観光再生・価値創造・課題解決を目指す 日本観光振興協会が23年度通常総会開く

2023年6月16日(金) 配信

日本観光振興協会は6月13日(金)、2023年度通常総会を開いた

 日本観光振興協会(山西健一郎会長、664会員)は6月13日(金)、東京都内のホテルで2023年度通常総会を開いた。今年度は、①基幹産業としての観光の再生②観光の価値創造とイノベーションの追求③持続可能な観光に向けた課題解決④協会職員の働きがい創出──の4点を柱に、事業に取り組んでいく。

 とくに、観光産業のプラットフォームとして情報発信力および会員間連携の強化や、利便性向上や生産性向上のための観光DX推進に向けた基盤整備、地域活性化のための観光教育の普及と将来の観光産業を支える人材の育成については、重点的に取り組んでいく方針だ。

 山西会長は、5月8日(月)に新型コロナが5類感染症に引き下げられてから1カ月が経過し、「多くの観光地では賑わいを取り戻している。その一方で、観光客の集中に伴い、一部観光客のマナー違反や、人材不足で需要増に対応しきれないケースを多く窺っている」と懸念を示した。こうした状況を受けて、「観光の平準化・分散化、平日旅行の促進に向けた取り組みを進めていきたい」とし、既に観光庁と共同で取り組んでいる「平日にもう一泊キャンペーン」について紹介した。

 また、アウトバウンドについても、出国日本人数がコロナ前の19年比で3分の1程度の回復に留まっているとし、観光庁と日本旅行業協会による「今こそ海外!宣言」で24の国・地域の観光局と協力して日本人の海外旅行の意欲を高めるCPを始めたことに触れ、「円安などの影響もあり、依然厳しい状況は続いているが、一刻も早く日本人の海外旅行が復活することを願っている」と語った。

日本観光振興協会の山西会長

 来賓には和田浩一観光庁長官が登壇し、6年ぶりとなる観光立国推進基本計画の策定や、新時代のインバウンド拡大アクションプラン、アウトバウンド推進のための「今こそ!海外宣言」発出など、観光庁の取り組みを紹介した。

 和田長官は、「観光推進には、官民が連携して取り組むことが必要不可欠。貴協会には、幅広い産業連携のもと、官民一体となって持続可能なカタチでの観光立国を復活させていくため、引き続き中核的な役割を果たしていただきたい」と期待を寄せた。

 議事ではすべての議案が可決された。

 新理事長には、東日本旅客鉄道常務執行役員国際事業本部長の最明仁氏が就任した。

 ほか、新任役員は次の各氏。

【理事】

▽小川治彦(東日本旅客鉄道常務執行役員首都圏本部長首都圏本部鉄道事業部長就任予定者)

▽新田雅巳(東海旅客鉄道常務執行役員東海鉄道事業本部長就任予定者)

 

【評議役員】

▽定保英弥(日本ホテル協会会長)

▽佐藤樹一郎(大分県知事)

▽清水一郎(日本バス協会会長)

▽都筑豊(東武鉄道執行役員)

▽羽尾一郎(日本民営鉄道協会理事長)

▽由木文彦(東日本高速道路代表取締役社長)

▽横田真二(全国町村会事務総長)

▽蒲生篤実(日本政府観光局理事長)

▽岸本周平(和歌山県知事)

▽中村時広(愛媛県知事)

▽藤岡成輝(徳島県観光協会理事長)

23年度版観光白書 「稼ぐ力」が喫緊の課題

2023年6月16日(金) 配信 

政府は6月13日(火)、2023年版の観光白書を閣議決定した

 政府は6月13日(火)、2023年版の観光白書を閣議決定した。観光立国推進基本法に基づき、毎年国会に提出している。23年版は3部構成。国内外の観光の動向を分析し、観光需要は新型コロナ禍から回復傾向にあるとした。一方で、観光業の生産性の低さや人材不足といった構造的課題が顕在化していると指摘。観光産業の「稼ぐ力」を強化することが喫緊の課題として、提言を示した。

 

観光GDPから分析 稼げる産業への変革

 第1部第3章では、観光分野における「稼ぐ力」の現状と課題について、観光付加価値額(観光GDP)に着目。国内で生産した観光サービスのうち付加価値額をみたとき、日本の観光GDP額は19年で11兆2000億円となり、新型コロナ感染拡大前まで着実に増加してきたが、経済全体に占める比率は2・0%に留まり、先進7カ国(G7)平均の4・0%と大きな差が付いた。

 従事者1人当たりの付加価値額(TSAベース)は、日本は全産業の806万円に対して、観光産業他は491万円、宿泊業は534万円と相対的に低い値となった。

 宿泊業では、米国が976万円と顕著に高く、次いで、スペインが709万円、イタリアが690万円と高水準だった。

 こうした国際比較から、「日本は観光の付加価値額や経済全体に占める割合が低位。付加価値を高め、『稼げる産業』への変革に向け、売上高の増加が課題だ」との認識を示した。

 

25年に目指す姿 持続可能な観光へ

 今後の観光では、質を重視した観光地の稼ぐ力を実現し、地域社会・経済の持続可能性が重要であるとした。

 国内外の旅行者にとっても、地域に根付いた自然や文化、地場産業などの「暮らし」に関わるコンテンツが、魅力的な体験として価値が高いものだとされている。

 政府は、住民・異業種が参画して、地域のストーリーを磨き上げ、付加価値の高い体験型観光商品を造成することで、滞在魅力を高め、地域への観光消費を住民の雇用と所得、地域の税収に還元し循環していく「持続可能な観光地域づくり」が期待されるとした。

 23年度は、「持続可能な観光地域づくり戦略」「インバウンド回復戦略」「国内交流拡大戦略」の3つの柱で施策を講じ、25年にはコロナ前より進んだカタチで観光が復活していることや、日本が世界的潮流を捉えた観光地として脚光を浴び、「持続可能な観光」の先進地として注目されることを目指す。

HIS 第2四半期連結決算、収益改善も営業損失33億円 国際線座席数の回復遅れで

2023年6月16日(金) 配信

矢田素史社長

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)が6月14日(水)に発表した2022年第2四半期(22年11月~23年4月)連結決算によると、売上高は前年同期比50・3%増の1029億1300万円と大幅な増収なった。全国旅行支援による国内旅行のマインドの高まりや、各国の入国規制の緩和で旅行需要が回復したことが主な要因。

 主力の海外旅行事業において、国際線の供給座席数がコロナ禍前の70%程度と回復が遅れたこともあり、営業損失は33億5800万円(前年同期は281億3000万円の損失)、経常損失は35億6100万円(同281億1100万円の損失)、当期純損失は48億900万円(同269億1100万円の損失)と赤字幅の縮小にとどまった。

 事業別では、ホテル事業の売上高が前年同期比130.3%増の82億2600万円と19年の55億1900万円を上回った。営業利益は5000万円(前年同期は20億6800万円の損失)と黒字に転換した。

 旅行事業は、売上高が前年同期比340.3%増の796億5400万円、営業損失は34億5800万円(同147億4200万円の損失)と改善した。

 このうち、国内旅行の売上高は19年比1.4%増とコロナ禍前を上回った。コロナ起因によるキャンセル料の全額免除や、沖縄でレンタカー不足を受け運行したリゾートシャトルバスなど独自施策の展開で好調に推移した。海外旅行は、同74・9%減の697億7200万円だった。

 矢田社長は「第2四半期単体では、海外旅行事業で約3年ぶりに黒字化した。トンネルの出口が初めて、見えてきた」と話した。

 7~9月の国内と海外の予約は、19年の7割程度で推移。今後は、6月22日(木)に第2弾のスーパーサマーセールをボーナス商戦に向けてスタートする。また、海外ツアーを申し込んだハネムナーと12歳未満の子供約2000人にパスポート代金を全額負担した。

 矢田社長は「まずは23年度連結での黒字化を目指している。そして、成長軌道に戻したい」と語った。

 澤田秀雄取締役最高顧問はH.I.S.ホテルホールディングスの社長としての業務に最も注力していることを説明したうえで、「宿泊施設の経営状況は、非常に良くなっている。現在経営する宿泊施設の数は45軒だが、今後は100軒ほどに増やしたい」と意気込みを述べた。

澤田秀雄取締役最高顧問

 業績予想はウクライナ情勢に伴う地政学リスクや為替変動、物価上昇などの外的要因により需要予測が困難であるため、未定とした。

「ロワジールホテル京都東寺」今秋開業へ ソラーレホテルアンドリゾーツ

2023年6月16日(金) 配信

観光に便利なホテル誕生へ

 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(井上理、東京都港区)は今秋、京都府京都市に「ロワジールホテル 京都東寺」を開業する。京都駅から徒歩圏内で、世界遺産の東寺へ徒歩5分という観光の拠点として便利なホテルが誕生する。

 新ホテルは、JR各線・近鉄・市営地下鉄烏丸線「京都駅」八条口から徒歩8分、近鉄京都線「東寺駅」から徒歩3分に位置する、地下1階付地上8階建て198室。最大5人まで宿泊できる客室のほか、大浴場やサウナ、300席超のレストランを備えるため、修学旅行やグループ旅行に利用できる。

奈良の魅力発信する「KiTRA」発足 9月にイベント開催

2023年6月16日(金) 配信

地元の若手クリエイターや起業家らがプロジェクト始動
 奈良の魅力を周知し、地域振興をはかるため、地元出身の若手クリエーターや起業家、実業家らはこのほど「KiTRA (キトラ)」(プロジェクト代表社・ Hinome)を立ち上げた。キトラは2023年9月に発足を記念した第1回目のイベントを開くほか、9月以降もさまざまなイベントを展開していくと発表した。
 
 キトラのメンバーは、奈良は日本の古都として多くの歴史的、文化的な魅力を持っているにも関わらず、多くの観光客のイメージが「修学旅行」「大仏」「鹿」に留まっている現状を憂慮。奈良を盛り上げるため、今回プロジェクトを立ち上げた。奈良の行政機関や寺社仏閣、ホテル、企業などとの協力で奈良の魅力を再評価し、奈良の自然や歴史的な魅力と現代の創造力を融合させた地元密着のイベントを計画する。これにより、奈良への観光客の流入を促進し、地域経済の活性化を目指していく。
 
 イベントの詳細は今後発表するが、奈良県全体の活性化を目的とし、街や地域の企業、店舗とのタイアップ企画を街中に点在させることで、1つの会場にとどまらない、街まるごと周遊型のプロジェクトを想定しているという。
 
 

7月14日から「ビール電車」を特別運行 大井川鐡道

2023年6月16日(金) 配信

過去のビール電車のようす

 大井川鐡道(静岡県島田市)は7月14日(金)から、「ビール電車」を特別運行する。9月30日(土)まで計19日間実施する。

 ビール電車は普通電車の車両にテーブルなどを設置し、車内でビールやおつまみを提供する。缶ビール2本のほか、目的地の家山駅のホームにはビールサーバーを設置し、生ビールが飲み放題で楽しめる。また、車内へ飲食物の持ち込みも自由という。同社は「あっという間に『ビアホール』ならぬ『ビアホーム』が誕生します。夜風に当たりながら一般的な酒場とはちがった雰囲気でビールなどをお楽しみください」とアピールする。

 運転区間は新金谷駅―家山駅間の往復で、家山駅で約1時間停車する。使用車両は東急電鉄の元主力電車・7200系。代金は大人がビール・おつまみ付で6500円、中学生~19歳はおつまみ付で4500円、小学生同4000円、席のみの幼児は1500円。申し込みは同社ホームページで6月19日(月)から受け付ける。

 

7月15日からオープントップバスを運行 北海道・倶知安観光協会

2023年6月15日(木) 配信

日の丸自動車興業からバスをリースし「スカイバスニセコ」を運行

 北海道・倶知安観光協会は7月15日(土)から、オープントップバス「スカイバスニセコ」の運行を開始する。夏の本格的な観光再開を目指し、日の丸自動車興業(富田浩安社長、東京都文京区)からバスをリースし、地元のバス会社が運行する。昼間は「ニセコパノラマ号」、夜は「ニセコナイト号」として1日最大16便をシャトル型で運行。今季は外国人観光客向けの英語・韓国語・北京語・広東語の音声ガイドシステムを導入する。バスの運行は9月3日(日)まで。

 運行ルートは、夏の雄大な羊蹄山を望むことができる大自然を満喫するコース。乗車券は3枚セットのため、途中の観光スポットで自由に乗り降りできることが特徴だ。ニセコのミルク工房高橋牧場では、人気の「飲むヨーグルト引換券」などが乗車特典として付く。

 ニセコひらふに長期滞在する旅行者にも便利で、昼は道の駅ビュープラザへ新鮮な野菜を買いに行ったり、夜はニセコ駅前の温泉「綺羅乃湯」へ行くこともできる。また、アジア最長のジップラインや光のアート「Mountain Lights 」へもスカイバスで行くことができる。

 スカイバスニセコは音声ガイドシステムを搭載し、20を超える観光スポットでニセコならではの観光ガイドが多言語で楽しむことができる。バスにはアテンダントが乗車し、その日のトピックやお得な情報、イベント情報なども楽しく紹介する。

 なお、電子チケットの発売は7月上旬を予定している。料金は中学生以上が1500円、子供が750円。

スタンプラリー参画の中国5県と広島でイベント開く JAF中国支部

2023年6月15日(木) 配信

昨年開催時のようす
 日本自動車連盟(JAF)中国本部(本部長前泰弘本部長)は6月18日(日)に、「中国5県×JAFドライブスタンプラリー2023」のイベントを、広島県広島市の「THE OUTLETS HIROSHIMA」で開く。
 
 現在開催中のドライブスタンプラリーに参画している中国地方の自治体や、観光協会、立ち寄りポイントになっている施設が、地域の特産品や、見どころを紹介し、より多くの人に来訪してもらうことを目指す。
 
 会場では15以上のブースを展開し、来場者へ観光パンフレットの配布や、地元の特産品販売などを行う。安田女子大学のブースでは、学生が考えたドライブスタンプラリーコースの立ち寄りポイントにまつわるクイズを企画し、観光地の魅力を発信していく。

 また、JAFブースでは、中国5県の特産品やTHE OUTLETS HIROSHIMAで利用できる商品券が当たるガラポン抽選会を実施。交通安全クイズに回答して運転免許証そっくりのカードが作成できる「子ども安全免許証」や、演奏を通して交通安全を学ぶことができる「JAF交通安全ドレミぐるーぷ」のコンサートも開く。

 参加費用は無料でだれでも参加できる。時間は午前10時から午後4時まで。

全日本ホテル連盟、清水嗣能会長が再任 4本柱で持続可能性を追求

2023年6月15日(木)配信

清水嗣能会長

 全日本ホテル連盟(ANHA、清水嗣能会長、正会員229ホテル)は6月13日(火)、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで2023年度通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で、清水会長(ホテルリバージュアケボノ社長)が再選した。23年度は4つの柱を立て、連盟の理念に基づく持続可能性の追求をはかる。

 清水会長は冒頭、今春に連盟会員を対象としたアンケート調査を行った結果、85%以上が「人手不足」に一番困っているとの回答だったと報告した。これを受けて、同様に人手不足が深刻なアメリカでは、従業員の賃金を上げて人材を集め、客室料金も上げて売上を上げたことでカバーしている対策事例を紹介。業界として「価格競争から、価値競争へ転換をしていかなければならない。価値を作っていく業界に変わっていかなければならない」と強調した。

 来賓の観光庁観光産業課長の柿沼宏明氏は、昨年10月の水際措置の緩和以降、全国旅行支援による需要喚起もあり、観光業界がインバウンドを含めて元通りの姿に戻りつつあると言及。一方、一番の課題は人手不足であるとの共通認識を示し、観光庁では「高付加価値化事業というカタチで、宿の単価を上げて、その分で賃金を上げられる環境整備に取り組んでいる。今後も生産性を高めてもらう支援は続けていきたい」と力を込めた。

 23年度事業計画では、①国づくり②会づくり③人づくり④宿づくり――の4つの柱を立て、それぞれの分野が密接に連携して事業を行い、連盟の理念である「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」に基づく持続可能性を追求するとした。具体的には、インバウンド誘客活動やハラール対応などの会員向け研修会、各種規定の整備やSDGs推進に関連した事業を担当しながら、連盟の基盤整備を行う。

 このほか、本部委員会活動を担う人材の発掘と各支部活動に実参加してもらえる会員を増やすため、会員増強委員会を新たに設置。オンラインのホテル経営者セミナーの開催のほか、女性の活躍が欠かせない業界であることから、交流の場として女性部を設置する。

 23年度の年会費はコロナ禍を鑑み、減免措置による支援を継続。正会員は半額免除で2万5000円とし、客室割会費も半額を免除する。準会員は1万円、賛助会員は10万円で従来通りとした。

観光業界に特化したマーケティングチーム設立 NEL

2023年6月15日(木) 配信

マーケティングチーム「Travel Engine」(トラベルエンジン)を設立

 TikTokを中心としたSNSを活用し、企業のマーケティング支援事業を展開するNEL(西田陸社長、東京都渋谷区)はこのほど、旅行・観光業界に特化したマーケティングチーム「Travel Engine」(トラベルエンジン)を設立した。インバウンドが回復しているなか、SNSを活用した集客のノウハウを求める声が多くなったことから、サービスを開始した。

 SNSで情報を入手する現代において、コト消費のコンテンツは積極的で効果的な情報発信をすることが重要視されている。一方、「どのような施策が効果的かわからない」「どのようなインフルエンサーに依頼すればいいか分からない」「人手不足でSNS運用にまで手が回らない」などの悩みを抱える事業者は多いという。

 こうした悩みを解決するため、今回のチームを設立。「7千人を超えるクリエイターネットワークと他社実績も含む施策実施結果データをもとに、要望に合わせた企画提案を提供していく」と意気込む。他社との差別化や、適切なターゲットへのアプローチ、SNSキャンペーンを実施したい事業者に利用を呼び掛けていく。