成田国際空港4月、外国人旅客が最多225万人に 桜やイースター休暇で

2025年6月3日(火) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)5月29日(木)に発表した2025年4月の国際線の外国人旅客数は、前年同月比19%増の225万1052人と過去最高だった。桜のシーズンや欧米のイースター休暇などで好調に推移した。

 総旅客数は、同9%増の345万9137人。国際線の総旅客数は同13%増の291万6843人。このうち、日本人旅客数は同9%増の54万9937人だった。

 国内線旅客数は同9%減の59万4866人。

 総発着回数は同6%増の2万870回。このうち、国際線は同10%増の1万7033回、国内線は同9%減の383回となった。

 田村社長は「5月下旬~6月上旬に連休である端午節を迎えるため、中国を中心にインバウンドは堅調に伸びるだろう」との見通しを示した。

中国前年比59%増 GWハワイも好調

 5月1(木)~24日(土)の国際線出国旅客数は同19%増の102万1600人。このうち、中国線は同59%増の16万7700人。香港線は同9%増の8万7300人。韓国線は同4%増の18万4100人。

 田村社長は「労働節で中国線の旅客が増加した」と説明。アウトバウンドについては「ゴールデンウイーク期間中、ハワイなどのリゾートや韓国などの近距離アジアの需要が増えた」と語った。

教育旅行先で注目 今年度5000人受入も視野 和歌山・日高エリア1市6町

2025年6月3日(火)配信

魚さばき体験(民泊体験会)

 和歌山県の中部、紀中地域に位置する御坊市、美浜町、日高町、由良町、印南町、みなべ町、日高川町の1市6町からなる日高エリアが、官民一体となった教育旅行の誘致に力を注いでいる。2025年度の同エリアへの教育旅行の予約は好調に推移しており、受入人数が過去最高となる見通し。23年度に記録した3906人を超え、5000人到達も視野に入れる。

【土橋 孝秀】

◇    

 日高エリアでは21年に官民が連携した教育旅行の誘致態勢を構築した。同年2月に行政主導で設立した「御坊日高教育旅行誘致協議会」と、同年3月に発足した旅行会社や学校からの問い合わせ・予約対応など総合窓口を担う民間団体「紀州体験交流ゆめ倶楽部」が連携し、受入態勢を整備してきた。

民泊体験会での交流のようす

 地域資源を活用した豊富な体験コンテンツと、家庭的な交流の場となる「民泊」が充実していることが特徴で、学校関係者からの評価が高いという。農業や漁業、林業、狩猟など自然と共生する地域ならではの実地体験を通じて、自然との関わりや生きる力を育む学びの場となっている。加えて、15年、国連食糧農業機関(FAO)によって世界農業遺産に認定された「みなべ・田辺の梅システム」をテーマにした探求型学習も注目を集めている。

 学校や旅行会社へのプロモーション活動が実を結び、教育旅行先としての知名度が徐々に高まりつつある。22年度の受入人数は2696人だったが、23年度には3906人(うち海外522人)へと大幅に増加。24年度は南海トラフ巨大地震臨時情報の発表の影響などで3210人とやや減少したが、25年度は旅行費用の高騰で遠方を敬遠する動きがあり、関西圏の学校を中心に、埼玉や神奈川県など関東の高校からも予約が増え、5千人近い受け入れを見込んでいる。

 こうした拡大の背景には、地域一体となった受入態勢の充実に加え、質の高い体験コンテンツと、家族の一員のように温かく迎え入れる民泊の存在がある。

熊野古道道普請

 体験コンテンツの農業体験ではミカンや紀州南高梅の収穫や農作業を体験し、食の大切さを体感できる。漁業体験では地引網や漁船クルーズ、干物づくりなどを通じて、古くから海とともに生活してきた人々の生業を学ぶ。さらに、間伐や狩猟体験のほか、各種手作り体験や郷土料理教室を含めると60種類以上の豊富なメニューがそろい、オーダーメイドのアレンジにも柔軟に対応しているのが特徴だ。

 なかでも最近力を入れているのが、みなべ町と隣の田辺市で受け継がれてきた世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」を通じた学びだ。急斜面を利用して薪炭林を残しながら梅林を配置し、400年にわたり高品質な梅を持続的に生産してきた農業システムで、その特徴や次世代への課題などを総合的に学べる。探求型学習を重視する昨今の学習指導要領とも合致しており、学校側からのニーズも高い。

 民泊はエリア内で現在70軒が登録されている。一緒に食卓を囲み、ときには農作業を手伝ったり、周辺スポットを巡ったりと短い時間のなかで心温まる交流が生まれ、別れを惜しむ児童・生徒の姿も見られるという。

 協議会やゆめ倶楽部は、民泊の登録軒数の拡大が、教育旅行のさらなる受入拡充に不可欠として、地域の小学生を対象とした「民泊体験会」を例年夏休み時期などに実施。受け入れる家庭の新規掘り起こしに力を入れ、将来的に民泊100軒体制の構築を目指す。実現すれば一度に150人を超えるような団体も受け入れ可能になる見込みだ。

 一方、海外からの受け入れも積極的だ。これまでマレーシアや台湾などアジア各国からの受け入れ実績があり、日本の農村文化や日常生活を体験できる場所として評価されている。

 今年4月にはリニューアルした専用パンフレット「和歌山県日高エリア教育旅行 日高が選ばれる5つの理由」を発行。A4判全8㌻で、地域で提供する多彩な体験メニューや受入態勢を紹介している。

 県日高振興局の小路哲生局長は「探求型学習をテーマにした体験メニューの充実と、受入環境の整備に力を注いでいる。教育旅行の行き先として日高エリアを選んでいただきたい」と話している。

阪急交通社が「夏&秋たびセール」 6月4~17日に航空機商品をWeb販売

2025年6月2日(月) 配信

航空機利用編「夏&秋たびセール」

 阪急交通社(酒井淳社長、大阪府大阪市)は6月4日(水)~17日(火)までの2週間、Web限定の「夏&秋たびセール」航空機利用編を実施する。全国41空港発着の大型キャンペーンで、8月1日~10月31日までの出発日が対象。販売開始は開始日の午前零時から。

 物価上昇で個人消費に陰りがみられるなか、同社は国内旅行の需要を喚起するため、キャンペーンを実施する。成田や中部、関西、福岡の4空港を中心に、シンプルな価格訴求型の目玉商品を用意する。また、野球観戦やゴルフ、テーマパーク、長期滞在など阪急交通社が得意とするテーマや話題性の高いコンテンツを盛り込んだ商品も多く取りそろえる。

 今後、7月には鉄道利用編の第2弾「夏&秋たびセール」を実施する予定。同社は「鉄道を利用する旅行市場は予約までのリードタイムが航空機に比べて短いこともあり、需要動向に応じて来月に商品発表を行う。魅力的な鉄道利用の個人旅行もぜひ期待してほしい」とアピールしている。

戦後80年で「宇宙・七夕」テーマに平和願う 万田発酵×広島空港×ANAがイベント企画

2025年6月2日(月) 配信

宙(そら)にきぼうをメインビジュアル(横ver)

 万田発酵(松浦良紀社長、広島県尾道市)と広島国際空港(中村康浩社長、広島県三原市)、全日本空輸(ANA)広島支店(北山貴宏支店長、広島県広島市)は7月1日(火)~7日(月)まで、特別イベント「宙(そら)に“きぼう”を」を開く。戦後80年の節目を迎える今年、「宇宙」と「七夕」をテーマに広島の地から、平和への願いを発信する。

 国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されている宇宙日本食を広島県で初めて製造した万田発酵は、現在宇宙で活動している、大西卓哉宇宙飛行士の過去在籍会社がANAであることをきっかけに、3社共同でのイベントを企画した。戦後80年、被爆80年の節目にあたり、「私たちは平和への思いを新たにし、戦争を風化させず次世代に継承するため、このイベントを通じて一人ひとりが未来を見据える機会を提供したいと考えている」とコメントしている。

 イベント期間中は、1階国内線到着ロビーでさまざまな宇宙日本食を紹介する企画展を行う。宇宙服と写真撮影ができるスポットも用意する。

 また、七夕プロジェクトとして、SNSで「平和」に関する願い事を6月2日(月)から募集。寄せられたコメントなどを短冊に代筆し、イベント期間中、広島空港に七夕飾りとして飾る。万田発酵のインスタグラムかXをフォローし、企画の告知投稿に「#宙にきぼうを」「#広島」「#平和」のハッシュタグを付けて、「平和」に関する願い事をコメントすると応募できる。コメントは1人1回まで。

 また、空港で直接短冊に願い事を記入すると、宇宙日本食「万田酵素(宇宙用)」と同様の万田酵素を同封した特別パッケージ仕様の「発酵のお守り」をプレゼントする。各日とも先着順。

 なお、7月1日のANA広島―東京(羽田)線NH676便の搭乗者には、「発酵のお守り」を配布するという。

【読売旅行・旅行読売出版社】役員人事(6月11日)

2025年6月2日(月) 配信

読売旅行

 読売旅行と旅行読売出版社は5月28日(水)に開いた決算取締役会で役員および関連人事を決めた。6月11日(水)の定時株主総会、取締役会で正式に決定する。

 新体制は次の通り。

読売旅行(6月11日)

【代表取締役社長】

 (取締役・非常勤、読売新聞東京本社取締役販売局長、6月10日付で同本社常務取締役読売旅行担当)岩上秀憲

【常務取締役】

 経営戦略担当(取締役 観光振興・グループ連携・広報担当)堤辰佳

【取締役】

 読売ロマンの旅・アライアンス営業担当(顧問)田中和幸

 事業統括本部長 阪本健司

 広報・グループ連携・旅行読売出版社担当(よみうりランド執行役員広報・コンプライアンス担当兼広報部長)長谷川由紀

 非常勤(読売新聞東京本社専務取締役販売担当、6月10日付で同本社取締役副社長・販売担当)矢ケ崎貢

 非常勤(読売新聞東京本社販売局総務、6月10日付で同本社執行役員販売局長)中川雅夫

 非常勤(読売新聞大阪本社販売局総務)坪川任宏

【監査役】

 塚田信由紀

 (読売新聞大阪本社常務取締役労務担当)常松健一

【執行役員】

 システム本部長 長山徳明

 総務統括本部長・コンプライアンス担当 林武

 営業本部長 河野勝

 インバウンド事業担当 則島香代子

 経理担当(社長直属本部長)飯田孝太朗

 YC販売連携担当(社長直属本部長)原田大地

【退任】

 代表取締役会長 坂元隆

 代表取締役社長 貞広貴志

 取締役 読売ロマンの旅担当 中島健(※6月11日付で非常勤顧問就任予定)

 取締役・非常勤 北山勝副

 監査役 足達新

【辞任】(4月30日)

 取締役YC関連担当 奥野賢二(※5月1日付でよみうりコンピュータ総務経理部長に就任し、6月11日付で同社取締役に就任予定)

旅行読売出版社(6月11日)

【代表取締役社長】

 (よみうりランド執行役員広報・コンプライアンス担当兼広報部長)長谷川由紀(※6月11日付で読売旅行取締役〈広報・グループ連携・旅行読売出版社担当〉兼任予定)

【取締役】

 総務・コンプライアンス担当管理部長 松江雅彦

 非常勤(読売旅行取締役 観光振興・グループ連携・広報担当)堤辰佳(※6月11日付で読売旅行常務取締役〈経営戦略担当〉兼任予定)

【執行役員】

 メディアプロモーション部長 伊藤健一

【退任】

 代表取締役社長 坂元隆

JTB、那須塩原市と協定 酪農を基軸に観光振興で

2025年6月2日(月) 配信

那須塩原市の渡辺美知太郎市長(左)、JTBの山田仁二常務執行役員

 JTB(山北栄二郎社長、東京都品川区)は5月28日(水)、栃木県那須塩原市(渡辺美知太郎市長)と主力産業の酪農を基軸とした観光振興などに関する連携協定を結んだ。酪農と観光を掛け合わせた新たな価値創造に取り組み、持続可能な地域づくりの推進で地域活性化や観光振興を目指す。

 那須塩原市は、酪農を基軸に魅力あるまちづくりの実現に向けた「ミルクタウン戦略」を推進している一方、酪農に関しては資材高騰や高齢化、担い手不足などの課題が山積している。課題解決に向けて、これまで同市の重点事業や観光促進で連携してきたJTBと連携協定を締結した。

 今回の協定により、酪農を基軸にコンテンツ開発などで観光客誘致、地域産品のプロモーションによる販路開拓・拡大の支援、酪農拠点整備による持続可能なまちづくりを推進する。さらに、相互の知見を生かした交流など、観光振興や地方創生の推進に取り組む。

 具体的には、酪農従事者の課題解決に資するコンテンツ開発や磨き上げ、6次産業化推進・国内外販路開拓支援、国内外におけるマーケティングプロモーションの実施のほか、魅力ある酪農のまちづくり実現に向けた拠点施設整備の検討を協業して取り組む。

 協定期間は2026年5月31日(日)まで。

持続的な観光と双方向の交流発展を 鳥取県で日台観光サミット開く

2025年6月2日(月) 配信

歓迎晩餐会のようす

 日台観光推進協議会(菰田正信会長、事務局=日本観光振興協会、日本旅行業協会)と台日観光推進協議会(簡余晏会長、事務局=台湾観光協会)は5月29(木)~6月1日(日)まで、鳥取県のANAクラウンプラザホテル米子などで「2025日台観光サミットin鳥取」を開いた。サミットには日台計約200人が参加し、「日台観光新章:交流の深化」について議論を実施。持続可能な観光と双方向の交流の発展に向け、「鳥取宣言」に合意した。

 日台観光サミットは日本と台湾の観光業界のトップが集い、相互交流の拡大を目標に、2008年から実施している会議。第1回目を台湾で実施して以来、日本と台湾で交互に開催されている。

 両者は鳥取宣言内で、「日台双方は『持続可能』を重要な指標とし、観光分野において未来志向で新時代に相応しい交流を継続的に推進するため、知恵と力を結集し、健全かつバランスの取れた交流を促進することで一致した」と発表。

 具体的な施策として、地方独自の文化や自然、食を旅行商品に取り込み、伝統・文化体験を通じてその魅力に触れることにより、地方誘客の促進と環境保全・経済発展を両立させ、サスティナブルツーリズムを推進していく。

 修学旅行を含め若者の相互交流は、スポーツ・文化の交流にサブカルチャーを加えたソフトコンテンツを活用するとした。また交流の飛躍のため、双方の政府や民間の観光部門が協力を継続する。

 サミットでは歓迎晩餐会や交流会、エクスカーションも実施。参加者は水木しげるロードや大山まきばみるくの里、鳥取県立美術館、鳥取砂丘などを視察した。

 なお、次回は2026年に台湾の高雄(びょうりつ)県で開かれる予定。

観光庁「地域観光魅力向上事業」、2次公募が6月18日まで

2025年6月2日(月) 配信

観光庁(写真はイメージ)

 観光庁は6月18日(水)の正午まで、「地域観光魅力向上事業」の2次公募を実施する。2次公募では販売型の事業として国内観光客の地方誘客をはじめ、観光需要喚起をはかるものを優先採択する。

 同事業は、地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツ開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援を行い、中長期に亘って販売可能なビジネスモデルづくりの支援を実施するもの。

 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)実施期間内に、万博に来場する観光客に対して観光コンテンツの販売を行う事業も対象とする。採択に際して、その旨を審査において勘案するとともに、採択後、速やかに交付決定を行うとした。

 対象は地方公共団体、DMO、民間事業者など。補助額は400万円まで定額、400万円を超える部分の補助率は2分の1。補助上限は1250万円、最低事業費は600万円とした。

 詳細や申し込みは「地域観光魅力向上事業」サイトから。

【国土交通省】人事異動(6月2日付)

2025年6月2日(月) 配信

 国土交通省は6月2日付の人事異動を発令した。

出向〈外務省在中華人民共和国日本国大使館参事官〉(大臣官房付)後藤史一

出向〈外務省在アメリカ合衆国日本国 大使館参事官〉(大臣官房総務課企画官〈併〉航空局)福田ゆきの

〈観光最前線〉最高峰の手仕事、牛首紬を体験

2025年6月2日(月)配信

玉繭から糸を引き出す作業を体験

 「牛首紬(うしくびつむぎ)× MIZEN 白山店〈加賀乃織座(かがのおりざ)〉」(石川県白山市)では、800年の歴史を誇る牛首紬の糸挽きや機織りを体験できる。料金はひとり1万円。金額をみて、これは深いと直感。案内サイトを見て確信に変わった。

 牛首紬の特徴は、2匹の蚕がつくった玉繭(たままゆ)から手作業で糸を紡ぐ「のべひき」という技法にある。養蚕で玉繭ができる割合は3%程度。2本の糸が絡むため、糸取りには向かず、通常くず繭になるという。だが、玉繭から生まれる玉糸は弾力、伸張性に優れている。糸が絡んだところに節ができ、後に染めた際、独特の風合いも生まれる。複雑な絡まりを解きながら糸を紡ぐ、職人の経験が牛首紬の品質を支えている。

 そんな最高峰の手仕事を間近に。その価値はきっとプライスレス。

【鈴木 克範】