“旅行が障がいに効果”、推進に向け議論を展開、ユニバーサルツーリズム

パネルディスカッションのようす

 観光庁は、高齢者や障がい者など誰もが気兼ねなく旅行ができる環境作りのため「ユニバーサルツーリズム」を推進している。「ユニバーサルツーリズム推進に向けた地域活動に関する検討会」を設置し、昨年11月と今年3月に検討会を実施。また、2月には東京・秋葉原で「ユニバーサルツーリズム シンポジウム」を開いた。シンポジウムは検討会メンバーの大学教授や医師など関係者が登壇し、旅行が障がい者にもたらす効果や現状、推進に向けた議論を展開した。
【飯塚 小牧】

 シンポジウムは、検討会メンバーの2人が講演。北星学園大学客員教授の秋山哲男氏は「ユニバーサルツーリズムの促進に向けて」と題し、ユニバーサルツーリズムの定義などを説明した。三軒茶屋リハビリテーションクリニック院長の長谷川幹氏は、長年、障がい者や高齢者とともに国内・海外旅行に出かけている経験から、旅行がもたらす効果を語った。80代のパーキンソン病の女性の例をあげ、「重度で仮面様顔貌(無表情)があり、全介助を必要としていたが、旅行をきっかけに耐久力がアップし、表情も豊かになった。教科書的にパーキンソン病は現状維持か悪化だが、それを覆した」と述べた。

 旅行に対するハードルは高いが、1歩目が出れば2歩目はすぐに出ることや、役割を与えることで自信につながることを紹介。「障がいがあってもできたという実感が必要。そのなかで旅は最も効果的だ」と語った。また、旅行関係者に配慮してほしいこととして、トイレ休憩は通常の2倍必要なことや、同行する家族が疲れてしまうことを避けるため、当事者と援助者は1対2以上必要なこと、嚥下障害への食事の配慮などを訴えた。

 講演後は秋山氏をコーディネーターにパネルディスカッションを実施。秋山氏は「ユニバーサルツーリズムは今後、どのような展開をするのかまだみえていない」とし、現状を把握するところから議論を開始した。

 旅行業の現状は、先進的な取り組みをしているANAセールスCS推進室ツアーアシストグループグループリーダーの田中穂積氏とクラブツーリズムテーマ旅行部バリアフリー旅行センター支店長の渕山知弘氏、昭和観光社代表取締役でバリアフリー旅行ネットワーク会長の平森良典氏の3人のパネリストが語った。

 そのなかで、田中氏は「ANAセールスの募集型企画旅行に参加してもらうには、何を手伝えばよいのか」という考え方から、3人の専属担当者が申込みの段階から相談を受けていることを紹介。約10年間の積み重ねで今では、12年度上半期の取扱件数で約670件、売上高約3億円まで成長しているという。「ノウハウと人手が必要なので、ホールセラーではなかなか難しいと思う。今は、日本旅行業協会(JATA)でバリアフリー旅行部会の会長を務め、旅行会社に向けた啓蒙活動を広げている」と述べた。

 また、NPOで活動する神戸ユニバーサルツーリズムセンター代表で日本ユニバーサルツーリズム推進ネットワーク理事長の鞍本長利氏は、「介護する家族が旅先でもお風呂に入れなければならないと、もう二度と旅をしなくなる。また、最近は障がい者が1人で旅をすることも増えているので、支援するための着地のネットワークをつなげていく取り組みを進めている。ホテルや空港など一つひとつが対応できるだけではダメ。宿泊やサービス、医療福祉、行政、NPOなどすべての連携で作り上げていくことが必要」と語った。

 伊勢志摩バリアフリーツアーセンター理事長で日本バリアフリー観光推進機構理事長の中村元氏は、観光客を増やすためにバリアフリー観光の取り組みを始め、障がい者で組織した専門員による観光地の「バリア」調査などを行っている。「まちづくりでバリアフリー観光を行い、それによって地域が恩恵を受けるレベルまで持っていかなければ意味がない。今は、とても厳しい基準で『パーソナルバリアフリー基準』を設定し、全国に広げている。地域を育てるという視点が重要だ」と語った。

 一方、「観光はバリアを楽しむもの」とし、杖をついていても景色がよければ階段のある旅館を選ぶこともあることや、神社などの階段を上ることに意味がある場合は、専門のNPOが補助していることなどを紹介。「バリアを取ってしまうと、観光そのものを失くしてしまう。それは福祉の世界。福祉と観光は、融合はできても目的は違うもの」と強調した。

 最後は、今後ユニバーサルツーリズムを発展させるために必要なことを各自が発言。渕山氏は「我われのような旅行形態は土壌や仕組みがないと動き出せないと思う。今求められているのは、一般のツアーや地域をどうアレンジしたら、多くのお客様にきてもらえるかを考えること。できない理由を考えるのを止め、できることから考えれば新しい開発につながるのではないか」と呼び掛けた。

訪日消費額13・2%増(1―3月)

 観光庁がこのほど発表した13年1―3月期の訪日外国人消費動向調査によると、訪日外国人全体の日本国内での旅行消費額は前年同期比13・2%増の2539億1千万円で、訪日外国人1人当たりの旅行中支出額は同4・0%減の11万2594円となった。

 同調査は全国11カ所の主要空海港で、日本を出国する訪日外国人(1年以上の滞在者や永住者、定住者などを除く)に行ったもので、調査期間は13年1月17日―2月27日。調査標本数は7067サンプル。

 総旅行消費額の増加は、期間中の訪日外客数が12年の191万2千人から13年は225万5千人に増加した影響と分析。タイの旅行消費額は同56・0%増で、韓国も同40・2%増と大幅に増加したが、中国は16・9%減となった。これも訪日外客数の変動が大きな要因と考えられる。 

 国籍別の旅行消費額は1位が中国で501億3千万円。2位が韓国で444億5千万円、3位が台湾で320億6千万円、4位が米国で245億6千万円、5位が香港で168億6千万円、6位がタイで90億5千万円と続く。構成比でみると、上位5カ国で全体の66・2%を占める。

 訪日外国人1人当たりの旅行中支出額を国籍別にみると、1位が中国で同14・2%増の19万6188円。2位が米国で同9・6%増の14万2587円、3位が香港で同6・9%減の11万4593円、4位がタイで同3・9%増の11万1954円、5位が台湾で13・7%減の7万8368円と続いた。台湾の減少と中国の増加は平均宿泊数の変動が大きな要因と分析。平均宿泊数は台湾が10・0泊から7・7泊に減少し、中国は22・1泊から29・9泊に増加している。

 訪日旅行の満足度をみると、「大変満足」39・5%、「満足」51・6%で合わせて91・1%が満足している。再訪意向は「必ず来たい」52・2%、「来たい」40・9%であわせて93・1%が再訪意向を示している。

 日本への来訪回数では「1回目」が32・0%と最も多いが、「10回以上」も19・9%と少なくない。国籍別ではタイ、マレーシア、インド、英国、フランス、ロシア、カナダ、オーストラリアで「1回目」が4割を超え、台湾や香港、シンガポールでは「1回目」の割合が他国より低く、3割を下回った。

 観光・レジャー目的で訪れた訪日外国人の滞在日数は、「4―6日間」が58・4%と最も多い。国籍別では、韓国が「3日間以内」の滞在が32・5%と他の国籍に比べて多い。台湾は「4―6日間」の割合が78・5%と高く、ドイツ、フランス、オーストラリアは14日以上の滞在が3割を超えた。利用の宿泊施設タイプは、86・1%が「ホテル(洋室中心)」、24・4%が「旅館(和室中心)」。台湾やタイ、インドでは「旅館」の利用率が3割を超えた。

 旅行前支出額(パッケージツアー代や日本までの往復運賃)は平均9万9330円で、旅行中支出額と合算した総支出額は平均21万1923円。国籍別に旅行中支出額を比較すると、オーストラリアが21万9千円と最も高く、中国19万6千円、カナダ17万円、シンガポール15万9千円と続く。1泊当たり旅行中支出額の平均は7808円で、旅行前支出を含めた1泊当たり総支出額の平均は1万4697円。

No.341 改正耐震改修促進法 - 2015年末までに耐震診断義務に

改正耐震改修促進法
2015年末までに耐震診断義務に

 耐震改修促進法の改正案が5月22日、参議院本会議で全会一致で可決、成立した。1981(昭和56)年以前に建築され、5千平方メートル以上の旅館ホテルは、2015年末までの耐震診断が義務付けられる。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長の佐藤信幸氏と国土交通省住宅局担当大臣官房審議官の橋本公博氏との対談、自民党観光産業振興議員連盟幹事長の望月義夫氏への単独インタビューにより、宿泊業界、行政、政治の多角的な視点から、分かりづらい"耐震問題"を語り合った。

【司会=旅行新聞新社社長・石井 貞德、構成=内川 久季】

 

【対談】全旅連会長・佐藤 信幸氏 × 国交省審議官・橋本 公博氏
≪要望や相談窓口わからない ― 佐藤氏≫
≪自治体に補助金理解求める ― 橋本氏≫

 ――耐震改修促進法改正案が3月8日に閣議決定されたことについてどのように思われますか。

■佐藤:耐震改修促進法の改正案について国交省の住宅局から初めて説明を受けたのが、2月21日の全旅連の理事会でした。驚いたのは、5千平方メートル以上の建物の耐震診断の義務化、耐震診断結果の公表を2015(平成27)年末までにすると日付まで明確に書いてあったことです。努力目標ではなく、罰則規定まである法案に驚きました。同法案への対応には十分な時間が必要だったはずですが、2月27日には自民党の国土交通部会まで通ってしまい、同日に全旅連は陳情を行いましたが間に合いませんでした。お客様の安心・安全は大切であり、耐震の必要性は十分理解できますが、あまりにも性急過ぎます。少なくても半年から1年前に、住宅局から相談をしてほしかったです。全旅連は約1万6千軒の組合員がおり、同改正案を会員に周知するには時間がかかります。もう少し時間がほしいというのが正直なところです。

■橋本:旅館、ホテルなどの宿泊業に限らず、他の業界も同じなのですが、1995(平成7)年に同法律ができ、不特定多数の人が使う2千平方メートル以上の建物については、都道府県や政令指定都市などから耐震診断や改修をお願いしてきたはずなのです。

 その前提で皆様方にはある程度、耐震診断や改修にご理解いただいているだろうということ、また、15年以上法律で努力義務がかけられてきたことなどを踏まえ、東日本大震災が発生したことで次のステップに進まなければならないと判断いたしました。

 ただ、佐藤会長がおっしゃるように、同法案を知らなかったという意見があるとのことですので、もう少し広報を周知徹底しておくべきだったかもしれません。

 

※ 詳細は本紙1503号または6月6日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

スポーツによるまちづくり ― Jリーグに学ぶべきもの

 SC相模原VS横河武蔵野FC戦を観に行った。いわゆるJ1、J2の下部組織JFLの一戦だ。相模原市立の小学生の息子が学校から地元開催のホームゲームの無料券を配布されてきたので、一緒に観に行くことになった。「SC相模原も上手いことをやるなぁ」と思った。地元に愛されるチームを目指すのなら、少年少女には無料券を配るべきなのだ。お金は大人から取ればいい。

 小さなスタジアムは試合開始前から、ホームチーム一色に染まる。相手チームの紹介のあと、さまざまな映像を交えた地元チームの選手紹介が始まる。スターティングイレブンを一人ひとりドラマティックに紹介したのち、「そして、我らが背番号12番!SC相模原のサポーターの皆さん!」とアナウンサーが絶叫し、大画面に観覧席の無邪気な子供たちや、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんたちが次から次に映し出されると、私も久しぶりに感動してしまった。私は現在、神奈川県に住んでいるが、鹿島アントラーズが大好きなので、自宅に近い日産スタジアムであっても、鹿島アントラーズ側に座る。東京や神奈川、埼玉、名古屋、大阪をホームにするクラブは強くて当たり前であるが、しかし、小さな茨城県鹿嶋市のクラブがJリーグの進むべき道をリードしていることが素晴らしい。泥臭いチームの伝統を自然なかたちで次世代に引き継いでいるチームである。そんなJリーグも今年20周年を向かえ、さまざまな記念イベントや、この20年を振り返り、検証する試みも行われている。

 地域づくりほど難しいものはない。観光による地域づくりの苦労や大変さも、たくさん見聞きしている。住民の総意がなければ一歩も前に進まなかったり、反対の立場の人も必ずいる。

 そんななかで、Jリーグはスポーツによるまちづくりで成功した良い例だ。長期的なビジョンを持って行動することが得意とは思えない日本にあって、百年構想をゆっくり、地道に進めている。小さな町であっても、さまざまな業種の企業や、一般の人たちが協力し合って、自分たちの地元のチームやスポーツ文化を育てていこうと支援していることも伝わってくる。観光も地域との一体感が不可欠である。Jリーグの地域愛を湧き立たせる演出などは、きっと勉強になる。

(編集長・増田 剛) 

【当選者発表】第38回プロが選ぶ100選宿泊券プレゼント

今回もたくさんのご応募ありがとうございました。

2013年4月19日の締め切り後、厳正なる抽選の結果、ご当選者が決まりました。

ご当選者の皆様には当選ホテルから近日中に宿泊券をお送りいたします。どうぞ楽しいご旅行をお楽しみください。

このトップページ左側リンクバナー「宿泊券&名産品プレゼント~当選者発表~」にご当選者のお名前を掲載いたしましたのでご覧ください。

もしくはコチラ(弊社の同ページへリンクしています)から!

 

鳥取県倉吉市、地域おこし協力隊募集

関金温泉の情報発信を

 鳥取県倉吉市は、関金温泉街の地域おこしのため「倉吉市地域おこし協力隊」を募集している。

 業務内容は、ホームページやフェイスブック、ブログなどを活用した関金温泉と旅館4施設の情報発信や地域イベント、関金温泉旅館組合、各旅館(若女将業務)事業への参加など。募集人員は1人、対象は20歳以上。採用決定後、倉吉市内に生活拠点と住民票を異動でき、普通自動車運転免許がある人。

 勤務は、4週を平均して1週につき29時間を超えない時間の範囲内(土・日曜日、祝日、夜間勤務あり)。雇用期間は、13年6月中から14年3月31日までだが、最長3年まで延長の場合もある。報酬は月額14万5千円で、雇用形態は倉吉市非常勤嘱託職員。制服は貸与(着物など)。受付は5月27日午後5時まで。6月2日に集団面接審査、6月上旬に選考結果通知。採用者は6月中に活動開始の予定。

 関金温泉の開湯は約1250年前。1970(昭和45)年に国民保養温泉地の指定を受け、2011年には、日本の名湯百選に認定された。良質な泉質を持ちながらも、宿泊客の減少が進み、最盛期に10軒あった旅館も現在は4軒のみ。関金温泉では、泉質や地域資源を活用し、観光・健康・介護の分野を連携させ、保養目的の宿泊者を増やす「関金温泉プラチナプロジェクト」を開始している。

 問い合わせ=電話:0858(22)8158。

草津温泉の「御座之湯」、4月25日にグランドオープン

4月18日に行われた竣工式
4月18日に行われた竣工式

 群馬県の草津温泉に、明治時代まであった共同浴場「御座之湯」が湯畑前に再建され、4月18日に竣工式が開かれた。再建を記念してプレオープン期間の4月24日まで無料開放し、4月25日にグランドオープンした。

 御座之湯は源頼朝が入浴したとの伝説もあり、江戸時代から明治時代にかけて湯治場として人気が高かったという。明治期をイメージした木造2階建てで再建され、延べ床面積は約730平方メートル。浴槽は石とヒノキの2種類で湯畑源泉と万代源泉の2種類の掛け流し源泉が楽しめる。入浴後に浴衣に着替え、畳敷きの広間で休憩する「湯治体験」もできる。

 入館料は入浴のみで大人500円、子供(3歳以上12歳未満)300円。湯治体験が大人1千円、子供500円から。プラス2千円で外出用浴衣もレンタル可能だ。営業時間は午前7時から午後9時まで。年中無休。

 特別企画「ちょいな(温泉マーク)三湯めぐり」は1300円で、外出用浴衣に着替えて、大滝乃湯と西の河原露天風呂の三湯めぐりが体験できる。

 草津温泉では、御座之湯を中心とした湯畑周辺の再開発が進んでおり、そぞろ歩きができる「湯治広場」や名物の湯もみショーが行われる「熱の湯」もリニューアルオープンを予定している。

 問い合わせ=草津町役場企画創造課 電話:0279(88)9000。

細田博之氏が会長に、参院選後に法案提出へ(IR議連)

細田博之IR議連会長
細田博之IR議連会長

 超党派で組織する国際観光産業振興議員連盟(IR議連)は4月24日、衆議院議員総選挙後初となる総会を開き、会長に自民党の細田博之衆議院議員が就任した。

 細田会長は「複合観光施設は、景気振興、国際・国内観光の活性化、地方財政におおいに貢献する。同議連は超党派で行う強い意志を持った人の集まり。参議院議員選挙明けに具体的に実現・実行していくよう全力で取り組みたい」とあいさつした。

 

 

 

 

下村博文顧問(現文科相)
下村博文顧問(現文科相)

 顧問の下村博文文部科学大臣(自民党)は、「正しい情報が伝わっていなかったため、PTA関係の人に誤解を持たれていた。これから全国津々浦々をまわって、先頭に立ちIRについて説明していきたい」と語った。

 当議連は超党派で組織され、現在は自民党85人、民主党23人、日本維新の会16人、公明党8人、みんなの党5人、生活の党2人、みどりの風1人の合計140人。今後は、参議院議員選挙後の国会で基本法案を提出し、立法化を目指す。

 

 

 

平沼赳夫顧問
平沼赳夫顧問

 IR議連の役員は次の各氏。

 【最高顧問】安倍晋三(自民党)▽麻生太郎(自民党)▽石原慎太郎(日本維新の会)▽小沢一郎(生活の党)【顧問】石井一(民主党)▽下村博文(自民党)▽平沼赳夫(日本維新の会)▽茂木敏充(自民党)【会長】細田博之(自民党)【副会長】小沢鋭仁(日本維新の会)▽柿沢未途(みんなの党)▽金田勝年(自民党)▽河村建夫(自民党)▽櫻井充(民主党)▽佐藤茂樹(公明党)▽鈴木克昌(生活の党)▽谷岡郁子(みどりの風)▽中山恭子(日本維新の会)▽野田聖子(自民党)▽羽田雄一郎(民主党)▽前原誠司(民主党)▽松野頼久(日本維新の会)▽柳澤光美(民主党)▽山口壯(民主党)▽山本幸三(自民党)【幹事長】岩屋毅(自民党)

 

前原誠司副会長
前原誠司副会長

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ジャルパック・増澤部長に聞く、各サイトの顧客ニーズに対応

国内仕入部 増澤 紀之 部長
国内仕入部 増澤 紀之 部長

 ジャルパックと日本航空(JAL)は、リクルートホールディングスと提携し、JALホームページやじゃらんnetでJAL国内線航空券とリクルートが提供する国内宿泊施設を組み合わせたダイナミックパッケージ商品「JALダイナミックパッケージ」を展開しているが、7月22日からじゃらんで販売する商品を「JALじゃらんパック」として刷新する。一方、今秋から、JALホームページで販売中の「JALダイナミックパッケージ」の宿泊仕入れは、ジャルパックが開発するオンラインシステムに切り替える。販売チャネルに合った商品にすることで、それぞれの顧客のニーズに合わせることが狙い。ジャルパックが4月1日に新設した「国内仕入部」の増澤紀之部長に話を聞いた。

【飯塚 小牧】

 ――4月1日から「国内仕入部」を新設した理由は。

 お客様の購買動向がよりリアルからウェブへ、商品ではパンフレットからダイナミックパッケージへとシフトしている。マーケットも安い商品と高額商品の二極化が著しく、予約の間際化も近年鮮明だ。このような変化に対応していくには、これまで、ダイナミックパッケージとパンフレット商品の仕入れを別々に行っていたものを国内仕入部で一元化し、全体を俯瞰してみる必要がある。

 オペレーションも別組織だったものが、国内仕入部のなかの組織になり、提携施設との窓口が1つになったことで、分かりやすさやスピード感などシナジー効果も生まれる。施設との関係は施設全体の送客を増やすうえで、パンフレットでもダイナミックパッケージでも総合的な対応ができる体制をつくることが重要だ。

 ――これまでのダイナミックパッケージがどのように変わるのか。また、その理由は。

 リクルートホールディングスとは2007年から提携し、1つのダイナミックパッケージをさまざまな販売チャネルで展開している。これを、段階を経て、最終的には当社が宿泊仕入れをしてJALホームページなどで販売する「JALダイナミックパッケージ」と、リクルートが宿泊仕入れをして、じゃらんnetで販売する「JALじゃらんパック」の2つのダイナミックパッケージ商品に分ける。

 なぜ分けるかというと、現行じゃらんnetから予約した「JALダイナミックパッケージ」は、途中からJALのホームページに飛んでしまい、ユーザーの利便性に合ったものではなかった。じゃらんユーザーにとっては、リクルートのさまざまなポイントプログラムと連携し、またそのサイトで完結するものが最適だ。

 一方、JALのホームページ利用者は、こちらもポイントプログラムだが、JALマイレージバンク(JMB)の会員が非常に多い。会員のニーズに合った商品を提供していくためには、我われが自社でシステムを作り、例えばマイルを基軸にしたプランを多く作るなど、よりJALホームページのお客様に沿ったものを提供できる環境にしなければならない。

 消費者のニーズに1つのもので対応するのは難しいタイミングにきている。それぞれのサイトに特化したもので、そのサイトのお客様へのサービスや商品価値を高めていきたい。

 ――自社の新しい宿泊仕入れシステムはどのようなものか。

 新オンラインシステム「ジャルパックeエントリーシステム」は6月中に入力サービスを開始する予定だが、このシステムはダイナミックパッケージに留まらない。現在、JALのホームページには宿泊のみを販売するサイト「JALイージーホテル」がある。こちらもリクルートと提携しているが、これを新システムに切り替えて展開する。航空券と個別に宿泊予約をされるお客様もいるが、JMB会員は飛行機を利用しない場合でもこのサイトで宿泊予約をしている実態がある。規模としては非常に大きいものがあるので、施設にとってはメリットが大きいと考えている。

 JALイージーホテルについては、これまで、当社は施設と直接契約をしていなかったので、新システムの導入で新たに契約を結ぶことになる。また、JALダイナミックパッケージも現在の契約から、新しいシステムをご利用いただくための契約へ切り替えが必要だ。今後は、全国のより多くの施設とお付き合いをさせていただきたいと考えている。我われからお願いすることなので、5月20日から全国で説明会を開いて理解を求めていく。

 新しいシステムには不安もあると思うが、例えば画面は使い勝手のよいものにし、在庫や料金入力などの作業は、サイトコントローラーにも対応していく予定だ。全国に契約窓口やシステムヘルプを行う体制も整え、5月20日からは専用のヘルプデスクとして電話窓口も設置する。

 また、我われは最後発ということもあるので、他社に比べ、システム手数料を非常にリーズナブルに設定したいと考えている。コストメリットでは最も魅力的なものを提案し、しっかり期待に応えていきたい。

 ――自社ダイナミックパッケージ導入後の展開は。

 北海道や沖縄のリゾートなどは、まだダイナミックパッケージが伸びる余地があると考えているので、注力していく。また、東京ディズニーランドが30周年ということもあるので、関東に来るお客様もダイナミックパッケージに取り込んでいきたい。

 ジャルパックは5月20日から、宿泊施設を対象にした新システムの説明会を全国37カ所で44回開く。

 問い合わせ=東日本G(北海道・東北・北陸・関東・中部) 電話:03(5715)8162、西日本G(関西・中国・四国・九州・沖縄) 電話:03(5715)8164。

 主な開催地・日程は次の通り。(時間は全国共通で午前が10時から、午後が2時から)。

 【関西(大阪)】5月20日(日航大阪)【中部(名古屋)】5月23日(名古屋東急ホテル)【関東(東京)】5月31日(ホテル日航東京)▽6月5日(品川プリンスホテル)

岩手DCが国交大臣賞、日本観光ポスターコンクール(日観振)

岩手DCのポスター
岩手DCのポスター

 日本観光振興協会はこのほど、「第61回日本観光ポスターコンクール」の結果を発表した。応募総数234作品のうち、1次審査を通過した52作品のなかから、国土交通大臣賞は、岩手デスティネーションキャンペーンポスター「東北で会おう。岩手で会おう。」に決定した。「受賞は当然といえる作品」など、審査員全員から高い評価を受けた。

 2年ぶりの開催となった今回は、選考過程にオンライン投票を導入するなど、消費者にコンクールの周知をはかった。専門審査会で選定される従来の各賞に加えて、特別賞を設置。併せてオンライン投票結果も発表した。オンライン投票数は投票人数が1万7804人、有効投票数が3万9352票。

 受賞作品は次の通り。

【国土交通大臣賞】
岩手デスティネーションキャンペーンポスター「東北で会おう。岩手で会おう。」(JRグループ/ジェイアール東日本企画)

【総務大臣賞】
千年ロマンポスター「再会NIPPON」(大分県・豊後高田市観光協会/JTBコミュニケーションズ九州)

【観光庁長官賞】
久留米観光ポスター「久留米物語」(久留米観光コンベンション国際交流協会/LOCAL&DESIGN)

【日本観光振興協会会長賞】
新幹線YEAR2012「MOVE YOUR HEART」(東日本旅客鉄道/ジェイアール東日本企画)

【東北応援賞(オンライン投票部門1位)】
世界自然遺産 白神山地(ブナの学校運営協議会〈青森県・秋田県・JR東日本秋田支社〉/ジェイアール東日本企画秋田支店

【審査員特別賞】
家族の絆つなぐ夏の大冒険!ADVENTURE山口(おいでませ山口観光キャンペーン推進協議会〈山口県観光連盟内〉/中国博報堂▽「海街憧憬」夏・冬(函館市観光コンベンション部ブランド推進課/JTBコミュニケーションズ&サポート北海道)

【審査員特別賞(オンライン投票部門3位)】
ヤバイほど、好きよ。(奈良市観光協会/ジェイアール西日本コミュニケーションズ)

【入賞(オンライン投票部門4位)】
満天の金と銀。十勝鹿追町(北海道・鹿追町観光協会/クリエイティブ・ジネン)

【入賞】
Happy!福岡味。FUKUOKAAJI(福岡市経済観光文化局観光コンベンション部観光戦略課/エフエム福岡メディアント)▽大人の休日倶楽部〈岩手DCバージョン〉(東日本旅客鉄道/ジェイアール東日本企画)▽世界遺産自然遺産 小笠原諸島(東京都小笠原村/ディンクス)▽歴史に学べば、未来がときめくNIPPON SPIRIT山口(おいでませ山口観光キャンペーン推進協議会〈山口県観光連盟内〉/中国博報堂▽北本市観光ポスター秋(埼玉県北本市/ジェイアール東日本企画)