情報を掲載する。今まで行ったことのある旅先の記事からあらためて発見をしてもらったり、新たな旅の目的を発見してもらったりと、“旅すれば旅するほど人生は楽しくなる”という気分になってもらえるような新しい旅情報サイトをオープンした。

 今後はさらに、「読売旅行」の現場から、旅のスペシャリストらが発信するホットな情報も加わっていく予定。

「たびよみ」概要

◆創刊号コンテンツ

特集 ひとり旅:

 街全体がひとり旅をもてなす気持ちが伝える温泉街。そこは・・・。

特集 いい夫婦の旅:夫婦水入らずの旅は、楽しみも思い出も2倍、3倍。

 東京―函館間を往復するだけで元がとれるフルムーンパスを使った記念旅を紹介

連載 たびよみ目線:

 「ご当地タクシー」。地元の情報に精通したプロドライバーと回るちょっと贅沢でユニークな旅。

連載 ナニコレ!?みやげ:

 「切腹最中」。「忠臣蔵」ゆかりの和菓子店が売り出すヒット商品。顧客に損をさせた営業マンに大人気!?

海外特集:

 アドリア海の真珠と呼ばれる港町。クロアチア・ドゥプロヴニク。

観光PR:自治体からのホットな話題をお届け

 桃太郎の誕生を訪ねる岡山温泉の旅。鬼は悪者なのか?宝物とは何なのか・・・

旅行情報サイト「たびよみ」:以下のページリンクから

チームラボら5団体が受賞 第11回観光庁長官表彰

2019年10月2日(水) 配信 

11回目は5団体が受賞した

 観光庁は10月1日、観光庁長官表彰の表彰式を開いた。11回目となる今回は「チームラボ」と「大地の芸術祭実行委員会」、「春蘭の里実行委員会」、「ソースネクスト」、「首都圏外郭放水路利活用協議会」の5団体が受賞した。 

 同表彰は魅力ある観光地づくりや訪日外国人旅行者の誘致などの観光振興や発展に貢献し、業績が顕著な団体と個人を表彰するもの。 

 田端浩長官は冒頭のあいさつで「この表彰が観光立国に向け、地域や個人の活動を活性化するきっかけになれば」と受賞者に期待を寄せた。

 チームラボは「チームラボボーダレス」など非言語かつ五感で体感するアート展を開いている。同展の来場者は開業1年で230万人となり、半数は海外の160カ国から訪れた。さらに、外国人来場者の半分が「このミュージアムを目的に東京を訪れた」と話しているという。 

 大地の芸術祭実行委員会は、新潟県の十日町市と津南町からなる「越後妻有地域」で「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」を開催している。2000年から3年に一度実施し、直近の入込客数は約54万8千人、訪日客は7・3万人。経済波及効果は65億円で、初回からの累計波及効果は570億円。 

 春蘭の里実行委員会は1996年に石川県の能登町で設立。地元食材を使った食事や農業体験、交流が可能だ。「農家民泊を運営するグリーンツーリズムの草分け的存在」(観光庁)という。同委員会は来訪者を97年の30人から2017年に約1万3500人まで増加。

 ソースネクストは74言語に対応した通訳機「POCKETALK」を開発。施設などにおけるスタッフとのコミュニケーションの解決に寄与した。累計出荷台数は7月時点で50万台を超え、技術による観光振興に貢献した。

 首都圏外郭放水路利活用協議会は18年8月から、国の防災施設では全国初となる「民間運営見学システム」による社会実験を実施。同システムを導入する前後で見学者数は9585人から35401人と約3・7倍に増加。インフラツーリズムの拡大に期待する。