ネットワークの輪 102会員に広がる、ピンクリボンのお宿ネットワーク第2回総会開く(7月3日、東京都港区・浜松町東京會舘)

第2回ピンクリボンのお宿ネットワーク総会

10月のピンクリボン月間に新冊子発行

畠 ひで子会長

 「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(略称・リボン宿ネット、会長=畠ひで子・匠のこころ 吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は7月3日、東京都港区の浜松町東京會舘で第2回総会を開いた。昨年7月に設立以降、ネットワークの輪は広がり、会員数は発足時の倍の102会員となった。今年度は、10月のピンクリボン月間に合わせて「ピンクリボンのお宿」の新冊子を発行するほか、全国の病院や医療関係者、乳がん患者団体と連携し、シンポジウムや勉強会などを行い、理解を深め受け入れ環境を整えていく。

 畠会長は冒頭のあいさつで、「日本人女性の16人に1人が乳がんになるといわれ、毎年約5万人の女性が胸の切除や温存手術を受けている。8割以上の方が回復するが、そのことで旅を諦めるのは残念でならない。今後も宿での快適な環境作りに向けて努力し、業界のみならず広く社会に向けて啓発の輪を拡大していきたい」と意欲を示した。

来賓の長嶋秀孝氏

 また、「匠のこころ 吉川屋」で今年5月に開いた社員対象の勉強会についても報告した。「乳がんについて理解したうえでお客様をもてなすことが大切」と畠会長は、フロントや接客業務のスタッフだけでなく、調理などの裏方スタッフも含め、社員全員の参加にした。「乳がんは女性の病気というイメージが強いが、毎年、2千人の日本人男性が乳がんになっている。男性スタッフはその事実を知ると驚きつつ、より真剣に耳を傾けていた」と会でのようすを話した。さらに、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、自身の乳がん予防のため両乳房切除と再建手術を受けたことを公表した件にも触れ、「日本でも予防手術をする人が増えるかもしれない。乳がんに対して注目される機会になったと思う」と述べた。

 来賓には、日本観光振興協会から長嶋秀孝常務理事と、企画本部の森岡順子広報課長の2氏が出席。長嶋氏は、「日観振のウェブでもリボン宿ネットの取り組みを紹介していきたい。有力な需要層として、各施設は無理のない範囲で受け入れてほしい」と話した。

旅行新聞新社・石井貞徳社長が
開会のあいさつ

 昨年12月に発行した「ピンクリボンのお宿」冊子は現在、会員宿のほか、全国約800カ所の病院で無料配布し、冊子を手にした人から感謝の声が寄せられている。新冊子は、ピンクリボン月間の10月に発行予定だ。

 リボン宿ネットは、ネットワークの拡大をはじめ、乳がんの早期発見につなげるための啓発活動などにも注力していく。

 役員は次の各氏。
【会長】畠ひで子(匠のこころ 吉川屋)【副会長】石井貞德(旅行新聞新社)▽池山紀之(池山メディカルジャパン)【委員】浅野謙一(夕映えの宿 汐美荘)▽松﨑久美子(ふもと旅館)▽中尾徹也(斎藤ホテル)▽清水隆太郎(結びの宿 愛隣館)【監事】西川丈次(観光ビジネスコンサルタンツ)▽湯通堂温(ホテル秀水園)【事務局長】有島誠(旅行新聞新社)【事務局担当】野村一史(同)▽森山聡子(同)

 13年7月12日現在の宿会員は81、団体会員は6、企業会員は11、賛助会員4の合計102。

【交流会で歓談】

お茶とお菓子で交流会

 


 【4旅館が取り組み事例を発表】

総会後に4旅館の事例発表を行った

会場の出席者と意見交換も

渡邉 二郎氏

 事例紹介では、鷹泉閣岩松旅館(宮城県作並温泉)取締役の渡邉二郎氏、湯本旅館(長野県渋温泉)女将の湯本英里氏、ホテルくさかべアルメリア(岐阜県下呂温泉)常務取締役の日下部聡子氏、大正浪漫の宿 京都屋(佐賀県武雄温泉)女将の前田明子氏の4人が各施設の取り組みを発表した。

 鷹泉閣岩松旅館では4月10日、乳がん手術を受けた人と乳がん治療中の女性限定に「全館貸切ピンクリボンデー」を実施した。当日は、女性スタッフのみで接客し、男性スタッフはお客様の目につかない裏方に徹するなど、人員配置にも細かく配慮。婦人科クリニックの女性医師を招いた講演会は、「良かった」との声が多かった反面、「もっと乳がんに絞った話を聞きたかった」との意見があったという。渡邉さんは、「ホームページなどでプラン販売の告知を行ったが、予約は3件のみで、当日は6人のお客様を80人のスタッフで迎えることになった」と結果を報告した。2回目の「全館貸切ピンクリボンデー」は11月13日に実施予定で、講演会には女性医師との対談も行う。

湯本 英里氏

 湯本旅館は、女将の湯本さんが2010年に乳がん患者となったことをきっかけに、毎月第3金曜日を「ピンクリボンの日」に設定。乳がん患者の利用は毎月1組程度だが、女将が湯本旅館のホームページ上で「闘病日記」などを記していることから問い合わせの電話もあるという。「乳がんの方から、渋温泉にある他の施設でも入浴着を着て温泉に入ることは可能かとの問い合わせがあり、その方には『私が責任を持ちますのでぜひお越し下さい』と伝えたところ、渋温泉で9つの温泉を制覇していた」とのエピソードを語った。また、湯本さんが乳がんになってからの旅行経験談では、「温泉の洗い場に高いイスしかなく、鏡に映る自分の体を改めて見るのが悲しかった」と患者目線での感想を述べた。

日下部 聡子氏

 ホテルくさかべアルメリアは、一般客にも入浴着を着ての大浴場利用を理解してもらうため、脱衣所にポスターを掲示。脱衣所では、術後の痕を気にする人の目隠しとして簡易衝立を設置し、タオルは通常よりも多めに用意するなど配慮している。日下部さんは、「高額な出費は難しいので、ポスターは当館の自作です。ポスターを見ていただくことで入浴着への理解や乳がんに対する啓発にもなればと思う」と話した。「リボン宿ネットの講演会で、患者さんから『タオルが多めに用意されているだけでうれしい』と聞いたので、できることから始めた。今年は、食事を見直すことが目標」と語った。

 

前田 明子氏

 京都屋は6月5・19日を「ピンクリボンの日」に設定。館内を女性限定の貸し切りにし、男性大浴場も開放した。夕食は地元の食材で健康メニューの会席料理を提供。プランは、1泊2食付の宿泊プラン、日帰りプラン、講演プランの3つを用意し、5日は講演会とコンサート、茶話会、19日は、ミニ武雄ツアーと蛍鑑賞会を実施した。

 女将の前田さんは、4年前に卵巣腫瘍で左卵巣と子宮の摘出手術を経験し、自身の体には術後の痕も残っている。「個室露天風呂も大浴場の洗い場の間仕切りもない宿ですが、何かできることがあるだろうと思い、ピンクリボンの日を設定した」と話した。「ピンクリボンの日は来客数100人を目標にしたが、5日の宿泊は10人、日帰り32人、講演会70人、19日は宿泊3人、日帰り10人、講演会20人の参加となり、広報とプランニングの力不足を感じた」と述べた。参加者からは、「女性貸切でなければ夫に車で連れてきてもらえたのに」との意見や、「乳がん患者同士で、友達になりたいと思って来たのに参加者が少なくて残念」との声も紹介した。

 事例紹介後は、会場の出席者との意見交換を行った。

 「簡易衝立はとても良いアイデア。さっそく取り入れたい」「リボン宿ネットの活動だけではなく『ピンクリボン』の趣旨も伝える活動や広報も必要ではないか」などの意見があがった。

 また、「宿から病院にピンクリボンプランのDMを送ってもいいのか」の質問に、池山紀之副会長(池山メディカルジャパン社長)は、「『ピンクリボンのお宿』冊子を置いている病院は、リボン宿ネットのことを認知しているので、DM発送は構わない」と述べた。

 会員宿の女将からは、「プラン名などに『ピンクリボン』というワードを使えば、乳がん患者のお客様は宿で自らの病について告知することになる。患者さん自身、プラン名などで『ピンクリボン』を使うことに抵抗感はないのだろうか」との意見に湯本さんは、「私自身が乳がん患者であることを隠していない」との理由から、ピンクリボンの名称を使うことに賛成の立場を示した。さらに、「当館がリボン宿ネットの会員と分かるよう、リボン宿ネットの缶バッチを衣服に着けてお客様をお出迎えしている」と話した。

中小へ情報還元を、越智新事務局長が会見(JATA)

越智良典氏

 日本旅行業協会(JATA)は7月3日、定例会見を開き、6月19日の今年度総会で理事・事務局長に選任された越智良典氏が就任に対する所感を述べた。越智事務局長は中小企業の会員への情報還元やメディアへの情報発信に注力していくことを語った。

 日本全体の観光については、近畿日本ツーリスト時代にグローバル戦略を担当していたことなどを踏まえ、国家ブランド指標を示しながら見解を述べた。国家ブランド指標の全体で日本は5位、観光項目は8位となっているが、隣の韓国は32位から順位を上げるため、観光戦略に韓流スターを起用するなど意識的な戦略を行っているとし、「日本もオールジャパンで戦わないと世界のブランド競争に負けてしまう」と危機感を示した。

 JATAの事務局長としては「観光の裾野が広がっているなかで、経済界や学界など連携の枠を広げ、観光のリーダーシップを旅行会社が取れるようにするのが夢だ」と想いを述べた。

 また、就任前の2年間はKNT子会社の社長を務めた経験から、「非常に個性ある中小の企業が専門分野でしっかりお客様を握っていると実感した」と語り、「JATAの会員も大手もあれば中小もあり、多様性があるのが日本の旅行業界の強みだ」と語った。そのため、「委員会など人を出せるのは大手で、情報が大手に還元されがちだが、今後は『中小』『全国』をキーワードに会員に広く情報やサービスを還元していかなければならない」と強調。「PRと2つのMR、メンバーシップリレーションとメディアとのリレーションシップを大切にしていきたい」と意気込んだ。

 一方、国内旅行については自身の考えとして、既存旅行会社が持つ強みとして鉄道会社との関係をあげ、「できることはまだある。宿泊旅行の促進に向けJATAで『もう一泊、もう一度』キャンペーンを実施しているが、泊まるだけでは旅行会社の特徴が出しにくいのであれば、違ったキャンペーンもあるのではないか」と語った。

国内旅行人数 過去最高に、総旅行消費額も最高、JTB夏休み旅行動向

 JTBがこのほど発表した2013年の「夏休み旅行動向」(7月15日―8月31日までに1泊以上の旅行に出かける人)によると、国内旅行は前年同期比2・2%増の7624万人と過去最高となる見通し。海外旅行は同5・8%減の260万人と、円高の追い風を受けた昨年と比べ減少が見込まれるが、11年に並ぶ高い水準となる。国内旅行の好調が牽引し、総旅行人数も同1・9%増の7884万人と過去最高を記録しそうだ。

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 同調査は、JTBグループの販売状況、航空会社の予約状況、1200人のアンケートなどから推計した。今夏は総旅行人数に加え、総旅行消費額も同4・7%増の3兆3016億円と過去最高になる。「支出を増やしたい」意向が前年同期と比べ0・2ポイント増加し、16・6%と旅行消費意欲も高まっている。国内旅行消費額は同6・1%増の2兆6693億円、海外旅行消費額は同1・0%減の6323億円を見込む。

 国内旅行の旅行日数の平均は同0・24日減の2・2日。2泊3日、3泊4日が増加する一方で、5泊6日と8泊以上が減少している。旅行の特徴としては、「海辺で保養・海水浴」が同32・4%増と増加しており、東日本大震災後に減少傾向だった海水浴目的の旅行が回復傾向にある。また、LCCの浸透によって、飛行機利用が同2・7%増加し、19・9%と高まっている。「遷宮」人気の伊勢志摩、出雲のほか、昨年に引き続き東京人気が根強い。さらに、富士山の世界遺産登録により、周辺エリアの富士五湖や伊豆などへの波及効果も見込まれる。出発のピークは8月10―12日としている。

 海外旅行は中国・韓国が低調な一方、タイ、マレーシア、カンボジア、ベトナムなど東南アジアが好調だ。座席供給数の増加や世界遺産、リゾートの両方を楽しめることから、ファミリー層や女性グループなどの人気を集めている。ハワイは堅調に推移し、フランスやイタリア、イギリスなどヨーロッパも好調だ。

 昨年ほど海外旅行に追い風が吹かない要因に円高の進行がある。また、昨年に比べ燃油サーチャージが減額になっているとはいえ、8月発券分ではハワイで1人往復2万7千円、欧州は4万2千円と依然高水準にあることがあげられる。海外旅行の出発のピークは8月10―11日という。 

高速路線バスへ移行、「安さと安全を追求」(ウィラーグループ)

オリジナルバス停を披露する村瀬茂高代表

 高速ツアーバスから高速路線バスへ――。ウィラーグループ(村瀬茂高代表)は6月27日、東京都内で会見を開き、7月31日から高速路線バスに移行することを発表した。8月1日からの適用を前に、7月末が期限となっている高速ツアーバスと高速路線バスを一本化する新高速乗合バス制度に即した移行で、同日から全国88カ所に同社が発着できるバス停が登場する。「安いも先頭へ」のスローガンのもと、移行後も現在の路線を維持し、高速ツアーバスの利点である低価格と、消費者が望む安全を追求する。
【飯塚 小牧】

≪8月から新高速乗合バス制度へ≫

 プレゼンテーションに立った村瀬代表は、「関越自動車道での高速ツアーバス事故や、LCCの登場でバス業界は大きな転換期を迎えている。我われはこれをネガティブに捉えるのではなく、大きな挑戦の機会だと考えている」と切り出した。

 高速路線バスへの移行に向けて、路線の減少や運賃の値上げなどを不安視する声があったことを紹介したうえで、「ウィラーは変わらない」と強調。「路線は減らさない。運賃も上げない。『日本最高の価値を提供する高速バス会社へ』という志も変わらない。業界のチャレンジャーの立場として、これまで起こしてきた革新をイノベーション1・0とすると、7月31日からの展開はイノベーション2・0といえる」と語った。

 その柱には、同社が得意とするIT技術とウェブマーケティングをあげ、「移動手段としてのバス事業展開に加え、利用者の多様なニーズに応えていく」と意気込んだ。

 また、新グループスローガンは「安いも先頭へ」と発表。バスの魅力の「安くて安全」を追求するため、安全には手を抜かずに、低価格を実現するための仕組みの開発に取り組んでいくこととした。

 移行後の具体的な展開として、運行組織体制を拡充する。同グループの高速バス「WILLER EXPRESS(WEX)」の運行会社を統括するウィラーエクスプレスジャパンの傘下には現在、3社の子会社があるが、移行にともない新会社7社を設立。全国の運行エリアに10社・12営業所体制を整え、発着地の双方に営業所を設置することで安全を強化する。

 路線は、毎日22路線・201便を運行し、車輌数は163台、乗務員は約400人で全国規模の高速バスネットワークを構築する。新たに3つ目のバスターミナルを長野駅に開設するほか、東京エリアの乗降場所は川崎(神奈川県)、とうきょうスカイツリー駅前を増設。全国88カ所にバス停を設け、そのうちの44カ所には利用者が分かりやすいように、同社オリジナルのピンクのバス停を設置する。初年度の利用者目標は昨年実績並みの200万人に設定するが、5年後には2倍の400万人を目指していく。

 運賃については、新しい運賃体系「スマートプライス」を導入。利用者一人ひとりに合わせ、最も適切な運賃を提供していく。その第1弾は8月下旬から開始する「予約順割引」。100㌔を超える全路線を対象に、1人目の予約は基本運賃の20%引きで2人目、3人目と予約順ごとに運賃が上がり、路線ごとに設定した人数以降は全員基本運賃になる仕組み。そのほか、出発の2週間を切り、乗車予定人数を下回ると設定される「間際割」や「回数券」など、閑散期の利用者やリピーターに最適な運賃を提供していく。また、路線バスへ移行することで、バス停で待つ乗客も空席があれば利用できるようになり、事前予約は10分前まで可能になるという。

 利用者の拡大では、訪日外国人旅行者への対応を強化し、WEXが1日3便まで利用できる「Japan Bus Pass」を3日乗車券1万円、5日乗車券1万5千円で販売する。車内では日・英・中・韓の4カ国語でアナウンスし、ターミナルでは英語対応も行う。現在、インバウンド客のシェアは全体の3%。村瀬社長に今後の目標を聞くと、「全体の1割程度まで増やしていきたい」と展望を語った。

 同社ならではの新サービスもさまざま展開する。1日39便が発着する新設の乗降場所・川崎の利用者には、映画館や飲食店などが集積するエンターテインメント街の「ラ チッタデッラ」の割引クーポンを特典に付ける。また、大阪梅田のウィラーバスターミナルの隣には8月1日、カフェをオープン。営業時間は午前6時30分から午後11時30分とバスの乗客が利用しやすいように設定した。

 さらに、共通ポイントサービスの「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティマーケティング(長谷川剛社長)と提携。ウィラートラベルサイトでWEXを予約・利用すると、200円につき1ポンタポイントが加算される。対象は7月31日からの出発で、同日から「ポンタ」のデザインバスも2車輌登場する。

 このほか、日本で最も安心なシートの開発や乗務員ユニフォームの一新なども行う。

 一方、注力する安全強化策は大きく3項目を掲げる。1つ目はウィラーエクスプレスジャパンとグループバス会社、共同運行バス会社、運行委託バス会社のすべての運行バス会社がメンバーとなる「安全運行協議会」の設置だ。WEX独自の安全、整備、サービス基準を策定し、運行会社や乗務員の違いに関わらず、同じ安全、サービスの提供を目指していく。

 2つ目はウィラーエクスプレスジャパン内に「運輸監査部」を設け、各運行バス会社の運行管理の徹底をはかる。乗務員の安全教育・指導を実施し、事故や故障、苦情報告をもとに再発防止に努めるほか、ターミナルや高速道路のサービスエリアなどで安全調査のパトロールを定期的に実施する。

 3つ目は、重大な人身事故を防ぐための道路交通安全マネジメントシステム「ISO39001」の取得。まずは、7月末までにウィラーエクスプレスジャパンとウィラーエキスプレス関東の2社で取得する予定だ。

 


 

≪高速・貸切バス安全・安心プラン、バスの信頼回復へ≫

 国土交通省自動車局はこのほど、昨年4月29日に発生した関越道での高速ツアーバス事故や、それ以前からの問題を議論していた「バス事業のあり方検討会」の検討結果を踏まえ、「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を策定した。2年間で報告書に記載された措置を着実に実施し、事故の再発防止と、バスへの信頼回復をはかる。

 具体的な取り組みの1つは「新高速乗合バスへの移行・一本化」。高速ツアーバスは7月末までに新高速乗合バスへ移行する必要があり、8月以降は高速ツアーバスの運行は認められない。移行した事業者には、運輸安全マネジメントの実施義務付けを行い、委託者・受託者が一体となった安全管理体制の構築などで安全運行を徹底する。移行後1年間を集中的なチェック期間とし、その後は確認結果に応じて、必要な制度の改正を行う。

 また、過労運転防止のため、8月から「高速乗合バス 交替運転者の配置基準」も厳格化。これまでの基準に加え、昼間の実車距離は原則1運行500キロまで、夜間は原則1運行400キロまでなどの距離基準や運転時間4時間ごとに合計30分以上など休憩時間の基準も盛り込んだ。

 2つ目は「貸切バスの安全性向上」。参入時・参入後の安全性チェックを強化し、10月を目途に道路運送法の許可審査を厳格化して、輸送の安全確保に問題のある事業者の参入防止をはかる。2年間で事業者自ら法令遵守状況の点検をし、国土交通省に報告。悪質な事業者には事業停止など厳格な処分を実施して、市場から撤退させる。

 また、すべての事業者の安全優先経営の徹底をはかるため、運輸安全マネジメント実施義務付けを拡大。ワンマン運行の上限距離などを定めた貸切バスの「交替運転者の配置基準」を8月から適用する。さらに、ビジネス環境の適正化・改善のため、今年度内を目途に安全コストが適切に反映された分かりやすい運賃・料金制度へ移行する。 

20年ぶりに90万人越え、東京観光が30%増に(はとバス)

 はとバス(金子正一郎社長)がこのほど発表した、2012年度(12年7月1日―13年6月30日)の東京観光輸送人員は、前年同期比30・4%増の91万4004人となり、92年以来20年ぶりの年間90万人超えとなった。

 とくに、東京観光の夜コースが同88・2%増の13万8666人と好調で、昼コースも同24・0%増の71万7141人。一方、団体貸切増発便は同38・5%減の8759人となった。

 12年は東京スカイツリー、東京ゲートブリッジの開通、大型施設の開業などが相次ぎ、13年も東京ディズニーランド30周年や新歌舞伎座こけら落としなど東京へ注目が集まる。東京スカイツリー展望台入場付ツアーは開業1年後も平均乗車率90%を超え好調。同ツアー年間利用人員(全17コース)は26万3925人で、全体の28・8%を占める。また、復原した東京駅丸の内駅舎見学後のはとバス利用客も多く、短時間コース利用客が大幅に増加。短時間運行のオープンバスツアー(全4コース)は同6・1%増の11万5371人となった。

 震災で落ち込んだ訪日外国人向けツアーも回復し、年間利用人員は同41・7%増の4万9438人となったが、震災前の09年度比ではマイナス20・2%とおよばない。 

新会長に近兼孝休氏、日本旅館協会

近兼孝休新会長

4委員会設立(総合政策・経営強化・IT戦略・女性経営者)

 日本旅館協会(3234会員)は6月28日、東京都新宿区の京王プラザホテルで2013年度通常総会を開いた。昨年10月の設立総会での合意に基づき、佐藤義正会長が常任相談役に退き、近兼孝休会長代行が会長に就任した。

 会員数は設立時10月の3381会員から、4月1日付の3234会員へと、147会員減少した。12年度は総合政策委員会(大西雅之委員長)、IT戦略委員会(針谷了委員長)、経営強化委員会(八木眞一郎委員長)、女性経営者委員会(桑野和泉委員長)の4つの委員会を設立。佐藤会長は「設立総会以降、4つの委員会を作りスタートしたが、まもなく実を結んでくるはず。意義のある事業で、伝統の旅館業を守っていかなくてはいけない」と語った。

 総合政策委員会は大型旅館委員会、旅館委員会、ホテル委員会に分かれ、耐震診断問題や営業強化などの課題に注力し、IT戦略委員会は、旧両団体のホームページ統合や多言語化、Open Webの会員増強へ取り組む。経営強化委員会は、クレジットカード手数料率の改訂や固定資産税などの税制問題、地域中小企業向け再生ファンドなどとの連携に尽力する。女性経営者委員会は、女性としての感性からの経営、地域の活性化、消費者サービスの向上など旅行業界の抱える諸問題に取り組んでいく。

 佐藤会長からバトンを託された近兼新会長は「会長という大役に身の引き締まる思い。佐藤会長からいただいた薫陶を生かし、全力でこの大役に取り組んでいきたい」と力を込めた。

 なお、13年度会費は合併前の旧団体の会費額で、14年度からは新しい会費制度となる。

 理事の補充選任は次の各氏。

 手塚鋼(秋田県、秋田温泉さとみ)▽廣川琢哉(栃木県、松川屋那須高原ホテル)▽金原貴(静岡県、時わすれ開花亭)▽湯通堂温(鹿児島県、ホテル秀水園)

懇親会で鏡割り

No.346 安倍昭恵さん×小口潔子委員長対談 - 女性の能力、社会で発揮を

安倍昭恵さん×小口潔子委員長対談
女性の能力、社会で発揮を

 7月25日、福島県郡山市で「第24回全国旅館おかみの集い」(全国女将サミット)が開かれる。昨年の仙台大会に続く、東北復興大会で福島県での開催は初めて。開催を前に、内閣総理大臣・安倍晋三氏の夫人の安倍昭恵氏と第24回全国旅館おかみの集い・小口潔子運営委員長(四季彩一力女将)の対談が実現した。安倍内閣が成長戦略で掲げる女性の活躍や、日本の旅館、女将の魅力などを和やかに語り合った。

【司会=旅行新聞新社社長・石井 貞徳、構成=飯塚 小牧】

【女将サミット開催記念、特別対談】

 ――安倍総理が打ち出した成長戦略の柱に「女性が輝く社会」が挙げられています。女性の活躍について安倍夫人はどう思われますか。

■安倍:日本だけではないですが、日本には大変素晴らしい能力を持った女性の方たちが多くいらっしゃいます。しかし、まだまだ社会ではそれが活かされていないと思います。主人も、もっと女性の素晴らしい能力を社会で発揮していただきたいと考えています。私もぜひ、多くの女性たちに社会のなかで生き生きと働いていただきたいです。もちろん、女性が家庭に入って子育てをすることも大切なことだと思いますが、それで一度仕事を辞めてしまっても、また社会に戻っていける仕組みづくりをしていただきたいと思います。

 

※ 詳細は本紙1510号または7月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

盛り上がる今夏の旅行業界 ― 気になる海外旅行の減少

 旅行業界が久しぶりに盛り上がっているのではないか。JTBの夏休み旅行動向によると、国内旅行人数、総旅行人数とも過去最高となる見通しだ。インバウンドも好調で、順調にいけば、今年の訪日外客数1千万人達成も可能な範疇にある。

 旅行動向は世相を反映する。戦争やテロなど国際情勢の悪化、社会不安、増税、経済危機などマイナス要素は、真っ先に旅行動向に大きな影響を与え、繊細に反応する。一方、好景気など好要素や、風評被害からの回復などは、他業界よりも影響が遅れがちな傾向がある。旅行動向によって、社会全体のムードが読み取れる。

 今夏は総旅行消費額も前年同期比4・7%増の3兆3016億円で過去最高が予想されている。旅行消費意欲の高まりを意味しており、旅行業界にとっては歓迎すべき数値だろう。だが、重要なのは、その数値に隠された中身の吟味である。

 国・地域別にみると、中国、韓国との交流が停滞している。日本は近隣数カ国に偏った外交や国際交流ではなく、幅広い国と多角的な交流が必要である。グローバルな視点から、バランスの取れた国際的な人的交流の拡大が大切になる。しかし、このような状況のなか、今夏の海外旅行者数は前年同期比で5・8%も減少している。燃油サーチャージの高止まりもあるが、円安による旅行費用の増大が海外旅行に足踏みを与えている。さらに深読みすると、全般的に旅行動向は好調に見えるが、実はシニア層が中心で、若年層は「蚊帳の外」というのであっては、喜ぶわけにはいかない。若者が海外旅行に「行けない」という、この悲劇的な状況を少しでも改善していく努力が、国や旅行業界に必要だと感じる。

 円安をとっても光と影の両面がある。輸出産業に追い風が吹く反面、費用を捻出できず海外留学を諦める学生もいる。副作用の物価高、増税も若年層の旅行意欲を削ぐ。国にとっては投票率の低い若者。旅行会社にとっては儲けの小さい若者。けれど、若者(未来)への投資を惜しむ日本であってはならない。観光立国推進閣僚会議は「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」で、外国人旅行者を優遇する消費税の免税制度を14年度税制改正大綱に盛り込もうとしている。大変結構なことだが、枝葉末節の処置にも見える。

(編集長・増田 剛)

【8/2-4】浅草で藍染め市  職人駆けつけ体験企画も

 浅草の和なり屋(台東区千束)で8月2日から4日までの3日間、「藍染め市」が開かれます。期間中、シャツや和小物など、職人が手掛けた藍染め作品を展示販売するほか、「藍の生葉染め」体験も企画し、家族連れや観光客を迎えます。

 今年の5月連休に続き、2度目の取り組み。ジャパンブルーと称される藍染めの美しさを伝えようと、各地から藍染め職人が来場します。Tシャツやポロシャツ、スカートなどの夏物衣料をはじめ、財布、バッグ、バッグブックカバーなど、多くの藍染め作品を販売します。

 目玉企画の藍の生葉染め体験は、藍がめで発酵させた濃い色の藍染め(建て染め)でなく、夏に摘んだ新鮮な藍の葉をそのまま染料として使うもの。空のような鮮やかな水色に染まるのが特徴です。メニューはハンカチ(1千円)、エコバッグ(3600円)など。体験時間は1時間程度です。

 問い合わせ=電話 03(5603)9169。

 和なり屋さんのホームページもご覧ください。(催し紹介のページにリンクしています)

【7/21】海デッキ命名&記念イベント ザ・フィッシュ

 千葉県・浜金谷のレストラン&マーケットプレイス「ザ・フィッシュ」は、海の見えるウッドデッキの名前を250通を超える応募の中から決定しました。

 名前は7月21日にデッキで記念銘板取りつけ式で発表します。発表後には、ジャズライブや地中海風創作おつまみタパスを楽しめる催しも開かれます。
 素敵な名前のウッドデッキで夕日を眺めながら、リゾート気分を満喫してみてはいかがでしょうか。

【銘板取りつけ式】7月21日 午後3時から。
【ジャズライブ&タパスバー】7月21日午後3時30分から午後5時30分。ライブ無料。飲食代は別途。

問い合わせ=0439 (69 )8373