香川県・小豆島の農村歌舞伎舞台を活用、地域発!音楽と食のイベント「風が吹いてきたよ 小豆島・肥土山音楽祭」10月22日(日)開催

2017年10月10日(火) 配信

音楽とともに小豆島に流れる風を感じよう

小豆島・肥土山(ひとやま)地区にある農村歌舞伎舞台(国指定有形文化財)で、2017年10月22日(日)に、音楽と食のイベント「風が吹いてきたよ 小豆島・肥土山音楽祭2017」を開く。同イベントは2015年に続き2回目の開催となる。

 同イベントは、300年以上に渡り継承されている「肥土山農村歌舞伎」の舞台を使用し、島内の有志を中心に企画・運営を行っている。イベントの出演者は、映画やCMなどの音楽でも有名な高木正勝さんや、小豆島・坂手地区出身の国際的ジャズ・シンガー伊藤君子さんなど、演奏力・エンターテインメント性に優れたラインナップになっている。

どこにもない・ここでしかできない農村型音楽祭「風が吹いてきたよ」

 かつて小豆島は島内に30以上(仮設舞台を含めると140以上)の歌舞伎舞台がひしめく伝統の島で、江戸時代には島内に役者が溢れ、かなりのにぎわいをみせていた。しかし、にぎわいをみせていた農村歌舞伎舞台も現在は、肥土山と中山地区の2カ所のみとなってしまった。

 「何とかしてこの素晴らしい舞台と文化、景観を後世に伝えていきたい」。このような想いから、舞台を活用した〝どこにもない″、〝ここでしかできない″農村型音楽祭として誕生したのが同イベントだ。

 同イベントは、小豆島で受け継がれた文化を継承する舞台と周辺エリアを活用。肥土山地域の人々、そして島民の有志が中心となって創り上げる新しい祭りだ。島の人々自然が生み出すローカルビビッドを感じに、小豆島に出かけよう。

開催概要

日時:

2017年10月22日(日) 開場午前9:30 開演午前10:30 終演午後4:30(予定)

会場:

小豆島・肥土山農村歌舞伎舞台(国指定有形民俗文化財)

※雨天決行・荒天中止/雨天の場合は最寄り施設に変更の場合有り

主催:

風が吹いてきたよ実行委員会

助成:

 公益財団法人 福武財団、公益財団法人 置県百年記念香川県文化芸術振興財団、私的録音補償金管理協会(sarah)

後援:

 土庄町、小豆島町、土庄町教育委員会、小豆島町教育委員会、小豆島観光協会、とのしょう観光協会、小豆島町観光協議会、朝日新聞高松総局、産経新聞社高松支局、山陽新聞社、四国新聞社、毎日新聞高松支局、読売新聞高松総局、OHK岡山放送、KBN香川テレビ放送網株式会社、CMSケーブルメディア四国、RSK山陽放送、KSB瀬戸内海放送、CVC中讃テレビ、TSCテレビせとうち、RNC西日本放送、FM香川、FM815、香川こまち、高松リビング新聞社、ナイスタウン出版

協力:

 肥土山自治会、肥土山農村歌舞伎保存会、NPO法人Totie

チケット販売:

前売・当日 5500円 / 小豆島・豊島 島民チケット 3千円

※高校生以下無料(小学生以下は保護者要同伴)

※予定枚数に達した場合は当日券の販売なし

※島内チケットは購入時ならびに入場時に在住している証明書類など要提示。前売りチケット販売は島内店舗での販売のみ。

※主催者による中止の場合以外の払い戻しはなし

チケットご購入方法:

メールオーダー、ticket@kazefuki.com

氏名、ご住所、TEL、チケット種別、枚数を記載の上メール送付

チケット取扱店舗:

「小豆島/土庄町」 土庄町立中央公民館、土庄町総合会館(フレトピアホール)、エスポアおおもり、MeiPAM(島モノ家)、pensee、Blue Beat Bland cafe、HOMEMAKERS、ミナウタリ

「小豆島/小豆島町」 うすけはれ、UCHINKU、うみねこかしや、カレープラージュ、珈琲とブーケ、瀬戸よ志、タコのまくら、Today Is The Day、NPO法人Totie、ポンカフェ

「豊島」 海のレストラン、豊島ゲストハウスmamma

「直島」 アカイトコーヒー、直島カフェ コンニチハ、向島集会所

「高松」Kinco.、Cafe&Live Space SPEAK LOW、BOOK MARUTE

「男木島」 ダモンテ商会

□出演アーティスト

写真②高木正勝×渡辺亮

「高木正勝/音楽家・映像作家」

京都出身、現在兵庫県山深い谷間にて生活する。長く親しんでいるピアノを用いた音楽、世界を旅しながら撮影した“動く絵画”と評される映像、両方を手掛けるアーティスト。2009年Newsweek日本版で、「世界が尊敬する日本人100人」の1人に選ばれるなど世界的に注目を集める。

細田守監督の映画「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」、スタジオジブリを描いた「夢と狂気の王国」の音楽を手掛ける。2016年3月に『山咲み(DVD+2CD)』と、2010年のピアノソロツアーを収めたアルバム『YMENE』を同時リリース。

「渡辺 亮/パーカッショニスト」

音楽に色彩と空間を与えるパーカショニストとして、EPO、ショーロ・クラブなど、数多くのアーティストと共演、レコーディングに参加。

青山こどもの城の講師を経て、鼓童アースセレブレーション、いわき芸術交流館アリオスなど、全国でパーカッションのワークショップを行っている。

ソロ・アルバムに「ウォレス・ライン」「モルフォ」。著書に「レッツ・プレイ・サンバ」(音楽之友社)。自己の活動として「妖精・妖怪譚」「美術と音楽」がある。

武蔵野美術大学卒業、東京学芸大学非常勤講師

伊藤君子

香川県小豆島生まれ。

これまで17枚のアルバムを発売、数々の受賞歴に輝く日本を代表するジャズ・シンガー。活動の場は日本にとどまらず海外にも及ぶ。1989年にはソニー・ミュージックから発売されたアルバムがアメリカの「ラジオ&レコード誌」で16位にチャートインするという日本人初の快挙を成し遂げている。1997年には小曽根真とのデュオでスイス・モントルーの「モントルー・ジャズ・フェスティバル」に出演(ライヴ録音盤が発売中)、2010年には、パリ、ローマ、セネガルで公演、その他にもヨーロッパ、アジア諸国で公演を行っている。

最新アルバムは2017年5月に日本コロムビアより発売された「Kimiko Itoh sings HIBARI~伊藤君子、ひばりを歌う」。

Kimiko Itoh official WEB
http://www.kimikoitoh.com
日本の至宝。ジャズ・ヴォーカル伊藤君子のオフィシャルサイトです。日々の出来事やライブスケジュールなど、様々な情報をお届け致します。
切腹ピストルズ(from ART SETOUCHI 2017)撮影:宮脇慎太郎

「日本を江戸にせよ!」を合言葉に、野良着で暮らしながら、和楽器による演奏を全国各地で繰り広げる。西暦1999年大晦日に東京で始動、現在日本各地に隊員10名程度で編成。和太鼓の演奏、WEB上での音楽配信、寺子屋の実施、落語の会の主催などをしている。瀬戸内国際芸術祭2016参加。

アラゲホンジ

2007年、秋田県湯沢市出身のソングライター 齋藤真文を中心に結成。東北地方をはじめ日本各地の民謡や伝統リズムと、汎ブラック・ミュージックの融合を柱に置き、「秋田音頭」「相馬盆唄」「リンゴ追分」などのカバー曲にも独自のアップデートを加えて提示する。

2010 年には “FUJI ROCK FESTIVAL ROOKIE A GO-GO” に出演し、以降 “SUKIYAKI MEETS THE WORLD” “橋の下世界音楽祭” など、全国各地の音楽フェスに参加。2013 年の2nd アルバム「たからかぜ」発売時には、新聞・雑誌・ラジオなど多くのメディアから注目された。

2016年9月7日、3rdアルバム「はなつおと」をリリース。さらなる洗練と進化を遂げたサウンドが話題を呼んでいる。

カルマン

誰もがその音色の虜になってしまう中世ヨーロッパの楽器ハンマーダルシマー、モンゴルの大草原に一瞬で誘われるような馬頭琴と喉歌ホーミーの響き、そしてアイルランドの太鼓バウロン。モンゴルやアイルランドの伝統音楽をベースに新たなアイデアや実験を加え個性的かつ普遍的音楽を目指す。最新作は、2016年6月に小豆島に滞在し、島の各所でフィールドレコーディングを行った「小豆島から」。

「梵音遊行(高野山金剛流御詠歌)」

宗教音楽のひとつである高野山金剛流御詠歌。そして、その詠歌道を志す全国の真言宗僧侶で構成されているのが「高野山金剛流合唱団」である。「梵音遊行」とはその中でも四国の団員のみで構成されたユニット。今回は、島の御詠歌メンバーとの特別公演。

大阪から、紅葉の名所「京都」観光が便利に、ホテルから京都間を路線バス運行開始

2017年10月14日(土) 運行開始

直通路線バスを新たに運行

大阪バス(西村信義代表)は、ニュー・オータニ ホテルニューオータニ大阪(細山雅利総支配人)と協力し、2017年10月14日(土)から、ホテルニューオータニ大阪と、1年で最も観光がにぎわう紅葉の季節「京都」を結ぶ、直通路線バスを新たに運行する。

京都駅や清水五条、祇園四条の中心地へ向かう快適な路線バス運行開始

 交通路線が集まる「京都駅」をはじめ、観光の中心部の「祇園四条駅」へも運行する。2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、増加の一途をたどるインバウンドを見据え、ますます需要が高まる大阪・京都間のアクセスを便利にする。

 インバウドの宿泊日数は訪日全体の日数が7・9日で、そのうち大阪で宿泊したのは約3・7日といわれる。国籍や地域に関わらず大阪以外での宿泊日数が多いため、大阪を観光の入り口として使用。その他の場所でも観光、宿泊を楽しんでいることがうかがえる。今後は大阪に泊まりながら京都など、さらにアクセス面での需要が高まることを踏まえ、今回の協力体制の構築した。

 ホテルニューオータニ大阪は、バス停留所設置や営業支援など全面協力する。大阪のシンボル「大阪城」と隣接するホテルから、主要な京都観光地へのアクセスをより便利にし、インバウンドの取り込み強化をはかる方向だ。

 ※上記の数値は、関西国際空港 外国人動向調査結果より引用

大阪バス

本社営業所:〒577-0065 大阪府東大阪市高井田中3-6-21

TEL:06-4308-0800(代表) FAX:06-4308-0600

http://www.osakabus.jp/corporate/

ニュー・オータニ ホテルニューオータニ大阪

所在地:〒540-8578 大阪府大阪市中央区城見1-4-1

tel:06-6941-1111(代表) fax:06-6941-9769

「京都特急ニュースター号」運行概要

運行開始日: 2017年10月14日(土)

大阪→京都方面
京都→大阪方面
運賃

「観光革命」地球規模の構造的変化(191) 人生100年時代の到来

人生100年時代の到来

 9月18日は祝日法で定められた「敬老の日」であった。実はその1週間前に首相官邸で第1回目の「人生100年時代構想会議」が開催された。この会議は安倍政権の新しい重要課題である「人づくり革命」の推進組織。

 日本は既に世界に誇るべき「超長寿社会」を実現しつつある。かつてであれば「人生100年時代」などは夢のまた夢であったが、現在では明らかに現実化している。例えば日本では百歳を超える「百寿者」が1963年に全国で153人であったが、2016年には6万5692人に達している。半世紀のうちに400倍以上の増加だ。まさに驚異的な長寿化である。

 私が館長を務めている北海道博物館では10月20日から「弥永コレクション展」を開催予定である。このコレクションは現在98歳の弥永芳子さんが半世紀をかけて収集した各種資料(貨幣、貴金属、琥珀、黄金美術品、アイヌ民族関係など)。弥永さんは札幌生まれでドレスメーカー女学院を卒業し、道庁職員と結婚して主婦であったが、46歳のときに欧州を旅行し、貨幣の歴史に興味を持って収集・研究を行うようになった。51歳のときに北海道貨幣史研究会を発足させて会長を務め、その後、道内300カ所を現地調査して貴金属類やアンモナイトを自ら収集・研究した。66歳のときに私設3階建ての「弥永北海道博物館」を開設して95歳まで館長を務めた。3年前に博物館を閉館し、資料のほとんどを北海道博物館に寄贈。これまでに貨幣史、金属史、北海道郷土史関係の16冊の著作を出版し、現在も執筆活動を続けておられる。

 医学者や脳科学者は科学的根拠にもとづいて、長寿の秘訣は「運動」「好奇心」「社会とのかかわり」が最も大切と述べている。毎日適度に身体を動かし、さまざまなことに対して知的好奇心をもち、他者とのつながり(コミュニケーション)を大切にしている高齢者は長生きできるらしい。弥永さんの人生でも明らかなように、長寿の秘訣は「運動」「好奇心」「社会とのかかわり」であり、旅行はそれらの3つの要因に関わっている。高齢者にとって自らの趣味や好奇心を満たす旅行は極めて大切だ。併せて社会的に高齢者の旅行をサポートする「トラベルヘルパー」などのシステムづくりが不可欠である。

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森 秀三)

コラムニスト紹介

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

〈もてなし名脇役(12)〉伝えることで満足を、通訳アプリで広がる世界

テレビ電話の通訳スタッフを介して会話

 訪れた人が「迎えられている」と感じる。そんな空間演出につながるモノを、使われる場面も想像しながら紹介します。

     □ □

 観光庁の訪日外国人旅行者アンケートで、「コミュニケーション」や「多言語表示」など、旅行中に困ったことで言語に関するものが毎回上位に上がっています。今回はそんな問題解決の一助となる英語・中国語に対応した通訳アプリ「LiNGO(リンゴ)」を紹介します。

 LiNGOはiPhoneやiPadなどで使えます。通訳スタッフとテレビ電話で会話ができるほか、チャット機能を使った文字翻訳、定型のやりとりに使える指さしコミュニケーション機能を備えています。初期費用は無料で月額基本料金は900円から。

 仕組みを提供するプレステージインターナショナルは「必要に迫られてではなく、おもてなしの強い味方として使ってもらいたい」といいます。季節の献立や名所を事前に翻訳して保存。それを入り口にアプリでちょっとした会話をするなど、利用の場面は広がります。日本旅館を選んでくれた外国人旅行者だからこそ、伝えることがもてなしにつながるのでは。

問い合わせ=電話:03-5213―0241。

「街のデッサン(198)」古いものに魅せられる観光市場創造、「オールドニューの哲学」

湧水の町・大野に知恵も湧き出る

 日本商工会議所の地方都市再生を支援する事業があって、そのアドバイザーとして初めて、福井県大野市を夏の初めに訪れた。織田信長の家臣が治めた城下町で、周囲が山々で囲まれた落ち着いた風情の盆地の町である。大野商工会議所ではこの案件の担当者が待ち受けていて、目下計画している事業の概要を説明してくれた。「周囲の山脈から流れてくるミネラル分をたっぷり含んだ名水の町であるから、地ビールの特産品開発を、やる気のある町の若手起業家たちと計画している」ということだった。

 熱意をもって町の元気づくりを語る若い担当者の考えに好感を持った。が、地ビールが日本の各地で盛んに醸造されたのは20年前の事。以前、小樽のびっくりドンキーの地ビール工場を訪ねて聞いた話では「メジャーな旨いビールが一般化している市場では、採算的にロットの小さい地ビールは太刀打ちできない。ブームは一巡して、最盛期の1割程しか生き残っていないのでは」ということだった。地ビールを生かすには、別の事業舞台の創出が必要となろう。

 大野市を訪ねる前に、少々資料を調べた。そこで、大きなヒントになる人物の名前に出会った。町の出身者にブックオフの社長だった橋本真由美氏が載っている。彼女は創業経営者の坂本孝氏によって、ブックオフのパートからトップに抜擢されたのだ。驚きの人事はマスコミを騒がせた。水脈も大切であるが、地域づくりで重要なのは人脈である。

 ブックオフの社是には「社会を幸せにするための会社」を目指すとあった。この事業背景から、私が想起したのはイギリスのかつては無名の田舎町ヘイ・オン・ワイであった。

 ヘイの町にも小さな城があったが、「本の王様」と自称したリチャード・ブースが、廃業した映画館や旧消防署の建物を購入し、「古本の町」の舞台にした。1971年には古城のヘイ・キャッスルも買収し、今では世界中の古書ファンがやって来る観光地だ。すなわち、大野市もブックオフと提携して古本都市とする構想である。

 しかし、これだけではブースの発想のコピーで終わる。私のコンセプトは「オールドニュー」。古いものこそが新しい価値を生む。そうなると、古着も、古道具も事業にラインアップされる。東京・裏原宿で古着事業をゼミの教え子が大成功させているが、例えば彼にも出店を依頼する。若手のオールドニュー・ベンチャー起業家の集積が、大野の町を劇的に変えていく。そんな町にこそ、「観光地ビール」は似合うはずだ。

(エッセイスト 望月 照彦)

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

「味のある街」「つばさかりん」――紋蔵庵(埼玉県川越市)

紋蔵庵「つばさかりん」1個118円(税込)▽埼玉県川越市古谷上3788-1、電話049-235-1857、年中無休

 天明や天保の大飢饉で庶民を救ったのは、さつまいもだといわれている。それらは川越から江戸へ新河岸川を行き交う船によって運ばれた。陸路より短時間で運べるため新鮮さが保たれると評判だったという。庶民の間で「焼きいも」と親しまれ普及していったのも川越のさつまいもが多かったそうだ。今でも芋を使った和菓子や芋せんべいや芋そばなど人気の品々がたくさんある。

 暑いのが苦手な私だが、涼しい秋になった。街歩きをするのには絶好の季節だ。気軽に街歩きを楽しめる川越に出掛けることにした。かつての城下町で蔵造りの町並みや史跡が多く残り、小江戸と呼ばれ年中多くの人々が訪ねる大観光地の一つだ。1893(明治26)年、市街をなめ尽くした大火災をきっかけに火に強い土蔵造りの店が建ち並び、川越は江戸の風情を残すたたずまいとなった。

 本店はその蔵の町並みから車で10―15分ほどの古谷にある。有名な時の鐘からだと歩いて15分の喜多院の門前にも支店がある。最初にこの店を訪ねたときに「午前中にお店に来ていただければ、お買い求めいただけると思います。そうでなければご予約なさった方が確実ですよ」とお店の方はおっしゃる。手に入れられなかったのだ。今日は本店に予約を入れておいた。夕方に取りに行ったときは、やはりすでに「好評につき売り切れました」と張り紙がしてあった。朝の連ドラ「つばさ」の舞台が川越の「甘玉堂(架空)」という和菓子屋が設定ということもあって発売当初からの人気は続いている。その名も「つばさかりん」。《川越の味、さつまいもをあんに仕あげ、じっくり煮詰めた「こがし蜜」を生地に練り込み、昔懐かしい味わいのかりん糖風に香ばしく油で揚げました。黒糖の風味豊かな素朴な味をお楽しみください》とお菓子のしおりに書いてある。外見はかりん糖の色をしたやや細長い饅頭だ。香りは、まさにかりん糖。揚げたてはさっくりしっとり。日が経つに連れしっとり感が増してくるのでオーブントースターで3―4分温めると作り立ての美味しさが味わえる。

(トラベルキャスター 津田令子)

コラムニスト紹介

トラベルキャスター 津田令子氏

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

「登録有形文化財 浪漫の宿めぐり(78)」(兵庫県豊岡市)西村屋本館≪庭と建物の一体感が身上の平田館≫

長く白漆喰瓦屋根の板塀が続く。この板塀と2階建て部の大広間「泉霊」も登録有形文化財

 数寄屋建築の巨匠といわれる平田雅哉の設計施工による平田館。西村屋本館では、登録有形文化財に登録された平田館の印象がひときわ強い。建築されたのは1960(昭和35)年。60歳を迎え、円熟期となった平田の傑作といわれる。

 平田館は木造2階建て、客室9室の宿泊施設である。中庭をすっぽりと囲むように建物が立ち、建物の東側には奥庭が設けられている。この庭と建物との一体感が、平田数寄屋の真骨頂である。

 1階の渡り廊下から中庭を眺めると、実際の広さ以上に奥行と広がりを感じる。中庭の中央に緩やかにカーブする白い砂利の流れがあり、その左右に苔の緑と低木や高木の植え込み、そして小さな起伏の前には石灯篭が配置されている。白砂利は左手奥にある高床式の観月の間の下方へと延び、奥庭にある池からは中庭へと水が流れてくるのだ。「奥庭の落ち葉が水に乗ってくると風情があります」。宿の人が言った。建物にとっての庭ではなく、自然の山野に建物がある印象なのだ。 

 平田数寄屋は客室の造りも従来の数寄屋造りとは印象が違う。床の間や床脇があっても、ただ並列に置くことはしない。特別室の観月は幅が一間半もある畳床だが奥行は浅くして軽みを感じさせ、床脇はガラス窓と障子の2枚重ねというもの。おまけにガラス窓には太さの違う縦の桟を並べ、横にアクリルの貫を通している。天井は深さのある格縁で組み、箱を並べたような格天井だ。ユニークである。

 客室はそれぞれ趣を変え、御幸の間は10畳の本間に幅一間半の踏込み床を設け、天井は猿頬面の棹縁。鈴懸の間は畳床に2本の板状の床柱を立て、那智黒を敷いた手水場を広縁の並びに置く。2階の光淋の間も畳床だが、床柱は細めの絞り杉丸太で気取りがあり、桐の一枚板の欄間には全面にカエデの彫刻が張り付いていて目を驚かせる。平田館を好み、全室を泊まり較べる客もいるそうだ。

 西村屋本館には平田館のほかに昭和初年ごろに建てられた本館や、1949(昭和24)年建築の離れがあり、総客室は34室。本館2階の大広間「泉霊」と、外回りの板塀も登録有形文化財になっている。敷地2300坪。城崎温泉街の西寄りに堂々たる外観を構えている。

 旅館を経営する西村家は福井県若狭の出自で、江戸時代の末に城崎温泉で旅館を創業した。現在の本館を建てたのは4代西村佐兵衛だった。1925(大正14)年の北但地震で城崎温泉が壊滅した直後である。城崎町長でもあった佐兵衛は復旧に全力を挙げるとともに、家業の旅館建築にも目を配った。のちに航空会社を立ち上げるなど事業に積極的で、行動力のある人ならではの働きだったろう。和風の本館も品のいい造りである。平田館と対比するような館内ツアーがあれば面白い。

(旅のルポライター 土井 正和)

コラムニスト紹介

旅のルポライター 土井 正和氏

旅のルポライター。全国各地を取材し、フリーで旅の雑誌や新聞、旅行図書などに執筆活動をする。温泉、町並み、食べもの、山歩きといった旅全般を紹介するが、とくに現代日本を作る力となった「近代化遺産」や、それらを保全した「登録有形文化財」に関心が強い。著書に「温泉名山1日トレッキング」ほか。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(81)雨の日も晴れやかに、運転手が手に持つ傘に

雨の日も晴れやかに、運転手が手に持つ傘に

 バス旅行に参加した雨の日、バスに戻るお客様に傘を差して迎える運転手の姿が、雨で気分がさえない気持ちを、一瞬で晴れやかな気持ちにさせてくれました。

 乗車口で「お帰りなさい」と迎える笑顔も、雨の中を難しい顔をして歩いていたお客様の表情を笑顔に替えていきます。

 最も大きな笑顔の要因は、運転手が手に持つ傘にありました。

 雨の日のバスで最も嫌な瞬間は、傘をたたみ乗り込む時です。乗車前に濡れないように気をつけてはいても、やはり濡れてしまいます。

 その運転手は笑顔で傘をお客様に差しかけていました。しかもその傘がゴルフのキャディーが選手に差しかけるために持つ、大きな傘だったのです。その傘を見て、お客様が笑顔で話し掛けながらバスに乗り込んでいくのです。

 このバス会社では、ツアー中にお客様が利用できる傘も用意しています。これもうれしいサービスです。ふつうは濡れた傘を自分の席まで持って行くと、車内は水浸しになります。

 雨だけでも憂鬱なのに、車内まで濡れてしまった状態になれば、ますます気分は落ち込みます。

 入口で傘を預かる箱を用意している会社もありますが、多くの場合は自分の席まで持って行きます。あとから来た人が、自分の傘の中に先を入れてしまい、中まで濡れたり穴を空けられる、ということもあったから、とうかがいました。

 しかし、貸し出す傘であればなんの心配もなく箱に入れて席に戻ることができます。おかげで車内も快適でした。

 運転手の話では、もう1つこの傘のメリットがあります。お客様みんなが同じ傘を持っているので、自分のお客様がどこにいるのかすぐに分かるということでした。

 ある休憩地では、こんなことがありました。雨が止み、何人かのお客様が傘を持たずに休憩施設に入り、再びバスに戻ろうとしたとき、激しい雨が降りだしたのです。

 傘を持たないお客様が、走ってバスに戻ろうとするのを見つけた運転手が、そのお客様に「そこで待っていて下さい」という合図を送り、バスから飛び出すように、数本傘を持って走って行きました。

 365日晴れるということはありません。私たち仕事をする者には、たまたま今日は雨という1日かもしれませんが、ツアーのお客様にとっては「何もこんな日が雨にならなくても」という悲しい、悔しい気持ちになると思います。

 その1日を振り返って、雨だけど、良い1日だったと思ってもらえるように、全力でお客様を守ることこそが、おもてなしの想いなのです。

コラムニスト紹介

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

出国税導入か? 巨大な観光産業は大きな発言力を

出国税導入か?
巨大な観光産業は大きな発言力を

 9月28日に召集された臨時国会の冒頭で、衆議院が解散した。2年後の2019年10月1日に予定されている消費税率10%への引き上げで、約2兆円の増収を見込んでいる。その使い道について、国の借金の“穴埋め”分や、社会保障に充てる財源などの変更について「国民に信を問う」と、安倍晋三首相は25日の会見で強調した。
     ¶
 観光業界にも、大きな税の問題が持ち上がっている。いわゆる「出国税」だ。
 「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」(座長=山内弘隆・一橋大学大学院商学研究科教授)の第1回会合が9月15日に開かれ、新たな財源確保に向けて議論が始まった。2020年に訪日外国人客数4千万人、30年には6千万人という大きな目標がある。同会合で、観光庁の田村明比古長官は「(目標達成に向け)高次元の施策を進める必要があり、これには一定の財政需要が伴う」との考えを示した。
 では、どのような手法で新たな財政を確保していくのか。
 現在、「出入国」「航空旅行」「宿泊」の3つが選択肢に上がっている。使い道として想定されているのは、訪日プロモーションの推進や、出入国環境整備、受入環境整備などだ。
 一部報道によると、政府は出国時に日本人と外国人に1千円程度を徴収する案を示した。徴収方法としては、航空機や船舶の運賃に上乗せするという。早ければ2018年度にも導入し、年間400―500億円の税収を見込んでいる。
 ただ、どうしても腑に落ちない部分がある。さらなる訪日観光プロモーションや、主に外国人観光客の受入環境整備などの予算を確保するために、日本人が出国する際に、新たに税金を徴収されるという構図が、上手く呑み込めない。「受益者負担」の度合いの高い訪日外国人旅行者に負担を求めるのが自然だと考える。
 外国人旅行者だけに課税することは、「内外無差別」の原則から外れるという。しかし、米国のESTA(電子渡航認証システム)では、対象がビザ免除国からの訪米外国人である。
     ¶
 日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)では、伸び悩む海外旅行を活性化させようと、さまざまな知恵を絞り、努力もしてきた。また、近年の燃油サーチャージ高騰時には海外旅行への大きな逆風のなか、根気強く消費者に説明してきた経緯がある。今回の「出国税」は、「アクセルを踏もうとした矢先に、急ブレーキを掛けられた」との感覚が強いのではないか。
     ¶
 訪日外国人観光客数の目標数値を設定している以上、国は、人員ベースで飛躍的な拡大を目指していかなければならない。だが、同時に「質」も求めていくのであれば、日本での観光旅行を快適に過ごしてもらうため、日本人の出国者ではなく訪日外国人に負担を求める。ここは強気でいいと思うのだが。多くの外国人観光客が訪れることによって、地域住民にストレスを与えたり、実際にマナーや質の低下を感じる観光地もある。
 議論はこれから深まっていくと思うが、せいぜい年間200億円程度の観光予算で、16年の訪日外国人旅行消費額3兆7476億円を生み出している。もはや巨大産業である。この実績を背景に、観光産業と行政はより大きな発言力を持つことが大事だ。
(編集長・増田 剛)

グルメ旅行の調査を実施。1位を独占したのは、親日でも知られるあの国

2017年10月6日(金) 配信

グルメ目的の海外旅行へ.

エクスペディア・ジャパンはこのほど、「海外旅行に行ったことがある」人のうち「海外旅行の際にグルメも目的の1つになる」と回答した20~50 代男女の有職者400人を対象に、「グルメ旅行」に関する調査を行った。

海外旅行をする際に楽しみにしていること

 海外旅行時の楽しみついて聞いたところ、2人に1人が「美味しいグルメを食べる」ことが最も重要だと回答。グルメを目的に行ったことある海外旅行先については、1位が台湾で、韓国、香港と続いた。日本から近いアジア各国がランクインする結果となった。一方で、行きたい海外旅行先1位にイタリ、リピートしたい海外旅行先1位にはスペインと、欧州各国も注目されていることがわかった。

グルメを目的に「行ったことがある」「行きたい」「リピートしたい」海外旅行先

グルメを目的として行きたい海外旅行先
グルメを目的にリピートしたい海外旅行先
安くグルメを堪能できる海外旅行先

旅行客が選ぶグルメ大国は「台湾」に

 「行ったことがある」海外旅行先1位の台湾は、「安くグルメを堪能できる」、「屋台が楽しめる」、「食べ歩きが楽しめる」、「朝ごはんが美味しい」旅行先の4つのランキングでも1位となり、グルメといえば台湾が選ばれている結果に。このほか、タイや韓国、香港などとアジア各国が入選し、食べ歩きや屋台を楽しむのに、アジアが人気を集めていることが分かった。

屋台が楽しめる海外旅行先
食べ歩きが楽しめる海外旅行先
朝ごはんが美味しい海外旅行先

グルメ大国台湾の魅力

 グルメを目的とした海外良港先で、合計5つのランキングで1位に躍り出た台湾。台湾は、豊かな海と山に恵まれ、美食の街として有名。肉汁たっぷりの小籠包をはじめ、牛すじを使った牛肉麺や、豚肉を煮込んだ魯肉飯などが台湾料理の人気メニュー。街中のレストランや食堂で楽しめるのはもちろん、市街南部の師大路や公館站エリアのナイトマーケットにはリーズナブルな屋台が並ぶ。2017年9月28日(木)現在、同サイトで航空券とホテルを一緒に予約すると、2泊3日で2万2千円(2017年12月1日~2日(金・土))から、台湾旅行を楽しめる。

台湾の「ホテル」「ショッピング」「観光」

 ホテル…宿泊地として人気なのは台北駅周辺。空港からのリムジンバス、MRTの各路線やバスなど市内交通の発着も多く、観光の基点として便利。リーズナブルなビジネスホテルや、ゲストハウスが立ち並び、そのほか松山国際空港付近の復興北路エリアや台北101周辺、中山站エリアには、高級ホテルが充実。

 ショッピング…台湾きっての人気エリアは、台北101の周辺。高級百貨店や大型デパートが軒を連ね、ブランド店やアパレルショップが充実。裏通りに入れば気軽な服飾店や雑貨店も多く、予算に合わせた楽しみかたができる。台北の原宿や秋葉原と称され、地元の若者から人気の西門町周辺もおすすめだ。

 観光…台湾の歴史に触れるなら、清時代の宝物を展示する国立故宮博物館や、台北最古の寺院である龍山寺、門を守る衛兵が凛々しい忠烈祠などがおすすめ。ナイトマーケットも定番の観光スポット。市内から電車で1時間ほどの九份エリアは、レトロな街並を残し、海を見下ろす山の斜面に小さな飲食店や商店が点在する。

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