共同サイト開設へ、東京の総合案内所27社

 東京総合案内所共同サイトが、案内所相互の情報交換や、名簿の発行などを目的に、3月に開設する運びになった。

 同サイトは、「東京総合案内所連合会」(会長代行=山内一広新橋会所長)が運営するもので、ジャパントータルソリューションズ「遊~楽ネット」(旅行社専用団体見積もりサイト)に委託。1月末現在27社が参加。

 同サイトは、各県・温泉地別の施設一覧に案内所名を表記、リンクして移動する。案内所頁には住所、電話、FAX番号等のデータを表記され、ブログを利用してPRができる。

 有料会員は、旅館一覧から自社の案内所頁に移動。自社の頁から、施設ホームページに誘導や、メールを受け取ることが可能。3月に設立総会を開き、正式に発足する。

 詳細は、事務局を務める新橋会へ。電話:03(3580)7681 、URL http://www.tokyo-soan.jp/ 

中部9県観光ルート「昇龍道」、認知度向上で中国人誘客へ

 中部運輸局は1月23日、中部9県(愛知、三重、岐阜、静岡、富山、石川、福井、長野、滋賀)の観光名所を南北に結ぶ観光ルートを「昇龍道」と名づけ中国、台湾、香港など中華圏に売り込むプロジェクトを始めた。中国人観光客の旅先として圧倒的人気があるのは東京―大阪間のゴールデンルート。「昇龍道」というキャッチコピーで中部地域の認知度向上をはかり、インバウンド増加につなげる。

 「昇龍道」は、能登半島から、金沢、白川郷、高山、下呂温泉、名古屋城、伊勢神宮などを通り、セントレア空港にわたる南北の軸を龍の姿に見立てた。エリア近辺には能登空港や、小松空港、富山空港、富士山静岡空港など、国際便が乗り入れる空港が点在。イン・アウトさまざまな組み合わせの新たな旅行商品造成が活発になりそうだ。

 中部運輸局は昇龍道プロジェクトの一環として、2月11―15日、台湾から旅行会社・メディアを招請した。台湾については日台オープンスカイにより3月25日から、中華航空が富士山静岡空港、富山空港に新規就航し、中部国際空港に増便することが決まっている。昇龍道にかかわる招請は2月に香港、3月に中国からも予定している。

 名鉄グループは中国版のパンフレットを作成するなど、売り込みに積極的だ。名鉄百貨店(名古屋市)は、4階に直結する乗合バス専用の名鉄バスセンターを、インバウンド団体のバスに限り開放する。百貨店内で銀聯カードが利用できるのはもちろん、中国人スタッフ3人を配置した6階のカスタマーサロンで免税手続を行うなど、買い物がしやすい環境を整える。屋上のガーデンカフェでは、温かい食べ物が好みという中国人観光客のニーズにあわせ、メニューを開発した。

 中国人団体客の事前予約は百貨店で受け付け、旅行会社またはガイドへのコミッションの支払いも行う。 

温泉への影響前提に議論を―地熱発電

佐藤好億副会長・地熱対策特別委員長があいさつ
佐藤好億副会長・地熱対策特別委員長があいさつ

<日本温泉協会が全国の意見集約へ>

 日本温泉協会(廣川允彦会長)は2月13日、東京都内で県温泉協会連絡会議を開いた。環境省が2月3―22日まで「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」(案)に関するパブリックコメントの募集を行っており、日本温泉協会としての意見の集約と、今後の対応について議論した。

 2010年6月18日、「再生可能エネルギーの導入促進に向けた規制の見直し(自然公園・温泉地域等における風力・地熱発電の設置許可の早期化・柔軟化等)」が閣議決定された。これを受けて、環境省は地熱発電を推進するための掘削許可の判断基準の考え方を策定するガイドラインをつくる検討会を2つ作った。1つは「地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会」と、もう1つは「地熱発電事業に係わる自然環境影響検討会」。このほど、地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会の「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」(案)がまとまり、中央環境審議会を経て2月3―22日までパブリックコメントの募集が行われている。

 連絡会議では、各県の温泉協会の代表や学術部委員から、「ガイドラインを各県の許可をする担当者が見ても、数値などがまったく示されていないので、どう対応していいのか判断に困るだろう」という意見や、「地下にあるのが熱水で、地上に出たのが温泉。同じものであるのに、ガイドラインでは熱水と温泉が別なものであるかのように扱われている」というような見解も示された。また、「県境の場合、隣県の調査が行われないのではないか」というような問題も議題に上がった。

 さらに、「開発側からは『温泉に影響を与えるデータがない』と言われるが、日本温泉協会としては『温泉への影響のおそれがあるという前提で考えていただかなくては困る』」という立場で意見を集約する考えだ。

 佐藤好億副会長・地熱対策特別委員長は「環境省のパブリックコメントに対して、各県温泉協会の個別の意見と、日本温泉協会としてまとめたものを提出したい」と語った。

No.302 日系3社就航で「LCC元年」 - LCCが観光産業に与える影響

日系3社就航で「LCC元年」
LCCが観光産業に与える影響

 数年前から海外企業は進出していたが、日系のローコスト・キャリア(LCC)3社が年内の就航を発表している今年、日本は「LCC元年」といわれる。ヨーロッパの航空や交通事情などに明るい跡見学園女子大学の学長で教授・商学博士の山田徹雄氏によると、LCCはアメリカで生まれてイギリスで育ち、ヨーロッパ各国で発展してアジアに到来したという。ようやくその流れが到達した日本。遅れてきたLCCは日本の観光産業にどのような影響を与えるのだろうか。

【飯塚 小牧】

<地域のサポートが不可欠>

◆LCCの歴史的背景

 LCCが最初に登場したのはアメリカだ。伝統的航空会社などによるカルテル料金の維持や1970年代の航空自由化に端を発し、サウスウェスト航空がLCCの原型となるビジネスモデルを構築した。サウスウェスト航空は最初のLCCではないが、短距離の直行便や同一機材の利用でコストを下げること、折り返し時間の短縮、機内サービスのカット(ノン・フリル)、副次的空港の利用、客室乗務員のマルチジョブ制などのモデルを完成させた。

跡見学園女子大学 学長
山田 徹雄(やまだ・てつお)氏

 

 

※ 詳細は本紙1452号または日経テレコン21でお読みいただけます。

温泉保護と地熱発電 ― 未知なるゆえに知識を(2/21付)

 福島第一原発事故以来、再生可能エネルギーへの転換が急務となり、「地熱発電」への関心が一気に高まってきた。

 環境省は2月3日から22日まで、「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」(案)のパブリックコメントを募集している。環境省にとっても悩ましいだろう。温泉資源の保護を一方で謳いながら、「地熱発電を推進するため」の掘削許可の判断基準を策定するという、二律背反の課題に挑まなければならないのだ。

 日本温泉協会は、昨年12月26日の中央環境審議会の自然環境部会温泉小委員会で、同ガイドラインの曖昧な箇所や定義を問い質した。また、「地熱エネルギーは、本当にクリーンなエネルギーか?」と問題提起した。「地熱発電は原子力や、太陽光発電に比べ、CO2が高い」という公表値もあるという。さらに、地下深度2―3㌔以上もの深部の高温の熱水、蒸気を利用するため、「熱水」「蒸気」「使用廃湯」には「高濃度の硫化水素やメタン、アンモニアなどのガス成分や、高濃度のヒ素やホウ素、フッ素なども含まれ、そのまま放置放出されれば、大気や土壌、地下水汚染への負荷が懸念される」などさまざまな心配が考えられる。

 何しろ、地下のことは実際掘削してみなければわからないことが多く、地上に暮らす我われ多くの人間にとっては、余りに未知なることばかりなのだ。

 問題なのは、旧財閥などに代表される開発側の大企業の鼻息がとても荒く、一方で温泉によって多くの観光客に愛されてきた個々の温泉事業者は地熱開発について乏しい知識しか持たないということだ。さらに、もっと問題視すべき点は、地熱発電の開発許可を与える都道府県の担当者が、地熱開発による温泉への影響について十分な知識を持つ職員が少なく、関心も高くないという現実である。

 日本温泉協会は、地熱開発の掘削によって温泉が枯渇してしまうなどの悪影響があった際、「賠償責任規定」の設定などを求める必要があると考えている。各自治体は今後、温泉による観光客の増大と、地熱開発との選択を早晩迫られるだろう。国と大規模な開発業者が自治体を説き伏せる構図は、原発と似ている。無知は危険だ。地熱発電にも思いがけぬ危険が潜んでいることを、知っておく必要がある。

(編集長・増田 剛) 

会津の旅行商品造成へ、“女子大生目線で考える”

跡見学園女子大学観光マネジメント学科

 跡見学園女子大学観光マネジメント学科の生徒は1月6―7日、原発事故の風評被害に悩む福島県会津若松市で実地研修を実施。観光復興のため女子大生目線で考える旅行商品の企画を室井照平市長に提案した。

 同大学の生徒たちは昨夏、アカデミックインターンシップの一環で同地を視察。その際、室井市長へ(1)首都圏での会津PRキャンペーンの支援(2)同大学園祭での観光PR・会津産品の販売(3)会津への旅行需要喚起へ女子大生が考える旅行商品の造成を提言。昨年10月の文化祭では、子供の病気を治す厄除けのお守りとして伝わる「赤ベこ」などの会津産品の販売や、のぼりを立て会津の観光パンフを配布するなど会津のPRを行った。また、来場者約400人からアンケートを取り、女性が旅行に求める内容を分析した。

 今回、本格的な旅行商品造成へ向けて、さらなる会津視察を実施。同学科の33人が班ごとに別れ、観光名所の鶴ヶ城や七日町通りを視察した。夜には商品造成会議を開き視察結果を報告。各班それぞれが商品素材を紹介しプランを企画した。翌日は、御宿東鳳で室井市長を表敬訪問。これまでの学習と前日の視察をもとに「造り酒屋でお酒のボトルやラベルを自由に選択できる仕組みや、果樹酒を炭酸で割った商品の開発」「交流を深めるため、地元の人と一緒に日本酒を飲むツアー」「レトロな七日町通りに懐かしの歌謡曲を流す」「現地の商人がガイドをし、リピーター獲得をはかる」など商品アイデアアやプランを提案した。また、文化祭で会津産品を販売した収益約2万円も同市に寄付した。

 同学科では今後、今回の提案をもとに近畿日本ツーリストと商品化へ取り組む。ゴールデンウイーク頃のツアー実施を目指し、ツアー造成後は集客にも携わるという。同大の篠原靖准教授は「旅行会社では、ツアーの企画だけでなく集客も重要な要素。集客までしっかりと責任を持って行いたい」と力を込める。

「えんむすび号」が好評、パワースポットブーム背景に

20代の若い女性に人気
20代の若い女性に人気

 島根県松江市の玉造温泉を発着点に、出雲大社(出雲市)や八重垣神社(松江市)などを巡る毎年冬季限定の周遊バス「えんむすび号」が、昨今のパワースポットブームを背景に乗客数を伸ばしている。

 同バス運行実行委員会が企画し、松江市交通局が毎年1月初旬から3月下旬まで毎日運行させている。昨年は過去最高となる1890人(前年比51・8%増)の乗客数を記録した。

 今年は1月4日に運行が始まり、22日までに385人が乗車。昨年の同時期を約8%上回るペースで推移している。乗客の大半は20代の若い女性という。

 バスは午前9時に玉造温泉を出発し、出雲大社や八重垣神社(松江城とどちらか選択)、まがたまの里伝承館などを巡る約6時間30分のコース。料金は大人1800円、3歳―小学生900円(2歳以下無料)。バスは出雲大社で、出雲空港の東京・大阪到着便、JR出雲市駅の特急到着便と接続する。

 バス好評の要因には、パワースポットブームのほか、松江観光協会玉造温泉支部が運営するウェブサイト「たまなび」上で、ネット予約ができるようになったことも上げられる。昨年は同支部が発行し、県東部40店舗のコンビニや観光案内所、全国約160の旅行会社などに配布するフリーペーパーにもバス情報を掲載し、PRを強化した。

 バスは乗車日の前日午後7時まで予約を受け付けるため、宿に到着してからの申し込みも多いという。

 同支部の角幸治さんは「バスの存在が周知され、昨年あたりからは出雲空港から合流する東京のお客様が増えている」と話す。

ひがし北海道3つ星街道 本格始動

ガイドライン検討委員会(昨年12月21日)
ガイドライン検討委員会(昨年12月21日)

 ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに、北海道の知床、摩周湖、阿寒湖が三つ星で掲載されたことを機に、道東の観光協会は共同で、着地型旅行商品を企画提案する「ひがし北海道3つ星街道」プロジェクトに取り組んでいる。プロモーションを担当するひがし北海道観光事業開発協議会(=東観協、根津文博会長)は昨年12月、商品のガイドラインを策定し、このほど第1期のオフィシャルメニュー(商品)を発表した。

 ガイドラインは昨年12月21日、札幌市内で学識経験者、航空会社、旅行会社、マスコミ、北海道観光振興機構などを招いた検討委員会で協議し、東観協がまとめた。「情報ではなく目に見える商品」、「既存観光とはここが違うというコンセプトを持つ」、「地域との関わりなどストーリーが背景にある」、「自然だけでなく、人、文化、芸術、食にも関わるもの」などを挙げている。

 昨年末には策定したガイドラインを地域に伝え、各地からの商品提案を募った。これを1月中旬までに精査し、第1期のオフィシャルメニュー9つを発表した。

 「阿寒湖の奇跡 まりも物語 クルーズ&ウォーク」は、出港前の講義や遊覧船乗船、森歩きを通じて、まりもが存在することの貴い物語を伝える。「アイヌシアターイコロ 人形劇とその舞台・森歩き」では、今年開館するアイヌシアターで人形劇を観た後、舞台となった阿寒の森を訪れる。摩周湖エリアでは人気の「摩周湖星紀行」の1組限定プレミアム版、別海町ではご当地バーガーで日本一となった「ジャンボホタテバーガー」を食べながら誕生の秘話を聞き、野付半島フラワーウォークに出かけるコースなどを企画している。

 各地からの提案は順次受け、内容がガイドラインに満たないものもブラッシュアップし、今年中に70ほどのオフィシャルメニューを推奨する。

 航空便の就航休止や機材の小型化など、道東観光はアクセス面で逆風が続く。入込人員を追う戦略から、人泊数や長期滞在といった視点へ軸足を移すことが喫緊の課題だ。「3つ星街道は、地域主体の着地型観光を育て、具体的な商品として提案・販売する地域ムーブメント。取り組みを通じて道東全域の効果的な観光振興に結び付けたい」(東観協)という。

風評で栃木も“被災県”、高速無料化など国に要望、栃木県3団体

女将ら30人が溝畑長官らに陳情
女将ら30人が溝畑長官らに陳情

 栃木県観光物産協会(小松正義会長)と栃木県旅館ホテル生活衛生同業組合(堀口眞利理事長)、観光栃木の魅力を創る女将の会(伴玉枝会長)の3団体は1月25日、国土交通省と観光庁に要望書を提出した。震災後の原発事故による風評被害の払拭や県内の高速道路無料化などを盛り込み、各地域の女将ら30人を超える関係者が「風評被害では栃木も被災県」と陳情した。

 観光庁では伴会長が「昨年は全国的に大変だったと思うが、栃木県も県だけでは何ともしがたい状況なので、ぜひ国のお力を貸していただきたい」と溝畑宏長官に要望書を手渡した。これに対し、溝畑長官は「インバウンド復興のため、東北や北関東をメインにしたテコ入れ策も考えている。国内は東北観光博と併せて全体の観光需要を回復させていきたい」と今後の展開を語った。

 要望内容は(1)福島第一原子力発電所事故、風評被害の払拭について(2)栃木県内高速道路無料化について(3)観光需要の喚起について――の3項目。(1)は国内外へ明確な安全メッセージの発信などを要望。(2)は東北地方支援で実施している高速無料化を県内の東北自動車道や北関東自動車道にも導入してほしい旨を記し、(3)では積極的なインバウンド対策を求めた。

 県の観光地の現状は、昨年のゴールデンウイーク以降、徐々に持ち直しつつあり、鬼怒川などでは約8割まで回復している。一方で、福島県に近い地域の那須などはとくにファミリー客が減少し、依然として厳しい状況にあるという。栃木県観光物産協会の菅沼輝男専務理事は「震災は直接の被害も受けたが、風評被害が大きく我われも『被災県』だ。今回の高速無料化は間に合わないが、今後このような施策を取る場合は栃木県も含めてほしい」と訴えた。

旅フェア、11月に開く、名称に「日本」付け新たに

  日本観光振興協会はこのほど、2012年度の旅フェアを11月9―11日、東京都豊島区の池袋サンシャインシティで開くと発表した。昨年は東日本大震災の影響で中止したが、今年は「旅フェア日本2012」と改め、装いを新たに実施する。

 新名称は、知名度の高い「旅フェア」を生かしながら「日本」を付けることで“国内最大級の博覧会”という点を強調。また、日本の観光振興という開催目的を明確に表現したという。

 今回はこれまでと違った地域の魅力や新しい旅のスタイルを提案することで、より多くの来場者に国内旅行を楽しむきっかけを見つけてもらうため、参加型・交流型のイベントを目指す。これまでの展示会を進化させた「旅をテーマとしたアミューズメントパーク」の演出がコンセプト。

 全国各地の観光情報を提供するほか、地域ならではの体験を盛り込んだミニツアーや新しい観光ルートなどを紹介する。よりリアルに旅を体験してもらうため、地域ならではのアトラクションや食の体験を来場者が展示ホールを巡りながら楽しめるように設定し、満足度を拡大する。さらに、メイン会場のサンシャインのほか、山手線内数カ所にサテライト会場を設け、回遊することでスケールの大きいイベント体験を演出する。

 なお、出展の募集要項は3月中に案内予定という。申込みは4月から開始する予定。