【濃飛バス】昔懐かしいボンネットバスで行く、飛騨高山里山巡りツアーを実施 

2022年6月28日(火)配信

高山市内各地域の里山を約1時間30分かけて巡る

 濃飛バス(水野敏秀社長、岐阜県高山市)は、2022年7月1日(金)から、ボンネットバスを使用した飛騨高山の里山巡りツアーを実施する。

 観光庁の「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」を活用した。観光客や地元住民に飛騨高山の新たな魅力を再発見してもらう事を目的に、実証運行する。高山濃飛バスセンターを発着で、高山市内各地域の里山を約1時間30分かけて巡る。

 使用するボンネットバスは、1967(昭和42)年に製造されたもので、現役で走る姿を見られる大変貴重な機会だ。独特のエンジン音や木造の床板など、ボンネットバスならではの懐かしい気分を味わいながら、ゆっくりとのどかな里山の風景を車窓から楽しむことができる。

昔懐かしいボンネットバスで行く、飛騨高山里山巡りツアー

出発日と主な行先:
  7月 1日(金)~10日(日) 八軒町、漆垣内町、西之一色町方面
  7月22日(金)~31日(日) 国府町方面
  8月19日(金)~28日(日) 丹生川町方面
  9月16日(金)~25日(日) 朝日町方面
 10月14日(金)~23日(日) 一之宮町、久々野町方面
 11月  4日(金)~13日(日) 清見町方面
モニター料金:おとな・こども 1100円(参加後にアンケート回答要)
定員:毎回15人限定(予約制)
行程:
 【午前便】高山バスセンター(午前9:30)=里山巡り=高山バスセンター(午前10:50)※7月1日(金)は、特急ひだ号新型車両の到着に合わせて、午前便は10:45に出発
 【午後便】高山バスセンター(午後1:30)=里山巡り=高山バスセンター(午後2:50)
写真タイム:各コース、到着後約20分バスを展示する

〈旬刊旅行新聞6月21日・7月1日合併号コラム〉旅先の魅力的な店――発見の喜びは移動距離に正比例する

2022年6月28日(火) 配信

 観光庁の和田浩一長官は「全国を対象とした観光需要喚起策」(全国旅行支援)を、7月前半にもスタートすることを発表した。夏休みを前に、新たなキャンペーンが展開されることは、観光業界にとっては歓迎すべきことだ。

 

 訪日外国人旅行者も6月10日から添乗員付きパッケージツアーとして受け入れを開始した。わずかだが以前に比べて、外国人観光客を目にする機会が増えてきたように思う。出張で利用する新幹線の混雑ぶりもコロナ前に近づいている。

 

 6月は総会シーズンだった。今年はリアルでの総会がほとんどで、本紙紙面も「3年ぶりにリアル開催」の見出しが躍る。日本旅館協会や日本温泉協会の総会では懇親パーティーも開かれ、「ああ、コロナ前はこんなだったな」と忘れかけていた記憶が戻ってきた。7月7日には3年ぶりに第31回全国女将サミット2022長野が開催される予定だ。少しずつ以前の生活に回復していく過程にあることを感じる。

 

 

 しかし、このような明るさが見え始めた状況のなかで、若干だが観光業界において危惧するところがある。

 

 先日、とある観光地に出掛けた。日帰り旅行だったので、昼食はとても大事だ。ネットで調べ、地元の鳥を使った親子丼を食べようと、期待に胸を膨らませ目当ての店に入った。だが、出てきた親子丼のごはんに、夢は潰えた。炊き具合はとてもひどく、お粥のようにドロドロだった。

 

 「観光地の丼はリスクが高い」という格言を忘れていたわけではない。最近、食堂選びで幸運が続いたせいで、心の中に針の穴程度の驕りと隙が生まれていただけだ。しかし、観光地の食堂は、旅行者のわずかな隙を決して見逃してはくれない。

 

 何と言えばいいのか、つまり親子丼を売りにした「プロの店」でありながら、最も大事で基本的なごはんの炊き方を失敗したこと。そしてそれをお客に出したこと。リピーターに支えられる食堂ではおそらくあり得ないことだ。「一度訪れたらおそらく当分再訪しないだろう」という、観光地ゆえの、甘い考え方が根底にあるのだろう。

 

 

 観光地を訪れることが生業の身の私も、1人の旅行者として何度も失敗を繰り返してきた。昼食で1時間半ほど待たされて不味い蕎麦が出てきたり、高すぎる料金に戸惑ったり。

 

 全国各地の観光地にも、多くの旅行者が訪れ始めていることだろう。日常的に訪れてくれるお客にはやらない低品質なサービスを、一期一会の旅行者相手に提供する場面を想像すると、「観光産業の社会的地位向上」をいくら唱えても、社会がたやすく認めてくれない理由の1つでもあると、残念に思う。

 

 

 このような安易な考えを持つ店はごく一部であり、東京の評判高い店を凌ぐ、味やおもてなしをしている店はたくさんある。そのような魅力的な店を見つけたときの喜びの大きさは、移動距離と正比例する。

 

 旅先で美味しかった店はすべて覚えている。だから、次に訪れる機会があったときには、万難を排して再訪する。私が訪れるような店であるから、いわゆる“一流店”ではない。地味で、小さい。遠くて簡単には訪れることはできないが、「相変わらず美味しかった」と思える瞬間のために、胸の中にあり続ける。

 

(編集長・増田 剛)

【名阪近鉄バス】岐阜県海津市・輪之内町と安八を結ぶリレーバス運行 名古屋行き高速バス「にしみのライナー」に接続 

2022年6月28日(火)配信

運行車両(イメージ)中型路線バス車両

 名阪近鉄バス(田端英明社長、愛知県名古屋市)は2022年7月1日(金)から、岐阜県海津市(かいづし)・安八郡輪之内町(あんぱちぐんわのうちちょう)と安八郡安八町を結び、高速バス「にしみのライナー(名古屋行き)」に接続する「にしみのライナーリレーバス」を運行する。

 リレーバスの運行は、海津平田支所からお千代保稲荷(ちよほいなり)、ザ・ビッグ輪之内店を経由し、にしみのライナー「安八」停留所までを結ぶルート。「安八」停留所では全便がにしみのライナー(名古屋駅行き)に接続し、海津から名古屋までを最短65分で結ぶ(乗り換え時間含む)。

 海津平田支所では利用者無料駐車場を完備し、通勤・通学に便利なパーク&ライドとして利用できる。リレーバス区間(海津平田支所、お千代保稲荷、ザ・ビッグ輪之内店)から名古屋駅までの運賃は、おとな片道1100円(リレーバス区間~安八270円、安八~名古屋駅830円は別々での運賃支払い)。回数券や定期券も発売する。

【特集No.613】「ピンクリボンのお宿」シンポin和倉 誰もが温泉を楽しめる環境へ

2022年6月28日(火) 配信 

 

 乳がん体験者が安心して温泉旅行できる環境を作るピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は5月30日(月)、石川県・和倉温泉の加賀屋グループ・あえの風で「第8回ピンクリボンのお宿シンポジウムin和倉」を開いた。コロナ禍で延期が続き、実に3年ぶりの開催。キャンサー・ソリューションズ登録講師の松井亜矢子さんの基調講演や、歌手の麻倉未稀さんの体験談、加賀屋仕入用度課の指江香里さんによる活動報告のほか、ピンクリボン活動見学が初めて行われた。

【馬場 遥】

 

3年ぶりにシンポ開く 来賓・茶谷市長らが登壇

 

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(畠ひで子会長)は2012年7月10日に発足し、昨年に設立10周年を迎えた。会員数は、設立当初50件だったが、5月30日(月)現在は宿泊施設が100軒、旅館組合・女将会が5軒、企業が17社の計122会員が加入している。

 また、同会が毎年10月に発行する「ピンクリボンのお宿冊子」では、ネットワークに加入する宿の紹介や、貸切風呂、露天風呂付き客室、大浴場洗い場の間仕切りの有無などのお風呂情報を掲載する。加えて、貸切風呂の無料利用や、ウェルカムドリンクなどのお得なサービスが受けられるクーポンも付く。昨年10月には冊子を10万部作成・発行して、会員や病院、患者会を通じて乳がん患者・体験者に届けている。

 シンポジウムには、ピンクリボンのお宿ネットワークの旅館、企業・団体会員と、地元七尾市、石川県内の旅館、観光協会、行政、患者会ら約70人が参加した。講演後はあえの風のユニバーサルルーム見学や、加賀屋のピンクリボン取り組み見学ツアーも催された。参加者が客室や温泉、脱衣所、売店などを実際に視察し、知見を深めた。

 畠会長は、「新型コロナの影響で観光業界も厳しい状況に陥るなか、大半の会員は継続して活動を続けてくださっている」と振り返った。「本来ならば第8回シンポジウムは一昨年に開催する予定だったが、3年ぶりにようやく8回目を迎えることができた。本日学んだことを、今後の宿の受入態勢や取り組みなどに生かしていただければ幸い」と期待を述べた。

 地元の来賓として、茶谷義隆七尾市市長、土橋順一石川県観光戦略推進部観光企画課担当課長、庄田正一石川県観光連盟理事長、多田邦彦和倉温泉観光協会会長、小田絵里香和倉温泉旅館協同組合女将の会会長が出席。

 茶谷市長は「乳がんの方は、体の傷と心の傷の両方を抱えてしまう。和倉温泉は傷の治療に良い泉質。温泉に浸かるとき、患者さんの気持ちのハードルが低くなり快く入ってもらえるように、周りの方の気付きと理解を深めていくことが必要」と強調した。

 土橋課長は、石川県がん対策推進計画やがん対策推進条例などに基づいた予防・治療・対策推進の3つの柱を掲げ、「悩みや不安を抱えた患者や家族への支援を行っている」と紹介した。県民割を使った石川県内の旅行にも触れ、「県民割が6月末に終了した後、対象を全国にまで拡大した旅行補助事業を考えている。ご家族と一緒に、ぜひ石川に訪れていただければ」と期待を語った。…

【全文は、本紙1873号または7月5日(火)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

東京都旅行業協会、団体旅行喚起へ貸切バス補助要請

2022年6月27日(月) 配信

6月24日に開かれた会場のようす

 東京都旅行業協会(村山吉三郎会長、700会員)は6月24日(金)、東京都内で2022年度通常総会を開いた。今年度は、団体旅行を喚起するための貸切バス補助金を行政に要請するほか、東京都が実施するDXによる旅行事業者レベルアップ応援事業に協力し、会員にデジタル技術の導入を促進する。

 村山会長は旅行業が昨年、コロナ禍で大きな打撃を受けたことを振り返り、「東京都などに要望書を提出した。そのなかで決まった都民割と県民割の全国版を生かし、経営を安定させてほしい」と求めた。

村山吉三郎会長

 来賓として出席した東京都の築田真由美観光部長は、東京都が今年2月、観光産業に対する今後の施策「PRIME観光都市・東京 東京都観光産業振興実行プラン」をまとめたことを報告。「コロナ禍前に戻るだけでなく、デジタル化や3密回避などを推進し、観光産業が一層持続的に成長することを支える」と決意を述べた。

築田真由美観光部長

 東京都旅行業協会協定会員連盟の児島博司会長は「会員施設を紹介するカタログを発行した。写真を活用してイメージを掴みやすいように仕上げたので、送客につなげてほしい」と呼び掛けた。

児島博司会長

 ㈱全旅の中間幹夫社長は団体旅行の先行きが見通せないことから、新たな事業の柱として、訪日市場の富裕層の誘客支援などを行う考えを示した。

中間幹夫社長

「提言!これからの日本観光」 観光(情報)と対価

2022年6月26日(日) 配信

 コロナ禍で自粛させられていた観光も少しずつ復活してきたが、依然再蔓延の危険が指摘され、復活の勢いは今一の感がある。

 コロナ警戒態勢下の「観光」として「密」を回避できる観光が望ましいが、それには比較的少人数ずつで観光することができる工場や工房の見学体験などを中心とする「産業観光」が、ふさわしいように思う。愛知万国博を機に「産業観光」が提唱されて20年余りが経過し、工場見学が、かなりの箇所で進められてきた。

 しかし、工場見学はそれまで企業のPRないし、地域社会への説明責任などという目的から進められてきた経緯があった。

 このため、無料での公開がほとんどであった。従って、見学者が増えてくると案内者(安全上工場見学はその都度、人数を限定して案内者をつける必要がある)の人件費、見学客への資料作成費などの出費が増えたことで、見学を制限したり、中止せざるを得ないなど、持続性に難点が生じるケースも増加してきた。

 そこで、地域全体としては観光(見学)客から経済効果を得ている(宿泊費、会費、土産購入など)ので収益を地域でプールして、工場側にも配分できるように実行委員会などで工夫するところが出てきた。最近、三重県の自動車部品メーカーが、都市近郊に近代的大工場(設備の近代化のほか従業員の勤務環境や、その名も先進工場見学者の動線確保などにも留意)を建設した。

 そして、それを機に工場への見学客をより積極的に受け入れている。しかも工場内に「人材育成部」なる組織を立ち上げた。即ち見学(観光)客を対象に、その工場の詳細はもとより、社会経済的な役割についての講習会(外国人や学生、新社会人のための特別講座も)を開くなど学習観光のニーズに応えるプログラムを用意した。そして、この講座受講料込みの工場見学料を設定して、見学者を迎えた。

 将来産業人を目指そうとしている人、新鋭近代工場を見学したい人、深く地域の「光」を味わいたい人などの来場が増え、資金循環が成立した。珍しい産業学習観光として、外国からの産業観光客も増えたと聞いている。

 そこでは、情報に対価を得ることによって、より価値のある情報を提供する好循環を含む資金循環(ビジネスモデル)を、実現することができた。

 ビジネスモデルが構築しにくいとされた「産業観光」が、学習という付加価値を付することによって、地域にとって収益性のある観光にまで、発展し得ることを実証している。

 このように、情報は対価を要するものという慣行を定着させれば、「産業観光」はさらに持続性の高い観光に発展・普及できるのではないだろうか。

 コロナ禍後の観光復活をそのための動機として、さまざまな観光ビジネスモデルを開発できればと思う。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

JR四国 観光列車など紹介 旅行会社に説明会開く

2022年6年25日(土) 配信

 四国旅客鉄道(JR四国、西牧世博社長)は5月23日、大阪市内で旅行会社や報道機関に商品説明会を行った。

 長戸正二常務鉄道事業本部長は「今年5月の大型連休の瀬戸大橋線の利用は前年比202%と大幅に増加したが、(コロナ前の)2018年度比べると74%にとどまっている。ウィズコロナの時代のなか、取り組みをブラッシュアップさせ、四国の魅力アップにつなげていきたい」とあいさつした。

 商品説明では同社と四国4県が最新情報を紹介した。

 愛媛県を走る観光列車「伊予灘ものがたり」は4月、従前の2両から3両編成にリニューアルし運行を始めた。新たに2―8人で1車両を貸切利用できる3号車「フィオーレスイート」を設けた。人数分の運賃・特急料金のほか、グリーン個室料金2万8千円が必要。食事は別途3千円から。

 高知県は濵田省司知事がプレゼンテーションを行い、従来から評価が高い食の魅力と食にまつわる人々に焦点を当てた22年度の新キャンペーンをアピールした。

 徳島県は町のゴミリサイクル率が80%を超え持続可能な観光実践が評価される上勝町の「ゼロ・ウェイストセンター」や線路と道路の両方を走る「DNV(デュアルモードビークル)」を紹介した。

 香川県は今年開催の現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2022」を説明した。瀬戸内海の12の島などに計214作品を展示する。春会期は22万8千人の来場者数があったという。8月5日から9月4日まで夏会期、9月29日から11月6日まで秋会期をそれぞれ実施する。

 愛媛県は、12月25日まで開催中の「えひめ南予きずな博」をアピールした。南予9市町を舞台に120の体験プログラムを実施し、自然豊かな南予定の魅力を発信する。

埼玉県旅行業協会、コロナでも安全確保 約90人が集い、総会開く

2022年6月24日(金) 配信

会員など約90人が集まった

 埼玉県旅行業協会(浅子和世会長、242会員)は6月23日(木)、清水園(さいたま市)で2022年度通常総会を開いた。今年度は利用客が旅ナカで新型コロナウイルスに感染した際などに、見舞金が支払われる全旅協旅行災害補償制度の利用促進をはかり、さらなる安全・安心の確保に努める。会員など約90人が集った。

 浅子会長は、県民割の全国版など需要喚起策に大きな期待を寄せながら、情報共有の必要性を語った。20年に実施されたGo Toトラベルキャンペーンで参画登録を行っていない旅行会社が県民割を旅行商品に適用する際、事務局への申請が必要であることから、「早めに準備してほしい」と求めた。

浅子和世会長

 また、コロナ禍による経営の厳しさを労いつつ、「役員一同努力する」と決意を示した。感染防止の観点から集まることが難しいため、「忌憚のない意見を言ってほしい」と呼び掛けた。

 来賓として出席した全国旅行業協会(ANTA)の駒井輝男副会長は、ANTAの二階俊博会長に会う予定を報告し、「要望があれば話してほしい」と語った。

駒井輝男副会長

 ㈱全旅の中間幹夫社長は今年5月に、広報誌「ZENRYO」を創刊したことをアピール。「会員のためになる情報として、収入に対する不安の払拭につながる記事も掲載している」と閲覧を促した。

 

中間幹夫社長

 総会後には、懇親会が開催され、盛会裏に終わった。

旅行業の存在意義を確立 5項目の提言をまとめる(旅行業再生戦略会議)

2022年6月24日(金) 配信

旅行業再生戦略会議は6月22日(水)、旅行業再生のための提言書をまとめた

 旅行業再生戦略会議(髙橋広行議長)は6月22日(水)のJATA総会同日、旅行業再生のための提言書をまとめた。3本の柱として、旅行業の存在意義の確立と周知、「旅行ビジネスを極める」「新たなビジネス領域への進出」両面での進化の追求、前例にとらわれることのない協調と共創の実践──を基本方針に掲げた。

 この方針に従い、①業界のブランディング・広報の強化②協調・共創③デジタル原則④人財確保・育成・活用⑤レジリエンス──の5項目を提言。持続可能な旅行業ビジネスモデルの構築と、「高収益構造への転換」の実現を目指す。

 提言に則ったJATAとしての対応策として、サステナブルツーリズムへの対応や、SDGs表彰制度の設立、新しいツーリズム領域への挑戦を支援するべく、事業展開への支援体制を整備する。

 旅行業界における会社間マッチング支援のため、事業・基盤・人的連携を推進する体制の整備について検討を進める。

 デジタル分野において、観光DXに関する勉強会を観光庁と合同で設置する。政府デジタル化方針と連動し、観光DXの推進や、各種関係法令などの整備について関係省庁と連携をはかる。

 次世代の人財育成については、若手・中堅リーダー研修の実施や、旅行業OB・OGの経験や知識を活用した働き方の提案として、ホームエージェント型旅行業者代理業者の展開を具体的に検討する。

 コロナ禍中における政府への提言や業界の実態などをまとめて対応記録を作成し、今後大災害が発生した際の初動に関わるフローを整理する。また、国内宿泊施設の情報を一元的に集約・共有するシステムの構築に向けた具体的な検討を行う。

 このほか、大災害時における政府や自治体などへの支援要請も適時対応していく。

 髙橋会長は「旅行業の社会的有用性を社会に伝えていく。ウィズコロナ・アフターコロナのニューノーマル社会、さらにSDGsへの取り組みが必要とされる世界で、旅行業のあるべき姿を目指す」と意気込んだ。会員各社へは、「提言内容を自社の立場に置き換えて、検討・実行していただくことが重要。旅行業を極め、新たなビジネス領域にチャレンジしてもらいたい」と要望した。

髙橋氏が会長再任に 旅行業再生とコンプラ遵守(JATA2022年度総会)

2022年6月24日(金) 配信 

左から原副会長、髙橋会長、小谷野副会長、酒井副会長

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長、1111会員)は6月22日(水)、東京都内で2022年度総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、髙橋会長(JTB取締役会長)が再選した。これからのツーリズムのあり方や、持続可能なビジネスモデルのあり様など、「旅行業再生」に向けた取り組みをはかる。また、協会・会員内でのコンプライアンス遵守を徹底する方針を示した。

 

 冒頭、髙橋会長は「行動制限のないGWを迎え、全国で賑わいが復活した。今年の4月にはJATA視察団をハワイと韓国へ派遣。訪日観光実証事業や水際対策の緩和もあったことから、海外・訪日旅行ともに期待が高まっている」と、業界の機運上昇に喜びの声を上げた。

 来賓で出席した観光庁の和田浩一長官は、「訪日客受入再開や、7月からの全国を対象とした観光需要喚起策(全国旅行支援)などで、観光業界にとって大きな転換点を迎えている。平時への回復に向けてさらに歩みを進めていかなければならない。関係団体・企業と意見交換をしながら、国内外との交流を活発化する取り組みを実施していく」と述べた。

 また、観光庁に対し髙橋会長は、7月前半から実施予定の全国旅行支援について、「可能な限り早い段階での実施の決定をいただきたい。とにかく分かりやすく、実効が上がるカタチでの取り計らいを」と要望した。

 これに加え、水際対策のさらなる緩和として、煩雑な入国手続きの見直しや入国者上限の撤廃など、G7並みの緩和措置を望んだ。

 髙橋会長は、「2つの課題が解決して初めて旅行業の復活再生の道が開かれる。アフターコロナにおいても日本の産業を支えるのは観光であると確信しているが、これまで通りにはいかない。この総会を反転攻勢の再出発点と位置づけ、会員の皆さんのより一層の奮起を期待する」とまとめた。

 また、2021年は雇用調整助成金やGo Toトラベル給付金の不正受給疑惑など、コンプライアンス問題が複数発生した。これを受けJATAでは、経営者向け研修やコンプライアンスへの取り組みの手引きの配布、eラーニング研修などを実施し、再発防止に努めたと報告。今期の役員改選において役員には、各社のコンプライアンス取り組み状況の調査と併せ、遵守する旨の誓約書の提出を求めた。

 髙橋会長は、「コンプライアンスはすべてに優先することを会員全員で強く認識することが求められる。不正行為で開かれる未来はないということを肝に銘じてほしい」と力を込めた。

 2022年度事業計画では、前述のコンプライアンス徹底や、国内需要喚起策として「笑う旅には福来たるキャンペーン」の実施による民間主体の需要喚起策にも注力する。海外旅行再開プロジェクトとして、「海外旅行再開宣言!」を7月15日(金)から始める。全国8カ所での街頭サンプリングや、新聞広告・ポスターの掲載、海外旅行・国際線航空券などの賞品が当たるツイッターハッシュタグキャンペーンなど、3方面から働きかけを行う。

 また、会員がアクセスしやすい環境のためHPを刷新する。4年ぶりに東京で開催するツーリズムEXPOジャパンでは、リアル×バーチャルによる発信力の拡大に挑戦する。このほか、国際往来再開に向けた活動、経営支援策の要望活動、提供価値の向上を目指し取り組みを行っていく。

 任期満了に伴う役員改選では、髙橋広行会長(JTB取締役会長)、小谷野悦光副会長(日本旅行社長)、原優二副会長(風の旅行社代表)、酒井淳副会長(阪急交通社社長)、志村格理事長、池畑孝治理事が再選された。また、新理事4人中2人が新任、ほか2人が運営役員からの昇任。運営役員では13人が新任となった。