地域限定の入会金決定、支部会費は現額を元に(ANTA)

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 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は12月17日、ホテルラフォーレ東京(品川区)で2012年度臨時総会を開き、「地域限定旅行業」の入会金を40万円、会費を2万円と決めた。施行日は13年4月1日。

 観光庁が12月14日に、営業所のある市町村と隣接市町村などの限定された区域で企画旅行、手配旅行などを行うことができる「地域限定旅行業」を創設したことを受け、ANTAは入会金と会費を決定した。第3種旅行業(入会金55万円、会費3万円)よりも取り扱いがより限定されるため、金額を抑えることにした。

 また、この日の臨時総会では一般社団法人移行後の協会支部会費に関しても議題に上がった。各支部によって会員数が異なり会員数に見合った事務局人員を確保する必要があることや、事務所借料の水準が各支部の所在地により異なることから、協会支部会費は、従来の支部会費を踏まえた金額に設定することが決まり、各支部により金額が異なることとなった。 支部会費は、本部会費との一括徴収の方向で検討を進めており、金額についてはこれからとなる。

 なお、理事の補充選任も行われ、四国地方協議会議長で高知県支部長の山中盛世氏(香北観光トラベル社長)が選ばれた。

「地域限定旅行業」創設、事前収受20%制限を撤廃(観光庁)

 観光庁は12月14日、以前から検討を進めていた「地域限定旅行業」の創設と、第3種旅行業者の募集型企画旅行においての事前収受金20%制限を撤廃する旅行業法施行規則の一部改定を公布した。施行は2013年4月1日。

 着地型旅行の商品提供促進のため、営業所の存する市町村とこれに隣接する市町村などの限定された区域についてのみ、企画旅行、手配旅行などを行うことができる旅行業の類型として「地域限定旅行業」を創設。営業保証金の供託額と基準資産額の最低額はともに100万円と、他の旅行業類型よりも引き下げ、旅行業への参入を容易化した。

 また、第3種旅行業者が募集型企画旅行を実施する場合の事前収受金を旅行代金の20%相当額以下と制限していたものを撤廃した。これにより2度収受する手間がなくなり、募集型企画旅行がより取り扱いやすくなる。

2013年新春対談 日本人の心のあり方

2013年新春対談
日本人の心のあり方

 2013年の本紙「新春対談」は、「朝日ジャーナル」編集長などを務めた国際派ジャーナリストの下村満子さんと、福島県のふくしま磐梯熱海温泉・四季彩一力女将の小口潔子さんが登場。下村さんは両親の故郷の福島県で、「命とは何か」「生きるとは何か」を学ぶ私塾「下村満子の生き方塾」を開いている。その塾生の1人でもある小口さんは、今夏に開催する第24回全国旅館おかみの集い運営委員長を務める。2人は福島への想いや日本人の心のあり方などについて語り合った。

【司会進行=旅行新聞新社編集長・増田 剛、構成=飯塚 小牧】

 

福島から世界へ発信

ジャーナリスト
下村 満子(しもむら・みつこ) さん

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第24回「全国旅館おかみの集い」運営委員長
小口 潔子(おぐち・きよこ) さん

 

※ 詳細は本紙1489号または1月18日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

2013年がスタート ― 国民が日本を良くする

 2013年という新しい年を迎えるにあたり、12年の年末に実施された衆議院総選挙について触れなければならない。政権与党だった民主党は壊滅的な惨敗を喫した。代わって自由民主党・公明党が政権を引き受けることになった。

 民主党政権が発足した3年数カ月前、多くの国民は閉塞している日本が変わるかもしれないと、久しぶりに大きな期待感を抱いた。しかし、鳩山内閣で普天間基地移設問題で信頼を失った。菅内閣では中国漁船問題など外交問題で不安を抱いた。その後、東日本大震災、原発事故の被災者への対応や、復興に対して迅速な行動ができなかったもたつきが、民主党政権への期待感を急速に下降させた。さらに、公約になかった消費税増税を打ち出したことで、党は分裂し、国民の心も離れていった。野田前首相は消費税増税に政治生命を賭して取り組んだ。ものすごいエネルギーで全力で立ち向かった。歴代首相が避けて通る消費税増税を掲げる勇気と、実行に向かう気魄に凄みを感じた。しかし、願わくば、これだけの稀有なエネルギーを国家の弛みきった組織改革や、議員削減に身を捨てて切り込んでほしかった。政治家が自らの血を流したうえで国民に消費税増税をお願いすべきだった。自民党の長期政権に嫌気がさした多くの国民との約束「マニフェスト」はあまりに軽く流れていった。そして、いつの間にか、違いを際立たせなければならないはずの、自民党・公明党と手を組んだ時点で、今回の民主党の壊滅的惨敗は確定した。

 2013年は安倍政権の下、スタートする。金融緩和など大胆な経済政策を打ち出している。デフレ脱却によって経済や財政は上手く回っていくのか。注意深く見守っていく必要がある。また、日本同様にトップが相次いで代わった中国や韓国、北朝鮮、ロシアなど近隣諸国、そして米国との外交も大切な問題だ。

 今回の総選挙の投票率は前回から約10%下落し、戦後最低となった。積極的な支持ではない。国民の視線は相当に厳しい。支持を失えば惨敗する。私は、これでいいと思う。政治家にはいつも緊張感を持ってほしい。権力は必ず腐敗する。政権は常に交代すべきである。そして、少しずつ、国民が日本の国を良くしていかなければならない。

(編集長・増田 剛) 

最大級の訪日誘客CP、中・韓など20―30代女性に(観光庁)

 観光庁は今冬、「Meet The New JAPAN Campaign 2013」を開き、国内最大級のインバウンドキャンペーンとして、訪日外国人旅行客の新規増加をはかる。

 閑散期の訪日旅行需要の喚起策として、東京・関西地区で、訪日外国人旅行客がパスポートを提示することで、普段は体験できないようなイベントや特典を提供するもの。

 コンセプトは「あなたの好きな日本がきっと見つかる。日本の魅力、新発見!」で、中国・台湾・香港・韓国の20―30代女性を中心にPRする。

 関西エリアは12月1日―13年2月28日、東京エリアは13年2月1日―3月31日で、百貨店やホテル、観光施設など約1万店舗が参加。大阪城での兜・陣羽織試着体験、高幡不動尊でキャンペーン・スペシャルサポーター、ミス日本のグランプリ2013との豆まき参加など季節性に富んだイベントや仕掛けを用意する。

 また、現地旅行会社とタイアップをし、キャンペーン・オリジナル認定ツアーを100本以上販売する。

 キャンペーンサポーターには日本在住の20人の外国人留学生が選ばれ、SNSでの発信や取材など多岐に渡る分野で外国人の視野を活用する。ホームページは英語・簡体語・繁体語・ハングル対応で、1月31日まで日本への航空チケットなどが当たるアンケートキャンペーンを実施。

 URL=http://meet-j.jp 。公式フェイスブック「Meet The New Japan Campaign2013」で検索。 

西村屋6代目社長・西村肇氏、「社長のかわら版」書籍に

 兵庫県・城崎温泉の老舗旅館「西村屋」6代目社長の西村肇氏が社長時代、阪神大震災後の1995年8月から16年あまり、社員の給料袋の中に西村氏の考え方や社会の動きを記した「社長かわら版」を差し入れていたものをまとめて、このほど書籍化された。「社員との絆」を何よりも大切に感じて、時には社員を激励し、宿の向かうべき方向性を示しながら、11年12月の社長退任まで毎月1度も欠かすことなく続けてきた。給料は現金支給にこだわった。

 「出迎え」と「見送り」の意味や、ミスが起こったときの対応など、語りかけるようにアドバイスしている。また、売上高や決算状況をオープンにし、経営者としての考えを伝えている。

 本書は希望者に先着順で提供している。

 問い合わせ=日観チェーン(安藤寛一所長) 電話:03(3354)3795。 

搭乗者が100万人突破、計画より1カ月早く(Peach)

井上CEOが記念品を贈呈
井上CEOが記念品を贈呈

 Peach Aviationは11月29日、累計搭乗者数が100万人を突破したと発表した。当初の計画では12月末の予定だったが、1カ月早く達成し、同日、関西国際空港発の鹿児島空港行きを利用した100万人目の乗客に記念品を贈呈した。また、売切れ次第終了の国内線全路線1千円など、「通算搭乗者100万人達成!!ありがとうキャンペーン」を各種展開している。

 井上慎一CEOは、100万人突破について「今年3月に就航して以来、この短い期間で100万人ものお客様にご利用いただき、大変嬉しい」とコメント。「これからもPeachは、日本のLCCの先駆者として、安全運航を何よりも優先させ、お客様に末永く愛される『空飛ぶ電車』を目指していく」と意気込みを語った。

 キャンペーンは、12月3―21日の搭乗期間の国内線運賃を売切れ次第終了の片道1千円で提供するほか、航空券購入者のなかから、実質航空券が100円になる抽選などを実施。また、12月27日まで、同社の公式フェイスブックに「いいね!」を押した人のなかから、抽選で100人にピーチポイント5千円分をプレゼントする。 

「ピンクリボンのお宿」冊子発行、加盟宿のお風呂情報紹介

 旅行新聞新社が事務局を務める、ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将)は12月7日、加盟するお宿情報をまとめた冊子「ピンクリボンのお宿」を発刊した。

 誌面では加盟するお宿のお風呂・温泉情報を中心に、「洗い場の仕切りがある」「脱衣所での配慮」「入浴着着用の有無」「貸切り風呂対応」などの項目から、特記事項を紹介。宿泊プランや特典情報のほか、コラム「気兼ねなく入る入浴方法」も掲載する。旅のガイドブックとして持ち運びも便利なA5判、カラー48ページで構成する。

 冊子は全国の病院や加盟宿などで配布するほか、希望者には1冊無料(送料別途)で送付も行う。 詳細はピンクリボンのお宿ネットワークホームページ(http://www.ryoko-net.co.jp/modules/pink_oyado )から。 

MICE国際競争力強化へ、委員会で議論、来春に提言(観光庁)

委員会のようす
委員会のようす

 観光庁は11月28日、中央合同庁舎で第1回「MICE国際競争力強化委員会」を開いた。

 近年、アジアなどの競合国が誘致に向け積極的に取り組みを行う一方、日本の競争力が相対的に低下傾向にある。

 同委員会では、誘致主体となる地方公共団体や民間企業などの誘致・開催に関する活動や競争力強化に向けた取り組みに力を入れていく。委員会には、東京大学副学長で教授の西村幸夫氏をはじめ、京都市やJTB法人東京などMICEに積極的な関係者、各省庁の担当者などが名を連ね、13年春の最終提言を目標に、2月は中間報告を行う予定。

 観光庁の井手憲文長官は、「この委員会は、MICEというものを今一度再認識してもらうために開かれた。日本のMICEがほかの外国並になるためには何が必要か、具体的にどうやっていくのか議論していただきたい」とあいさつした。

 観光庁の高見牧人参事官がMICEの意義とマーケットの動向を説明したあと、今後の課題として(1)マーケティング戦略の策定・実施(2)MICE推進体制の構築(3)受け入れ環境――の3つを提示した。

 東京都産業労働局長の中西充氏は「マーケティングを行い、ターゲットを絞るべき。海外市場の動向をより調べていくことで、日本のMICEのやり方を改めて見直す必要がある」と述べた。

 JTB法人東京代表取締役社長の川村益之氏は「国としてどれくらい協力できるかが焦点。海外とは要求のギャップがあり、それを埋めなければならない」と話し、ソフト面の問題では「窓口が一本化されておらず、どこに問い合わせたらいいのかが不透明なところも気になる」と指摘した。

 日本政府観光局(JNTO)理事長の松山良一氏は国・都市・民間でそれぞれの役割に対し、「心を一つにして取り組むことが重要だ」とし、強化する分野では啓蒙活動、人材育成、インフラを挙げた。日本コングレス&コンベンションビューロー(JCCB)副会長の石井清昭氏も人材の確保と育成を強調したうえで、自治体の理解力を上げることも大事だと話した。

 また、小委員会を設置し、第1・2回でマーケティング戦略の高度化の具体例を中心に議論する。

 なお、12月12日に東京国際フォーラムでMICEリーダーズシンポジウムを開き、講演やパネルディスカッションなどを通して、激化する国際的なMICE誘致競争のなかで、日本が求められる対応を探る。 

地元食材の料理実演、辻調の講師が女将らに紹介(熊本県)

料理セミナーin阿蘇
料理セミナーin阿蘇

 熊本県観光連盟は11月28、29日、熊本県阿蘇市の阿蘇ホテル一番館と山鹿市の山鹿温泉清流荘で、地元食材を使った料理セミナーを開いた。熊本県旅連女将の会の共催で、辻調グループと旅行新聞新社が企画・協力した。辻調グループの講師が、あか牛など地元の食材を使用した料理を実演で紹介したセミナーには、周辺の旅館・ホテルから女将や料理人、高校生などが参加した。

 同セミナーは、講師のアドバイスで県の食材を利用した料理に磨きをかけるとともに、改めて料理の基本的な知識を学び、新たな料理開発に生かすのが目的。1回目は今年の3月6日に天草市で開催し、地元の伊勢エビなどを使った料理を実演し、好評だった。

 2回目となる28日は、阿蘇エリアを対象に「阿蘇をイメージしたフランス料理のセミナー」をテーマに実施。辻調グループ西洋料理教授の杉本昌宏先生が、あか牛と高菜を使用した料理を披露したほか、同じ肉でも焼き方でうまみがより引き出せることなどをアドバイスした(詳細は2013年2月1日号掲載予定)。

料理セミナーin山鹿
料理セミナーin山鹿

 翌日の29日は、辻調グループ日本料理教授の中村泰弘教授が、山鹿エリアを対象にしたセミナー「やまが和牛と山鹿の地元食材を使った日本料理の実演」を開いた。地元の城北高等学校で調理を学ぶ生徒も約30人参加し、熱心にプロの話しに耳を傾けていた(詳細は13年3月1日号掲載予定)。