教育旅行4割が民泊、〝安心・安全〟の体制強化へ(沖縄県)

民泊のほか、施設の魅力などもPR
糸数勝課長

訪れる学校の約4割が民泊を体験する沖縄県では、安心・安全で教育的価値の高い「教育旅行民泊ブランド」の構築に取り組んでいる。

沖縄県と沖縄観光コンベンションビューローは8月8日、首都圏で毎年開催している修学旅行フェアで、学校関係者や旅行会社、修学旅行関係団体などに、改めて民泊に関わる取り組みを説明。沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課の糸数勝課長は「教育旅行民泊」の利点として、「子供たちの人間関係が希薄だといわれるなか、家主と寝食をともにし、コミュニケーション力や社会性を育める点が評価されている」と語る。同県は今年5月に取扱指針を策定。受入団体を中心に、登録受け入れ民家の体制強化を進めている。

しかし、依然として保護者からは安全面を心配する問い合わせが多い。各ブースでも受け入れ団体関係者が、事例を踏まえながら、安全性を強調した。

「教育旅行民泊」は、家主など生徒を管理監督できる人が同じ建物内に就寝するので、緊急時にも対応できる。

受け入れ民家は、旅館業法に基づく簡易宿泊所営業許可の取得など関係法令の遵守を行う。救急救命講習などの各種研修の受講も課せられている。また、家業体験など地域特性を生かした体験学習の提供も必須となる。対して、民泊受け入れの窓口になる受入団体は、コーディネーターの配置や、受け入れ民家向け講習の実施などを行う。

「エリア完結型」で充実した学習機会を

従来の沖縄修学旅行は、南部―中部―北部地域を周遊する旅程を組むことが一般的だが、移動時間が長く、コストがかさむという。

これに対して糸満市や那覇市、南城市などの観光協会は、「南部地域完結型修学旅行プラン」を提案。移動時間と費用を約3分の1に抑え、充実した旅程を組めると参加者らに説明した。

南部地区は、18キロ圏内に世界遺産「首里城」や「斎場御獄」「ひめゆり平和祈念資料館」などの観光施設が集中していて、平和・文化学習を効率的に行える。現地ガイドと一緒に回るツアーも豊富で、地域住民らとの体験型交流を通じ、生徒の生きる力を育めるのが強み。

レンタカー事故防げ、外国人にピンポイント対策(国交省)

 国土交通省は急増する訪日外国人のレンタカー利用による事故を未然に防ぐ取り組みを始める。道路側のアンテナと通信できるETC2・0で急ブレーキデータなどを収集し、外国人特有の事故危険箇所を特定。多言注意看板などでピンポイント事故対策をはかる。レンタカー事業者や観光部局、警察らと連携して今秋から順次開始する。

 背景に外国人レンタカー利用と事故件数の増加がある。国交省によると、外国人レンタカー利用は2011―15年の5年間で約4倍に増え、70万人を突破。一方沖縄県では外国人レンタカーの事故件数は14―16年で約3倍と急増し、1万件近くに上る。

 ピンポイント事故対策の肝となるデータ収集は、沖縄は17年5月から、九州は16年9月から開始。外国人が運転した際の急ブレーキデータは計86台となった。

 今後は訪日外国人観光客のレンタカー利用が多い地域を5地域ほど選定。秋ごろに、カラー舗装やピクトグラムを活用した標識、多言語パンフレット・注意看板など、事故危険箇所にピンポイントの事故対策を打つ。

急増する利用者と事故件数

情熱もつ旅人応援、需要変化に対応、CPも(ブッキング・ドットコム)

(左から)チェナー氏、若槻さん、FUJIWARAの2人

 ブッキング・ドットコム・ジャパンは8月29日に、「情熱トラベラープロジェクト」を始めた。旅先などが決まったパッケージ旅行でなく、情熱をもち旅する人を応援する。この一環で宿泊券が当たるキャンペーンやアワードも発表した。

 「情熱をもって旅行する醍醐味や楽しさをより多くの人に広めたい」。ブッキング・ドットコムのロバート・チェナー営業部長は、同日に開いた会見で同プロジェクトの意義を語った。

 プロジェクトの告知も兼ねてCPを同日に開始。SNS(交流サイト)のインスタグラムとツイッターで、指定のハッシュタグ(「♯Booking情熱トラベラー」など)を付けた投稿を募る。投稿には実現したい情熱の内容、泊まりたい施設の名称・画像を一緒に載せてもらう。抽選で国内外の宿泊施設3泊4日分の宿泊券をプレゼントする。

 プロジェクトの情報発信も工夫する。食やファッション、写真、芸術の各専門分野で活躍する4人の「情熱トラベラー」を登用。4人は自身の情熱を実現するためさまざまな国を旅する。このようすを10月以降、ユーチューブ(動画サイト)などで観られるようにする。旅への意欲を喚起する狙いだ。

 同日の会見では「情熱トラベラーアワード」を発表。タレントの若槻千夏さんが受賞した。古着の買い付けなどで、海外に情熱をもって旅をした点などを評価したという。

 若槻さんは「海外を1人で旅をする経験で得るものはたくさんある。旅は人を成長させるもの」と述べた。受賞後はお笑い芸人のFUJIWARAの2人も登壇し、会場を盛り上げた。

 近年、LCC(格安航空会社)が多く就航し、とくに海外の1人旅は増え、需要も変化している。

 国土交通省によると、航空会社112社の17年国際定期便の夏季スケジュールでは、16年冬季比で週当たり84便増。全旅客便数に占めるLCC比率が23・6%で、過去3年6期の平均成長率は約17%と大きく伸びている。日本人出国者数も17年に入り、7月までで4月以外は前年を超えている。これに伴う1人旅増加のニーズを取り込むため「今後もこのプロジェクトを第2弾、3弾と続けていく」(広報部)と話す。

ホテル観洋が大賞、語り部バスの取組評価(ジャパン・ツーリズム・アワード)

語り部バスの案内風景

 ツーリズムEXPOジャパン推進室はこのほど、第3回ジャパン・ツーリズム・アワードの各賞を発表した。大賞は国内・訪日領域から、宮城県・南三陸ホテル観洋(阿部長商店)の「『震災を風化させないための語り部バス』による地域交流活性化の取り組み」が受賞した。阿部憲子女将は「私たちの思いを今後も発信していくための大きな励みになった」とし、「大賞受賞の栄誉を胸に一層地域の発展に努めたい」と喜びを語った。 

 同賞は「持続可能な観光への取り組み」をテーマに募集。取り組みの持続性や発展性を重視しており、連続応募や連続受賞できるのが特徴。今回は昨年の158件を大幅に上回る239件の応募があった。カテゴリーは国内・訪日領域と海外領域、UNWTO(国連世界観光機関)部門の3つ。領域内に各部門が設定されており、今年から「メディア部門」を新設した。

 国内・訪日旅行領域の優秀賞はビジネス部門でパークホテル東京の「アーティスト・イン・ホテル プロジェクト」が受賞。地域部門は大歩危・祖谷いってみる会(徳島県)の「秘境山間地のインバウンドへの取り組み」と、田舎館村むらおこし推進協議会(青森県)の「田んぼアート」が選ばれた。審査委員会特別賞は東北6県と東北観光推進機構の「デジタルコンテンツプロモーション」。また、ビジネス部門と地域部門で部門賞をそれぞれ19点のほか、奨励賞や努力賞数点を選出した。メディア部門は九州朝日放送の「『福岡恋愛白書』海外番販の取り組み」など計7点が選ばれた。

 海外領域の優秀賞はJTBワールドバケーションズの「ハワイにおける顧客利便性の圧倒的拡大を目的とした『’OLI’OLI』 ブランドの確立とマーケットニーズに正対した独自のインフラ・サービスの継続的開発」。審査委員会特別賞は日本放送協会の「BSプレミアム『世界ふれあい街歩き』」が受賞した。

 UNWTO部門賞は全国産業観光推進協議会の「『産業』が『観光』になる~全国産業観光推進協議会の取組み~」が受賞した。

【谷中散策ツアー同行】訪日客へ着地型提供、地域ならではの体験を

スタートはJR日暮里駅。一番左が、ガイドを務める野澤雅春氏

 2017年5月、訪日外国人旅行者(インバウンド)数は過去最速で1千万人を突破した。拡大が続くインバウンド市場ではどのようなビジネスが展開されているのか。着地型観光サービスを提供する、ベンチャー旅行会社、トリップデザイナー(坂元壮代表、東京都台東区)の「谷中散策ツアー」に同行。ツアー内容や造成理念といった、受入方法の具体例を紹介する。ツアー参加者は米国からの旅行者4人。通訳案内士である野澤雅春氏がガイドを務め、谷中と根津(ともに東京都台東区)を案内してくれた。
【謝 谷楓】

 ■コンテンツ重視のベンチャー旅行会社

 「手配をしているという意識はない」と力を込めるトリップデザイナーの坂元代表。インバウンドビジネス拡大に注力するやまとごころ(村山慶輔代表)主催のセミナーへの参加を重ね、2016年に同社を設立した。業務内容は、訪日旅行者向けの着地型観光サービス。地域を深く掘り下げるオプショナルツアーの造成と販売、ガイドを担う。約60人のガイドが全国でサービスを展開する。

 重視しているのは、地域ならではの体験と、日本特有の文化や歴史を感じられるコンテンツ。造成時には、海外で発行されるガイドブックを参考にするほか、ツアー参加者やSNS(交流サイト)での口コミも重視する。「外国人旅行者の気に入るポイントはどこかを意識するなど、工夫を欠かさないよう心がけている」と、坂元代表は強調する。販売は、自社Webサイト「OMAKASE」と、海外旅行代理店を通じて行う。

真剣な表情で聴き入る参加者

 ■ニーズに合ったコンテンツを用意

 同行した「谷中散策ツアー」の価格は約9千円。代理店経由でも価格はほとんど変わらない。午前9時に待ち合わせ場所・JR日暮里駅に向かうと、ガイドの野澤氏が笑顔で出迎えてくれた。英国駐在経歴を持つ同氏は、流麗なブリティッシュイングリッシュで、既着の参加者らと談話しているようす。業務時、大切にしていることはという質問に対し、「ともすると、一方的なレクチャーになりがち。参加者の性質を理解したうえで、質問のしやすい環境づくりが何よりも大切だ」と答える野澤氏。参加者の性格やニーズの把握も、談話を通じ行う。

 今回の参加者の特徴は、歴史と文化に関心が高い点。当日は、「谷中銀座」といった観光スポットと比べ、「谷中霊園」や「天王寺」「根津神社」といった日本の伝統・慣習に触れる機会の多いスポットでの滞在時間が長かった。野澤氏は、同じツアーコースを辿るにしても、参加者の趣味嗜好を把握したうえで、時間管理をすることが大切だと教えてくれた。「卒塔婆」や「神仏習合」「天皇退位」「鎖国」など、比較的ディープな話題を取り上げていたのが印象的。参加者の真剣な表情を見ると、一人ひとりのニーズを満たすガイドに徹していることが良く分かる。

根津神社では、手水舎にも立ち寄り、身を清めた

 ■受入体制の整備担う

 来訪先の国・地域によって、興味関心はさまざま。同社では研修会を開き、ニーズを受けとめるガイドテクニックのさらなる向上を目指す。

 20年の訪日客4千万人を目指し、海外での周知活動が加速するなか、国内での受入体制整備も疎かにできない。観光ガイドを担う同社は、具体的な受け皿のとして機能しており、存在感が高まりそうだ。

2018年の観光予算 ― 数値目標達成より難しい課題にも

 観光庁は2018年度予算の概算要求の概要を発表した。東北の復興(復興枠)を含めて、17年度予算比で16%増の298億円を要求する。次号で詳しく紹介するが、事業は主に3本の柱で構成されている。

 (1)訪日プロモーションの抜本改革と観光産業の基幹産業化(2)「楽しい国 日本」の実現に向けた観光資源の開拓・魅力向上(3)世界最高水準の快適な旅行環境の実現――で、簡単に言えば、「誘客」「魅力向上」「快適な環境整備」事業に分類される。

 03年に小泉純一郎首相が「観光立国懇談会」を主宰し、訪日旅行を促進するビジット・ジャパン事業がスタート。06年12月に観光立国推進基本法が成立し、08年10月に観光庁が設置された。日本の観光政策が大きく動き出した時期だ。その当時と比べ、現在の観光振興政策は大きく前進した。自治体の首長の多くも、観光政策の重要性に言及するようになった。

 観光立国の大きな柱である訪日外国人客数も03年には521万人だったが、16年には2404万人へと飛躍的に増加している。今後も2020年に4千万人という目標に向け、誘客プロモーションと、観光資源の開発・魅力向上、快適な旅行環境の整備に取り組んでいくことになる。

 しかし、数値目標達成に向けた努力が成果を上げる一方で、さまざまな新しい課題も表面化してきている。

 とくに、人気観光地においては、世界各地で収容力を超える観光客が押し寄せてくることによって、地元住民らの生活に支障をきたし、「もうこれ以上観光客に来てほしくない」と願う現象も生じている。日本でも一部の人気観光地ではそのような現象がみられる。

 例えば、首都圏や関西圏などの宿泊施設の不足を理由に、住宅宿泊事業法という新たな法律を制定。「民泊」という宿泊スタイルを推進していく流れも本格化する。大きなニーズがあるから、それに対応した施設が生まれ、産業として成長していくのは自然な流れであるが、経済効果が見込まれるからといって、門戸を開けすぎて、それが地域住民のストレスになるようでは、観光立国のあるべき姿からは遠ざかってしまう。

 18年度概算要求の事業内容を改めて見ると、それぞれの事業は、(1)とくに外国人観光客がどうしたら日本に関心を持ってもらえるか。(2)日本にはすぐれた観光魅力があるので、もっと発見して磨きあげよう。そして、③せっかく訪れていただいた観光客が、言葉が通じなかったり、案内不足のためにストレスを感じたり、不便に思うことがないように整備しようというのが大きな柱となっている。

 とりわけ3つ目のような心配りは、日本人の美徳である。観光立国を目指し始めて日が浅い日本は、まだまだ至らない部分が多い。せっかく遠くから来ていただいた外国人観光客にストレスを感じるようでは申し訳ないと、急ピッチで改善していくのはいいが、“やり過ぎてしまう”傾向もある。

 東京五輪開催まで3年を切った。16年の訪日外客数2400万人の1・6倍以上の4千万人が数年後に訪れるようになると、さらに多くの混乱や軋みが生まれることが予想される。数値目標達成よりも難しい、規制や需要の平準化などの課題にも真剣に対応していく時期にきている。

(編集長・増田 剛)

業界に大きな影響なし、自治体ツアー「業法適用外」(田村長官)

 観光庁は、自治体が行うキャンプツアーや、ボランティア団体による被災地へのバスツアーについて、一定の要件のもとでは、「旅行業法の適用外とする」と通知。これによる旅行業界や地域の旅行会社への影響について、田村明比古長官は8月16日の会見で「いわゆる〝空白地帯〟だった部分で、旅行業界には大きな影響は与えないと考えている」と述べた。「とくにボランティアツアーは緊急性や、公益性といった観点で、空白の部分を埋めてもらう役割がある。ボランティア団体にも、役割を果たしてもらいたい」との考えを示した。

 観光庁は7月28日に2つ通知を出した。1つ目の自治体が行うキャンプツアーなどへの通知は、「旅行業法上の取り扱いの解釈を明確にしたのがポイント」と話した。これまで問題なく行われてきたツアーが、「旅行業法違反ではないか」という一部の指摘を受けて、「自治体が解釈に迷って自粛してしまうという動きがあった」として、田村長官は「営利性、事業性がなく、日常的に反復、継続して行われるものではないものについては、もともと旅行業法違反ではないと示した」と説明。

 一方、緊急時におけるボランティア団体による被災地へのバスツアーに関しては、「大勢のボランティアが被災地に行って復興支援をするというニーズがある。この部分を旅行会社がすべて対応できたかと言えば、そうではない」とし、「旅行会社にも引き続き役割を果たしてもらいながら、ボランティア団体などによるバスツアーも役割を果たすことが重要」との考えを示した。さらに、「旅行業界の方々とも十分に議論してきたが、『民業圧迫だから反対』という話はなかったと認識している」と述べた。今後、分かりやすくQ&Aを作成し、観光庁のホームページにも掲載。自治体にも提示していくと語った。 

弁済制度引き上げ、8月にとりまとめ

 「てるみくらぶ」問題の再発防止策として弁済制度の負担金の引き上げを検討していることには、「8月中には最終的な対策をとりまとめていきたい」と語った。

 また、北朝鮮問題を受け、グアムへの旅行の影響については「特段際立った影響が出ているとは聞いてない」と報告した。

 さらに、観光庁の組織拡充を受けて18年度予算は、「政策の大きな柱について相応の拡充はしたいと思っている」と意気込みを語った。

 観光立国に向けた、新たな財源確保に向けた出国税に関しては、「幅広い選択肢を検討している状況」と述べるにとどまった。

No.470 福祉×経営課題、障害者支援が宿を助ける

福祉×経営課題
障害者支援が宿を助ける

「障害者差別解消法」の施行に伴い、受入体制の確立を目指す宿は多い。一方、ハンディキャップを持つ人の就労支援に着目した活動は未だ珍しい。就労継続支援B型事業所「愛’s」と連携し、「人件費削減と人材不足の解消」を果たした割烹旅館「清都」(千葉県南房総市)の清都みちる女将を訪ねた。今年、第20回「人に優しい地域の宿づくり賞」(主催=全旅連)で厚生労働大臣賞を受賞した同館。「愛’s」管理者の小宮庸宏氏との対談のなかで、活動について語ってくれた。

【謝 谷楓】

 

 ――就労継続支援B型事業の目的は、「雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会を提供」すること。割烹旅館清都では昨年から、就労継続支援B型事業所「愛’s」と提携し、人材不足や人件費削減といった課題を解決してきました。

清都:ボランティアイベントでの出会いがきっかけとなって、障害を持つ「愛’s」利用者らの就労受け入れ活動に取り組んでいます。

これまで、全盲になった親友との交流や、特別支援学校との関わりなど、障害を持つ方と接する機会は多くありました。専務である息子も、ブラインドサッカーの運営経験を持っています。試合では、選手らが勇気と感動を与えてくれます。ハンディキャップの有無は関係ありません。

目が見えないからできない、障害を持っているからできないと考えるのではありません。各々ができることを行い、障害者と健常者が協力し合うことで、チームワークは生まれます。仕事でも同じです。

〝障害=個性〟であり、障害者と健常者が同じフィールドに立つノーマライゼーションの必要性も理解しています。

小宮:「清都」では、指導員による引率のもと、3人1チームとなって清掃の仕事に臨んでいます。女将や専務、社長をはじめ、宿スタッフとの関係も良好だと聞いています。

健常者と同様に扱ってもらえる。難しいことですが、「清都」は実現してくれました。

清都:経営者と労働者、障害者と健常者、それぞれ双方が互いを尊重し合う関係が信頼につながります。障害者と健常者にかかわらず、「使ってやっている」という考えを、経営者に持ってほしくありません。

人件費と人材不足の課題解決を果たせたのは、清掃作業に取り組む「愛’s」利用者のおかげです。助けてもらっているのだということを常に意識しています。

小宮:人件費や人材不足など、就労継続支援B型事業所と手を組むことで解決できる課題は少なくありません。そのことに、経営者が気づきつつある印象を受けています。

 ――詳しく教えてください。

小宮:「清都」の場合、障害を持つ「愛’s」利用者が受け取る作業費は、1人1時間で250円。健常者の最低賃金は842円(千葉県、2016年10月発行)ですから、企業の負担は3分の1以下で済みます。個人差や得手不得手があるため、生産性では健常者に敵わない場合もありますが、人数を多く導入すれば解決できることです。

「清都」のように、健常者である指導員のもと3人が1チームとなって作業に当たれば、企業が負担する人件費は、県が定める健常者の最低賃金を少し下回ります。

賃金ベースで考えれば、企業は生産性を上げることが可能なのです。

清都:客室とお風呂の清掃を任せていますが、とても丁寧で行き届いた仕事は、お客様からも好評です。…

 

※ 詳細は本紙1681号または9月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

来年1月4日に施行、ランオペに登録を義務化(改正通訳案内士法)

 6月2日に公布された通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律が、18年1月4日に施行される。これにより、資格の有無にかかわらず、報酬を得て通訳案内ができるように緩和される。一方で国家資格を有する通訳案内士は、「全国通訳案内士」と「地域通訳案内士」の名称を独占し、定期的な研修を受けることが義務づけられ、無資格者との差別化をはかる。

 また、旅行の安全や取引の公正を確保するため、ランドオペレーター(旅行サービス手配業者)の登録制度を創設し、観光庁への登録が義務づけられる。

 8月15日に閣議決定された政令では、「全国通訳案内士」が、定期的に受講する研修の実施機関の登録有効期間を3年に定めた。なお、案内士の研修は、必ず5年に1度は行うこととする見通し。

 ランドオペレーターの登録制度では、ランドオペレーターの主たる営業所を管轄する都道府県知事が事務を担う。一方、報告徴収・立入検査は、観光庁長官も行うことができる。

 田村明比古観光庁長官は16日の会見で、「施行に向けて準備を加速していく」とし、新設される「地域通訳案内士」などの説明会は、8月から運輸局単位で実施すると述べた。創設されるランドオペレーター登録制度への申請受付については「各都道府県の準備ができ次第開始する」予定だ。

「安心してグアムへ」、北朝鮮問題で〝安全〟強調、、グアム政観局長が来日

ジョン・ネイサン・デナイト局長

 グアム政府観光局(ジョン・ネイサン・デナイト局長兼CEO)は8月21日、北朝鮮問題について、正確な情報を発信するため東京都内で会見を開いた。デナイト局長は「警戒レベルは平常から上がっておらず、グアムは安全。現地は日常の生活を送っている」と強調。安心してグアムへの旅行を楽しんでほしいと呼び掛けた。

 グアムへの観光客は日本人が最多で45%を占める。2016年の全体の訪問者数は153万5410人で、このうち日本人は74万5691人だった。また、8月はグアムにとって繁忙期で、16年8月の全体訪問者数は14万4758人と過去最高を記録した。今年は北朝鮮問題があるなか、8月1―15日の訪問者数は前年同期比約3%増で推移。短期的に大きな影響は出ていないという。

 一方、秋は修学旅行の時期を迎えることなどから今後の影響を考慮し、来日して安全性をアピールした。デナイト局長は「国土安全保障・市民防衛室によると危険性は0・00001%」と言及。準州知事室や国土安全保障・市民防衛室は米軍から毎日情報提供を受けているほか、万が一の脅威に対しては、何層もの防御システムが整っていること、日本や韓国のパートナーシップがあることを安全性の根拠にあげた。

 同日は、レイモンド・テノリオ準州副知事も来日し、ドナルド・トランプ大統領から知事へ「ホワイトハウスが北朝鮮を厳重に監視しており、グアムは十分に保護されている」と連絡があったことなどを紹介した。