春秋航空日本に出資、事業提携で旅行商品造成(JTB)

田川JTB社長(左)と王春秋グループ会長
田川JTB社長(左)と王春秋グループ会長

 JTB(田川博己社長)はこのほど、中国最大のLCC春秋航空股分Spring Airlines(王正華会長)の日本法人春秋航空日本Spring Airlines Japan(鵜飼博社長)に出資することを発表した。春秋グループと事業提携することで、同グループのLCCを使った旅行商品の造成により、日中双方向の人口交流拡大を目指す。

 JTBの田川社長と、春秋グループの王会長が出席した3月25日の会見で、田川社長は「出資額は数億円」、春秋航空日本の資本金60億円のうち「出資率は5%以内」と明かし、出資額は実質1―3億円の間とみられる。4月1日からは両社間の人的交流も行い、JTBから春秋航空日本へ出向し、旅行商品の造成も行うという。航空事業への参入はせず、あくまでLCCを組み合わせた旅行商品の造成で、中国からの訪日旅行と、日本からの海外旅行拡大を狙う。

 田川社長はLCC市場について「2012年の北東アジアのLCCシェア率は10%程度だが、東南アジアは52%に上る」と紹介。「北東アジアのオープンスカイが進展すれば、今後LCCシェア率は上がってくる」と語った。また、「欧はビジネスのレガシー、レジャーのチャーター、生活のLCCが3分の1ずつの割合で、日本も今後そうなってくる。それぞれを組み合わせての座席確保が、訪日・国内・海外旅行すべてで、今後大きな命題になる」と分析。中国について「交流人口拡大の大きなポテンシャルを有する市場」とし、「春秋が行う中国内のチャーター戦略を日本国内に持ち込めば、日本から中国への海外旅行客も増やせられる」と展望を語った。

20.6%増の88万人、スキーや冬の行楽人気(2月の訪日外客数)

2月の訪日外客数
 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)はこのほど、2月の訪日外客数推計値を発表した。2月の訪日外客数は前年同月比20・6%増の88万人で、これまで2月の過去最高だった13年を15万1千人も上回った。1―2月の累計では前年同期比30・5%増の182万3900人と過去最高のペースで推移している。

 昨年から続く東南アジアのビザ緩和効果や円安傾向にともなう割安感の浸透、スキー旅行や冬の行楽に向けた訪日旅行プロモーションが奏功した。市場別では、中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド、豪州が2月として過去最高を記録。豪州は引き続きスキーを中心とする訪日旅行の需要が拡大し、25・1%増と高い伸びを示し、欧米市場も順調に拡大した。

 重点市場をみると、全体の4分の1を占める市場の韓国は、同1・2%減の23万1500人。旧正月休暇が昨年は2月だった影響もありマイナスとなったが、1―2月の累計では前年同期比3・9%増の48万7千人と、08年、11年に次ぐ過去3番目の記録となった。13年10月以降3カ月続いたマイナス傾向が先月プラスに転じ、1―2月の累計でもプラスを維持。原発汚染水問題の報道の影響はほぼ収束した。

 台湾は同27・2%増の19万1200人と、2月の過去最高を更新。旧正月休暇が例年より短かったが、連休明けも訪日旅行需要が継続し、ピーク期を外した手ごろな商品の人気が高かった。LCCの新規就航・増便による座席供給量の増加、訪日旅行の割安感の浸透なども後押しした。1―2月の累計は同48・3%増の38万8100人。

 中国も同71・1%増の13万8400人と2月の過去最高を更新。上海発のクルーズの寄港や円安傾向によるショッピングの割安感の浸透が需要拡大に寄与した。1―2月の累計は同92・0%増の29万4100人。

 香港も同14・4%増の6万4700人と2月の過去最高を更新。旧正月休暇中は団体・個人旅行ともに好調で、需要拡大により訪日商品の価格が上昇しているにも関わらず、依然訪日旅行人気は高い。1―2月の累計は同45・9%増の12万8100人。

 そのほか、東南アジア諸国も好調で、タイは同72・4%増の3万4300人と2月の過去最高を更新。北海道方面が好調で、さっぽろ雪まつりや樹氷鑑賞、雪そり体験など、冬季ならではの体験ができる訪日ツアーが人気。企業のインセンティブ旅行も伸び、訪日タイ人増加を後押しした。

 なお、出国日本人数は同1・8%減の140万5千人となった。

インバウンド対応へ、“みなし”不可で時間管理徹底(TCSA)

 山田会長(右)と三橋専務理事
山田会長(右)と三橋専務理事

 日本添乗サービス協会(TCSA、山田隆英会長、48会員)は3月20日、東京都内で2014年度通常総会を開いた。その後、報道関係者を集めプレスインタビューを行い、今年度はインバウンドに対応するための人材育成や、添乗業務の時間管理への対応など添乗環境整備事業に注力することを発表した。

 山田会長は、今年1月、阪急トラベルサポートに最高裁判所が下した「添乗員のみなし労働は認められない」という判決結果を紹介し、「これにより労働時間管理が大きく変わってくる」と述べた。また、「労働者派遣法の改正が厚生労働省で検討されており、恐らく次の通常国会に提出されるだろう」とし、総会後の会員懇談会でこれらに関する会員からの意見や要望を聞いたことを報告した。

 三橋滋子専務理事は、今年度事業の説明のなかで、労働時間管理に触れ「労働時間は派遣先の旅行会社にきちんと管理してもらわなければならないことを説得していく」とし、「判決で添乗労働について始業、終業の考えが明記されたので、これをもとに実態とすり合わせながら協会統一のものを作らなければならない」と語った。一方、明確な時間管理が進むことで、これまで日当が出ていた仕事が2―3時間と計算され、結果として賃金が減少してしまうことが懸念されるが、「旅行会社はトライアルとして8時間分を支払うという考えを示してくれている」と述べた。

1級認定バッジ
1級認定バッジ

 このほか、今年度は人材育成事業のなかでインバウンドの添乗業務へも対応していく。初めて専用のカリキュラムを作成し、2020年の東京五輪時の対応を目指す。また、添乗員のモチベーションアップのための事業では、1996年から設置している「添乗員能力資格認定制度」の普及のため、2013年度に作成した1級認定バッジをこのほど、総合と国内合わせた700人の1級保持者に配布。これまで以上に普及啓発に取り組む。さらに、若年層へ広く添乗業務の魅力を発信するため、フェイスブックを活用した広報活動にも力を入れる。

最上級バス2台導入、24席の「ピアニシモⅢ」(はとバス)

ピアニシモⅢ
ピアニシモⅢ

 はとバス(金子正一郎社長)は4月、最上級バス「ピアニシモⅢ」を2台導入し、日帰りや宿泊コースのグレードの高いコースで運行する。

 「ピアニシモⅢ」は外観が目を引く。同社のイメージとして定着している黄色から、高級イメージの漆黒のカラーリングに変更。ボディサイドには日本伝統の水引をモチーフとした曲線(ゴールド、プラチナ)を施した。

 内装はベージュと木目を合わせたデザインで段差のないフラットなフロア。座席は総革張りのオリジナルシートで優しい座り心地。リクライニングはもちろんフットレスも付いた独立型3列シート。総座席数も24席に減らしゆとりを確保した。座席横に付く通路灯は、はばたく「はと」をデザインしたLED内蔵型のレリーフ式シェードを通して、足元をやわらかく照らす。全座席に100ボルトのコンセントも設置した。最後尾にある化粧室は床とカウンターをダーク色で統一、手すりに照明を内蔵し、年配の人も安心して利用できる。

 オーディオシステムは独自に開発した無線を導入。帰りの車内で貸し出すオーディオ受信機で4つのチャンネル(テレビ・ラジオ・CD2種)が楽しめる。このほか快適な車内を保つため、高濃度のプラズマイオンで空気を清浄する除菌イオン発生装置も備えた。

 安全面では3点式シートベルトを全座席に設置したほか、タイヤのパンクやバーストを未然に防止することに役立つタイヤ空気圧モニタリングシステムを採用した。

 なお、同社では「ピアニシモⅢ」と同時に36人乗り化粧室付きの「レガート」も導入した。レガートにも全座席に100ボルトコンセントが付く。

日光街道で広域連携、現地調査や商品検討実施(日光街道観光推進連絡会)

1日目のスタートは起点・日本橋から
1日目のスタートは起点・日本橋から

 日光街道観光推進連絡会はこのほど、観光庁が募集した「将来的な商品化に向けた観光資源磨きのモデル調査業務」の事業として、広域連携をテーマにした「日光歴史街道江戸から近代日本への旅」を企画した。日光街道は、東京都・日本橋を起点に栃木県・日光まで結ぶ江戸時代の五街道のひとつ。同会はこれまで数回にわたる現地目利き調査と商品検討会議を行っており、3月11―12日には関係者を含めたモデルツアーを行った。
【丁田 徹也】

 同連絡会に所属するのは日本観光振興協会と日光街道起点の東京都中央区商工観光課、中央区観光協会、中継地点として埼玉県越谷市と越谷市観光協会、終着地点として日光市観光部と日光地区観光協会連合会と日光東照宮。さらに東武鉄道とクラブツーリズム(CT)、ソフトバンクテレコム(SBTM)が関連事業者として所属する。

 モデルツアーではSBTMが開発中の日光ナビアプリ(5月リリース予定)を現地でテストをするなど、企業との連携を確認した。一方、各市区と観光協会は地域との連携でツアーをサポートした。また、目利きとして日本観光振興協会の総合調査研究所から丁野朗所長をはじめ、研究員らが同行した。

 ツアー1日目は東京都中央区の日本橋にある街道起点からスタート。ビルの間にある街道跡を辿り、隣接する歴史遺産を見物した。越谷市に入ると「くわい饅頭」や「鴨ネギそば」など越谷の名産物を利用した料理を堪能しながらの街道ツアーとなった。日光到着後には活動報告会を実施し、これまでの活動を総括したほか、参加自治体の増強、ツアーの維持や管理、自立など今後の課題についても討議した。2日目は徳川家にテーマを絞り、東照宮や近隣の寺社で徳川家の歴史を追ったほか、日光山麓の造り酒屋など地場産業にも立ち寄った。

活動報告会のようす
活動報告会のようす
「鴨ネギそば」
「鴨ネギそば」

 同事業は、旅行商品造成を手さぐりで行っている地域の現状に対して、国が将来的な商品化に向けた取り組みを実証し、商品化への方向性を示すための検証を行うというもの。3月13日には東京都内で、同事業の取り組み事例として日本観光振興協会総合調査研究所の研究調査部長・楡木慎一氏が登壇し、「新たな連携関係の構築による商品化の試み」と題し発表した。

日光東照宮内の五重塔を巫女が案内
日光東照宮内の五重塔を巫女が案内

ジャカルタ事務所開設、14カ所目の海外事務所(JNTO)

石崎雄久所長
石崎雄久所長

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)は3月20日、インドネシアのジャカルタ市内に「ジャカルタ事務所」を開設した。同事務所はJNTOとして14カ所目の海外事務所となる。

 インドネシア市場はASEAN最大の人口を有し、13年の訪日外客数は前年比34・8%増の13万6797人と急成長中。同事務所は、インドネシアや周辺地域での訪日旅行促進をはかるため、(1)訪日旅行の市場分析とマーケティング(2)日本向けツアーの現地旅行会社による企画・販売の促進(3)現地メディアを通じた広報活動(4)旅行業界・消費者への情報発信(5)国際会議など(MICE)の誘致・開催支援――などを行っていく。

 職員は石崎雄久所長と伊東亮次長のほか、今後現地職員を3人ほど採用予定。

電話:(62)21(252)0742
ホームページ=http://www.jnto.or.id/

【4月22日】東伊豆温泉旅館、都内で就職ガイダンス開催

 静岡県の東伊豆町商工会は4月22日、東京都立産業貿易センター浜松町館で「東伊豆温泉旅館合同企業ガイダンス」を開く。旅館だけが集まり合同企業説明会を行うのは全国初の取り組み。

 参加企業は、稲取赤尾ホテル海諷廊、いなとり荘、稲取東海ホテル湯苑、稲取銀水荘、食べるお宿浜の湯、望水、奈良偲の里玉翠、熱川館、熱川大和館、熱川プリンスホテル、つるや吉祥亭。11時30分から各企業ブースにて説明会を、12時15分からは旅館の仕事をテーマにした基調講演を行う。

 主催する東伊豆町商工会の担当者は「首都圏の方に東伊豆の旅館を就職先としてアピールしたい。今後は取り組みを、伊豆エリア全体に広げていければ」と話す。

 参加希望者は東伊豆町商工会ホームページ(http://www.jibasan.info)から申し込みのこと。
当日参加も受け付ける。

 問い合わせ=TEL:0557(95)2167。

宿泊業の倒産数2番目、東日本大震災、阪神の4.4倍に(東京商工リサーチ)

東京商工リサーチまとめ
 東京商工リサーチによると、3月7日現在、東日本大震災関連倒産は1402件。1995年の阪神・淡路大震災関連倒産が3年間で314件だったことと比較して4・4倍まで膨らんでいる。東日本大震災関連の倒産件数を産業別にみると、宿泊業を中心としたサービス業が355件と最多となった。より細分化した業種別でも、宿泊業(77件)は総合工事業(80件)に次いで2番目に多く、震災の影響を大きく受けている。

 震災から3年が経つが、東日本大震災関連倒産の負債累計は1兆4943億8400万円に達し、阪神・淡路大震災の負債累計2146億600万円の6・9倍となった。

 阪神・淡路大震災関連倒産の被害型では、工場や施設、機械、人的被害を受けた「直接型」が3年間で170件(構成比54・1%)と過半数を占める一方、「間接型」は144件(同45・8%)だった。一方、東日本大震災は「直接型」は110件(同7・8%)に対し、「間接型」は1292件(同92・1%)。これは、取引先・仕入先の被災による販路縮小や製品・原材料・資材の入手不足、受注キャンセルなどが大きく影響したことがわかる。

 また、阪神・淡路大震災では3年間で、23都府県で関連倒産が発生し、このうち近畿地区が全体の86・9%、兵庫県だけで70・7%を占めたが、東日本大震災では、島根県と沖縄県を除く45都道府県で関連倒産が発生しており、被害が全国規模に拡大した。都道府県別の倒産件数では、宮城県が全体の41・1%を占め、最も高かった。次いで岩手県が33・1%、福島県が21・8%、山形県が13・7%、青森県が12・3%と続く。

 産業別の倒産件数をみると、阪神・淡路大震災で最も多かったのは製造業の112件。次いで卸売業が88件、サービス業他が52件の順。これに対し、東日本大震災では関連倒産があらゆる産業に飛び火し、なかでも宿泊業・飲食業などを含むサービス業他が355件で最多となった。製造業330件、卸売業251件、建設業186件、小売業131件と続く。業種別倒産に占める東日本大震災関連倒産の構成比を見ると、宿泊業が21・4%でトップとなった。

 東京商工リサーチは「阪神・淡路大震災関連倒産は震災から3年で収束が鮮明となったが、東日本大震災は緩やかな収束傾向を辿っているが、しばらく時間がかかるとみられる」と分析している。

まちづくり ― 利己的でなく教養あるリーダーに

 都道府県の知事や市町村の首長が観光PRのトップセールスを行うことが近年増えている。「自分たちのまちの魅力を知ってほしい」という真摯な気持ちが、取材側にもストレートに伝わることが多く、その熱意にほだされて、旅行先として足を運ぶことも実際によくある。これは何も首長に限らず、観光行政の一担当者も同じ。熱を込めて語られる「まちの魅力」についつい引き込まれ、いつのまにかその土地のファンになっていることもたくさんあった。

 いまや観光振興は国、そして多くの地域にとって重要な施策の柱となっている。けれど、国や地方自治体のリーダーを決める選挙では「観光立国」や「観光による地域活性化」を公約に掲げ力強く訴えても、あまり票にはつながらない。選挙で焦点となるのは、身近でより切実な問題であり、観光振興のように短期間で結果が見えるものでない事業を一生懸命訴えたところで、よほどの場合でない限り、地域住民の心に響くものではない。また、選挙では地元の大企業や、有力企業の組織票が、企業の意向に沿った特定の人に流れる傾向もあり、難しい。

 観光やまちづくりを考えるうえでは、建築や美術、音楽、文学、歴史といったありとあらゆる分野の教養が必要である。理想はビジネス的なセンスを持ちながら、これら教養を十分に備えた知性ある人がリーダーとなり、まちづくりの長期的なビジョンを示すことである。

 地域活性化や、観光による地域振興が議題に上がると、有効な取り組みとして最初に出てくる案は、「眠っている観光資源の掘り起こし」などがある。これとセットのように、「でも、うちには誇れるものはないし……」という否定的な回答が現れる。そんなことは絶対にないのだが、もし、誇れるものが簡単に見つからないのであれば、「これだけはやらない」という抑制の方向により大きな力を注いではどうだろう。

 長閑な田園風景には誰の目にも不似合いな大きな工場や倉庫、マンションなどは作らない方がいい。しかし、財政的な面から見ると、大きな産業を持たぬ過疎地域は、都市部の「負」の部分を請け負わなければならない事情もあるかもしれない。たとえ受け入れるにしても、デザインについては地域にマッチするように求めることは、目立たなくても、とても大切なことである。一方、人気観光地には大手チェーン店や不動産会社の食指が動き、魔の手が伸びる。

 自社の利益を最優先する経営者と、街並みや風景の調和に理解の深い経営者との違いがどこにあるか。それは、やはり教養であり、知性である。インバウンド1千万人を突破したグローバル化の時代には、外国人観光客の眼にも、日本の観光地のありのままの姿が晒される。利己的な企業経営者や、教養がまったく感じられない首長が主体となったまちづくりばかりではあまりに味気ないではないか。

 美味しいお米、美味しい魚介類、美味しい山の幸、美味しい果実、美味しい日本酒やワイン、美しい田園風景、美しい市街地の街路樹や花、美しい漁村。これら地域の宝は脆く、壊れやすい。美味しいレストランや、心落ち着く温泉、癒しの宿なども同じく、儚い。これら小さなまちの宝物が、一部の利己的、無教養な人の利益のために、台無しにならないことを願う。

(編集長・増田 剛)

No.366 ヤフー!トラベル - 手数料無料で直販へ参入

ヤフー!トラベル
手数料無料で直販へ参入

 ヤフーはこのほど、宿泊施設と直接契約を結び「ヤフー!トラベル」に施設情報を掲載する直販ビジネスへ参入することを発表した。10%程度の手数料を取る宿泊予約サイトが多いなか、同サイトはシステム利用料や成約手数料などを無料に設定。トラベルやeコマースなどショッピング事業のトップである小澤隆生ヤフー執行役員ショッピングカンパニー長に、直販ビジネス参入の経緯やサービス内容、今後の展望などについてうかがった。

【伊集院 悟】

 
 
 
観光業界の活性化へ、収益は事業の多様性で

 ――「ヤフー!トラベル」のこれまでについて教えてください。

 「ヤフー!トラベル」は1997年にスタートしました。リスティング広告がメインのサービスで、取り扱いは旅行と出張手配の2本柱。旅行エージェントが作ったプランを掲載し、掲載料や成約による成約手数料をもらっています。

 立ち上げ当時は、消費者や業界に対して一定の存在感を示せていたかもしれませんが、だんだんと薄れてしまい、サービス価値が下がってきていたので、何とかしなければいけないという状況でした。

 そんななか、一昨年にヤフーの経営陣が変わり、メイン事業である強みの広告ビジネスのテコ入れを実施。広告ビジネスのさらなる強化が一段落したあと、昨年10月には“eコマース革命”と題して、弱かったショッピングの改革に乗り出しました。「ヤフー!ショッピング」や「ヤフオク!」のストア出店料を無料にし、「売り手が摩擦係数ゼロで商品を売れる世界」実現へ一歩を踏み出しました。

 また、インターネット予約においても“予約革命”を起こすため、売り手とユーザー双方の利便性の飛躍的向上を狙う「ヤフー!予約」をスタート。第1弾としてサービス利用料を無料にした飲食店予約サービスを開始しました。今回の宿泊予約事業の新戦略はこの流れを受けたものとなります。

 

※ 詳細は本紙1538号または3月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。