2018年4月10日(火) 配信

外国人ユーチューバーやSNS(交流サイト)のインフルエンサーを活用した観光プロモーションを目にする機会が増えてきた。一方、地方自治体や観光地らも自分たちのPR動画を制作するものの、成果が実るかどうかは手さぐりの状況だ。今回、外国人ユーチューバーに特化した動画プロモーションなどを行う「じゃぱんじゃぱん」の鈴木雅人マネージャーに、その事業内容や今後の展望を聞いた。
【平綿 裕一】
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動画配信プラットフォーム「YouTube(ユーチューブ)」は、世界の全インターネット人口の約3分の1を占める 10億人以上が利用している。モバイルでの再生回数は1日当たり12億回を超える。およそ日本国民全員が、1日で10回以上再生していることになる。長さでいえば、1日に2千万時間以上再生されている。驚異的な規模感だ。
「通常の広告よりも、爆発的なスピードで認知を獲得できる。ここが我われの強み」。外国人ユーチューバーなどのインフルエンサーを起用し、動画プロモーションを行うじゃぱんじゃぱんの鈴木マネージャーは話す。
同社はMCN(マルチ・チャンネル・ネットワーク)をビジネスモデルとする。MCNはユーチューバーを傘下に収め、チャンネル運営のためにさまざまなサービスを提供する。国内では未だ十数社ほどしかいない。
ユーチューブ認定資格も取得している。動画再生回数向上のノウハウや複雑な著作権関係などのトレーニングを、グーグルからスタッフ全員が受けた。ユーチューブの仕組みを熟知している。
外国人目線で作る動画プロモーションにとくに力を入れている。現在、2万組を超える外国人ユーチューバーらとアライアンスしている。これまで約4500本の動画を制作。総再生回数は13億回、総再生時間は5千万時間にまで成長した。
「外国人の視点で動画を制作することを徹底している。日本人の主観はほとんど入れないようにしている」。
国外視聴者はアジア圏が72%で、欧米圏が28%を占める。年齢別では、25歳から44歳までで過半数を超える。
最近では、地方自治体や大手旅行会社、バス会社、メーカーなどの動画制作事例が多い。とくに地方自治体のクライアントが増えているという。
□外国人ユーチューバーの実力は
香港人のトップユーチューバー「Jason(大J)」による北海道ツアーレビューでは、動画説明欄にツアー予約サイトのリンクを貼り、計4本の動画を公開した。
動画掲載から2カ月で、予約サイト内の北海道カテゴリーの売上が3倍にまで伸びた。同じユーチューバーが行った地方自治体のPR案件では、公開から1カ月で訪日外国人旅行者が約200%増加。
さらにフランス人ユーチューバーの「David Lafarge」の観光レビューでは、掲載から1週間で動画再生回数が100万回を突破した。
「これらはクライアントからの報告。動画というツールは、記事や写真よりも訴求力があり、結果につながりやすい」と胸を張る。
1分間の動画が伝える情報量は約180万語、Web頁で3600頁分に相当するといわれる。動画であれば、商材への理解が7割ほど深まるという。「プロモーションするうえで、非常に有効なツール」と自信をみせる。…
※詳細は本紙1709号または4月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。