夏休み期間中の旅行人数は4000万人 前年比5.3%増も大幅な回復には至らず JTBの旅行動向見通し

2021年7月20日(火) 配信

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 JTB(山北栄二郎社長)は7月19日(月)、「夏休み(7月20日~8月31日)に1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向見通しを発表した。夏休み期間中に国内旅行をする人数は4000万人で、前年同期比5.3%増とわずかに増加するが、緊急事態宣言の発出もあり、コロナ禍前の前々年比では44.8%減と大幅な回復には至らないと予測する。旅行の特徴は、これまでと同様に感染予防を意識した“新常態の安近短”旅行傾向がうかがえるとした。

 アンケートや各種経済指標、予約状況などを基に算出した、国内旅行人数は4000万人で、国内旅行平均費用は3万3000円(前年比3.1%増、前々年比9.6%減)、総額では1兆3200億円と推計する。

 旅行日数は「1泊」が41.9%と最も多く、次いで「2泊」(29.6%)、「3泊」(15.3%)の順。旅行先は、マイカーなどを使っていける近場の傾向がみられ、全国的に旅行先と居住地が同じ域内旅行の割合が高くなっている。

 コロナ禍前と比較し、約10%減となる旅行費用は、域内旅行志向による平均泊数の低下や、将来不安による旅行費用の抑制傾向があるとみている。一方で、多少割高でも新型コロナの感染防止を優先する動きや、観光・地域応援と連動した旅行先での食事、土産購入などから、1人当たりの平均費用は前年を上回ると予測している。

 調査は2021年7月5日(月)~7月9日(金)の期間、全国の15~79歳までの男女1万人を対象に、インターネットで実施した。夏休みに旅行に「行く」または「たぶん行く」と回答した人の合計は19.8%で、「たぶん行かない」「行かない」の合計80.2%を大幅に下回った。

 旅行に行かない理由は「まだコロナの影響で、旅行することに不安があるから」が45.1%と最多で、「コロナウイルス新規感染者数が減っているとは言えない状況だから」(37.1%)、「コロナ第5波が心配だから」(31.1%)と続いた。

 なお、今夏の旅行動向の見通しは、新型コロナウイルス感染拡大に対する国の方針および東京五輪の観客受入方針の発表を待ち、対象期間の開始日を例年より5日遅い7月20日からとし、国内旅行のみを対象とした。

〈旬刊旅行新聞7月21日号コラム〉コロナ収束後には――我慢し続けた子供たちに楽しみを

2021年7月20日(火) 配信

 
 7月16日に関東甲信越、東北地方も梅雨明けした。その前日に真っ青な空と、夏特有の入道雲を眺めながら、本格的な夏の到来を予感した。しかしながら、新型コロナウイルスの影響はまだ収まらない。

 
 夏休みを前にして、東京都は7月12日から8月22日まで4回目の緊急事態宣言下にある。ワクチン接種も進んでいるが、「行動制限」が1年半にも及んでいる状況だ。コロナの感染防止のためとはいえ、これほどの長期的な「行動制限」に、そろそろ多くの国民はストレスや、我慢の限界に達しているではないか。

 

 
 大人に振り回されて、子供や若者たちが時に悪者になり、さまざまな制約を受けてきた点も、何もなかったように見過ごしてはいけない。

 
 昨年の春ごろから「重症化リスクが高い高齢者を守るため」と、子供たちは一生の記念となる卒業式や入学式、楽しみにしていた修学旅行や部活動、スポーツイベントやコンサート、芸術祭など数え上げたら切りがないほど中止・延期になってきた。

 
 お花見、ゴールデンウイーク、夏休み、お盆、秋の連休、クリスマス、お正月、成人式、春休みと、その都度、「我慢、我慢」と言われ続けてきた。

 
 未だに子供たちのイベントの多くは延期や中止されている。修学旅行が実施されるのか、今年も無くなるのか、不安に思っている。

 
 しかし、決定権は子供にはない。責任回避一辺倒や、政治的な駆け引きにコロナを利用する動きに苛立ちを覚える。

 
 大半の高齢者はすでに、ワクチンを接種している。あらゆる行動にはリスクはつきものであり、世の中のリスクは何もコロナ感染だけではない。子供たちの修学旅行やキャンプ、帰省、旅行、スポーツ大会などに、もう少し社会全体が寛容になるべきだと思う。

 
 旅行業界は、子供たちの楽しい思い出づくりや、旅でしか学ぶことができない貴重な体験などを提供してきた。コロナ禍にあっては、この「楽しい思い出づくり」の手助けをするという仕事の貴さを改めて感じる日々である。

 

 
 1年延期された「東京オリンピック2020」の開会式が目前に迫っている。だが、57年ぶりに東京で開催される五輪の祝祭ムードは、現在ほとんど感じられない。開催国・都市への配慮を欠いた、“商業主義”第一の姿勢が目に余るIOC(国際オリンピック委員会)の言動が、日本国民の感情を逆撫でし、オリンピックそのものが相当に嫌われてしまった。だが、競技者には罪はない。彼らだって被害者である。人並外れた努力をした者による、命を懸けた真剣勝負を純粋に楽しみたい。

 

 
 五輪が開幕すると、感染者数は増加していくだろう。海外選手の感染者も出てくるだろう。ワイドショーは威勢よく非難するだろう。これに世論が乗り、政府や首長らはさらに保身的になっていく。リスクを声高に叫び、責任を追及する側が押し込み、よりリスクが低い方へと社会全体が流れていく。

 
 これは結局、誰が得をするのだろう。巡り巡って、最も弱い子供たちの楽しみを奪っていくのではないか。不憫でならない。コロナが収束したら、我慢をし続けた子供たちに大きな楽しみを与えられる政策に期待したい。

 

(編集長・増田 剛)

 

【特集No.587】宿の波及効果生かし、地域活性化 空き家改修 地元の利益に貢献へ

2021年7月20日(火) 配信

 地方では過疎化が進み空き家の増加が深刻化している。藤龍館(福島県・湯野上温泉)の星永重社長は「地域観光の起点であるホテル・旅館から地方を活性化したい」との思いから、2020年9月に地元・湯野上温泉のお菓子工場兼店舗だった空き家を、観光客と地域住民が交流するコミュニケーションスペースに改修してオープンした。今後は、リネン業や寝具業など他産業への波及効果が高い宿泊施設も開業する予定だ。星社長に詳しい話を聞いた。

【木下 裕斗】

福島県・湯野上温泉 藤龍館 星社長に聞く       1棟貸しで新しい客層を集客

 ――藤龍館の歴史を教えてください。

 湯野上温泉は当館創業者が1890(明治23)年、近くの阿賀川に沸く源泉を水車で旧館である清水屋旅館に汲み上げたことから開湯しました。ほかにも源泉を引く宿が現れ、軒数も増加していきました。

 当館は開業当時、温泉街がある街道に沿った場所に位置し、宿泊客は、同街道で売れた牛や馬などの家畜を運ぶ馬喰が中心でした。

 1980年代には社員旅行などの団体旅行が盛んになり、近隣の芦ノ牧温泉では、大型化に着手する旅館が相次ぎました。しかし、当館は90年に開業100周年を記念して、創業の地から現在の場所まで300㍍ほどの場所に移転した以外、大規模なリニューアルは行いませんでした。移転前の宿は「清水屋旅館」として営業を続けています(コロナ禍で同館は現在、休止中)。

 ――大型化に踏み切らなかった理由は。

 私は大学を卒業後の2006年に当館に入りました。それまでは宿を継ぐことはもとより、宿泊業への就職を望んでいませんでした。大学在学中に父(先代)が亡くなったことを受け、仕事の手伝いから始めました。

◇源泉を客室に引く 先代の信条継ぐ

 父は、学生だった私に旅館経営に対する理念などをほとんど話すことがありませんでした。このため、過去の資料や、現在の宿の状態を鑑みた話になります。

 大型化しなかった理由として、すべての客室の浴場に源泉を掛け流し、温泉を楽しむ「内湯文化」を維持したい創業者の信念が大きく影響しています。

 温泉は開業当時、宿から約50㍍下った川の近くにある露天風呂のみでした。創業者は、街道を歩いてきた宿泊客に「すぐに風呂に入ってほしい」と思い、当時は贅沢と言われていた内湯を増設しました。……

【全文は、本紙1838号または7月27日(火)以降、日経テレコン21でお読みいただけます】

JNTO、日本の魅力を集中発信 五輪期間中にNBCでCM配信も

2021年7月19日(月) 配信

 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は7月19日(月)、東京五輪・パラリンピックを契機に、日本の魅力を世界各国に伝えるため、テレビ番組やメディア向けニュースレター配信などを通じて、集中的に発信すると発表した。コマーシャル(CM)は、五輪出場経験者を起用し、米国の放送局・NBCなどにおいて、JNTOが制作したプロモーション動画を大会期間中に全世界に配信する。

 海外メディア向けには、オンラインでの情報提供に加え、旬の観光素材を34本のニュースレターに集約し、世界各地の1.9万媒体に配信する。

 動画は、ロンドン・リオ両大会の十種競技で金メダルを獲得した米国出身のアシュトン・イートン氏が、日本各地をラン、カヌー、サイクリングなどスポーツ体験し、旅するようすを紹介する。

 JNTOは、グローバルメディアと連携し、大会前・期間中にNBCや衛星スポーツ専門局のFOX SPORTS ASIAで、CMを各300回以上配信するほか、旅番組などを放送する。また、中国最大級のスポーツ専門チャンネルの上海五星体育(五星体育伝媒有限公司)でも体験型アクティビティや穴場スポットを取り上げる番組やCMを放送する。

オマツリジャパン、自宅で祭り気分を「手軽にお祭りセット」

2021年7月19日(月) 配信

お祭り縁日プランとお祭り屋台プラン(写真はイメージ)

 オマツリジャパン(加藤優子社長、東京都渋谷区)は7月15日(木)、「いつでもハレの日!手軽にお祭りセット」を売り出した。コロナ禍で祭りが2年連続で中止となるなか、祭り・縁日の雰囲気を自宅で楽しんで欲しいとの想いから、縁日体験・屋台グルメを楽しめる同商品を企画した。

 自宅で祭り屋台の食が楽しめる「お祭り屋台プラン」を、ノンピ(柿沼寛之社長、東京都港区)と共に売り出した。ノンピは、“日本全国に料理と飲み物を1箱にしたフードボックス”を届ける「ノンピ フードボックス」を展開している。

 一方、自宅で縁日遊びが体験できる「お祭り縁日プラン」を、卸問屋の堀商店(堀貴雄社長、愛知県名古屋市)と共に売り出した。堀商店は、夏祭りを始めとするイベントや企業の集客・販促用に玩具・文具・雑貨・菓子などを販売している。

 「お祭り屋台プラン」は、定番のたこ焼きやじゃがバター、ご当地B級グルメの富士宮風焼きそば、宮崎の肉巻きおにぎりなどを詰め込んだプラン。同プラン専用の祭り屋台柄のランチョンマットが付属する。価格は4,950円(税・送料込)ノンピショッピングサイトで販売している。

  「お祭り縁日プラン」は、射的や輪投げ、ヨーヨー風船釣りなどの縁日体験が手軽に自宅で楽しめるプラン。複数家族でも楽しめるデラックスとノーマルの2種類を用意した。価格はノーマル6,500円(同)、デラックス9,500円(同)。オマツリジャパン販売サイトと、堀商店ショッピングサイトで販売している。

観光人材育成の取り組み「フェニックス塾」第6期塾生募集 東北観光推進機構

2021年7月19日(月) 配信

Treasureland TOHOKU JAPAN ロゴマーク

 東北観光推進機構は2021年8月2日(月)まで、観光人材育成を目的とした「フェニックス塾」の第6期塾生を募集している。実施期間は21年8月から22年3月までの計8回。

 「フェニックス塾」は、国内外からの交流人口の拡大による東北地域の活性化を目的に、「オール東北」という観点で観光振興策を企画・立案する構想力と、それらを実践する行動力を持った観光人材の育成を目的に、2016年から開催している。

 今年度は、新型コロナウイルス感染症の状況をふまえて8月開講とし、来年3月までの期間、東北6県や新潟県で計8回開催する。各回、観光分野の最前線で活躍する講師陣のセミナーとともに、塾生によるワークショップで東北の観光に関する課題や対策などについて議論。東北の観光振興についての知見を深め、同時に塾生間の交流をはかる。

 応募資格は45歳以下の、東北の観光・地域づくりを担う実務経験者(行政、旅館・ホテル・観光施設、観光地域づくり法人(DMO)、旅行会社、交通関係、金融、マーケティング等各種企業・団体など)。受講料は、機構会員が1万円(年間)、非会員3万円(同)。

HIS、オンラインツアーの人気ランキング発表 1位は「ケニア・ナイロビ国立公園サファリライブツアー」

2021年7月19日(月) 配信

「ケニア・ナイロビ国立公園サファリライブツアー」のイメージ。現地の紅茶が自宅に届く

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は7月16日(金)、2021年上半期におけるオンラインツアー申し込み実績をもとに、「2021年上半期人気ランキング」を発表した。1位は野生動物の観察や自宅に届く紅茶などを楽しむ「ケニア・ナイロビ国立公園サファリライブツアー」だった。

 コロナ禍で始まった同社のオンラインツアーは、2021年6月末までに累計4500本以上のツアーを催行した。体験者数は10万人を超えた。直近では、ワクチン接種の加速による旅行の再開に向けて、次の旅行先の下見・予習としての需要が高まっている。総合人気ランキングの上位を占める「世界一周ライブツアー」のシリーズ累計体験者数は7500人を突破した。

 2021年上半期人気ランキングの2位は「世界一周ライブツアー第1弾~ハワイ→ケニア→インド→トルコ→ラスベガス/ケアンズ~」、3位が「世界一周ライブツアー第2弾~エジプト→スペイン→シンガポール→イグアスの滝→ペルー~」だった。

 4位は「インドの有名占い師ラブ氏によるオンライン占星術&手相占い」で、5位はハワイにあるバッグや食料品などを扱うDEAN & DELUCA HAWAII(ディーン&デルーカ ハワイ)の商品をライブ映像で見ながら買い物する「『DEAN & DELUCA HAWAII』オンラインバーチャルショッピング 」となった。

 上半期の新たな傾向として、占い・料理・語学など海外の文化を体験できるスキルシェアが伸びているという。このことから「おうち時間で自己啓発に時間を費やす需要が高まっている」(同社)と分析する。

 HISは今後も、オンライン体験ツアーを通じて、自宅から世界を身近に感じ、これまで体験したことのない世界へ気軽に訪れてもらうことで、ポストコロナに向けた旅行需要を持続していく。

石川県・和倉温泉の老舗旅館『宿守屋寿苑』の料理を自宅でも オンラインショップがオープン

2021年7月19日(月) 配信

のどぐろ銀鱈豪華セット

 石川県和倉温泉の宿守屋寿苑は2021年7月15日(木)、「のどぐろ銀鱈豪華セット」など、自慢の一品を取り扱う公式オンラインショップを開設した。

 新型コロナウイルス感染症の影響で和倉温泉を訪れるお客も激減するなか、同館自慢の料理を味わってもらいたいと、オンラインショップ開設に向けクラウドファンディングを実施。2日間で目標金額を達成し、このたびサイトをオープンした。

 のどぐろの濃厚なおいしさが楽しめる煮付けと脂ののった銀鱈の「西京焼きなどが楽しめる「のどぐろ銀鱈豪華セット」や、地元水揚げの新鮮なのどぐろをこだわりのタレで姿煮に仕上げた「のどぐろの煮付け」など、自慢の一品を販売している。

 宿守屋寿苑は、全客室がオーシャンビューで部屋から眺める七尾湾の絶景と良質な温泉、そして地元食材を使ったおいしい料理が自慢の宿だ。新進気鋭の若手料理長が腕を振るう料理は、旅行新聞新社主催「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の料理部門にも選ばれている。

施設の除菌効果の最大化と社会の衛生対策の向上へ エステーが除菌応援プロジェクト

2021年7月19日(月)配信

松本氏は客室でレクチャーも実施

 エステーは7月15日(木)、千葉県浦安市で「エステー 除菌応援プロジェクト発表会」を開いた。企業や社会に対し除菌方法の正しい知識や、効率的な対策の啓発を行い、前向きで持続可能な「衛生対策」に取り組めるようサポートすることが狙い。松本忠男氏が提唱する「福育モデル」を啓発し、施設の除菌効果の最大化と、社会の衛生対策の向上をはかる。

 松本氏が提唱する「福育」モデルとは、キレイの先にある、大切な人の安心した笑顔を見据えた科学的な掃除方法を体系化した掃除モデル。「福」には「拭く」の意味がかかっており、衛生的な環境を保つには正しい拭き方でその場から汚れを減らすことが大切になる。

 発表会でワークショップを行った同氏は、乾拭きの一方向拭きが正しい拭き方だと実演を交え説明した。 

 ポイントは、「効率よくその場から汚れの量を減らすこと」。「人が健康でいられる清潔な状態に環境を整えることが、正しい清掃。吹き方が間違っていると、キレイに見えても見えない汚れが残ってしまうだけではなく、その汚れを拡散させてしまう可能性もある」と同氏は参加者に強調した。

 また、客室内のハンガーやドアノブなど立体的なものを吹く際は、マイクロファイバーの手袋を使用するなど道具を工夫することの重要性も説明した。

 エステーは、除菌+抗菌剤の「Dr.CLEAN⁺」を売り出している。 同商品は、富士フイルムが開発した技術を活用し銀イオンを薄くコーティングすることで、高い除菌効果が約1カ月持続する。これにより、ホテル従業員らの除菌作業の負担や除菌コストの削減がはかれるという。

 会場となった「グランドニッコー東京ベイ 舞浜」では、同商品を使うことで、除菌剤の使用頻度が飛沫が飛びやすい場所は毎日1回、それ以外の場所は3日に1回となり、そのほかの場面では乾拭きの作業に切り替え。結果、従業員の負担軽減に加え、利用者の待ち時間の削減などの効果があったという。

「津田令子のにっぽん風土記(75)」生まれ育った嬬恋への想い~群馬県・嬬恋村編 ~

2021年7月18日(日) 配信

キャベツ畑の中心で愛を叫ぶ舞台「愛妻の丘」
嬬恋村役場 観光商工課     加部 貴裕さん

 「生まれ育った地・嬬恋への想いは他のどの場所よりも強いです。その想いもあって嬬恋村へUターン就職をしました」と熱く語る加部貴裕さん。今年の人事異動で観光商工課のメンバーに加わり、主に「愛妻の村」づくり事業などを担当している。エネルギッシュでパワフルな加部さんに、ふるさと・嬬恋への想いを伺った。

 
 「村の1年は、四季の変遷を大いに満喫することができます。毎年、異なる風景を与えてくれるのです。自然だけでなく、人々の些細な会話でも地域の歴史や人々の暮らしを垣間見ることができます」。

 
 嬬恋村の夏の魅力を「平均標高が1000㍍の場所に位置していて大変涼しく過ごすことができる」と話す。多くの別荘族でにぎわう隣町の軽井沢よりもさらに湿度が低く、古くから著名人が嬬恋村に憧れ別荘を持ち、夏を過ごしていた。そういえば学生時代、真夏に家族と数日間滞在したときには霧も少なく、さわやかな夏休みを満喫したことを思い出す。

 
 「7~9月のキャベツ収穫時期には360度広がるキャベツ畑の中、ドライブが楽しめるパノラマラインが最高です。さらにパノラマラインに沿って鬼押出し園、愛妻の丘などに立ち寄ったり、雄大な浅間山などを眺めながらお楽しみいただけます」と加部さん。

 
 夏の涼しさが自慢の村で気持ちよく過ごすには、「野外での活動がお薦めです。まず、広大な四阿山(あずまやさん)の麓、標高1300㍍のバラギ高原にあるバラギ湖に行きます。釣りやボートも楽しめます。キャンプ場もオープンしています。さらに石樋の滝へ向かい流れる滝を眺め、最後に湖畔の湯へいきバラギ湖を眺めながらのんびりとリフレッシュするというのはいかがでしょうか」と夏旅のヒントを語ってくれた。「自然の空気を感じ、鳥のさえずりを聞き、季節ごとの景色を見るように、この場所でしか味わえない嬬恋を五感で感じていただきたいです」。

 
 キャベツ畑の中心で愛を叫ぶというイベントで一躍有名になった愛妻の丘が一番好きという加部さんは「ここから一望できる嬬恋村の景色は素晴らしい。愛妻の丘にはご夫婦はもちろんのこと、1人のお客様も珍しくはありません。この地がいかに皆様から愛されているのかよく分かります」と胸を張る。

 
 「時間と勇気がある時こそ、自分の脚で旅行することが発見につながります。それが一生の思い出になります」と旅への想いを語る。嬬恋村の観光に新たな息吹を感じた。

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。