〈観光最前線〉個人的に近くなった「松山」

2020年2月1日(土) 配信

松山道後秋祭り「鉢合わせ」

 関西支社にいたころ、営業で四国・松山に出向いた際、電話での言葉遣いについて、先様からお叱りを受けた。緑色の公衆電話を前に30分、いやもっと長かったか。言葉の怖さをつくづく感じた。

 以来松山は、心理的距離のある地だったが、天童荒太の近著「巡礼の家」を読んで、それがぐっと縮まった。

 本の舞台は道後温泉のへんろ宿。行く場所も帰る場所も失った少女が、宿の女将から声を掛けられる。「あなたには、帰る場所がありますか」――と。地元の人との交流を通じて、少女が自らの生き方を見つける物語だ。

 著者が松山市出身とあり、風景や食の描写にも興味をそそられた。とくにクライマックスで描かれる秋祭りの「鉢合(はちあ)わせ」は圧巻。本を手にぜひ訪れてみたいと思った。

【鈴木 克範】

パレスホテル初の宿泊主体型ホテル「ゼンティス大阪」6月開業へ

2020年1月31日(金) 配信

ゼンティス大阪 ロビー(イメージ)

 パレスホテル(荒牧幹人社長、東京都千代田区)は6月5日(金)、大阪市北区堂島浜で開発を進めているホテル「Zentis Osaka(ゼンティス大阪)」を開業する。

 「Zentis」は、同社が初めて開業する宿泊主体型ホテルブランドだ。究極を象徴する「Z」と、ラテン語で本質を表す「entis」や日本語の「zento(前途)」、「en(縁)」、英語の「is」から作られた造語。自らのライフスタイルの本質を極める人たちが、暮らすように滞在を楽しみながら、前途を切り拓き、縁とめぐり合える場所になるという想いを込めた。

客室(イメージ)

 インテリアデザインは「SIXTY SoHo New York」や「The Hari London」など世界のラグジュアリーホテルのデザインを数多く手がけた、タラ・バーナード氏率いる「タラ・バーナード&パートナーズ」が担当する。

 館内は自然の素材や色を基調としたデザインとなる。1階ロビーから2階にかけては、壁一面が大きなガラス窓となっており、自然光を取り入れた開放的かつ温かみのある空間が広がる。ロビーの中心には、1階から2階へと続く石の階段を設ける。

ホテル概要

ホテル名称:Zentis Osaka(ゼンティス大阪)

開業日:2020年6月5日(金)

所在地:大阪府大阪市北区堂島浜1丁目 19 番地

構造:S造、地下1階・地上16階・塔屋1階(ホテルフロア:1階~13階)

延床面積:1万2,136.82平方㍍(3,671.38 坪)(ホテル延床面積:9,153.15 ㎡)

所有者:関電不動産開発

設計:都市建、鹿島建設

施工:鹿島建設

デザイン:タラ・バーナード&パートナーズ

客室数:212室(スイート含む)

客室の広さ:25平方㍍~57平方㍍

料飲施設:レストラン&バーラウンジ(運営委託会社:カフェ)

その他:ジム、ユーティリティルーム

アクセス:JR「大阪」駅徒歩約12分、JR東西線「北新地」駅徒歩約4分、地下鉄四つ橋線「肥後橋」駅徒歩約4分、京阪電鉄中之島線「渡辺橋」駅徒歩約4分

「ホテルJALシティ羽田 東京」 全客室のリニューアルに着手

2020年1月31日(金)配信

シングルルーム(イメージ)

 オリックス不動産(深谷敏成社長、東京都港区)は、運営する「ホテルJALシティ羽田 東京」の全客室をリニューアルする。工事は2期に分けて行い、2021年4月上旬の全10フロア、308室の新装完了を目指す。

 第1期は、2020年1月から4月3日(金)まで6-9階の4フロア(132室)、第2期は、2021年1-4月に他の6フロア(176室)のリニューアル工事を実施する。新しい客室は2020年2月10日(月)以降、順次予約を受け付ける。

 同ホテルは約6割がシングルルームで、ビジネス利用が多いことから、仕事や移動の間の滞在をさらに快適に過ごしてもらえるよう“まどろむ時間”をリニューアルテーマとした。ベッドでゆったりと読書やパソコン作業ができるよう、ヘッドボードを背もたれとしても使える人間工学に基づいた曲線を描いたものに変更するほか、小型の移動可能なサイドテーブルも用意する。客室は、落ち着いたブラウンやベージュのアースカラーを基調に、家具は木目調でぬくもりを感じるもの採用する。

 共用部分は、羽田にあるホテルらしさを取り入れる。空港や飛行機、風をテーマに、エレベーターホールから客室へ向かう廊下の床は、羽田空港の滑走路などをモチーフにしたオリジナルデザインのカーペットで設え、客室へ向かう楽しさを演出する。エレベーターホールには、木材で風を切る様子を表現したアートワークを設置する。

楽天トラベル、「毎月5と0のつく日」は高級宿が5%割引に

2020年1月31日(金)配信

毎月5、10、15、20、25、30日の計6日の予約がお得に

 「楽天トラベル」は2020年2月5日(水)から、「毎月5と0のつく日は国内高級ホテル・旅館が5%OFF」キャンペーンを実施する。毎月5、10、15、20、25、30日の計6日、楽天トラベルが定める国内の高級ホテルや旅館をお得に予約できる。

 キャンペーン特設ページや、国内旅行の日付指定検索後に表示される対象宿泊施設の予約ページ上で専用クーポンを獲得。「5と0のつく日」に同クーポンを利用して国内の高級ホテルや旅館を予約すると、宿泊料金から5%を割り引く。

 予約対象人数や利用回数に制限は無い。キャンペーン期間中、厳選された高級宿を繰り返しお得に利用することもできる。

キャンペーン概要

キャンペーン名称:「毎月5と0のつく日は国内高級ホテル・旅館が5%OFF」

キャンペーン期間:2020年2月5日(水)~終了時期未定

 ※予告なく終了する場合がある

予約対象期間:毎月5、10、15、20、25、30日

宿泊対象期間:予約日から3カ月後の月末までにチェックアウト

対象宿泊施設:「楽天トラベル」が定める高級ホテル・旅館

 ※キャンペーン特設ページ内「クーポン対象施設はこちら」に掲載

クーポン価格:宿泊料金(税込)の5%

利用金額条件:宿泊料金が1部屋あたり25,000円(税込)以上

利用人数条件:1室大人1人以上

利用上限枚数:1日あたり50,000枚

申込方法:

 まずはキャンペーン特設ページや、国内旅行の日付指定検索後に表示されるクーポンを獲得。予約ステップでクーポンを選択し予約を完了すると、予約合計金額から5%分が差し引かれる。なお、クーポン獲得時には楽天IDでのログインが必要。

キャンペーン特設ページ:

KNT関西×じんラボで日帰りバスツアー 腎臓病・人工透析患者同士の交流の場を 人工透析海外旅行もPR 

2020年1月31日(金) 配信

「じんラボ」ロゴマーク

 近畿日本ツーリスト関西(三田周作社長)の京都支店はこのほど、腎臓病・透析患者のためのウェブサイト「じんラボ」(運営・ペイシェントフッド)と連携した旅行商品「透析歴33年のじんラボ所長と行く日帰りバスツアーin茨城」を売り出した。

 腎臓病・人工透析患者同士の交流を深め、「人工透析海外旅行」の存在を広く知ってもらうことが目的。

 同支店では30年以上にわたり、人工透析を受けている人も安心して海外旅行ができるよう、海外での透析をトータルサポートする「人工透析海外旅行」を実施している。

 今回のバスツアーでは、茨城県の牛久大仏やJAXA筑波宇宙センターを見学するほか、車中では「じんラボ」宿野部所長への相談や質問の時間を設ける。バスの発着は東京駅で、全国各地から参加しやすい。

 受付は、腎臓病や人工透析患者本人をはじめ、家族や友達、1人での申し込みも可能。普段、接点がない患者同士が旅行を通じて知り合い、情報交換の場となることを目指す。

「じんラボ所長と行く日帰りバスツアーin茨城」概要

出発日:2020年3月15日(日)(日帰り)

旅行代金:じんラボ会員9,800円、非会員12,000円(大人・子供同一料金)

募集人員:20人(最少催行人員15人)

利用予定バス:なの花バス

食事:昼1回

添乗員:同行

行程:東京駅 鍛冶橋駐車場に各自集合後、専用バスで午前10時出発(バス車中では、所長への質問コーナーを設ける)、「ポケットファームどきどき」で昼食(ブッフェランチ。食後は買い物も可能)、牛久大仏(自由見学・全長120㍍の圧巻の大きさ。※胎内拝観は別途料金)、JAXA 筑波宇宙センター(自由見学・非日常感を味わう。お土産に宇宙食の購入も可能)、午後5時ごろ東京駅到着後解散

旅行企画・実施:KNT関西・京都支店

じんラボ

透析歴33年の腎臓病患者である宿野部武志氏を中心に、腎臓病・透析患者さんの「自覚」と「自立」を応援し、知識と情報、つながりの場を提供するウェブサイト。

JTB、情報信託機能を活用した人材マッチングを 都市部の複業希望者と離島事業者を結ぶ実証事業開始

2020年1月31日(金) 配信

離島(イメージ)

 JTB(髙橋広行社長)とパソナ JOB HUB(森本宏一社長)は3月31日(火)まで、 都市部と離島の人材マッチングを行うサービス「島で、未来に恋しよう」の実証事業を行う。

 情報信託機能を活用し、複数の仕事を望む都市部の複業希望者と、人手を必要とする離島事業者をつなげることで、離島の課題解決と関係人口創出につなげていく。

島根県隠岐郡の海士町などの離島をフィールドとし、オファーの提供を含めて本格実施する。

 同事業は、離島の問題解決に取り組む離島百貨店(山内道雄会長)と連携し、JTBが受託した総務省「令和元年度予算 情報信託機能活用促進事業」の一環で実施する。

 離島で働いてみたい複業希望者と、離島の農業や水産加工、リネンサプライなど事業者の個人情報を情報信託機能に集約。JTBとパソナ JOB HUB間で情報を流通・活用することで、最適な人材マッチングを行う。

 JTBは、情報信託機能を活用したサービスの運営主体となり、離島事業者との調整やモニターツアーなどを実施する。

  両社は実証事業を通じて、複業希望者と離島事業者に有益で、効率よく情報の流通と活用ができる情報銀行のあり方や新しい価値の創出を検証していく。

実証事業「島で、未来に恋しよう」概要

時期:2020年1月30日(木)~2020年3月31日(火)

※昨年11月末からテスト運用をしていたサービスを同意取得画面等関連機能のアップデートを行い、1月30日(木)よりオファーの提供を含め本格実施する。

HP:https://shimakoi.jp/

役割

【JTB】

本実証事業の運営主体として、運営や実証事業に参加するモニターの募集、各実証事業エリア(離島)の事業者との調整、離島モニターツアーなどを実施。

【パソナJOB HUB】

サービスの運営者として、実証事業の計画や人材マッチングの仕様検討、サービス
WEBサイト制作および提供、複業希望者の募集などを実施。

離島百貨店】

実証事業に参画する離島、事業者の募集・調整。都内「離島キッチン」において
離島ファンへのサービス告知などを実施。

総務省「令和元年度 情報信託機能活用促進事業」とは

本人が同意した一定の範囲において本人が信頼できる主体に個人情報の第三者提供を委任す る情報信託機能の社会実装に向けて、個人情報の適切な取扱いに配慮しつつ、パーソナルデー タの流通・活用の促進を図ることを目的とした事業。データを保有・利用する個人及び企業が 情報信託機能を利用するメリットを明らかにするなど、情報信託機能のモデルケースを作る。

NAA、19年の発着回数と旅客数が過去最高 新規就航と増便が好調要因

2020年1月31日(金) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が1月30日(木)に発表した2019年の年間航空発着回数は、前年比4%増の26万4115回、航空旅客数は同4%増の4434万4739人で共に過去最高を記録した。国際線と国内線の両方で新規就航と増便したことが好調の要因となった。

 航空発着回数は8年連続で過去最高を記録。国際線は同3%増の20万9206回、国内線は同5%増の5万4909回となった。夏ごろまで韓国線で新規就航と増便があったほか、中国線で19年冬季スケジュールから新規就航、増便が相次いだことが発着回数の増加につながった。

 総旅客数は2年連続で過去最高を記録した。国際線の旅客数は同4%増の3670万1960人だった。このうち、外国人旅客数は同4%増の1822万4660人で開港以来、最多の旅客数となった。

 国内線旅客数は同5%増の764万2779人。高知線と下地島線、庄内線の新規就航をはじめ、札幌線や広島線などが好調だった。

「韓国線の減少は底を打った」

 1月の韓国線における発着回数は、18日時点で前年同期比11・8%減。出国旅客数は同19・2%減少した。一方、12月の発着回数は、同13・9%減。出国旅客数は、同17・4%減だった。田村社長は1月30日(木)の会見で、田村社長は「韓国線の減少傾向は、底を打った」との見方を示した。

中国線の発着回数は前年から増加

 中国線の発着回数と出国旅客数も発表した。1月27日(月)から2月2日(日)の発着回数の予定は、979回(前年の春節2日後からの同期は488回)。49回がキャンセルになり、うち30便は武漢線だ。

 田村社長は「旅客数は若干減る見込み」と述べ、「今後の動向は見通せていない。それなりの覚悟はしないといけない」と語った。

新型コロナウイルスの対応を説明

 NAAは新型コロナウイルスへの対策として、成田国際空港の検疫所と密に連絡を取り、情報提供と注意喚起を行っている。このほか、エレベーターや階段などの消毒清掃の強化や、従業員にマスク着用を指示するなどしている。今後、特別な措置を講じる場合には、関係各所と連携して取り組んでいく。

専門新聞協会が新春講演会 藤井聡氏「国土強靭化と経済成長の両立を」

2020年1月31日(金) 配信

藤井聡教授

 日本専門新聞協会(入澤亨理事長)は1月28日(火)、東海大学校友会館(東京都千代田区)で新春講演会を開いた。講師には京都大学大学院教授の藤井聡氏を招き、「国土強靭化と経済成長―強い日本を作る―」をテーマに講演を行った。甚大な被害をもたらす災害が頻発するなか、国土強靭化のための公共政策を研究する藤井氏は「国土強靭化と経済成長の両立」の必要性を訴えた。

 藤井氏は「堤防や橋などの建設を行う公共投資を増やすことで、国内需要が拡大され、デフレを脱却できる」と持論を展開した。このうち、河川の洪水対策として堤防などを建設することは「公共投資で経済が循環する」と強調。「災害が発生して川周辺の建物をすべて建て直すことになるより、堤防建設の方が費用を安く抑えることができる」と説明した。

 自然災害の発生率についても言及した。「『100年に1度』と表現される自然災害は20%前後。首都直下地震は5~6%程度で発生する」と述べ、高い確率であることを伝えた。

入澤亨理事長

 講演会後には、レセプションを開いた。入澤理事長は5Gの実用化開始や、AI(人工知能)、IoTなどが普及しているなか、「『紙から電子媒体への移行』だけでは済まない変化が起こる。新しい世の中に対応しなくてはいけない」と専門新聞の業界を変える必要があるとの考えを示した。

 入澤理事長は新たな変化に対応するため、特命委員会を設立したことを報告した。「公益目的事業などを見直す。協会の在り方を根本から変えることになる」と時代に合わせた存在になることに意欲を示した。

JAL、首里城再建を応援する特別デザイン機 2月1日就航へ

2020年1月31日(金)配信

特別デザインのエアバスA350-900型機

 日本航空(JAL、赤坂祐二社長)は首里城被災に対する支援の一環として、2月1日(土)から「首里城再建応援」特別デザイン機を運航する。

 特別デザイン機は、エアバスA350-900型機が同日から東京(羽田)~沖縄(那覇)線に就航するのに際したもの。前方の左側面に首里城再建に向けたキャンペーンロゴ、両側面に応援メッセージが施される。初便はJAL901便。羽田空港を午前6時15分に出発し、那覇空港には同9時10分着を予定している。

首里城再建に向けたキャンペーンロゴ

 JALグループは、首里城被災に対する支援として、支援金の寄付やチャリティマイルなどさまざまな取り組みを実施している。

「首里城再建応援」特別デザイン機の詳細

就航日:2020年2月1日(土)

初便:JAL901便

 東京(羽田)発(定刻 06:15)、沖縄(那覇)着(定刻09:10)

機材:エアバスA350-900型機(機番:JA05XJ)

(座席数:ファーストクラス12席、クラスJ 94席、普通席263席、計369席)

※機材変更などにより、就航日が変更になる場合もある

〈旬刊旅行新聞2月1日号コラム〉新型コロナウイルスによる肺炎 観光業界の不安を取り除く施策も必要

2020年1月31日(金) 配信

拡大を続ける新型コロナウイルスによる肺

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染が世界中に拡大している。中国政府の国家衛生健康委員会によると、1月27日の午前時点で中国本土での死者は80人、感染者は全土で2477人と発表した。

 
 感染者は加速度的に拡大している。おそらく、1月27日に書いているこの記事が紙面になるころには、ケタ違いに感染が広がっている恐れもある。
 
 外務省の海外安全情報では同日現在、多くの感染者を出している武漢市を含む中国・湖北省の全域を、レベル3の「渡航は止めてください」に引き上げ、渡航中止勧告を出している。
 
 
 2020年の中国春節(旧正月)は1月25日で、前後の24―30日の1週間が休暇となる。中国では30億人が移動するとも言われ、感染を最小限に食い止めるには、最悪のタイミングとなった。中国政府は1月24日から中国国内の団体旅行を中止。27日から日本を含む海外旅行も中止する。今や世界中を旅する中国人旅行者による感染拡大を食い止めるには、旅行の制限はやむを得ない。
 
 26日には、厚生労働省が4人目となる国内感染者を確認したと発表したが、当然、日本も水際の対策が必要である。
 
 厚労省のホームページには、「コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルス」とある。さらに、「人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られているが、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS―CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)と、MERS―CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、通常の風邪などの重度でない症状にとどまる」と説明している。
 
 対策としては「過剰に心配することなく、季節性インフルエンザと同様に、咳エチケットや手洗いなどの感染症対策に努めてほしい」と注意喚起をしている。まだ国内ではヒトからヒトへの感染が確認されていない。確かに過剰に騒ぎ立てず、冷静に対応することが大事である。
 
 
 観光業界では、19年の出国日本人数が史上初めて2000万人を達成した。今年は訪日外客数4000万人という、とても高い目標に向かって上昇気流に乗りたいところであったが、その矢先に、新年早々から難しい局面を迎えてしまった。自然災害や国際情勢の変化、そして今回の新型肺炎の拡大など、観光産業ではどうにもならない問題が次から次へと現れてくる。旧正月の休暇期間中に予約が埋まっていたのに、突然のキャンセルが相次ぐなどの影響も出ている。国際観光旅客税(出国税)の一部は、苦境時の観光業界に目を向け、不安を取り除き、安定的に育てていく施策を求めたい。
 
 
 近年は、インバウンドの拡大が当然のようになっていた。19年の訪日外客数は同2・2%増の3188万人と7年連続で増加したものの、足元は実に危うい状態にある。日韓関係の悪化によって19年の訪日韓国人は前年比25・9%減の558万人と大幅な減少となった。また、訪日客総数のうち、中国から日本には約3割の959万人が訪れた。1000万人規模の市場が海外団体旅行を中止した状況は、日本の観光業界にも激震となる。
 
 2月、3月は、卒業旅行のシーズンを迎える。国内旅行や、海外旅行を楽しみにしている学生も多いだろう。慎重に感染を食い止め、沈静化を望むばかりだ。
 
                           (編集長・増田 剛)