ピンクリボン運動を、全旅連女性経営者の会

JKKのメンバー。ピンクリボンのバッジをつけて
JKKのメンバー。ピンクリボンのバッジをつけて

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の女性経営者の会(JKK、石橋利栄会長、43会員)は4月19日、全旅連本部で2012年度総会を開き、今年度は社会貢献委員会がJ.POSH(ピンクリボン運動)のオフィシャルパートナーとして、ピンクリボン運動の啓蒙に取り組んでいくことを決めた。また、高齢者・子供・身体障がい者などの弱者の受け入れ施設として勉強会を開催するほか、会員拡大を目指していく。

 石橋会長は、「JKKはまだ大きなことはできないが、少しずつ業界のために実のあることに取り組んでいきたい。今日は皆でピンクリボンのバッジをつけて参加していますが、ピンクリボン運動も実になるよう頑張っていきたい。また、地震や風評被害など何が起こるかわからないなか、危機管理をしっかりとしていこう」と語った。

旅館甲子園開催へ、消費税の外税表示を陳情

横山公大部長
横山公大部長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(横山公大部長、1484会員)は4月18日、東京都千代田区の都道府県会館で2012年度の定時総会を開き、「旅館甲子園」の開催など事業計画を決めた。

 横山部長は「昨年の震災後、青年部は存続できるのかという不安や危機感を持ってのスタートとなった。この1年東北はもとより西日本でもいろいろな影響があったなか、多くの出向者を出していただき、それぞれが全力を尽くしてくれてありがたい」と感謝を述べ、稲尾和久元プロ野球選手の話をあげ「どんな状況であっても、その場所、その土地、その環境、その条件下で最善の仕事をすることが大切」と鼓舞した。

 親会の佐藤信幸全旅連会長は「創業100年を超える旅館も多く、本来、長く続く強い業界であるはず。経営にはバランス感覚が大切で、そのバランス感覚を持っていれば、苦境で1度落ち込んでも必ず這い上がれる。青年部の皆にはそのバランス感覚を養ってほしい」と期待した。

 来賓の川内博史民主党観光振興議員連盟会長は「観光は国の成長戦略の重要な柱。その中核を担う旅館・ホテルの意義は大きい。皆さんと一緒になって、お互いの連携を密に取り、認識を共有し、さまざまな問題を一つひとつクリアしていきたい」と力を込めた。

 各委員会から2011年度事業報告や一般会計収支報告、2012年度の事業計画を報告。12年度は、13年2月の国際ホテルレストランショーでの「旅館甲子園」の開催や、観光庁や日本政府観光局(JNTO)との協力、ネットエージェントとのトラブル解決などに注力していく。

 なお、総会前には旅政連消費税外税表示推進決起大会を開催。陳情活動も行われた。

インバウンド研究会代表に本芳氏

<ぐるなび、日観振協が研究会発足>

 ぐるなび総研はこのほど、日本観光振興協会と、訪日外客誘致施策を本格的かつ実証的に研究する観光政策研究プロジェクトチーム「インバウンド研究会」を発足。代表には、初代観光庁長官で、首都大学東京教授の本保芳明氏が就任した。

 海外から多くの観光客を誘致し、日本の食文化、魅力を広めることを目的に、インバウンド戦略の意義と位置付け、ブランド戦略、プロモーション戦略、受け入れ環境対策、人材教育戦略など多岐に渡るテーマを研究する。研究結果を国や自治体、観光関連の団体や各企業に幅広く情報発信・提言し、観光産業の活性化に寄与する狙いだ。 

国内展示拡大へ、9月20―23日開催(JATA旅博2012)

 日本旅行業協会(JATA、金井耿会長)はこのほど、主催するアジア最大級の旅行イベント「JATA国際観光フォーラム・旅博2012」を9月20―23日に東京ビッグサイトで開くことを発表した。

 「新たな旅文化の創造へ」を基本テーマに、情報流通の変革、ビジネスモデルの変化、世界的な経済の低迷継続などの環境のなかで、旅博から新しい旅文化の創造メッセージを発信し、市場の創出、拡大、旅のスタイルの多様化を推進する。

 今年は国内展示をさらに充実させ、海外バイヤーを招聘してインバウンド分野へも事業拡大。海外・訪日・国内旅行の三位一体の総合的なイベントに発展させる。海外バイヤーはインバウンド主要15市場から招聘し、名称も「JATA大商談会」から「JATA国際商談会」へ改名。日本をベースにしたアウトバウンド・インバウンドの商談のみならず、第三国間の商談もできるユニークな機会を提供し、東アジア最大の大商談会を目指す。 

中国へハイレベルミッション、中部・北陸運輸局が派遣

 国土交通省北陸信越運輸局と中部運輸局、中部(東海・北陸・信州)広域観光推進協議会は5月6―10日まで、中国の個人・団体観光旅行や教育旅行、インセンティブツアーなどの誘致促進のため、富山県の石井隆一知事を団長とするハイレベルミッションを中国の北京市と広州市へ派遣することを発表した。

 北陸信越運輸局と中部運輸局、中部広域観光推進協議会では、日中国交正常化40周年の節目で辰年の12年を、中部北陸9県の観光エリアを龍に見立てて「昇龍道」と命名し、魅力的な観光資源が凝縮している中部北陸圏を強力にプロモーションしていく方針を打ち出している。今回、富山県知事を代表とし、北陸信越運輸局と中部運輸局、中部北陸9県地域の観光関係者からなるハイレベルミッションを北京市と広州市に派遣。中部北陸の魅力・特性を幅広くPRすることにより、需要の回復をはかり、中部北陸地域への来訪促進の働き掛けを行う。現地では、中国国家旅游局、広東省政府、航空会社などを訪問し、旅行会社などを対象とした観光説明会、商談会などを開催する予定。 

旅館女将ら15人が受賞、12年観光功労者大臣表彰

 国土交通省は4月16日、2012年観光関係功労者大臣表彰の受賞者を発表し、23日に国土交通省内で表彰式が行われた。受賞は、旅館関係が6人、ホテル関係が8人、観光レストラン関係が1人の計15人。

 受賞者は次の通り(敬称略)。

【旅館業・経営者】
指宿ロイヤルホテル会長・有村佳子(鹿児島県指宿市)

【旅館業・女将】
大観女将・佐藤總子(岩手県盛岡市)▽丸栄ホテル副社長女将・渡辺利子(山梨県南都留郡富士河口湖町)▽柊家大女将・西村時枝(京都府京都市左京区)▽国際観光旅館鍋屋本館女将・富田千鶴子(熊本県人吉市)

【旅館業・従事者】
霧島ホテル支配人・福冨龍一(鹿児島県霧島市)

【ホテル業・経営者】
日本ホテル協会会長兼森ビルホスピタリティコーポレーション社長・大橋寛治(京都府京都市左京区)

【ホテル従事者】
ホテルグランドパレス料飲部シェフ兼総料理長・鈴木通照(東京都府中市)▽富士屋ホテル湯本富士屋ホテル宿泊課・長尾廣幸(神奈川県小田原市)▽帝国ホテル調理部宴会調理課専門職課長・長沼和雄(千葉県習志野市)▽京王プラザホテル料飲部専門副部長・戸邉孝明(埼玉県熊谷市)▽名古屋観光ホテル総料理長・森繁夫(愛知県名古屋市港区)▽阪急阪神ホテルズ大阪新阪急ホテル調理部専任部長・塚本三十志(滋賀県湖南市)▽ロイヤルホテル常務兼リーガロイヤルホテル大阪総支配人兼リーガロイヤルホテル大阪オペレーション統括部・品質管理部担当兼オペレーション統括部長・田辺能弘(大阪府柏原市)

【観光レストラン業・経営者】
国際観光日本レストラン協会副会長兼瓢亭社長・髙橋英一(京都府京都市左京区)

“観光に成長性あり”JNTOとの役割明確に

井手憲文観光庁長官
井手憲文観光庁長官

 4月1日付で新しく観光庁長官に就任した井手憲文長官は4月20日に、就任後初となる会見を開き、(1)インバウンドなどの需要の創造と強化(2)観光産業全体の強化(3)観光庁の組織力アップなど就任の抱負を語り、「観光は成長性のある分野」と力を込めた。

 井手長官は就任の抱負として「中長期的に冷え込む日本経済のなかで、観光は成長性のある分野。坂の上の雲を目指して力を尽くしたい」と語った。

 インバウンドでは、「震災からの回復に万能薬はなく、これまで行ってきた海外メディアの招聘や海外の旅行会社への情報発信など、さまざまな手段を組み合わせて着実に行っていく」と語り、「国別だけではなく需要のセグメントに分け、きめ細かい対応が必要」と話した。また、観光客数の数値だけでなく、観光産業全体の強化について強調した。

 観光庁の組織運営については、「観光は幅広い分野なので、観光庁職員には幅広く深いノウハウと熟練のスキルが必要となる。

 観光プロモーションのイベントを実施して終わりなど、表面的なことに満足せず、職務をまっとうしたい」と力を込めた。

 また、日本政府観光局(JNTO)との役割分担について触れ、「企画をする観光庁と、海外事務所を通じての発信などの実務を行うJNTOとの役割分担をもっと明確にし、連携を深めたい」と話した。

 溝畑宏前観光庁長官については、「リーマンショックよりも落ち込みの激しい一番難しい時期に、大変な努力をしていただいた」と評価。前長官へ海事局長時代に、風評被害への対策として中国・韓国へのトップセールスや放射線量の数値発表を助言したことを明かし、「海事局でも、欧米の定期船が東京湾に入れないなどの状態になり、放射線量の数値を計測し発表するなど、対応に追われた。溝畑前長官とは、震災後の国土交通省の会議で隣に座り、励まし合いながらともにがんばった」と語った。

<東北への数次ビザ、夏までには解禁へ>

 3月末に開かれた第3回観光立国推進本部で、外務省が、沖縄を訪問する中国人観光客への数次ビザを、被災地3県へ拡大するよう関係省庁と協議を始めていると明かした件について、「外務省と話しており、夏くらいまでには、東北への数次ビザが解禁できるのではないか」と見通しを語った。

【特集No.309】熱川プリンスホテル スタッフ全員で「整理整頓」

2012年5月1日(火)配信

 品質の高いおもてなしで、お客様の強い支持を得て集客している旅館は、従業員の職場環境を整え、お客様と真摯に向かい合える仕組みができているのが特徴だ。「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第3弾は、静岡県・熱川温泉の熱川プリンスホテルの嶋田愼一朗社長と、産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏が客室を潰してパントリーに改装することによって、スタッフから「働きやすい」という声が上がったほか、バックヤードを「徹底的に整理整頓する」ことで生産性が大きく向上した事例などについて話し合った。

【増田 剛】

 嶋田:もともとは農家だったのですが、伊豆急行が開通する際に、「これからは観光の時代だ」と、1959年にみかん畑を潰して旅館を建てたのです。1971年に先代の父が「ニュー熱川プリンスホテル」として新たに会社を立ち上げました。父の代は、伊豆大島近海地震や当館が1983年に火災するなど苦労が絶えませんでしたが、取引業者への支払いは必ず期日に支払ってきましたし、景気の良いときにも大型の設備投資もせずに安定した経営をしていました。そして、5年前に私が経営を引き継ぎました。

 現在の館内は、増築を繰り返し、複雑な構造になっています。2棟に分かれていて、客室は52室です。お客様を案内する際も、導線が長いなどのデメリットもあります。食事の提供では、調理部との導線にも課題がありました。バックヤードがなかったので、お客様と同じエレベーターで料理を運ばなければならず、評価が下がるようなこともありました。しかし、この数年はお客様アンケートの声などを取り入れながら、改善点を見出し、少しずつリニューアルを重ねてきています。 具体的には、普段あまり使っていなかった会議室兼宴会場を、個人客向けのダイニングルームに改装しました。従来の部屋食では、客室係がどのように接客サービスをしているか見えづらかったのですが、食事提供をオープンな空間でサービスすることで、熱い料理は熱いうちに、冷たい料理は冷たくお出しすることが可能になりました。また、高齢のお客様には、椅子・テーブル席を用意しました。ダイニングルームで見通しが利くので、チーフが1人いれば指示もできるし、全体を見回して社員教育もしやすくなりました。

 リニューアルの際に、ダイニングルームが調理部の真上の階だったので、思い切って調理部から一番近い端の客室を上下2室潰しました。そしてエレベーターを通して、ダイニングルームに料理を運べる広めのパントリーにしました。2部屋は海の見える広い客室だったので、パントリーだけに使用するにはそれでも広すぎたので、隣室専用の露天風呂としました。グレードをアップし、付加価値をつけることによって客室単価を上げました。  ようやくバックヤードの導線を作ることができ、調理部からエレベーターで料理が運ばれてくるので、「作業がやりやすい」とスタッフの評価が高くなりました。心にゆとりができ、接客サービスに集中することができるようになったことで、お客様からの評価も大きく高まりました。私自身もダイニングルームに入り、スタッフの接客を見ることができるようになりましたし、忙しいときには社員と一緒に接客しながら、多くのことを改善することができました。現在は、最上階の1フロア12室はお客様の要望があれば、料金を少しアップして部屋食にも対応しています。

 内藤 : そもそも旅館の生産性向上にどうして取り組もうとされたのですか。

 嶋田 : 私は将来旅館を継ぐことを真剣に考え、4年ほど群馬県の旅館で経験を積んで熱川に戻って来ました。当時はまだ団体客が主流で、当館のサービスも大型の団体客を受け入れていた時代の、旧態依然とした旅館の都合によるものでした。しかし、私は「これからは大手旅行会社の個人のお客様の取引をメインにしていきたい」という夢を持って帰って来ましたので、少しずつ私の理想とする宿に方向づけていきました。しかし、実際はお客様の立場に立ったサービスとはかけ離れた部分もありました。自分の思いと、宿の現状のギャップに悩み、自分の力だけで変えていくことは本当に大変でした。設備投資を継続的にやってきましたが、やはり一定のところで頭打ちになってしまい、根本部分であるソフト面をしっかりと改善していかないとお客様の評価は高くなっていかないだろうという思いに至ったのです。

 当時は従業員の拘束時間が長く、仕事のメリハリもなく、効率も悪かった。この部分を根本的に変えていかなければならないと思い、社内に「サービス向上委員会」などを立ち上げたりしましたが、前向な議論にはならなかったのです。だけど、自分の中では「何とか改善したい」という気持が強まるなか、静岡県の補助事業として、サービス向上の生産性支援事業があると、旅館組合から情報が回ってきました。私は意を決して応募したのです。

 内藤 : 旅館に限らずサービス産業全般に、生産性というと、アレルギー反応があるところもありますが、取り組んでみてどうでしたか?

 嶋田 : 事業では、まずは調査から入りました。夏の繁忙期と、その後の閑散期の2回調査し、この結果としてレポートが出たのですが、「社長は仕事が好きで全部自分で抱えてしまう」など色々な批判もありました。私は旅館に戻る前は、旅行会社などサラリーマンとしての経験もあり、「現場で社員と一緒になって働きたい」「良くしていきたい」という意識が強く、自分なりに一生懸命やってきたつもりでしたが、思いもよらぬ評価に夜も眠れないくらいに落ち込みました。
 生産性向上の取り組みのなかでは、スタッフと一緒に不要な物を捨てる整理整頓から始めました。必要な物は使いやすい場所に整理しておく。皆の意見を聞きながら、「これはどこに置くべきか」など全員で納得しながら整理整頓することによって、皆がよく理解して実際働きやすくなったということを実感したのです。

 内藤 : 整理整頓は具体的にどのようなことをされたのですか。

 嶋田 : 整理は、とにかくスタッフ全員がそれぞれの思いでいらない物に目印を付けて、後で私も含めて話し合って思い切って捨てました。浴衣や書類などが多かったですね。残った必要な物も、そこの場所に置いておく物なのか、他の場所に置いておく物なのかを区分して、そこに置いておく物だけを残して、どこに置いたら取り出しやすく、個数も少なくて済むのか。また、日常使う物は手前、それ以外の物は奥にとスタッフ全員で話し合って決めました。引出については、すべてのフロアを同じにして、誰が行ってもすぐにわかるように整理しました。中身のわからないものは、テプラなどで表示しました。中に入れるものについても、あまり入れ過ぎず必要最低限のものだけを入れるように工夫しました。スペースも有効に利用できるようになったし、社員から「働きやすい」という声が聞けるようになりました。

 生産性向上に取り組むことによって、課題も一つずつ出てきて、お客様アンケートから出てきた課題に対しても、「これを解決するには、こうした方がいい」などと現場の声が上がってきて、一つひとつ改善していきました。

 内藤 : 生産性向上に取り組み始めた動機は、経営が厳しくなったからというのではなく、団体から個人客に時代の流れがシフトしていくなかで、それに対応していかなくてはならないという使命感からだったのですね。

 嶋田 : 私は自分の夢というか、「お客様に評価を受けて、選ばれる旅館になっていきたい」という気持がものすごく強かったのですね。私はこれから旅館を経営していくうえで、もっと頭を使って、「社員の仕事のやりやすさ」に力を入れていきたいと思っているのです。それがお客様に評価されると考えています。もっと自分の殻を破ってやっていかないと、まだまだ足りないなと思っています。

 内藤 : 経営が厳しくなって再建しなければならないケースでは、改革のモチベーションにドライブがかかる場合が多いですが、安定した経営ができているうちに団体から個人客へのシフトへ改革を進めていける経営者は少ないと思うのですが。嶋田社長の場合は、「個人のお客様から選ばれるために」自分の夢を実現することが、改革の大きな原動力だったというところが面白いですね。時代の一歩先を読んで改革していくことは、経営者としては本来あるべき姿だと思います。

 嶋田 : 自分の能力の及ぶ範囲で旅館を経営していきたいという思いがありました。団体中心というのではなく、個人のお客様に宿が眼を注げる範囲ですね。時代の一歩先を読んで――というのでもなく、たまたま自然に時代と合って来たという感じです。

 生産性向上の取り組みが軌道に乗り、旅館運営が利益体質になったことで、昨年の創業50周年の年に合わせて屋上の露天風呂を作る投資を行いました。  当館は熱川温泉で高台に位置しているわりには、眺めの良い屋上はこれまで何も使っていなかったのです。そこで新しく作った男女露天風呂と足湯を、「熱川プリンスはこれでいくんだ!!」とお客様に選ばれる旅館になるために、社員にも明確に示す旗振り役としたのです。

 内藤 : 今後、さらに改革していきたいものはなんですか。

 嶋田 : 経営的な部分で言うと、お客様のアンケートの評価はすごくよくなっています。「ここが故障している」などのクレームはあるのですが、「人に関するクレーム」がまったくなくなりました。しかし、私はまだまだと思っていて、もっとお客様に、旅館の都合ではなくて、おもてなしというものを前面に出して、社員が変わっても同じものを提供していけるようにしなければならないと思っています。

 内藤 : 人的サービスの部分では、もっともっとやれることはたくさんあるという考えですね。

 嶋田 : 一人ひとりの能力をもっと発揮してもらえるようなことが大切だと考えています。

 地元の東伊豆町では介護旅行の受け入れを積極的に取り組んでいますが、うちの社員も車イスの構造など専門の知識があれば、お手伝いできる部分がかなりあると思います。そういう教育や知識を「社員にもっと提供してあげなければ」と反省もしています。
 先日も介護旅行の研修を当館で実施しましたが、接客サービスのスタッフにはできるかぎり参加させました。すべてのお客様に親切な対応ができるように、もっと介護の専門学校などと連携しながら講習会なども用意して、旅館がそういう方向に進んでいくのだと強くに打ち出していきたいと思っています。

※ 詳細は本紙1460号または5月8日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

旅行会社の可能性 ― 新たな団体旅行復活を(5/1付)

 強すぎる横綱は憎まれる。昭和の大横綱・北の湖は恵まれた強靭な肉体と圧倒的なパワー、巨体に似合わぬ敏捷性を備えていた。さらには過去の対戦をすべて記憶する頭脳を持ち合わせて、同時代のライバルを圧倒した。そのあまりの強さに平幕力士なんぞに敗れた瞬間には、館内の座布団が嵐のように土俵に舞い上がった。大横綱が負けるということは、これほど一大事なのだと、小学生だった私はひどく感動したものだった。その後現れた千代の富士も強かったが、小錦など巨漢力士との対決では、綱渡りのような相撲もあり、憎まれるほどの絶対的な強さは感じなかった。以後、北の湖と同じくらい憎々しく映るほど強かったのは、平成の大横綱・朝青龍くらいだろう。

 さて、観光業界では、昭和の終わりから平成の初めにかけて、旅行会社の最強っぷりは、まさに憎まれるほどの大横綱だった。航空会社も、宿泊施設も、バス会社も、ドライブインも旅行会社のあまりの強さに、「打つ手なし」という様相だった。しかし、その後団体から個人化へ、さらにはIT化の進展で勢力地図は書き換えられようとしている。旅行会社はこのまま、宿泊予約サイトに取って変わられてしまうのだろうか。

 この10年は、専門特化が叫ばれ、総合への風当たりが厳しかった。だが、大手旅行会社となれば、団体も個人も、国内も海外もすべての「旅」に関する消費者ニーズに対応したいという自身のプライドとの戦いもあった。多方面展開のなかで、団体旅行は年々減少する一方だし、個人客は宿泊予約サイトに取られてしまい、今や「ジリ貧やむなし」という諦観も見える。

 今号の3面のコラムで、旅行作家の野口冬人氏がホテル磯部ガーデンの団体旅行を迎え入れる素晴らしい姿勢について言及している。大型の温泉旅館から企業に「温泉で会議をすることが元気の秘訣である」という発信をすべきであるとの指摘であり、ぜひ参考にしてほしい。

 旅行会社は新たな需要を生み出しているだろうか。団体旅行は本当にこれから尻すぼみなのだろうか。「もう一度、新たな団体旅行を復活させてやる!」という考えやパワーがほしいところだ。個人化対策よりも、都会で急成長するIT企業の大型団体研修を日本古来の温泉地に誘うことが旅行会社の使命ではないか。

(編集長・増田 剛) 

被災者224人を招待、水陸両用バスに体験試乗

スカイダックに体験試乗
スカイダックに体験試乗

 日の丸自動車興業は3月19日、東日本大震災の被災者支援特別ツアーとして「SKY Duck & SKY BUSで江東区散策」を実施した。江東区の東雲住宅に避難している224人をツアーに招待し、水陸両用バスの「スカイダック」の体験試乗のほか、2階建てオープンバス「スカイバス」で江東区内の観光名所などを巡った。

 5台のスカイバスに乗った一行は江東区役所を出発し、国内最大の神輿の展示などがある富岡八幡宮で地元のボランティアガイドと共に参拝した。また、屋根がなく、高い位置にある座席からは迫力のある景観を楽しめるため、見晴らしの良い勝鬨橋や台場からのトンネル走行では参加者から歓声が上がった。バスガイドによるとトンネル内はジェットコースターに乗っているような感覚という。2月に開通したばかりの東京ゲートブリッジを経由して若洲海浜公園で「スカイダック」の試乗会が行われた。

 「スカイダック」は日野自動車のトラックをアメリカで改造したものを運用する。現在2台だが、将来的には約20台を予定している。会見で富田浩安社長は「ボストンではレッドソックスが優勝するとこれでパレードを行う」と国内の運行への意気込みを語ると共に「被災者に少しでも元気になってもらいたいと思った。試乗会で気分がよくなってくれれば」とあいさつした。

 水陸両用バスの発着場は秋に整備が予定され、「早ければ11月上旬に運行を始めたい」と富田哲史常務は話す。運行開始後はトータル90分の乗車時間で、3千円から4千円の料金を想定する。

 夫婦で参加していた稲元さんは「視点が高いので見晴らしも良く楽しめた。スカイダックには今度もっと長く乗ってみたい」と感想を述べた。