おもてなし経営研究所 福岡と東京でセミナー おもてなしで「創客」

2021年12月26日(日)配信

熱気に包まれたもてなしセミナー

 おもてなし経営研究所(代表=西川丈次・観光ビジネスコンサルタンツ社長)は12月8日に、福岡県福岡市内で「第17回おもてなしセミナー」を開いた。

 リアルのセミナーは約1年ぶりで、20人が参加。会場は熱気に包まれた。また、翌日には東京都内でも開催した。

 西川氏は、ホテル・旅館やレストラン、タクシー、バス、観光地などでの体験を元にしたホスピタリティ実践論「もてなし上手」を旅行新聞に連載中で、セミナーで実体験した感動サービスから、自ら考えて行動する「おもてなし考動」を分かりやすく伝授した。

 とくに、コロナ禍で全国的に企業経営が厳しい状況のなか、これから生かせる実践事例も紹介した。

 ホテル接客では「正しいおもてなし」について説明。「お客様に喜んでもらうだけでなく、企業経営に結びつくリピーターを作り出す『創客』が大事」と話し、「おもてなし経営の重要性」を訴えた。

 事例紹介では、東京のレストラン・カシータで「お客様が仲間を連れてきてくれた」ことや、空港の靴磨きコーナーで、「いつも有難うございます」と声を掛けられる「いつも」の言葉に感動した実例を伝えた。

 さらに、東京のホテルで「こんな時代にようこそおいでいただきました」という心にしみた言葉も紹介した。

 良いサービス、体験を生かして「人の力を最大化してほしい」と力を込めた。

【特集No.599】2022年 新春アンケート 省エネで業績向上と脱炭素へ

2021年12月25日(土) 配信

 COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が昨年10~11月に、英国・グラスゴーで開催された。脱炭素社会の実現に向け、 世界が一体となって動き始めた。2022年は原油の価格も高騰しているため、省エネへの取り組みがより一層必要となるだろう。これを受けて、本社では全国の主要旅館・ホテルに省エネの実施状況や効果についてアンケートを実施。48軒の有効回答を得た。そのなかで、66・7%(32軒)が省エネに取り組み、なかでも「節水」により、コストを削減する事例が最多となった。併せて、防災・減災への取り組みも聞いた。

【編集部】

浴場の省エネ対策は9割超 LED化、太陽光パネルなどの節電も

 宿泊施設における光熱費の節約などコスト削減は、業績の向上に貢献し、事業や雇用の維持にもつながる。

 アンケートでは最初に、省エネの実施状況を尋ねたところ、「はい」と答えた宿は66・7%(32軒)、「いいえ」が33・3%(16軒)と、7割近くが何らかの省エネに取り組んでいることが分かった。

 「はい」と答えた宿のうち、最も多かった具体的な対策は、「節水」で30・4%(14軒)。具体的には「節水シャワーヘッド」や「トイレの水の節約」などが挙がった。

 LED化や熱交換、太陽光パネルの設置なども複数回答を得た。

 また、省エネ対策を実施している場所として浴場を挙げた宿は、対策を行う宿のうち約93・8%(30軒)と最も多かった。

 具体的な効果として、一の坊グループのゆと森倶楽部(宮城県・蔵王町)は廃熱利用システムを導入し、廃棄する温泉の熱で大浴場のシャワーなどで使用する水を加温し、「重油の年間使用量の17・4%に当たる2万5千リットルを減らし、約160万円を節約。二酸化炭素排出量は68㌧を削減した」(ゆと森倶楽部)。

 同県の補助金も活用し、12年掛かる購入費用の支払い期間を、6年ほどに短縮できる見込みだ。

 このほか、「高温の源泉熱で水を温めて、シャワーで利用している」と熱交換を実施している宿は、静岡県や岩手県の大規模旅館など10軒。このうち、長崎県の中規模旅館では、「ガスと重油の燃料代を年間で57%削っている」という。

 エコキュートなどの熱交換器で、「光熱費を40%減らすことができた」(中規模旅館・長野県)と、源泉の熱に拘らない省エネの実例も挙がっている。

 大分県の大規模旅館は「冷房を電気化したことで、重油を39万6千㍑削減した」と実績も。北海道にある大規模旅館は「エネルギー効率の高い小型多管式貫流ボイラーの導入で25%重油を節減できた」と回答している。費用についても「1年の稼働で回収できた」と誇る。

 さらに、「温泉を洗い場で使用している」(中規模旅館・群馬県)宿もある。

 最も回答数の多かった節水では、山梨県の中規模ホテルが「節水シャワーヘッドを活用し、大浴場で水の使用量を約20~30%減らした」と強調する。

 また、「井戸水を使用して水道の使用量を抑えている」(大規模旅館・栃木県)と山間部にある特徴を生かしている宿もあった。

 太陽光パネルについては、鹿児島県の大規模ホテルが「2020年度には、発電で余剰となった5万4588㌔㍗を売った」と新たな売上を確保している事例もある。

 LED化(10軒)も節水に次いで多かった。……

【全文は、本紙1857号または1月7日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(132)「いつも」の言葉に想いを載せて 目の前へ想いを寄せる

2021年12月25日(土) 配信

 

 空港で靴を磨いてもらおうと、久しぶりに靴磨きコーナーを訪ねました。

 「お願いします」と言うと、笑顔で「どうぞお掛け下さい」。この短い会話のやり取りが好きで、よく利用していました。

 コロナ禍で約1年半利用できず、その場所もスタッフも変わっていました。利用方法も券売機でチケットを購入するようになりましたが、とりあえず2脚あるイスの1つに座り、靴磨きが始まりました。

 時間は約10分ですが、黙々と靴を磨く姿に「最近はどうですか」と声も掛けられません。

 ところが、疲れた靴を美しく磨き上げると「いつもありがとうございます」と突然お礼を言われました。

 そこから、「前に磨いてもらっていましたか」と会話が始まったのです。

 その人のことは覚えていませんでしたが、「いつも」の言葉が大変うれしく感じられ、一生懸命に靴を磨く姿にも好感が持てました。

 話を聞くと、彼の先輩が過去に私の靴を磨いたようです。

 「印象的な色の靴で、黒と白のクリームしかないなか、先輩が磨き方をご相談しているのを隣で聞いていました」。

 「お客様の靴が同じ色でしたので、ついお声を掛けてしまいました。間違っていたら申し訳ありません」と話してくれました。

 「いつも」は短い言葉ですが、強い力を持っています。たくさんのお客様のなかから、いいお客を「個」と捉え、馴染み客と認識していることを伝える。お客様にとっては、本当にうれしい言葉です。

 しかも、自分の目の前のお客様だけではなく、靴磨きコーナーを利用するほかのスタッフのお客様にも関心を寄せる姿勢、チームで利用客に喜んでもらおうとする行動とそのすべて
に、感動した瞬間でした。

 ただ、「いつも」は誰にでも使えるものではありません。初めての利用者には、言われて逆に不快に感じる人もいるかもしれません。

 しかし、恐れず言ってみても、「間違っていたら申し訳ありません」と続ければ大丈夫です。

 さらに、「いつも」という魔法の言葉を発するまでの対応が良ければ、不快に思う人は少なくなります。

 恐れて言わないことが、リピーターにはとても残念な選択なのです。

 この言葉を発するために、日ごろから利用いただくお客様に寄せる関心を高める意味でも、積極的な声掛けをする準備にも力を入れましょう。

 苦情を恐れずに、目の前にいるお客様に想いを寄せて、勇気を持って考動することこそが感動を生むおもてなしなのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

MICE再開に向け協議 関係者集め課題確認へ(観光庁)

2021年12月24日(金) 配信

冒頭あいさつをする観光庁の金子知裕国際観光部長

 観光庁は12月23日(木)、第1回「安全なMICEの再開と発展に向けた関係者協議会」を開いた。新型コロナの感染拡大で、従来通りの開催が困難になったMICEの安全な再開に向け、関係者や関係省庁がそれぞれ課題の整理を行った。

 観光庁の金子知裕国際観光部長は冒頭あいさつで、「新型コロナの影響により、昨年から国際会議や展示会、インセンティブ旅行は中止・延期・オンラインでの開催という扱いだった。諸外国を見れば、ワクチン接種が進んだことによりMICEの再開に向けた動きが活発化してきた。日本も来たる再開のときに遅れることなく動き出せるよう、関係者の皆様から現状をお聞きし、課題解決に向け協議を行っていく」と述べた。

 取りまとめの時期については、「オミクロン株の影響や、水際対策のあり方を見定めながら今後の方向性を決めるため時期は未定」とした。

 

 第1回出席者は次の各氏。

 

浦﨑秀行(東京観光財団常務理事)

遠藤克己(国際観光振興機構理事、日本コングレス・コンベンション・ビューロー事務局⾧)

岸光右(札幌国際プラザ理事⾧)

小山正彦(日本ホテル協会常任理事)

武内紀子(日本コンベンション協会代表理事)

西本恵子(国際会議協会国際アカデミア委員・アジアパシフィック部会担当理事)

馬鳥誠(横浜国際平和会議場取締役営業推進部⾧)

堀正人(日本展示会協会理事)

矢ケ崎紀子(東京女子大学現代教養学部国際社会学科教授)

山本牧子(MPI Japan Chapter名誉会⾧)

金子知裕(観光庁国際観光部⾧)

桃井謙祐(参事官・MICE担当)

俣野敏道(経済産業省商務・サービスグループクールジャパン政策課⾧)

小林万里子(文部科学省大臣官房国際課⾧)

神奈川大学、産官学民で需要回復 プラットフォーム開始

2021年12月24日(金) 配信

(左から)中瀬幸子社長、横澤勉副学長、兼子良夫学長、小池恭一専務理事

 神奈川大学(兼子良夫学長)は9月、自治体や外郭団体、企業とSDGsの達成に向けた連携協定「神大パートナーシップ」を締結している。その第1弾として、産学官が一体となって、コロナ禍で落ち込んだ神奈川県・横浜の観光需要の回復をはかる「観光プラットフォーム」をスタート。12月15日(水)現在、横浜グランドインターコンチネンタルホテルや横浜高速鉄道、横浜観光コンベンション・ビューロー、AIなどを開発するAvintonジャパンなど25者が参画している。

 兼子学長は12月15日に開いた発表会で「SDGsの実現に取り組むことは、持続可能な社会を創生する人材の育成につながり、本学の理念『教育は人を造るにあり』と符号する」と説明した。

 公的機関の立場からは、横浜コンベンション・ビューローの小池恭一専務理事が「ビジネスの観点をはじめ、若い人の感覚を知ることができる」と参画する意義を話した。

 また、Avintonジャパンの中瀬幸子社長「(同プラットフォームは)会社のサービスの新しいニーズを知ることができる」と語った。

 第1弾に観光を選択したことについては、国際日本学部国際文化交流学科観光文化コースを中心に、来年4月開設予定の建築学部や工学部などがあることに触れたうえで、「多様な教員及び学生の参加が見込める」(横沢勉副学長)と述べた。

 具体的な取り組みとして横浜観光コンベンション・ビューローとAvintonジャパン、工学部経営工学科の高野倉雅人ゼミは、観光客に選ばれる街づくりや情報発信の在り方を考察することを目標に、ビッグデータやAIなどを活用し、観光データを収集、分析、可視化できるシステムを構築している。

 同プラットフォームは成功した場合、地方創生をサポートするため、仕組みを地方に紹介する予定だ。

新潟県観光協会 「佐渡島の金山」もPR 大阪市で商談会開く

2021年12月24日(金)配信

商談会のようす

 新潟県観光協会は11月30日、大阪市内のホテルで関西圏の旅行会社や交通事業者、マスコミなどを集め、観光商談会を開いた。新潟県をはじめ、佐渡市や上越市、妙高市、弥彦村、新潟市など県内各自治体の担当者ら約60人が来阪し、それぞれ冬から来期に向けた観光素材をアピールした。

 新潟県観光協会の早福亮局長は「インバウンドは、なかなか先が見えないが、国内は確実に戻り始めている。我われとしては、できることから着実にやっていくというスタンスで今後も取り組んでいく。2023年度末予定の北陸新幹線福井・敦賀延伸や、25年の大阪・関西万博開幕など楽しい話題も控えている。皆さんと力を合わせ、新潟県の観光振興に努めていきたい」とあいさつした。

 新潟県内の新型コロナウイルス感染者数は、8月中旬の798人(1週間累計)をピークに減少傾向にあり、10月15日には県独自の警報を解除。現在は感染者数がゼロや数人程度で推移している。

 県内旅行者については、コロナ禍前の19年は、年間で約1100万人の宿泊者が訪れたが、20年は大幅に減少。21年は、20年よりは回復傾向にあるが、19年と比べると、まだ6割程度にとどまっている。

 早福局長は「新潟県観光協会大阪観光センターでも、旅行商品の造成支援や情報発信に取り組んでいる。ぜひ、送客を」と呼び掛けた。

 会場では、23年の世界文化遺産登録を目指す「佐渡島の金山」についても、その歴史や普遍的価値、見どころなどが紹介された。

1月から工場夜景 クルーズをリニューアル 距離を伸ばし大師運河まで

2021年12月24日(金) 配信

幻想的な工場夜景

 ポートサービス(神奈川県横浜市)はこのほど、「京浜工場夜景とみなとみらいクルーズ」のリニューアルを発表した。

 2022年1月8日からは「Kawasaki 超 工場夜景 クルーズ」として運航する。使用するのは今年10月23日から運航を開始した新型シーバス「SEABASS ACE 」。従来のシーバスよりも速力が上がったことでコースを約5㌔、同コースの見どころでもある大師運河まで延長した。

 大師運河は浮島を挟んで反対側に羽田空港があり、同空港から離陸する飛行機と工場夜景を一緒に楽しむことができる。

フレアスタッグが見れることも

 山下公園を出発し、みなとみらいの夜景から、徐々に明かりが少なくなり、暗闇に浮かび数々のタンクや煙突、フレアスタックなどが織りなす幻想的な風景に様変わりする光景を楽しめる同クルーズ。

 90分のクルーズ中は「東亜石油」や「JERA横浜火力発電所」などさまざまな工場についてガイドが案内する。

 また、「シーバス エース」は、従来のシーバスにない開放的なルーフトップデッキを設けていることも特徴の1つで、デッキからは360度夜を見渡すことができる。

 運航日は、毎週金曜、土曜、日曜と祝日。所要時間は90分で、午後7時に山下公園観光船乗り場を出発する。これに加え2月までは、午後5時10分発の便も運航する。

「観光革命」地球規模の構造的変化(242) 暮らしと命の輝く国

2021年12月23日(木) 配信

 「1年の計は元旦にあり」と言われるが、もう少し長い「近未来の計」を考えることも重要である。実は高齢化率(65歳以上の比率)で見ると、日本は既に「ダントツの世界一」だ。1990年の高齢化率は12・1%だったが、2021年は29・1%、40年には35・3%と推計されている。21年の第2位はイタリアで23・6%、続いてポルトガル23・1%、フィンランド23・0%の順だ。

 一方で生産年齢(15~64歳)人口は1995年をピークに減少し続けており、2015年に7728万人で、40年には約6000万人と推計されている。要するに高齢者は今後も増え続けるが、生産年齢人口は減り続けるために安倍政権の下では「人生100年時代」が強調され、高齢者も働けるかぎり働き続けることが奨励された。現に04年以降、高齢の就業者が17年連続で増え続けており、20年には過去最多の906万人になっている。

 日本は「世界一の長寿国」ではあるが、長生きすることによって本当に高齢者が幸せに暮らせているかというと必ずしもそうではない。コロナ禍のなかで高齢者と密接に関わるエッセンシャルワーカーに対する国民の意識が高まった。エッセンシャルワーカーとは人間の生命や暮らしを守るのに欠かせない「必要不可欠の仕事を担う人々」を意味している。

 具体的には医療・介護・保育従事者、生活必需品を扱う店員、物流を担う人々、公共交通機関の従事者、生活廃棄物を回収するゴミ収集員など。コロナ禍を通して、いかに為政者が「観光立国」と叫んでも、市井に生きる人々は先ず自分たちの日々の暮らしや命に直結する諸課題の解決が最優先と感じている。

 小泉政権・安倍政権・菅政権が推進してきたグローバル化と観光国富論に立脚する「観光の量的拡大」を意図したインバウンド観光立国政策はもはや現実的ではない。ポストコロナの日本では「観光の質的向上」を意図したバランスのとれた観光立国政策への転換が必要になる。各地域の民産官学の協働によって地域資源の持続可能な活用をはかり、地域主導による自律的観光の推進が不可欠だ。

 今後の日本は厳しい少子高齢化を視野に入れて、ポストコロナに相応しい「暮らしと命の輝く国づくり、地域づくり、人そだて」を目指すべきであろう。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

クラツー、テレ東子会社と連携 地域活性化の新モデルに

2021年12月23日(水)配信

左からクラブツーリズムの酒井博社長、テレビ東京ダイレクトの遠藤孝一社長

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)は12月22日(水)、テレビ東京グループでコマース事業を手掛けるテレビ東京ダイレクト(遠藤孝一社長、東京都港区)と地域活性化事業などにおける連携協定を結んだ。持続的に地域の潜在価値を発掘する新たな地域共創プロジェクトとして、共同で新しい地域活性化のモデルづくりをはかる。

 具体的には、クラブツーリズムの地域ネットワークと連携して地域情報を収集。2022年1月からBSテレ東の番組「都会を出て暮らそうよ BEYOND TOKYO」を活用し、地域の魅力を掘り下げて紹介する。同番組で観光情報などの地域紹介に留めず、放送内容と連動した地域へのツアー情報も告知する。また、実際に地域を訪れるツアーを販売。地域と連動した商品も開発し、通販で販売する。

 さらに、同番組を活用してさまざまな地域プロジェクトを発足させていく。長期滞在型のツアーや地域のファンづくりを目的にしたツアーの開発、フードロス問題の解消につながる特産品の開発・販売などの地域事業を推進していく。

 クラブツーリズムの酒井社長は同日の記者会見で、同社は「シニアをメインターゲットにした旅行事業が中心。集客力やツアー・イベントの企画力は、地方自治体や各地域から高い評価を受けている。今回の地域との共創事業の強みになり得る」と強調。「我われの取り組み自体が地域の観光発展につながり、将来的にはその地域が観光産業で自立していくことを目指す活動にしたい」と意気込んだ。

「都会を出て暮らそうよ」出演者の中村雅俊さんらからビデオメッセージもあった

 一方のテレビ東京ダイレクトは来春ごろ、購入型クラウドファンディングのプラットフォームを立ち上げると発表した。放送メディアの強みであるPR力を生かし、番組を通じて商品の購入希望者を募る。商品は地域に根差した伝統ある生産・製造者やスタートアップ企業と手を組み、クラウドファンディングを活用して新たな商品開発を進めていく方針を伝えた。

アニメツーリズム協会、アニメ聖地88発表 トキワ荘なども加わる

2021年12月23日(木) 配信

受賞した各自治体の関係者ら

 アニメツーリズム協会(富野由悠季会長)は12月20日(月)、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2022年版)」を発表した。新しい聖地に埼玉県蕨市の「さよなら私のクラマー」のほか、施設として「豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム」(東京都)など15カ所が加わった。今年は、作品の舞台・モデルとして116カ所、施設・イベントに26カ所が選出されている。

 投票は、世界中のアニメファンを対象に2021年6月21日(月)~11月30日(火)まで、Webで実施。全世界から約4万票が集まった。これらの結果から、著作権者やアニメ聖地の地方自治体、観光協会などと協議し、決定した。

 同日に東京都内で開かれた発表会で、アニメツーリズム協会の角川歴彦理事長は「日本アニメの人気が高まっている」とし、「(同聖地を通じて)日本の存在感を世界に広めていけるよう協力してほしい」と呼び掛けた。

 来賓として参加した観光庁の大野達観光地域振興部長は、「訪日外国人観光客の需要回復が見込めないなか、アニメをきっかけに地域を訪問した人がリピーターになり、国内旅行を活性化してほしい」と期待を寄せた。