震災からの復興願い団結、JATA旅博で国内オープニング

 日本旅行業協会(JATA)の国内旅行委員会(吉川勝久委員長)は9月30日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開く「JATA国際観光フォーラム・旅博2011」で、国内ゾーンのオープニング式を行う。今年は、震災からの復興を願い、国内ゾーンを大きく拡大し、49企業・87団体が出展することから、会場に先立つオープニングで団結する。 式は、主催者のほか、観光庁や日本観光振興協会の関係者が登壇して、鏡開きなどを行う。時間は午前9時45分から。場所は東展示場ホール4のWESTステージ。

1週間の連続休暇を、TIJの事業継承でCP

キャンペーンロゴマーク
キャンペーンロゴマーク

 日本観光振興協会は来年3月31日まで、2011年度の「1ウィークバカンス」キャンペーンを実施している。旧日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の休暇改革事業を継承し、最低1週間の連続休暇取得の奨励や、それに対応する旅行商品の造成を推進する。新たな取り組みとして、今年は専用WEBサイト(http://1wv.jp)を立ち上げた。

 キャンペーンは観光庁や厚生労働省、経済産業省、日本旅行業協会、全国旅行業協会の後援で、観光庁の国内旅行振興キャンペーン「がんばろう!日本」とも連動する。

 具体的には、「1年1度は、長旅へ。」のキャッチフレーズと、従来からのモチーフ「一休さん」をキャラクターにしたロゴマーク・ポスターを会員企業や旅行会社、交通機関、宿泊施設などで掲出。全国規模の露出で、「1ウィークバカンス」の日常生活への定着を目指す。また、震災以降のライフスタイルの変化で商品設定が目立ち始めた、各社の長期滞在型や同キャンペーンに対応する旅行商品、宿泊プランの充実と共同プロモーションを進める。

 専用サイトでは、秋・冬シーズンにおすすめの旅行商品の紹介や、9月中旬から12月上旬まで、上位入賞者に賞品を贈る「旅行川柳コンテスト」「プレゼントアンケート」などのイベントを実施。賞品は各社旅行券や宿泊券を用意する。

 各社の主な対応商品や展開は次の通り。

 JTB 6―9月に国内3泊以上、海外7日間以上の対象商品に通常の3倍のポイントを付与。下期以降も長期滞在型商品を投入

▽JR東日本 東北エリアへの往復新幹線と宿泊施設を自由に選べ、連泊で割引になる「東北セレクトプラン」を設定

▽近畿日本ツーリスト メイト商品で「連泊割引」の設定拡大や「2泊でも、3泊でも、4泊でも!1万円宿泊プラン」などを設定▽日本旅行 長期滞在型商品「のんびりステイ」プランを設定

▽トップツアー キャンペーン対象商品として、東北6県の宿泊と交通をセットにしたCUTE商品「がんばろう東北」を展開

▽プリンスホテル 全国の21ホテルで長期滞在型プラン「プリンスロングステイ」を販売。3泊から最大70連泊まで割引料金設定

経済波及効果は約122億円、JNTOが国際会議を調査

 日本政府観光局(JNTO)は2010年に国内で開かれた16会議を対象に、国際会議の経済波及効果調査を実施。直接・間接合わせた国全体の経済波及効果は約121億6668万円にのぼることを発表した。 調査対象は10年6月24―11月18日に札幌、つくば、千葉、横浜、富山、高山、京都、奈良、大阪、神戸、松江、宜野湾で開かれた16会議。直接的経済波及効果は、開催都市合計で約18億5755万円、開催都道府県合計で約19億1235万円、国全体で約28億3406万円。会議による生産誘発効果(間接経済波及効果)は開催都市合計で約30億6861万円、開催都道府県合計で約34億6975万円、国全体で約93億3262万円となった。

全国旅館おかみの集い、次期委員を募集中

今日庵「兜門」前で
今日庵「兜門」前で

 第22回全国旅館おかみの集い運営委員会(有村政代運営委員長)は9月5、6の両日、今期最後の運営委員会を京都市内で開き、決算報告などを承認した。

 6月28日の本会で基調講演を行った千玄室氏へのお礼も兼ね、京都市内の裏千家今日庵を訪ねた。運営委員会は京都ブライトンホテルで開催。有村委員長は「今回の経験を新たな一歩とし、そこで得たつながりを大切にしたい」とあいさつ。1年間、苦楽を共にした仲間へビアグラスを贈った。議事では今期の決算報告が行われ、全員一致で可決承認された。その後の意見交換では、「ウェブで動画を公開し、参加者呼びかけを行う」「各地の女将会の協力を得て広報する」などの案がでた。

 第22回の運営委員会は今回で解散する。新メンバーも加えた第23回の運営委員会を10月下旬から11月上旬にかけて開く予定だ。運営委員会事務局(旅行新聞新社内)では現在、第23回の運営委員を募集している。

 運営委員参加についてのお問い合わせ=電話:03(3834)2718。

熱海温泉玉手箱、73の体験プログラム

 静岡県・熱海温泉は10月8日から11月13日まで「熱海温泉玉手箱(オンたま)」を開く。今回で5回目を迎える。 地元の、地元の人による、地元のための企画として誕生した。地元の人による案内で熱海の自然や地場産業、まち、人、食などの隠れた魅力を掘り起こしていく。街・海・緑・歴史・芸・美の6ジャンルからなる73の体験プログラムを用意する。過去最多となる。
 「5代目直伝 干し物はこう作る」は、本格的な干し物の作り方を老舗の五代目が一から教えていく。10月8日に実施、料金は1500円。「港で朝釣り・朝ご飯」は、海上の釣り堀で釣りを体験する。港では新鮮な魚介類を使用した「漁師メシ」を頬張り、漁師さんとの交流や港町の文化を感じる貴重な体験ができる。10月9日に行われる。料金は5千円。「農園散歩と採りたて昼ごはん」は、早起きをして庭園のような農園を散策しながら野菜や果実をつまみ食いする。10月22日、11月12日に実施する。料金は2千円。「文学散歩(西山の旧別荘里めぐり)」は、現在注目のパワースポットである来宮神社などを地元のまち歩きガイドの案内で散策する。10月9・23日、11月13日に行う。料金は500円。
 参加方法は電話かホームページ(http://wla.jp/ontama)から予約する。
 問い合わせ=熱海市観光協会 電話:0557(85)2222。

都の助成でぜひ福島へ、女将ら16人が緊急PR

JTBの田川社長を訪問
JTBの田川社長を訪問

 JTB協定旅館ホテル連盟福島支部女性委員会(委員長=若松佐代子雨情の宿新つた女将)は9月12日、緊急・東京キャラバンを行い、JTBの田川博己社長らに送客を要請した。委員会のメンバー16人が参加した。

 毎年12月にキャラバンを実施してきたが、東京都の被災地応援ツアーが9月から始まったことを受け、急きょ駆け付けた。午前中はグループに分かれてトラベルゲート新宿などJTB首都圏の8店舗を訪問。店頭ディスプレイ用と福島旅行の申込者のプレゼント用の「起き上がり小法師」を手渡した。

 午後からは再び合流し、JTB首都圏本社やJTBの田川社長を訪問した。メンバーからは「元気に商売を続けているが唯一、お客様が少ないことがさびしい」(片桐栄子ホテル華の湯社長室長)や「旅行会社の皆様の社員研修実施など、突破口を見つけるための協力をお願いしたい」(渡邉いづみ風望天流太子の湯山水荘専務)という声が挙がった。田川社長は「東北に出かけて元気をもらったという声を多く聞くようになった」と報告。「皆さんの声を手書きのメッセージにし、店舗や従業員の共用スペースに掲示することで福島の今を伝えよう」と提案し、その場で実施が決まった。

 若松委員長は「復興支援の需要もあるがそれは一時。これから長く応援してもらいたい」と締めくくった。

 都の事業は、岩手、宮城、福島3県の観光振興と復興支援のため、JTBなど都内の指定旅行会社が9月から来年2月に実施する「被災地応援ツアー」に対して助成を行うもの。ツアーの旅行者に対し、1人1泊3千円、延べ5万泊分を補助する。この助成金が旅行代金から割り引かれる。

全国大会 沖縄に決定、フェイスブック問題の対応強化

横山公大青年部長
横山公大青年部長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(横山公大部長)は9月15日、山梨県・石和温泉の銘石の宿かげつで臨時総会を開き、第21回全国大会の開催地について、唯一立候補をしていた沖縄県で開くことを全会一致で決めた。

 また、旅行予約サイト「じゃらんnet」を運営するリクルートが同サイトに加盟する旅館・ホテルのフェイスブックの公式ページを一方的に開設し、不信感を抱く旅館側が反発し現在、非掲載になっている問題を重く見て、ビジネスホテルビーエル(三重県桑名市)の佐野康治氏がフェイスブックなど「ソーシャルネットワークにおける今後の活用方法」について講演した。

 横山部長は「新体制がスタートして5カ月が経過した。昨年9月に『利他精神~夢を語り背中を魅せる』を今季のテーマとしたが、東日本大震災、その後各地で度重なる水害が発生し、まさに今手と手を取り合い、助け合いながら復興に向けて頑張っていかなければならない状況となっている」話した。横山部長はじゃらんnetのフェイスブック問題について触れ、「とくにインターネットの世界については我われ若い世代が立ち向かっていかなければ業界が廃れていく。今しっかりと勉強しておかなければ、2年、3年、5年先にまったく対応できない存在になってしまう。青年部として新たなルール作りや対応をしていきたい」と危機感を募らせた。

 議案では、東日本大震災やじゃらんnetのフェイスブック問題などに対して、今期設置した緊急特別対策委員会で専任の指導・相談役として対応してきた利光伸彦顧問が、議決権のある副部長に特例で就任した。

金城沖縄県部長
金城沖縄県部長

 利光氏は現在満45歳。規約第25条1項に「役員は就任時満43歳以下」と定められているために、副部長に選任される資格を持たないが、今期は未曾有の大災害などの対応を円滑に進めるうえで、特例措置として承認された。

 沖縄県での全国大会の開催地承認を得た金城仁沖縄県部長は「ぜひ一人でも多くの皆さんのお越しをお待ちしています」とあいさつした。開催時期は12年10月中旬から11月下旬、開催予定地は那覇市「沖縄ハーバービューホテルクラウンプラザ」を計画している。

 
 
 
 

No.290 藤沢市観光振興計画 - 大人の女性に愛されるまちへ

藤沢市観光振興計画
大人の女性に愛されるまちへ

 神奈川県藤沢市(海老根靖典市長)はこのほど、「観光立市 藤沢」の発展に向け、観光振興計画を策定した。観光客のターゲットを「大人の女性」に絞り、「一番に愛される観光地」を目指す。藤沢市観光アドバイザーとして計画づくりに携わってきた、東洋大学国際地域学部国際観光学科准教授の島川崇氏と、藤沢市経済部観光課課長の赤坂政徳氏が、同計画策定までの経緯、藤沢市が目指す将来像や、“藤沢ブランド”化への課題、今後のまちづくりの戦略などを語り合った。

【増田 剛】

クオリティー高く、ターゲットを絞る戦略

赤坂:藤沢市は日本屈指の海水浴場を持ち、マリンスポーツのメッカとして親しまれている。海水浴場としての歴史は古く、1886(明治19)年に鵠沼海岸に海水浴場が開設されて以来125年が経過する。

 1980年代には若年層をターゲットとした、湘南ブランドを押し出した海水浴場が多くの支持を集め、年間400―500万人の海水浴客を集めたが、バブル崩壊後の90年代半ばから海水浴客は減り、年間観光客数もその影響で伸び悩んでいた。しかし、2003年に江の島頂上部の「江の島サムエル・コッキング苑(旧江の島植物園)」や「江の島展望灯台」を再整備、04年には「新江ノ島水族館」がリニューアルオープンすると、江の島全体を周遊してもらえるようになり、滞在時間も増え、大きな誘客効果となった。

赤坂政徳氏

島川崇氏

 

 

 

 

 

 

 

 

※ 詳細は本紙1434号または日経テレコン21でお読みいただけます。

主戦場はネット上に ― 旅館の本分が一番大事(9/21付)

 旅行予約サイト「じゃらんnet」を運営するリクルートが同社に加盟する旅館・ホテルのフェイスブック公式ページを一方的に作成し、7月1日から公開したことに、旅館業界が不信感を抱き猛反発。その後、旅館業界が同社に抗議し、9月30日をもって完全削除されるいう。リクルートにとっての利点は、フェイスブックから被リンクが増大することで、各旅館の公式ホームページよりも上位表示され、ネット上で宿泊予約をする場合、個々の宿の公式ホームページや他サイトよりも優位に立てるSEO(検索エンジン最適化)効果を狙っているのではないかと推測する専門家もいる。 9月15日に開いた全旅連青年部の臨時総会で、横山公大部長は、「今ここで我われがしっかりと勉強していなければ、2、3年後、5年後には旅館業界は対応できなくなる」と危機感を露わにした。
 かつては、宿泊業界は旅行会社との間で敵対する場面もあったが、今は旅行予約サイトとの間で手数料率アップも含めた戦略上の攻防が激化し、ネット上が主戦場となっている。今回はリクルート社との間で軋轢が生じたが、おそらくこれは序章に過ぎないのだろう。
 臨時総会では「ソーシャルネットワークにおける今後の活用方法」をテーマに佐野康治氏(ビジネスホテルビーエル)が講演。「ツイッター、フェイスブック、グーグルプラスなど、新たなものを追いかけないと生き残れない状況。ネット業界では『眠ったら死ぬ』と言われる」と助言した。昨今、ネット上のテクニックが主となるセミナーもよく開かれる。ホームページの作成方法、SEO対策、クチコミ情報に対する正しい返答方法、フェイスブックを活用した有効な集客方法……等々。旅館もタイヘンな時代になった。ソーシャルネットワークの活用法を熟知し、踊らされずしっかりとした考えを持つ宿主ならまったく心配ない。どんどん活用し集客につなげ、間違いなく大きな武器となるだろう。経営者として本当に優秀なのだと思う。だが、宿に確たる理念がなければ、これらが単なる小手先のテクニックにしか感じないのだ。
 旅館の本分とは何かという一番大事なものを見失っては意味がない。ネット事業者の土俵上で、彼らの利益のためだけに宿が踊らされることがないように願う。^t(編集長・増田 剛)

熱海湾クルーズ

 熱海市は9月3日から「熱海湾ファンタスティッククルーズ」を開始する。熱海の沖合いから夕暮れ時の市街を見ることができるクルージングとして人気を呼んでいる。9月3日から10月15日の毎週土曜に加え、9月18・23日、10月9日も行なう。全10回を予定する。午後5時に出港し約30分から40分間のクルーズを楽しむ。料金は500円。中学生以下は無料。

また、熱海芸妓衆の踊りを鑑賞する「湯めまちをどり 華の舞」の秋季特別公演が10月24日から始まる。11月21日までの毎週月曜日に開催する。料金は1000円。

問い合わせ=熱海市観光課電話:055786