ロコパートナーズ、さらなる満足度向上へ 村上新社長にビジョンを聞く

2020年5月3日(日) 配信

村上文彦新社長

 高級ホテルや旅館に特化した宿泊予約サービス「Relux」を運営するLoco Partners(ロコパートナーズ)の新社長に4月1日付で、村上文彦氏が就任した。村上社長はIT系の事業者としての特徴を生かし、利用者への満足度を高めたい考えだ。今後のビジョンなどを聞いた。

【木下 裕斗】

 ――創業から9年が経過しました。これまでの会社の主な出来事は。
 KDDIが2017年、「Loco Partners」にM&Aを行い、子会社化しました。会社は現在、立ち上げからグロースフェース(成長初期)を迎えています。これからも確固たる成長・事業基盤の強化を目指します。

 ――社長の交代で、利用者と宿泊施設はどのような変化を感じるか。

 会社のミッション「地域の魅力や宿泊施設を発見・体験をしてもらう。そして良質なつながりを増やしていくこと」は変わりません。

 カスタマー(お客様)には、満足度の高い宿泊施設の魅力発信力を高め、プレファレンス(好感度)の向上をはかります。

 具体的にはカスタマーに、さらに寄り添った提案をしたい。これまでに得た膨大なデータの利活用などで、実現することを考えています。

 宿泊施設とは、より強いタッグ(協働)を組み、上質な旅行を提供したいです。当社の営業部門は、宿泊施設とのグリップ(協力関係)を強く持たせていただいています。提案と相談で、Reluxならではの魅力的なプランを紹介したい。

 当社はまだ小規模なので、プラン造成で多くのトライ(挑戦)ができます。

 ――今の旅行業界をどのように捉えているか。

 オンライン化が進む基本潮流はこれまでと変わらず続くと思っています。さらに、全世代においてスマートフォンの普及率は向上しています。とくに、アクティブシニア(65歳以上の活動的なシニア)層の増加は顕著です。ネットを使いこなす方々の増加を意識することが、旅行業界で重要だと考えます。

 ――今後予定している戦略は。

 カスタマーの利用時間が多いスマートフォンに対する利便性向上は、主要な戦略の1つです。

 また、auが抱える約3千万人のお客様基盤を活用し、auの自社メディアやauスマートパスプレミアムなどで、さまざまな魅力の訴求を検討しています。

 KDDIが3月にサービスを始めた高速・大容量、低遅延、多接続が特徴の「5G」の活用にもチャレンジします。宿泊施設や旅行の素晴らしさを、手軽に体験いただける取り組みを実現したいです。

 ――新型コロナウイルスへの取り組みは。

 カスタマーには、宿泊で貯まるReluxポイントの有効期限を延長しました。

 収束後は、国内外のカスタマーから高い評価を得ている安心感やホスピタリティーなどをお伝えすることが需要回復に貢献できると考えます。21年の東京オリンピックを見据えれば、宿泊需要は比較的早く回復すると予想しています。今はアフターコロナに向けた準備を行っています。

 村上 文彦氏(むらかみ・ふみひこ) 1967年生まれ。96年第二電電(現KDDI)入社。コンテンツ・メディア事業本部、新規ビジネス推進本部でモバイルインターネットビジネスに従事。2016年金融・コマース推進本部コマースビジネス部副部長。17年2月「Loco Partners」代表取締役副社長に就任。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(4月号)」

2020年5月2日(土)配信

http://zoomjapon.info

〈巻頭言〉

クロード編集長

 新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、3月16日からフランス全土に下された外出禁止令は、4月に入った現在も続いています。本誌編集部は発令当初より全員が在宅勤務にシフト。すべての作業を遠隔で進めています。そんななか、4月号の発行に関しては、当分事態の収束が見込めないと判断し、99号にして初めて紙版を断念。デジタル版のみでの出版となりました。事情をご理解くださっている広告主の皆様には、スタッフ一同心より感謝しています。この最新号の特集では、日本在住40年の社会学者ミュリエル・ジョリヴェ氏に、彼女が見た日本社会の移り変わりと、日本人の結婚観の変化などについてお話しいただきました。文化面では、漫画家つくみずのデビュー作「少女終末旅行」を紹介。旅ページでは情緒あふれる萩市を訪れています。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 「ミュリエル・ジョリヴェの日本」

日本では男性よりも女性の方が幸せだという

 過去50年の間に大きく様変わりした日本。驚異の経済成長を遂げた後のバブル崩壊、そして景気の長期低迷からの脱却を模索し続ける現在。そんな日本に、フランス人社会学者ミュリエル・ジョリヴェ氏は1973年に移り住み、今日まで社会の移り変わりを見てきた。長く上智大学で教鞭を取り、日本、フランス両国で多くの書籍を出版、いわゆる日仏文化比較のエキスパートだ。昨年フランスでElytis出版から出された最新刊(仏語タイトル仮訳:「普通の日本について」)では、現代日本社会で見られる人々の動向を「子なし族」「老老介護」というさまざまな事例で紹介。今回の特集でジョリヴェ氏に、この書籍の内容を軸に話を聞いた。インタビュー冒頭の「(若者の)XX離れ」という言葉の意味するところについての質問から、話の流れは「結婚離れ」へ。その傾向を分析していくと、そこには「結婚適齢期」という考え、女性の社会的立場、子供を育てる経済的余裕のなさが物語る社会の貧困化などが見えてくる。次に、書籍の中の「日本の女性は男性よりも幸福である」という記述についても意見を求めた。膨大な資料に基づいた彼女の見解は非常に興味深い。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉コロナから書店を守る

扉に住民からの支援の声が寄せられるリールの独立系老舗書店

 来月、創刊10周年を迎える本誌は、新型コロナウイルスの影響で広告収入が見込めない状況ながら、第100号を紙版発行するという苦渋の決断をしました。読書好きで知られるフランス人の大半が電子書籍よりも印刷された文字を選び、本を「所有」することを好みます。この文化が本誌の「紙」へのこだわりに根差しているように、国内にあるおよそ3300軒の独立系書店も厳選した書物を実店舗で提供し、そのこだわりを必要とする人々に支えられています。ところが、コロナ感染対策により街の本屋が3月16日から営業停止施設の対象になり、Amazonに注文が殺到。小売店は深刻な倒産の危機に直面しています。文化省は2日後、書店に対し5億8000万円の補償金の支払い(1店あたり約15万円)を発表しましたが、市民からは早々に営業再開を求める声が上がり、ルメール経済・財務大臣も「検討」を表明。多くの出版社は外出禁止令が解除されるまで新刊の発売を見合わせることで、零細書店をアシストしています。それでも危機的状況は回避できず、4月に入り、フランス書店組合は支援基金の設立を呼び掛けています。身近な文化のシンボル、書店を守り、本を守る戦いは続きます。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

 

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~立山黒部アルペンルート~

2020年5月2日(土)配信

 立山黒部アルペンルートは標高3000㍍級の山々が連なる北アルプスを貫き、富山県と長野県を結ぶ山岳観光ルート。様々なユニークな乗り物を乗り継ぐことで、誰でも気軽に雲上の別世界を満喫できるのが魅力の1つです。

 また大自然・立山は四季折々で異なる美しい表情をみせてくれます。迫力の雪壁がそびえる春(4~6月)、高山植物が咲き誇る新緑の夏(7~8月)、色とりどりの紅葉に彩られる秋(9~10月)など、どの季節も見どころ満載です。

 立山室堂のシンボル「みくりが池」や巨大な「黒部ダム」など写真に収めたくなる絶景も見逃せません。また宿泊者の特権である、夕陽、星空、ご来光は言葉を失う美しさです。

 アルペンルートを訪れるなら日帰りだけでなく、ぜひ宿泊し立山を満喫しみてはいかがでしょう。

立山黒部アルペンルート プロモーションビデオ

〈観光最前線〉明智光秀にもコロナの影響

2020年5月1日(金) 配信

岐阜県内の大河ドラマ館は岐阜市、可児市、恵那市の3カ所

 政府は4月7日、緊急事態宣言を発令した。これに伴い国内では、さまざまな企業や施設などで休業が相次いでいる。旅行業界においてはこれからゴールデンウイークを迎え、多くの客入りを見込んでいただけに痛手となる。

 今年1月から放送中の明智光秀を主人公とした大河ドラマ「麒麟がくる」を題材に、岐阜県内3カ所で営業していた大河ドラマ館も5月6日までの休館を発表した。併せてドラマの収録も4月1日から見合わせている。放送の休止はまだ発表されていないが先行きは不透明だ。

 ゆかりのある地域に大きな経済効果をもたらすことが多い大河ドラマには、多くの期待がかかっていただろう。一刻も早く事態が収束し、大河ドラマ館をはじめ、観光施設がにぎわいを取り戻すのを願うばかりだ。

【野田 雄】

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~熊本県人吉市~

2020年5月1日(金)配信

 熊本県の南部に位置し、豊かな自然と歴史が息づく人吉市。2020年3月に国内向け観光PR動画「welcome to Hitoyoshi City 4K, 熊本県人吉市」を公開しました。

 熊本県内最大の川であり、日本三急流の1つでもある球磨川の大自然を満喫できるラフティングやモンスターサップといったアクティビティ、国宝・青井阿蘇神社をはじめ日本遺産に認定された文化や風習、有形無形の文化財、個性豊かな観光列車や明治期の面影を残す鉄道遺産。それら人吉市の魅力を旅行者の目線で切り取った作品は、豊富な地域資源を4Kの映像美でストレートに表現したことで、数々のシーンから現地の息遣いが感じられます。

welcome to Hitoyoshi City 4K, 熊本県人吉市

観光情報|人吉市
https://www.city.hitoyoshi.lg.jp/q/list/138.html
人吉市の観光情報に関するページ

〈旬刊旅行新聞4月21日・5月1日合併号コラム〉自助努力にも大きな制限がある観光業界 「今できること」を必死に探す施設も

2020年4月30日(木) 配信

今できることを探す

 マスクはもともと苦手だった。でも、いつの間にか慣れてしまった。外出する時は、マスクをしていないとすごく無防備な感覚になる。

 家で何となくテレビを見ていると、総集編などで数年前の映像が映し出される。当時の人たちがマスクもせずに、こんなにも大らかに話し、笑い合っていたのだと、不思議な気分になる。
 
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界は一変してしまった。
 
 
 先日、東京都内で仕事を終え、暮れきれない夕方に神奈川県の最寄り駅に戻った。4月半ばというのに風が冷たく、空には分厚い不穏な黒い雲が流れていた。通常ならば人であふれる時刻なのに、人影はほとんどなく、終末感が漂っていた。風が吹くと、捨てられた細かなゴミがカサカサと音を立て、道路を這うように移動するだけの景色。スーツの襟元をぐっと握りしめ、俯きがちに歩を進めた。
 
 4月といえば、本来ならば真新しい制服を着た新中学生や、高校生などの笑顔が眩く映る季節だ。大学生のサークルの歓迎会などがあちこちで開かれ、騒がしく、にぎやかな時期である。しかし、今は学生の姿を街で見掛けることも少ない。
 
 良く晴れた日には、「外に出てのびやかに過ごしたい」という春らしい願いも、今は押し殺さなければならない。家の近くの小さな公園で、幼い子供がマスクをして、母親と2人で楽しそうに遊んでいた。何気ない光景であるのに、それすらも当たり前ではない日常となった。
 
 いつの間にか桜も散ってしまった青い空が恨めしく思えてくるが、このゴールデンウイークが勝負だ。
 
 アメリカの国土安全保障省は、新型コロナウイルスは太陽光の下と、高温多湿の環境では死滅が早まるとの実験結果を公表した。
 
 もちろん、高温多湿の環境にあるエリアでも感染が拡大しているため、日光浴を勧めるものではないとのことだが、これから気温も湿度も上がり、真夏に近づく日本で、新型コロナウイルスの威力が弱まっていくことが細やかな願いである。
 
 
 非常時に命懸けで仕事をしなければならない職種がある。東日本大震災や西日本豪雨などの自然災害時には、自衛隊や消防士、警察官などが我が身を省みず、仕事に立ち向かった。今回のような得体のしれない感染症には、医療関係者が昼夜を問わず最前線で戦い続けている。
 
 一方、非常時に働きたくても、働く場を得られない職種もある。その代表例が観光業である。
 
 緊急事態宣言が全国に広がり、旅館やホテル、観光施設などは死活問題でありながら、休業要請に協力している。さらに厳しいのは、「この状態がいつまで続くのか、誰も分からない」という点である。自助努力が大きく制限される状況で、十分な「協力金」や「支援金」のある地域と、無い地域とで、ばらつきがあるのも現実である。
 
 
 このような苦境下でも、知恵を絞って、今できることを必死に探し、地元の人たち向けに弁当のテイクアウトなどで支持を得ている施設もある。「あいつ、もうダメだろう」という絶望的な下降曲線にあっても「粘って、粘って、諦めず、足掻き続ける姿勢」に、人は勇気づけられ、無条件に応援したくなる。
 
(編集長・増田 剛)

【特集No.552】林野庁・本郷浩二長官に聞く 「森林サービス産業」で山村に人を

2020年4月29日(水) 配信

 日本の国土の約3分の2を占める森林。森林行政を所管する林野庁は2018年度、森林空間を「健康」や「観光」、「教育」などの分野で活用し、山村を活性化させる「森林サービス産業」の創出に向けて動き出した。人手不足などの課題を抱えるなか、森林を育て木材を生産する従来の「林業」だけではなく、森林がもつ「保健・レクリエーション機能」や「環境保全機能」などを売りに山村地域の経済を活性化することが狙い。林野庁の本郷浩二長官にインタビューを行い、「観光」を軸に新たな産業の可能性を探った。

【後藤 文昭】

需要と供給の視点意識

 ――森林サービス産業の狙いはどこにありますか。

 森林には「土壌保全・土砂災害防止機能」や「水源かん養機能」など、多面的な機能があります。木材やキノコなどの資源を供給するのも、「物質生産機能」という森林の役割です。これによって、山村地域の経済や雇用が創出されています。しかし、森林を育て木材を生産する「林業」に資源状況や、生産基盤の不足などにより上手く対応できない地域もあります。そういった地域に対し、森林がもつ「保健・レクリエーション機能」や「環境保全機能」などを売りにして、山村地域の経済を活性化できないかという思いを長く持ち続けていました。

 木を切って売るのが林業ですが、木を切らずに利益を得る林業があってもいいはずです。とくに、今後は、人手不足などで人工林をしっかりと活用し続けることが難しい地域などに、後者を地域の収入源として考えてほしいと思っています。

 「森林サービス産業」は、経済的な課題の解決をはかる役割とともに、社会的課題を解決する役割も担っています。人口減少が課題となっている現状で、森林地域に住む人も減り、山村の存続が危ぶまれています。「限界集落」、「消滅集落」にならず、そこに住み続けるための1つの生業、雇用を創出することも重要な目的です。

 ――林野庁が観光振興にも取り組まれるのは、この両者を解決するための手段として期待しているからですね。

 「森林サービス産業」は、森林地域の経済を活発にさせることが目的なので、外から人を呼び込むことが欠かせません。そのための手段として、観光業が重要になります。

 例えば、これから人口が減少し続け、新築の家なども建たなくなると、生産した木をどこで使うのかという問題が起こってきます。現在、林業の世界が直面している課題に対する答えの1つとして、森林空間を健康維持やレクリエーションなどさまざまな用途に活用し、地域が所得を得られる道を確立したいと考えています。林野庁の政策の1つは、山村地域に人が住み続けられるようにすることなので、森林のさまざまな活用方法を観光面からもPRしていきたいです。

 ――経済、社会両面の課題を解決するには長い時間がかかります。継続させる仕組みは考えていますか。

 民間のチカラを使うことが、継続させるためには不可欠です。

 「森林サービス産業」を林野庁が立ち上げる前から、健康や癒しの分野では、森林浴などの体験、野外活動ではフォレストアドベンチャーなど、森林を活用したさまざまなプログラムが行われています。こういった方々がネットワークを形成し、協力するところは協力し、競うところは競い合って森林の利活用をはかってもらえれば、取り組みは発展していくと思っています。……

【全文は、本紙1793号または5月14日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

成田国際空港、3月の発着回数は約3割減 コロナで減便と運休相次ぐ

2020年4月28日(火) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が4月28日(火)に発表した3月の航空発着回数は、前年同月比31%減の1万5511回、旅客数は同67%減の130万5204人と大幅に減少した。新型コロナウイルスの感染拡大で減便と運休が相次いだことが主な要因だ。

 航空発着回数のうち、国際線は同39・0%減の1万865回、国内線は同0・3%減の4646回となった。

 旅客数のうち、国際線の旅客数は同73%減の85万8563人。このうち、外国人旅客数は同82%減の27万6281人。国内線は同36%減の44万6641人。札幌線や伊丹線、関西線などが大幅に減少した。

 田村社長は「この状況が長引くと、経営が厳しい。空港は国の重要インフラであり、政府に支援を受けられるように相談する」と話した。

 同日には2019年度に過去最高値を記録した発着回数と旅客数も発表した。このうち、総発着回数は前年度比1%増の25万8497回。国内線発着回数は同6%増の5万5794回、国内線旅客数が同2%増の746万914人。

 国際線旅客数は同5%減の3401万8964人。1月まで堅調に推移したが、新型コロナウイルスの影響で2月と3月には、前年同月を下回った。

4月発着は約9割減 関係各所と準備へ 

 4月25日(土)までの国際線発着回数の速報値は、前年同期比85・1%減の1852回。旅客数は98・3%減の1万9800人。とくに、オセアニア線は99・9%減の100人となった。

 一方、最も減少率が低かった路線は中国線と韓国線で、同97・0%減だった。旅客数は中国線が4400人、韓国線が3900人。

 これまでに経験のない新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、田村社長は「関係各所と収束後に迅速な対応ができるように、準備を進める」と意気込みを述べた。

役員報酬を減額 痛み分かち合う

 田村社長をはじめ、同社の役員と管理職は、役員報酬を3カ月自主返納する。田村社長はB滑走路の閉鎖やターミナル施設の一部閉鎖で、取引先に多大な負担を掛けていることを理由に挙げた。そのうえで「痛みを分かち合い、難局を乗り越える必要がある」と語った。

  返納する額の割合は、代表取締役が20%、役員は10%、管理職は5%となる。
なお、例年発表しているゴールデンウイークにおける利用予想の発表も中止した。理由として世論から「旅行を推奨している」との批判を回避したい考えを示した。

JATAの緊急Webセミナー【第1部】越智理事・事務局長が新型コロナ危機や「Go To キャンペーン」の仕組みを語る 

2020年4月28日(火) 配信

Webセミナー画面のスクリーンショット

 日本旅行業協会(JATA)は、4月27日に、緊急Webセミナーの第1部を行った。共通テーマを「新型コロナウィルスと日本の観光業」とし、主に経営者を対象とした初日は当初の定員の倍となる約500人が視聴した。

 JATA理事・事務局長の越智良典氏が「新型コロナウイルス感染危機を乗り越える」について、官民一体型の消費喚起キャンペーン「Go To Travelキャンペーン」の利用イメージやSARS(重症急性呼吸器症候群)後に旅行需要を回復させた香港の例などについて語った。

 越智氏は冒頭、「今回の新型コロナウイルス感染症の問題は、前例がない。だがSARSなどを経験した経営幹部として、獲得した知識を総動員し、旅行業界を生き延びさせたい」と力を込めた。

 感染症収束後に旅行需要喚起策「Go To Travelキャンペーン」に2020年度補正予算案額1兆6794億円が計上されたことについて、これまでのふっこう割が30~80億円だったことと比較し、今回の事業は「ケタ違いの規模の予算」と述べた。

 基本的な仕組みは「ふっこう割と同じ考え方」で、1泊あたり2万円、日帰り旅行は1万円を上限に旅行代金の半額を補てんする。ただし、補てん額の3割は地域での産品購入など現地利用クーポンとし、地方創生を後押しする。

「Go To Travelキャンペーン」旅行代金割引イメージ

 例として、1泊旅行の代金が2万円の場合、1/2の1万円が補助額となる。補助額の内訳は旅行代金の割引が7000円、現地利用クーポン3000円となり、旅行代金の支払額は1万3000円となる。

 旅行代金が5万円(補助金最大額)の1泊旅行のケースでは、1/2で上限最大の2万円が補助する。補助額の内訳は旅行代金の割引が1万4000円、クーポン6000円で、旅行代金の支払額は3万6000円となる。

 また、2泊で5万円の旅行の場合は、1/2の2万5000円が補助額(1泊あたり1万2500円)となり、補助額の内訳は旅行代金の割引が1万7500円、クーポン7500円で、旅行代金の支払額は3万2500円。

 旅行代金8000円の日帰りバスの旅は、補助金4000円のうち旅行代金割引が2800円、クーポンが1200円となり、旅行代金支払額は5200円となる。

 対象商品は、募集型企画旅行のほか、受注型企画旅行、宿泊を伴う手配旅行が対象となる予定。「長期滞在や高額の旅行に効果的」とし、「全国に広く、早く、旅行のお客様をお送りするのが、今回の旅行会社の大きな役割」と強調した。

復活のシナリオ

 2003年のSARS発生後、香港が行ったリカバリー策について説明を行った。当時、香港では感染の「発生期(フェーズ1)」と「回復準備期(フェーズ2)」、「回復期(フェーズ3)」の3段階に分け、それぞれに応じた対策を実施。

 WHO(世界保健機関)が渡航延期を勧告した発生期では、徹底した衛生管理と空港での体温測定を行った。WHOが注意レベルに引き下げた際には、WHOとともに安全のアピールを行い、WHOが規制を解除した回復期には旅行需要喚起のウェルカムキャンペーンを展開した。

 越智氏は香港の成功例を基に、「日本でもいかに早く、より強力に観光を復活させるかというシナリオを関係各所と打ち合わせしている」と語った。

新型コロナ終息後の中国人旅行市場動向調査

 日本の観光産業にとって、巨大市場である中国についても語った。中国では海外旅行が夏ごろに再開する可能性があることに触れ、「アジア太平洋観光協会(PATA)中国支部が作成した中国人旅行動向調査によると、32%の人が旅行を希望し、32%が7~8月の旅行を希望し、45%は海外旅行を希望している。非常に旺盛な旅行意欲が伺える」と紹介。

 希望する行き先の1位は日本であるとし、「距離や安心・安全、日本の魅力など、いろいろな理由があると思うが、インバウンドの復活を考える際の有効なデータ」と語った。

GWの石垣島、観光施設閉鎖 空路直行便も全便運休に 「おじぃ、おばぁの命守るためにも」来島控えて

2020年4月28日(火) 配信

観光施設の閉鎖を知らせる地図(石垣市提供)

 川平湾など多くの景勝地を抱える沖縄県石垣市(中山義隆市長)は4月24日(金)、市独自で発令している緊急事態宣言の期限を当初の4月30日(木)から、5月6日(水)まで延長すると発表した。観光客などに対して、ゴールデンウイーク(GW)中に石垣島への旅行を控えるよう強く求めている。

 これに先駆けて同市は、4月22日(水)から、川平公園や底地(すくじ)海水浴場、米原キャンプ場など11カ所の観光施設とキャンプ場を閉鎖。中山市長は閉鎖措置を発表した21日夕方から連日、FMいしがきサンサンラジオの番組に出演し、「(観光施設だけでなく)店や飲食店もすでに自粛休業している。『石垣島に来ても見るところはありません』と全国に発信し、申し訳ないが今年のGWは石垣島に遊びに来ることを諦めてほしい」と訴えている。

 そのうえで「GWに(人の動きを)止めないと、新たな感染源が入ってくる可能性がある」と危機感を募らせた。また、島出身者の帰省についても触れ、「おじぃ、おばぁの命を守るためにも、軽い気持ちで帰省しないで」と呼び掛けた。

 石垣島と本土との直行便を運航する航空3社は、GW期間中の全便運休が決定。那覇便も、日本トランスオーシャン航空(JTA)と全日本空輸(ANA)が大幅に運航本数を減らしている。

 市内に住む女性は「買い物は週1回に減らしている。外を歩いている人もほとんど見掛けなくなった。離島の医療は限られるので、内地からの旅行は控えてほしい」と心配そうに話した。

観光客も市民の姿も見られないメーンストリートの市役所通り(4月25日午後6時ごろ撮影・石垣市民提供)

 石垣島にある病院の感染症病床は数が限られるうえ、診療所のみの竹富島や西表島などで新型コロナウイルス感染症患者が発生した場合は、石垣島などに搬送されることになる。

 中山市長は市のホームページで「観光客の皆様、石垣市は、公園や体育施設なども閉鎖し感染拡大防止に市民全体で取り組んでおり、不便な生活を余儀なくされています。どうか、石垣島への不要・不急の旅行を控えていただきますよう、よろしくお願いいたします」との声明を発表している。

 同市では28日(火)に4人目の感染者が確認された。新型コロナウイルス感染者がほかにもいる可能性が排除できないこと、国と県が5月6日(水)まで緊急事態宣言を発令していることなどを考慮し、発令期間を延長している。

ユーグレナモールの土産店も自粛休業(4月25日午後6時10分ごろ撮影・石垣市民提供)