atta破産 負債総額は1億3000万円(東京商工リサーチ)

2023年5月1日(月) 配信

attaは4月5日(水)、東京地裁から破産開始決定を受けた

 atta(春山佳久社長、東京都港区、資本金2億9801万円)は4月5日(水)、東京地裁から破産開始決定を受けた。東京商工リサーチによると、負債総額は約1億3000万円。

 同社は、宿泊予約の支援を行うWebサイト・アプリの開発と、運営を手掛けていた。リアルタイムビッグデータを活用した宿泊料金の予測と、予約サイト間の料金比較ができるサービスを提供していた。

 2022年春から、自社アプリから直接宿泊予約ができるサービスを始めた。しかし、システム構築に当たる人員の雇用などの先行投資に掛かる負担が経営を圧迫。今年に入り本社から退去していた。

宿の評価が良い都道府県 コロナ禍以降、愛媛・群馬・熊本がランクイン(トラスト・ユー調べ)

2023年5月1日(月) 配信 

2019年〜2022年、宿の評価が良い都道府県ランキング TOP10(トラスト・ユー調べ)

 トラスト・ユー(志和孝洋代表、東京都港区)はこのほど、「2019~2022年、宿の評価が良い都道府県ランキングTOP10」を発表した。同社クチコミデータベースから抽出した、日本国内の宿泊施設のクチコミスコアから、都道府県別の平均スコアをランキングにした。

 コロナ前の19年では、1位岐阜県、2位岩手県、3位奈良県、4位京都府、5位佐賀県──と、歴史のある人気観光地が上位に入っていた。

 20年以降になるとランキングに変化が見られ、愛媛・群馬・大分・熊本など自然豊かで日本有数の温泉地を有する県が上位にランクイン。群馬と熊本は、19~22年の4年間を通して10位以内にランクインした。一方で、京都は20年以降ランキング外となった。

 同社は、コロナ禍で人混みを避ける傾向が生まれたことにより、大都市や人気のリゾート地ではなく、「小規模でコンパクトな街や温泉街での宿泊体験の満足度が向上している」と分析した。

 また、マイクロツーリズムが増えた影響で、「自然豊かな場所にある広めの客室を有するような、比較的小規模なホテルや旅館に泊まり、より良いサービスを受けることが、満足度の高さに結び付いている」とした。

 志和代表は、「インターネットで簡単に料金比較ができるなかで、価格競争が繰り広げられてきました」とこれまでの宿泊施設の売り方を振り返えった。このうえで、「『品質を高めることで平均単価が上がる』というデータが示すように、品質を高めることで宿の評価を高め、最終的に売上を最大化できるのでは」とコメントしている。

展望施設「SHIBUYA SKY」にルーフトップバー「THE ROOF SHIBUYA SKY」開業 

2023年5月1日(月) 配信

絶景とともに、ソファやスタンディングテーブルで「音楽」とドリンクやスナックを楽しめる

 渋谷スクランブルスクエア(東京都渋谷区)内の14階・45階・46階・屋上に位置する展望施設「SHIBUYA SKY」に4月28日(金)、ルーフトップバー「THE ROOF SHIBUYA SKY」が開業した。

 高さ229㍍に位置する屋上展望空間「SKY STAGE」から東京タワー、東京スカイツリー®などの東京を代表する高層ビル群を一望できる絶景とともに、ソファ席やスタンディングテーブルで「音楽」とドリンクやスナックを楽しめる。座席数は予約制のソファ30席、スタンディングテーブル8席。

オリジナルビールを2種類用意

 ドリンクメニューでは、渋谷区代々木の都市型ブルワリー「Y.Y.G. Brewery」と開発したオリジナルビールを2種類提供する。そのうちの1種類、マジックアワーをビールで表現した「MAGIC HOUR-Pale Ale-」は、バタフライピーを使用した紫色のビールが、レモン果汁を垂らすことで夕日に染まる空のような茜色に変化する。

 ザ・ルーフ 渋谷スカイは11月30日(木)の期間限定営業。営業時間は午後4~10時で、8月は午後5時からとなる。

金沢市でホテル運営「SLACKTIDE」破産 負債は約2億5000万円(帝国データバンク調べ)

2023年5月1日(月) 配信

 ホテル運営会社「SLACKTIDE」(細川博史社長、石川県金沢市)は3月31日(金)付で事業を停止して事後処理を弁護士に一任、自己破産申請の準備に入った。帝国データバンクによると、負債は約2億5000万円。

 同社は2015(平成27)年2月に設立。北陸新幹線開業後に増加する観光宿泊客の需要取り込みへ、16年10月に金沢市の繁華街「竪町ストリート」においてドミトリータイプの宿泊施設「Kaname HOSTEL」を開業。並行して一般ホテルの開発も進め、17年4月には9階建てのホテル「KANAME INN TATEMACHI」を新築オープンしていた。

 インバウンド需要の取り込みを積極的に進め、外国人宿泊客が全体の60―70%を占めるなど、相応の宿泊客数を確保していた。カフェバーの運営も行うほか、「町おこし事業」として町家の改装など内装工事も手掛け、20年3月期には年間収入高約2億円を確保していた。

 しかし、新型コロナの影響により、主力のインバウンド需要が落ち込んだうえ、緊急事態宣言などの行動制限が発出されていたなか、宿泊施設は休業期間を設けながらの運営となり、業績は大幅に悪化していた。このため、カフェバーや、「Kaname HOSTEL」を段階的に廃止して事業規模を縮小する一方、コロナ融資を活用してしのいでいた。近時は電力をはじめ、施設維持費が膨らみ、自社でホテル運営を継続することは困難と判断。ホテル事業を売却して債務を圧縮するとともに、町おこし事業などをベースに事業再生を目指すスキームが進められていた。

 こうしたなか、今年2月20日付でホテル事業を他社へ売却したものの、思うような債務の圧縮には至らず、残った債務の償還見通しが立たないことから今回の事態となった。

 なお、同社が運営していたホテル「KANAME INN TATEMACHI」は、事業を買収した企業がホテル名称を変えず、4月1日(土)に運営を再開して営業を継続している。

22年の国内旅行消費額 87・2%増の17兆1929億円(観光庁)

2023年5月1日(月) 配信

観光庁はこのほど、22年の国内旅行消費額を発表した

 観光庁はこのほど、「旅行・観光消費動向調査」の2022年年間値(確報)を発表した。22年の旅行消費額は、前年比98・9%増の18兆7000億円だった。国内旅行消費額は、前年比87・2%増の17兆1929億円となった。このうち、宿泊旅行消費額は同96・7%増の13兆7559億円。日帰り旅行消費額が同56・9%増の3兆4370億円だった。

 日本人国内延べ旅行者数は、同55・8%増の4億1785億円。うち、宿泊旅行が同64・0%増の2億3247万人。日帰り旅行が同46・6%増の1億8539万人となった。

 日本人国内旅行の1人1回当たりの旅行単価は、同20・2%増の4万1146円となった。宿泊旅行は同20・0%増の5万9174円、日帰り旅行派同7・0%増の1万8540円となった。

HIS、沖縄・恩納村と那覇空港結ぶバス運行 レンタカー不足など受け

2023年5月1日(月) 配信

シャトルバスのイメージ

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)は7月1日(土)~9月30日(土)、沖縄・恩納村エリアのホテルと、那覇市内や空港を結ぶリゾートシャトルを運行する。レンタカーが不足していることを受けて、決めた。また運転免許を持っていない人などに旅行を促す。同バスは今年2月26日(日)~4月2日(日)にも走らせた。繁忙期となることから、再び運行する。

 今回は新たに、ホテル「ルネッサンスリゾートオキナワ」(恩納村)を停留所に加えた。リゾートシャトルとはほかに、沖縄美ら海水族館(本部町)や北谷美浜アメリカンビレッジ(北谷町)への観光バスも用意する。

 料金は無料から3200円。乗車には事前予約と同社の旅行商品への申し込みが必要となる。

tripla、コーポレートロゴ刷新 海外展開を視野に入れて

2023年5月1日(月) 配信

「鶴」をイメージしたロゴに刷新した

 宿泊施設向けITソリューションを展開するtripla(トリプラ、高橋和久CEO)は5月1日(月)、事業拡大に合わせてブランドイメージの発信を強化すべく、コーポレートロゴを刷新した。同日以降、順次使用を開始する。

 従来のロゴは、創業初期の中心サービスであったAIチャットボット(tripla Bot)を施したものをシンボルマークとしていた。そこで、常に時代の変化に順応してサービスを重層化している現状と、海外展開を目指した今後の事業拡大を視野に入れ、今回のデザイン刷新に至った。

 新しいロゴのデザインは、「自由に羽ばたく鳥のようにスムーズな旅を支援し、宿泊業界において日本を代表する会社を目指す」という思いを込め、「鶴」をイメージしていたという。従来のロゴのカラーであるピンクは、トリプラのカラーとして既に認知している宿泊施設の人も多いため、そのまま継承された。

 同社によると、今回のコーポレートロゴの刷新に伴い、今後一層の宿泊業界の課題を解決するサービスの拡張と日本国内外へのサービス展開を進めていくとした。

「100年フード」普及へ サミット開き交流深める (文化庁)

2023年5月1日(月) 配信 

丁野朗氏

 文化庁はこのほど、東京都内で100年フードサミットを開いた。会場では100年フードの認定を受けた団体の代表者らがそれぞれの郷土料理の魅力、歴史、普及と保存に向けた取り組みなどを紹介。今後の連携に向け、交流を深めた。

 文化庁は日本の多様な食文化の継承や振興への機運を醸成するため、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を100年フードと名付け、継承する取り組みを推進している。

 100年フード有識者委員会の座長で、日本観光振興協会総合研究所顧問の丁野朗氏は、「食の裏側にある物語が分かるとより面白くなる。認定された100年フードに関しては、色々なカタチでネットワークを構築していくことが大切になる」と今後の展開への考えを示した。

 当日は、丁野氏がファシリテーターを務める2つのパネルディスカッションが行われた。

 1つ目のパネルディスカッションでは、2022年度の有識者特別賞を受賞した山形県・日本一の芋煮会フェスティバル協議会の大場康平氏と、愛知県・設楽町観光協会の依田住久氏が登壇し、取り組みを説明した。

 大場氏は山形県の郷土料理である山形芋煮の特徴や芋煮会フェスティバルについて説明。依田氏は、設楽町が展開する五平餅プロモーションについて紹介した。

 2つ目のパネルディスカッションでは、100年フードサポーター企業・高校の先進事例が紹介された。登壇者は、津島六宝保存協会の田村寿一事務局長と同志社大学経済学部の太下義之教授、安来市観光振興課の安部航氏、島根県立情報科学高等学校の生徒、沖縄県・本部町観光協会の當山清博会長。情報科学高校の生徒は、地元で長年愛されている「清水羊羹」の魅力を発信するリーフレットを作成したことを報告した。

全国旅行支援、5月8日(月)から接種証明や陰性証明が確認不要に コロナ5類移行を受け(観光庁)

2023年5月1日(月) 配信 

5月8日(月)、全国旅行支援の利用条件が変更される

 政府は5月8日(月)から、全国旅行支援の利用条件を変更する。これまで新型コロナワクチンの接種歴や、陰性の検査結果を利用条件としていたところ、同日確認不要とすることを決めた。なお、支援利用には引き続き本人確認が必要となる。

 新型コロナは同日、2類感染症から5類相当へ引き下げられる。これに伴い、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が廃止されることとなった。

 また、コロナ禍で旅行をするときに基本的な感染対策の呼び掛けを行ってきた「新しい旅のエチケット」についても廃止される。以降は、個人・事業者が自主的な感染対策に取り組んでもらうこととした。

 観光庁ホームページでは、政府が発信する「基本的な感染対策の考え方」などの感染対策の情報提供を行っていく。

「観光人文学への遡航(34)」 秘密曼荼羅十住心論⑤絶対肯定の世界

2023年5月1日(月) 配信

 小乗仏教と比して大乗仏教の本質を表しているのが「空」の概念である。世の中はすべて空であるからこそ、所有欲も当然なくなるし、従って区別も差別も当然ない。金も地位もすべて実体はないのだから、羨むことも妬むこともない。

 

 ただ、空こそがすべてと感じてしまうと、虚空という言葉があるように虚無的になってしまう。第7住心の域に達した人は、空を理解すると同時に、いくら頑張っても、情熱的に生きても何も変わらないと冷めてしまうのである。

 

 大学教員にも多いタイプだが、メディアのコメンテーターのなかにも、世の中を冷めて見ることに格好良さを感じている人が目につく。そういう冷めた態度に知性を求めている需要があるから、そういう人たちがいかにも自分は世の中を俯瞰しているかの如く振る舞っているけれども、これは虚無主義である。本来の空はそのような悲観的、厭世的なものではなく、コヘレトの言葉を解説した小友牧師の言葉を借りると、「束の間」。人生は短いが、だからこそ、日常の小さな出来事さえもすべて生きる価値・意味があるのだと、コヘレトは逆説的に説いている。

 

 先日亡くなった音楽家の坂本龍一氏の愛した「芸術は長く、人生は短し」という言葉には、悲観的、厭世的な香りはまったく感じない。人生への大いなる讃歌を感じる。だからこそ、空は、決して虚しくはなく、束の間なのである。

 

 その境地を表しているのが、第8住心の「一道無為心」である。空は絶対否定ではなく、むしろ絶対肯定である。「一道」とは唯一絶対である仏の教えを指す。「無為」とは作為的なものがないということだ。空は清浄な世界だからこそ、作為的なものが一切ないという境地である。この世界を一つの大きな乗り物に例えて、その乗り物は仏の加護のもと、乗客皆が救われている状態を表している。すなわち、この住心は、すべてに仏性が宿されていることを悟る段階であり、宗派としては天台宗に相当する。

 

 しかし、ただ本性、すなわち生まれながらに持っている極めて清浄な世界が究極なのではない。現状にこそ究極の世界があると考えるのが、第9住心の「極無自性心」である。これが華厳宗の立場である。華厳宗といえば、奈良の大仏が象徴的である。奈良の大仏は、盧舎那・毘盧遮那と呼ばれ、これはサンスクリット語のヴァイローチャナの音訳であり、光明があまねく照らすという意味である。中国洛陽の龍門石窟にある大盧舎那仏を手本に作られたと言われている。

 

 華厳宗では、「初発心時、便成正覚」という言葉があるように、初めて発心したときにはもう仏の世界に入っているという境地である。涅槃の境地に至るには気の長くなるような修行の期間が必要といわれているけれど、華厳宗では、発心こそが重要なのだと説いているのである。

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。