No.312 地銀、観光振興に動く―前編― 地域産業間のコーディネーター

地銀、観光振興に動く―前編―
地域産業間のコーディネーター

 地元に多くの取引先を持ち、それぞれの細かなニーズを把握する地方銀行は、地域産業間のコーディネーターとして新たなビジネス創出の担い手となることが期待されている。先行きが不透明な時代、中長期的な視点から成長分野への投資が不可欠だ。なかでも観光業は成長分野の1つと位置づけられ、専門の行員や、部署を置く地方銀行が増えてきている。地銀の観光振興の取り組みにスポットを当てた。

【沖永 篤郎、飯塚 小牧】 

 

  

観光・環境分野担当 藤澤学 調査役

「成長分野を横断的に支援」 ― 千葉銀行 成長ビジネスサポート室

 千葉銀行は2009年8月、観光ビジネス支援を強化することを目的に初めて観光専門の行員を置いた。千葉県は東京ディズニーリゾートや成田空港を有し、全国でも有数の観光地。09年の延べ宿泊者数は1552万人の全国第4位と健闘している。震災の影響で昨年は減少したが、ここ数年は増加傾向にある。広報室の小笠原潤調査役は、「県が観光を盛り上げていこうという気運があるなかで、地方金融機関として、我われサイドからもムーブメントを起こしていきたい」と話す。…

 

 

黒岩祐介法人部コンサルティング
営業グループ長

「着地型のプレゼン会、観光振興に向け初開催」 ― 八十二銀行

 八十二銀行(山浦愛幸頭取、長野県長野市)の法人部は、リッキービジネスソリューション(澁谷耕一社長、東京都千代田区)と共催で5月22日、東京都内で長野県着地型旅行商品のプレゼン会を開いた。同銀行は、昨年4月、法人部コンサルティング営業グループ内に観光専門の担当者を配置するなど、地域経済活性化の観点から観光振興に力を入れており、今回もその一環として開催した。会では県内5地域が旅行会社に地域の魅力を紹介したほか、個別の商談会も実施した。…

 

 

 

澁谷耕一社長

リッキービジネスソリューション 澁谷社長に聞く ― 「銀行と企業をつなぐ」

 リッキービジネスソリューション(澁谷耕一社長、東京都千代田区)は、金融機関と企業をつなぐ経営企画のアウトソーシング事業や、金融機関向けの研修事業、サポート事業などを手掛ける企業だ。澁谷社長が長年の銀行勤務経験を生かし、2002年に単身で設立。今年で10周年を迎えた。現在は全国の地方銀行と組み、地域の食や観光を東京で売り込むイベントなども展開している。…

  

 

 

※ 詳細は本紙1464号または日経テレコン21でお読みいただけます。

プレスツアーのコース ― 人工的な公園よりも……(6/11付)

 今や、多くの地域が観光PRに熱心で、プレスツアーを行い、テレビや新聞、雑誌、ブログなどに観光素材をアピールしてもらおうという動きが活発化している。現地の行政トップや観光担当者、事業者との懇談会を設定し、忌憚のない意見を集めて、地域の観光に生かしていこうとする姿勢には、積極的な意欲と、柔軟さが感じられ、すごく好感を持ってしまう。

 けれど、自治体が主催するプレスツアーのコース設定に少し疑問を持つことがある。残念でもある。招待されておきながら、「つまらない」などと言うことは、大変口幅ったいことではあるが、でも、本気で地域観光に取り組もうとされるのならば、次のようなところはコースから外した方がいいのではないか。あえて言わせてもらえば、自治体が出資している○○公園や、○○交流館、資料館、記念館のようなものである。

 すべての地方に行っているわけではないので、当然例外があることは百も承知なのだが、基本的にそれら建物は綺麗で清潔感があり、予算が潤沢にあれば世界的な有名建築家、そうでなければ地元の建築家がデザインしたすっきりとした建物である。館内に入ると、大きなパネルの写真や年表などがガラスケースの中で展示され、中には電飾の装置が付いた大がかりな仕掛けで説明してくれたりする。また、公園の方は、敷地面積が広大で、壮麗な噴水があり、憩いの広場がコンクリートと芝生などで整備されている。ゴミもあまり落ちていないし、何かのイベントをやっていない時期には地元住民もあまり訪れない。観光客の姿など滅多に見かけない。そのような空間に、東京から飛行機やら新幹線やらを乗り継いで、大型バスからぞろぞろとカメラとメモ帳を持った記者やジャーナリスト、ブロガーが降りて周りを見回す。自治体の観光担当者が、公園の説明を20分ほどして、隅々まで1時間ほど散策するという流れだ。

 記者たちが本当に見たいのは、綺麗に整備された広大な公園などではない。このような公園は、各市町村に必ず一つはある。遠い未知なる地域を訪れたときは無機質で人工的な公園ではなく、魅力溢れる宝に会いたい。せっかく予算を使うのなら、ツアー参加者に「私たちのまちの何を見たいか」を、事前に聞いた方が効果的かもしれない。

(編集長・増田 剛) 

【当選者発表】第37回プロが選ぶ100選宿泊券プレゼント

今回もたくさんのご応募ありがとうございました。

2012年4月20日の締め切り後、厳正なる抽選の結果、ご当選者が決まりました。

このトップページ左側リンクバナー「プレゼント当選者発表」にご当選者のお名前を掲載いたしましたのでご覧ください。
ご当選者の皆様には当選ホテルから近日中に宿泊券をお送りいたします。どうぞ楽しいご旅行をお楽しみください。

東京スカイツリー開業、初日の5月22日22万人が来場

グランドオープンした 東京スカイツリータウン
グランドオープンした
東京スカイツリータウン

 東京スカイツリーを中心に展開する新しい街「東京スカイツリータウン」(東武鉄道、東京都墨田区)が5月22日開業した。都内最大級の312店舗をほこる商業施設・東京ソラマチも同日オープン。初日は施設全体で約21万9千人(うち東京スカイツリーには約9千人)が来場し、多くの人でにぎわった。

 東京スカイツリータウンは、とうきょうスカイツリー駅と押上(スカイツリー前)駅をつなぐ東西長さ約400㍍、広さ約3・69㌶におよぶ“新しいまち”。高さ634㍍の自立式電波塔・東京スカイツリーや、商業施設・東京ソラマチ、オフィスタワー、水族館、プラネタリウムにより構成される。東武鉄道は土日祝日など最大1日20万人、初年度来場者数を3200万人と見込む。

 同社は公共交通機関の利便性向上を目的に最寄り駅、とうきょうスカイツリー駅の全面リニューアルや同駅停車の特急列車ダイヤの改正等を実施。敷地内には乗用車1028台の駐車場を備えるが、同社・東京スカイツリータウン開業広報事務局は「混雑が予想される開業から一定期間はとくに、公共交通機関を利用してお越しいただきたい」と呼びかける。敷地内には観光バス30台の駐車場(完全予約制・2時間)も完備する。

創立50周年を祝う(日本旅のペンクラブ)

西村京太郎氏が講演会に招かれた
西村京太郎氏が講演会に招かれた

 日本旅のペンクラブ(代表会員・山本鉱太郎氏)は東京都文京区の椿山荘で、5月16日の第25回「旅の日」の会に合わせて、創立50周年記念大会を開いた。

 講演会では、トラベルミステリー作家の西村京太郎氏と聞き手の津田令子氏が「旅とサスペンス~麗しき日本 愛しき風景~」をテーマに語り合った。

 西村氏は「最近の特急は窓が開かなかったりしてトリックが作りづらくなった。また、小説上であっても、観光地や旅館の方から、『ここを舞台に殺人事件を起こすのはやめてほしい』という声も多く、難しい」と漏らすと、会場にいた地方観光関係者から「ぜひ私たちのところでお願いします」という名乗りもあがった。

「旅の日」川柳大賞に吉川弘子さんが受賞
「旅の日」川柳大賞に吉川弘子さんが受賞

 「第32回日本旅のペンクラブ賞」は、「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)に決まり、表彰式を行った。同社は東日本大震災で甚大な被害を受けながら、「フラガール全国きずなキャラバン」が避難所への慰問など全国約250公演を行った。今年2月には「きづなリゾート」をテーマにグランドオープンし、震災復興のシンボルとして、温泉とフラガール、スタッフが訪れる人を元気にしていることが受賞の理由。

 第4回「旅の日」川柳の表彰式も行われた。全国から3945句の応募があり、吉川弘子さん(神奈川県川崎市)の「少しだけ 行方不明に なれる旅」が大賞に選ばれた。

スパリゾートハワイアンズのフラガールショー
スパリゾートハワイアンズのフラガールショー

 50周年記念懇親パーティーでは、山本鉱太郎代表理事が「日本旅のペンクラブは50年間、まちづくりや旅の文化の発展に貢献してきた。そして今や、日本で最も歴史のあるアクティブな旅の書き手の文化団体に成長した。これからも全国の心ある方々とスクラムを組んで観光日本の発展に力を尽くしていきたい」と語った。

 アトラクションとして「スパリゾートハワイアンズ」のフラガールショーも行われ、会場は盛り上がった。

鶴雅グループ 大西雅之社長に聞く

鶴雅グループ 大西 雅之社長
鶴雅グループ 大西 雅之社長

 鶴雅グループ(大西雅之社長)は6月9日、旗艦店あかん遊久の里鶴雅と昨秋取得した旧ホテルエメラルドとを一体化し、温泉リゾートホテルとしてリニューアルオープンする。本紙のインタビューに答えた大西社長は、「新しい絵を描ける施設を取得したのは大きなチャンス。3、4泊の連泊需要にも対応できる施設を目指す」と語った。

【鈴木 克範】

≪“新装”機に滞在リゾートへ、3、4泊の連泊にも対応≫

<隣接ホテルが休館に>

 東日本大震災直後の昨年4月、グループ9館のうち2館を休館した。東北海道は東京、札幌などの大消費地から遠く、震災の影響は大きかった。同じ4月、隣接するホテルエメラルドが7月から休館すると発表された。

 温泉街の真ん中で旅館の灯りが消えると「斜陽感」がでてしまう。阿寒全体が大打撃を受ける。だが日本中、投資マインドが冷え込んでいた。外国資本が出てくる可能性もほとんどない。そんななか金融機関の仲介もあり、運営されていたカラカミ観光と休館が地域に与えるダメージについても話し合った。旅館はひと冬閉館したままだと、設備がだめになる。そうなれば再生に億単位の追加投資が必要になる。冬前に譲渡についての結論を出してもらいたいとお願いした。

<取得でチャンス得た>

 昨年の9月下旬、ホテル取得のニュースが流れると、多くの友人からは2つのことを言われた。1つは「やむを得ない選択なのだろうが、負担になるのでは」。これが大方の反応だった。一方、金融機関の見方は違っていた。「少ない資金で客室を増やすことができる。やり方次第でいい投資になる」。両面を検討したが「地域と共に繁栄する」という弊社の原点に戻り、これをチャンスと捉える決意をした。

 鶴雅はそれなりに稼働も順調で、使える場所は隅々まで生かしてきた。魅力を加える設備投資の余地がもうなかった。しかし、さまざまな国からの観光客、滞在型の旅行、1人旅など需要は多岐にわたる。とくに3、4泊して楽しめる温泉街になり、ホテルもその機能を備える。これが21世紀に生き残っていく本質と考える。新しい絵が描ける施設を得て、国際リゾートホテルを目指すスタートラインに立てた。

<羽ばたくふたつの翼>

 6月9日、館名を「あかん湖鶴雅リゾートスパ 鶴雅ウィングス」に変更し、リニューアルオープンする。取得したホテルを「東館」、あかん遊久の里鶴雅を「西館」とし、2館はアイヌ文化を紹介する回廊で結ばれる。館を鶴に見立て、ふたつの大きな翼を広げた姿を館名に表した。

 東館は1階から3階のパブリックスペースを大変革する。1階のロビーには、アイヌ文化を中心としたギャラリーミュージアムを作り、東館のロビーへ回廊でつなぐ。ここに阿寒ゆかりの作家らが手掛けた彫刻などを展示し、郷土文化を発信する。

 その奥はラウンジ空間。支笏湖(水の謌)で採用した「素足の空間」を取り入れる。食事は、定山渓(森の謌)のブッフェレストランをさらに進化させ、260席のスローフードレストランを新設する。席数が増えたことで「西館」のブッフェダイニング「天河」(220席)の混雑も緩和できる。

 スパの充実は滞在型リゾートには不可欠だ。東館の2階と3階は客室を取り壊し、「温泉スパゾーン」にする。阿寒湖を望む男女共用の岩盤浴ラウンジなど、新しいスタイルの施設が加わる。今年の冬は西館の大浴場にも手を入れたい。大きなスパゾーンが2つできるので、閑散期なら片方ずつ改装できる。

 チェックインロビーも2つに分ける。東館は団体とインバウンド客、西館は個人客を迎える。それぞれの館に客層別のロビーを設けることでゆとりと機能が充実した空間をめざす。

<阿寒の商品開発も>

 温泉街では阿寒湖アイヌシアターによるアイヌ文化の発信や、阿寒湖の世界自然遺産登録などの取り組みも始まった。

 モノづくりでは行政の力も借り、今年から2カ年かけて、アイヌ文化の商品開発をすすめたい。温泉街のホテルで提供できるアイヌ料理はそのひとつ。阿寒湖温泉でかつて当たり前だったモノづくりを再生する。アイヌ人形劇を題材にした商品や木彫りの実用品にアイヌ文化を織り込むのも一案だ。協議会を立ち上げ、阿寒湖温泉地域だけで扱うなどの条件をクリアしたものを認定し、資金支援も行っていきたい。

 「世界的にも希少な球状のマリモが生まれる阿寒湖を世界自然遺産に」という機運も高まっている。くしくも今年は、阿寒湖のマリモが国の特別天然記念物に指定されてから60年の節目を迎えた。国内広報にも力を入れたい。昔マリモが絶滅した区域では自然再生にも取り組んでいる。今は展示水槽の見学だが、数年後には自然のなかでマリモを見られる仕組みが実現できそうだ。

<航空事情改善に期待>

 6月から10月にかけて、日本航空と全日本空輸が羽田―釧路便の機材を大型化するなど、道東便の航空座席が5―7割増える。これは大きな追い風だ。今年はLCC(格安航空会社)元年とも言われる。まずは新千歳空港へ就航するが、あと2年くらい後に激変するのでは。今まで恵まれてこなかった地方便が力を取り戻すと思う。

 昨秋の道東自動車道開通は、札幌圏からのアクセス向上に加え、昼間着の千歳便を利用しても道東へ入ることができるようになった。北海道ガーデン街道やひがし北海道3つ星街道など、地域の楽しみ方や魅力を発信する商材もできてきた。阿寒も観光協会内に旅行業を立ち上げ、着地型商品に対する受け皿ができ始めた。

 さらに7月からはJRグループと旅行会社が共同で展開する「北海道デスティネーションキャンペーン」が始まる。新しい館を構えて迎える今夏の期待は大きい。

国土交通大臣が要請、関越道高速バス事故受け

前田国交相(中央)に報告する業界団体の代表者
前田国交相(中央)に報告する業界団体の代表者

 4月29日に発生した関越自動車道における高速ツアーバス事故を受け5月16日、バス、旅行業界団体の代表者が国土交通大臣室を訪問し、国土交通大臣へ自主的な安全対策について報告を行った。業界団体の出席者は、高速ツアーバス連絡協議会の村瀬茂高会長、日本バス協会の堀内光一郎会長、日本旅行業協会(JATA)の金井耿会長、全国旅行業協会(ANTA)の徳永雅典副会長。

 前田武志国交大臣は、安全対策強化に関する要請書を手渡した。要請書は、同省として事故の再発防止と利用者の信頼回復に向け、関係省庁とも連携して各種の安全対策をできる限り迅速に実施するとしたうえで、民間事業者の自主努力を求めている。具体的には(1)運転時間の基準および交替運転士の配置指針が実施されるまでの当面の措置として、夜間の長距離運行において交替運転士を配置するなどの自主的な安全対策を確実に実施すること。(2)高速ツアーバスを、バス事業のあり方検討会の報告を踏まえた方針に則って「新たな高速乗合バス」にできるだけ早期に移行すること。(3)自動車局と観光庁で、貸切バス事業者と旅行業者が文書による取引内容を明確化する仕組みを導入するので、これに協力すること――など。

 日本バス協会の堀内会長は「当局の通達や、協会独自の安全対策などの周知は、加盟会社のみに行われている状況」と説明。2000年の貸切バスの規制緩和以降、中小零細のバス会社が急増。その結果、協会未加盟会社も増加している。全貸切バス事業者4372社のうち、加盟率は49%にとどまっているという。

 JATAの金井会長は「バス事業者と連携を深めて、取引内容を具体的に明確化する形を始めとして、安全対策がより充実した仕組みとして確立するよう取り組みを進めていきたい」と語った。

 日本バス協会が独自に取り組む安全対策の1つに、貸切バス事業者の安全性評価認定制度がある。バス事業者の法令順守事項と安全確保への取り組み状況を書類と訪問調査で確認。安全に対する取り組み状況が優良であると認定されるとセーフティバス認定マークが交付される。同制度は11年8月からスタート。12年5月1日時点で、222事業者8307両が認定を受けている。この制度に関して、JATAの金井会長は「ツアーを設定する場合に認定されたバス事業者を優先的に使っていく取り組みも進めていきたいが、まだ我われのニーズに応えられる台数に達していない。より早く制度を充実させていただくなかで、我われとしても安心してお願いできる形につなげていきたい」と語った。 

450キロ以上は運転士交替、安全確保指針を制定

中央は村瀬茂高会長
中央は村瀬茂高会長

 高速ツアーバスの企画実施会社、バス運行会社、受託販売会社(インターネット販売)で構成する、高速ツアーバス連絡協議会(村瀬茂高会長、89会員)は5月16日、「高速ツアーバス安全確保指針」とする安全対策のための自主ルールを制定した。夜行運転で実車走行距離が450キロ以上のコースについては、交替運転士の配置を必須とした。国土交通省は、運転士の1日の最大運行距離670キロという指針の見直しを表明している。

 安全確保指針は、企画実施会社、バス運行会社、受託販売会社の業種別に8―12のチェック項目を設けた。それぞれの関係、役割を書面で事前に確認し明確化する。また、企画実施会社と利用者の関係、利用者への義務についても募集広告のなかに明記することを求める。悪質業者を排除するために、受託販売会社は、企画実施会社に対して指針を著しく守らない場合、販売停止や契約解除の措置があることも書面で通達する。

 16日、国土交通省で行われた会見で同協議会の成定竜一顧問は、今回の事故ついて「企画実施会社が、法令順守状況が良くないバス会社に運行を依頼したことが原因の1つとして考えられる」との見方を示した。指針では、どのような安全管理、法令順守のバス会社であるかということを企画実施会社が書面で把握をしたうえでバスの運行を依頼するということを取り決めている。

 会員へは指針対応を徹底させるために協議会への報告義務を課す。報告内容は、6月初旬から協議会ホームページ上で掲示。安全の見える化を実践する。

 これとは別に企画実施会社に対し実態調査も行う。バス会社選定における各社の安全基準、利用者への情報提供(交替乗務員、任意保険など)、運行依頼先の見直し予定を調査する。村瀬会長は、「まずはできることから始めている。指針は事故解明や国土交通省からの指導を含めて、断続的に見直し強化することを考えている」と語った。

 今回の指針は4月に「バス事業のあり方検討会」が発表した「新高速バス制度」を先取りする形で策定した。新制度では、高速ツアーバスの企画実施会社はすべて、一定のバス車両を保有する乗合バス事業者に業態転換が求められる。委託に際しては個別に国の許可が必要になり、委託者にも運行責任が課せられる。新制度移行は今後2年をかけて行われる予定だったが、今回の事件を受けて同協議会は、すみやかに移行できるように会員への支援を進める。 

<人気ブロガーに聞く> 招待ツアーは補助でも十分

山本峰子さん
山本峰子さん

 山本峰子(ハンドルネーム)さんは、gooブログアクセスランキング100番台の人気ブロガー。“旅が大好きな温泉ソムリエ&フードアナリスト”が綴るブログ「コダワリ女のひとりごと」のアクセス数は1日当たりIP約2千、PV約1万(月間IP約6万、PV約35万)を誇り、企業の商品イベントや地域が主催するブロガーツアーにも多数招かれるなど、精力的に情報を発信している。人気ブロガーにブロガーツアーや観光地への率直な意見を聞いた。

【飯塚 小牧】

 

 ――ブログを始められたのはいつですか。

 8年前、2004年の夏からです。当時、仕事がIT関係だったので、仕事の一環として「今話題だから」と始めました。最初は、エッセイや小説のようなものを書いていて、人気はランキングで100番台に乗るぐらいありましたが、今ほど力を入れていたわけではありません。その後、5年前に札幌から東京に移り住んで、仕事を辞めてから本格的に始めました。企業のイベントに参加するようになったのは3年前で、ブロガーの招待ツアーは昨年から参加するようになりました。

 ――主催者は発信力を求めると思いますが、ブロガーの方々はどのようにイベントやツアーに参加されるのですか。

 ホームページで募集している場合もありますし、ブロガーのプロダクションのようなものもあります。手法はさまざまですが、アクセス数などの条件があるので、応募して審査に通れば参加できます。私の場合は、固定の読者さんがいらっしゃるのでアクセス数は安定していますが、テレビなどで話題になったものはアクセスが急に上がったりします。このため、時事ネタを盛り込んでいるブログはアクセス数が多くなる傾向があります。

 ――ブログを拝見すると旅の記事も多いです。ブロガーツアーについてお聞かせ下さい。

 もともと旅は好きなので、自分でもよく出掛けますが、ブロガーツアーは昨年、7回程参加しました。旅好きのブロガーにとっては、昨今の地域が主催するブロガーツアーはとても魅力的です。形態は地域によって違い、全額招待のツアーもあれば、「3万円を補助するので好きに周って下さい」というものもあります。もちろん、全額招待はうれしいですが、もし本当に旅好きのブロガーを集めたい場合は全額を出すのではなく、補助の方がいいかもしれません。私たちは一般消費者でマスコミではないので、旅が好きであれば、足がでるだけでも宿泊だけでも意欲がでて出掛けていきます。同じ予算なら単純に10人より20人呼んだ方が効果的ではないでしょうか。なかには謝礼が発生することで、旅にあまり関心がない参加者も見受けられるので、少し残念な気もします。また、せっかく予算をつけているのですから、記事以外にも参加者から意見を聞くなどフィードバックを求めるべきです。

 ――ご自身でもよく旅をされるそうですが、その際は何を参考になさいますか。

 「どこかへ行こう」と思ったらまずインターネットで検索します。ガイドブックも買いますが、雑誌だと情報量が限られてしまいます。他の方のブログも参考にし、クチコミを見て調べます。ブログは画像が見られることが大きな魅力です。しかも、それはプロが撮っているわけではないので、偽りのない姿で信頼性があります。また、同じ場所に行っても視点はそれぞれ違うので、自分では気付かなかったところを他の人がクローズアップしているのを見るのは楽しいです。自分のブログでも、文章よりも画像を多く使い、写真で見せるようにしています。

 ――消費者目線で観光地に対する意見を教えて下さい。

 全般的に言えることは、自分たちの魅力に気付いていないということです。とても珍しいものもPRしていない。青森に、日本でも数人しか持っていないウィーン菓子のマイスター資格を保有する方のお店があるのですが、地元の方はまったく知らないので「もったいない!」と思い、何度も紹介するうちに徐々に知名度が上がってきたという例もあります。地方ではブログの書き込み自体が少なく、発信力も低いので、埋もれてしまっているお店はとても多い。地元の人が売り出したいものと、来訪者のニーズが一致していないのかもしれません。食べ物などは、とくに東京から訪れる人は“おいしいもの”は求めていないと思います。東京で何でも食べられますから。それよりも、“珍しいもの”“新鮮なもの”を求めているので、無理に東京ナイズする必要はないですし、やはり郷土料理のようなものが歓迎されると思います。

 ――今後、ブログはどうなっていくと思いますか。

 ブログがなくなるという人もいますが、私はなくならないと思います。Facebookも楽しいですが本名の人が多数なので、恐らく友人内の限られたものです。比較して、ブログは最初から不特定多数に発信するものなので、今後もブログの発信力には魅力があると考えています。

 ――ありがとうございました。

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【山本さんから宿や観光地へ一言】

 「私は旅が大好きなので、ホテルや観光地紹介などのブログ記事投稿のお誘い大歓迎です!直接メールでご連絡下さい」。

 山本峰子さん=メール(fuekitty@goo.jp )、BLOG( http://blog.goo.ne.jp/fuekitty )、Facebook( https://www.facebook.com/fuekitty )、Twitter( https://twitter.com/Fuekitty )。

ピンクリボンのお宿ネットワーク7月10日設立 参画宿・企業募集中

<全国500の病院と連携、多くの人に温泉旅行を>

 全国50―60万人という乳がん患者の旅をサポートする「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(代表発起人・石井貞徳旅行新聞新社社長)が7月10日に設立されます。

 乳がんにより、毎年5万人の女性が胸の切除や温存手術を受け、8割以上の方が回復されている一方で、そのことを気にして、大きな楽しみである旅をあきらめてしまう人が多いという。その数は患者さんと家族を含めると約200万人にのぼるといわれています。

 そこで、全国の旅館・ホテルや観光行政・団体とのネットワークを持つ旅行新聞は、乳がん患者の団体や、サポートする看護師、病院などと協力しながら、患者さんを受け入れる宿が参加する会を設立し、1人でも多くの方々が温泉の旅を楽しめる環境づくりに取り組んでいきます。

 会では、全国500の病院や看護師団体と連携し、年1回の総会・シンポジウムを開き、それぞれの立場、考え方の理解を深めるほか、業界のみならず広く社会に向けて啓発の輪を拡大していきたいと考えています。また、お宿の冊子を発行して、旅行新聞読者以外にも全国500の主要病院や看護師団体を通じて配布します。乳がん患者に限らず、高齢者や障がいのある方、病院の医師、看護師をはじめ、職員の方々とご家族にも旅を楽しんでもらう環境をつくっていきます。

 ぜひ多くの旅館・ホテルや観光地、旅館組合、賛同される企業の皆様のご参画をお待ちしております。

 「ピンクリボンのお宿ネットワーク」の組織は(1)【会員(正会員・準会員)】乳がん患者を受け入れる全国の旅館・ホテル、観光地・温泉地の行政、観光団体、旅館組合等(2)【協力会員】全国約500の病院、乳がん看護認定看護師(約160人)、池山メディカルジャパン(3)【賛助会員】企業等。

 年会費は正会員(1施設)3万円、準会員(1団体)5万円、賛助会員2万円。

 設立総会は7月10日、東京都内で開く予定です。

 「Tourism For All」をテーマに、すべての人が等しく旅を楽しめる環境づくりに取り組む旅行新聞新社が事務局となります。

 問い合わせ=旅行新聞新社東京本社 電話:03(3834)2718。 関西支社 電話:06(6647)5489。