つまらない旅、無料体験モニターの募集を開始

2017年10月23日(月) 配信

つまらない旅募集

DACホールディングス(石川和則代表)の旅マルシェ事業部が運営する、旅のおためしサイト「旅モニ」は、「つまらない旅」の無料体験モニターを募集している。

 今回は開湯1200年の歴史があり、11の温泉が点在する塩原温泉郷エリアを巡るプランを用意。本州最長級の長さを誇り、360度のパノラマビューを楽しめる「もみじ谷大吊橋」、源義家が戦勝祈願をしたとされる樹齢1500年の巨木「塩原八幡宮の逆杉」、3本の自家源泉を備えた「秘湯の湯 元泉館」は、旅行モニターに必ず訪れてもらう必須スポットとなる。また、食物繊維を豊富に含む“ゆば”を堪能できる食事処や、渓谷美を楽しめる龍王峡散策など、さまざまなおすすめスポットを募集サイト上で紹介してる。 

つまらない旅とは

 「つまらないといっても、楽しくない・おもしろくないという意味ではありません。旅行中、いつもと違った環境でお腹がはって重だるいという旅のあるある……。そこで旅モニは、温泉、運動、グルメで叶える”脱・つまらせ”の旅を、おすすめの温泉地ごとに提案。健康的な”腸内美人”になり、幸運を引き寄せるような旅をしてほしい。旅モニは、そんな『つまらない旅』を推奨します!」(同社webサイトより)。

募集概要

プラン:1泊2食付き(夕朝食)、秘湯の宿 元泉館 (栃木県那須塩原市湯本塩原101)

募集期間:2017年10月18日(水)~24日(火)

当選発表:2017年10月27日(金)

モニター期間:2017年11月20日(月)~12月15日(金) ※除外日:11月25・26日

募集人数:1組2人

応募条件:女性1人必須/旅マルシェ会員に登録した者/指定期間に旅行が可能な方/必須スポット(3カ所)を必ず巡れる者/体験後、1週間以内に指示の写真と文章の提出ができる者/SNSのアカウントを持ち、普段から利用している者。

旅行モニターとは

 体験モニターに応募した旅モニ会員の中から、抽選で選ばれたモニターのこと。当選者は指定された期間内にモニター体験を行い、帰宅後にその旅で感じた“いいところ”を言葉と写真でレポートすることで、無料で体験を楽しむことができる。宿泊のほか、レジャーや飲食の体験モニターも募集しており、旅のさまざまなシーンを試すことができる。

旅モニとは

 「あなたの日常に旅するよろこびを」をコンセプトにした、旅行モニターサイト。宿泊施設や飲食店、レジャー施設など、各地域の魅力的な旅スポットを体験できる無料モニター募集や、旅にまつわるプレゼントキャンペーンなどを実施する。

(PC・スマートフォン共通)

パスポート申請で、最大9千円キャッシュバック

2017年10月23日(金) 配信 

旅工房がパスポート申請費用キャッシュバックを無期限実施

  旅工房(高山泰仁会長兼社長)は、パスポートの新規取得費用および有効期限切れで、再度申請する費用を旅行代金から最大9千円キャッシュバックするプログラムを継続的に実施している。同社は2017年10月19日に、期間を設けず無期限でこのパスポート申請プログラムを行うと発表した。

 10月19日は、「遠(10)くへ行く(19)」の語呂合わせから、海外旅行を楽しむ日として「海外旅行の日」と制定されている。また、日本のパスポートはビザなしで入国できる国の数を集計した「パスポートの自由度」のランキングで5位を獲得しており、日本は世界的に見ても旅の自由度が高い国といえる。しかしながら日本人のパスポート保有率は、4人に1人の割合にとどまっている。

 旅工房では1人でも多くの方に海外旅行を楽しんでもらいたいとの想いから、2015年11月から2016年2月まで、パスポート申請プログラムを実施していたが、客からの好評を得て、期間を設けず継続的にパスポート申請プログラムを実施することとした。

パスポートプログラムについて

 パスポートを申請された客を対象に、パスポート取得の補助として最大9千円を旅行代金からキャッシュバックする。

対象者:旅工房で旅行を申し込み、パスポートを新規取得および有効期限切れにより再度申請した者

割引額:12歳以上は9千円引き、12歳未満は4千円引き

詳細は下記から

地下鉄開通90年 東京メトロ10月27日からさまざまなイベントを開催

2017年10月27日(金) スタート

今年は地下鉄開通90周年

東京地下鉄(東京メトロ)は10月27日(金)から、地下鉄開通90周年記念イベントをスタート。2018年1月24日(水)まで、さまざまなイベントを行う。

 1927年12月30日、東洋初の地下鉄として上野駅~浅草駅(現・銀座線)  2・2㌔ が開通してから90周年を迎える2017年。「地下は、未来だ。これからも。」をキャッチコピーに、東洋初の地下鉄のDNAを受け継ぐ東京メトロは、地下鉄開業日を跨ぐ2017年10月27日(金)から2018年1月24日(水)を中心に、90日間スタンプラリーや幻の駅ライトアップなどさまざまな企画を用意する。

地下鉄開通90周年記念イベント概要

開催期間:2017年10月27日(金)以降
 記念イベント概要

 90日間スタンプラリー

実施時期:2017年10月27日(金)~2018年1月24日(水)

実施内容:東京のさまざまな魅力を体感できるテーマとそれに基づくスポットを設定し、各スポットで体験コースを楽しめる東京メトロ沿線を舞台にしたスタンプラリーを用意。

東京メトロアプリ 銀座線1問1答クイズ

実施時期:2017年10月27日(金)~2018年1月24日(水)

実施内容:東京メトロアプリ上で、銀座線にまつわるクイズを90日間、毎日1問1答形式で出題。

総合研修訓練センター一般公開【応募制】

実施時期:2017年12月3日(日)

実施内容:新木場車両基地に隣接する2016年4月開設の総合研修訓練センターに当選者を招待し、社員育成の最前線を紹介する。

新木場車両基地に隣接する総合研修訓練センター

銀座線・丸ノ内線 中野車両基地一般公開【応募制】

実施時期:2017年12月10日(日)

アルゼンチンから里帰りした丸ノ内線旧500形車両

実施内容:中野車両基地に当選者を招待し、現在、銀座線と丸ノ内線で活躍する1000系特別仕様車両、02系車両、銀座線で活躍していた01系、そして昨年アルゼンチンから里帰りして補修工事を行っていた丸ノ内線旧500形車両を一堂に公開。

幻の駅ライトアップ

実施時期:12月上旬~中旬

実施内容:銀座線内に残る幻の駅「旧万世橋駅」と「旧神宮前駅」を期間限定でライトアップし、現在の姿みられるようにする。

東洋初の地下鉄復刻スペシャル【一部応募制】

実施時期:2017年12月17日(日)

実施内容:地下鉄開通当時の旧1000形をモチーフとした銀座線1000系特別仕様車両を使用したイベント専用列車の運行や、地下鉄開通当時の係員の制服を復刻。

地下鉄開通90周年記念シンポジウム【応募制

実施時期:2018年1月予定

実施内容:90年間の地下鉄開業の歴史や発展を振り返りつつ、地下鉄が、日本そして海外において交通、都市の未来を開いていくことへの展望について考えるシンポジウムを開催。

地下鉄博物館特別展「地下鉄開通90周年展」

実施時期:2017年12月2日(土)~2018年1月28日(日)

実施内容:東京の地下に夢を求め、東洋初の地下鉄事業を成し遂げた人物にスポットを当て、開通までの苦難と情熱を中心に、開通から現在までの90年間の歴史を振り返る特別展。

Tokyo Metro To Me CARD地下鉄開通90周年限定カード発行

実施時期:2017年12月1日(金)予定

実施内容:地下鉄開通90周年を記念して、日本初の地下鉄車両 1001号車をデザインにあしらったTo Me CARD Primeの限定カードを発行。

新春デパート巡り乗車券発売【事前抽選制】

発売時期:2017年12月下旬

実施内容:東京地下鉄道時代の昭和7年に初めて発売されたお得な乗車券「デパート巡り券」内容を現代風にアレンジし、利用特典を盛り込んだ乗車券を発売。

 かみてつ™ワークショップ【応募制】

実施時期:2018年1月20日(土)
実施内容:紙に印刷された電気が流れる線路の上を、紙でできた鉄道模型が走るキット「かみてつ™」を実際に作るワークショップを留置電車の中で開催。

ぐるなびと東北観光推進機構が提携 11月に香港とタイで東北の食文化を発信 「Japan Restaurant Week」

2017年23日(月) 配信

開催案内ポスターデザイン (香港)

日本食を海外に広める動きが活発だ。ぐるなびと東北観光推進機構は11月に、香港とタイで「Japan Restaurant Week」を開催。東北地域の食文化を現地で発信する。

 飲食店の検索サイト運営で、日本の外食産業を牽引してきたぐるなび。昨今、飲食店がインバウンドを取り込む支援活動にも力を入れる。15年1月には、ぐるなび外国語版サイトをリニューアルし、食材や調理方法、お酒のアルコール度数も多言語での表示を可能とした。各店舗のメニューを多言語化するシステムも開発し、飲食店を訪れるインバウンドの消費増加に寄与している。

 インバウンド対策セミナーも、自治体と協力して開催している。10月13日(金)には、岐阜県料理生活衛生同業組合が主催するインバウンド対応セミナーで、飲食店を対象とした事例紹介や接客方法のレクチャーを行った。地域への来訪者増加に結びつけようと懸命だ。

東北の食文化を香港とタイで発信 旅行商品券など豪華賞品も用意

 「Japan Restaurant Week」は、海外現地で展開する飲食店(日本食のレストラン)を通じ、日本の食や文化に対する関心を高めてもらうためのイベント。開催地である香港とタイは、日本食に対する関心が高く、参加する飲食店のお得意客に東北の食文化をPRする絶好のチャンスといえる。開催時期は以下の通り。各地域30~40店舗ほど。東北旅行に使える商品券や、宮城県産のトマトジュースといった景品も用意。日本への渡航につながるキッカケとなるイベントを目指す。

開催時期:

香港/2017年11月8日(水)~21日(火)

タイ/2017年11月9日(木)~22日(水)

修学旅行と「シネマ・アクティブ・ラーニング」を融合、修学旅行先で映画制作をする教育プログラム実施

2017年10月20日(金)配信

生徒たちが感じたことを、映画の物語に落とし込む

広島城北中学校(岩本光彦社長、広島市東区)とJTB中国四国、コスモボックスは、修学旅行を「シネマ・アクティブ・ラーニング」と融合させた、修学旅行先での映画撮影から作品を完成させるまでの体験を組み込んだ教育プログラムを実施する。実施するのは、同中学3年生の182人。

 同プログラムでは、子供たちの映像リテラシーの習得だけではなく、コミュニケーション力の向上や、地域資産・伝統文化への理解を深めること目的としている。修学旅行のなかで生徒がタブレット端末で映画を作り、文集の変わりに記録に残し、発表する。修学旅行を中心に、「たびまえ」・「たびなか」・「たびあと」の3つの段階に分けて進めていく。

たびまえ

 映画を作る工程を「鑑賞理解」「物語発見」「演技表現」「制作実現」と4つの区分に分割。テーマに分けて、アクティブ・ラーニング形式のワークを行う。

 「鑑賞理解」では、映画の歴史・起源や実写作品とアニメーション作品の違いなどをお題に出しながら、さまざまな映像を観て、対話形式で質疑応答やプレゼンテーションを行っていく。

 「物語発見」では、ハリウッドの脚本の理論から、話題になった有名作品を扱い、それらに見られるヒットする法則を理論的に分析する。それを踏まえて、グループワークを交えながら、映画の物語を自分たちで生み出す作業を行っていく。

 「演技表現」では、身体表現を用いながら、言語・非言語コミュニケーションのワークをゲーム感覚で体感。他者との信頼関係の構築を、体感を通じて習得する。日本人が不得意としている表現力や交渉力の向上を目的としている。

 「制作実現」では、今まで習ってきたことをすべて用いながら、タブレット端末を使ってショートフィルムを制作。実写作品・クレイアニメ・プログラミングなど、さまざまな手法を使いながら映画制作の楽しさを体験してもらうと共に、制作手法によって相手に与える印象が異なることを、実践を交えながら経験する。

たびなか

 修学旅行先を舞台に、地元の人々のサポートを受けながら、撮影を行なっていく。1日目は地元の漁業や農業などの体験学習を行い、それを踏まえて地元の人々との交流を通じた3分の短編映画制作に臨む。

 訪問先を舞台に、生徒たちの自由な発想を土台として、各チームの物語をタブレット端末を使って映像化。旅先という非日常のなかで、生徒たちの好奇心がより刺激されることが期待されている。 

たびあと

 訪問先で撮影した素材を、細かく編集、音付けなどを行う。並行して、作品のイメージを具現化させたポスター制作にも挑戦する。

 制作された映画作品およびポスターをプレゼン大会の形式で発表してもらうことで、その地域の持つ魅力や未来に向けてのメッセージを他者に発表する力を養う。

取り組みの背景

 コスモボックス社長で映画監督の古新舜氏は、大手予備校講師時代から、アクティブ・ラーニング型授業を実践し、学生は元より社会人に対しても、のべ2万人以上にアクティブ・ラーニングを約10年間提供し続けてきた。

 その過程で、個人が持つ潜在的な能力、人間性を「映画制作」を通じて引き出すことを目的とし、「映画制作×教育」として「シネマ・アクティブ・ラーニング」を全国で提供している。

 今回の取り組みは、この「シネマ・アクティブ・ラーニング」に着眼をした広島城北の中川教頭の発案をきっかけに、JTB中国四国広島支店とコスモボックスが協働し、修学旅行を「シネマ・アクティブ・ラーニング」と融合させた企画として開発したもの。

 修学旅行を観光旅行で終わらせず、子供たちにより多くの学びを持ち帰ってもらいたいというニーズが高まるなかで、タブレット端末やICTの普及により、子供たちが手軽にデジタル機器を扱うことができるようになった環境を効果的に活用したプログラムになっている。

「トラベルスクエア」大学連携型CCRC

2017年10月22日(日) 配信

膨大な蔵書の活用の道を考える

 書物に関する研究、エッセイなどで著名な紀田順一郎さんは、大学時代のサークルの大先輩で、もちろん、本の収集家としても著名なお方。

 それで、愛書家だったら必ず遭遇するのが「最後、それをどうする」の深刻な問題だ。紀田さんも80歳を超え、大胆な処分に踏み切った。その決意のプロセスを語ったのが「蔵書一代―なぜ、蔵書は増え、そして散逸するのか」という(僕には)戦慄的な本が出た。

 まとめてしまえば、蔵書は「蔵」している人の個性があるから意味があるので、その個性がなくなれば、ただのゴミに近いものになってしまう。

 悲しい話だが、それが現実。だから、できればその蔵書を何らかの形で引き受けて、社会の「共有財産」として保存してくれる村とか町はないものかと夢想する。

 話はちょっと変わるけれど、今年、経営者が読むべき1冊はジャーナリスト出身の人口論が得意な河合雅司さんが著した「未来の年表」(講談社現代新書)だと断言できる。人口予測と未来像を語る本は数多あるけれど、この本ほど妥協なく辛く予測しているものはない。なにしろ、具体的に2027年には輸血用血液が不足する、とか2039年には火葬場が徹底的に不足し、焼き場渋滞が起きるといった描き方だ。人口が縮んでいくのは必然で、それに対処するにはムード的な文言ではなく、十数年かけて居心地のいい「小さな国」に向けての基盤整備に入ろう、というのが著者の主張だ。

 その処方箋はこの本の第2部に10のアイデアにまとめられている。24時間社会からの脱却とか都道府県の飛び地合併を考える、あるいは第3子以降は文句なしに国が1千万円給付する、といった提案が並ぶ中に、中高年の地方移住推進の一環としての大学連携型CCRCというのがある。CCRCとはコンテニュイング・ケア・リタイアメント・センターの略称で、例えば「病」のような共通項を持つ中高年者が共同して快適に暮らせるような医療や介護の充実したコミュニティを作ったりする考えだ。

 そこで退職大学教員が持つ膨大な蔵書を引き受けてくれる家屋を町が用意し、そこにリタイアした研究者に住んでもらう(時々滞在でもよい)のはどうだろう?

 大学関係者だけでなく、一般の特定の分野に強い蔵書家も加えれば、かなり応募者が出るのではないか。そういう特徴ある蔵書群は若い研究者も惹きつけるだろう。

 それができれば、僕は約3万5千冊を持参して引っ越すよ。現実に、研究室に貯められた本の大半はゴミ化して終わりと思う。「知」の消耗品化、痛ましいでしょ。このアイデア、どこかの自治体で真剣に検討してほしいな。

(跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健)

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年から跡見学園女子大学教授、現職。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(153)」UNWTO賞と産業観光の意義(全国産業観光推進協議会)

2017年10月22日(日) 配信

世界初のアーチ型鋳鉄橋「アイアンブリッジ」(世界遺産)

 近代社会は、別名、工業化社会とも呼ばれてきた。従来のモノづくりが飛躍的に大型化・高速化され、先進工業国を中心に世界中に工業製品が溢れた。

 翻って、観光の語源は国の「光」を観ることといわれる(「易経」)。それぞれの国・地域の誇り・威光が観光の対象になるという意味である。だとすれば、工業(産業)は近代社会の「光」(観光対象)ということになる。実際、世界で最も早く産業革命を迎えたイギリスでは、高炉による鉄とガラスなどの先端素材が観光の対象となった。すでに18世紀初頭1706年には、コークスを用いた世界初の近代高炉が完成したが、その鉄でつくった鋳鉄製アーチ橋・アイアンブリッジは、ユネスコ世界遺産のシンボルともなった。

 イギリスが1851年に開催したロンドン万博では、鉄とガラスのパビリオン「クリスタル・パレス」という先端工業の粋を集めた建物が、世界中に喧伝された。その約150年後、愛知県名古屋市で開催された「愛・地球博」(2005年)は、日本における産業観光発展の大きな引き金となった。世界中の人々が集まる愛知県には、名古屋城など一部の資源以外に見るべき観光資源がないと言われてきた。しかし、自動車工業をはじめ、我が国の工業生産をリードしてきたこの地域には、実に多様な工場と世界的水準の産業ミュージアムが多数存在していた。愛・地球博開催の準備と並行して、1990年代以降、これらの資源をテーマ別にネットワーク化することで、中部地域の産業観光がスタートした。以来、食品、飲料など身近な消費財工場やミュージアムなどには、大勢の観光客が大型バスで訪れるようになった。

 こうしたなかで、工場・工房の中には、単に工場を見せるというより、ご覧いただくための工場として投資し収益を得る「ファクトリー・バーク」なども新たな形態も出現した。また、フランスなど欧州諸国が先行したように、我が国でも、先端産業の貿易振興やビジネス客の来訪など海外客の受入体制が整備されつつある。いわゆるMICE戦略である。オリンピックを直前に控えた現在、多くの企業が海外マーケット戦略の一環として産業観光に注目している。さらには、シルクやコットンのように一旦は衰退した地場産業を産業観光によって再生しようという新たな動きも現れている。

全国産業観光推進協議会
須田寛副会長(写真中央)

 こうした活動が評価され、今年の世界観光機構(UNWTO)部門賞に、全国の産業観光のプラットフォームともいうべき「全国産業観光推進協議会」が選ばれた。

 産業観光は観光の一形態ではあるが、我が国の先端技術や産業資源を海外にアピールし、新たな産業を創出し、世界のビジネス客を引き付ける広い役割と意義を持っている。「産業が観光になる」時代、産業観光は、次の新たな観光戦略の一つとしてさらに注目されよう。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

〈観光最前線〉忘れられない音のはなし

2017年10月21日(土) 配信

民宿「いわさき」さんで心温まる一夜を過ごした

 口承で語り継がれてきたアイヌ語を、初めて音として意識したのは2年ほど前。「60のゆりかご」という子守歌をWebで聴いたときだ。聞き慣れない音の繰り返しに、普段使わない感覚が起こされるように思えた。「癒しと畏(おそ)れの同居」。後にぼんやり考えると、そんな言葉が浮かんできた。

 先日、福島県喜多方市の農家民宿に泊まった。囲炉裏を囲み飲み交わす地酒や、心づくしの料理も忘れがたいが、抑揚が独特の会津弁が一番の思い出になった。言葉遊びではないが、こちらは「やさしい声でもつれを解いてもらう」感じ。

 地域の魅力を伝える手だてとして「画像」が注目されている。そんなときだからこそ「音」を題材にした企画や広報もおもしろいのでは。

【鈴木 克範】

No.475 47都道府県の観光関連予算を調査 宿泊者数・消費額とのバランス探る

2017年10月24日(火) 配信

【お詫びと訂正】

1689号(2017年10月21日付号)1面特集掲載の表「17年度一般会計予算(総額に対する予算の割合)」の一部に間違いがありました。以下URLに正しい表を掲載いたしました。

本紙1690号(11月1日付発行号)にも掲載いたします。

 

 旅行新聞新社はこのほど、47都道府県の「2017年度観光関連予算」(「予算」)と「17年度一般会計予算総額に対する予算の割合」(「予算の割合」)を独自に調査した。観光予算と消費額・宿泊者数の関連はどのようになっているのか?費用対効果の一例を示すために、16年(1―12月)の宿泊旅行統計調査より、日帰り旅行を除いた国内旅行消費額(「消費額」)と延べ宿泊者数(「宿泊者数」)をピックアップし、比較した。なお、「予算」と「予算の割合」をもとにした順位づけは行っていない。

【編集部】

17年度観光予算合計は852憶円 一般会計における平均比率0.204%

 本紙の調べによると、2017年度、各都道府県の観光関連予算合計は851億6417万円。前年度と比較して約20%の200億円ほど減少した。各都道府県の平均は18億1200万円で、こちらも前年の22億4919万円を2割下回った。今回、16年の宿泊旅行統計調査(※1・2)における、国内旅行消費額(「消費額」)と延べ宿泊者数(「宿泊者数」)もピックアップ。各地域の「予算」、一般会計に対する予算の割合(「予算の割合」)と比較することで、観光関係にかけた費用と、観光の収益のバランスを視覚化した。「各地域はどれだけ観光に予算をかけ、どのくらい観光で収益を得ているのか」参考としてほしい。なお観光関連予算は、各都道府県の観光課に直接ヒアリングした、本紙独自の調査によるもので、国内旅行消費額は日帰り旅行を除いた数値である。…

※ 詳細は本紙1689号または10月26日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

温泉旅館で過ごす最適の季節 「フルーツの宿」の出現を待ち望む

2017年10月21日(土) 配信

秋のフルーツを楽しめる宿は贅沢だ

 旅をするには、いい季節になった。とりわけ、日本の温泉旅館でゆったりと過ごすには最適の季節だ。旅先で美味しいものが食べられる楽しみもある。

 先日、東北の山間の温泉旅館に泊まった。街を抜け、山に入ると、色づき始めた紅葉が太陽の淡い光を遮る。大きく深呼吸をすると、少し冷たい秋の匂いを含んだ空気が肺の中に流れ込んだ。都市生活者にとっては、日常生活からの解放感を味わえる瞬間だ。湿った落ち葉を踏むと、微かな靴底の音が静かな空間をより一層際立たせる。鳥の声を聞きながら、微かな白い湯気が立ち昇る温泉に浸かると、全身が温かく包まれる。入浴後、よく冷えたビールを飲み、美味しい地元の魚介や山菜料理、採れ立てのフルーツなどをいただき、ふんわりとした清潔な布団に大の字に寝転がると、そのまま深い眠りの世界に入っていった。これらを一度に体験できる温泉旅館が日本各地に存在していることに、感謝したくなる季節でもある。

 取材で訪れ、「もう一度泊まりたい」と思う宿がある。それら宿に共通する点が1つある。それは、滞在中、テレビを一度もつけない宿である。

 繁華街のビジネスホテルに宿泊するときには、反射的にリモコンを手に取り、ほぼ100%テレビをつける。いつもと変わりないバラエティー番組が画面に映し出され、テレビから大きな笑い声が響いてくる。チャンネルを変えても似たような番組が続く。シャワーを浴び、テレビの前で缶チューハイのフタを開け、いつの間にか自分の笑い声がシングルルームに響いている。心地よいが、他のホテルでも同じことはできる。

 リゾートホテルでも経験上だが、ビジネスホテルに比べてテレビをつけることが少ないような気がする。滞在中、なんとなくテレビをつけないで過ごしてしまう宿には、目に映る景色、聞こえる音、森林や潮の香り、快適な室温、温泉、美味しい料理などが、五感にバランスよく心地よさを与えてくれているのだろう。人が作る料理も周囲の環境とマッチしたものでなければ調和は崩れてしまう。

 海外のリゾートホテルなどでは、客室にフルーツの盛り合わせを持ってきてくれるところがある。窓の外の青い海を眺めながら、食べきれないくらいのフルーツを摘みながら、くつろぎの時間を過ごすのは贅沢な気分になれる。タグ付きのカニやエビ、A5ランクのブランド牛を提供する宿は全国に数多ある。しかし、親しみやすい価格で食べきれないほどの地元のフルーツを提供してくれる宿を見つけるのは難しい。

 秋は、果物狩りの季節でもある。ブドウや梨などを観光農園で楽しむ旅行者も多いだろう。だが、果物は短時間にそれほど多く食べられるものではない。でも手近にあればいつでも食べられる。宿に到着して疲れた体を潤す桃やブドウ、梨などの果実があればうれしい。湯上りの喉の渇きを満たし、ワインなどのお酒にも合う。夜中に目が覚めてしまったときに手を伸ばし、甘いブドウを口に含むと再び心地よい眠りに入れる。目覚めにはグレープフルーツなどが爽やかな気分にさせる。客室や、ラウンジなどで好きなときに味わえる空間があれば旅人は虜になるはずである。この秋にも果物が存分に食べられる「フルーツホテル」が現れないかな。

(編集長・増田 剛)