アジア人のニーズと実態、インバウンドセミナー開く(AISO)

 NPO法人アセアンインバウンド観光振興会(AISO、理事長=王一仁・総合ワールドトラベル社長)は3月23日、東京都内で新インバウンドセミナー「アジア人訪日旅行者のニーズと実態」を開いた。今後発展が見込まれるアジア市場のインバウンドランドオペレーターがパネリストとして、実態と課題などを語った。

 王理事長は冒頭のあいさつで「AISOは2006年に10社が集まり発足。インバウンドのランドオペレーターとして、ガイド問題などで政府に提言なども行ってきた」とし、日本政府観光局の賛助団体であり、3月末には日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の会員に承認される予定と紹介した。

 基調講演はTIJ事務局長常任理事の柵木鬼美夫氏が「TIJのインバウンド市場における取り組み」を紹介した。

 アジアのインバウンド市場の実態を紹介するパネルディスカッションでは、ジェイテック部長の石井一夫氏、太陽トラベルゼネラルマネージャーの梅村文峰氏、総合ワールドトラベル社長の王一仁氏、BICO社長の李碩鎬氏が登壇。司会は、セミナーを共催するポータル・ジャパン代表取締役の村山慶輔氏が務めた。

 中国市場について、石井氏は「デパートや専門店で買うブランド品など日本人が提供するものに中国人は安心感を持っている。そのほか、神戸牛や松阪牛、フグ、カニなどグルメもブランドを好む。温泉イコール露天風呂のイメージで、日本庭園の佇まいに露天風呂があると喜ぶ」などと話した。

 台湾市場について、梅村氏は「リピーターが増えており、温泉、美食ばかりでは難しい」とし、奥尻島など台湾人がまだ行っていない日本や、台湾人の健康志向にマッチしたさらに深い内容のツアーの必要性を述べた。

 韓国市場について李氏は、「新宿に泊まり、原宿、表参道、青山、渋谷109と周り、恵比寿から代官山、自由ヶ丘まで行ってショッピングするという日本人の若者と同じようなシティーツアーが人気」と紹介した。

 香港市場について王氏は「香港人が世界で一番行きたい都市は札幌。ショッピング、温泉、カニ、雪遊びの4拍子がそろっている」と紹介。また、「都市ツアーも人気が高く、東京では新宿、大阪では心斎橋、梅田などの安いビジネスホテルに泊まって夜遅くまで遊ぶ」と話した。

今、旅行業の現場で起こっていること、JTB代表取締役会長・佐々木隆氏が語る

 観光庁が3月19日に開いた第5回観光人材育成のための産学官連携検討会議で、JTB代表取締役会長の佐々木隆氏が基調講演「観光産業が大学に期待すること」を行った。このなかで、佐々木氏は、JTBの経営者という立場を通して旅行業界が直面する課題や厳しさ、将来展望などを語った。概要を紹介する。

 私は8年前にJTBの社長に就任して6年間、JTBの経営をどういうふうに変えていくか悩んだときに、常に創業以来の営業実績の推移表を原点に考えた。会社創業以来、1991年まで一貫して右肩上がりで成長してきたが、それであるがゆえに、一度も前年実績を下回ることのない時代が40年近くも続いた会社組織の中でどのような現象が起こったか?

  私はピークの直前の89年から社長に就任する02年までの間、経営企画で利益計画を担当しており、つぶさに見てきた。

 91年をピークに、売上げが落ち始めたとき、「社内で誰か遊んでいる人間がいるのではないか?」という議論が最初に起こった。それから2―3年の間、営業本部長や支店長など営業の要職にあった人たちが追われていった時代だった。そして、ようやく会社が「どうも尋常ではないことが起こっているんじゃないか」と理解し始めた。

 そのころ、9・11やSARSといったツーリズム産業にとって致命的なことが幾つか起こった。9・11は、お客様を乗せた飛行機がテロによって自爆した。SARSは、発達した国際航空路線を通じて初めて伝染病が世界的に広がっていった。最初にパニックになったのは中国で発生したSARSがバンクーバーに飛び火したとき。

 今でこそ笑い話だが、当時ある企業経営者から「今誰も海外に社員を出しませんよ。もし、日本人の第1号SARS患者が自分の会社の社員から出たらどんな業種であっても製品や商品が売れなくなる」と言われたことがあった。また、「成田空港に行けばSARSにかかる」という風評被害も出た。

 そのような状況のなかで、02年に社長に就任してから色々と悩み、結果として会社を分社化し、従来の1社で営業していた体質を複数の会社の集合体にした。なぜ、そういうことを考えざるを得なかったか?

●情報格差が逆転

 ツーリズム産業は現在、大きな構造的、社会的な変化を受けている。なかでも「情報格差の逆転」ということがとても大きな影響を受けている。インターネットが進展する前は、売り手側の方が、買い手側よりも情報が倍以上あったからビジネスが成立していた。しかし、高度情報化社会に入って、この情報格差が急速に縮まった。つまり非対象性が崩壊し、現在は逆転している。これが現実にどのような状況を生み出すか。

 あるとき、名古屋の店舗にお客様が来て「犬山温泉に行きたい」といわれたので、こちらは自信を持ってエースの企画商品をおすすめした。するとお客様は首を捻って、「ネットで調べたその旅館の企画商品より(エースが)500円高いのはなぜか」と問われた。それを解明するために、店頭スタッフは自分たちのツアーを造成している部署と、旅館に直接電話で問い合わせた。それで1時間ほどカウンターで応対していたが、お客様はどうしても納得できずにお帰りになった。ただ、「1時間もスタッフに時間を使わせて申し訳なかった」と、犬山温泉まで行く特急券を買っていただいたが、実質的な収入は200―300円程度。こういうことが現場で実際に起こっている。そして今は、さらに激しいことが起こっている。

 大手旅行会社に共通していえることだが、旅館の宿泊券販売が急激に落ち込んでいる。これは情報格差が逆転しているからにほかならない。旅行者が1千円高速で動くケースが増え、デフレで近場の旅行をする。そうすると、旅行者はインターネットで得た旅館情報を直で選ぶ。この現象が大手旅行会社を直撃している。信じられない勢いで国内旅行の取り扱いが落ちている。

●「発」から「受け」への転換

 台湾のインバウンドは500万人ほど。このうち100万人が中国からの旅行者。受入側の台湾からみると、中国からのツアーはとても「リピーター化」するような料金ではない。日本でも問題となっているが、劣悪なツアーを提供しており、中国人旅行者が台湾に来てがっかりしていると悩んでいる。一方、中国の旅行会社は「台湾に行きたいという中流階級は6千万人いる。毎年100万人を台湾に送り込む現状の“リピーターゼロ”のビジネスでも60年もつ」と意に介さない。これが発側と受け側の考え方の大きな違い。ほとんどの旅行会社が「発」の考え方で成長してきた。しかし「受け側」に基軸を変えると、考え方を変えざるを得ない。

●ソフト産業の変革の難しさ

 JTBグループが「総合旅行業」から「交流文化産業」に変革する際、マスコミ各社に同じことを答えていた。「我われがもし製造業で、莫大な設備投資をした会社ならば、未来が過去に引きづられてしまい、その流れを変えるのは至難の技。しかし、幸いに我われは人間が付加価値を生み出すソフト産業であり、人間は環境に適応する能力が一番高いので大丈夫」と言い続けた。その後、現場を1年ほど回って気づいたのは、「製造業よりもソフト産業のほうが、変革が難しいのではないか」ということだった。製造業であれば、例えば自社の製造ラインがライバル企業のラインよりも劣っていた場合、万人の目に明らかだろう。完成した製品を見比べても一目瞭然であり、そのために改善していくエネルギーが生まれてくる。一方、ソフトは観光産業の皆さんなら日々教育の現場で感じていると思うが、人の心は可視化できない。本人たちが成功したと思っているパターンはなかなか変えられない。環境の変化が、本人の行動に変化を与えるための自覚への時間は、製造業よりもむしろソフト産業のほうが長いのではないかと感じた。

●本当のプロとは?

 分社化を決めた考え方の中で、私自身最も強く感じたのは、大きな組織から小さな組織に変えることによって、社員との距離を近くしようということ。つまり、1万人規模の企業の中の社員1人は、1万分の1の作業を分担しているという感覚が残る。しかし、100人規模の企業になれば、責任も意識も100倍大きくなる。そのように環境を大きく変えることでしか、人の心は変えられないと思った。それともう一つ。大企業には大多数のゼネラリストがいる一方で、相対的な専門家がいる。ところがこの専門家たちも世間の専門的な集団に比べたら、本当のプロではない。

 例えば、私は財務を長く担当してきたのでJTBの中では財務や経理のある程度の専門家である。しかし、自分が当時、もしJTBから出て他企業の経理部長、財務部長というポジションに応募したなら間違いなく落ちていただろうと思う。私は本当の意味での専門家ではないと、常に自分の中で思っていた。

 分社化によって、アマチュアの中のプロから、プロの中のプロになってほしいと考えた。例えば、JTBが1社体制のころの出版事業局は、ほとんどの社員が旅行業をやっているときに、出版という特殊な分野の事業をやっており、間違いなくアマチュアの中のプロだった。しかし、JTBパブリッシングとして分社化して、厳しい出版業界の中で成功するかどうか。それが本当の意味でプロの中のプロになれるかが問われる。

●グローバル化への立ち遅れ

 グローバル企業への進化をどこの企業も大きな目的としているが、我われも海外に100カ所近いネットワークを持ち、JTBもグローバル企業と思われていたが、実態は基本的には日本マーケット発のお客様を世界でお世話するだけのネットワークでしかなかった。これを切り替えなければならない。というのは、日本マーケットの成長よりも、中国、インド、ベトナムなどのマーケットの成長のほうが早いからだ。我われはグローバル企業としては残念ながら成功していない。最大の理由は30年にわたって100カ所の海外ネットワークを作り、海外での勤務を経験した社員が累計で1千人近くいるにも関わらず、パリなどその地域マーケット発のインバウンドにも取り組むことをやってこなかった。一朝一夕にはできないので、M&Aなどによって外部企業にJTBグループのネットワークを活用してもらい少しずつ成果も出て来ている。しかし、まだ投資した分の回収はほとんどできていない。

 その部分では、HISさんの一部はJTBを凌駕している。例えば、バンコクの支店では、HISさんは100人を超える規模だが、JTBは30人程度。HISさんの支店長は現地通貨で雇用契約しているか、それを承認した方だけを現地に派遣する。タイの通貨で利益を上げ、給料を払う。我われよりもラディカルで徹底している。

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 インターネットの世界で、高級旅館・ホテルのスイートルームなどを専門に扱う宿泊予約サイトとして「一休.com」がある。お客様が少ない時期に安い値段でインターネット上で展開してお客様の支持を集めている。私が社長時代に社員に言ったのは、「この分野は、JTBが最初に気が付いて、最初に展開して当たり前なんだ。なぜならば、我われは一番いいお客様と、一番いい宿と取引していると自負していたではないか」。しかし、それであるがゆえにホテルや旅館さんの悩みを聞いていなかった。

●10―20年後の理想のかたち

 JTBグループにおいても、経営者を育てることは極めて難しい。スタッフとしてとても有能であったとしても、すべての責任を負って、すべての決断する社長、取締役として相応しいか、どうしても微妙な差がある。JTBは10―20年後の理想的な姿として、グループ会社200社の社長経験者の中から、最も優秀な者が社長になるというかたちにしたい。現実に経営をしないと実力もわからないし、経験も積めない。幸いに、いまのグループ体制においては、JTBには社員がいないので、田川博己社長はJTB社員から後継者を選ぶことができない。グループ会社の経営者の中から優秀な経営者を選ぶしかなく、そのかたちが完成した場合、JTBグループから本当の意味での経営者が育ち、安定したものになるだろう。

●これからの観光産業に必要な人材とは

 経営人材を育てるという話になると、財務、会計の話がでてくる。財務は決算にいたるまで、会社を一人称で見られる唯一の機会。会社という組織の中で仕事をしていると、どうしても担当した一部分から全体を見てしまう。しかし、財務の数字だけは、唯一常に一人称。連結決算、単体決算であろうが、その数字が語っているのは、JTBであり、JTBグループ。大組織の中にいると、この視点はなかなか得られない。そのために財務は重要だと考える。財務の教育で最も実践的な研究は、各社の決算数値からそれぞれにメッセージを作らせることだと思う。その会社の現状、問題点、そこからどのように発展しようとしているのか、決算数値から読み取る。会計は、何百年にわたる簿記の歴史のなかからルールとして確立されてきたもの。世の中の仕事は、「なぜ?」と聞かれてわからない仕事は山ほどある。忙しくなると、「なぜ?」がわからなくて「どうして?」だけをやる。「なぜ?」ということをわかる努力をさせるためにも会計は非常に役に立つと思う。

 JTBが採用や人材育成のときに掲げているのが、「自律創造型人財」。今、お客様は多種多様なニーズを持っている。その多様化したお客様のニーズに対してこたえられる人物は、クリエイティブであり、自分で解決までの行動ができる人だと考える。

「もう一泊、もう一度」今年も宿泊CP(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は4月1日から「『もう一泊、もう一度』国内宿泊キャンペーン2010」を開始した。昨年に続く2回目で、今回は応募受付を来年の3月18日(3月1日チェックアウトまでの宿泊分)までに設定し、前回の6カ月から大幅に延長した。

 期間を延長したことで、宿泊券や旅行券が当たるコースの応募条件を前回の3泊から4泊に引き上げ、年間4泊の国内宿泊旅行を推進する。この「もう一泊、もう一度コース」は日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟の協力で、A賞として各宿のペア宿泊券を100組200人にプレゼント。このほか、B賞にJATA会員会社の旅行券3万円相当を50人に用意する。C賞は200人に全国各地の名産品が当たる。

 一方、1泊で応募できるコース「四季の彩りコース」も設定。2カ月ごとの4期に分けて各回100人、計400人に「日本の名産品」をプレゼントする。

 応募ハガキのフォームなど詳細は専用ホームページ( http://mou1paku.com/ )から。

名観新社長に神應(かんのう)氏

 名鉄観光サービスは3月24日、代表取締役社長に神應昭常務が昇格する人事を発表した。中尾勝洋社長は取締役相談役に就任する。

 神應 昭氏(かんのう・あきら)
1975年3月早稲田大学商学部卒業、4月名古屋鉄道入社。82年びわ湖バレイへ出向。90年名古谷鉄道関連事業部課長。93年名古屋空港ビルディングへ出向。98年総務部長、99年経営計画部長、2001年総務室総務部長兼計画部長、02年総務室副室長兼総務部長。05年3月名鉄観光サービスへ出向。06年取締役総務部長を経て、07年9月から常務取締役総務部長兼財務部・監査室・内部統制室担当。

会員のエコ事例を紹介、地域全体のイメージアップにも(日観連セミナー)

 日本観光旅館連盟は2月23日、東京国際ビッグサイトで開かれた国際ホテルレストランショーで、「『地球に優しい宿を目指して』~全国の実践事例と可能性~」と題し、セミナーを行った。日観連会員の旅館・ホテルの代表者4人が実践的事例を紹介した。

 基調講演は、旅行ジャーナリストで前旅行読売編集長の沓掛博光氏が登壇。沓掛氏は「宿は観光のメインステージ。1軒の宿のイメージが温泉地全体のイメージにつながる。エコは1軒の宿に留まらず、地域全体で取り組むことでエコ本来の目的に加え、地域の活性化と経済効果にも貢献する。日常的に取り組むことが大事」とアドバイスした。

 事例報告をしたのは、那須高原の宿山水閣(栃木県・那須温泉)の片岡孝夫社長、歴史の宿金具屋(長野県・渋温泉)の西山平四郎(八代目)代表取締役社長、ビレッジ美合館(香川県・美合温泉)の依斐恵美子常務、伴久ホテル(栃木県・湯西川温泉)の伴久一代表取締役社長。

 山水閣の片岡社長は、自館で取り組む木質ペレットボイラーの導入効果を紹介。取り組むきっかけとなったのは1988年、那須地域を襲った大水害の被害。異常気象は、地球温暖化などの影響が大きいと考え、地元の宿泊業者などが集まり、那須温泉地球温暖化対策地域協議会を設立。温泉排熱を利用した、石油代替エネルギーなどのスキームを柱に勉強会を開いている。

 そこでの知識を元に片岡社長は、自館に木質ペレットボイラーを導入。CO2換算で月4万トン、コスト換算で月45万円削減の導入効果があったという。また、CO2排出量を取引する、国内クレジット制度の活用で年間90万円の利益にもつながった。

 片岡社長は「導入するコスト回収が1番のテーマ。パートナー企業の重要性が大きい」と語った。パートナー企業として選んだのは温泉熱の効果的な利用を目指す、ネクスパ(東京都港区)。専門知識を持つ企業の協力で4千万円以上かかった導入費用の約半分は補助金の認定を受けた。「これがなければ踏み切れなかったが、結果的に導入してよかった。年間5―600万円のコスト削減を達成。3年6カ月ぐらいで投資回収できる見込み。地球環境に優しいは、お財布にも優しい」と語った。

中学生が東京で観光客誘致(塩原温泉)

 栃木県塩原温泉観光協会は3月17日、早春に向けた誘客キャンペーンを東京都内で行った。キャンペーンは地元の塩原中学校の総合学習の一環として、生徒らが観光地・塩原を売り込むもので毎年恒例の事業。今年で6回目。

 当日は昨年も実施した巣鴨商店街のほか、東京都庁前でも塩原中学校1年生、19人が各種観光パンフレットや生徒のメッセージとイラストを入れたティッシュペーパーを配った。また、巣鴨商店街では塩原のロゴ入りタオルやもみじ谷大吊橋を記したボールペン、ハンターマウンテンのキャラクターグッズなどが当たる抽選会も行った。

 櫻井巧也君は「初めての経験でパンフレットを渡す時に緊張しました。塩原は豊かな自然と温泉があり、都会では味わえない一時が過ごせます」と魅力を語った。

会員減少に歯止め、メリット発信が奏功(日本ホテル協会)

 日本ホテル協会(中村裕会長、236会員)は3月18日、東京都内のロイヤルパークホテルで2010年度春季通常総会を開き、今年度の事業運営の基本方針を「会員ホテルであることの魅力を増強すること」に置くことなどを決定した。

 中村会長は冒頭のあいさつで、NHK受信料のとりまとめや音楽著作物使用料割引などの会員メリット提供方策が功を奏し、会員数が増加に転じたことを報告。「14年にわたり会員の大幅減少が続いていたが、昨年は27ホテル、今年も6ホテルが入会した」と述べた。また、昨年は、観光庁が実施した香港と台湾の一般人を対象にした招待旅行「日本をもっと楽しもうキャンペーン」で、13の会員ホテルが客室を提供したことに触れ、「海外に紹介する絶好のチャンスだった」とし、「今後も各地でこのようなキャンペーンを開くことを要望したい」と語った。

 来賓の溝畑宏観光庁長官は日本のホテルサービスは海外での評価が高いことなどを語り、今後も訪日外客受け入れなどに一層の協力を要請した。  昨年度は、協会創設100周年の記念事業を実施したほか、人材育成事業にも注力した。

 今年度事業の重点は、将来に向けたキャリアプランを描くことができるような人材育成事業を推進するため、「ホテルマネジメント養成プログラム(MOP、HHP、HSM)」のさらなる改善・充実に努めるほか、「ホテルウェディングコーディネーター(HWC)」育成認定試験制度の認知度向上、推進をはかる。また、海外ラグジュアリーマーケットの誘致にも取り組む。さらに、会員の増強が最も重要な時期だと捉え、100周年再入会ウェルカムキャンペーン適用期間救済措置の周知と新会員勧誘活動を積極的に行う。

派遣法改正で冊子作成、待遇改善、人材育成に注力(TCSA)

 日本添乗サービス協会(TCSA、山田隆英会長、53会員)は3月23日、東京都内で2010年度通常総会を開き、決定事項などを発表した。

 冒頭、山田会長は「今年は昨年に比べれば、観光にとって明るい材料が多いので期待している」とあいさつ。「個人旅行やリピーターが増え、添乗員が同行しないツアーが増える他方で、高齢者の方の旅も増加し、必要とされる旅もある。添乗員の役割が変わることはない。我われは質の高い添乗員の提供に努めるため、人材育成に力を入れていく」と語った。一方、「問題は待遇改善。多くの添乗員は『あなたのお陰でいい旅ができた』という言葉を励みにしているが、少しでも処遇を良くするために協会として努力したい」と述べた。

 協会の取り組みは、三橋滋子専務理事が、昨年は中小企業庁の雇用促進事業として人材育成事業を受託し、全国5カ所で無料の講習会を開いたことや、登録型で派遣添乗を行うスタッフの社会保険について「就業日数が年間180日以上であれば加入」など協会としての考え方をまとめたガイダンスを作成し、会員会社に周知をはかったことなどを報告した。

 また、今年度は「業界倫理の確立及び、待遇・業務・環境改善のための活動」「添乗を専門職とする人たちのための人材育成事業」を柱に事業を進める。このなかで、三橋専務理事は重点項目として、「労働者派遣法の改正で現場の業務がどのように変わるか派遣先も理解できていないので、改正ポイントを明記した冊子を作り、添乗員が持ち歩いて理解を深めたい」と語った。さらに、添乗に係わる事故、トラブルなどへの対処方法・処理方法への対応やツアーコンダクター同行ツアーの需要喚起、研修事業の拡充などにも注力する。

ふるさとイベント大賞、最高賞の大賞は――、「しかりべつ湖コタン」

 地域活性化センターは第14回ふるさとイベント大賞の最高賞に当たる大賞(総務大臣表彰)に、凍りついた湖上に氷と雪で作った村を誕生させて楽しむ北海道鹿追町の「2009しかりべつ湖コタン」(第28回)を選んだ。ほかに優秀賞2件、奨励賞3件、選考委員特別賞1件がそれぞれ選出された。

 同賞は日本各地で行われている地域の魅力を高め、活力を生み出すイベントを表彰するもので、1996年度に地方自治法施行50周年を記念して設けられた。今回は全国から149イベントの応募があった。3月3日に東京都内で表彰式が行われた。

 「2009しかりべつ湖コタン」(然別湖コタン実行委員会・鹿追町主催)は、凍結した湖上に氷と雪だけで作った村「しかりべつ湖コタン」を開村するほか、氷上露天風呂やアイスチャペルなどを製作して遊ぶ、作る、体験するなど、参加者と自然との触れ合いの場を創出する。そしてイベントなどを通じて地域住民同士の協調や観光客との交流をはかっている。また、これまで冬期間の集客が課題となっていたが、イベントの実施に伴いホテルの通年営業が可能となるなど、地域に対する経済効果は大きいという。

 そのほかの受賞イベントは次の通り。

 【優秀賞】
KING KALAKAUA THE 〝MERRIE MONARCH〟伊香保ハワイアンフェスティバル(13回)=渋川市(群馬県渋川市)▽能登ふるさと博 灯りでつなぐ能登半島 輪島・千枚田あぜの万燈(2回)=「ほっと石川」観光キャンペーン実行委員会・輪島(石川県輪島市)

【奨励賞】
小称里=横須賀区祭典総代会(静岡県掛川市)▽ゆるキャラまつりin彦根~キグるミさみっと2009~=滋賀県彦根市▽鳩間島音楽祭(12回)=鳩間島音楽祭実行委員会=沖縄県竹富島

【選考委員特別賞】
日本海政令市にいがた 水と土の芸術祭2009(1回)=水と土の芸術祭実行委員会(新潟県新潟市)

JTBウェブ調査、99%が再度参加希望、現地発着型の旅行プラン

 JTBはこのほど、現地発着型(オプショナル)プランに関するウェブ調査を実施した。

 自然観察やスポーツ体験、伝統文化体験など、現地ならではの体験ができる「現地発着型の旅行プラン」は、ツアーのオプショナルプランとして販売されることが多く、人気を集めている。今回の調査で、国内旅行の現地発着型プランに参加したことがあると回答したのは26%。このうち、99%が再度参加したいと答え、満足度の高さが表れた。一方、参加未経験者の74%は今後「参加したい」と関心の高さが伺える結果となった。

 参加したプランを多かった順にあげると、(1)自然環境・自然動物などの観察(35%)(2)アウトドアスポーツ系の体験(21%)(3)陶芸や染め物などの伝統文化・芸能体験プラン(14%)(4)工場見学などの産業観光プラン(8%)(5)そば打ちなどの食事関連体験プラン(6%)――などとなり、参加しやすいプランへの参加率が高い傾向にある。

 参加した料金の価格帯は、「1千円以内」が6%、「1千―3千円」が25%、「3千―5千円」が30%、「5千―1万円」が28%、「1万円以上」が11%となった。

 「予算はいくらまで出せるか」では、3千円以上払うという回答が10ポイント増加しており、良いものであればある程度の金額を支払いたい、との期待も伺える。

 プランを知ったのは、「出かける前」が68%に対し「現地に着いてから」が31%。出かける前では、「旅行会社の店頭・パンフレット」が27%と最も多く、次いで「インターネット・携帯サイト」が25%で続く。現地では「プラン実施場所」が16%、「情報誌やチラシ、観光案内所」が14%。プランを申し込んだのは、「出かける前」が55%、「現地に着いてから」が44%だった。

 現地発着型プランの良いところについては、(1)その土地ならではのプランがある(33%)(2)個人では参加できないプランがある(24%)(3)知らなかった観光地を発見できる(16%)(4)思い立ってすぐ気軽に参加できる(13%)(5)比較的安価に参加できる(8%)⑥その土地の人と交流できる(4%)――などの意見があった。