楽天、民泊に参入へ、施行に合わせサービス開始(楽天×LIFULL)

(左から)山田氏、太田氏、井上氏

 楽天(三木谷浩史社長)は6月22日、民泊事業への参入を発表した。民泊仲介を目的としたWebサイト「Vacation Stay(仮称)」を立ち上げ、住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に合わせてサービスを開始する。新会社「楽天 LIFULL STAY」は、LIFULL(井上高志社長)との共同出資。社長は、楽天で新規サービス立ち上げに従事した太田宗克氏。「自治体への説明責任を果たし、民泊導入のメリットを丁寧に伝える。ゲストとホスト、双方の安全安心を守る保険システムも導入したい」と強調した。

 掲載物件数が約800万の不動産情報サイト(ホームズ)を運営するLIFULL。空き家対策や投資促進のため、できる限り多くの物件を民泊用に提案していく構え。サービス開始時には、数万の物件を用意できるよう準備を進めている最中。体験型旅行商品の販売についても、需要を見定め取り組んでいきたいとのこと。旅行業の登録も行う。

 なお現在、楽天でホテルや航空券の予約サービスを担う楽天トラベル(髙野芳行事業長)とは並行して事業を展開する。楽天ポイントの利用なども可能にし、楽天経済圏を構成する一員となる。

 会見には、太田新社長のほか、山田善久楽天副社長と井上高志LIFULL社長が出席した。

【エレファントツアー社長・五十川 昌博氏に聞く】日本のツーリズムに貢献したい、映像制作は〝私の使命〟

五十川昌博氏

 1988年に米国・ロサンゼルスでインバウンド専門のエレファントツアーを設立した五十川昌博社長。その後、映画の本場ハリウッドで映像を学び、4年ほど前から、ドローンを活用した旅館・ホテルなどのPR動画を作成している。ダイナミックな映像表現で、異なる視点から日本の魅力を発信する五十川氏は「日本のツーリズムに貢献する映像製作は、私の使命」と語る。ドローンを用いた観光PR映像製作のコツを伺った。

【聞き手=増田 剛、構成=松本 彩】

 ――エレファントツアーの成り立ちについて教えてください。

 来年で創業30年になります。1988年に渡米し、ロサンゼルスでインバウンド専門のエレファントツアーを立ち上げました。

 日本にいたころは、私は大学で芸術学部に在籍していたので、78年に友人3人と、音楽専門書の出版社を立ち上げ、編集者として働いていました。しかし、その当時のクラシック人口は日本全国で100万人程度と、とても小さなマーケットだったので、もっと大きなマーケットで勝負したいと考えていました。

 当時、主に五線紙を扱っていましたが、海外旅行がブームになってきた時代でもあったので、しばしば旅行ガイドブックの編集依頼も受けていました。ガイドブックの素材集めのために海外を飛び歩いている間に旅行業界に興味を持ち、〝ツーリズムに生涯をかける〟と一大決心しました。

 ――創業当初から経営は軌道に乗っていましたか。

 当時、現地のオプショナルツアーには、主催旅行会社のパッケージ旅行利用客でない限り、参加することができなかったので、現地に住む友人などを訪ね、個人旅行で来た日本人の多くが「せっかくロサンゼルスを訪れたのに、つまらなかった」という印象を持って帰国していきました。

 私は、ロサンゼルスには多くの魅力あふれるアクティビティがあるのに知ってもらえないのはもったいないと感じていました。そこで受入環境がないのならば、その環境を作ればいいと考え、現地で、誰でも参加できる日本語オプショナルツアーを始めました。

 創業当初は、このようなビジネスモデルは存在していなかったため、好調でしたが、徐々に既存の旅行会社との摩擦が出てきました。それならば違うマーケットを狙おうと、現地に駐在しているファミリー層をターゲットにすることにしました。バブルの絶頂期でもあり駐在ファミリーが日本からどんどん訪れていた時代でした。

 もともと私自身が旅行業界の出身ではないため、大口クライアントを掴むことができず、FIT(海外個人旅行)客を中心にファンを増やしていきました。 

 例えば、駐在員の奥様や子供たちは、日本人同士の交流が中心で、子供たちも日本語学校に通っています。日本語でのツアーは、彼らに大変好評を博しました。最初は好意的ではなかった日系旅行会社も、新しいマーケットを発掘した私たちの仕事を認めてくれ、今では日本で最大級の旅行会社から定期的に仕事をいただくまでの関係になりました。

 ――2001年9月11日の同時多発テロ時の影響について。

 日系の旅行会社の約9割が縮小や倒産に追い込まれました。エレファントツアーはもともとFITを主な顧客層として事業展開をしていたため、団体旅行による大きなキャンセルがなかったのは幸運でした。

 ――ツーリズムのPR動画などを手掛けるようになったのはいつごろからですか。

 学生時代に作曲を専攻していたことや、当地は映画の都であることから映像に携わる仲間がたくさんいたことが理由で、渡米後すぐ映像制作に興味を持ちました。

 当時はアナログの時代でしたが、ハリウッド映画業界で活躍する人たちのおかげで上手にデジタルの波に乗れたのも幸いでした。カリフォルニア州はもちろん、近隣の州政府観光局からも撮影依頼が入るようになり、広大なアメリカでは3―4年ほど前からドローンが活躍するシーンも多かったと記憶しています。

 6年ほど前からは、日系のテレビ局で日本語視聴者向けの旅行番組「GO WEST」を製作しています。観光局の協力を得ながら、実用的な観光情報を提供しているのが特徴です。取材の際に心掛けていることは、地元の人たちにも積極的に声を掛けることです。これによって、テンポ感やストーリー性を感じられる番組づくりができています。せっかくなら雄大な景色はより感動的に、美味しいものはより美味しそうに撮りたいではありませんか。

 このような経験のなかで、エレファントツアーも人材が育ってきました。本格的に音楽や映像をツーリズムの集客に活かしたいと思うようになり、旅行の現場は創設当初からいるマネージャーに任せ、映像の世界に全力投球できるようシフトしていきました。

 ――アメリカではいつごろからドローン映像を撮影していたのですか。

 3―4年前から、ロッキーマウンテンに咲くワイルドフラワー、バリ島の世界遺産、瀬戸内海の島々を空撮してほしいと、観光局や大手旅行会社から依頼を受けるようになりました。

 アメリカでドローンを使うようになったのはここ4年くらいです。そしてこの2年くらいで技術的な革新を遂げ、ドローン撮影の幅は格段に広がりました。

五十川氏自らドローンを操縦し、
魅力あふれる映像表現を追求している

 ――日本でもドローンを使った映像を作成していきますか。

 生意気な言い方かもしれませんが、日本の旅館やホテル、そして観光地のプロモーション映像を見ていると、その土地の魅力が半分も表現できていなく残念に思うことがあります。

 30年前に渡米したときに、「ロサンゼルスにはこんなに魅力的なアクティビティがあるのに日本マーケットに上手く宣伝できていなくてもったいない」と感じたのとまったく同じで、人生の半分をアメリカで過ごした自分には、日本の良さが日本に住んでいる日本人以上に魅力的に映っています。そしてそれをどうにかして海外に伝えたいと強く思うのです。旅館・ホテルでの体験をストーリー化したり、女将1人にスポットを当て、その人物を追う新しいかたちの映像表現があるような気がします。

 私は長年日本を離れているからこそ、四季折々の美しい景色があることや、旅行者のお腹と心を満たす食事がその土地によって大きな特徴があるということなど、異なる視点から日本の魅力に気づくのだと思います。

 私よりカメラの上手い人はたくさんいます。私より編集技術を持つ人もたくさんいます。しかし、学生時代から歩んできた道、アメリカでインバウンド業界に身を置いた半生、業界の人脈、そしてドローンを使った豊富な空撮経験。これだけの条件がそろっている人間はそれほどいないだろうと思うと、日本のツーリズムインバウンドに貢献する映像制作は、私の使命だと感じているのです。

 ――ありがとうございました。

新会長に三澤氏(神奈川中央交通)、安全安心の決意示す(日本バス協会)

三澤憲一新会長

 日本バス協会(島倉秀市会長代行、2445会員)は6月23日に、東京・経団連会館で第90回定時会員総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で、三澤憲一氏(神奈川中央交通会長)が新会長となった。総会では安全輸送決議も承認。「まずはバス事業の根幹である安全・安心の確保に取り組む」(三澤氏)と決意を示した。

 安全輸送決議は軽井沢スキーバス事故後の各種対策や、日常的飲酒の指導、運転手の健康管理体制強化などを徹底していく。三澤氏は「この決議に沿って交通事故防止はもちろん、安全運行と関連法令の遵守をはかる」と強調。「日本バス協会会長として改めてバス事業の健全な発展のために、職責をまっとうすることを誓う」(同)と今後の指針を述べた。

 2017年度事業計画で国の監査を補完する「貸切バス適正化機関」を円滑に実施する。今夏にも開始される見通しで「国土交通省や地方運輸局、地方バス協会らと連携協力していく」とし、同会では所要資金など必要な支援を行う考えだ。

 このほか乗合バス事業者の路線維持が厳しい状況を踏まえ、補助制度や補助金確保、税制支援策の確保・充実をはかる。

 総会後には懇親会が開かれ、会員や政治家らが多く参加した。

 会長、副会長は次の各氏。

 【会長】三澤憲一(神奈川中央交通会長)
 【副会長】北海道・平尾一彌(北海道バス協会会長)▽東北・松本順(福島県バス協会会長)▽関東・山口哲生(東京バス協会会長)▽北陸信越・辻川徹(富山県バス協会)▽中部・加藤信貴(愛知県バス協会会長)▽近畿・井波洋(大阪バス協会会長)▽中国・椋田昌夫(広島県バス協会会長)▽四国・清水一朗(愛媛県バス協会会長)▽九州・倉冨純男(福岡県バス協会会長)▽東京・富田浩安(日の丸自動車興業社長)▽JRバス・万代典彦(ジェイアールバス関東会長)▽公営、川崎市・平野誠(川崎市交通局長)

「入湯税を温泉地整備に」、青森県で初の総会開く(日本温泉協会)

大山正雄会長があいさつ

 日本温泉協会(大山正雄会長、1282会員)は6月20日、青森県青森市の八甲田ホテルで2017年度会員総会を開いた。スローガンとして掲げる「無秩序な地熱開発反対」「入湯税は温泉保護のために」などを喫緊の課題として取り組んでいくことを確認した。

 88年の歴史を持つ同協会は、戦時中の中止を挟み、会員総会は82回目を数えるが、青森県での開催は初めて。大山会長は、「日本の観光の要は温泉文化。昨年5月にG7の財務相会議が宮城県の秋保温泉で開かれ、12月には山口県の長門湯本温泉で日ロ首脳会談が行われた。温泉は重要な政策の場にもなってきた」とあいさつした。さらに「2年後に90周年を迎えるが、会員の増強をはかっていきたい」と述べ、組織の充実と社会的な認知度向上にも取り組んでいく姿勢を示した。

 地熱開発については、「現在、国立・国定公園の自然環境保護の規制を緩和してまで、地熱発電を2―4倍にしようという作業が進められているが、温泉資源を脅かすもの。地熱発電を4倍にしても総電力量の1%にも満たない」と強調した。また、昨年、鹿児島県・指宿温泉で地熱発電の計画が出され、下竹原和尚理事をはじめ、指宿温泉の関係者、日本温泉協会が抗議して中止となった経緯を説明。温泉保護に寄与したと報告した。

 入湯税は「1年間に日本国内で約220億円に達するが、本来の目的である温泉保護ではなく、一般財源に組み込まれているところが多い」と大山会長は指摘。このうえで、「温泉が無ければ入湯税は存在しないもの。温泉地の魅力ある地域の整備などに充てるべき。温泉地が魅力を増せば、リピーターや長期滞在が増え、富を生み出す」との考えを示した。群馬県・みなかみ町では、入湯税の8割に値する1億700万円をみなかみ町観光協会への補助金に充てることが決まったと紹介し、「このような事例が全国に広まってほしい」と語った。

 総会後の懇親会は、酸ヶ湯温泉旅館(青森市)で開いた。

 来年の総会は鳥取県米子市の皆生温泉で開く。

酸ヶ湯温泉旅館の前で

〝瑞風〟の運行開始、各地で温かいおもてなし(JR西日本)

大阪駅での出発式

 西日本旅客鉄道(JR西日本)は6月17日、豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」の運行を開始した。2013年10月に登場した九州鉄道旅客(JR九州)の「ななつ星in九州」、今年5月から運行を開始した東日本旅客鉄道(JR東日本)の「トランスイート四季島」に次ぐ、新世代の豪華寝台列車となる。

 6月17日午前に大阪駅を出発した一番列車(山陰下り1泊2日コース)は京都駅を経由して途中、城崎温泉駅で温泉街散策、萩駅・東萩駅で松下村塾見学などの立ち寄り観光を行い、18日午後、終着駅の下関に到着した。各立ち寄り駅や下関駅では、地元住民らによる温かいおもてなしや歓迎イベントなどが盛大に行われた。

 瑞風は、山陰・山陽を巡る1泊2日の片道4コースと、2泊3日の周遊1コースの全5コースを設定。列車は10両編成で運行。注目は1両すべてを使った「ザ・スイート」。1両1室の構成は世界的にも珍しく、バスタブ付きのバスルームも備える。

 料理は、フードコラムニストの門上武司氏プロデュースのもと、京都「菊乃井」3代目の村田吉弘氏ら7人の食の匠監修による沿線の食材を盛り込んだメニューを提供する。

 料金は、6―8月出発の1泊2日(4コース共通)がロイヤルツイン(2人利用)1人27万円、ロイヤルシングル(1人利用)同33万円、ザ・スイート(2人利用)同75万円。9―11月出発分はいずれも3万円増。

 2泊3日コースは、6―8月出発がツイン同50万円、シングル同62万円、スイート同120万円。9―11月出発分は5万円増。ロイヤルシングルは2人、ザ・スイートは4人まで利用できる。

城崎温泉では地元園児らがお出迎え

【温故知新・松山社長インタビュー】「目的となる宿」の創出を、今後は〝事業継承〟主軸に

松山知樹社長

 富裕層向けの宿泊施設の運営や、旅館のコンサルティングなどを手掛ける「温故知新」(松山知樹社長、東京都港区)は、旅の目的地となる宿づくりを目指している。松山社長に設立の経緯や今後の展開などを聞いた。
【飯塚 小牧】

 ――これまでの経歴を含め、会社設立の経緯や事業内容を教えて下さい。

 私は大阪出身で両親は福井の出です。今は東京ベースで仕事をしているものの、もともと地域への意識がありました。大学進学で上京し、都市計画を専攻しました。その時代、すでに東京一極集中といわれていましたが、都市計画を通じ、都市の目線で地域の在り方を考えていたのです。

 卒業後は外資系のコンサルティング会社に勤めましたが、もう少し実務を経験したいと思い、ベンチャー支援企業の創業に参加しました。20代のころです。

 その後、ご縁があって2005年から星野リゾートにお世話になりました。その年は旅館再生事業が始まった年で、会社全体が転換期のタイミングでした。ゴールドマンサックスとの旅館再生事業の星野リゾート側の責任者として4年ほど携わりました。09年には役員にも就きましたが、以前から実業・ベンチャー指向だったので、自分で会社を立ち上げようと考えました。

 いろいろな選択肢がありましたが、検討すればするほど、旅館やリゾート事業が魅力的に感じられるようになりました。お客様に喜んで頂くことが、すなわち自分たちの利益になる。シンプルで、騙すということがない「いい仕事」です。

 11年2月に旅館を運営するための会社としてたった1人で起業しました。しかし、その1カ月後に東日本大震災が発生し、計画していたプロジェクトがすべて頓挫しました。路頭に迷いそうでしたが、タイミング的に東北の旅館の復興支援のニーズがあり、再生のための計画づくりや改装のサポートを20軒ほど手掛けました。

 今も東北に限りませんが、再生の計画づくりや、売上アップのためのコンサルティング、オペレーションへのアドバイスなどの業務を行っています。

 一方、投資家やオーナー様と組んで、我われが運営するというスキームを組めないかとずっとチャンスをうかがっていました。それが当初の目的でしたので。そんななか、ご縁があり、四国の愛媛県松山市でスモールラグジュアリーホテル「瀬戸内リトリート青凪」を直営することになりました。

 ――瀬戸内リトリート青凪の客層や販売手法などを教えて下さい。

 安藤忠雄氏設計の元美術館をホテルにしました。「安藤忠雄建築」「四国で最高級」「世界初のフルフラット寝湯付き客室」など特徴的な要素もあり、宿自体がデスティネーションになっているという自負はあります。7室の客室はオールスイートで高単価なので、稼働率はまだ6割強ですが、地域に貢献できていると思います。首都圏からのお客様が多く、インバウンドは約1割。中国や台湾、香港だけではなく欧米系も多いです。

 販売についてはOTA(オンライン旅行会社)を積極的に活用しています。自社だけで売るのは容易ではなく、共存共栄だと考えています。

 ――今後も高級宿をメインに運営されますか。

 ラグジュアリー一本槍で考えているわけではなく、ユニークなシナリオを描けるかどうかが大切です。絶景や素晴らしい源泉があるなどです。我われは「その宿に行くこと自体が目的となる宿」の運営を目指しており、その対極はビジネスホテルです。

 ――民泊についてはどうお考えですか。

 一種の流行りのようなもので、メインストリームにはならないと思います。ただ、税金や規制面が公平ではないので、同じ土俵に立ってもらいたいとは思います。また、新法では地域ごとに民泊を受け入れるか決められるようですが、これは地域が何を大切にするのかを問われていると思います。自治体がしっかりすることが大切です。

 ――改めて今後の展望を教えて下さい。

 地域をどう盛り上げていくかという思いが根底にあります。私自身、東京は仮住まい感があり、利便上、やむを得ず住んでいる所があります。地域のためにも目的地となる宿を作り、新しい需要を創出したいと考えます。「ここに来たい」と思っていただける宿を、ほかにはない発想で作っていきたいですね。

 また、今後注目しているのは「事業継承」です。再生事業の需要は一巡したと思っていますが、後継者がいない宿は増加傾向にあります。「再生」ではなく、健全な経営をされている宿のオーナーの「想い」を継ぎながら、さらに発展させていく。一つひとつのユニークさを大切に、オーナーが大切にしていること、宿の中核になっているものを大切に引き継ぐことができるのではないかと思います。

 一方で、投資家に対するリターンがないと事業として成り立たないので、そこはしっかり利益を出していきます。最終的には「戦略の切れ味」が重要で、知恵の勝負だと思います。やり切る気合いを持って取り組んでいきます。

 ――ありがとうございました。

観光バス碧号、誕生、眺望にこだわった空間(クラブツーリズム)

「碧号」誕生

 クラブツーリズムから7月1日、ロイヤルクルーザー四季の華の新車両「碧号」がデビューした。クラブツーリズムが展開するツアー「ロイヤル・グランステージ」で使用する。窓の上についていた荷物棚を取り外し、座席の前にデスク型の木製の手荷物置きを設置。視界を遮らない空間設計を行うなど、〝眺望〟にこだわった快適な空間に仕上げた。

 ロイヤルクルーザー四季の華の10周年記念となる同車両。担当者は、「一度お乗りいただいたら、普通のバスツアーには戻れなくなる」と意気込む。今後は関西地区と東海地区でも同型のバスを導入する。

 座席数は添乗員席を含め19席のみ。座席には1人1台、NTTドコモ提供のタブレットを用意している。添乗員が撮影した旅行中の写真の共有と、車内プリントが可能。添乗員のタブレットと同期させることで、参加者全員に同じ案内もできる。また、音楽配信サイトを利用でき、移動中に好みの音楽が楽しめる。今後は、テーマ別ツアー時の専門家による講座開講などへの活用も検討している。

 トランクには、ツアー中に購入したお土産などを収納する個人用ロッカーと、大型冷蔵庫を設置。移動中も広々とした車内空間を維持できるよう、工夫を施した。

荷物棚を外し眺望にこだわった車内

【6月23-24日】郡上おどりin青山、秩父宮ラグビー場で開催

1郡上おどりin青山H28
「郡上おどりin青山」は本場同様、小雨であれば踊り続行
(昨年雨天時のようす)

 東京都・青山外苑前の秩父宮ラグビー場駐車場で6月23、24日の2日間、岐阜県郡上市の伝統的な盆踊り「第24回郡上おどりin青山」が開催される。

 同イベントは、岐阜県郡上八幡城主・青山家の江戸屋敷があったことが地名の由来である「青山」にちなみ、同地で毎年開催している。郡上おどり保存会によるお囃子にあわせて、本場同様の盆踊りを体験できる青山の初夏の風物詩。会場では踊り開始前に郡上おどり保存会による講習会が開かれ、午後5時―同8時(24日は同8時30分)まで「郡上おどり」が行われる。

 両日とも午後1時からは観光物産展も開き、郡上鮎の塩焼きをはじめ、明宝・明方ハム、郡上八幡サイダー、地酒や地ビールなどの物産品を販売する。入場は無料。雨天決行。

 そのほか観光案内所を設け、郡上や岐阜県を目的地とする観光案内と旅行パンフレットの配布など、誘客アピールにも注力する。

 本場の郡上おどりは7月8日―9月2日まで、郡上市内各地を会場に開かれる。旧盆の8月13―16日の4日間にイベントの最高潮を迎え、数万人の踊り子が「徹夜おどり」で夜通し踊り明かす。

【イベント概要】
■期 間 : 6月23日(金)~6月24日(土)
■時 間 : 午後1時~午後8時(23日は午後8時30分まで)
■会 場 : 秩父宮ラグビー場・駐車場
      (東京都港区北青山2-8-35) 
■交 通 : ・東京メトロ銀座線「外苑前駅」徒歩5分
      ・JR「千駄ヶ谷駅」、「信濃町駅」徒歩15分
      ・都営大江戸線「青山一丁目駅」徒歩10分

3郡上おどりin青山H28
飛び入り参加も大歓迎

■予 定 
開催日:6月23日(金)
 ◎郡上物産展 販売開始
  午後1時~踊り終了まで
 ◎踊り講習会
  午後4時30分~ 
 ◎郡上おどり 開始
  午後5時~ 
 ◎お楽しみ抽選会
  午後7時30分~ 
 ◎踊り終了
  午後8時30分  

郡上鮎の塩焼きは絶品
郡上鮎の塩焼きが絶品

開催日:6月24日(土)
 ◎郡上物産展 販売開始
  午後1時~踊り終了まで
 ◎子供踊り講習会
  午後3時45分~
 ◎一般踊り講習会
  午後4時30分~ 
 ◎郡上おどり 開始
  午後5時~ 
 ◎お楽しみ抽選会
  午後6時45分~ 
 ◎踊り終了
  午後8時 

民泊年間で〝ゼロ泊も〟、早ければ年明けに施行、民泊新法が成立

田村長官「自治体の判断」

 住宅宿泊事業(民泊)法案が6月1日の衆義院本会議で可決、9日に参院本会議で採決され法案が可決・成立した。今後は政令・省令の制定、各都道府県の条例が検討され、早ければ年明けに施行。住宅を有料で貸し出す民泊サービスが全国で行えるようになる。民泊事業者には届出制と、管理・仲介事業者に登録制度を設ける。宿泊日数は都道府県などが条例で期間を制限できる。旅館・宿泊業界らが陳述などを続けてきたが、政府は年間〝ゼロ泊〟も認める考えだ。
【平綿 裕一】

 観光庁の田村明比古長官は5月31日の国土交通委員会の質疑で年間ゼロ泊について、「最終的には自治体の判断」との見解を示した。

 民泊事業者は都道府県知事(保健所設置市などはその長)に届け出れば、180日を超えない範囲で民泊ができる。訪日外国人観光客に対しては、設備使用方法や交通手段を外国語で案内しなければならない。

 騒音防止や周辺地域の生活環境への悪影響防止に関しても説明を義務付けている。周辺住民からの苦情対応も素早く的確に行う旨を定めた。

 家主不在型民泊の場合は管理事業者に事業を委託する。管理事業者は国土交通省に、仲介事業者は観光庁に登録し、それぞれ5年毎に更新しなければならない。国交省と観光庁ともに、登録を取り消す権限も規定した。

 ゼロ泊に関して田村長官は「1年間365日すべてを制限するのは適切ではない。合理的に必要と認められる限度は、地域の実情がさまざまであるので、法令で一律に定めるのは困難」としながらも、「最終的には自治体の判断になる」と述べた。年間でゼロ泊が認められれば、民泊を禁止できる地域もでてくる。

 一方で、罰則強化が盛り込まれた旅館業法の一部改正法案は未だ成立していない。3万円から100万円と大幅な罰則金の引き上げがなければ、ヤミ民泊への抑止力が失われる。法案成立が急がれる。

最短・最速ルートではない旅 ― 自分の内面と向き合う時間を求める

 スペインの北西端部に位置する都市サンティアゴ・デ・コンポステーラは、エルサレム、バチカンと並んでキリスト教の3大巡礼地。フランス各地からピレネー山脈を越えて、終着地の大聖堂を目指す人々が後を絶たない。1千キロを超える巡礼路を徒歩や、自転車で向かう。まだ歩いたことがないが、私自身このサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路は、ずっと心にひっかかる何かが存在している。

 日本にも、四国八十八ヶ所巡礼をはじめ、熊野詣、善光寺参りなど、各地に巡礼路が存在する。もともと宗教的な意味を持つ巡礼路だが、今はさまざまな理由から、巡礼路を辿る人も多い。一歩、一歩、長く厳しい道のりのなかで、自分の内面と向き合う時間を求めているのだろうと思う。

 現在の旅は、目的地に「より早く」「より快適に」到着することが一つの価値となっている。2015年3月の北陸新幹線金沢開業もこれを象徴する代表例である。東京から最短で約2時間30分で金沢の地に足を踏み入れることが可能になった。開業後、私も何度か金沢を訪れる機会を得たが、「本当に近くて、便利になった」という印象を強く受けた。その反面で、かつて感じていた北陸・金沢への深い旅情が若干薄れてきたことも、正直なところ感じている。

 先日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の第95回全国大会が、金沢駅前の石川県立音楽堂で開かれた。大会前日には、和倉温泉・ゆけむりの宿美湾荘で前夜祭が行われた。美湾荘から石川県立音楽堂までは、貸切バスで移動したが、その途中の羽咋市にある千里浜なぎさドライブウェイに立ち寄った。

 千里浜なぎさドライブウェイは、約8㌔に渡る砂浜の波打ち際を、自動車やバイク、観光バスなどが走ることができる能登半島を代表する観光名所でもある。そして知る人ぞ知る、SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)のゴール地点でもある。

 日の出を太平洋側で確認したあと、オートバイに乗って日本海側にある、千里浜なぎさドライブウェイで日の入り(夕日)を眺めるというイベント。オートバイによる史上初の北極点・南極点到達や、パリ・ダカールラリーにも参戦した冒険家の風間深志さんがプロデュースし、今年は5月20日に行われた。全国から約2400人がこの類稀な砂浜の道でゴールを迎えた。日没までという限られた時間の中で、参加者はそれぞれのルートを自分で決め、ゴールに向けて走る。「いかに道中を楽しみ、無事にゴールに辿り着けるか」が問われ、「参加者の優劣を競うのではなく、無事にゴールに辿り着いたライダーは等しく勝者」という精神がいい。

 放浪と異なり、旅には、目的地が必要である。どこかにその目的地がなければ、帰ってくることはできない。家を出たときには、明確な目的地がない場合もある。旅の途中で、「ここが目的地だったんだ」と気づく旅もあるかもしれない。一方、目的地は決まっているが、そこに向かう道が決まっていないケースもある。そして、目的地に2時間30分で到着できるのに、わざわざ厳しい道を選ぶ旅もある。ナビゲーションシステムを使えば、最短・最速ルートは瞬時に検索できる。しかし、そこから外れた、豊かな旅のルートを設定するのは、やはり自分である。

(編集長・増田 剛)